ローパーさんと触手さん
突拍子もありませんが、私が住んでいる町の外れまでお散歩していたところ、犯されてしまいました。
相手は男性ではありません。触手です。そう、触手。女騎士やシスターなんかを快楽漬けにするあの触手です。正確にはローパーという触手を生やした魔物なのですが、私から見たら触手です。
グロテスクな見た目に、ぬらりと粘液の滴る触手。口腔へと侵入した触手に甘ったるい媚薬を飲まされ、そのあとはひたすら穴という穴を凌辱され続けました。
凶悪なイボイボが不規則に並んだ触手が出入りする度に腟壁が引っ掻かれ、意識がトびそうになるほどの快感。
大中小様々な大きさの数珠状の触手が勢いよく引き抜かれる時の、お尻がきゅんとなって内臓が丸ごと持っていかれそうになる感覚。
どれもこれも筆舌に尽くし難い快感でした。
では、何故こうも落ち着いて現状説明しているのか。
それは、1つ、満足したのか、触手もといローパーが私への凌辱を止めてどこかへ去ってしまったから。2つ、犯されてアヘ顔を晒しながら快楽の余韻に浸っていたら、私の身体から生えた触手が話し掛けてきたから、です。
度肝抜かれました。触手が生えてきたこともそうですが、何より喋ったのです。触手が。しかも結構ダンディな声で。
「何ブツブツ喋ってんだ?」
そう、こいつです。鎌首をもたげた蛇みたいに先端を曲げ、私に話し掛けてきます。私には他にも触手が数本生えていますが、こいつだけ何故か色が濃いのです。おかげで見分けるのは容易なんですけど。
「関係ないです。ほっといてください」
そんな訳(どんな訳だ)で絶賛ふて腐れ中です。まさか魔物になってしまうなんて。快楽や貞操については特に特別な考えは持ってないのでいいのですが、魔物になるのはちょっと……。
「そう邪険にするなよ。魔物の身体は素晴らしいぞ。お前の、人間でいたかった、という気持ちは分からなくはないが」
「……どうして私の考えてることが分かったんですか?」
「そりゃあ、俺はお前の身体の一部だもの。思考は全部筒抜けさ」
「見ないでください! てか、身体の一部の割に私の意志では動かせないし、あなたの考えも分からないんですけど」
「それはあれだな。まだ俺ら触手がお前の身体に定着してないから。オスの精を得れば定着して自由に動かせるようになるぞ」
オスの精……
つまり男性の精液ってことですよね。精液を搾り取るってことは……えっちぃことしないといけないんですよね。
いきなりハードル高いなぁ。私エッチなんてしたことないし、どうしていいか分からないし。さっき貞操がどうのこうのとか言ってたけど、するのとされるのとでは全然違いますからね?
「犯されるように仕向ければいいじゃねぇか」
「だから思考を読まないでください。誘い受けですか。それこそ難しいですって。私口下手ですし」
「難しく考えるんじゃねぇよ。俺が手伝ってやる。オスなんてもんはな、お前が思ってる以上に単純なモンなんだぜ」
そういうあなたもオスでしょうに、というツッコミはなしの方向で。まぁ、魔物になってしまったものはしょうがありません。
私は割り切れる女です。折角魔物になったのだから、とことん魔物ライフを堪能してやります!
「そうだその意気だ。だが、まずはオスを探さなきゃな」
「うーん、それじゃあ最初にあった男性が私のお婿さんです。運命的な出会いに身を任せます」
「ほう。だんだん考え方が魔物よりになってきたじゃねぇか」
「それほどでもありません。さぁ、行きましょう!」
意気揚々と立ち上がり、お婿さんを探すために歩みを進めます。これが魔物としての第一歩です!
「あっ…ひゃぁ」
一歩踏み出しただけで下腹部、ちょうど子宮があるあたりでしょうか? そこから何か蠢く感覚がして強烈な快感に襲われます。あまりの気持ち良さに立っていられなくなり、その場にへたり込んでしまいます。ぺたり。あれ、もしかして歩けない?
