1話 ようこそ!!『魔物の園』へ!!
「…俊ぺ〜い、起きなさ〜い。早くしないと遅れるわよ〜。」
「あ〜い……ふわぁ〜あ、っと。今日もダルいなぁ…。」
俺こと黛 俊平は何時ものように朝に起きた。何時もならここで2度寝を敢行するのだが…。
「俊平、早く起きなさ〜い!!アンタ今日入学式でしょ!!
早くしないと遅れるわよ〜!!」
…そう、今日俺は、高校生という階段を上がろうとしているのだ。
そして今日は入学式当日。時間を見ると、時刻は8時をちょうど過ぎた所だ。
「…あ〜、まだ8時か〜。8時8時〜……って8時!?やべぇ、遅刻する!?」
俺は急いで支度を終え、すぐさま学校へ向かう為に、玄関へ走った。
「あら俊平。朝ご飯食べていかないと調子でないわよ?」
うるさい。俺は今急いでいるんだ。
「ゴメン母さん。今日は朝食はいいや。んじゃ、いってきます。」
俺は今日から通う高校、私立丘園学園、通称『都市の園』へと急いだ。
「ヤベェヤベェヤベェ、マジでヤベェ。急がないとホントに遅刻しちまうぞ!?」
都市の園までは歩いて約10分の場所にあるが、道のりがほぼ上り坂という大半の生徒にとっては大変な場所にある。
だがしかし、都市の園は今のところ大学進学率、就職率共に100%という実績をのこしており、学生にとってはとてもありがたい高校なのである。
「ふぅ〜っ、何とか遅れずに済んだ〜っ。はぁ〜、ダルかった。」
相当ギリギリだったのか、周りには俺以外の生徒は見当たらなかった。
「…俺が最後、か。何やら下駄箱付近が騒がしいしとりあえずあそこまで行ってみっか。」
とまぁ、とりあえず校舎に向かって1歩。詳しくは学校の敷地内に1歩入った時だった。
「…アレ?校舎ってこんな感じだったっけ?」
気のせいだろうか…。何だか1周り大きい様な気がする。
「しかも、所々に豪華な装飾までついてやがる…。」
しかし、俊平はいつの間にか向こう側にあるはずのざわめきが聞こえなくなった事にまだ気付いていなかった。
「つか、この学校おかしいんじゃねえの?ここの校長は一体どんな趣味してんだよ…。」
「こんな趣味じゃがのう。それともお主、こんな豪華な装飾と変な趣味で括るでない。」
「ああ、そうか。そりゃ悪かったな…って、え?」
俊平が振り向くと、そこには可愛らしい少女が俊平の側に立っていた。
「…なぁ、君。ここは君みたいな小さい子供が来る場所じゃあ…って迷子かな?何処かに預ける所は…。」
面倒だが、とりあえず目の前の迷子を放置するほど愚か者ではないので、この場での適切な処置を取ったつもりだったが…。
「なんじゃお主!!儂が迷子じゃと!!馬鹿にするのもいい加減にせぬか!!
儂はな、この学園の校長をしておる誇り高きバフォメットのバフォ様じゃ!!」
「あ〜、はいはい。それで…って、校長?もしかしてあの校長か?」
「さっきからそう言っておろうに。でもまぁ、それでも今年からじゃがな。」
「そうか……。よし、それじゃあダルいから帰るか。」
正直これは夢だと思った。
だって、ありえんだろう。何だってこのご時世に、子供が校長をやってる学校があるんだ。
とりあえず、夢ならさっさと覚めてしまえと思ったが、
「ああ、先に言っておくが、これは夢ではないぞ。
今此処に存在するお主も儂も全て本物。よって、今この空間も幻ではなく現実ということになるがの。」
…訳が分からない。
目の前の自称バフォ様は、これは夢では無いと言っている。そして、これが夢でないという事は…
っていうか、今内心読まれたよね?そうだよね?
「…という事はここは何処なんだ?」
「そうじゃの…、ここは魔界。お主のいた世界とは、別の世界という事になるかn」
「よし分かった。だったらさっさと俺を元居た世界に返してくれ。」
よし決まった!!これで出来ないと言われても、夢から覚めるというフラグが立った!!
フフフ…、ハーーーッハッハッハ!!どうだ、俺の勝ちだぁーーー!!
「すまぬが、それは出来ぬの。」
「おっしゃぁ!!これでフラグが立ったぁーーー!!
