連載小説
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前編
ひのつき ななにち
きょうは わたしが あそんでいると とても ふしぎなことが ありました。
きょう わたしは あさごはんを たべて ひるごはんを たべて それから いえの ちかくの はなばたけで あそんでいました。
すると めのまえに きゅうに おおきな あなが ひらきました。
わたしは びっくりして とびあがったけど そのあなは わたしより もっと おおきな あなでした。
わたしは ともだちの ふろーらちゃんの いえにいって そのあなを おしえてあげようと おもったけど やめました。
なぜなら あなの おくから こえが きこえてきたからです。
そのこえを きいていると わたしは なんだか あなのおくから よばれたきぶんに なってきました。
なまえを よばれたわけでは ないけれど わたしは むしょうに あなのなかに とびこみたくなりました。
あなを とおると そこは しらない ばしょでした。
わたしの いえとも ふろーらちゃんの いえとも ちがう ぜんぜん みたことない ばしょでした。
あと めのまえに しろい ふくをきた しらない おじさんが たっていました。
おじさんは いろいろ きいてきたけれど わたしは ちいさくて よく わからなかったので 「わたしの なまえは てぃっととっとって いいます。 でも ながいから おとうさんも おかあさんも ふろーらちゃんも てぃーって よびます」って こたえました。
そうしたら おじさんは わたしに ぺんと のーとを くれました。
「これは なんですか」と わたしが きいたら 「これは にっきちょうだよ」と おじさんは こたえました。
いま わたしが かいているものです。
おじさんは これから わたしに 「べんきょう」と いうものを おしえるから きょう おこったことや ならったことを かきなさいと わたしに いいました。
わたしは いえに かえれないのが 「ふふく」でしたが まあいいやと おもいました。
なぜなら 「べんきょう」と いうものが どういうものなのか わたしには こうしきんが あったからです。
わたしは じを かくのが あまり とくいでないけれど 「べんきょう」への こうしきんの ために がんばろうと おもいました。

〜研究員による中間報告書〜
本日、火月七日1320を以て召喚術を起動、同時に実験が開始された。
本実験には召喚された下級悪魔であるインプを用いる。本実験の目的は彼らないし彼女らの学習能力を調査することである。
元来魔術師に使役されるインプは使い魔として主人の活動や生活を補助するが、従僕である彼らに教育を受けさせることは俗に言う『余計な知恵』を付けさせることに当たると忌避されてきた。そのためインプが主人の命令を聞くだけの知能はあっても、その成長の上限がどれほどのものかは未知数のままだった。
本実験では公正を期すため一般的な手法による儀式(魔方陣を敷き、呪文を唱え、供物を捧げる)により召喚したインプと契約を結び、彼ないし彼女に人間社会の一般的な学校におけるものと同じ授業(計算、識字、社会学、魔術学、自然科学)を受けさせる。
教師役は契約及び記録員である筆者、トーマス=グランツが執り行う。また魔物を用いる危険性と周囲への影響を考慮して、実験は市街地から××キロの隔離施設にて行う。そのためこの中間報告は本部への定時連絡の役目も担う。
またこれは未確定ではあるが魔族たちの魔力を統括して支配する存在、いわゆる『魔王』の代替わりに伴い魔物の生態に変化が出ているとする説がある。本実験ではこの情報を鑑みて、魔物とのコミュニケーションの可否についても調査する方針だ。
召喚術式は滞りなく発動、魔方陣を介して一体のインプが呼び寄せられた。性別は雌、体長は120センチ程度、桃色の髪で顔立ちは人間の少女に極めて近く8〜10歳程度かと思われる。
召喚の直後に彼女にいくつか聞き取りを行ったが、こちらの質問を理解していないのかそのほとんどに回答は得られなかった。唯一彼女がティーという名前であるということが判明した。
筆者は彼女に記録媒体と筆記具を渡し、毎日の出来事と学習の成果を残すよう指示した。途上での影響を考慮して、実験終了まで彼女の記述はこちらから確認しないものとする。
導入としては以上。明日以降の彼女の協力、ひいては実験の成功に期待する。

