連載小説
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後編
浮かない顔をしたまま森を彷徨い歩いていたアトラタ。
確かにフェーレースから逃げ切れたのだが何故か喜べなかった。
あれだけの目にあったにも心の何処かでフェーレースを求めていた。
今でも、もう一度小さな女の子と体験してみたいと、フェーレースを求めている自分がいた。
あの締め付けが強い膣で、甘酸っぱい唾液を味わってみたい。
そう、無理やり犯しながらも喜んで受け入れてくれる・・・。

「いいやっ!! 駄目だ駄目だっ!! 真っ当に生きるんだっ!! 絶対に求めちゃいけないんだっ!!」

必死に首を振ってアトラタは邪な想像を振り払った。
このまま堕ちては駄目だという理性を働かせて。


『ガサガサッ!!』


その時、不意に目の前のくさむらが動いた。
何者かとアトラタは身構えた。




「にゃああ〜」




そこから出てきたのは一匹の猫だった。
体格は自身の両腕で抱えられる程、すらりと長い前足だったから子猫ではなく大人の猫なのだろう。
だがアトラタは油断しなかった。

「ま、まさかお前!? あれでも生きていたのかよ!?」

この猫もまたフェーレースが化けているのだと思ったら油断なんて出来るはずがない。
だがその猫をよく見てみると、後頭部から銀髪の毛は生えていない。
全体的に毛の色が黒色で所々銀プチが生えており、フェーレースの今までの変身だったら全身が銀色になるのがお決まりみたいなものだから恐らくのこの猫は無関係ではないか?
しかもその猫の瞳の色は黒だった。
フェーレースの瞳は金色のはず、彼女が瞳の色まで変えるなど面倒な事はしないはずだ。

「にゃあ?」

それに猫は頭を傾げ、不思議そうにこちらを見つめている。
暫くアトラタは猫の出方を疑ったがこちらに向かって飛び掛かる様子はない。
時折前足で顔をくしくしとかいて、あくびをしている。
どうやらフェーレースとは本当に違うようだった。

「ああ、変な神経使ってごめんな・・・」

そう言いアトラタは猫の頭を撫でようとした。
当の猫はアトラタを拒むことなくその手を受け入れた。
頭を優しく撫でれば、ふさふさとした毛の感触が伝わり、心が癒されるようだった。

「にゃあ〜」

呑気にまたあくびをして、目を細め撫でられていた猫。
そんな猫を見ていたら緊張が解れて心の余裕が生まれてきた。
「ははっ・・・。そうか、気持ちいいか」
そんな軽口を叩ける程にアトラタの心は回復していた。
小動物との触れ合いはすり減った心にとって癒しのひと時なのだ。

「にゃあ♪」

不意に猫はアトラタの手をかいくぐり、右足首辺りに頭を近づけるとゴシゴシとその顔を擦ってきた。
どうやら人懐っこい猫なんだなとアトラタは思った。
猫の擦る行為にアトラタは拒絶せず、猫のしたいがままさせていた。
次に猫はアトラタの右足首から離れると。

「にゃ!!」

左の前足を指さしするが如く挙げた。


「着いてこいって言ってるのか?」


何故猫がそう言っているのか分からなかったがアトラタはそう直感したのだ。
それを拒否しようなどアトラタは思い付きはしなかった。
どうせ訓練にはもう間に合わないのだ。
それに川に沈んだ彼女はもう追ってこないだろう。
ならば猫の気まぐれに付き合ってみるのも一興だとアトラタは考えた。
「じゃ、案内頼むぜ。・・・ってああ、ちょっと待ってくれないか?」
「にゃ〜?」
猫は不思議そうにアトラタの方へと顔を向けた。

「ほれ、お前お腹空いてるだろ。大したもんないけど・・・」

アトラタはゴソゴソとポケットを探る。
そしてポケットから出したのは非常食用の乾パンだった。
それを一口大に砕き、猫の方へと放り投げる。

「ほれ、食えよ。前金とかじゃねえけどよ」

一瞬その硬い乾パンに猫は食べるのかと思っていたアトラタだが。
猫は乾パンを口に含むと、右へ左へと頬を膨らませていた。
どうやら口を動かしている様で柔らくしてから食べるつもりなのだろう。
そしてごくっと飲み込むとにゃあ、と声を挙げた。
鳴き声からして不愉快そうな声ではなかったからアトラタは安心した。
「おお〜うめえか? よしよし」
味の感想など猫が言うはずないがそれでも嫌々食べている素振りはなかったから勝手に思っていた。
そしてアトラタはじっと猫を見つめていた。
猫は気まぐれで自由に生きていける動物。
人とかにあれこれ言われずのうのうと生きていける存在。
そんな猫を見てアトラタは少し羨ましく思ってしまった。
次にはどう考えたのかその猫につい愚痴を、本心を呟きたくなった。


「その、お前にだけは言うけど・・・・俺、悪くないと思うんだ。あいつと暮らすってのも・・・」


「にゃあ〜?」

その猫からすればあいつとはいったい誰で、何の話をしているのだと分からないだろうがそれでも猫は興味ありそうに聞く耳を立てていた。
食べ物を恵んでくれたお礼か、それともただの気まぐれか。
アトラタにはどちらでもよかったが。

「色んな動物に化けられて、あいつと一緒なら味わった事のない体験が待っているって思ったら、溺れてもいいかなって」

そこでアトラタは重いため息を一つ吐いた。

「でもよ。俺には現実があるんだ。やらなきゃいけない仕事がある、責任がある・・・。さもなければ他人から批難されて叩かれる・・・。・・・だからいけないんだ。俺は・・・」

アトラタは自分の意志で訓練生とかになった訳ではない。
実は親からの圧力で無理やりさせられていたのだ。
厳格で有力権力者である両親の元に育ったアトラタには常に大人たちから期待と監視の目が当てられていた。
一族の期待に応えて見せろとか、一族の恥になっていないかといった、まるで値踏みするかの様な冷たい視線だったのを覚えている。
そんな目で見られていたのだからアトラタは必死にその期待に応えていたが、褒められた事など数えるぐらいしかなかった。
もっと頑張れ、上を目指せ、お前ならこれぐらい出来て当たり前だなどど言われ続け、次第に頑張るという行為が馬鹿らしくなってきた。
こんな息苦しい生活など送りたくなかった。
だから自由気ままに、そして堕落した生活を送るのも悪くはないとアトラタは心の何処か願っていたのだ。
だがそれは夢のまた夢だ。
人間であれば避けられない道。
アトラタは渋々、その道を歩くしかないのだ。
再び重いため息をついたアトラタは猫の方に目を向けると。
猫はアトラタをじっと見つめていた。
まるで彼を心配しているような表情で。
「悪いな、辛気臭くなって。お前の様に気楽に生きられたらなって・・・」
そこで再びアトラタは深いため息を吐いた。
この猫にそんな事を離しても何にもならないというのに。
されど言ってしまうのは人間という奴だ。
そんなアトラタを察したのか定かでないが、猫はスッと立ち上がると。

