連載小説
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後編
水の月 四日
気がついたら、一週間も日記を放置してしまった。それ程までにここ数日のマスターとの暮らしはせわしいものであり、また充実したものでもあった。
あれからマスターとはもちろん毎日セックスしている。
三桁を超えてもマスターのペニスは相変わらず刺激に慣れることはなく、むしろ次々と性技を学習していくわたしのせいで相対的に日に日に弱くなっている。わたしの膣肉できゅっと包んであげるだけで、男根以外のマスターの全てはたちまちのうちに弛緩してしまう。そしてわたしがマスターの上で微笑んであげると、辛抱を知らない肉棒はどくどくと吐精をわたしの膣中にぶちまけるのだ。
その瞬間の、マスターのだらしない表情がわたしはたまらなく好きだ。苦渋と悦楽と葛藤と煩悶が入り交じったそれは、言うなれば芸術作品に等しい。副題を付けるとすれば『魂の刹那の解放』と言ったところか。
そしてそれを鑑賞しながら下腹で味わう精液の、なんと美味なことだろう。女性器が舌鼓を打つという、魔物娘にしか味わえない悦楽。それをしっかりと噛みしめながら、わたしも嬌声をあげ絶頂するのだ。
これに関しては、文字通り飽きるほど体験しても決して慣れることはない。わたしもマスターのペニスをとやかく言うことは出来ないかもしれない。
マスターとの性交はおおよそ二時間ごとに行われる。
基本授業と授業の合間、休憩時間を用いる。椅子に腰かけてマスターの講義を受け、一段落がついたら今度はマスターの上に跨がり交合の勉強と精液の補給に勤しむ――その繰り返しだ。
一日が終わる頃にはマスターは教卓でへとへとになっている。しかしマスターは休むわけにはいかない。もし講義の中途で力尽きてしまえば、その時点で『休憩』と判断したわたしがにじり寄ってくるからだ。
当然勉学を疎かにはしていない。分野を問わず『知る』というのはわたしにとってこの上ない楽しみだ。毎日のマスターとの授業は、性交のそれに勝るとも劣らず面白い。
特に魔術はわたしの得意分野だ。四大元素に関する基礎魔術はとうに修め、今は大規模な応用上級術に取りかかろうとしている。マスターが言うには、わたしが本気を出せばここら一帯の天候を操ることすら理論上は可能なのだと。
これははっきり言ってインプとして異常だとマスターがぼやいた。過去を遡っても、そのような魔力を持った下級悪魔など類を見ないと。わたしにはよくわからないが、そういえば実家の母親は「お日様を操れれば洗濯物がよく乾くのになあ」と愚痴をこぼしていた気がする。
わたしは変わったのだろうか――そうは思わない。
鏡を眺めながらわたしは考える。わたしの容姿はマスターに召喚されたあの日から、少しも変わらない。身長も胸囲も、悲しいかなまったく成長していない。ただ少し表情が凜々しくなって、言葉遣いが大人びただけだ。
わたしは早く大人になりたい。早くマスターと対等になりたいのだ。わたしなんかが賢いマスターと同列なんて恐れ多いかもしれないが、いつまでも子供扱いされるわけにいかない。
ふと文学の授業で呼んだ一説を思い出す。曰く、大人になりたいと思っているうちは子供の証左なのだ――と。
しかし具体的に大人になるとは何を指すのだろう。やはり――やはり、マスターの赤ちゃんを身籠もれば大人になれるのだろうか?

〜研究員による中間報告書〜
ティーとのまぐわいは最高だ。
彼女は私のどんな下劣な欲望も受け入れてくれる。私よりも二回りも小さな華奢な体躯に、あどけない顔立ち。無知でありながら決して厚顔でない謙虚な態度。
一方で一挙手一投足の所作がまるで計算されたかのように男の劣情を誘う。そしてそこから繰り出される極上の性技。特に狭さとおおらかさというさながら矛盾を両立した膣肉はもう堪らない。締めつけられ受け入れられると、蕩けるような蜜に包まれてたちまちのうちに私は精を放ってしまう。
童女への膣中出しという、社会的に見て絶対に許されない暴挙。だがそんな罪の意識に苛まれる私を、ティーは慈母のような笑顔を浮かべて優しく抱きしめてくれるのだ。
彼女は天使だ。小悪魔であり、私の女神だ。
私が彼女に骨抜きにされるのは天命が決めた摂理であり、彼女のためなら私は全てを投げ打って頭を垂れるであろう。むしろ彼女の素晴らしさを理解しない愚か者がもしいるとするならば、私はたとえ許されざる手段をもってしてでも、わたしは

〜研究員による中間報告書〜
私はいったい正式な書類になんてことを書いていたのだ。こんなものを学会に提出できるわけがない。
兎に角――とにかく、実験の経過は順調だ。ティーは目を見張る速度でその学力を向上させている。それはもう危機感を覚えるほどに。学習に対する意欲も上々だ。
しかし、苛烈なスケジュールにこのままでは筆者の身が保たない。とはいえ誰かに代わってもらったり手伝ってもらうわけにもいかない。
妙案が必要だ。筆者の身の安全を確保しつつ、それでいて不自然さを気取られないような、なにか妙案が・・・・・・。