ひのつき はちにち
きょう わたしは おじさんから とても おいしい おかしを もらいました。
おかあさんの つくる りょうりより おいしくて きゃんでぃーという ぼうが ついた あかくて しろいので ぺろぺろ なめると とっても あまかったです。
それから ちょこれーとという くろいのも あまくて ほっぺが おちるかもしれないと おもいました。
だけど すごく おいしかったので たべすぎてしまって ばんごはんは あまり たべられなかった。
おかあさんみたいに おこられるかなと おもったけど おじさんは ぜんぜん おこらなかったので うれしかったです。

ひのつき きゅうにち
きょうも すてきな おかしを もらいました。
おじさんが くれたのは びすけっとで びすけっとは たべたことが あります。
いぜん おかあさんが やいてくれたからです。
わたしは きゅうに おかあさんに あいたくなって さみしくなったけど おじさんの くれた びすけっとは まえ たべたものより おいしかったです。
ごはんの あとは ついに 「べんきょう」を かいし しました。
「さんすう」と いうものでした。
おじさんは 「すうじを くっつけたり はなしたり するんだよ」と いったけど よく わかりませんでした。
でも わからなくても おじさんは おこったりしないので やさしい ひとだと おもう。
それに 「わかったら おかしを もっと あげよう」と おじさんが いってくれたので がんばろうと おもいました。

〜研究員による中間報告書〜
インプに供する餌――という表現は外見上いささか不適当かもしれない――以外にも同じ年頃の少女が好むような菓子類を与えてみた。
するとティーはそれらをいたく気に入ったらしく、満腹になるまで気付かずそれを食べ続けた。このことから彼女が狡猾さや計画性を持たず、子供らしい即物的な思考を有していることが窺える。これは彼女の学習意欲を育てるために有用かもしれない。
一方知能テストも行ったが、そちらは外見ほど芳しくなく容姿の年齢と齟齬があった。識字率、計算力からティーの学力は人間でいうところの5歳児相当だということが判明した。参考までに彼女本来の年齢も尋ねてみたが、回答は得られなかった。答えたくないか、答えられないかは不明。
前途は多難に思えるが、まだ始まったばかりである。以降の進展に期待する。

ひのつき じゅういちにち
きょうも いちにちじゅう べんきょうでした。
べんきょうは たいくつで いすに すわりっぱなしなので おもったより たのしくないです。
でも ますたーは わたしが なんかい 「わかりません」と いっても しんぼうずよく おしえてくれる とっても しんぼうずよい ひとだと おもいます。
きょうしつで 「これからは ますたーと よぶように」と いわれました。
わたしは 「ますたーが おじさんの なまえですか」と きいたけど ますたーは 「ちがう」と いいました。
わたしは へんなのと おもったけど よぶように いわれたので これからは ますたーと かきます。

〜研究員による中間報告書〜
経過は順調とは言いがたい。
早くもティーの関心は、授業から離れつつあると言わざるをえない。注意をしても集中するのは一瞬で、すぐに外を見てそわそわしたりテキストに落書きしたり、意味の無い会話で話題を逸らそうとする。
思えば筆者には実子どころか親戚すらおらず、ティーのような年頃の少女と深い交流を持ったことがない。研究のことならいざ知らず、彼女の興味を惹きそうな事柄などまったくわからない。正直な話、今回の実験に志願したことを早くも後悔し始めている。
とはいえ過ぎたことを言っても仕方がない。明日の授業の準備のために、今日も早めに就寝する。