「にゃあ〜」

ついてこいと言わんばかりに自身の顔を振ってアトラタを催促させる。
この時アトラタは道案内しようと猫が動き出したのだと思っていた。

「ああ、道案内な。よろしく頼むわ」

だから大人しくその後をつけていく事にしたアトラタであった。



♢♢♢♢♢♢♢♢



猫に案内されるがまま森の中を進んでいったアトラタ。
すると周りの木々が次第に切り開いていく事に気付いた。
つまり何処かに出られるという事だ。
心なしか空も透き通って見える様な気がしてアトラタは少しだけ安堵した。

「なんだよ。ちゃんと案内してくれたのか。ありがとな」

そう言い猫に感謝したアトラタは早足で駆けていく。
森から抜けられるとなればその足取りは、一応は軽かった。
だが見えてきたのは全く違った景色だった。



「え?」



思わず声を出して唖然としてしまった。
初めてここに来た時と同じ景色だ。
自身の目の前には一軒の家があった。
昔ながらの屋根が藁で、外壁が木材。
やや古ぼけている印象で屋根には煙突が取り付けられている。
間違いない、あの家はフェーレースの家だ。
そんなはずはない。
自分はあの家から遠ざかる様に逃げたのだ。
ならば道案内をしていたこの猫は。






「ふふふ。油断してたかしら?」





猫の口が開き、そして喋った。
その声は忘れる事も出来ない声だ。

「まさか、お前か!?」

アトラタが返すと同時に猫の後頭部から銀色の髪の毛が生えてくる。
その髪は猫の頭部を覆い、首辺りで止まった。
次に猫が瞬きをすれば、黒の瞳が金の瞳へと変わっていた。

「当たり♪ 私があれぐらいで死ぬはずないでしょ。そもそもここは私の庭なんだから」

そして猫―――と化していたフェーレースはその体を大きくさせ始めた。
徐々に大きくなっていき元の、人間大のサイズまで巨大化する。
2本足で立ち上がるとその足のふくらはぎとすねは膨れ上がり、人間の足へと変化していく。
肉球が付いていた手のひらは、その肉球が消えすらりと手指が長くなる。
丸かった胴体は腹に当たるであろう箇所にくびれがついていき、胸は二つの膨らみが出てきた。
猫のひげが消え、まん丸の顔は角が付いていき、見覚えのある輪郭へと変わっていく。
そして顔を覆っていた毛が無くなれば人間時の、フェーレースの顔が出てきた。


「ふふん。中々見ものでしょ? 猫の尻尾に耳、毛に覆われている女なんて。試しにフリフリさせちゃうわよ」


尻尾を上へ下へと動かせ、耳をピクピク動かせる。
次にはその尻尾をアトラタの頬当たりにまで持っていき、こすり合わせた。
ふさふさの毛が肌に接して、妙にくすぐったかった。

「さあ、元の人型に戻っちゃうわよ」

耳が小さくなり頭の中へと沈む様に消えていく。
尻尾が短くなり、耳と同じく沈む様に消えていく。
全身を覆っていた毛が無くなっていく。
そこにいたのは彼女、フェーレースだった。
しかも衣服は来ておらず何もまとっていない素肌を晒していた。


「これで分かったでしょ。貴方は私から逃げられない。私の使い魔になるしか道はないのぉ」

「・・・そうみたいだな・・・」


そう言うアトラタの表情は絶望の色をしていなかった。
薄々感づいていたからだ。
彼女からは逃れられない、いやむしろ自分は彼女を心の何処かで求めていたのだから逃げようとする気はなかったのだと。
「あら? てっきり血の気が引いて真っ青な顔をするのかと思っていたのに?」
「・・・俺の心臓えぐりとって儀式の生贄とかにするつもりか?」
「そんな野蛮な事絶対しないわ。なんで折角手に入れた夫を殺さなきゃならないの」
フェーレースは顔を歪ませ、はっきりと嫌悪感をあらわにした。
それを聞いたアトラタは安心した。
ただし安心、というよりも投げやりな、もうどうにでもなれという気持ちであったが。
「・・・なら好きにしてくれ。俺はもう逃げないからな」
やや暗い表情を浮かべて呟いたアトラタ。
その姿にフェーレースは心配そうな表情と目つきで、その手をアトラタの頭に添えた。

「そんな暗い顔しないで。私と一緒になるんだから喜んで、ね♪」

喜べと言われてもアトラタは喜べなかった。
前述の通りもうどうにでもなれという気持ちがあったし、それに未だ魔物であるフェーレースに対して困惑や拒絶という感情は残っていたのだからアトラタは反応に困っていた。
「それに、人様の圧力から逃げられると思えば悪くはないでしょ?」
それを聞いたアトラタはふと気づいた。
自分は知らずに、苦しい胸の内をフェーレースに明かしていたという事に。
「・・・猫の時にしっかりと聞いたわ。貴方は他人からの視線を感じてしっかりしなければという責任感に押されていたのね」
「まあ、人間ってのはそういう生き物だからな。責任とかやらなきゃいけない事とかがいっぱいあって、一生をかけて戦うしかないんだ。俺達人間は・・・」
「だったら逃げちゃえばいいのよ。好きなように生きて、堕落した生活を送るのは私達魔物娘の特権なんだから それに私、嬉しいの。貴方が受け入れてくれて」
受け入れてくれて嬉しい?
少なくともフェーレースは人間の様な外見だから、魔物である事を隠せば他の人間はすんなりと受け入れてくれるだろうと思うが。
「見ての通り、私は『ダークメイジ』。数多の魔術を用いて男を手に入れる危険な魔物娘だから他の魔物娘でも、ちょっと私に警戒する子もいるの。でも良かったわぁ。貴方が私を好きになってくれて♥」
その台詞にアトラタは後頭部の髪をかいて、何処か恥ずかしそうだった。
「好きっと言おうか、俺にとっては興奮するものなんだよ。だって色んな姿に化けられるって非現実的ですげえなって・・・」
「でも人によっては気持ち悪いだとか言われるから。だから受け入れてくれて本当に嬉しい♥」
「・・・その、意地を張っててごめんな。俺、魔物は危険な生き物だって教えられていたから」
「仕方ないわよね。私達、時に強引なやり方で男を捉えちゃうから。でも命を奪う事は絶対にしないし、夫にしても危害を加える事なんてあり得ないから。これだけは約束するから」
堕落の道に進むのは分かっていた。
だが一度ならず二度も、性欲を放ってしまった身だ。
ならば毒を食らわば皿まで、一蓮托生というやつだ。


「じゃ、俺を・・・お前の世界へ連れてって欲しい、頼む・・・」
「もちろん♪」


これがプロポーズというやつなのかとアトラタは思った。
何処か嬉しくて、何だか恥ずかしかった。
されど告白して失敗したなとか、早まった事をしたなとかの、後悔はさほど感じられない。
やはり自分は彼女を求めていたという事だったのか。