「まぁなんだ。ドンマイ」
「ドンマイ、じゃないですよぉ! これじゃお婿さんを探せないですし、家にも帰れないじゃないですか! 何なんですかこのゾワッ ってする気持ち良さは」
「それな、俺だわ。お前子宮のかなり深いところに卵を植え付けられたみたいだな。触手が定着するまではまともに動けそうにないぞ」
「そんなぁ」
どうやら神(魔物業界に神がいるかどうかは分かりませんが)は私に試練を与えになさったそうです。動けない以上、私の未来のお婿さんがここを偶然にも通らない限り、ここから一歩も動けそうにありません。
……ま、まぁ、獲物を待つ狩人、蟻が落ちるのを待つアリジゴクだと思えば、お婿さんを待つローパー、みたいな感じでカッコイイです。ポジティブに考えましょう。
「お前の中のアリジゴクはなんなんだ。格好いいのか?」
「か、カッコイイでしょう、あのアゴとか、つぶらな目とか。というか、あなたのせいなんですからね! しばらく話し掛けないで下さい。私は怒っています!」
私はしばらく怒っていましたが、その間触手は本当に何も喋らず、私のことを見つめていました。目はないけど。
――――――――――
数時間後、怒りはもうどこかへ消えました。その代わり、お腹が空きました。ついでに喉も渇きました。もう太陽が傾く時間で、そろそろ晩御飯です。
しかし、ここは食べるものもなーんもない普通の道です。原始的欲求はイライラを生み、私はそれをつい触手(厳密に言えば私の身体の一部らしい)にぶつけてしまいます。
「お腹すいたー、喉渇いたー。触手だったら何とかしてよー」
フルフル
私と会話出来る色の濃い触手は、もたげた先っぽを左右に振るだけで喋ってはくれません。身体の一部なのに、喋ってくれないとなんだか友達がいなくなったみたいで少し淋しいです。
そういえば、怒ってた時、もう話し掛けないでっていいましたっけ。……うぅ、自分で言っといて自分から頭を下げるのは癪ですが仕方ありません。私から歩み寄るしかありません。
「触手くーん、私、もう、怒ってないですよ? だから、私とお喋りしてくれたらうれしいなー」
フルフル
「……ひっぐ、ごめんなさい、うっく、私が、悪かった、ですよぉ……」
「お前、嘘泣きしてるのバレてるからな」
「あ、やっぱり? けど、バレてるバレてないはさほど問題ではありません。あなたを喋らした私の勝ちです」
「そこに勝ち負けがあるかは分からんがな。で、何だ? 腹が減ったって?」
「ついでに喉も渇きました」
「そうだな。お前の飢えは俺の飢えだ。どうにかしてみよう」
そういうと、喋らない方の触手が数本にょろにょろとどこかへ行ってしまいました。私と繋がってるので追おうと思えば追えますが。
「あの触手たちは何してるんです?」
「すぐに分かるさ。お、触手の1本が水源を見つけたぞ。ほら、口開けろ」
言われた通りに口を開けると、触手さんが口の中に侵入してきます。なんとなく分かってはいましたが。間もなくすると、先端からさらりとした液体が出て来ます。先程ローパーさんに飲まされた媚薬と違い、無味無臭で触手を通って来たせいか生暖かいですが、これは私たちが普段飲んでいるお水です。
余程喉が渇いたのか、お水が食道を通り胃に溜まるまでの流れが分かります。渇いたスポンジが水を吸い込むかのように、身体に染み渡ります。それが何だかくすぐったいようで気持ち良くて。
気付いたら触手さんは口から抜けていました。
「ありがとうございます。美味しかったです」
「ファイア!」
ありがとうの返事にしては奇妙だと思ったら、触手さんはいつの間にか集めた木の枝に火を付けていました。
「今日はここで野宿だな」
「……年頃の乙女としては断固反対したいところですが、仕方ありませんね」
「キャンプだと思えば楽しいもんさ」
「サバイバルの間違いじゃありません?」
しばらく雑談してると、残りの触手がお肉を持って戻ってきました。触手って狩りまで出来るんですね。私の見えないところで捌かれた動物に感謝しつつ頂きます。
もちろん調理器具も何もないので、先程の焚火で焼いただけのお肉でしたが、空腹のせいもあり、とても美味しく感じられました。
このあとも人は来ることなく、ちょっと早いのですが寝ることにしました。明日こそ未来のお婿さんが通ることを祈りながら。
――――――――――
ぶるり、寒さで目が覚めます。辺りは朝もやがかかり、太陽はまだその顔を半分しか覗かせていません。
もう一眠りしようと思った時、お腹の辺りに違和感が生じます。こ、これは……
尿意!
そう尿意です。そういえば昨日は一日中ここにいましたし、水もがぶ飲みしました。むしろ今の今まで尿意を感じなかったのはむしろ奇跡です。
……どうしましょう。こんな茂みも何もないところでおしっこするのは、例え誰もいなくても恥ずかしい。だけど、誰もいないからこそ、ここで用を足すことが出来る。ようは自分の羞恥心との戦いですね。
そうとなれば話は簡単。ここでしてしまいましょう。ショーツを下ろして、しゃがみます。あとはおしっこの栓を緩めれば……
「お前何やって……おっと失礼。ごゆっくり」
「ごゆっくり出来るはずないでしょお!」
光の早さでショーツ穿きましたよ。そうだった忘れてました。こいついました。しかもオス。
「ヘンタイ! ケダモノ! 乙女の放尿シーン見て面白いか、このヘンタイオス!」
「まだ出してなかったろう。しかも俺お前の一部だしメスだし」
「メスだったんですか?!」
一瞬尿意も吹っ飛びました。ハイ? メス?
