朝の搾精と懲罰房
「…起きなさい。」
個室に女の声が響いた。
…ゆっくりと目を開ける。部屋には窓は存在しない為時間は分からないが、魔動機による灯りが室内を照らしていた。
「気分はどうですか?」
一体何時間眠っていたのかはわからない、しかし十分な睡眠は取れたらしく特に疲労は残っていなかった。
「あ…おはようございます。大丈夫です…。」
寝起きのぼやけた頭でやや答えになっていない返事を返す。
「はい、おはようございます。では朝の搾精をはじめましょうか♪」
そして自分が今何処に居るのかを思い出した。
………………………
「あの…これは…?」
「搾精機ですが何か?」
………。
改めて目の前に差し出されたソレを見る。彼女が壁のスイッチを押すと突然床の一部に穴が空き、そこから触手状の管が飛び出したのだ。さらにその先端に部屋の隅に備え付けの棚に収納されていたアタッチメントを連結させ、その搾精機とやらは完成する。
「どう見ても生きてるんですがそれは…」
触手部分は勿論、先端のアタッチメントまでやけに有機的なソレはヒクヒクと蠢きながら時折内部から微細な触手を覗かせていた。
「まぁ、森の生物を改良したものですから。昨日貴方に寄生させたモノと組成的にはほぼ同じです。…さあ服を脱いでください。」
「いや、使い方を教えて貰えれば一人でやりますから…」
昨日偶然見てしまった搾精の光景を思い出す。人の見ている前でアレに精液を搾られているところなど想像したくも無い。
「ダメに決まっているでしょう。貴方には私の見ている前で強制的に与えられる快楽に悶えて貰わなければ意味が無いのです。」
やっぱり…しかしここは食い下がらなければ。
「いや、でも…」
「…あまり反抗的だと罰として今夜はおねしょさせますよ。」
「ごめんなさい許してください。」
土下座して謝罪する。
うん、やっぱり駄目だったよ…
しぶしぶズボンに手を掛けた。
「シルエラ。」
「はいお嬢様♪」
「うわ、また出たッ!?」
昨日と同じように突然背後に彼女は表れた。そして流れるような動作でこちらを抱きすくめ、下穿きを脱がしてゆく。
昨日はあまり意識しなかったが、ルリエとは対照的に彼女は男性と比較してもかなりの長身だ。そんな彼女に抱きすくめられれば、ましてや今のこの縮んでしまった身体では文字通り包み込まれているような形になってしまう。そして昨日と同じように不思議な脱力感に襲われ下半身を露出したまま床にへたり込んでしまった。
「はい、じっとしててくださいね〜♪」
まるで子供をあやすような調子で囁かれながら、背後から回された手により股を開かされる。抵抗する力はいつの間にか奪われていた。このサキュバス固有の能力なのか、はたまた纏う雰囲気と技術の為せる技か、シルエラに抱かれると条件反射の如く全身を心地良い脱力感が包み、そのまま抵抗の意志まで強制的に溶かされてしまう。そうして露わになった、今はもう無毛のそこに搾精機が近づけられた。
「あっ‥、」
快楽に対する期待も多少あったのか、すでにやや固くなっていたそこを吸い込むように飲み込んだ。そして内部の構造が一斉に搾精動作を開始する。
「ひああぁ…」
