グールの秘密
じゅるるるっ、じゅぽっ、はむ、あむ、ちゅっちゅっ、れろ……れろ……
ねっとりと舌が絡み付くようなフェラ。その行為で生じる水音が興奮を高める。あまりの快感に、男はすぐに射精感が込み上げ、腰が砕けそうになるが、なんとか我慢する。
息子の方を見ると、褐肌銀髪の少女がその口を一生懸命使い、モノに快感を与えている。しかしこれで感じているのは男だけではないらしい。
少女の方も、顔を朱に染め、蕩けきった表情で一物を舐め上げている。
「あっ、うぐっ、んはっ! もう……だめ!」
「んんんー♪ じゅるっ、じゅう♪」
快感に喘いだ男は、もう我慢の限界のようで、少女の喉奥目掛けて一気に射精した。少女はその大量の精液を一滴も零さまいとさらに吸い付き、喉を鳴らして飲み干した。
射精が終わったあとも亀頭や尿道に残った精液を舐めたり吸ったりして中々離そうとはしなかった。
「はぁ……はぁ……」
「ふふ、ごちそーさま」
妖艶に微笑んだグールは、男を抱きしめ、よしよしと頭を撫でる。彼の首筋近くには歯形がある。彼女のものだ。それは男がこのグールのものであるという証であり、二人は恋人同士なのだ。
こうが終わった後は、ベッドの上でお互いが眠くなるまで語らい合うのが彼女らの習慣だ。取り留めのない話をしていると、ふとした疑問が男の脳裏を過ぎる。
「なぁ、グールってオナニー出来るのか? そしてするならどこでするの?」
グールは他の魔物娘よりもさらに敏感な女性器を持っていて、触れられただけでも凄まじい快感が襲われ、動けなくなってしまうという。
それなら女性器でのオナニーはやりづらいと男は思ったのだ。彼女は事もなげに答えた。
「あー、それね。やるけど別に大したことないよ。胸とか、口とか」
「く、口ぃ?!」
男は驚いたものの、妙に納得していた。グールは旧魔王時代には「食人鬼」と呼ばれていて、文字通り人を喰らう存在だった。しかし、現在の魔王に変わった時、その性質は変化した。
彼女らの口は男性を「性的に」喰らうものとなり、他の魔王娘の女性器に相当する役割を持つようになったのだ。
「口の中に何か入れて、舌で転がすだけでも結構気持ちいいから、子供の頃はそこら辺の小石とかとにかく何でも口ん中入れてたなー。今思うとよくそんなばっちぃこと出来たよなって思うよ」
フフっと笑うグールに、その可愛らしさを再確認させられた。彼女と近い内に結婚したいなぁ、と考えているともう一つ疑問が生まれた。
「……グールって子供産めるの?」
グールは図鑑用語でいうゾンビ属アンデット型で、また、死んだ女性をグールとして蘇らせる能力を持っている。なのでグールの赤ちゃんは生まれながらにして死んでしまっているという矛盾があるのではないかと考えたらしい。
「グールが死んでるって失礼ね。まぁ子供については楽しみにしてて。もう三ヶ月なのよ」
「へっ? まさか……!」
「まだお医者さんには行ってないけど、もう月のものが三ヶ月も来てないのよ。これって妊娠でしょ?」
男は絶句した。何故なら男は一度も彼女に中出ししたことがなかったからだ。もちろん中出ししなくても妊娠する可能性はあるが、腟内に一物を挿入したことすらないのだ。
一番近しい行為で素股をやらせたことはあったが、それで妊娠したとも考え難い。
「俺、挿入したことあったっけ?」
「グールの体質は特殊なのよ」
ニヤリと不敵な笑みを浮かべると、グールは寝よう、と言って男に抱き着いた。色々考えたいこともあったが、彼女のお願いを無下にも出来ず、男は彼女を抱き返した。
―――――――
「妊娠、ですな。間違いないでしょう。おめでとうございます」
朝一番に魔物娘も診てくれる産婦人科の診察所に行くと、グールの予想通りの結果が返ってきた。子供が出来たのは素直に嬉しいが、どこか腑に落ちない。男は思い切って医師にその旨を伝えた。