「お前自分の性別言ってみろや」
「お……乙女…」
「そう、女だろ? 女の身体の一部が女じゃない道理はないだろう」
「だって、声低いし……」
「声で決めんな。格好いいハスキーボイスだろ?」
「一人称俺だし……」
「イグニスやウシオニ、ワーウルフなんかは一人称俺のやつが多いな」
「ぐぬぬ……」
何一つとして反論出来ません。あ、一瞬引っ込んだ尿意がまたやって来ました。抗い難いですが、触手さんがいる以上ここでおしっこは出来ません。
「ちなみに言うと、お前の感覚は俺にも繋がってるから、俺も尿意すげぇんだわ。見ないから、パパッとしちまえ」
「嫌です。我慢します」
「強がってたら漏らすぞ」
「漏らしません。我慢します」
「強情なやつだな。しょうがない、奥の手だ」
一瞬の隙を突いて触手が咥内へ入って来ました。そしてほんのり苦い、水でも媚薬でもない体液を飲まされました。するとどうでしょう、今までと比べものにならないほどの尿意が私を襲うではありませんか。なんてことをしてくださりやがったのでしょう。全神経を集中して我慢しないとたちまち漏れてしまいそうです。
「あ、あなた……何…を」
「利尿剤だ。今楽にさせてやる」
そう言うと触手数本が私を襲います。ご丁寧にショーツを脱がされ、両足が閉じないように固定されます。いわゆるM字開脚です。そして遮るものも何もない割れ目に触手が宛がわれ、そのまま上下に擦られます。あっ、こ、この触手…少しイボイボしてま……す。そのせい、で…あんっ、クリトリスに…ひっ、ひっかかってぇ
「ひゃあ、あぅ、そ、それだめ! くる、来ちゃうぅ!」
「イけ、そんで出せ。それで楽になるぞ」
動きが更に激しくなるなか、一本の極細の触手が近付いてきます。そしてそれは、何の躊躇いも無く私の尿道の中へと入って行きました。その挿入感がスイッチとなってしまいました。
「……っ! ダメッ、きゃうぅぅぅ!」
今まで我慢に我慢を重ねてきたものが決壊し、イくのと同時にまるで潮を吹く時のようにおしっこが溢れ出します。しかも利尿剤の作用のせいか、出せば出すだけとっても気持ちいいのです。全て出し終わる頃には腰はがくがく震え、アヘアヘ言いながらぐったりです。
「ア、アヘェ……ぐす、もうお嫁に行けません……」
「大丈夫だって。誰も見て……あー、大丈夫大丈夫」
「ぐず、何で重要な台詞を言い欠ける……んです……か……」
尿意が凄まじ過ぎて気付きませんでした。そして触手さんの方も私を責めるのに手一杯で気付かなかったようです。
私の後ろに、人、が……しかも男の……人……っ!
「いぎゃゃぁぁぁぁああああ!!!」
顔が熱せられた鉄みたいに真っ赤になります。たぶん湯気すら出てます。見られた! しかもこいつ、幼馴染みじゃないですか! まぁ、私の住んでる町は小さいので、同年代の人とは大体幼馴染みなんですけどね。
じゃなくて、見られた! 死ぬほど恥ずかしいぃぃ! 走って逃げようとしましたが、走ったのは例のあの快感でまた動けなくなってしまいました。しかもその動きがかなり激しかったせいか、盛大にすっ転んでしまい、結果、彼にお尻を突き出して、まるでおちんちんをねだるかのようなポーズになってしまいました。
「お前……」
「は、はわわ、あぅ、ひっぐ」
ズンッ!
「あっ!」
男の子、しかも幼馴染みに乙女の放尿シーンを見られて半ベソをかいてたら、いつの間にか股間の立派なモノが私の乙女まんこに突き立てられていました。
頭がどうにかなるくらい気持ちいいです。
触手とか、媚薬とか、そんなチャチなものでは断じてありません。もっと気持ちいい肉棒の片鱗を味わいました。
「あんっ、くあぁ、いきなり……どうした、のっ」
「ふーっ、ふーっ、お前の、泣き顔見たら何だかムラムラして、犯したくなって。気が付いたら、今腰振ってる」
犯したくなって。その言葉を聞いたら何だか、子宮の奥がきゅんってなった気がします。彼が私を固定するのに、お尻を鷲掴みにします。その痛いほどの感触に意識がトびそうになります。
「ひぎぃぃ、あっ、あう、い、いいっ!」
「うおっ、急に締まりが……。お前、尻乱暴にされて感じてるのか?」
「うんっ、ひやぁっ、おひり、おひりいいのぉ!」
「隠れMだったのか。俺の好きな人かMだなんてちょっと引くわー」
おちんちんが乱暴に打ち付けられる度に理性がどんどんっ! 溶けてくのぉ! 好きぃ! わらしも、好きぃ!
