連載小説
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05.モノに宿るは主の魔力
 「どうかなさいました?」

 そうノワルに声をかけられたのはリーベルである。

 「ひっ!い、いや、私はなんでもないけどね・・・」

 驚いてしまうのは無理もない、彼女は影の魔物、相手が思い人でもなければ気付かれずに近づくのはたやすいことである、だが、彼女が驚かれる理由はもう一つ、大きく開きギラギラした赤い目と、45度に傾いた首という見た目の問題だろう。

 「ちょっと昔のことを思いだしていただけだよ。」
 「そうなのですか?、もしよろしければ聞かせてもらいませんですの!?」

 ノワルはそう言ってギラギラした目に輝きが増す、これにはリーベルもさすがにおじけずいてしまう。

 「ご心配なく、人間のころから怖がられていたのでもう慣れっこですわ。」
 「そうかい...、こんな態度をとっておきながらだけど私も元人間なんだ、そっちは自力..というよりはリリムに頼んだ感じかな。」
 「ええ、ここの代表のお方に魔物にしていただきましたわ。」

 「わたしはちょっとしたアクシデントでね..、うっかりって感じさ。」

 「猿も木から落ちる、河童の川流れというやつですわね、ところでいつ頃から魔物をやっていますの?」
 「ううむ、あんまり覚えていないけど世代交代前からかな。」
 「あら、それじゃあ随分と先輩ですのね。」

 「まあね、昔は母と暮らしていたんだけどいつも仕事でわたしはいつも一人ぼっち。」

 「人間のころただ一人さびしく暮らしていた私に差した一筋の光があったんだ。」

 「彼は、ぶっきらぼうだけど、自分のことより他人のことを気にするようなな人間だったんだ。」

 「私は研究や魔道具、ゴーレムの開発だけで、家事ができない人間だったからね。」

 「彼にとっては見ていて危なっかしすぎるものでね、」

 「よくお世話になった。」

 「そして彼は勇者候補でもあった、」

 「でも断った、大きな世界を守るより自分の育ったここを守りたいってね。」

 「だけどとある事件で神兵に殺された。」

 「その事件の犯人、わたしのすべてを台無しにしたヤツ、わたしは今そいつを捜している。」

 ひと通りはなすと「おしまい。」と言った。

 「ならばわたしのでばんですわね。」

 ノワルはぽそりとどこからともなく水晶を取り出す。

 「わたくし生前は魔力の流れをよむ占い師をしておりました。」

 「評判はよく偉いお方なども来ました」

 「沢山の男性が求婚を求めてきたこともありましたわ。」

 「でもわたくし、すべて断りましたの。」

 「だって分かっていたから、欲しいのはわたくしではなくその力、真っ黒な心しか目に映りませんでしたわ。」

 「その点子供の方がよっぽど好きでしたわ。」

 「はっきりと[気味が悪い]と素直に言ってくれるから。」

 「わたくし嫌気がさして故郷を飛び出しましたの。」

 「町の意地汚い人たちは私をとらえようと傭兵まで使って追いかけてきましたわ。」

 「そこで間一髪のところを助けていただいたのがここの代表でしたわ。」

 「わたくし頼みましたの、わたくしを、力なんて関係の無い私自身を愛してもらえるような魔物になりたい、と」

 「そこでわたくしは真の愛を手に入れると真の姿になるドッペルゲンガーにノワルさんを魔物化しましたの!!」

 「あら、御無沙汰しておりますわ、アーリア様。」

 「ええ、この方々は丁度町一番の占い師であるあなたを捜していたところなのよ。」

 リーベルはくすりと笑う

 「ちょうどよかったんじゃねーの?」

 満面の笑みで帰ってきたグロリアが声をかける

 「うん、そうだね。」

 グロリアは鞄から取り出したクロスボウをノワルに渡す

 「人探しですわね、いつもは皆さんの思い人を捜すのに使うのにはよく使いますが。」
 「できるのかい?」
 「ええもちろん、持つだけで感じられますわ、あなたの魔力ともう一つの魔力、だけどどちらもとってもおどろおどろしい....」

 「.......。」

 「失礼、とにもかくにも結果は明日、今日は暗いので宿をとっておやすみなさい。」

 「あと、気を張り詰めすぎるのはあまりよろしくなくてよ。」

 






















 「見つかるといいな。」

 「うん、そうだね。」

 リーベルとグロリアは今、近くにあった宿の二人用の部屋にいる

 「それにしてもあたしのことは気にしなくてもよかったのに。」

 ゴーレムであるグロリアはベットで寝る必要はない

 「うん、そうだね。」

 「?どうした、元気ないぞ?」

 「うん、そうだね。」

 「いいかげん「うん、そうだね。」ていうのをやめろ、今思っていることを素直に話せ。」

 「・・・・。」

 しばらくの沈黙の中ようやくリーベルは言葉を口にする。

 「あのね、」

 「オウ。」

 「今からキミのメンテナンスをしたいんだけどさ。」

 「だから?」

 「キミは正直わたしのこと、どう思っている?」

 

















 「アーリア様、」

 「どうなさいましたのノワル?」

 「実は魔力の持ち主はもう分かっているのですわ。」

 「それならどうして彼女らに教えないのです?」

 「この魔力、例の[]の件の物に非常に酷似しておりますの、」

 「あらまあ、それでは彼女たちには協力を求めることになりそうですわね。」
15/05/09 12:06更新 / B,バス
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