「あの、先生。言いづらいのですが、実は僕たち、その……本番はまだしたことがないのですが、妊娠ってするものなんでしょうか?」
「ハッハッハ、心配無用ですよ『お父さん』 精子が腟内に入れば本番無しにも妊娠することがありますよ。特にグールの場合は、ね」
含みのある言い方をすると、医師とグールの目があった。アイコンタクトをすると二人で笑うが、事情を知らない男はあたふたするだかりだった。
では、一ヶ月毎に様子を見せに来て下さい。お大事に、というとその医師は次の患者の元へと向かった。
「やっぱり妊娠だったね。嬉しいなぁ、あなたの子供が産めるなんて。人魚の血買いに行かないとね」
「そうだな。それからお金もガッツリ稼がないとな。それにしても、出産したらちゃんと妊娠のからくりを話してもらうからな」
二人は少し買い物をしてから帰宅した。
――――――――
ゴクゴクゴク、と男は仁王立ちをして瓶に入っているホルスタウロスのミルクを一気に飲み干す。あの日産婦人科に行って以来、グールの食欲は日に日に増していき、最近では四六時中彼の一物にしゃぶりつき、ずっと精液を搾り出しているのだ。
だから男はミルクでの精力増強を余儀なくされている。今日三本目のミルクを飲み干すと、彼女が待っている寝室へと向かう。部屋に入ると、お腹を大きくしたグールが辛そうな表情で男を待っていた。
「っ! 大丈夫か? つわり?」
「ううん、違うの。出産が近いせいかおっぱいが張っちゃって……。ねぇ、ほぐしてくれない?」
「姫のお望みとあらば」
ちょっと悪ノリした男は、グールの後ろに回り、優しく揉みほぐす。元のサイズより一回り大きくなった胸は確かに張りがあり、とても揉み応えがある。
揉み始めると、すぐに彼女の甘い吐息が聞こえてくる。妊娠して感度が上がったらしい。
「はぁっ、んふぅ、おっぱい、きもひいよぉ」
「そうか、それはよかった」
揉んでいると段々張りがほぐれ、柔らかくなってきた。それを見計らって、もっと大胆に胸を揉みしだく。さらにいつものお返しと言わんばかりに首筋や耳たぶに甘噛みする。その度にグールから甘い嬌声が漏れる。
「あっ、あっ、ひゃんっ、そこ、らめぇ……ひぅっ、はんっ、そんな……に、激しく、も、もんだらぁっ!」
トドメにと、軽く乳首を揉んだり摘んだり指の腹で転がしたりと捏ねくり回す。
「んんん! あああぁぁぁぁぁ!」
敏感になっているグールは耐えられず、胸だけでイッてしまった。乳首からは母乳が噴出され、まるで射精のような快感をもたらした。疲れきった彼女はぐでっとベッドに横たわる。
「しまったやりすぎた。おい、大丈夫か?」
「うん平均。それよりもありがとう。お陰でだいぶ楽になった…あっ、今、赤ちゃんが私のお腹蹴った。きっと喜んでるんだと思うよ。パパありがとうって」
そうは言ってもやはり疲れていたのか、グールはそのまま眠ってしまった。この寝顔を見ていると疲れも吹き飛ぶな。彼女の頭とその大きなお腹を撫でながら男はそう思った。出産は近い。
―――――――
「お母さん、頑張って、ヒッヒッフー、ヒッヒッフー」
「ヒッヒッフー…ヒッヒッフー…」
ある日急に陣痛を訴えたグールを例の産婦人科に連れていくと、すぐに分娩室へと連れられた。男も連れ添うことを許可され、今は彼女の手を握っている。こう書くと、いかにも普通の出産場面だが、一つだけ決定的に違うものがあった。それは姿勢だ。
普通ならベッドに仰向けになり、股を大きく開いて、子宮道を通ってやって来る赤ん坊を待つはずだ。しかし、彼女の場合、膝立ちになり、ひじ掛けで体重を支え、顔は下を向き、口を大きく開いている。
そしてその先には、取り上げ役の看護師が待機している。医師にこの体制で大丈夫なんですか、と聞いても大丈夫の一点張りだ。男は不安を感じながらもただ見守るしかなかった。