謎の粘液でぬめるその筒状の物体内部にびっしりと敷き詰められた毛糸程のサイズの触手が縦横無尽に肉茎を舐め回す。さらに筒自体も蠢き収縮し、グニグニと揉み込むような刺激を与えてきた。包皮の中にも触手が侵入し、いとも簡単にそれを剥いてしまう。未成熟な性器の敏感な部分を直接舐め擽られ、あっという間に射精感が押し寄せた。そして堪える間もなく限界に達する。
「あふ…」
正面に陣取ったルリエが見つめる中、射精が始まると筒の動作が搾り出すようなそれに変わり更に吸引が加わり、効率的に精液が吸い取られていく。
「ふふ、早いですね♪…あ、いいんですよ?ここでは早いことは良いことですからね♪それより…、」
耳元でシルエラが囁いた。そして抱く力を強める。
「そろそろ始まりますよ♪」
彼女がそう言った瞬間、筒内部の構造が変化を始めた。それまで肉茎全体を満遍なく舐め擽っていた触手の群れが短く縮み、やや硬度を増して先端に集まってくる。そして射精直後で敏感になった亀頭部分を集中的に責め始めたのである。
「うああああああーーーーッ!!と、止めッ…あがあああッ!!」
耐え難い刺激に手足が勝手に暴れ出すが、がっしりと抱きすくめるシルエラの身体からは逃れられない。振り乱す頭が彼女の胸に埋まるだけだった。そして程なくして今までとは違う、不思議な脱力感が湧き上がってくる。
「はうう…ッ!!」
何かが噴き出した。じんわりとした脱力感と快感と呼ぶには強すぎる刺激がないまぜになった不思議な感覚の中でそれは自分の制御を離れ、勝手に漏れてゆく…。それは昨日強制的に失禁させられた時の感覚に似ていた。
「ふふ、潮を噴いたのは初めてですよね?本来懲罰用なんですけど…お嬢様の意向で貴方には毎日使ってもらいますから、頑張って慣れてくださいね♪」
「…まあ簡単に慣れさせる気はありませんが。」
すかさずルリエが言い放った。
「あっ…ぁっ……」
漸く筒内部の動きが緩やかになり、吹き飛ばされていた思考が戻ってきた。これも彼女なりの意趣返しの一つなのだろう。
張っていた力が抜け、上体が後ろへ倒れ込んだ。後頭部がシルエラの胸に沈む。その柔らかな感触につい甘えたくなってしまう。
「はい♪よくがんばりました。」
するとまるでその一瞬の感情を読み取ったかのように彼女は優しく抱き締めてくれた。
「…さて、今日のところはとりあえず、これで朝の搾精は終わりです。朝食に向かいましょうか。」
…………
……
…。
食堂として連れてこられた場所には自分の他にも数多くの人間の男性と彼らを連れる魔物が居た。
「あまり私たち以外の魔物には近付かない方がいいですよ。いたずらされるかもしれません。」
ルリエがそう忠告すると男を連れていない魔物達の何人かがサッと顔を背けた。
「ここでは基本的な食事の他にアルラウネの蜜やホルスタウロスのミルクなんかも販売しています。懐に余裕が出てきたら利用してみるのもいいかもしれません。」
「ここでお金を稼ぐことなんて出来るんですか?」
「はい、余分に精を出していただければ。」
あっ、そういう…
とりあえず案内されるがまま列に並び、一人分の食事を受け取って席に着いた。二人は当然のように両側に陣取った。
「…。あなた達は食べないんですか?」
「あらシルエラ。彼が私たちに朝食をくれるそうですよ?」
「まあ♪それではお言葉に甘えていありがたくただきましょうか♪」
「ゑ?」
何かおかしな事を言っただろうか…?