「それじゃご褒美という訳じゃないけれど、夫婦になった記念に。私の体、隅々まで堪能させてあげるわぁ♪」

意気揚々フェーレースが妖しい笑みで尋ねてきた。
「堪能って?」
「私の夫になった男しか味わえない快楽、ただの人間では出来ない体験をしてもらうから。味わったら最後、もう人間の女じゃ満足出来ないわよぉ♥」
そう言い彼女は意味深げな目つきでアトラタを見つめた。
ここから先は人間の快楽では味わえない領域。
人としての理性や節制もない快楽を貪るだけの空間。
自分が求めていた自由、そして堕落の世界が待っている。
そう思えばアトラタには後悔は微塵もなかった。
喜んで受け入れよう、その快楽と堕落の世界を。
「それじゃ、行きましょう」
フェーレースが右手を差し出す。
アトラタはあえて、その手を取らなかった。
ここは騎士らしい振舞いで彼女の手を取らなければならない。
それに夫となったのだから優しく接しなければならないだろう。
「素足のまんまじゃ痛いだろ? だったらこうだ」
アトラタはフェーレースの体を両腕で持ち上げ、自身の胸辺りまで抱えた。 
所謂、フェーレースをお姫様だっごしたのである。
「意外に優しいのね♪」
「そりゃ騎士を目指していたからな」
当のフェーレースも両腕をアトラタの首に回してぎゅっと抱きしめた。

「それじゃ、甘えてもいいかしらぁ?」
「ご自由にな」

アトラタは軽口で返した。
やっぱり自分にはこの口調が一番だと思った。



♢♢♢♢♢♢♢♢



やけに大きかったベッドは自分とやりあう為に準備されたものだったのかとアトラタは納得した。
よくある白のシーツが引かれいて、フェーレースはその上に腰を降ろす。
「ほらほら早く脱いでぇ」
催促されるがままアトラタは服を、上の下着を、パンツさえも脱いで全裸となる。
男としてそこそこの筋肉と引き締まった肉体。
そしてだらんと垂れていた己の肉棒。 
それらを見たフェーレースは感嘆の声を挙げた。
「中々引き締まった体ね。流石候補生さん♪」
「これでも鍛えている方だからな。・・・まさか筋肉隆々の奴とかが好みなのか?」
「それも悪くはないわねぇ。無理やり犯されてるって感じで興奮しちゃうけど、今はいいわぁ」
てっきり筋肉愛好家なのかと思ったがまあ細かい事はいいか、とアトラタは思った。
そしてアトラタもベッドの上へと上がり込み、フェーレースの真横へと座ると。


「まずは2回目のキスを、ね」


そう言いフェーレースは口を尖らせる。
首を縦に振らせたアトラタは口を尖らせず、自身の唇を彼女の唇へと添えた。


『ちゅっ♥』


ふるっと柔らかい感触が唇に伝わった。
次にその互いの舌を出し、絡める様に入れ込めば甘酸っぱい味が広がっていく。

『んぐっ♥ ちゅぱっ♥ れろっ♥ むぐっ♥』

それが5分くらい続けられ、口を離せば舌の先端にかけて虹色の架け橋が唾液によって表現される。
改めてアトラタはフェーレースの裸体を見つめた。
無駄なぜい肉はないモデルの様な体形と豊満な乳房がアンバランスで欲情をそそり、淫らな意味で美しさを際立てる。
魔物だからこそ、この美しさが実現出来るのだろう。
そしてこの女神の様なフェーレースを見てアトラタは改めて実感した。
―――彼女は自分のものになったのだ、と。
ふとアトラタはフェーレースを両腕で抱きしめ、体を密着させる。
人肌の温度が伝わってきて、体が温もりとやらを体感する。

「さてと、じゃ気持ちいい事始めましょうかぁ♥ こんな体よりもっと気持ちいいのをぉ」
「気持ちいい事って、お前とのセックスは気持ちいいと思うが。だってその体なんだから絶対良いだろ?」
これは噓偽りのない本音だ。
確かに初めて会った時は幼女になって犯されたのだが彼女の、そのありのままの姿で交われると思えば興奮するのがアトラタの本能である。
だがフェーレースはその首を横に振った。


「ふふっ♪ そんな単純なもので私は満足できると思っているの? 言ったでしょ、私の夫になった人間にしか味わえない体験をしてもらうって♪」

「体験って、・・・またお前が子供になってとか?」

「確かにそれもあるけど、もっと変態さんなプレイをするのぉ♥ まさか私が可愛い女の子や動物だけにしか変身出来ない女とでも思っているのかしら?」

「それだけでも十分すぎると思うけどな・・・」


だがどんな姿にも変貌できる魔女、と聞けばアトラタの性への要求が膨れ上がる。
それは燃え広がる欲情の炎の如く溢れ出て、夢物語だと思っていた事が彼女の手によって実現されるとなれば最早その炎は止められない。


「どんな姿をお望みかしらっ♪ あ・な・た♥」


フェーレースは人差し指と右頬に当てながら、妖しい目で見つめていた。
少しだけ考えたアトラタはふと、思い浮かんだ。
そう、もう一度体験してみたかったあの魅惑の体を。
だが恥ずかしかった。
彼女なら聞き入れてくれるだろうがやはりまだ人間としての道徳観と羞恥心が残っていた。
「もう、恥ずかしがらずに頼んでもいいのよ♥ 私は貴方の願いを叶える『ダークメイジ』なんだから。どんな恥ずかしいプレイも答えて挙げる♪」
フェーレースにそう押されて、アトラタやや小声で、少しだけ恥ずかしそうに漏らした。

「・・・なら、その・・・。・・・また小さい子供になってくれないか?」

髪の毛をごしごしと掻きながら呟いたアトラタ。
それを聞いたフェーレースはニヤリと笑みを浮かべ、その頬を恍惚に染めた。
「やっぱり、小さな女の子とエッチしたいの? ロリコンさんねぇ♥」
ニヤニヤとしながら訪ねてくるフェーレースに、アトラタは顔を真っ赤に染めて恥ずかしがった。
ロリコンに目覚めてしまったのはお前のせいだ、と思わず口を滑らせそうになったが些細な事かと割り切った。
「そ、それでなれるのかよ?」
「勿論なって挙げるけどぉ。・・・ねえ、幼女って胸がツルペタで面白くないと思わない?」
「お、面白くないって? けどそれが小さい女の子だろ。下手に胸が大きかったら周りの皆が引いたりとかするだろ?」
「それは人間での常識。ほらぁ、想像して? 幼い外見ながらも大人より大きい乳房を携えている姿でお兄ちゃんとエッチしてる姿。『ふああ♥ お兄ちゃんっ!!私のおっぱいきもちいいっ!?』、だとか囁いてきたら・・・」