ひのつき 13にち
きょう はじめて マスターに おこられました。
きょうは あさから ひどい おおあめで じゅぎょうに あきあきしていた わたしは いてもたっても いられず まどから きょうしつを ぬけだして しまいました。
かぜの なかを はしりまわって やわらかくなった ぬかるみを ゴロゴロ ころがるのは とても たのしかったけど わたしは はしゃぎすぎて おうちが どっちか わからなくなってしまった。
どうしようと こころぼそくなって わたしは なきだしてしまいました。
すると マスターが あわてた ようすで わたしの ところに はしってきました。
マスターは 「しばらく おかしは あげない」と かおを あかくして さけんで わたしは ますます おおきな こえで ないてしまいました。
でも それは おかしが たべられないからでは ありませんでした。
おうちに かえった ころには わたしも マスターも どろんこでした。
マスターが おふろを わかしたけど わたしが なきやまないので マスターが いっしょに はいってくれました。
マスターの おおきな てで かみを あらってくれて きもちよかった。
けど ふしぎな ことも ありました。
おふろに はいっている あいだ マスターから いい においが したからです。
それは ちょうど キャンディーや チョコレートみたいな あまくて おいしそうな においでした。
でも マスターは はだかなので とうぜん おかしは もっていません。
いい においは マスターの おまたから したけど そこには オチンチンという わたしには ない ぼうみたいなのしか ついていませんでした。

〜研究員による中間報告書〜
本日は初めてティーに怒鳴りつけてしまった。
季節柄の台風が勢いを増し、このボロ家を吹き飛ばしかねない嵐が直撃したのだ。雨漏りが気になった筆者はティーに自習を言いつけて席を外すが、教室に戻った時には既にもぬけの殻で、開け放たれた窓のせいで室内は酷い有様だった。
結果的に雨風の中を小一時間走り回ってようやくティーを発見、確保できた。これがもし暗くなる前に見つけられなかったらと思うとぞっとする。
あからさまに焦っていたせいで泣きじゃくるティーに向かって語気を荒げてしまった。余裕が無かったとはいえ少し言い過ぎてしまったかもしれない。
しかしとりあえずは、以降はもう少し厳しくする方針をティーにも告げた。珍しくしおらしくなったティーを見るに彼女もいたく反省したようなので、明日からはもしかしたらもう少し進捗があるかもしれない。
ただ気になるのは彼女の視線だ。濡れ鼠で帰宅した際、一向に泣き止む様子がなかったのでやむを得ず彼女を一緒に風呂に入れたのだが、そこでティーは湯船に浸かっているあいだ一心不乱に、まさに食い入るようにまじまじと私を見つめていたのだ。
悪魔とは違う人間の肉体を見慣れないのは当然だが、あれは何というか・・・・・・、そう、彼女に以前あげた駄菓子への反応と――まるで、ご馳走を目の前にした獣のような・・・・・・――
考えすぎだろう。
慣れないことはするものじゃない。数年ぶりに野山を駆けずり回ったせいで足腰がぱんぱんだ。明日も早いので今日はこれくらいで切り上げることにする。