「シルエラ、貴女からどうぞ?」
「はい♪ではお先に失礼しますね〜♪」
そう言うと突然、彼女の姿が消えてしまった。
「…え?」
そして次の瞬間には、此方の股の間に出現していた。それが魔術によるものなのかシルエラの本来持つスピードなのかはこの際どうでもいい。
「では、いただきます!」
なぜなら止める間もなく彼女はズボンからペニスを取り出し、その口に咥え込んでしまったからだ。
「…っ!?何を…」
「朝食をくれるのでしょう?サキュバスの食事が何かはご存知ですよね?」
右隣のルリエが意地悪くニヤついた笑みで言った。
「べ、別にあげるとは一言も…はぅぅ!?」
反論を許さないとばかりにシルエラの責めが加速した。
「ほらほら、手が止まっていますよ?あまり長居しても迷惑ですからさっさと食べてしまってください。…なんなら私が食べさせて差し上げましょうか?」
それどころではないのを明らかに分かった上で言っている。こちらは食事を続けるどころかテーブル下での刺激が凄すぎて叫ばずに居るのが精一杯だった。
「くふッ…」
根元まで飲み込んだそれを長い舌が蹂躙する。その動きは複雑かつ精緻、まるで口の中に3枚の舌があり、それらが別々の意志を持って動いているような錯覚すら覚えた。寝起きに一度搾られたとはいえ、人の身で耐えられるものではなく…
「ぁっ……ぁ…ぁ…」
程なくして弾ぜた。すかさず吸引が加えられ舌の動きも表面を舐め取るような、いたわる様なものに変わった。あまりの心地よさに今自分たちが何処にいるか忘れて上半身が崩れ落ちそうになる。が、なんとかテーブルに突っ伏す寸前で踏みとどまった。
「ホラホラホラ、吸われてる間がチャンスですよ。食べ終わるまで続けますから手と口を動かしてください。」
そう言っている間にも舌の動きが2発目を求めるそれに変わった。
「ひぃぃ…やめ……っ」
聞く耳を持たない。本当に食べ終わるまで続ける気らしい。観念して震える手でパンを掴み口に詰め込んみ水で流し込むように食べ始めた。
……、
…。
「終わった…。」
4、5回は搾られただろうか。妙なことを言うんじゃなかった…、口は災いのもととはこのことだ。
「はい、お疲れ様でした。次は私の番ですね。」
「ゑ?」
「…まさかシルエラにはあれだけ出しておきながら私には一滴もくれないと?」
「いや、だってもう……」
流石にもう出し尽くした気がする。
「本当にそうでしょうか?」
突然股間全体がくすぐったい何かに包まれる感触が襲った。ルリエの両手はテーブルの上にあり、シルエラももう既に左の席に戻っている。そしてその何かは腰を広がり椅子に触れているはずの臀部まで覆い尽くした。まるで羽毛で出来たパンツを穿かされているようだ。そしてその羽毛の群れが一斉に蠢きだした。
「ウヒァ!?なッ何だこれ…!?」
「魔術による搾精を行います。流石に今の状態で私が直接手を触れるのは酷かと思いますので。感謝しなさい。」
どうやら彼女なりに手加減してくれているつもりらしい。しかしそれでも魔力で出来た搾精下着は容赦がなかった。尻たぶから肛門を通り、袋に至るまで余すとこなく包み込み擽り回す。その上揉むように蠢きながら締めつけてくるのだ。程なく再度射精感が沸き上がってきた。
「はぅ…」
「…ほら、まだ出せるじゃないですか。ここは魔界ですから、空気中の魔力が精力を底上げするのです。」
彼女の目の前に白の雫がふよふよと浮かんでいる。今出したばかりの精液だ、おそらく魔術で転送したのだろう。そして彼女は軽く指を振り、それを口へと運んだ。
「……。おいしいじゃないですか。生意気です。」
なんで不機嫌になるんだ…。
「さぁ、他の方の邪魔ですから食べ終わったらさっさと行きますよ!」
「……。」
ふらつく体をシルエラに支えられながら石造りの廊下を歩きだした。
「…ちょっと搾り過ぎました。午前中は施設の案内も兼ねて見学にしましょう。あとコレはサービスです、飲んでおきなさい。」
食堂を出る際に彼女は言い、そして白い液体の入ったビンをくれた。ホルスタウロスのミルクだそうだ。疲労回復、精力回復の効果があるらしい。
…あれ、優しい?