水の月 五日
きょう朝の挨拶の後、マスターがこれからはわたしとセックスしないと告げてきた。
わたしはがつんと頭を殴られたような衝撃を感じた。当然そんなのは嫌だ、認められないとすぐに思った。しかし、マスターはわたしにこう言ったのだ。
「現在のきみの知能は私がかつて予想したものより・・・・・・、想定していたものより、遥かに高い。私はきみを誇りに思っている。正直な話をすれば、始めのうち私はきみを実験動物と同じくらいにしか考えていなかった。許してほしい。
しかし、今は違う。きみは高度な知性を持つだけでなく、優れた精神を兼ね備えた立派ないち人格者だ。このまま実験のデータだけを取ってそれで終わらせるには、あまりにも惜しい。
有り体に言えば、きみを社交界にデビューさせたいのだ。きみにはその資格がある。才能を持つ者は、それを社会に還元しなければならない。きみにも教えたね? それが『人間の義務』というものだ。
しかしそのためには、きみに人間社会で暮らす術を教えなければならない。きみは淑女にならなければならない。ただ頭が良いだけでは生きていけない。常識と規範が無ければならない。これまでの勉強と同じくらい――いや、それ以上に大切なことだ。
勿論きみならば成し遂げられると信じている。何故ならばきみこそは私が見初めた、最も大切で優秀な教え子なのだから。ティットトット、きみには期待している。きみは良い子だから、きっとわたしの言うことを聞いてくれるね?」
わたしはいたく感激した。
マスターがわたしのことをそこまで大事に想ってくれていたこと、そしてわたしの将来を考えてくれていたことに、感極まって涙を流してしまっていた。是非も無い、どうかわたしを一人前のレディにしてくださいと、間髪入れずにわたしは答えた。
そしてマスターは、わたしに『淑女』なるものが如何なる事か教えてくれた。
わたしは知らなかった。模範的な人間の女性とは、軽々しく男性と性交などしないということを。人間社会において色欲に負け淫奔に耽る者たちは唾棄すべき対象であり、落伍者の烙印を押されるのだと。
ショックだった。わたしはまだまだ知らないことばかりだ。少し知恵をつけたからといって、まるで世界をわかった風だった昨日までのわたしが恥ずかしい。わたしのしてきたことが、淑女をわたしに望むマスターの意に反することであったなどと。
正直なところあれほどの幸福をあえて忌避する必要などあるのかと、疑問を挟む余地はある。果たしてわたしに堪え忍べるのだろうかと。
しかし、マスターはわたしに期待していると言ってくれた。これほど嬉しいことはない。『良い子』でいることは『レディ』になることだ。わたしは一意専心、マスターに報いるためますます頑張ろうという気になるのだった。

〜研究員による中間報告書〜
ティーを巧みに言いくるめ、今後一切の性行為を禁ずることを約束させた。
彼女は愚直なまでに純真で、筆者が口から出任せを発しているなどとは夢にも思わない。これがインプとしての単純な思考のせいか、はたまた彼女が特別そうなのかはわからない。
ティーを騙すようで罪悪感を覚えないと言えば嘘になる。しかし、これは『緊急避難』だ。ともすれば彼女は人間を貪る魔物の眷属であり――たとえ彼女が善良であろうと――その獣性を回避するための仕方のない措置なのだ。
それに彼女に言ったことが一から全まで繰り言であるとまでは言わない。ティーの知能の成長は間違いなく目覚ましいものだし、それを引き出せたことに筆者は誇りを抱いている。このままいけばティーは、並みの人間を軽々と凌駕する才覚を遠くないうちに発揮するだろう。そうすれば学会における筆者の鼻も高いというものだ。
必ずや彼女を最高の知的作品に仕立て上げてみせると、私は息巻いている。

水の月 八日
今日は平面上の曲線における媒介変数表示と極座標に関して勉強した。
マスターの教え方もありすんなりと頭に入ったが、一月前のわたしが聞いたらきっと「脳味噌が飛び散りそうだ」と音を上げたに違いないとふと思った。わたしも多少は成長したものだと、しみじみと感慨に耽った。

水の月 十一日
今日は珍しく夜間の授業だった。
雨上がりの済んだ夜空だったので、天体望遠鏡を持ち出して星の授業と相成った。わたしはレンズを覗きこみながらこの季節の主な星座や方角の割り出し方、星の等級やそこから我々の今いる地点との距離の計算の手段などを教わった。
満天の星空の下マスターと野原にふたりきりだったわたしは、ロマンチックな気分にならなかったと言えば嘘になる。だがわたしはどうにかしてマスターと繋がり合いたいという本能的欲求に打ち勝った。
マスターもきっと我慢している。わたしを立派にするために、マスターも堪え忍んでいるのだ。わたしの我が侭のために、マスターの努力を無下にすることは出来ない。

水の月 十四日
今日は淑女の嗜みのため、テーブルマナーを習った。
これは今までやったどんな勉強よりも難儀した。ナイフとフォークの扱いに苦闘し、畏まった独特の空気がどうしてもわたしの性に合わなかった。スプーンの持ち方ひとつから「そんなことでは人間の子供にも鼻で笑われるぞ」というマスターの言葉が、強く心に刺さった。
だがこれは必要なことだ。わたしを社交界でデビューさせるためにも、マスターは心を鬼にしてわたしに指導してくれているのだ。これはそのために大事なことだと、わたしは何度も自分に言い聞かせた。