火のつき 14にち
今日わたしはすばらしい体けんをしました。
マスターがわたしにすばらしいものをくれたのです。それはキャンディーでもチョコレートでもありません。それはセーエキという名まえでした。
それはドロッとして、クセのつよいジュースみたいで、からだがぽかぽかして、マスターのおちんちんから出るえき体でした。
今日わたしはひとりでふとんからおきてはをみがいてパジャマからきがえると、きょうしつでノートをひらいてマスターをまっていました。けど、いつまでたってもマスターは来ません。
ふしぎにおもってマスターのへやに行くと、マスターはまだベッドでぐっすりねむっていました。わたしはいけないんだと思いました。なぜならわたしがおねぼうすると、お母さんはすごくわたしにおこったからです。
だからわたしはマスターをはやくおこそうと思って、マスターのおふとんを引っぺがしました。
その時、わたしはマスターのズボンがふくらんでいることにきずきました。わたしは「ははあ、さてはポケットにおかしを入れているな」と思いました。なぜなら、そのふくらみからおいしそうなにおいがただよっていたからです。
ベッドにたべものをもっていったりなんかしたら、もしわたしのお母さんだったらそれはそれはしかられます。だからわたしは、おかしを「ぼっしゅう」しなければならないと思って、マスターのズボンをぬがしました。
でも、ふくらんでいるのはおかしではありませんでした。
マスターのおちんちんがきのう見たときよりも大きくなっていたのです。わたしはびっくりして目をまん丸にしてしまいました。なぜならズボンから出したとたん、そのにおいはますますつよくなったからです。
わたしはじゅるり、とつばが出ていることにきずきました。つばを出すのはみっともないことだと、まえにお母さんから言われました。けどマスターのおちんちんを見たからつばが出たことは「めいはく」でした。
わたしはためしにぺろり、とそれをひとなめしてみました。
それは「げきてき」でした。おちんちんはわたしが今まであじわったことのないあじでした。どう時にわたしがこれから生きていく中でぜったいにわすれないだろうあじでもありました。
それはつんとしていて、かちかちで、にがいようなあまいような、わたしを「やみつき」にするあじでした。きがついたときにはわたしはすでにペロペロと、かたいおちんちんに何どもしたをはわせていました。
するとおちんちんの先っぽからぷっくりと、とう明なおつゆがあふれてきました。わたしはそれがおちんちんをなめたから出てきたものだと、どうしてかわかりました。だれかにおしえられたわけではないけれど、いつのまにか知っていました。
ふぅ、ふぅ、といきをつくだけだったマスターが、ぎょう天した声をあげました。わたしにおちんちんをなめられたせいで、マスターが目をさましたのです。
マスターはわたしに「やめろ」と言いました。けどわたしは言うことをききませんでした。かわりにしたのうごきをはやくすると、マスターはしゃべることができなくなりました。「うああ、うああ」とくるしそうにうめくことしかできません。
わたしはそのようすを見てかわいいと思いました。
お母さんはよく「人のいやがることをしちゃいけません」とわたしに言いました。でもわたしにはマスターが本きでいやがっているようには思えませんでした。それに今さらこんなおいしいものをとり上げられるなんてガマンできなかったです。
マスターが「出る、出る!」とあせったようにさけびました。わたしは何が出るんだろうとふしぎに思いました。しかしきずいたときには、わたしはおちんちんの先っぽにしゃぶりついていました。「むいしき」のうごきでした。
その時です、マスターのおちんちんからびゅくりびゅくり、とセーエキがとび出しました。
そのしゅんかんのことを思い出すだけで、わたしはしあわせなき分になります。
それはほかほかで、白くにごっていて、まえにねむれないよるにお母さんが作ってくれたホットミルクを思い出しました。でもそれとちがうのは、セーエキをのんだとたんねむくなるどころか、わたしのからだがカッカとあつくなったことでした。
マスターのおちんちんはわたしの口には大きすぎたけど、わたしはタコさんみたいに口を広げて「ひっし」にはなしませんでした。きがついたらそうしていました。そしてつぎつぎと出てくるセーエキを、おなかがいっぱいになるまでのみました。
わたしは「ごちそうさまでした」と言いました。ごはんをもらったらそうおれいをしなさいとお母さんに言われたからでした。セーエキはさいこうのごはんでした。
マスターがつかれたようすでわたしのことを見てきました。おこられるかなとふあんになったけど、とくに何も言われませんでした。たださっきのんだのがセーエキという名まえである、とおしえてくれました。わたしは一つかしこくなりました。
セーエキのおいしさにもおどろいたけど、もっとおどろいたのはそのあとです。
なんと今までちんぷんかんぷんだったマスターのじゅぎょうが、きゅうにりかいできるようになったのです。マスターは「しゅう中力がついた」と言ってました。しゅう中力はよくわからないけど、もんだいがとけるようになるとべんきょうがたのしいと思いました。タシザンやアルベファットはおもしろいです。
それにもっとべんきょうができるようになれば、またセーエキをもらえるかもしれません。だからマスターによろこんでもらうためにも、もっとがんばろうと思いました。