さぁ、これで夢かr…。」
…あり?おっかしいなぁ〜。これで、夢から覚めると思ったのに…。
そこに、自称バフォ様から衝撃の事実がッ!!
「…さっき夢では無いと言ったであろう。まったく…、一体お主は人の話を聞かぬ癖でも持っておるのか?」
なん……だと………。
それじゃあ、俺は…アレか?異世界に召還されたものの、元居た世界には戻れないという事か?
「ちょい待ち。それじゃあ俺は…、これからの人生はどうなるってんだよ!!」
「そんな事儂は知らん……と言いたい所じゃが、お主の居た世界よりも良い待遇が受けられるのじゃが……どうするのじゃ?」
良い、待遇?何じゃそりゃ?
「…例えば、どんなのだよ?」
「まずは、学費の免除。これは、儂がお主を特待生として認めるということじゃの。
次に金の支給。見たところ一文無しという訳では無さそうじゃが、それでもこの世界の買い物には困るじゃろう?だから儂から支給する。
最後にこれはあまり関係無いのじゃが、ここは全寮制でのお主の部屋もちゃんと用意しておる。更に、お主の生活に足りない物があった場合出来る限りの範囲で用意してやるが、これでも元居た世界に返せと?」
「滅相も御座いません。僕をここに入学させて下さい。」
即答だった。
だってそうだろう?学費免除な上に金までタダでくれる。更に、部屋まで用意してくれるのであれば、断る理由がない。
「随分と早いの…。でも、まぁ良いのじゃ。
…それよりも、『王立エルフェンリート学園』、通称『魔物の園』にようこそなのじゃ。儂は、お主の入学を心より歓迎するのじゃ!!」
とりあえず、俺はバフォ様に連れられて学生寮へと案内された。学生寮と言っても、校舎内に設置されたシフトポータルを潜るといういたってシンプルなものだが、俺にとっては世界が反転したかと思うとすぐに別の場所へと移動する感覚が気持ち悪くてあんまり使いたくは無かったが。
「…ここが、お主の部屋じゃ。今日からここを自由に使っても構わんぞ。」
と言われて俺は部屋番号を見たが、何とも吃驚!!部屋番号はS-2573である。
「頭のSは言わば場所じゃな。そして2573がお主の部屋じゃ。」
もうちょい詳しく説明するとS-2573というのは、Sが言わば学生寮の場所つまりA〜Zまで別れている学生寮の場所、2573が25階73号室と言うことらしい。
「そうか、という事は…S-2572までもう他の生徒が使ってるという事か。」
「いや、そうでも無いがの?まぁ、単に儂の気分じゃ♪」
何ですとーーー!!単に気分なのかよ!!何か変な期待持って損したよ!!
「何が気分じゃ♪だよ!!おかしいだろ!!俺の希望する部屋は無いのかよ!!」
「まぁまぁ、そんなに怒る出ない。此処がお主の部屋とは冗談じゃ。
ほれ、お主の希望する部屋を言ってみるのじゃ。」
「ああ、そうだな……なるべく学園に近くて、1階辺りが良いんだが。」
「ほう、そうかそうか。それじゃあ付いてくるのじゃ。」
そして、向かった先はA-0115だった。
「…うん、オッケーオッケー。此処なら全然大丈夫だ。」
「ならば、この部屋に決定じゃの。
それじゃあ…ホイ。それはその部屋の鍵じゃ。だから、大事に扱うようにの。」
バフォ様が俺に渡してきた鍵は2つあった。1つは自分用として…あと1つはスペアか。納得納得。
「ああ、それと欲しい物は紙に書いておくようにの?