「ああっ、お父さん、いよいよですぞ」
医師の呼びかけに反応し、グールの様子をじっと見つめる。すると大きなお腹の中身が段々と、上の方へと進んでいく。内臓を圧迫される感覚に、彼女は苦悶の表情を浮かべる。中身はドンドンと上へ昇っていき、とうとう喉の方まで来た。
喉が張り裂けそうな痛みに涙を浮かべながら、グールは男の手をギュッと握る。男はそれを握り返し、頑張れ、頑張れ、と呟く事しか出来なかった。
そしてついに時は来た。グールの口が有り得ないほど開いたかと思うと、嘔吐のような声と一緒に何かが出て来た。もちろん赤ん坊だ。グールはようやく終えた出産に安堵の表情を浮かべていたが、男はそれどころではない。
その常軌を逸した出産を前に茫然自失に陥ってしまった。グールの口は女性器を兼ねるので当然受精も出産も口でしますよ。と医師は説明するが、全く意味が分からない。視界が暗くなったかと思うと、男の意識はそこで途絶えた。
――――――――
「……きて。……ねぇ、お……よ」
「う〜ん、はっ!」
男はガバリと跳び上がるようにして起きる。辺りを見渡すと、そこは分娩室ではなく、グールと彼との愛の巣だ。彼女は心配そうな目で男を見つめている。
「大丈夫? すっごいうなされてたよ?」
「はぁ、はぁ、大丈夫。ちょっと怖い夢見てただけだよ」
「ならいいんだけど」
グールは一応は納得したものの、まだ心配しているようだ。男は恐怖のあまり躊躇ったが、質問せずにはいられなかった。
「なぁ、グールって種族はちゃんと子宮で妊娠して子宮道を通って出産するんだよな?」
「ふふふっ、実はね、グールってのは口からオロロロっと子供を産むんだよ」
「――っ!!」
「冗談よ、冗談。ちゃんと子宮を使って出産します……って、どうして気絶しちゃうのー! 冗談だってばぁ!」
その後、男とグールは無事に結婚、そして普通に出産し、幸せに暮らしました。
ねっとりと舌が絡み付くようなフェラ。その行為で生じる水音が興奮を高める。あまりの快感に、男はすぐに射精感が込み上げ、腰が砕けそうになるが、なんとか我慢する。
息子の方を見ると、褐肌銀髪の少女がその口を一生懸命使い、モノに快感を与えている。しかしこれで感じているのは男だけではないらしい。
少女の方も、顔を朱に染め、蕩けきった表情で一物を舐め上げている。
「あっ、うぐっ、んはっ! もう……だめ!」
「んんんー♪ じゅるっ、じゅう♪」
快感に喘いだ男は、もう我慢の限界のようで、少女の喉奥目掛けて一気に射精した。少女はその大量の精液を一滴も零さまいとさらに吸い付き、喉を鳴らして飲み干した。
射精が終わったあとも亀頭や尿道に残った精液を舐めたり吸ったりして中々離そうとはしなかった。
「はぁ……はぁ……」
「ふふ、ごちそーさま」
妖艶に微笑んだグールは、男を抱きしめ、よしよしと頭を撫でる。彼の首筋近くには歯形がある。彼女のものだ。それは男がこのグールのものであるという証であり、二人は恋人同士なのだ。
こうが終わった後は、ベッドの上でお互いが眠くなるまで語らい合うのが彼女らの習慣だ。取り留めのない話をしていると、ふとした疑問が男の脳裏を過ぎる。
「なぁ、グールってオナニー出来るのか? そしてするならどこでするの?」
グールは他の魔物娘よりもさらに敏感な女性器を持っていて、触れられただけでも凄まじい快感が襲われ、動けなくなってしまうという。
それなら女性器でのオナニーはやりづらいと男は思ったのだ。彼女は事もなげに答えた。
「あー、それね。やるけど別に大したことないよ。胸とか、口とか」
「く、口ぃ?!」
男は驚いたものの、妙に納得していた。グールは旧魔王時代には「食人鬼」と呼ばれていて、文字通り人を喰らう存在だった。しかし、現在の魔王に変わった時、その性質は変化した。
