連載小説
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04.おはなとふたりのまほうつかい
 「あらぁ?」

 わたしはノワルと申します、元人間のドッペルゲンガーですわ、今日はいい天気なのでお気に入りのゴシックな服装に身を包み、真っ黒な日傘をさして、何か面白いものがないかと大きな瞳できょろきょろしていると少し先の広場でなにやらたくさんのひとがベンチに腰掛けているではありませんか。

 「なにかしら?」

 そこにいるのは人魔物そろった子供たちと数人の大人、あら珍しい、エンジェルにリリム様までいるわ、彼らの視線の先には紙芝居を読み聞かせるひとりの魔物、どうやら彼女が読み聞かせをするみたい。
 読み聞かせのお客様はたぐり飴をなめながら紙芝居に夢中みたい、いつもならおじいさんが読み聞かせているのに...少し気になってしまいましたわ、わたしはよく

 「見つめられるとコワイ」

 と、言われてしまうので影の魔物らしくこっそりとお客様のなかに混じりましょう、それにしてもいったいどうしてこわがるのかしら?



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 [おはなとふたりのまほうつかい]


 とあるまちにふたりのまほうつかいがいました

 ひとりはまちをまもるへいしのひとりで

 ひとたびつえをふればどんなわるいひとでもかんたんにたおしてしまうほどの

 とてもつよいまほうつかい、

 もうひとりはちいさなおやしきにひっそりとすんでいる

 たいそうひとみしりなまほうつかいでした

 つよいまほうつかいはじぶんのちからにじしんをもっていました

 ちからづよいまほうをもつじぶんがこのまちいちばんのまほうつかいだと

 しかし、ひとびとはそうはおもっていませんでした、

 なぜならつよいまほうつかいはとてもいじっぱりで

 たくさんのひとからきらわれていました

 そのいっぽうでおやしきのまほうつかいはたくさんとはいいませんがいくらかのひとに

 したわれていました

 かれはちからづよいまほうはもっていませんがものをなおすのがとくいでした

 ちいさなおもちゃからあるけないひとのためのあしまで・・・

 はじまりはちいさないえのかぞくでした

 あるひおやしきのまほうつかいはかいものにでかけていました

 するとみちのさきにおとこのひとがたおれていました

 そのひとはかたあしがなくそばにつえがころがっていました

 きっとこけてしまったのでしょう

 おやしきのまほうつかいはかわいそうにおもったので

 おうちまでおくってあげることにしました

 そこはちいさなおうちがひとつ

 おとこのひとのむすめがいまにもなきだしそうにしていました

 おやしきのまほうつかいはおとこのひとをいえまでとどけると

 おとこのひとがかたあしでくらすことは

 とてもふべんでくろうするだろうおもい

 きでできたまほうのあしをおとこのひとにつくってあげました

 おとこのひとがまほうのきのあしをつけるとあらふしぎ

 きのあしはおとこのひとのあしそのもののようににうごきました

 むすめはささやかなおれいにおおきなおはなをおくり

 おとこはうれしさのあまりまちをはしりまわりました

 まほうつかいはじぶんへのおくりものをもらうのがはじめてでしたので

 はなかざりにしてたいせつにしました

 そしてそのまほうつかいはたちまちにんきものになりました

 そのうわさはつよいまほうつかいのもとにもとどきました

 つよいまほうつかいはじぶんをさしおいてにんきものになった

 おやしきのまほうつかいがにくくてきらわれものにしたくてたまりませんでした

 そこでつよいまほうつかいはおやしきのまほうつかいにひとびとのまえでちからくらべをしました

 とうぜんつよいまほうつかいがかちおやしきのまほうつかいはみにくくなるのろいをうけました

 それでもやしきのまほうつかいはちっともきらわれものになりません

 つよいまほうつかいはさらにはらがたちやしきのまほうつかいの

 わるいうわさをながしまちのへいしをちからにものをいわせ

 おやしきのまほうつかいをつかまえることにしました

 むすめからこのはなしをきいたおやしきのまほうつかいは

 みなにめいわくをかけたくないからしばらくひとりにしてほしいといいました

 もしじぶんをまもろうとするひとがいればかれになにをされるかわからないからです

 ただくやしくてたまりません

 いまをしのいだとしてもつよいまほうつかいはきっとあきらめない

 じぶんがここにいればずっとみんなにめいわくをかけるでしょう

 ですがみんなをいやしてえがおをみたい、ずっとそばにいたいのです

 そのときむすめからもらったたいせつなはなかざりをおもいだしました

 はなならきっとみんなをこころからいやすことができるそうかんがえたのです

 おやしきのまほうつかいはにわでじぶんとはなかざりをまんなかににまほうじんをかき

 おおきなまほうをとなえました

 そしてすうじつご へいしたちがひとみしりのまほうつかいのおやしきにきました

 ですがそこにはだれもおりませんでした

 はらをたてたつよいまほうつかいはありったけのまほうでおやしきをこわしてさっていきました

 へいしたちがさったあとひとびとがこわれたおやしきにいくと

 おにわにおおきなはながさいておりそばににてがみがおいてありました

 ―みなさまへ

  わたしがいるとみなさまにふこうがおとずれるでしょう

  そうなるまえにわたしはここからいなくなることにします

  ちいさないえのむすめさんそしてそのおとうさんあなたがたのおかげでまちのみなさまに

  よくしていただきました

  もしよろしければこのはなをたいせつにしてください

  おやしきのまほうつかいより―


 ちいさないえのかぞくはそのはなをもちかえりたいせつにそだてることにしました

 そのはなははなかざりとおやしきのまほうつかいがひとつになったもの




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 「おしまい!!」

 と、ゴーレムの声が聞こえました、お客様がたもおおよろこびで拍手をしていますわ。

 「・・・・。」

 あらぁ?みなさんが拍手をしている中どうしたんでしょうか顔がむっすりとしていますわ、種族柄でもあんな表情はしないでしょうに、どうやらオモシロイことはまだまだ続きそうですわ!
15/04/13 00:38更新 / B,バス
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■作者メッセージ
B,バスです更新しました

 メインイベントを書くのが待ちどおしいや。


 ひらがなの文字数はんぱないし読みにくい、こういうの漢字に書き換えたほうがいいのかな?

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