昼にそれを取りに来るからの。ついでに金の方もそこで渡そう。」
と言ってバフォ様は1人何処かへ行ってしまった。
…まぁ書くのはメンドーだが、書かないと多分何も無い部屋状態になるのだからそれだけは避けたい。
「まぁ、何にせよとりあえず部屋に入るか。」
……ガチャガチャッ……ギーィ………
とりあえず部屋の中に入った俺は、自分の目を疑った。
「おお、広ぇ!!何だこの部屋、キッチンにリビング、更に寝室まで付いているのかよ!!しかもベットもデケェ!!」
全ての部屋には何も無かったが、とにかく広い。大人数でパーティーでもするのかって位のリビング、キッチンは色々な道具が揃ってて高級料理店の厨房を思わせる。更に、寝室にはベットがある。と言ってもダブルベットである。それを入れてもまだまだスペースのある寝室である。
これに、トイレと浴室も付いているんだから凄い。
「スゲェな…。っと、当初の目的を忘れてた。エ〜ト紙は…っと…、を、あったあった。」
俺はベットの上に置いてあった紙とペンを見つけると、即座に今為すべき事に取り掛かった。
「…フム、今いる物はこんなモンか。」
俺が書いたのは、机と椅子、テーブルにソファ。更に、服に食材にその他諸々。とりあえず今必要な物を書いてみた。
と、ここで不意に俺の頭に疑問が浮かんだ。
「ん?そういえば、さっき会話はちゃんと出来てたけど文字ってどうなんだろ?」
…そう、魔界と日本じゃ大きな差があるのは明確だが、その差に文字は含まれているという事なのである。
そんな事を言ったら、さっきバフォ様と会話できてたじゃないかとツッコまれてしまうのだが。
「…まぁいいや。文字なら追々覚えていきゃ何とかなるだろ。
まぁもっとも、いまさらながらに他の言語を覚えるのはダルいけど。」
そんな事を考えている内に、ドアからコンコンとノックの音が聞こえてきた。
「お〜い、俊平!!まだ部屋に居るかの〜?居るなら開けてはくれんか〜?」
「…あー、はいはい。今すぐ開けますよっと。」
ドアを開けた先には案の定バフォ様だった。
「さぁ、俊平。お主の望む物はちゃんとその紙に書いておるかの?
…ウム、ちゃんと書けておるの。それと、これは金じゃ。その袋にはの、金貨が20枚、銀貨40枚、銅貨100枚入っておる。大事に使うようにの。
…ところで、これから入学式をやるんだが、お主は来るかの?一応は出席自由だから無理にとは言わないけどのぉ。」
…入学式か。自由って事らしいけど、どうすっかな〜。
まぁ、面倒だけど一応出てみるか。
「ああ、いいよ。それじゃあ、俺を会場まで連れて行ってくれ。」
…そう、俺はこれからこの学園で色々なことを学びながら過ごす。
それは、後々とても大変な方向へと向かって行くことになるが、この時点で誰も知るよしは無かった……。
「あ〜い……ふわぁ〜あ、っと。今日もダルいなぁ…。」
俺こと黛 俊平は何時ものように朝に起きた。何時もならここで2度寝を敢行するのだが…。
「俊平、早く起きなさ〜い!!アンタ今日入学式でしょ!!
早くしないと遅れるわよ〜!!」
…そう、今日俺は、高校生という階段を上がろうとしているのだ。
そして今日は入学式当日。時間を見ると、時刻は8時をちょうど過ぎた所だ。
「…あ〜、まだ8時か〜。8時8時〜……って8時!?やべぇ、遅刻する!?」
俺は急いで支度を終え、すぐさま学校へ向かう為に、玄関へ走った。
「あら俊平。朝ご飯食べていかないと調子でないわよ?」
うるさい。俺は今急いでいるんだ。
「ゴメン母さん。今日は朝食はいいや。んじゃ、いってきます。」
俺は今日から通う高校、私立丘園学園、通称『都市の園』へと急いだ。
「ヤベェヤベェヤベェ、マジでヤベェ。急がないとホントに遅刻しちまうぞ!?」
都市の園までは歩いて約10分の場所にあるが、道のりがほぼ上り坂という大半の生徒にとっては大変な場所にある。
だがしかし、都市の園は今のところ大学進学率、就職率共に100%という実績をのこしており、学生にとってはとてもありがたい高校なのである。
「ふぅ〜っ、何とか遅れずに済んだ〜っ。はぁ〜、ダルかった。」
相当ギリギリだったのか、周りには俺以外の生徒は見当たらなかった。
「…俺が最後、か。何やら下駄箱付近が騒がしいしとりあえずあそこまで行ってみっか。」
とまぁ、とりあえず校舎に向かって1歩。詳しくは学校の敷地内に1歩入った時だった。
「…アレ?校舎ってこんな感じだったっけ?」
気のせいだろうか…。何だか1周り大きい様な気がする。
「しかも、所々に豪華な装飾までついてやがる…。」
しかし、俊平はいつの間にか向こう側にあるはずのざわめきが聞こえなくなった事にまだ気付いていなかった。
「つか、この学校おかしいんじゃねえの?ここの校長は一体どんな趣味してんだよ…。」
「こんな趣味じゃがのう。それともお主、こんな豪華な装飾と変な趣味で括るでない。」
「ああ、そうか。そりゃ悪かったな…って、え?」
俊平が振り向くと、そこには可愛らしい少女が俊平の側に立っていた。
「…なぁ、君。ここは君みたいな小さい子供が来る場所じゃあ…って迷子かな?何処かに預ける所は…。」
面倒だが、とりあえず目の前の迷子を放置するほど愚か者ではないので、この場での適切な処置を取ったつもりだったが…。
「なんじゃお主!!儂が迷子じゃと!!馬鹿にするのもいい加減にせぬか!!