水の月 十八日
今日は特殊な精霊術の使用における魔素の四重結合について勉強した。
やはり魔術は良い。必ずしも机上でこねるものとは違い、実践的でわたしの得意分野だ。練習場で木の的に次々と魔力の弾を命中させるのは、最近運動不足のわたしにとって良い気晴らしとなる。
だが問題もある。魔力はインプにとり活動源であるからして、それを消耗するとわたしは酷い飢餓感に襲われるのだ。これを訴えると、マスターはわたしに大量のチョコレートをくれた。
しかし、それでは足りないのだ。文字通り喉から手が出そうな気分だ。もっと直接的な、精を固形化したような・・・・・・、わたしにとってこの上ない食糧。
あの味を思い出しただけで、わたしの口腔は刺激され唾液を分泌する。ごくり、と生唾を飲みこむ。ああ、マスター・・・・・・。マスターの精液さえ飲めれば、わたしは――――
いけない、我慢しなければ。
わたしは秘所に自然と伸びかけていた指を、決死の思いで押しとどめる。一時の堕落は簡単だ。だが転がり始めればもう止まれないと、わたしの本能がそう悟っている。
ここが辛抱のしどきだ。わたしはレディになるのだ。それがマスターがわたしに求めていることだ。わたしは貞淑なレディにならなければいけないのだ。
・・・・・・本当に? 本当にそれは、わたしの義務なのだろうか? こんな下腹が狂おしい思いをしてまで、わたしは尽くさねばならないのだろうか。
・・・・・・違う、疑ってはいけない。
マスターは絶対だ。マスターの言うことに真贋をつけるなど、わたしのしていいことではない。こんな疑念を抱くなど、間違いなくわたしは気弱になっている。
このままではいけない。どうにか・・・・・・、どうにかしないと・・・・・・。ああ、マスター、マスターさえ抱ければ、わたしは無敵に、違う、そうじゃない、マスター、たすけて、マスター・・・・・・――

水の月 二十二日
今日は久しぶりに、マスターに叱責された。
わたしが授業に集中していないというのだ。とんでもない、わたしはマスターを食い入るように見つめながらそう言った。
日に日にマスターの精の匂いが濃く感じるようになっている。くう、くう、と腹の虫が鳴いている。別のものをどれだけ食べても、満たされない。
くちゃくちゃ、とまるで頭の中をかき混ぜるような水音が響く。何かと思っていると、わたしの股間から湧き水のように漏れる蜜のせいだった。止められない。マスターのことを脳裏に浮かべるだけで、わたしはたやすくしとどに濡れてしまう。
わたしは自室の学習机に突っ伏する。今日取ったノートを復習のため開く。そこにはミミズが這うようなたどたどしい鉛筆で、小さく「おちんぽ」と書いてあった。なんてことだ。これでは勉強に身が入らないのも当然だ。
わたしは蒸気のように熱い息を吐きながら、火照った身体を慰める術も知らず悶々とした眠りに就くことしか出来なかった。

水の月 二十五日
ああ、なんてことだ。なんということだろう。わたしは見てしまった。見たくて見たわけじゃあない。しかたなかった、不可抗力だったのだ。
授業が終わってわたしは相変わらず治まらない生殺しのような飢餓感に襲われながら、断続的な浅い眠りにまどろんでいた。だから深夜わたしは、ふいに尿意を感じお手水へ向かった。
その帰り、マスターの部屋のドアから少しだけ明かりが漏れているのに気付いてしまった。それだけだ、それだけだったんだ。ほぼ無意識のうちにわたしは隙間から中を覗きこんでいた。衝撃を受けた。
マスターがベッドに腰かけて自慰に耽っていたのだ。
声までは聞き取れなかった。わかったのははあ、はあ、という荒い息遣いだけだ。過敏になりすぎた嗅覚が、室内から精臭だけでなく強いアルコールの香りを感じ取った。
わたしは強い怒りを覚えた。わたしが苦痛を忍んでいるというのに、マスターはお酒を飲んでオナニーを楽しんでいる! 裏切られた――それが罪深い思考とわかっていても、わたしはそう思わずにはいられなかった。
歯噛みするわたしを尻目に、マスターの鈴口から精液が飛び出した。室内に青臭いあの堪らない匂いが充満する。わたしの求めて止まない、あのザーメンが・・・・・・。
その途端、わたしは飛び退いた。わたしは怖かった。わたしがわたしでなくなってしまいそうだった。せっかく理性と信頼で塗り繕った、マスターの求める知的なわたしを失ってしまうのが恐ろしかった。
わたしは脱兎の如く自室に引き返し、ベッドに潜り頭からタオルケットをかぶった。しかし、一度嗅いだあの獣臭はもう消えない。まるで孵りたての雛へ刷りこむように、脳髄で何度も何度もあの甘美が反芻される。
正気を失いそうな疼きに苛まれながら、わたしは揺れ続ける天秤のように部屋の中を行ったり来たりした。わたしがようやっと眠りに落ちたのは、窓の外で小鳥たちが合唱を始めてからだった。

水の月 二十七日
渇いている。飢えている。萎びたように、わたしは求め訴えている。取り返しのつかない、毒きのこ。蛇の帽子の老婆が差し出す、毒りんご。
わたしは壊れてなどいない。錯乱なんかしていない。わたしは正常だ。なんにもおかしなところなんてない。驟雨。お外の雷の音が怖い。わくわくする。晴れ間がさした。お空が紫色に輝いている。

水の月 二十八日
欲しい、欲しい精液が。なんで、何で我慢しなきゃいけないの? どうしてマスターはわたしを虐めるの? こんなに好きなのに、マスターはわたしがきらいなの? そんなの許さない。マスターがわたしをきらうなんてゆるさない。