「わらしもっ! あらたのことしゅきぃ! 犯、してっ! もっろもっろぉ!」
「うぅ、お前の中、気持ち良すぎ。もう、出るぞ。俺の精子で犯し尽くしてやる!」
「わらしもイくぅ! 中に出して! たっぷりザーメン、くらしゃぁい!」
…………………………
腟に中出しされたあと、間髪入れずにアナルを犯され、そしてまた腟に中出し。
その間、絶えず罵倒やスパンキングを受けましたが、その度にビクンビクン震え、地面に水溜まりが出来るぐらい愛液がだだ漏れでした。
まさか私が隠れMで、彼が隠れSだったとは。私は町の中でも活発な方ではありませんが、彼は私よりもっと大人しいのです。
では、何故お婿さんを得た魔物が、こうも落ち着いてプレイ内容を語れるのか。
それは、1つ、プレイのあと、今度はお返しとばかりに触手を彼のお尻を責めたら、おまんことアナルのあまりの快感に彼が昇天してしまったから。今、復活待ちです。
2つ、触手さんが、いなくなってしまったから。
正確には触手さんの意識、でしょうか。
確かに1回目の中出しのあと、触手が身体に定着したのか、今は触手を自分の意思で動かせるし、色の濃い触手も一本だけあります。
ですが、いくら呼び掛けても触手さんは返事をくれません。
お婿さんが出来て幸せのはずなのに。彼、いや彼女がいないと、心にほんの僅かな隙間が出来たようで。それが、少し寂しくて。
少しメソメソしていると、復活した私の旦那様がそっと頭を抱き寄せてくれます。セックス中でなければ、彼はこんなにも大人しく、優しいのです。ギャップ萌えです。下腹部がきゅんきゅんします。
今はのんびりしたセックスがしたいと告げると、彼はわかった、と一言言って仰向けになり、私に主導権を渡してくれます。
私は、心の隙間を埋めるかのように彼を求めました。
〜終わり〜
後日談
それから、のんびりセックスしている間に一日が過ぎ、流石に町の皆も心配してるなと思い、二日振りに町に帰りました。
するとどうでしょう、町から聞こえるのは嬌声、悲鳴、喘ぎ声! 甘いような、酸っぱいような香りが町全体を包んでいました。
どういう訳か、町の人に聞いてみると、二日前、私が散歩に出たあとで、デビル率いる急進派とそれに賛同するサバト支部がこの町を襲ったそうです。
人口が1000人に満たない小さな町なので、侵略は一瞬で、今は夜通し続いている黒ミサの真っ最中なんだとか。
家に帰ると、私より顔立ちが幼くなった母が、蕩けたような顔で父の上で腰を振っていました。父は父で、平たくなった母の胸をぺたぺたと触りながら、「リコたんリコたん!」とうわ言呟きながらよがってました。
魔物になって価値観が変わってなければ、一生もんのトラウマ確定でした。
そのあとどうしたって?
触手で媚薬飲ませて穴という穴を犯し尽くしてやりましたよ。
「居間じゃなくて寝室でやれ」って。
…………………………
それから数日後……
「あんたに頼まれて作ったはいいけど、これ、本来は二重人格みたいな人が服用する、他人格を押さえるための薬なんだよ? それの効果を逆転させたものが欲しいなんて」
「それがまさしく私が欲しい薬です。ありがとう。今度新しい友達紹介しますよ」
新しく出来た魔女のお友達から、頼んでた薬を貰います。これは、自分の中にもう1つの人格を作る薬。
家に帰り、早速中身を開けます。見た目は普通の錠剤とあまり変わりません。それを躊躇いなくあの色の濃い触手に埋め込みます。錠剤はズブズブと、しかし確実に奥まで入りこみます。
効果が出るまで1日ほどかかるので、旦那様とえっちなことしながら待ちます。
オラァ、ドコイッテタァ!