「先ほどのが食堂、そして隣に購買部があります。お金が貯まったら計画的に利用するといいでしょう。また、ここをまっすぐ進んで突き当たりを右に行った所に一応教会があります…が、よく人が消えるのであまりお勧めできません。」
「絶対に行かんわ。」
なんでそんな怪奇現象が放置されているのだ。
「…そしてこれから行く所は懲罰房です。」
先ほどの説明で右にその物騒な教会があると言っていた突き当たり、その壁面に彼女が掌をかざす。するとその石造りの壁が透き通り消えてしまった。
「隠し通路…」
「逃亡対策の一つです。施設職員しか通れません。」
壁面に現れた通路をくぐる。内部の様子は他と全く同じだった。
「あらあら、ルリエさんでわないですか〜!…あらあらあら?その子は新しい懲罰対象です?」
隠し通路を通り抜けると一人のサキュバスがパタパタとやってきた。柔和な笑みを浮かべた、懲罰房という物騒な場所にはそぐわない見るからに温厚そうな女性である。
「いえ、今日は見学です。昨日入ったコレに、此処は案内しておいた方がいいかと思いまして。」
コレとは何だコレとは。
「それはそれは。あ、私ルルと申します。以後お見知りおきを♪」
「あ、どうも。ミハイロフスキです。よろしくお願いします。」
ルリエとは違ってフレンドリーで優しそうな女性だ。こんな人が自分の担当だったら、もっと違った生活が待っていたかもしれない。
「彼女は暗示の名手で幼児化調教が趣味の変態です。近づいてはいけません。」
「ちょっ…!」
ルリエがさらりととんでもない事を言った。
「彼女の暗示に掛かれば3日でオネショが再発し、1週間でオムツが取れなくなり、2週間で立つ事を忘れ、3週間で母乳以外を口に出来なくなります。そして最終的には肉体も幼児サイズに退行させられ、その上記憶や羞恥心等は大人のままという最悪の…」
「他人の趣味をとやかく言わないでください!」
ルリエさんが担当で本当によかったですハイ…。
一通り口論したのち、ルルと名乗ったサキュバスがくるりと振り返った。
「では、私がご案内させていただきますね♪お二人はこちらの休憩室でごゆっくりと…」
「いえ、私たちも行きますが。」
「デスヨネー……。」
「まったく、ホントに油断も隙も無い…。」
なんだか既視感のあるやりとりののち、奥へと案内される。この時ばかりはルリエが少し頼もしく見えた。
案内されて進んだ一本道の両側の壁には小さなプレートが等間隔で並んでいた。
「そのプレートのある所がそれぞれ個室になっています。そこで担当官の注文に沿った懲罰が行われています。…あ、懲罰と言っても別に危険な事はないので、安心して、気軽にいつでも罰を受けに来てくださいね?」
「いやそれは…」
わざわざ自分から罰を受けに来る人間がいるわけ無いだろう…。
「ここでの懲罰は基本的に快楽を以て行われます。お仕置きと言うよりもここでの生活を受け入れていただくための処置という意味合いが強いので。ハマる人も多いんですよ?