水のつき 二十九にち
おなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいた

水の月 三十日
なんて晴れやかな一日だろう。心の靄の一切が消え、まるで生まれ変わったかのように爽やかな気分だ。
ようやくわたしはマスターの精液にありつけた。
あれほど念を押し禁止にしていたくせに、わたしがしなだれかかり懇願するとマスターは拍子抜けするほど呆気なくおちんぽを取り出してわたしの前に差し出した。むわっ、とわたしの鼻腔をくすぐるのは悠久かと思うほど永い間おあずけされていた、あの精臭。男の人の――むせかえるようなマスターの、あの匂い。
わたしは狂喜した。言葉を失った獣のようにむしゃぶりついた。思考など必要なかった。思い浮かべる前にわたしの舌が勝手に動いた。我慢の限界でおしゃぶり汁にまみれた柔らかい舌先が、硬いマスターの弱い部位を執拗に舐め上げる。
じゅっぽ、じゅっぽと卑猥な水音を立てながら、顎が痛むのも忘れてかちかちのマスターの分身を大口を開けて何度も咥えこむ。ちゅうちゅう、と亀頭に吸いつくたび先走りのカウパーがこんこんと泉のように湧き出てくる。
甘い、甘すぎる。どうしてこんな美味しいものを遠ざけていたんだろう。理解できない、もう何を言われても絶対に我慢なんてしない。節制なんてしない。もっと、もっと欲しい。もっとマスターを貪りたい。
マスターの腰に手を回して確実にわたしから逃げられないようにする。マスターは歯を食いしばって快楽をこらえようとするが、そんなのは許さない。裏筋に粘着質にゆっっっくりと舌を這わすと、歯の根が合わなくなり緩みきったマスターの口元からだらしない嬌声が漏れる。
もっと、もっと聞かせてください。それがますますわたしの下腹の疼きを強くする。おまんこからきゅんきゅんねばっこい蜜が止まらなくなる。
たちまちのうちにマスターが雄叫びをあげ絶頂した。わたしのぬるぬるのお口まんこに、熱湯のようなぷりぷりのザーメンがものすごい勢いで注ぎこまれる。わたしは息の吸い方も忘れたかのように、一心に次々と溢れ出るそれを飲み下した。零してしまうのがとにかく勿体なかった。
精液を飲むだけでイってしまった。脳の芯が痺れるような幸福だった。わたしは全身をわななかせ、うっとりとした表情で神が作りたもうた極上の美酒を舌の上で転がし堪能した。味覚は時としてヒトを殺しかねないとすら思った。
一分を越える射精が止まった。わたしは熱い吐息をつきながら、たぽんたぽんと胃をお腹の上から撫でる。ここにマスターのぴちぴちの子種が詰まっているかと思うと、それだけで達しそうだった。
ザーメンでお腹いっぱいでげっぷが出そうになった。はしたないな、とわたしは思った。だけどすぐに、もう清楚である必要はないんだと思い直した。レディなんて、ちゃんちゃらおかしい。この贅沢を味わってしまえば、もう元には戻れない。
当然わたしはまだ満足なぞしていない。だらだらとわたしの秘所からマスターを求めて止まない愛液が小水のように流れ落ちる。腰砕けになって崩れ落ちたマスターをまっすぐに見る。マスターの目は、震える小動物のように怯えていた。
「可愛そうに・・・・・・」二重の意味で、そう呟いた。「おまんこに挿入れたくて、こんなになっちゃったんですね」
ちがう、とマスターは叫んだ。わたしはキスして口を塞いだ。もう喋らなくていいから。言い訳なんてしなくていいから。一切の躊躇もなくまだ硬さを損なわない大きな大きな男根を、張り裂けんばかりに小さなわたしのおまんこ穴に突き入れた。
串刺しにされたような快楽がわたしに襲いかかる。人間でこのサイズ差なら間違いなく肉が破れ結合部からは血が滲むであろう。しかし幸いなるかな魔物たるわたしの肉壺は、暴力的なまでのその抽送を貪欲に愉しんだ。むしろ痛みこそを悦んだ。
わたしは我を忘れて腰を振った。騎乗位のままゴム鞠のようにマスターの上で跳ねた。何かを考える余裕などなく、しかし本能が全てを覚えていた。身体が全てを培っていた。男性の悦ばしかた。そして自分が、如何に気持ちよくなるか。
前触れもなくマスターが呆気なく射精した。枯れ葉に水を注ぐように、またたく間に膣肉がそれを吸収する。腰は止まらない。止められようはずもなく、吐精中のマスターのペニスをなおもみっちりと激しく扱きあげる。
悲鳴のようにマスターがやめて、と叫んだ。聞かない。言葉など意味を持たない。射精が終わるやいなや、もう一度射精が始まった。そしてまた責める。マスターの絶叫が、次第に言語として機能しなくなっていく。
わたしはマスターの睾丸を揉みしだく。増産した先から精液を奪われ、自転車操業のようになったそれをつつつ、と愛おしく慰めてあげる。そうするとまた、マスターは全身を震わせて絶頂に陥る。
日付が変更する頃になってようやく、マスターの勢いに衰えが見え始めた。空イキを六回ほどさせた辺りで、これ以上は難しいとわたしは判断した。わたしとしてはまだまだ名残惜しかったが、マスターに呼びかけても白痴のような受け答えしかできなくなってきたからだ。
唯一「続きは・・・・・・、また明日ですね」と耳元で囁いたときだけ、マスターははっきりとした反応を見せた。