儂はな、この学園の校長をしておる誇り高きバフォメットのバフォ様じゃ!!」
「あ〜、はいはい。それで…って、校長?もしかしてあの校長か?」
「さっきからそう言っておろうに。でもまぁ、それでも今年からじゃがな。」
「そうか……。よし、それじゃあダルいから帰るか。」
正直これは夢だと思った。
だって、ありえんだろう。何だってこのご時世に、子供が校長をやってる学校があるんだ。
とりあえず、夢ならさっさと覚めてしまえと思ったが、
「ああ、先に言っておくが、これは夢ではないぞ。
今此処に存在するお主も儂も全て本物。よって、今この空間も幻ではなく現実ということになるがの。」
…訳が分からない。
目の前の自称バフォ様は、これは夢では無いと言っている。そして、これが夢でないという事は…
っていうか、今内心読まれたよね?そうだよね?
「…という事はここは何処なんだ?」
「そうじゃの…、ここは魔界。お主のいた世界とは、別の世界という事になるかn」
「よし分かった。だったらさっさと俺を元居た世界に返してくれ。」
よし決まった!!これで出来ないと言われても、夢から覚めるというフラグが立った!!
フフフ…、ハーーーッハッハッハ!!どうだ、俺の勝ちだぁーーー!!
「すまぬが、それは出来ぬの。」
「おっしゃぁ!!これでフラグが立ったぁーーー!!
さぁ、これで夢かr…。」
…あり?おっかしいなぁ〜。これで、夢から覚めると思ったのに…。
そこに、自称バフォ様から衝撃の事実がッ!!
「…さっき夢では無いと言ったであろう。まったく…、一体お主は人の話を聞かぬ癖でも持っておるのか?」
なん……だと………。
それじゃあ、俺は…アレか?異世界に召還されたものの、元居た世界には戻れないという事か?
「ちょい待ち。それじゃあ俺は…、これからの人生はどうなるってんだよ!!」
「そんな事儂は知らん……と言いたい所じゃが、お主の居た世界よりも良い待遇が受けられるのじゃが……どうするのじゃ?」
良い、待遇?何じゃそりゃ?
「…例えば、どんなのだよ?」
「まずは、学費の免除。これは、儂がお主を特待生として認めるということじゃの。
次に金の支給。見たところ一文無しという訳では無さそうじゃが、それでもこの世界の買い物には困るじゃろう?だから儂から支給する。
最後にこれはあまり関係無いのじゃが、ここは全寮制でのお主の部屋もちゃんと用意しておる。更に、お主の生活に足りない物があった場合出来る限りの範囲で用意してやるが、これでも元居た世界に返せと?」
「滅相も御座いません。僕をここに入学させて下さい。」
即答だった。
だってそうだろう?学費免除な上に金までタダでくれる。更に、部屋まで用意してくれるのであれば、断る理由がない。
「随分と早いの…。でも、まぁ良いのじゃ。
…それよりも、『王立エルフェンリート学園』、通称『魔物の園』にようこそなのじゃ。儂は、お主の入学を心より歓迎するのじゃ!!」
とりあえず、俺はバフォ様に連れられて学生寮へと案内された。学生寮と言っても、校舎内に設置されたシフトポータルを潜るといういたってシンプルなものだが、俺にとっては世界が反転したかと思うとすぐに別の場所へと移動する感覚が気持ち悪くてあんまり使いたくは無かったが。
「…ここが、お主の部屋じゃ。今日からここを自由に使っても構わんぞ。」
と言われて俺は部屋番号を見たが、何とも吃驚!!部屋番号はS-2573である。
「頭のSは言わば場所じゃな。そして2573がお主の部屋じゃ。」
もうちょい詳しく説明するとS-2573というのは、Sが言わば学生寮の場所つまりA〜Zまで別れている学生寮の場所、2573が25階73号室と言うことらしい。
「そうか、という事は…S-2572までもう他の生徒が使ってるという事か。」
「いや、そうでも無いがの?まぁ、単に儂の気分じゃ♪」
何ですとーーー!!単に気分なのかよ!!何か変な期待持って損したよ!!