想像してみただけで涎ものだった。
巨乳の幼女と交わり、その子の乳房をいじれて何をしても許される世界。
人間の世界だったら不可能だろう。
そう思えばアトラタの肉棒は天へと向かってそそり立っていく。

「ふふっ♪ 興奮するでしょ? やっぱり、男の子っておっぱいが大好きよねぇ。それじゃ、こうしましょ♥」

するとフェーレースの体が縮み始める。
大人の色気を醸し出していた美しい顔が、また丸みを帯びたあどけない顔に。
腹回りのくびれがなくなり、出っ張っていたお尻も引っ込んでいく。
すらりと長かった両手両足も縮んでいき。
無論、その豊かな胸も―――小さくならなかった。
豊満なその両胸だけを残したままフェーレースは再び幼い少女と化していた。



「どう、お兄ちゃん♥ この姿だとおっぱいが大きすぎて不釣り合いなんだけどね♥」



例の甘ったるく幼い口調でフェーレースは上下に動いて、その豊満な乳房を揺らしていた。
彼女の上半身が埋まる程の巨大な乳房。
不釣り合いな姿だが逆に欲情をそそる姿だ。
その姿に興奮したアトラタは子供になったフェーレースを押し倒し、無我夢中で乳房を揉み始めた。
両手を大きく広げて彼女の乳房をもみくちゃにしながら。


「あ、あん♥ お兄ちゃんのあったかいおててがぁ!! わたしのおっぱいに伝わってぇ♥」


少しだけ力を入れれば、柔らかい感触が両手に伝わってきて心地いい。
アトラタは何度も何度も両乳を揉んでしまった。


「ああん♥ 良いっ...よ♥ お兄ちゃんっ!!」


押しつぶせば座布団の様に広がり、握れば歪に変化するフェーレースの双乳。
早くもアトラタは虜になってしまった。


「あ、ああん♥ お願い、お兄ちゃんっ!! 乳首いぃっ!! 乳首吸ってええぇ♥」


言われるがまま次はその綺麗でぷっくりとした右の乳首を口にほうばった。
そして本能的にストローで飲み物を飲むが如く、乳首を吸い始めた。


「ふ、ふわああぁ♥ おにいちゃんが、わたしのドデカおっぱいをちゅうちゅう、すってるうぅ♥」


歓喜の声を挙げながらフェーレースは頬を赤らめ、快感に身を震わせていた。
それはアトラタも同じだが彼はまだまだ貪りたかった。
燃え上がる欲情はこの程度では消えはしないのだ。


(まだだっ!! 次はっ!!)


一旦口を離したアトラタはその顔を両胸にうずめる。
女性のもっちりとした肌さわりの感触が顔面へと伝わってきて、至極の癒しとなる。


「こ、こんどはっ!? おかおをうずめてぇ!? ああん♥ おにいちゃんのいきがあぁ♥」 


興奮しきった様子でフェーレースは快感に悶えている。
飽きる事ない両乳の柔らかさ。
人肌の温度が顔を暖め夢心地にさせる。
男として産まれた以上、女性の乳房は魅惑の存在なのだ。
暫くその双乳に魅了された顔を埋めていたアトラタだったが不意にフェーレースは囁いてきた。

「ふっふっふ〜。お兄ちゃん♪ 一旦おっぱいを触るの止めてぇ、よこになって♥」

言われるがまま双乳から顔を離したアトラタは横へと寝転がる。
何をするのかと幼い姿のフェーレースに注目した。
するとフェーレースは膝立ちをしてアトラタの下半身にまたがる。
そして豊満な乳房の谷間に彼のイチモツを加え込んだ。
これは即ち。

「ほらほらぁ♥ 私のドデカおっぱいでお兄ちゃんのおちんぽ、隠れちゃったよぉ♥」
「こ、これがパイズリっ...!?」
「そうだよ♪ ねえ♥ あったかいでしょ♪」

その豊満な両乳で熱く煮えたぎる肉棒を包み込む。
肉棒の両側に感じる柔らかく暖かい乳の抱擁が、肉棒をそそり立たせる。


「じゃ、お兄ちゃん♥ いくよ〜〜♥ パンパンっ♥ パンパンっ♥」



『くっちゅ♥ くっちゅ♥ くっちゅ♥』


両手で持ちながら乳房を上下へとこすり挙げるフェーレースの奉仕。
形良い球乳が幼いフェーレースの両手によって歪に変わっていく。
乳から伝ってくる人肌の温度が肉棒を刺激し、快感として奮い立たせる。
小難しい感想を紡ぐ事を忘れ、アトラタは素直な快感を挙げていた。

「あ、ああっ!! 良いなっ!! これっ!?」
「小さい子のパイズリっ♥ いっぱい感じて♥」

両乳の真横を両手で押さえながら擦ってきている子供のフェーレース。
本来であればあり得もしない幼い子供の、しかも豊満な乳房で己の肉棒を刺激しているのだ。
その姿はまさに禁忌の奉仕者だった。


「もうっ♥ お兄ちゃんのおちんぽからガマン汁出ちゃってるっ!! ほらぴゅ、ぴゅって♥」


見れば肉棒の鈴口から透明な液体が漏れ出している。
その光景を嬉々として見つめていたフェーレースは。


「はうっ〜〜♥ お兄ちゃんのおちんぽもうビクビクしてておいしそうぅ♥ もうダメぇっ!♥ この口で食べちゃおうっ♥」


フェーレースはその口を大きく開き、アトラタの肉棒を口に咥える。
口内は生暖かくて、唾液が肉棒全体にかけられ、新たな快感を感じる。


「はぐっ♥ んぐっ!! れるっ♥ しょ、しょっぱくてえぇ♥ おいしいにょの〜〜♥!!」


アイスキャンディーを舐める様に夢中でしゃぶっていたフェーレース。
その姿といい、双乳の暖かさといい、奉仕の姿といい。
何よりも彼女と夫婦になったという幸福感からアトラタの性欲は最高潮に達していた。
だから己の分身が唸りを挙げようと近づいていた。

「す、すまねえっ!? もう、俺は我慢っ!?」
「しにゃくてっ、いいんしゃよっ!! いっひゃいっ♥ 射精(だ)しちゃってええぇええっ!!」

そう言いフェーレースは双乳を横から押しつぶし、乳の圧力を加え擦りつけてくる。
口も止めることなくしゃぶってきてくる。
しかも幼女の姿で奉仕してきているのだからアトラタはもう絶頂寸前だった。
玉袋は張りつめてきて、肉棒は膨張してくる。

「う、受け止めてくれよっ!? お、俺のっ!?」
「う、うんんっ!! はぐ、んぐっ!! お兄ちゃんのぉ、しぇんぶっ!! んんっぐっ!! ちゅちゅちゅっ!!!」


『くちゅくちゅくちゅくちゅ♥』

加速する乳房の擦りで、口内の舌での奉仕。
止まらない欲情と背徳感。
それが全て合わさり、アトラタを絶頂へと行かせる。
そしてフェーレースのとどめの刺激で、アトラタの肉棒が爆発した―――