彼女らの口は男性を「性的に」喰らうものとなり、他の魔王娘の女性器に相当する役割を持つようになったのだ。
「口の中に何か入れて、舌で転がすだけでも結構気持ちいいから、子供の頃はそこら辺の小石とかとにかく何でも口ん中入れてたなー。今思うとよくそんなばっちぃこと出来たよなって思うよ」
フフっと笑うグールに、その可愛らしさを再確認させられた。彼女と近い内に結婚したいなぁ、と考えているともう一つ疑問が生まれた。
「……グールって子供産めるの?」
グールは図鑑用語でいうゾンビ属アンデット型で、また、死んだ女性をグールとして蘇らせる能力を持っている。なのでグールの赤ちゃんは生まれながらにして死んでしまっているという矛盾があるのではないかと考えたらしい。
「グールが死んでるって失礼ね。まぁ子供については楽しみにしてて。もう三ヶ月なのよ」
「へっ? まさか……!」
「まだお医者さんには行ってないけど、もう月のものが三ヶ月も来てないのよ。これって妊娠でしょ?」
男は絶句した。何故なら男は一度も彼女に中出ししたことがなかったからだ。もちろん中出ししなくても妊娠する可能性はあるが、腟内に一物を挿入したことすらないのだ。
一番近しい行為で素股をやらせたことはあったが、それで妊娠したとも考え難い。
「俺、挿入したことあったっけ?」
「グールの体質は特殊なのよ」
ニヤリと不敵な笑みを浮かべると、グールは寝よう、と言って男に抱き着いた。色々考えたいこともあったが、彼女のお願いを無下にも出来ず、男は彼女を抱き返した。
―――――――
「妊娠、ですな。間違いないでしょう。おめでとうございます」
朝一番に魔物娘も診てくれる産婦人科の診察所に行くと、グールの予想通りの結果が返ってきた。子供が出来たのは素直に嬉しいが、どこか腑に落ちない。男は思い切って医師にその旨を伝えた。
「あの、先生。言いづらいのですが、実は僕たち、その……本番はまだしたことがないのですが、妊娠ってするものなんでしょうか?」
「ハッハッハ、心配無用ですよ『お父さん』 精子が腟内に入れば本番無しにも妊娠することがありますよ。特にグールの場合は、ね」
含みのある言い方をすると、医師とグールの目があった。アイコンタクトをすると二人で笑うが、事情を知らない男はあたふたするだかりだった。
では、一ヶ月毎に様子を見せに来て下さい。お大事に、というとその医師は次の患者の元へと向かった。
「やっぱり妊娠だったね。嬉しいなぁ、あなたの子供が産めるなんて。人魚の血買いに行かないとね」
「そうだな。それからお金もガッツリ稼がないとな。それにしても、出産したらちゃんと妊娠のからくりを話してもらうからな」
二人は少し買い物をしてから帰宅した。
――――――――
ゴクゴクゴク、と男は仁王立ちをして瓶に入っているホルスタウロスのミルクを一気に飲み干す。あの日産婦人科に行って以来、グールの食欲は日に日に増していき、最近では四六時中彼の一物にしゃぶりつき、ずっと精液を搾り出しているのだ。
だから男はミルクでの精力増強を余儀なくされている。今日三本目のミルクを飲み干すと、彼女が待っている寝室へと向かう。部屋に入ると、お腹を大きくしたグールが辛そうな表情で男を待っていた。
「っ! 大丈夫か? つわり?」
「ううん、違うの。出産が近いせいかおっぱいが張っちゃって……。ねぇ、ほぐしてくれない?」
「姫のお望みとあらば」
ちょっと悪ノリした男は、グールの後ろに回り、優しく揉みほぐす。元のサイズより一回り大きくなった胸は確かに張りがあり、とても揉み応えがある。
揉み始めると、すぐに彼女の甘い吐息が聞こえてくる。妊娠して感度が上がったらしい。
「はぁっ、んふぅ、おっぱい、きもひいよぉ」
「そうか、それはよかった」