…そうそう、この方も此処に来たばかりなのですが、なかなか馴染めなさそうだとのことで昨日の夜からここに入っているんです。」
そう言って彼女は通路右側の壁、並んでいるプレートの一つに手をかざした。
「うわっ!?」
彼女がプレートを操作した瞬間、壁が透明に透き通り、中の様子が露わになる。そこに居たのはなんと見知った顔だった。
「あ、昨日の…」
昨日、最初の説明を受けた時に唯一刃向かい、ダークエルフの鞭に打ち据えられた勇者の少年だった。手足をだらりと弛緩させ、投げ出した状態で床に座っている。彼の両隣には二人の魔物が侍り、豊かな肢体を押し付けながら両の耳を舐めしゃぶっていた。
「声も聞きます?」
ルルが更にプレートを弄る。すると内部の音まで聞こえて来た。
「…ぁーー………ぁっ……ぁ…。」
「あらあら、もうまともに喋ることも出来ないみたいですね。」
「ちなみに彼が受けているのはグール二人による耳責め12時間コースです。ご存じかもしれないですが、グールの唾液には強力な浸透性媚薬の効果があって、触れた所をあっという間に性感帯に変えてしまうんです。12時間もずっと同じ箇所を舐められ続けたらそこの感度は半永久的に戻らないでしょうから…今後耳許で囁かれる度に絶頂する事になるでしょうねぇ…。ふふ、明日から大変ですね♪」
少年勇者の目に既に光は無かった。涙と涎と鼻水を垂れ流し、時折小さな喘ぎ声を上げるのみとなった姿は正に廃人のそれだ。仮にここから出ることが出来ても今後まともな生活が出来るのかさえ疑問だ。
「ええと…記録によると、開始一分で一度目の射精を伴わない絶頂を経験し、開始五分で一度目の失禁、その後も絶頂と失禁を何度も繰り返し9時間が経過。今では軽めの絶頂が常に継続している状態とのことです。つまりイキっぱなしですね。」
ルルがさも愉しそうに言った。いくら温厚そうな雰囲気を振りまいてはいても、やはり中身は魔物なのだ。価値観の違いを再認識する。
「あ、因みに中からは此方は見えませんし音も届かないのでご安心を。では次に行きましょうか。」
そう言うと彼女はプレートを操作し、壁を元に戻すと先へ進んだ。
「部屋の数は結構なものでして、とても一日では回りきれないので、今日は私の独断と偏見で選んだお勧めのところだけを何カ所かご紹介しますね。」
「いや、入りませんからね!?」
「まぁとりあえず全部見てからということで」
もう帰りたい…。
「次はこちらですね。」
先程の話の通り、壁に張り付いたプレートごとに懲罰房が存在するのだとするとおおよそ十数部屋分を通り過ぎ、奥へと進んだ。そしてあるプレートの前で立ち止まり、先程と同様にそれを操作する。壁が透け、顕わになったその先には最初の部屋とは全く異質の光景が広がっていた。
「んぶ…、むぐぅ……ッ!?」
男の苦しげな呻き声が響く。部屋の中央には巨大な白い塊が鎮座し、一人の男がそれに抱き着く様な形でうつ伏せに拘束されていた。
「…何これ?」
男の手足はその白い塊に半ばまで飲み込まれ、胴体が柔らかなその謎の物体に沈み込むまでに密着させられていた。
「これも触手の森に自生する搾精植物の改良種の一つですよ。あのように人が触れると瞬時に拘束し、股間が当たる部分に開いた搾精口で精を搾り取ります。さらに、捕らえた獲物にはあのように栄養を与えながら、長期間に渡って飼育する習性があるので一切の世話が必要ありません。」
よく見ると男が顔を埋めている辺りに女性の乳房の様なモノが形成されており、その先端を強制的に咥えさせられていた。おそらくあそこから栄養が与えられているのだろう。
「また、定期的に触手を生やして汗や皮膚の老廃物を食べてくれるので身体も清潔に保たれます。」
至れり尽くせりで逃げ場が無い。例えばこれを大量に生産し、それらに自分のように不老化した男を取り付ける事で簡単に永久機関としての魔力炉が出来てしまう。その光景を想像し、少し背筋が寒くなった。