モウシワケアリマセン、ゴシュジンサマァ
コンナ ニクベンキニハ オシオキガ ヒツヨウダナ
ドウカ ジュウジュンニ ナルマデ オシオキシテクダサイィ
…………………………
朝、もう二度と目にすることはないであろうと思っていた朝日を拝む。耳に入るのは、聞き慣れた女の声、いや、嬌声か。と言っても、この女は俺の一部、いや、俺が彼女の一部なんだがな。
俺が彼女たちの交わりをぼんやり見ていると、自分の触手に違和感を感じたのか俺の方を向いてくる。その顔は、今までの快感を引きながらも驚いてるように見える。
「よう、しばらく見ない間に立派な魔物になったじゃねぇか」
話かけたら今度は泣きやがる。全く、忙しい娘だ。
「おかえりっ!」
「あぁ、ただいま」
相手は男性ではありません。触手です。そう、触手。女騎士やシスターなんかを快楽漬けにするあの触手です。正確にはローパーという触手を生やした魔物なのですが、私から見たら触手です。
グロテスクな見た目に、ぬらりと粘液の滴る触手。口腔へと侵入した触手に甘ったるい媚薬を飲まされ、そのあとはひたすら穴という穴を凌辱され続けました。
凶悪なイボイボが不規則に並んだ触手が出入りする度に腟壁が引っ掻かれ、意識がトびそうになるほどの快感。
大中小様々な大きさの数珠状の触手が勢いよく引き抜かれる時の、お尻がきゅんとなって内臓が丸ごと持っていかれそうになる感覚。
どれもこれも筆舌に尽くし難い快感でした。
では、何故こうも落ち着いて現状説明しているのか。
それは、1つ、満足したのか、触手もといローパーが私への凌辱を止めてどこかへ去ってしまったから。2つ、犯されてアヘ顔を晒しながら快楽の余韻に浸っていたら、私の身体から生えた触手が話し掛けてきたから、です。
度肝抜かれました。触手が生えてきたこともそうですが、何より喋ったのです。触手が。しかも結構ダンディな声で。
「何ブツブツ喋ってんだ?」
そう、こいつです。鎌首をもたげた蛇みたいに先端を曲げ、私に話し掛けてきます。私には他にも触手が数本生えていますが、こいつだけ何故か色が濃いのです。おかげで見分けるのは容易なんですけど。
「関係ないです。ほっといてください」
そんな訳(どんな訳だ)で絶賛ふて腐れ中です。まさか魔物になってしまうなんて。快楽や貞操については特に特別な考えは持ってないのでいいのですが、魔物になるのはちょっと……。
「そう邪険にするなよ。魔物の身体は素晴らしいぞ。お前の、人間でいたかった、という気持ちは分からなくはないが」
「……どうして私の考えてることが分かったんですか?」
「そりゃあ、俺はお前の身体の一部だもの。思考は全部筒抜けさ」
「見ないでください! てか、身体の一部の割に私の意志では動かせないし、あなたの考えも分からないんですけど」
「それはあれだな。まだ俺ら触手がお前の身体に定着してないから。オスの精を得れば定着して自由に動かせるようになるぞ」
オスの精……
つまり男性の精液ってことですよね。精液を搾り取るってことは……えっちぃことしないといけないんですよね。
いきなりハードル高いなぁ。私エッチなんてしたことないし、どうしていいか分からないし。さっき貞操がどうのこうのとか言ってたけど、するのとされるのとでは全然違いますからね?
「犯されるように仕向ければいいじゃねぇか」
「だから思考を読まないでください。誘い受けですか。それこそ難しいですって。私口下手ですし」
「難しく考えるんじゃねぇよ。俺が手伝ってやる。オスなんてもんはな、お前が思ってる以上に単純なモンなんだぜ」
そういうあなたもオスでしょうに、というツッコミはなしの方向で。まぁ、魔物になってしまったものはしょうがありません。
私は割り切れる女です。折角魔物になったのだから、とことん魔物ライフを堪能してやります!
「そうだその意気だ。だが、まずはオスを探さなきゃな」
「うーん、それじゃあ最初にあった男性が私のお婿さんです。運命的な出会いに身を任せます」
「ほう。だんだん考え方が魔物よりになってきたじゃねぇか」
「それほどでもありません。さぁ、行きましょう!」
意気揚々と立ち上がり、お婿さんを探すために歩みを進めます。これが魔物としての第一歩です!
「あっ…ひゃぁ」
一歩踏み出しただけで下腹部、ちょうど子宮があるあたりでしょうか? そこから何か蠢く感覚がして強烈な快感に襲われます。あまりの気持ち良さに立っていられなくなり、その場にへたり込んでしまいます。ぺたり。あれ、もしかして歩けない?