『どぴゅ、びゅる、どびゅるるうっ!!』



白濁とした欲情の精液が解き放たれた。
精が迸(ほとばし)り、彼女の口へと注がれていく。
それを拒まず、むしろ喜んで受け入れているフェーレースの姿がもう淫らとしか言いようがない。
しかも幼い子供の姿となれば背徳的で興奮するものだった。
やがて猛りが収まり、精の勢いが静まるとフェーレースはアトラタの肉棒から口を離した。


「ふ、ふああああぁぁぁあああっ♥ あ…あっちゅい、せーしがぁ♥ 私の口に広がってえぇ・・・♥」


フェーレースはその口をあんぐりと開けると、飲み干せなかったであろう精液の残りが彼女の豊満な胸へとかかり穢していく。
その光景は実に淫らだった。
「本当に、夢中になりそうだぁ・・・」
「てへへっ♪ お兄ちゃんのせーしおいしかったよっ♥」
「実際、こんな体験はないよな・・・」
アトラタの感想を聞いた途端、フェーレースはニヤリと微笑んだ。

「・・・そうでしょぉ♥ 小さい子のパイズリは本当にないんだから」

急に大人の口調へと変わったフェーレースはアトラタの頭を優しく撫でた。
「このまま普通に大きくなってもいいけど。どうせなら見た事ない成長見せて挙げるぅ♥ だ・か・らぁ」

そう言うとフェーレースの豊満だった乳房が縮んでいく。
風船から空気を抜くようにしぼんでいき、真っ平な胸へとなってしまった。

「なんでわざわざ縮ませるんだ? 普通に大きくなれるだろ?」
「だって貴方、その過程が好きなんでしょ? 私が狼に変身する姿をじっくり見ていたし。
特別サービス、なんて事はないけどゆっくりと大きくなって挙げるから十分興奮してぇ」

フェーレースはアトラタが変身する過程に興奮する人なのだと思っていたようだ。
実際それは本当なのだからアトラタは瞬き一つせんと両目を見開き、一つたりとも見逃さんと体を乗り出していた。
その熱い視線を受けたフェーレースは舌を出して、ペロリとした。


「じゃあお兄ちゃん、よぉく見てて♪ 私がおおきくなる瞬間を♥」


フェーレースがそう宣言した。
そして彼女の体が震え始めた。


「う、うううんっ♥」


短く細かった右腕が、長くそして太くなり始める。
その右手も同じだ。
女性の様なしなやかな指先へと変わり、指に合わせて手の甲は広くなっていく。
たちまち大人の腕へと変貌したフェーレースの右腕と右手。
肩から先が大人の腕なのだから彼女の幼い体では不釣り合いだった。
それでも指先や腕を動かしていたのだから紛れもなく彼女の右腕だ。
アトラタはその光景に呆気に取られていたが、されど興奮していた。


「次は左...ううんっ!!」


そう言うと右腕と同じく左腕も長くなり始めた。
二の腕、前腕はすらりと長くなり、左手も女性の如くしなやかさを持った左手へと変貌する。
そして左腕も大人の腕へと変われば先程の右腕と合わさって不可思議な光景を演出させる。
フェーレースの両肩から先は大人の両腕、されど胴体とその両足、そして顔は子供の姿。
まるでゴリラの様なアンバランスさだが、あの剛腕な両腕ではなく大人の女性としての両腕だ。


「更に...左足もぉ♥」


左足がブルブルと震えだし、太ももが大きくなり始めた。
パンがふっくらと焼き上がって膨張する様に、フェーレースの太ももが膨張していく。
左すねも、膨張はしないが両腕と同じすらりと長くなっていく。
その先の足も同じだ。
幼いひ弱そうな足が大きくなり大人の足へと。


「まだまだぁ♥ 右も...」


そして右足も同じく大きくなり始めた。
太ももが膨らみ、すねが長くなり、そして足が大人の足へと変貌する。
変化が終わればフェーレースの四肢は大人の体へと変わっていた。
だが胴体と顔がまだ子供の姿。
本当にアンバランス過ぎだとアトラタは心配した。


「次は胴体...あんんっ♥」


フェーレースの胴体が大きくなり始めた。
少しだけ飛び出ていた子供特有の腹は徐々に引っ込み、その真横はくびれを作り始めた。
たちまち大人の女性特有のくびれがあるお腹へと変貌する。
そして胸部にも変化が。
ぐぐぐっと胸部が広がり大きくなっていき、アンバランスだった両腕と釣り合うような大きさへと変貌する。


「そ・し・てぇ♥ いよいよおっぱいぃ...」


平坦だった乳房に脂肪が蓄えられ、肥大化していく。
本当に小さく、引っ込んでいた乳首はぷっくりと晴れ上がり赤ちゃんとかかほうばれる程の大きさに。
そしてあの魅惑の、フェーレースの両腕で抱えられる程の大きさへとなった双乳。
ふとアトラタはフェーレースの全体を見つめた。
顔以外は全て大人の女性。
実に不可思議な光景だった。


「最後に、おかおもぉ...♥」


両目を閉じたフェーレースの顔が大きなっていく。
丸みを帯びてた顔は少しだけ細長く、そして角ばった様な形に。
色気が増していき、大人特有の雰囲気を醸し出す顔へと。
そしてそこにいたのは幼い子供から急成長を遂げた大人の、本来のフェーレースだった。



「ふうぅ・・・。どうだった? 興奮したぁ?」


興奮も何も、性欲が刺激されてしまった。
萎えていた肉棒が再び硬くなり、フェーレースに向けて欲情の眼差しを向けてしまう程に。
その視線に答えるが如くフェーレースは妖しい笑みを浮かべた。

「…まだまだこれからなんだからぁ。次は・・・ふふふっ♪ 私が試してみたい肉体を味わってもらうからぁ♥」
「ど、どんな肉体なんだ?」

思わずアトラタは尋ねてしまう。


「ねえ? 私の新鮮なミ・ル・ク♥ 飲んでみたいと思わない♪」


そう言うや否や、フェーレースのお腹が膨らみ始めた。



『ムクムクッ!! ムクムクッ!!』



風船を膨らませるが如く、フェーレースのお腹が張りつめていく。
徐々に張りつめていきたちまち子を腹に宿したかの様な、出産間際の妊婦へと変貌する。
次に豊満だった胸が更に膨らんでいく。
ぐぐぐっと肥大化し、彼女本来の乳房より一回り大きくなった。
彼女の両腕で抱えられる程の大きさだった乳房はその両腕で抱えるのも一苦労といった大きさへと変貌すると。