〜研究員による中間報告書〜
本日はティーに対して精液の投与実験を施した。
これは一説によれば代替わりした魔王は変わり種のサキュバスであり、彼女の魔力が他の魔物に対し影響を与えているという情報を精査するためのものであり、決して姦淫を目的としたものでない。
詳しい経緯は――経緯は省くが、首尾は上手くいった。
精液を投与されたティーは、これまでの比でない集中力と理解力を発揮した。これが先述の一説を裏打ちするものなのか、あるいは目新しさによるプラシーボ効果に過ぎないのかまだ断言することはできない。
ともあれようやっと前進の兆しが見えたのは事実だ。筆者も胸を撫で下ろしている。精液を投与し続ければ、もしかしたら更にはっきりと効果が出るかもしれない。
しかし行き過ぎた淫奔と悪魔への肩入れは古今東西、人間の身を滅ぼすのが必定だ。そこの辺りは筆者もきちんと弁えている。
決して個人的な感傷を抱かず、大人と子供の距離感を保った、バランスの取れたコミュニケーションをティーとは続けていくつもりだし、それが出来ると私は確信している。

火の月 15日
今日わたしはマスターにたく山ほめてもらいました。
マスターの大きな手でかみをなでてもらいながら「よくやった」と言ってもらえるのはとてもうれしかったです。わたしが良い子だったので、マスターも上きげんでした。
なので今日もマスターにセーエキをもらいました。
マスターはさい初しぶったけど、わたしがズボンをぬがしてあげるとおちんちんはすぐカチカチになって、あのにおいが強くなりました。
マスターは顔を真っ赤にしてはずかしそうにうつむきました。わたしはそれを見て、むねのおくがきゅっとなりました。マスターのはずかしがる顔をもっと見たいと思いました。
わたしはマスターの前にひざまずいて、いてもたってもいられずおちんちんをくわえこみました。マスターは逃げようとするけど、後ろにはかべしかありません。マスターは黒ばんに背中からもたれかかって、立ったままわたしにおちんちんをなめられるしかありません。
わたしはなめながらマスターにいくつもしつ問をしました。「どこが気持ちいいですか」「どうなめると気持ちいいですか」ときく度、マスターはかすれた声でちくいち答えてくれました。
おちんちんの部位の名前もたく山おぼえました。
キトウ、カリ、ウラスジ、インノウ・・・・・・。なめる場所によってマスターの反応や表じょうはころころと変化し、それを観さつしながら色々ためすのはたまらなくきょう味深かったです。
わたしはマスターをそんけいしています。マスターはわたしの知らないことを何でも教えてくれます。
わたしはマスターに感しゃしています。マスターといると知らなかったことを知ることが出来て、毎日がとても楽しいです。
だからもっともっとマスターには色々なことを教えてほしいです。もっともっとマスターと楽しいことをしたいです。もっともっと色んな方法で、わたしにセーエキをごち走してほしいと思いました。

〜研究員による中間報告書〜
本日は朝ののっけから驚かされた。
何とティーが宿題をしてきたのである。出すには出していたものの、これまでの彼女のやる気のなさから半ば諦めかけていた。しかしどういった心境の変化か、あるいは学問の輩としての自覚が芽生えたか。兎に角感動してしまった。
それだけではない。今日は久しぶりに小テストを執り行ったのだが、信じられないことにティーは満点を叩き出したのだ。思わずこれからは厳しく行くと昨日宣言したことを忘れて、手放しで褒めちぎってしまった。これまでの一週間の苦労が嘘のようだ。これが筆者の教育の賜物と考えると、感慨深いものがある。
だが気になることもある。というのも今回の小テスト、後から気付いたが筆者の手違いで問題範囲を間違えていた。具体的にはおよそ三日後に教える予定の範囲だった。にもかかわらず全問正解とは一体・・・・・・?
ちなみに本日も精液の投与は続行した。詳細の記述は省略する。