「まぁなんだ。ドンマイ」
「ドンマイ、じゃないですよぉ! これじゃお婿さんを探せないですし、家にも帰れないじゃないですか! 何なんですかこのゾワッ ってする気持ち良さは」
「それな、俺だわ。お前子宮のかなり深いところに卵を植え付けられたみたいだな。触手が定着するまではまともに動けそうにないぞ」
「そんなぁ」
どうやら神(魔物業界に神がいるかどうかは分かりませんが)は私に試練を与えになさったそうです。動けない以上、私の未来のお婿さんがここを偶然にも通らない限り、ここから一歩も動けそうにありません。
……ま、まぁ、獲物を待つ狩人、蟻が落ちるのを待つアリジゴクだと思えば、お婿さんを待つローパー、みたいな感じでカッコイイです。ポジティブに考えましょう。
「お前の中のアリジゴクはなんなんだ。格好いいのか?」
「か、カッコイイでしょう、あのアゴとか、つぶらな目とか。というか、あなたのせいなんですからね! しばらく話し掛けないで下さい。私は怒っています!」
私はしばらく怒っていましたが、その間触手は本当に何も喋らず、私のことを見つめていました。目はないけど。
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数時間後、怒りはもうどこかへ消えました。その代わり、お腹が空きました。ついでに喉も渇きました。もう太陽が傾く時間で、そろそろ晩御飯です。
しかし、ここは食べるものもなーんもない普通の道です。原始的欲求はイライラを生み、私はそれをつい触手(厳密に言えば私の身体の一部らしい)にぶつけてしまいます。
「お腹すいたー、喉渇いたー。触手だったら何とかしてよー」
フルフル
私と会話出来る色の濃い触手は、もたげた先っぽを左右に振るだけで喋ってはくれません。身体の一部なのに、喋ってくれないとなんだか友達がいなくなったみたいで少し淋しいです。
そういえば、怒ってた時、もう話し掛けないでっていいましたっけ。……うぅ、自分で言っといて自分から頭を下げるのは癪ですが仕方ありません。私から歩み寄るしかありません。
「触手くーん、私、もう、怒ってないですよ? だから、私とお喋りしてくれたらうれしいなー」
フルフル
「……ひっぐ、ごめんなさい、うっく、私が、悪かった、ですよぉ……」
「お前、嘘泣きしてるのバレてるからな」
「あ、やっぱり? けど、バレてるバレてないはさほど問題ではありません。あなたを喋らした私の勝ちです」
「そこに勝ち負けがあるかは分からんがな。で、何だ? 腹が減ったって?」
「ついでに喉も渇きました」
「そうだな。お前の飢えは俺の飢えだ。どうにかしてみよう」
そういうと、喋らない方の触手が数本にょろにょろとどこかへ行ってしまいました。私と繋がってるので追おうと思えば追えますが。
「あの触手たちは何してるんです?」
「すぐに分かるさ。お、触手の1本が水源を見つけたぞ。ほら、口開けろ」
言われた通りに口を開けると、触手さんが口の中に侵入してきます。なんとなく分かってはいましたが。間もなくすると、先端からさらりとした液体が出て来ます。先程ローパーさんに飲まされた媚薬と違い、無味無臭で触手を通って来たせいか生暖かいですが、これは私たちが普段飲んでいるお水です。
余程喉が渇いたのか、お水が食道を通り胃に溜まるまでの流れが分かります。渇いたスポンジが水を吸い込むかのように、身体に染み渡ります。それが何だかくすぐったいようで気持ち良くて。
気付いたら触手さんは口から抜けていました。
「ありがとうございます。美味しかったです」
「ファイア!」
ありがとうの返事にしては奇妙だと思ったら、触手さんはいつの間にか集めた木の枝に火を付けていました。
「今日はここで野宿だな」
「……年頃の乙女としては断固反対したいところですが、仕方ありませんね」
「キャンプだと思えば楽しいもんさ」
「サバイバルの間違いじゃありません?」
しばらく雑談してると、残りの触手がお肉を持って戻ってきました。触手って狩りまで出来るんですね。私の見えないところで捌かれた動物に感謝しつつ頂きます。
もちろん調理器具も何もないので、先程の焚火で焼いただけのお肉でしたが、空腹のせいもあり、とても美味しく感じられました。
このあとも人は来ることなく、ちょっと早いのですが寝ることにしました。明日こそ未来のお婿さんが通ることを祈りながら。
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ぶるり、寒さで目が覚めます。辺りは朝もやがかかり、太陽はまだその顔を半分しか覗かせていません。
もう一眠りしようと思った時、お腹の辺りに違和感が生じます。こ、これは……
尿意!
そう尿意です。そういえば昨日は一日中ここにいましたし、水もがぶ飲みしました。むしろ今の今まで尿意を感じなかったのはむしろ奇跡です。
……どうしましょう。こんな茂みも何もないところでおしっこするのは、例え誰もいなくても恥ずかしい。だけど、誰もいないからこそ、ここで用を足すことが出来る。ようは自分の羞恥心との戦いですね。
そうとなれば話は簡単。ここでしてしまいましょう。ショーツを下ろして、しゃがみます。あとはおしっこの栓を緩めれば……
「お前何やって……おっと失礼。ごゆっくり」
「ごゆっくり出来るはずないでしょお!」
光の早さでショーツ穿きましたよ。そうだった忘れてました。こいついました。しかもオス。
「ヘンタイ! ケダモノ! 乙女の放尿シーン見て面白いか、このヘンタイオス!」
「まだ出してなかったろう。しかも俺お前の一部だしメスだし」
「メスだったんですか?!」
一瞬尿意も吹っ飛びました。ハイ? メス?