「私達魔物に対して特に忌避反応を示す人がこういった部屋に入れられます。これはほんの一例で、色んな種類がありますから、今度詳しくご紹介させてください。きっと気に入るモノが見つかりますよ♪」
「いや、結構ですから。…それで、この人はいつまでここに居ればいいんですか?」
どうやらコレを使ってプラント建設のような発想は、少なくとも此処では無いらしい。あくまで魔物が直接対応出来ない場合の暫定的な処置のようだ。
「まあ、魔物に対して助けを求められる位には順応するか、でなければ快楽で少しおつむが緩くなるまでですかね。あんまり明確な基準は無いんですよ。たまにフリーの娘が来て気に入った相手に声をかけていきますけどね、それでオーケーならそのままお持ち帰りです。」
(そういう所はテキトーなんだなぁ…)
「では次の部屋に…」
再び歩みを進める。今度はかなり長かった。やがて現れた十字路を右へと…。区画ごとに同種の部屋が固まっているとすると、先程の様な無人搾精室は相当数あるということなのかもしれない。
しかし、どのような人間がここに連れてこられるかを考えれば当然といえば当然。その点では自分は幸運な方なのだろう。教義に殉じて無駄な抵抗をする義理も意志も無いのだから…。逃走の機会も反撃の目ももはやあり得ないことは解りきっている。ならばせめてこんなところにぶち込まれないよう、せいぜい模範囚を演じ続ける事が最良の選択の筈だ…。
そんなことを考えながら案内されるままに道を進むこと十数分、ようやく次の目的地に着いたようだ。
「ここからは本格的においたをした人への“お仕置き”を主目的とした部屋になります。例えば脱走を企てた者、暴力を振るった者等、あと他の収監者への嫌がらせや苛め行為等は特に厳しく罰せられますので注意して下さい。一応痛みを伴うモノは無いですけど、それでも比較的苦しい責めが主体になります。あ、もしそういった行為を目撃したら通報してくださいね?隠すと為になりませんよ?さもないとこのように…」
そう言ってルルがパネルを操作する。その瞬間、廊下に男の爆笑が響き渡った。
「ひいぃーーひひひゃはははッ、あひッ、も、もうやべでぇぇぇーッ!!」
「まだまだぁ♪一分後に更に一段階感度が上がるよぉ♪」「それとももう一人増やす?」「どっちがいい?早く選ばないと両方やっちゃうよー♪」
「どっぢもいやだああぁぁぁーッははは!」
中では一人の男が三人の妖狐に取り囲まれ、苛烈な擽り責めを受けていた。
男の両手は天井から生えた極太の触手に肘の手前まで呑み込まれ、それによって男自身も宙に浮かされている状態だ。そうしてがら空きになった脇腹に、背中に、足に、3人の手指と尻尾が纏わり付く。
「さあさあ、どっちにするぅ?アト10秒で決めないとホントに両方やっちゃうよ?」
背中に張り付いた一体が脇腹と胸に手を這わせながら耳元で囁く。
「ひひぃぃっ…じ、じゃあもう一人ぃひひひはぁッ!!」
「はいかしこまりましたぁ!」
ボゥンと小さな爆発が起こり、煙の中からもう一人妖狐が現れた。彼女は男を一瞥するとその瞳を嗜虐的に歪め、すぐさまフリーになっていた彼の左足に飛びついた。そして胸の谷間で膝を挟み込むように抱きしめると、回した両手で太股の内側を擽り始める。同時に彼女の持つ5本の尻尾が膝下を包み込み、妖しく蠢いた。
「ひやあぁぁぁーッ!」
それだけで、それまで全く触れられていなかったペニスから今日おそらく幾度目かであろう精液が噴き出した。
「あーあー、イっちゃった。じゃあペナルティね♪」
背中の妖狐がそう言うと、右の脇腹を擽っていた手を止め、男の目の前に掲げる。するとその指先に淡い桃色の光が灯った。
「や、やめろぉぉ…」
制止する男の声を無視し、その指は彼の右胸に這い、ルーンを描く。描かれた紋様は一瞬光を放つと、彼の身体に吸い込まれるように消えていった。
「ぁひぃぃ……。」
ルーンが消えた瞬間、笑い狂っていた男の表情が一瞬溶けた。しかしその脱力の瞬間を狙うように、脇腹への責めが再開され、すぐに元の、いや、先程よりも更に凄惨な笑顔へと戻っていった。