火の月 二十日
セーエキを出してもらうには必ずしもなめる必要はない、ということを知りました。
あの嵐の次の日から毎日欠かさずフェラチオ(フェラチオという単語もマスターから教わりました)を続けてきたけど、流石になれてきたのかマスターも前より赤くなることは減りました。
セーエキは美味しいのでそれだけでもじゅう分だけど、どうせならわたしはもっとマスターが恥ずかしがる顔が見たいと思いました。そこでわたしはシコウサクゴの結果、キトウ(おちんちんの先たんの部分です)を手の平でこすってあげるととっても『効く』ことがわかりました。
がちがちにボッキ(おちんちんが固くなることです)した先っぽをしつこくしつこくねっとりとなで上げると、マスターは身体を強ばらせて気持ち良さそうなと息をもらします。それはまるで小さい男の子が必死におしっこを我まんしているみたいで、その様子がどうしようもなくいじらしくて可愛らしいのです。
「無理、もう無理」とわたしよりずっと大きなマスターの、今にも泣き出しそうな赤ちゃんのような表情をながめるたび、わたしは背すじがぞくぞくしてうっとりした気分になってしまいます。
そうして焦らしに焦らしたあとにわたしの温かいお口全体でやさしく包んであげると、たまらずマスターのおちんちんはセーエキをおもらししてしまいます。そしてそんな『ぞくぞく』といっしょに飲むセーエキは、またかく別な味がするのです。

火の月 二十四日
今日は初めてマジュツのジッシクンレンというものをしました。
わたしはマジュツはお母さんが使っているのを見たことはあるけれど、習ったことはありませんでした。危ないからわたしにはまだ早いと言われていました。
最初にマスターは長々とマジュツの歴史と心がまえについての話を一時間ほど続けました。それから外に出て十メートルほどの距りにわら人形を置いて、火の玉のマジュツでこれを燃やしてみろと言いました。
マスターは火の玉のマジュツの出し方について、これまた三十分ほどこうぎしました。それから初めから出来るわけはないから、失敗をおそれてはいけないと言いました。
実のところわたしはマスターの話が長すぎて最後の方を聞いていませんでしたが、まあ物はためしということで手の平をかざして呪文をとなえました。
次のしゅん間、ごうう、と音を立ててわら人形が燃え上がりました。マジュツが成功したのです。
わたしもおどろきましたが、マスターはもっとおどろきました。
二人ともしーんとしていると、ふいにマスターが「よくやった」と呟きました。でも、その言葉はぎこちなかったのです。
今までマスターがわたしをほめてくれたときは、マスターも心底うれしそうでした。だけどその時は、マスターはわたしをまるで怖いものでも見るように、いや、見ないようにしていました。
わたしは傷つきました。
わたしはマスターが好きです。わたしはマスターにきらわれたくありません。わたしはマスターにとって良い子でいたいです。マスターがわたしを好きでい続けてくれるには、どうしたらいいのでしょうか。

〜研究員による中間報告書〜
実のところ漠然とした不安を感じている。私のしていることは果たして間違っているのだろうか。
ティーが善良で実直であることはもはや疑うべくもないところだ。しかし純粋であることが無辜であることは――安全であることは、必ずしも限らないのではないか。研がれていない牙こそが、時として傷を膿ませるのではないか。
まるで雪原を歩いているとき、振り向くと足跡が消えているような――そんな取り返しつかないことをしてしまったような、得も言われぬ恐怖がここ最近、筆者の胸に去来している。