「お前自分の性別言ってみろや」
「お……乙女…」
「そう、女だろ? 女の身体の一部が女じゃない道理はないだろう」
「だって、声低いし……」
「声で決めんな。格好いいハスキーボイスだろ?」
「一人称俺だし……」
「イグニスやウシオニ、ワーウルフなんかは一人称俺のやつが多いな」
「ぐぬぬ……」
何一つとして反論出来ません。あ、一瞬引っ込んだ尿意がまたやって来ました。抗い難いですが、触手さんがいる以上ここでおしっこは出来ません。
「ちなみに言うと、お前の感覚は俺にも繋がってるから、俺も尿意すげぇんだわ。見ないから、パパッとしちまえ」
「嫌です。我慢します」
「強がってたら漏らすぞ」
「漏らしません。我慢します」
「強情なやつだな。しょうがない、奥の手だ」
一瞬の隙を突いて触手が咥内へ入って来ました。そしてほんのり苦い、水でも媚薬でもない体液を飲まされました。するとどうでしょう、今までと比べものにならないほどの尿意が私を襲うではありませんか。なんてことをしてくださりやがったのでしょう。全神経を集中して我慢しないとたちまち漏れてしまいそうです。
「あ、あなた……何…を」
「利尿剤だ。今楽にさせてやる」
そう言うと触手数本が私を襲います。ご丁寧にショーツを脱がされ、両足が閉じないように固定されます。いわゆるM字開脚です。そして遮るものも何もない割れ目に触手が宛がわれ、そのまま上下に擦られます。あっ、こ、この触手…少しイボイボしてま……す。そのせい、で…あんっ、クリトリスに…ひっ、ひっかかってぇ
「ひゃあ、あぅ、そ、それだめ! くる、来ちゃうぅ!」
「イけ、そんで出せ。それで楽になるぞ」
動きが更に激しくなるなか、一本の極細の触手が近付いてきます。そしてそれは、何の躊躇いも無く私の尿道の中へと入って行きました。その挿入感がスイッチとなってしまいました。
「……っ! ダメッ、きゃうぅぅぅ!」
今まで我慢に我慢を重ねてきたものが決壊し、イくのと同時にまるで潮を吹く時のようにおしっこが溢れ出します。しかも利尿剤の作用のせいか、出せば出すだけとっても気持ちいいのです。全て出し終わる頃には腰はがくがく震え、アヘアヘ言いながらぐったりです。
「ア、アヘェ……ぐす、もうお嫁に行けません……」
「大丈夫だって。誰も見て……あー、大丈夫大丈夫」
「ぐず、何で重要な台詞を言い欠ける……んです……か……」
尿意が凄まじ過ぎて気付きませんでした。そして触手さんの方も私を責めるのに手一杯で気付かなかったようです。
私の後ろに、人、が……しかも男の……人……っ!
「いぎゃゃぁぁぁぁああああ!!!」
顔が熱せられた鉄みたいに真っ赤になります。たぶん湯気すら出てます。見られた! しかもこいつ、幼馴染みじゃないですか! まぁ、私の住んでる町は小さいので、同年代の人とは大体幼馴染みなんですけどね。
じゃなくて、見られた! 死ぬほど恥ずかしいぃぃ! 走って逃げようとしましたが、走ったのは例のあの快感でまた動けなくなってしまいました。しかもその動きがかなり激しかったせいか、盛大にすっ転んでしまい、結果、彼にお尻を突き出して、まるでおちんちんをねだるかのようなポーズになってしまいました。
「お前……」
「は、はわわ、あぅ、ひっぐ」
ズンッ!
「あっ!」
男の子、しかも幼馴染みに乙女の放尿シーンを見られて半ベソをかいてたら、いつの間にか股間の立派なモノが私の乙女まんこに突き立てられていました。
頭がどうにかなるくらい気持ちいいです。
触手とか、媚薬とか、そんなチャチなものでは断じてありません。もっと気持ちいい肉棒の片鱗を味わいました。
「あんっ、くあぁ、いきなり……どうした、のっ」
「ふーっ、ふーっ、お前の、泣き顔見たら何だかムラムラして、犯したくなって。気が付いたら、今腰振ってる」
犯したくなって。その言葉を聞いたら何だか、子宮の奥がきゅんってなった気がします。彼が私を固定するのに、お尻を鷲掴みにします。その痛いほどの感触に意識がトびそうになります。
「ひぎぃぃ、あっ、あう、い、いいっ!」
「うおっ、急に締まりが……。お前、尻乱暴にされて感じてるのか?」
「うんっ、ひやぁっ、おひり、おひりいいのぉ!」
「隠れMだったのか。俺の好きな人かMだなんてちょっと引くわー」
おちんちんが乱暴に打ち付けられる度に理性がどんどんっ! 溶けてくのぉ! 好きぃ! わらしも、好きぃ!
