読切小説
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耳舐め芳一
昔々、赤間寺(詳しくはwiki参照)に芳一という名の盲人が住んでおりました。
若いながら琵琶法師としてはジパングでも指折りの腕前で、是非その妙技入神の技を聞きたいと、とある妖怪が或夜密かに現われて来た。
突然枕元に立たれ大層驚いた芳一ですが、これしきのことで悪評を立てられても困ると仕方無しに琵琶を持ち、呼ばれるがまま誘われるがまま夜道に手を引かれてゆけば、離れた山中の屋敷に入り、七曲り八曲がりの廊下を辿り大広間へと通される。
目の見えない芳一は知る由もありませんが、襖の向こうでは青白い炎の狐耳娘や朧火のような幼娘が着物を着崩して待っており、その奥正面の御廉の中からはやんごとなき声で、

「御苦労であった、さっそくエロ魔物娘SS人気作家の最新話を弾奏せよ」

との事で、何故エロ話?と面食らいつつもお気に入りの人気噺しを弾奏すれば、整然としていた狐耳娘は熱い吐息を漏らし、朧火幼女は身体をまさぐりはじめ、御廉の奥からはねばつく視線と水音が漏れでる。
ノリにノッた芳一は自分の琵琶に半ば陶酔しつつも、やがてその語りを終えた。

「実に今日は満足した、では明日も明後日も、七日七夜は必ず頼むぞ」

と頼まれて、毎晩エロ朗読かよ…と思いながらも、別れをつげて寺に帰りました。
かくして毎夜毎夜外出することが続きましたので、寺の僧侶もふと気付くこととなり、

「これはなんとも不思議だ、盲目の芳一が毎夜琵琶を抱えて朝帰りとは、まさか我らに秘密で彼女でも出来たか」

とモテない僧侶達は嫉妬まるだしで夜まで張り込み、誰も居ないのに一言二言呟きふらふらと出ていく芳一の後を追っていくと、もう誰も住んでいないだろう、人里離れた山中の廃屋敷に入っていく。
こんなところで逢い引きとはうらやまけしからん、と息をひそめ襖の穴から覗いてみれば、そこには熱い視線を送る見目麗しい狐耳娘に朧火幼女に囲まれ、エロ話を謳う芳一の姿ではありませんか。
その様子たるや童貞僧侶達には二目と見られないもので、手合図だけの見事な連携で芳一を抱え、忍びもかくやという速度で寺まで戻り、和尚の前で一部始終を申し伝えたところ、

「これは色事大好きな狐の妖怪が婿探s…ではなく、彼の世につれ去ろうとしているのだ。今宵は動くな、話すな、返事をするな」

と年齢=彼女いない歴の和尚は固く申しつけ、青いツナギの男が耳元で囁く小噺をして芳一を洗脳したあと、丁度きれていた墨の代わりに水飴で芳一の身体中に般若心経を書き綴りました。

「さ、これでお前は安全だ」

と和尚は申しおいて、そそくさと夜中にも関わらず法事に出掛けると芳一が帰って来た方角に出られて行ってしまいました。
その夜の事。
一足遅れて和尚の思惑に気付いた僧侶が後を追い、しんとした寺の中で一人いつものように単座していると、生温い風と共に、足音がピタリと自分の前で止まった。
はて誰か残っていたかなと思ううちに、

「芳一」

とあのやんごとなき女の声で呼び掛けられ、危うく声をだそうとして和尚の言うことを思いだし、口をつぐんだところ、またもや

「芳一よ」

と今度は少しばかり不安げな様子で呼ばれた。
しばらくして返事も声もなく、足音が右へ左へ移るのをじっと聞いていると、

「今宵は返事も声もなく、姿すら見えぬ。はて、どうしたことだろうか」

そう言いながら見渡せば、見覚えのある耳だけが闇夜にはっきりと見えました。
和尚の予想通り、豊かな尻尾を振り品の良い着物を色っぽく着崩した妖狐は、ぴんときて、ニタニタといやらしく笑いながら、

「残念残念、ならばせめて耳だけでも頂くとしよう」

と呟き火照った吐息を、ふぅーっ、と優しく吹き付けた。

「っ!?」

突然の事ながらなんとか声を押さえた芳一だが、続いてはむはむと唇に咥えられたかとおもうと、そのまま舌で耳を嘗めあげられる。
一度ならず二度三度と仰け反るも、気付けば妖狐のたおやかな手足が絡まり離さず、やむなしに芳一は一層強く心のなかでお経を唱えたが、