火の月 二十五日
今日のわたしの身体はなんだかおかしいです。
ぴりぴりして、ふわふわして、どことなくそわそわします。焼けるような温度の石を間ちがって飲みこんだような、芯からじわじわと熱さがにじみ出るような、そんな感しょくです。
おかしくなったのは朝、ベッドでマスターにフェラチオをした時でした。
今日のわたしはマスターに気に入ってもらいたくて、マスターが特によろこぶカリクビの辺りを重点的に責めていました。わたしは焦っていたので、いつもの姿せいとは逆にうっかりお尻や足をマスターの顔の側へ向けたままシてしまいました。
その時です。マスターの舌が、わたしのお股のみぞを――まるでわたしがマスターのおちんちんを味わうときのように、ぺろりと舐め上げたのです。
「ふわあぁぁッ」とわたしののどから、聞いたこともない変な声が出ました。電気のようなしょう撃が、貫くようにわたしの全身を走りました。
わたしは何が起こったのかわかりませんでした。
それが『気持ちいい』のだと気付くのに、わたしはしばらくの時間を必要としました。でもありえないことでもないかもしれません。わたしがおちんちんを舐めるとマスターが気持ちいいのだから、マスターがわたしのお股を舐めて気持ちよくなるのも当然のことなのかもしれません。
でもわかりません。わたしのお股からはセーエキが出ないのに、どうしてわたしは気持ちよくなるのでしょう?
それにマスターはセーエキを出すと、おしっこの後みたいにすっきりすると言っていました。なのにわたしのおまたは、こうして夜に日記を書いている今もじわじわとうずいています。
授業中もわたしは何度もマスターにこれらについて質問しようと思いました。いつものわたしなら真っ先にたずねている事がらです。
けど今日のわたしは、どうしてかそうすることをためらいました。理由は知りませんが、なんとなく恥ずかしかったのです。でも今ではやはり聞いておけばよかったと、後悔をしています。
マスターも先日「聞かぬは一生の恥だ」とわたしに教えてくれていました。やはりマスターの教えに背くべきではなかったのです。
今、わたしはこれを書きながら「マスターが欲しいよぉ」と呟いたのに気付きました。完全に無意しきでした。意図を介さずこぼれ出た言葉でした。
けど『欲しい』とは何なのでしょう。マスターはわたしに、知しきとセーエキを与えてくれます。これ以上わたしはマスターから、何をもらえるというのでしょうか?