風の月 一日
ぐっすり一晩眠ったこともあってすわ愛の営みの続きをと思ったのだが、意外とマスターの回復ははかばかしくなかった。せいぜい半勃ちといったところで、このまま及んだところでわたしもマスターもいまいち楽しめない。
そこでわたしは一計を講じた。わたしが用いたのは魔方陣、儀式の準備だ。マスターがわたしを呼び寄せたときに使った、あの記念すべき召喚術である。もはやマスターが可能な魔術でわたしに出来ないものなど、一つとしてなかった。
果たして術式は起動した。
異界の門から現れたのは、夥しい数の毒々しい触手。ぬらぬらと粘液にぬめったそれは、発情したわたしの魔力に当てられて殺到するようにマスターを雁字搦めに縛りあげる。宙吊りにされ恐慌を浮かべるマスターの表情が、どうしようもなくわたしの嗜虐心を刺激する。
指一本動かせなくなったところで、触手の群れでも特に太い一本が鎌首をもたげるように狙いを定める。照準の先には――剥き出しになったマスターの菊門。
「うそだ、うそだ・・・・・・」とマスターは呟いた。だが悲しいかな逃避するマスターの現実を、剛槍としか表現できない猛々しい肉の塊が貫いた。マスターは始め潰れた蛙のような、吐き気をこらえるような声を出した。快楽とは程遠い、拷問そのものの一撃。
だが幸いなことに――言い換えれば、残念ながら――触手の森から取り寄せたそれがそのまま終わるはずもない。粘膜から染み出るてらてらとした体液は、揮発した空気を吸いこんだだけのわたしですら愛液が止めどなく溢れるほどの強烈な媚薬だ。それを直腸から絶え間なく吸収した、たかが人間であるマスターの身体が一体どうなるか、想像してみただけでもそら恐ろしい。
マスターはまるで狂人のような叫び声をあげた。教え子に束縛されているという屈辱、あまつさえ男の腔虐という常識を逸脱した行為。それで感じる方がどうかしている。いっぱしのプライドがあれば、我慢できないだろう。
しかしさながら浣腸液のように強制的に注がれ続ける劇毒は、マスターに甘い甘い悦楽をもたらす。いきなり渡された爆弾を手放すことも出来ず、マスターはただ恐れ戦くことしかできない。
「知らないィ、こんなのしらないぃ♡」マスターが喘いだ。その瞬間の――、ああ、その瞬間のわたしのなんたる恍惚としたことか。
マスターに物事を教えてもらってばかりだったわたしが、遂にマスターに何かを教えられるまで成長した・・・・・・! ようやく恩返しが出来たのですねと、わたしは感動でこの身を打ち振るわせた。そして、その震えはわたしが操る触手たちにも伝播する。
ごっちゅ、ごっちゅとえげつない音を立てて、触手がピストンを再開した。媚毒はますます分泌され、結合部から泡になって床に激しい水溜まりを作った。縛りあげられたマスターはもちろん抵抗することなど出来ない。だが客観的に評価すると、そのアヌスは美味しそうに肉槍を咥えこんでいるようにしか見えなかった。
マスターの身体がぶるぶると震えた。たちまちのうちに、鈴口から白濁が噴水のように噴き出した。おちんちんには一度たりとて触れてすらいないのに。肛門を責められるだけで、情けなくもマスターは射精してしまった。
ああ勿体ない、とわたしはすぐさまむしゃぶりついた。少し無駄にしてしまったが本日の一番搾りを、じっくりと舌を這わせ丹念に味わい尽くす。ペニスとアヌスの二点攻めにマスターは、ますます全身を蕩けさせる。
当然一度や二度で済ますつもりはない。わたしは触手を操作して、今度はマスターの反応を見ながら何処が『効く』のか実験を開始した。その結果、ちょうど膀胱の真下の部位をぐぐーっと押してやると非常に効果が出ることが判明した。たちまちのうちにマスターは剛直を取り戻した。
わたしが説明を求めると、マスターは白目を剥きかねない快楽に襲われながらそれでも講義を始めた。弱点をさらけ出した。曰くそこは前立腺という独立した器官で、男性はそこを刺激されるとたまらないのだという。わたしはまた賢くなってしまった。ここへ来てなお、わたしはマスターに教わってばかりだ。
授業のお礼にわたしはマスターのおちんちんをおまんこに挿入れてあげることにした。お礼・・・・・・、いや、ご褒美? なんでもいい、とりあえずセックスした。
触手の愛撫でぎんぎんになったマスターとの交合はまた格別だった。語弊なくマスターを犯している気分を味わうことができて、マスターだけでなくわたしも大層昂奮した。呼吸で取り入れた媚薬のせいだけでは、多分なかった。
精液もたらふく搾り取ることができた。前立腺責めにより精嚢が刺激され、生産された精液はすぐさま尿道を経由してわたしの子宮に注がれる。なくなったら触手を蠕動させまた強制的に作り出させて、また射精させ、そしてまた・・・・・・――――
そんなこんなを繰り返しているうち、気がついたら外はとっぷり日が暮れていた。本当に、楽しいことは時間が経つのが早いなと思った。
途中、マスターがふいにしゃくりあげた。情けなさと気持ち良さで頭がばかになって、目の前の現実の重さを受け止めきれなくなったみたいだった。
わたしはかわいそうにと思った。子宮がきゅんと疼いた。わたしは激しい庇護欲を覚えた。泣きじゃくるマスターの顔をわたしは自分の薄い胸板にうずめてあげた。子供をあやすようによしよし、と優しく撫でてあげた。
この世のあらゆる理不尽からこの人を守ってあげねばならない――そう思った。
それにしても疑問に思うことがある。
触手を召喚したときのことだ。お尻を狙う触手に危機感を覚えたマスターは、最初それはもう聞く耳持たぬ勢いで激しく暴れた。なのにわたしが「大人しくしててくださいね」と口にした途端、驚くほど従順に抵抗をやめた。金縛りにでもあったみたいに。
考えてみれば昨日もそうだ。あれほどわたしとの性交を忌避していたマスターが、上目遣いでおねだりしただけでいとも軽々と口約を破棄してしまった。あのときは飢餓状態で気にも止めていなかったが、今から思うとあの変遷はいささか不自然だ。
これは、もしや――――?
いや、結論は尚早だ。ここに記すのなら、はっきりとした確証を得てからの方がいいだろう。幸い試す時間なら、いくらでもある。
ああ・・・・・・、明日はどんなことをしてマスターと遊ぼうかな。