「わらしもっ! あらたのことしゅきぃ! 犯、してっ! もっろもっろぉ!」
「うぅ、お前の中、気持ち良すぎ。もう、出るぞ。俺の精子で犯し尽くしてやる!」
「わらしもイくぅ! 中に出して! たっぷりザーメン、くらしゃぁい!」
…………………………
腟に中出しされたあと、間髪入れずにアナルを犯され、そしてまた腟に中出し。
その間、絶えず罵倒やスパンキングを受けましたが、その度にビクンビクン震え、地面に水溜まりが出来るぐらい愛液がだだ漏れでした。
まさか私が隠れMで、彼が隠れSだったとは。私は町の中でも活発な方ではありませんが、彼は私よりもっと大人しいのです。
では、何故お婿さんを得た魔物が、こうも落ち着いてプレイ内容を語れるのか。
それは、1つ、プレイのあと、今度はお返しとばかりに触手を彼のお尻を責めたら、おまんことアナルのあまりの快感に彼が昇天してしまったから。今、復活待ちです。
2つ、触手さんが、いなくなってしまったから。
正確には触手さんの意識、でしょうか。
確かに1回目の中出しのあと、触手が身体に定着したのか、今は触手を自分の意思で動かせるし、色の濃い触手も一本だけあります。
ですが、いくら呼び掛けても触手さんは返事をくれません。
お婿さんが出来て幸せのはずなのに。彼、いや彼女がいないと、心にほんの僅かな隙間が出来たようで。それが、少し寂しくて。
少しメソメソしていると、復活した私の旦那様がそっと頭を抱き寄せてくれます。セックス中でなければ、彼はこんなにも大人しく、優しいのです。ギャップ萌えです。下腹部がきゅんきゅんします。
今はのんびりしたセックスがしたいと告げると、彼はわかった、と一言言って仰向けになり、私に主導権を渡してくれます。
私は、心の隙間を埋めるかのように彼を求めました。
〜終わり〜
後日談
それから、のんびりセックスしている間に一日が過ぎ、流石に町の皆も心配してるなと思い、二日振りに町に帰りました。
するとどうでしょう、町から聞こえるのは嬌声、悲鳴、喘ぎ声! 甘いような、酸っぱいような香りが町全体を包んでいました。
どういう訳か、町の人に聞いてみると、二日前、私が散歩に出たあとで、デビル率いる急進派とそれに賛同するサバト支部がこの町を襲ったそうです。
人口が1000人に満たない小さな町なので、侵略は一瞬で、今は夜通し続いている黒ミサの真っ最中なんだとか。
家に帰ると、私より顔立ちが幼くなった母が、蕩けたような顔で父の上で腰を振っていました。父は父で、平たくなった母の胸をぺたぺたと触りながら、「リコたんリコたん!」とうわ言呟きながらよがってました。
魔物になって価値観が変わってなければ、一生もんのトラウマ確定でした。
そのあとどうしたって?
触手で媚薬飲ませて穴という穴を犯し尽くしてやりましたよ。
「居間じゃなくて寝室でやれ」って。
…………………………
それから数日後……
「あんたに頼まれて作ったはいいけど、これ、本来は二重人格みたいな人が服用する、他人格を押さえるための薬なんだよ? それの効果を逆転させたものが欲しいなんて」
「それがまさしく私が欲しい薬です。ありがとう。今度新しい友達紹介しますよ」
新しく出来た魔女のお友達から、頼んでた薬を貰います。これは、自分の中にもう1つの人格を作る薬。
家に帰り、早速中身を開けます。見た目は普通の錠剤とあまり変わりません。それを躊躇いなくあの色の濃い触手に埋め込みます。錠剤はズブズブと、しかし確実に奥まで入りこみます。
効果が出るまで1日ほどかかるので、旦那様とえっちなことしながら待ちます。
オラァ、ドコイッテタァ!
モウシワケアリマセン、ゴシュジンサマァ
コンナ ニクベンキニハ オシオキガ ヒツヨウダナ
ドウカ ジュウジュンニ ナルマデ オシオキシテクダサイィ
…………………………
朝、もう二度と目にすることはないであろうと思っていた朝日を拝む。耳に入るのは、聞き慣れた女の声、いや、嬌声か。と言っても、この女は俺の一部、いや、俺が彼女の一部なんだがな。
俺が彼女たちの交わりをぼんやり見ていると、自分の触手に違和感を感じたのか俺の方を向いてくる。その顔は、今までの快感を引きながらも驚いてるように見える。
「よう、しばらく見ない間に立派な魔物になったじゃねぇか」
話かけたら今度は泣きやがる。全く、忙しい娘だ。
「おかえりっ!」
「あぁ、ただいま」
13/12/19 11:12更新 / ターニャ