火の月 二十六日
今日は記念日です。
わたしが生きていくに当たって、今日以上に素晴らしい日は存在しないでしょう。そう断言してしまえるほど、今日マスターとの間に起こった事件は感動的でした。
わたしは驚愕しました。朝一番この身体の疼きが何なのか質問するや、マスターは喉につっかえ棒がはまっているかのようにどもりながら説明したのです。
実はおちんちんとは基本口でくわえるようなものではないこと。セーエキを飲むのは本来許されざる異常なこと。それだけでも衝撃でしたが――マスターは、なんとわたしの股のそれは男性器を入れるための穴だと言い出したのです。
それをヒトは――そして魔物娘は、セックスと呼ぶのだと。
わたしの脳内で、ミルク色のパズルがかっちりとはまりました。マスターのおちんちんがわたしの股間のスリット(おまんこという名前だと教わりました)に挿し入れられる光景を想像しただけで――何故いままで考えもつかなかったのだろう――ほっぺたは上気し心臓がばくばくと鳴り始めました。
わたしは狂喜しました。しかもマスターはこう言ったのです。曰く――セーエキがおまんこの奥深く、子宮という場所に辿り着いたとき、一定の確率ではあるが受精して新たな命が誕生するのだと。
こども! マスターとわたしの、こども! ああ、ああ・・・・・・、なんと甘美な響きでしょう。恋に堕ちた男と女の、愛を混ぜ合った琥珀色の結晶。
愛――そうだ、今ならわかります。わたしは『愛』が欲しかったのです。わたしがマスターを慕うのと同じくらいの愛を、マスターに捧げて――注いでほしかったのです。
わたしは無知にしてその方法を知りませんでした。だから昨晩は我慢するしかありませんでした。身を焦がすような恋慕に曝され、じわじわと熱を放つおまんこをただ緩慢と慰めるしか出来ませんでした。
でも、今は違う。
何故ならわたしにはマスターがいます。わたしの知らないことは何でも教えてくれて、わたしが欲しいものは何でも与えてくれる――愛しいひと。わたしの、わたしだけのマスター。
「だから・・・・・・、わたしにセックスを教えてくれますよね?」
そうわたしは囁きました。マスターの耳もとに、抱きついた体勢で。マスターはわたしを振り解けません。ただ無言でいや、いや、と左右に首をふります。
くすり、とわたしの口元から笑みが零れました。がちがちになった先端をおまんこの入口にゆっくりとあてがうと、蜜に塗れたわたしの花びらたちが、くちゅくちゅと泡立つように先走りでぬめるマスターのそれを誘惑します。
もうそれだけでマスターは「あぁ、あ・・・・・・」と切なそうに腰砕けになりました。暴発しないのが不思議なくらい、おちんちんはびくびくしていました。
「愛しています」と言いました。マスターの目の色が変わりました。得意げにわたしに知能をひけらかすときとは違う、良識ぶった大人とは異なる――野獣の目つき。
マスターが何かを――多分わたしの名前を――叫びながら、腰を突き出しました。ずん、と文字通り腹の奥に響くような音がして、わたしの身体が浮き上がって、そして――――
その後のことは、正直よく覚えていません。
いや、記憶にはきちんと残ってはいます。けど今のわたしでは、それを文字で書き表す能力を持ち合わせていないのです。ただただ天国にいるような心地良さだったと言う外ありません。
わたしはつくづく自分の頭の悪さが嫌になります。わたしにもっと語彙さえあれば、マスターがわたしに与えてくれた極上の快楽について詳しく記すことが出来るのに。わたしは全然、マスターにご恩を返せていないのだと再認識しました。
だからもっと、勉強を頑張らなきゃ。
これからもわたしを、たっぷりと教育してくださいね、マスター♪

〜研究員による中間報告書〜
遂に一線を越えてしまった。侵してはならぬ領分に踏み入れてしまった。
私は自分に落胆している。
私はもう少し自制が効く人間だと思っていた。あんな事まで教える気はなかった。だがティーに尋ねられると、私の口はまるで鍵をこじ開けられたかのようにぺらぺらとまくしたててしまうのだ。
私はそれを今まで私の性分によるものだと思っていた。知識人として、己の武器をひけらかさずにはいられないからだと思いこんで――いや、思いこもうとしていた。
しかし違うのだ。はっきりと言葉にすることは出来ないが・・・・・・、ティーに頼まれると――頼られると、こう、誠意を持って尽くさなければならない気分になるのだ。全力で彼女を甘やかさねば気が済まなくなるのだ。
私は自身の心の弱さが憎い。ティーが少しばかりあどけない外見をしているからという、その程度の理由で心の険が取れてしまう。丸くなってしまった自分を嫌悪する。
いや待て、どうして私が罪に感じなければならないのだ。
誘ってきたのはティーの方じゃあないか。そうだ、そもそも私にはそんな気はなかったのだ。ただ私は彼女の欲望を満たしてあげただけの協力者であり、被害者であって・・・・・・。むしろ全面的に責任があるのはティーであって、全面的に私に非はどこにもない・・・・・・、はずだ。
そう考えてみると腹が立ってきた。
これ以上、あの小悪魔の好きにさせるつもりはない。筆者は必ずや、失われた教育者としての威厳を取り返してみせる意志をここに表明する。もうあの子に、大きな顔をさせてなるものか。
16/03/06 05:10更新 / メガカモネギ
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■作者メッセージ
さて、一念発起した研究者クンですが後編では見事ティーを撃退することは出来るのか!?
見ものですね(白目)

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