『ぴゅるっ!』


その両方の乳首から白い液体が2、3滴飛び出した。

「なっ!?」

アトラタは思わず凝視してしまった。
自分の知識が正しければそれは間違いなく女性しか出せない、赤ん坊を育てる為の液体。
それに答える様にフェーレースは妖しく微笑むと右手を自身の右乳房に当てると、力強く握る。


『ぴゅるるっ!!』


一筋の白い液体が勢いよく飛び出した。
間違いない、これは・・・。

「臨月間際の妊婦さんっ♥ お腹もおっぱいもパンパンに張りつめて苦しいの。だから私のミルク、チュウチュウしてくれない♪」
「ちょ、ちょっと待てっ!! お、俺おやじになっちゃのかよっ!?」

父になるというのは嫌ではないが、いきなり子供が生まれたとなれば心の準備が必要なのだ。
一体父親としてどう振舞えばいいのかあたふたしているアトラタの姿にフェーレースはクスクスと笑い声を立てていた。

「魔法で体系を変えているだけだから安心して。このお腹にはまだ赤ちゃんはいないの。でも欲しいって言うなら作りましょうか?」

そう言いフェーレースは張りつめたお腹を優しく撫でていた。
胸から腹へと切り替わる場所から丸みに沿って、腹の下辺りまで何度も撫でていたフェーレース。
その姿はまるで子を宿した聖母の様で微笑ましくも、何処か淫乱さを醸し出していた。

「・・・いや暫くは、いい・・・。それと、触ってみてもいいのか? き、気になってよ・・」
「もう♥ 何で触っちゃいけないの? 私は貴方のものなのに」

試しにアトラタは張りつめたフェーレースの腹をその指先で突いてみようとした。
人差し指を立てて、お腹のへそ辺りを押してみる。
腹の皮膚は沈むことなく跳ね返した。
皮膚が張りつめていて沈む余地がないという事だ。
妊婦の腹など一度も触ったことがないアトラタは更に尋ねた見た。
「ど、どんな感覚なんだ? こんな大きな腹を抱えてて?」
「あら、普通よ? 人間の妊婦さんでも普通の生活をしているでしょう?」
まあ、確かに普通の妊婦は多少の不便はあるが日常生活を送っている。
されどやっぱり非現実的だった。
お腹に我が子がいる状態で性的行為に走る父親はお腹の子が危険ではないかと考えて、まずいないだろう。
そんな夢世界が彼女の手によって実現されている。
興奮という言葉では言い尽くせない程、アトラタは息を荒げていた。
「それじゃ始めてもいいかしらぁ♥」
そう言いフェーレースは彼の上へとまたがると、自身の女性器の入り口を。


『くちゅ♥』


指先を使って開かせる。
綺麗な桃色の肉壁が広がっていて幻想的な世界がアトラタの性欲を刺激していく。
そしてアトラタの亀頭が、次に陰茎が膣の中へと飲み込まれていく―――


『ちゅ、くちゅぼっ♥』


熱くそそり立つ肉棒がフェーレースの膣内に収まる。
「んっ♥ こうして、また一つになるのは嬉しいわぁ。こうなったらぁ、自然と腰が動いちゃうぅ♥」
そのままフェーレースはその腰を上下に動き始めた。


『パンッ! パンッ! パンッ! パンッ!』


締め付けは子供状態での彼女より幾らか緩かったが、彼の上にぼってりとした腹の彼女がまたがっているとなれば興奮と背徳感の度合いが違う。
そんな光景を見てしまうと、自然とアトラタもその腰を動き始めてしまう。
徐々に速度を挙げて遂には激しいピストン運動をしてしまう。
気が付けば逆転し、アトラタは腰を振るう側に回っていた。


「ああん♥ あなたっ!? まだお腹に赤ちゃんがいるのにそんなガツガツとっ!! なんてエッチなパパなんでちょうかねぇ♥」


快感を感じ、何度も母乳を噴き出している彼女の乳首。
その白い液体を飲みたいと思わない男はいないだろう。


「もう、我慢しないでぇ♥ いっぱい、いいっぱあいっ♥ 飲んじゃってぇ♪」


アトラタは遠慮なく上半身だけ起こし、その口で彼女の乳首をほうばった。
スープをすする要領で吸い込んでみると。
甘ったるくも優しい味が口いっぱいに広がっていく。


「あなたが飲んでくれてるううぅう♥ もう嬉しいぃぃいいい♥」


フェーレースは喜びに震え、反対側の乳首から母乳を噴き出させる。
その液体がアトラタの顔にかかれば、ぷうんとした母乳の臭いが鼻を刺激する。
それがアトラタの腰を振るう速度を加速させる。


『パンッ、パンッ、パンッ、パンッ、パンッ!!!』

一突きする度に、もう片方の乳首から母乳がぴゅるっと噴き出す。
臨月腹が揺れてアトラタの欲情が掻き立てられる。
フェーレースの甘い言葉が更に振るう速度を挙げさせる。
このままいけばもう、アトラタは。

「あ、ああっ!!! う、うおうっ!!」

フェーレースの乳首を咥えながら獣の様なうなり声を出すアトラタ。
それが快楽と絶頂に近づいているという合図だという事をフェーレースは実感していた。
何しろ中に収まっているアトラタの肉棒が膨張し、ぎゅうぎゅうと膣内を責め立てていたからだ。


「お、大きくなってっ!? がぁっ!? もう射精するのっ!! 来てぇぇっ!! いっぱい中出ししてええぇぇええ♥」


猛るピストン運動。
収まらない欲情の炎。
それらが合わさり、再び精が迸る―――



『ぴゅぐんっ!! ぴゅる、ぴゅる、ぴゅるううっ!!』



再び白濁とした精液を解き放ったアトラタ。 

「旦那様の精子が私の子宮にっ、赤ちゃん部屋に注がれていくのおおおぉぉっ♥ あ、ああああっ♥ お腹の赤ちゃんも喜んでるうぅうう♥」

舌を垂らし、両目をやや白目にしながらアトラタの精を受け止めていたフェーレース。
その拍子に彼女の乳首から快感の母乳が噴水の如く吹き出す。
不規則な弧らを描き、ベッドのシーツへと染み込んでいった。
射精が収まり、その瞳がとろけている様な目をしていたアトラタはゆっくりとフェーレースの乳首から口を離す。
そしてベッドへと仰向けに横たわると一言。


「き、気持ちいいっ・・・」


心行くまで堪能したアトラタの表情は愉悦に浸っていた。
あれだけ激しい性行為を行ったにも関わらず気になって膣内から抜けばまだ硬く勃起していた己の肉棒。
だが立ち上がる気力はなかった。

「普通の妊婦さんだったら絶対にしてくれないでしょ? お腹の赤ちゃんが驚いちゃうからぁ」

そう言うとフェーレースの臨月状態のお腹が引っ込んでいく。
風船の空気が抜ける様にしぼんでいき、元のへこんだ腹へと戻ると。
次には一回り大きかった乳房も元の大きさへと小さくなった。
元に戻ったフェーレースの目はと言うと。