風の月 二日
やはりわたしの推論は正しかった。間違いない、マスターはわたしに逆らうことが出来ない。
今日おこなったのはマスターのおちんちんを、わたしの足の裏で思い切り踏みつけるというプレイだった。嫌だと絶叫しながら、磔のように床に這いつくばるマスターの姿は絶景だった。
今更になってわかったがマスターの言葉は嘘だらけだ。だって口では激しく拒絶したくせに、いざわたしが剛直を土踏まずでなぞりあげてやるだけであんなに蕩けただらしない顔をする。眺めるわたしが達してしまいそうな、反則に可愛らしい表情だ。
「信じられません」「こんな、踏まれるのが気持ちいいんですか」「恥ずかしくないんですか?」「おまんこじゃないですよ、何処で感じてるかわかってます?」「こんな変態、見たことありません」
わたしはぞくぞくと鳥肌を立たせながら、冷や水を浴びせるようにマスターを次々と罵った。幻滅する、軽蔑する、と。
しかし雑言を浴びせられれば浴びせられるほど――『感じてはいけない』と自認するほど、マスターの肉棒は矜持と裏腹にびきびきとその身を硬くする。違うとうわごとを呟くたびに、歓喜のよだれが口の端と鈴口から垂れ落ちる。
年嵩を経て角質ばったものでない、瑞々しいぷにぷにのロリかかとが襲いかかる。乱暴でいて、それでいて巧みに睾丸に痛みは与えない。ぐつぐつと欲望を煮込み、気化した獣性が蒸気となってことこと鍋蓋を揺らすほど蒸し上げる。
限界は――すぐ訪れた。
ぴゅう、ぴゅうとふざけた噴水みたいに、マスターの白濁がわたしの素足を染めあげていく。むわり、と熱の籠もった青臭い芳香が教室内に充満する。
マスターが眉尻を下げてほうと満たされた息を吐いた。射精時の、無邪気な少年のようなこの表情がわたしは好きだ。愛おしいと思う――その後の、自分がしでかしたことに絶望していく変化までも含めて。
「あららら・・・・・・、汚れちゃいましたね。これは参りました・・・・・・」ちっとも困ってない口調で、わたしはマスターを見下ろす。次にわたしが何を言うのか――察したマスターが、だだっ子のように涙目で首を振る。
「舐めて――――?」
けどわたしが『ねだる』と、マスターは物言わぬ忠犬が如く黙々とわたしのおみ足に舌を這わせた。屈辱極まりない命令を、自分の汚濁を啜り取るという奇行を、わたしが上目遣いに猫撫で声しただけでマスターは嬉々として聞き入れた。
わたしの足の指の間まで丹念に舐めしゃぶるマスターの舌の感触と達成感に、椅子に腰かけたままでわたしは絶頂した。
わたしは今、かつてないほどに満たされている。
最早わたしを止められる者は存在しない。わたしに知識を授けてくれた――そして知識の使い方を授けるはずだったマスターは、もうわたしに抗えない。どんな要求でも受け入れてくれる。望めば何だって手に入る。
けど、わたしはマスターが欲しがっていた名声や権威なんて要らない。富や地位に価値を見出せない。マスターがいればいい。マスターの身と、心と、魂――マスターの全てを保有できれば、それでいい。マスター以外の全ては、要らない。
この日きももう必ようない。こんなものを書くのに時間を取られるくらいなら、もっとマスターと一しょに過ごしていたい。次にマスターでためすプレイのアイデアの数かずが、ゆ水のようにはいて出てくる。
マスターの声がする。きっとさみしくて泣いている。わたしがそばにいないと、マスターはだ目なんだ。待ってててね、これ切り上げて、すぐイくからね。
わたしと一緒に――永遠にあそぼうね?