「何が気分じゃ♪だよ!!おかしいだろ!!俺の希望する部屋は無いのかよ!!」
「まぁまぁ、そんなに怒る出ない。此処がお主の部屋とは冗談じゃ。
ほれ、お主の希望する部屋を言ってみるのじゃ。」
「ああ、そうだな……なるべく学園に近くて、1階辺りが良いんだが。」
「ほう、そうかそうか。それじゃあ付いてくるのじゃ。」
そして、向かった先はA-0115だった。
「…うん、オッケーオッケー。此処なら全然大丈夫だ。」
「ならば、この部屋に決定じゃの。
それじゃあ…ホイ。それはその部屋の鍵じゃ。だから、大事に扱うようにの。」
バフォ様が俺に渡してきた鍵は2つあった。1つは自分用として…あと1つはスペアか。納得納得。
「ああ、それと欲しい物は紙に書いておくようにの?
昼にそれを取りに来るからの。ついでに金の方もそこで渡そう。」
と言ってバフォ様は1人何処かへ行ってしまった。
…まぁ書くのはメンドーだが、書かないと多分何も無い部屋状態になるのだからそれだけは避けたい。
「まぁ、何にせよとりあえず部屋に入るか。」
……ガチャガチャッ……ギーィ………
とりあえず部屋の中に入った俺は、自分の目を疑った。
「おお、広ぇ!!何だこの部屋、キッチンにリビング、更に寝室まで付いているのかよ!!しかもベットもデケェ!!」
全ての部屋には何も無かったが、とにかく広い。大人数でパーティーでもするのかって位のリビング、キッチンは色々な道具が揃ってて高級料理店の厨房を思わせる。更に、寝室にはベットがある。と言ってもダブルベットである。それを入れてもまだまだスペースのある寝室である。
これに、トイレと浴室も付いているんだから凄い。
「スゲェな…。っと、当初の目的を忘れてた。エ〜ト紙は…っと…、を、あったあった。」
俺はベットの上に置いてあった紙とペンを見つけると、即座に今為すべき事に取り掛かった。
「…フム、今いる物はこんなモンか。」
俺が書いたのは、机と椅子、テーブルにソファ。更に、服に食材にその他諸々。とりあえず今必要な物を書いてみた。
と、ここで不意に俺の頭に疑問が浮かんだ。
「ん?そういえば、さっき会話はちゃんと出来てたけど文字ってどうなんだろ?」
…そう、魔界と日本じゃ大きな差があるのは明確だが、その差に文字は含まれているという事なのである。
そんな事を言ったら、さっきバフォ様と会話できてたじゃないかとツッコまれてしまうのだが。
「…まぁいいや。文字なら追々覚えていきゃ何とかなるだろ。
まぁもっとも、いまさらながらに他の言語を覚えるのはダルいけど。」
そんな事を考えている内に、ドアからコンコンとノックの音が聞こえてきた。
「お〜い、俊平!!まだ部屋に居るかの〜?居るなら開けてはくれんか〜?」
「…あー、はいはい。今すぐ開けますよっと。」
ドアを開けた先には案の定バフォ様だった。
「さぁ、俊平。お主の望む物はちゃんとその紙に書いておるかの?
…ウム、ちゃんと書けておるの。それと、これは金じゃ。その袋にはの、金貨が20枚、銀貨40枚、銅貨100枚入っておる。大事に使うようにの。
…ところで、これから入学式をやるんだが、お主は来るかの?一応は出席自由だから無理にとは言わないけどのぉ。」
…入学式か。自由って事らしいけど、どうすっかな〜。
まぁ、面倒だけど一応出てみるか。
「ああ、いいよ。それじゃあ、俺を会場まで連れて行ってくれ。」
…そう、俺はこれからこの学園で色々なことを学びながら過ごす。
それは、後々とても大変な方向へと向かって行くことになるが、この時点で誰も知るよしは無かった……。
12/08/14 04:15更新 / @kiya
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