「他にお望みはあるかしらぁ?」

欲情に満ちた眼差しでアトラタを見つめていた。
もう既に体験した事のない快楽を味わったにも関わるフェーレースはまだ満足していないのか。
フェーレースの底知れない性欲にアトラタは舌を巻かざるおえなかった。

「えっと、何か望みか? う〜ん・・・?」

アトラタはもうこれといった望みは今の所なかった。
ここまで体験させてもらったのだからアトラタは満足だし、体力も落ちてきた。
だがもう一回だけ堪能したいと本能が、性欲が叫んでいた。
なら何を望もうか考えているアトラタの顔を見たフェーレースは怪しく微笑んだ。


「なら、私が勝手に決めていいかしらぁ。貴方が絶対に体験した事のない体、味合わせて挙げる♪ ・・・ねえ? こんな細身の体だと物足りないと思わない?」


そう言いフェーレースはその体を惜しげもなく見せびらかしている。
すらりと長い両腕両足に豊満な乳房、丈夫な子が産めそうな尻に真珠の様な整った顔たち。その美しさにアトラタは物足りなさは感じておらず、むしろ十分すぎると思っていた。
何故ならそんな体に物足りないと言っても、贅沢すぎるから。
「いや別に。俺はそのままのお前が好きだが・・・」
「あら嬉しいわぁ♥ ・・・でも、肥え太った女性もまた男性の性欲をそそるものなのよ? ほら、想像して♥ 女性のふくよかな肉に包まれて心地いい暖かさと柔らかさを体全体で味わう、そんな体験一度はしてみたいでしょ?」
肥え太った女性と聞いてフェーレースが何をしようとしているのかアトラタは察した。

「・・・つまり、お前が太るって事なのか?」
「正解〜♥」

訓練生だった彼にとってその肥え太った体はだらしなさの象徴であり忌み嫌われる存在だと思っていた。
だからそんなに太った女性とは良いモノなのか分からなかった。

「なあ、そんなに太った女って良いものなのか?」
「なら、教えてあげる♥ 太っている人の体がどれ程興奮するもので魅惑的なのかぁ♥」


『ムクムクッ!! ムクムクッ!!』


そう言うとフェーレースの体がブルブルと震えだす。
変化が起こったのはまず右足からだ。
細く、美人モデルの様なすらりとしていたふくらはぎが膨れ上がり、肉が付き始める。
たちまちはちきれんばかりの脂肪が蓄えられていき、その大きさは小さめの丸太並みだ。
太ももにも贅肉が付いていき、ふくらはぎと同じぐらいの太さとなる。
左足も同じだ、ブクブクと太り始めロースハムの様な肉の詰まり具合となれば。
そして彼女のお腹にも変化が起きる。
くびれがあった腹の横回りが崩れ始め、横幅へと膨らめば。
へこんでいたおへそ周りに脂肪が付き、飛び出る様に膨れ上がる。
だが先程見せた臨月真近のパンパンに張りつめていたお腹ではない。
1つ、そして2つと腹肉の層が出来上がり、肉の重圧さを演出していた。
股の女性器周りにも肉が付いて、引き締まっていた股ぐらがタプタプの肉塊へと。
次には美曲線を帯びていた豊かな双乳が大きくなっていく。
だが確かに彼女の胸は大きくなっているのだが綺麗な丸みを帯びていた乳ではない。
丸みが形崩れ、腰巾着の様に乳房の付け根は幅広く、乳房の底がずっしりと重く肥え太る。
両乳首なんて太く肥大化し、乳輪は彼の手のひら大ぐらいのサイズで、乳首など手の甲ぐらいまで肥大化する。
両腕にも脂肪が付き始めブヨブヨでたるんだ二の腕、前腕へと変貌しだらしなさの象徴となる。
まさか顔や首にまで脂肪が付くのだろうかとアトラタは思っていたが、フェーレースの顔は特に変化せず、首周りも脂肪は付かずそのままだった。

「まあ、流石に顔にまで太らせたら引いちゃうかしらぁ♥」

そこにいたのは脂肪が体中に張り付き、肥え太った彼女の裸体。
ぜい肉がお腹や両足に両腕、更に乳までも脂肪で詰まったその姿はまるで太り切った白豚のようで、宗教者だったら失神ものの痴態だった。
されどその肥えた女の姿に興奮と言おうか、性欲が湧きあがってしまうのは男の性だった。
加えてその細く美しい顔たちは変わらなかったのだから、まるで彼女が肉の着ぐるみとかでも着こんでいるかのようでアトラタは、その幻想的な光景に興奮するが次に心配もしてしまった。
「えっと・・・、大丈夫なのか? そんなに太らせて?」
まだ人間としての常識が残っていたアトラタはこんな姿で日常生活を送れば支障が出るのは元より、人前に出れば嫌悪や驚愕とか兎に角信じられないという目で注目されるのが目に見えていた。
だから心配もしてしまうのは当たり前だったのだ
「もう、魔法で肥え太らせただけなのに。ただの人間だったら大問題だけど、魔物だからこそ出来る芸当よぉ♥」
そう言うと巨漢となったフェーレースは寝転がっているアトラタの体を覆いつくすかの様に横たわってきた。
「ほぉら、暖かいでしょ♥ まるで抱きまくらみたいな感触でしょ?」
確かに言われてみればその通りだ。
彼女の言う通り体全体にかけて柔らかくて暖かい感触が伝わってくる。
自分より大きい抱き枕を掴んでいる様で女の肌に包まれるとは思ってもなかった。
試しに彼女の腹辺りに手のひらを押し当ててみた。
ズブズブと手は沈んでいき、手が彼女の肉によって隠れてしまう。
「ふかふかだな・・・」
「ふふっ♪ 乳肉も触ってみたいでしょ♥」
ずっしりと重く砂の入った袋の様な乳肉をアトラタは持ち上げてみた。
枕とは少々違う生暖かく、柔らかくふかふかとした感触が両手に伝わる。
次には両腕を大きく広げ彼女を抱きしめてみた。
全身を伝って感じる人肌の暖かさとふくよかな肉の触り心地にアトラタは好感を持った。
「こんな体でやりあうなんて思ったら、確かに興奮するな」
「じゃあ、いますぐやりあいましょうか?」
そう言うとフェーレースは再び彼の上にまたがると、タプタプの肉塊となった女性器に彼のそそり立つ肉棒を加え込んだ。
そのまま腰を降ろし、再び彼と一つになる―――


『く、くちゅ♥』


肉棒に対する締め付けは先程より緩いが、その周りが彼女の肉によって埋められて暖かく何だか心地よい。
しかも女の肌に包まれるという体験は一度もなかったのだからアトラタは興奮しぱなっしだった。
「肉に包まれた気分はどうかしらぁ♥」
「さ・・・最高だっ・・・!! 肉がこんなにいいものだなんてっ!?」
快感に酔いしれ、それしか言葉が紡げなかった。
そのままアトラタは腰を上下に挙げ、己の分身で彼女の膣内を突き始める。