〜研究員による中間報告書〜
私はいま、クローゼットに籠もってこれを書いている。私には最早プライベートはなく、プライバシーは許されず、なけなしのプライドは彼女に奪われた。
実験は失敗した。『あれ』は我々の手に負えるものではなかった。私はうちのめされ、彼女の玩具にしていただいた。忌々しくも、許されざることに。
始めに記した通り、本実験は万一の場合の市井への影響を鑑みて人里離れた山奥にて行われている。つまり救助を要請しようにも、定時連絡でもあるこの報告書が届かぬ限りは本部も事態の重さを知る由もないのだ。
仮に音信不通となって、不審を感じた本部が使者をよこしてくれるまで――あと何日かかることか・・・・・・。何週間かもしれない・・・・・・。一体それまでに、私は何度彼女に射精させられれば済むのだ。想像しただけで気が狂いそうになる。
『あれ』は普通じゃない。魔物なんだから当たり前だが。あのふざけた毒々しい笑みに、年長者を小馬鹿にしくさった態度。こっちがどんなに無茶と忠言しても、子供だから聞きやしない。絞れば絞るだけ出ると思っていやがる。ふざけんな。
けど射精した後は、いつも優しく頭を撫でてくれる。「偉いね」って褒めてくれる。ふわふわのくちびるでキスしてくれる。そうするとまた私は硬くなって、しとどに濡れたティーのおま、ん
うあ、ああああああああああああああああああ!!
しっかりしろ! 気を確かに持て! 確かに彼女の肉体は最高だ、それは認めよう。人間を堕落させる――いや、堕落させざるをえない危険な代物だ。だがあいつは、ティー様は酷いやつだ。
あの小悪魔は私に、私の宝物である学術書たちを暖炉に放りこんで火を点けろと言ったんだ! 曰くもう二度と、私が『べんきょう』などにのめり込まないために。当然私は拒絶した。何を馬鹿な、そんな無体な――と。
けど・・・・・・、だけど・・・・・・。
だって! 仕方ないじゃないか! 逡巡する私に、ティーは耳打ちしたんだ。あの底抜けの、底が知れないほど危険な甘い囁きを。
「言うことを、聞いてくれたらぁ・・・・・・♪」
おもむろにティーが下着を脱ぎだした。緩慢に、かといって目を離せるほどに遅々とではなく。雄の視線をどうすれば釘付けに出来るか、いかに一挙手で欲情を煽れるか全てを把握した、妖艶としか呼称しえない所作。
「このマスター専用の、きっつきつのおちんぽ穴にぃ・・・・・・」
ティーの細いしなやかな指が、薄桃色の美しい乳首へと伸びる。ぴっちりと閉まった秘所の線を焦らすようになぞった。あれだけ犯されても緩むことなくさながら処女のように閉じた其処に、やはり人間ではないんだと今更ながらに畏怖を新たにする。魅入られる。食い入るように、見入ってしまう。
くすり、と少し照れたような微笑を浮かべて、ティーが人差し指と中指で秘所を押し広げた。するとそこからはまるでもぎたての、新鮮な青果から漏れ出る瑞々しい果汁のような滴りが股ぐらをつつつ、と伝い落ちた。ごくり――と音がした。生唾を飲みこんだのに気付いた。
そして――――
「ずっぶぅぅぅぅ♡ って思う存分ハメさせてあげるのに♪」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・
気がついたときには、私の眼前には部屋を飛び交う無数の煤しかなかった。
私は慟哭した。私は悔しかった。学問の輩でありながら目先の欲望に負けた浅薄さを、この実験に参加してしまった過去の私の浅慮さを、そして永劫逃れられないであろう私の未来に悲嘆した。
だが噎び泣く私に、差し伸べられた救いの手がある。ティーだ。暖かいティーの腕が、落胆する私を抱き寄せてしゃくりあげる涙を拭ってくれた。
「大丈夫ですよ、マスター」ああ・・・・・・、私にはティーがいてくれると、焼け焦げた紙片舞う暖炉の前で悟った。否、私には――ティーしかいないと。
一糸纏わぬ裸身の女神を前に、全てを失った私は言葉もなく彼女を押し倒しそして、そして・・・・・・――――
兎に角、ティーは危険だ。
彼女はヒトを駄目にする。彼女の存在を、ひいてはおそらく彼女だけでなく変質したはずの魔物たちの脅威を、私は世に知らしめねばならない。そうだ、それこそが私に残された、最後の使命だ。
なのに私は何をぐだぐだと艶事を報告書にしたためているのだ。一刻も早く本部にこの危機を告げねばならないというのに。
これを書くのにだって、大いに危険を冒している。どうしても用が足したいからと、無理を言ってティーから離れたのだ。ティーはほんの3分でも私と別々になるのを嫌う。もし虚言を弄してこんな事をしているのがばれたら、何をされるか。
まずい――、ティーが私を探し始めた。ここかな、ここかな、と戸を開けながら遠い声がする。隠れんぼのつもりらしい。
いけない、早くこれを書き上げなければ。ティーにとってこの家で私を追いかけることなど、きっと藁束からまち針どころか大根を見つけ出すくらい簡単だろう。事実どんどん近くなるティーの声は、鼠を追い立てることを覚えた猫のように弾んでいる。
ああ、いそが、急がないと。手が、指が、ふるえ る。字が文字が、うま く書けない。ばれちゃ、ばれたらき っと酷い、オシオキが・・・・・・。お しお、き――想像し ただけで  、あ、あああ・・・・・・♪
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          『ますたぁ♡ あ・そ・び・ま・しょ・う♪』