揉んでいると段々張りがほぐれ、柔らかくなってきた。それを見計らって、もっと大胆に胸を揉みしだく。さらにいつものお返しと言わんばかりに首筋や耳たぶに甘噛みする。その度にグールから甘い嬌声が漏れる。
「あっ、あっ、ひゃんっ、そこ、らめぇ……ひぅっ、はんっ、そんな……に、激しく、も、もんだらぁっ!」
トドメにと、軽く乳首を揉んだり摘んだり指の腹で転がしたりと捏ねくり回す。
「んんん! あああぁぁぁぁぁ!」
敏感になっているグールは耐えられず、胸だけでイッてしまった。乳首からは母乳が噴出され、まるで射精のような快感をもたらした。疲れきった彼女はぐでっとベッドに横たわる。
「しまったやりすぎた。おい、大丈夫か?」
「うん平均。それよりもありがとう。お陰でだいぶ楽になった…あっ、今、赤ちゃんが私のお腹蹴った。きっと喜んでるんだと思うよ。パパありがとうって」
そうは言ってもやはり疲れていたのか、グールはそのまま眠ってしまった。この寝顔を見ていると疲れも吹き飛ぶな。彼女の頭とその大きなお腹を撫でながら男はそう思った。出産は近い。
―――――――
「お母さん、頑張って、ヒッヒッフー、ヒッヒッフー」
「ヒッヒッフー…ヒッヒッフー…」
ある日急に陣痛を訴えたグールを例の産婦人科に連れていくと、すぐに分娩室へと連れられた。男も連れ添うことを許可され、今は彼女の手を握っている。こう書くと、いかにも普通の出産場面だが、一つだけ決定的に違うものがあった。それは姿勢だ。
普通ならベッドに仰向けになり、股を大きく開いて、子宮道を通ってやって来る赤ん坊を待つはずだ。しかし、彼女の場合、膝立ちになり、ひじ掛けで体重を支え、顔は下を向き、口を大きく開いている。
そしてその先には、取り上げ役の看護師が待機している。医師にこの体制で大丈夫なんですか、と聞いても大丈夫の一点張りだ。男は不安を感じながらもただ見守るしかなかった。
「ああっ、お父さん、いよいよですぞ」
医師の呼びかけに反応し、グールの様子をじっと見つめる。すると大きなお腹の中身が段々と、上の方へと進んでいく。内臓を圧迫される感覚に、彼女は苦悶の表情を浮かべる。中身はドンドンと上へ昇っていき、とうとう喉の方まで来た。
喉が張り裂けそうな痛みに涙を浮かべながら、グールは男の手をギュッと握る。男はそれを握り返し、頑張れ、頑張れ、と呟く事しか出来なかった。
そしてついに時は来た。グールの口が有り得ないほど開いたかと思うと、嘔吐のような声と一緒に何かが出て来た。もちろん赤ん坊だ。グールはようやく終えた出産に安堵の表情を浮かべていたが、男はそれどころではない。
その常軌を逸した出産を前に茫然自失に陥ってしまった。グールの口は女性器を兼ねるので当然受精も出産も口でしますよ。と医師は説明するが、全く意味が分からない。視界が暗くなったかと思うと、男の意識はそこで途絶えた。
――――――――
「……きて。……ねぇ、お……よ」
「う〜ん、はっ!」
男はガバリと跳び上がるようにして起きる。辺りを見渡すと、そこは分娩室ではなく、グールと彼との愛の巣だ。彼女は心配そうな目で男を見つめている。
「大丈夫? すっごいうなされてたよ?」
「はぁ、はぁ、大丈夫。ちょっと怖い夢見てただけだよ」
「ならいいんだけど」
グールは一応は納得したものの、まだ心配しているようだ。男は恐怖のあまり躊躇ったが、質問せずにはいられなかった。
「なぁ、グールって種族はちゃんと子宮で妊娠して子宮道を通って出産するんだよな?」
「ふふふっ、実はね、グールってのは口からオロロロっと子供を産むんだよ」
「――っ!!」
「冗談よ、冗談。ちゃんと子宮を使って出産します……って、どうして気絶しちゃうのー! 冗談だってばぁ!」
その後、男とグールは無事に結婚、そして普通に出産し、幸せに暮らしました。
13/02/12 16:59更新 / ターニャ