『パンッ!! パンッ!! パンッ!! パンッ!!』


下半身辺りに感じてくる、柔らかくもずしっと圧し掛かってくる肉圧。
周りのぜい肉が絡みついてくる様で中々気持ちいい。
フェーレースの体積が増えた事でベッドがギシッ、ギシッと音を挙げていた。
しかも肥え太った事でフェーレースの皮膚からは汗がにじみ出ている。
その大量に発生した彼女の汗がローションの代わりとなり本人もアトラタも、そのぬるぬるとした感触を楽しんだ。

「う...んっ♥ おデブちゃんになったから汗が止まんないっ♥ どんどん溢れちゃう♥」


『バチンッ!! バチンッ!! バチンッ!!』


叩きつけられた音も桁違いだ。
一突きする度に彼女のぜい肉が音を挙げる。
その度に乳肉や腹肉が盛大に、荒波の如く揺れまくる。
「ほら凄いでしょっ!! 私の肉が踊っていて、見物でしょっ♥」
横へ斜めへと不規則に贅肉が揺れて淫らな肉の世界を演出させる。
ふとフェーレースは肥大化した己の乳首を掴み、アトラタの口へと向けさせた。 
「やっぱりでか乳首を吸ってみたいと思うわよねぇ♥ なんならミルクを出してあげるけどぉ♥」
「いやっ!? この肉の圧を感じてたい!!?」
揺れ動く女のぜい肉などこの目で見たことがない。
もっと揺らしてみたい。
もっと揺らして、フェーレースの喘ぎ声を聞いてみたい。
そう思っていたからだ。
たちまち肉の虜になったアトラタは欲望の赴くままに腰を振るう。

『バチンッ!! バチンッ!! バチンッ!!』

「う、ううん♥ あ、あはっ♥ あああんっ♥ 良いっ♥!」
やはり聞こえてきたフェーレースの喘ぎ声。
それがアトラタの欲情を煽り、腰の動きを加速させる。


『バチンッ!! バチンッ!! バチンッ!!』


響き渡る肉同士が叩き合う音、揺れ動くフェーレースのぜい肉。
ふと、フェーレースはアトラタの両肩を掴むと立ち上がらせ、自身の豊満な体へと寄せた。
そのまま両腕で彼の体をぎゅっと抱きしめた。
体全体がフェーレースの皮膚に、ぜい肉に包まれてしまったかの様な感触だ。 
「ほらぁ♥ 私の肉壁で逃げられないでしょ。 はあ、はあ♥ 暖かいでしょ♥ う、うううんっ!!」
彼女の熱い息が顔にかかる。
ふかふかとした感触が全身に伝わってくる。
その暖かさは人肌の温もりとなり、そして性の欲情へと変換される。 
だからアトラタの、絶頂に至るにはさほど時間はかからなかった。
「も、もうっ!! 俺は我慢出来ねえっ!! これが最後のっ!!」
上半身が な状態でも腰を振っていた声を挙げながらアトラタは宣言する。
「良いわよぉっ!! この豊満な体のっ!? だらしなくたるみ切ったブヨブヨ肉にたっぷり注いでぇぇっ!!」
フェーレースの肉が揺れ動き、汗がローション代わりとなる。
そして体全体に伝わってくる人肌の温度。
フェーレースの与えてくる肉の快感にアトラタは限界を超えた。
三度、その欲望が詰まった白濁の精がフェーレースへと注がれる―――


『どぴゅ、びゅくっ!!! びゅくくくるるるるぅぅーーー!!!』


「んんっつはぁぁ・・・・♥」
駄肉を震わせ、精を受け止めたフェーレースの表情はこの上なく幸せな顔をしていた。
両手を頬に当てていたのだから余計に。
「はあっ、はあっ、はあっ・・・・」
息切れしながらであったがアトラタも恍惚に浸っていた。
だが本当に体力が限界だった。
フェーレースが両腕を離した瞬間、抱きしめられていた上半身を後ろへと横たわらせた。
脱力感が体中に広がっていき、それが疲れとなって彼を襲う。
そんな彼に優しく、フェーレースが頭を撫でた。
「流石に疲れたわよねぇ。いっぱい休んで良いわよ♥ また私の体でいっぱい、いっぱい楽しませてあ・げ・る♥」
そう言いフェーレースの豊満な肉体がアトラタの体に圧し掛かろうとする。
だがアトラタは手を前に出し、止めさせた。
「な、なあ? その体、元に戻さないのか?」
「あらぁ? 肥満の体はお嫌いかしら? 結構好みだと思っていたんだけどぉ♪」
フェーレースは乳袋となった双乳を持ち上げて揺らしてアピールしていたが。
「いや、せめて寝る際とかは元の姿に戻ってほしいんだよ。何だか安心できなくて・・・」
「ふふっ♪ やっぱり優しいのね、あなた♥ 別にこの姿のまま過ごしても良いけど、貴方が言うなら分かったわぁ」
そう言いフェーレースはアトラタの上に寝転がると同時に彼女の体から贅肉が消えていく。
肥え太っていた両足、両腕が細くなり元のすらりとした細足と細腕になれば。
飛び出ていたお腹の肉が引っ込み、くびれがあった細さと引き締まった胴体に。
乳肉も同じだ。
手のひら大の乳輪が小さくなり、肥大化していた乳首が縮みあがりれば元のぷっくりとした乳首に。
あの腰巾着の様な横に広く底がずっしりとしていた乳房は元の綺麗な丸みを帯びた双乳に。
そこにいたのは元の細く、スレンダー体系のフェーレースだった。


「まだまだ味わってもらうわよぉ。私の魔法で身も心も陶酔してあげる。私の旦那様、ア・ト・ラ・タちゃん♥」
「フェーレース・・・」


これから先はもう人間の生活ではないのをアトラタは悟った。
ただ退廃的で穢れ切った堕落の道、快楽を貪るだけの世界しかない。
けれそれでいい。
ここまで来たのだからもう。
そう、フェーレースがいればそれで。
そんな事を考えながらアトラタは眠りについた。
全てを忘れ、ひたすらフェーレースと快楽を味わいながら過ごすのだろうと。
17/12/23 00:50更新 / リュウカ
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■作者メッセージ
ここまでお読みいただきありがとうございましたっ!
これにて『堕ちていく 色欲の世界に』無事完結となりますっ!!
今回執筆したきっかけは小さい頃アニメとかで魔女が動物とかに変身するシーンをよく見てて、『ダークメイジ』は魔女みたいなものだから動物の変身とか体を変えるとかも出来るんじゃないかなと考えてみて書いてみた次第です。
やっぱり自分の思い描く『魔女』は色んな動物に変身出来るというイメージが強くて今回はそれを膨らませてみましたがお楽しみ頂けたでしょうか?

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