「じゅ…れる…ん、…はむ…」

「っ…っっ、……!!」

哀れ琵琶法師の芳一は和尚の言い付けを守ろうと必死に声を押し殺すも、びくびくと震える身体だけはどうしようもない。

「くちゅ…にちゅ…んふふ、これはなんとも旨い耳だなぁ♥️……ん、ふぅ…おまけにぴくぴく動いて愛らしいぞ♥️」

ついには芳一の顔を押さえ、耳を咥え込み舌先をすぼめては更に耳穴奥深く潜りこませ、

「んじゅるる♥️♥️」

「ぅあ!?」

これには流石の芳一も耐えきれず、声をあげてしまった。
あげてしまったのだが特に何が変わるわけでもなく、むしろもっと声をあげろと言わんばかりに一層激しく責め立てる妖怪が、

「愛い♥️愛い♥️…おっと、耳を味わっていると、誰ぞ座禅しているのが見えてきたではないか…♥️」

息を荒げながら意地悪に呟くのを、はっ、と今慌てて口をつぐむも時既に遅く、いつの間にか白魚の指が作務衣に潜り込み、テラテラと照り返すお経はどんどん嘗めとられていく。
反対の耳もさわさわともどかしく撫でられ、首筋、鎖骨、顎先と場所を移る舌先に、なんとかせねばと一念発起して声をあげようにも、

「こ、これ以上は……んんぅ!?」

「んちゅ♥️」

固く閉じた口が開くのを見計らって、ぬらぬらに濡れた熱い肉が入り込んでしまった。
そのまま舌が絡み、胸を掌が撫で、乳首を指で転がす妖怪の手管に動けずにいると、

「姉様ー? 何をしているのですかー?」

障子の向こうからまだ年端もいかない娘子の声がしたものだから、地獄に仏と助けを叫ぼうとするも、

「おう、お前達も手伝え♥️この怪しい耳を嘗めると、誰ぞいるのが見えてくるのだ♥️」

と妖狐が返せば、喜んで我先に狐火娘や狐火耳娘が群がり、

「な、そ、そんな…やめっ…くぁ!?」

そのまま姉の妖狐と余すとこなく幼子達が思い思いに舌を走らせば、水飴のお経がとれてだんだんと男の肌が見えてくる。

「ちゅっ、ちゅっ、甘ーい♥️」

「甘いねー♥️れろれろ…んっ♥️」

「あ! ここも美味しいよー♥️はむぅ…んんっ…じゅるるるぅ…ぷはぁ♥️」

「ああぁぁぁっ……そこはぁぁぁっっ…」

腕に脚に胴体に、更にはうなじと足指と蟻の門、中でも特に股ぐらをしつこく舐められ辛抱出来ずにいると、

「むっ…これ、こっちもちゃんと感じるのだ……んんっ、…じゅっ、れる……んちゅぅ…」

妖狐が悋気して一層激しく責め立てた。
それまで耐えていた我慢の糸も、その一押しで芳一の身体が震え、堪り兼ねていた一物から精が吹き出でてしまい、小さな子妖怪達に降り注ぎ、

「あーん、もったいないー♥️」

と黄色い悲鳴をあげてお互いの身体を舐めはじめる。
そんなロリ妖怪の痴態を傍に、芳一は生涯で最も激しい快楽に腰を抜かし震えるばかりだったが、ふと鼻先にもはや嗅ぎ慣れた女の甘い香りが漂い、

「くっくっくっ、偉く派手に出したではないか♥️だが次はこちらで頂かねばなぁ♥️」

と、芳一の頭をかき抱いて、帯を緩めながら妖狐が芳一の上を跨ぐ。
目が見えずとも、何やら漂う不穏な気配に意を決して押し退けようとするも、侍ていた狐火娘と狐耳娘に取り押さえられ、助けを呼ぼうにも別の娘が唇で声を封じ、伸ばした指が恋人繋ぎに絡みとられる。
妖力で衰えを知らぬ一物に熱く蕩ける粘液が滴り、

「ではこれからもよろしく頼もうか、法師殿♥️」










そして夜が明ける頃。
もふもふ妖狐たんや狐耳ロリ娘を求めて山中で醜い争いをしていた和尚と僧侶達は、結局人っ子一人も見つけられず、しかし今夜こそ芳一は何事もなかっただろうと手ぶらで寺に帰れば、あっと言ったまま暫く呆然としていましたが、山門から漏れてくる艶声と紫色の妖気を見て、

「耳にお経を書いていなかったからだ」

と呟く和尚にそういう問題じゃないだろと心の中で突っ込んだ僧侶達を、妖気に充てられた山の妖怪が襲った。
そしてまた、女人禁制の仏寺が一つ無くなるのであったが、やがて寺は妖狐を奉った縁結びの寺として栄えたとさ。

これを以て耳舐め芳一と呼ぶようになりました。




20/11/10 07:50更新 / 迷える哺乳類

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