土のつき 二十八にち
そういえばこんな日きもあったなあと、わたしは久びさに思い出しました。まい日マスターとまじわるのに「ぼうさつ」されて、さい近まですっかり忘れていてしまいました。わたしの日じょうはとってもじゅう実しています。
けど今日はいつもとちがうおも白いことがあったので、書きます。
今日もわたしはきのうと同じく、マスターとセックスして遊んでいました。今日わたしたちは『逆お馬さんごっこ』で遊んでいました。
それはマスターがまず床にあお向けになってねて、その上にわたしがまたがっておちんぽをおまんこに入れます。その状たいでマスターがお馬さんになっておうちの中を一周できたらマスターのかちです。
マスターがかてたら何でもひとつ言うことをきいてあげます。でもと中でマスターがセーエキ出しちゃったら、わたしのかちでオシオキです。きょうも、マスターはスタートの玄かんから一歩もうごけずにびゅくびゅくセーエキをもらしてしまいました。わたしがやさしくおちんぽをチツのお肉できゅっと包むと、マスターはいつも負けてしまいます。
マスターのなさけないかおを見ながらわたしがうっとりしていると、その時です。「これはどういうことなの!?」と大きな悲めいがして、わたしは背ごをふりかえりました。
すると玄かんのドアがあいていて、いつのまにか女のヒトがふるえながらそこには立っていました。それはわたしの知らないヒトでしたが、メガネをかけていて白いふくを着ていました。丁どはじめて会ったときのマスターと同じかっ好でした。
その女のヒトは早口で何ごとかまくしたてていました。けど内ようはむつかしくてわたしにはよく分かりませんでした。キョウジュとか、ヒケンタイとか、バックアップとか、キンキュウジタイとか言ってました。わたしがだまって首をかしげてばかりいると、そのヒトはますます顔を青くしました。
すると、マスターがかすれたうめき声をあげました。どうやらそのヒトと知り合いらしいのです。その女のヒトと何かしら会わしたがっているみたいでした。
でも――――、ダメです。
マスターはゲームに負けてオシオキされなければいけません。わたしのきょ可なしに他の人とおしゃべりなんてできないのです。
わたしはマスターのお尻の穴にシッポをいきなり突きさしました。マスターがまるでブタさんみたいなおどろいた声をあげます。けどすぐに、苦しそうなあえぎは愛くるしいワンちゃんみたいなあらい息づかいに変わっていきます。きん張していたマスターの目じりが、とろんと幸せそうに下がっていきます。
知らないヒトの見ている前で、マスターはあっ気なくシャセイしました。第三しゃに観さつされて、心なしかわたしもコウフンします。いつもよりぽかぽかするわたしの子宮が、マスターの甘いザーメンで満たされていきます。
さっきまでまっ青だった女のヒトが、今どは飛びのいてかおを赤くして叫び出しました。フシダラとか、ゲレツとか、セイトウサクシャとかたしか言っていました。わたしは言葉のい味はよくわかりませんでした。でも、その単ごたちがマスターを傷つけるたぐいであることは何となくわかりました。
わたしはかちんと来ました。「マスターをばかにしないで!」と怒りました。わたしはツバサを広げると、女のヒトに襲いかかりました。床に組みふせ、服をやぶりすて、爪でその肌をひっかきました。
するとどうでしょう、血は出ない代わりに女のヒトは「んひぃぃッ♪」と鼻にかかった悲めいをあげたではありませんか。不思ぎに思って次は首すじにかみつくと、またも女のヒトは痛がるどころかなやましげにカラダをくねくねとさせます。
わたしは彼女がいじめられると――特にわたしに魔力をそそがれると、気持ちよくなってしまうのだと理かいしました。やめて、やめてとうわごとのように呟くくちびるを、てらてらと魔力がしたたるシッポを押しこめて栓をします。おまんこからはとろとろとはしたないお汁があふれ出し、薄紅色のクリトリスがいたいたしいほどにハレてふくらんでいました。
「このお豆さんに直せつ魔力うちこんだら、どうなっちゃうのかな・・・・・・♪」イタズラっぽく耳打ちすると、口をふさがれた彼女は絶ぼうのまなざしでわたしを見つめます。それをながめていると、わたしは背すじにえもいえぬぞくぞくという感かくが走りました。目の前のごちそうにわたしの口角は知らぬまにつりあがり、そして・・・・・・――
小一時間もすると、そこにはどこに送り出してもはずかしくない立ぱな淫魔ができあがっていました。焦らしに焦らされてすっかり魔力が枯かつした彼女は、上からも下からもだらだらとよだれをたらしながら「精が・・・・・・、精が欲しいよう・・・・・・」と男のヒトならそれだけでがちがちになってしまいそうなほどに切なそうでした。
セーエキが飲みたくても飲めないつらさは、わたしにもよくわかります。わたしは彼女がひどくかわいそうに思えました。手のかかる妹ができたみたいでした。
でも、だからといってマスターはわたせません。マスターはわたしだけのものです。いくらかわいい妹でも、マスターのセーエキを飲んでいいのはわたしだけです。
ばさり、と彼女がツバサを広げました。わたしよりもカラダが大きいので、そのツバサもわたしとはかなり差があります。
「もう我慢できないぃぃぃッ! 男、オトコ♪ 可愛いショタっ子の、穢れを知らない無知おちんぽからあまぁぁいスペルマ思う存分こくごきゅ飲み干したいのぉぉぉッ♪ うはぁぁっ♡ ・・・・・・・・・・・・あ、あと貴方、こんな身体にしてくれてありがとう☆」
と、わたしへのお礼もそこそこにばさばさ飛び去っていきました。
「ガンバってねー・・・・・・」と、わたしも手をふりました。良いことをした後は気持ちがよかったです。きっと彼女なら二、三日も待たずふもとの街をわたしや彼女のような幸せな魔物でいっぱいにしてくれるでしょう。
むつかしいことなど考えず、大好きな男のヒトと交わり、甘えたり、時にはいじめたり、そしていつまでも支え合う。それ以外のなにかが、果たしてわたしたちに必ようでしょうか。そんなことを考えながら、久しぶりにこの日きに手をつけてみたのです。
ふいに、こんこんというノックの音がいま聞こえました。「ティー・・・・・・、ティットトット・・・・・・?」とマスターがさみしそうに、少しはずかしそうにわたしを呼んでいます。
うーん、何日もぶりに長い文しょうを書いて、やっぱり疲れました。なれないことわするモンじゃあないです。どうにもわたしは一日中マスターとつながってる方がショウに合っているみたいです。
と、いうわけでここでフデを置きます。今回こそこの日記には、もう「おやくごめん」かもしれないです。・・・・・・はいはい、そんな何度も戸を叩かなくても、わたしは逃げたりなんかしないですってば。

いま行きますよ、マスター♪
16/04/23 04:00更新 / メガカモネギ
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■作者メッセージ
俺はアルジャーノンを書いているつもりがいつの間にかマイ・フェア・レディになっちまっていた・・・・・・。
えっ、どっちも全然違う!?

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