「ひぇぇ……。」
「ちなみにそこの妖狐は、本体は一人で残りは彼女の分身です。この部屋のルールとして、懲罰対象者は一定時間ごとに分身を一人増やすか、身体の感度を上げる魔術をかけられるかのどちらかを選ばなければなりません。また、射精や失禁をした場合は罰としてその都度あのように快楽のルーンを刻まれます。更に、この部屋自体に仕掛けられている術式により、中に居るだけで男性は日を追うごとに擽りに弱くなっていきます。」
「……。」
「ふふ、入りたくなりました?」
「…ッ!?い、いやそんなわけ…」
「この部屋には治癒の魔術も掛かっているので翌日筋肉痛になることもありませんよ?」
「いやそういう問題ではなく…」
目の前で笑い狂う男が味わっている地獄がどれほどのものか、想像もつかない。しかし、死ぬ程苦しい事だけは確かだろう。そんな所に自分からわざわざ入りたいと思う人間など居るはずがない。…居るはずが無いのに何故か自分の下半身は反応していた。
「クスッ。ではそろそろ次へ行きましょうか。」
有情にも気付かないふりをしてくれたルルは更に次の部屋を案内する。ルリエにだけは見つからないように気を付けなければ…それを理由に本当にここへ放り込まれかねない。
……、
…。
「むぐ…むうぅぅーー!」
次に案内された部屋は打って変わってシンプルだった。小さな石造りの個室の中央に簡素な椅子が一つ、そこに男が座らされ、拘束されている。そしてその膝の上に対面の体勢で座ったホルスタウロスに、その胸による窒息責めを受けていた。
彼の頭は谷間に完全に埋没し、更に両腕で乳房の上から圧迫される。温厚な種族とはいえ、ミノタウロス種の腕力でここまで拘束されてしまったらもはや逃れる術は無いだろう。事実、男が床に固定された椅子が軋む程暴れ、首を振り乱しても、びくともしない。
「ちなみにこの部屋にも仕掛けがあって、人間に対しては強烈な効果を発揮する魔物の淫気をかなり濃い濃度で充満させてあります。そしてあのように呼吸を制限されれば、それが許された時、思い切り淫気を吸い込む事になります、…魔物の体臭と一緒に。」
ルルがそう説明したところでちょうど男の顔を押さえる腕が緩められた。そして男が僅かに開いた谷間の中で空気を求め、必死に息を吸い込むと同時に、彼の腰の上に乗った大きな尻がくねった。ただそれだけで男は身体を震わせ、絶頂に至る。
「あのように条件付けしながら、匂いを嗅ぎながらイく癖をつけることで、最終的にはおっぱいの匂いを嗅ぐだけで絶頂に達する身体に調教します。」
「……。」
「次に行きましょうか。」
淡々と説明を終え、次の部屋へ移動する…。
「あはっ、もっと出しなさいッ!もっとォ!!」
「んんーーーーッ!!」
次に案内された部屋では男が二人のエルフに犯されていた。神秘的なほど白い肌に金色の長髪、更に顔の造りまで瓜二つだ。
片方は仰向けに寝た男に跨がり夢中で腰を打ちつけ、また片方は男の唇に吸い付き激しくしゃぶり立てていた……と、ここまで書けば特に懲罰房でなくともこの施設であれば普通に見られそうな光景である。ならば何が違うのかと言えば、男を犯す二人の、その気迫が異常だった。腰を打ち下ろし、捏ね回す度に汗の雫を飛び散らせるその身体からは湯気が立ち上り、揺れる乳房からは乳汁が迸り、壊れたように繰り返し精を要求する口からはだらだらと涎が流れ落ちる。男の唇に吸い付いていた方は今度は耳や首周りを必死に舐め回している。
「魔力に侵されたエルフは通常、精の摂取をできる限り我慢しようとします。しかし、我慢すればするほどタガが外れたときに淫乱になってしまう…その末路があれです。」
ルルが何とも言えない微妙な表情で説明を始めた。
「普通精の摂取を我慢すると言っても限度があります。しかし彼女ら姉妹は森を追われた後、長期に渡ってそれをしなかった。…おそらく近くに人間が居なかったのでしょう。結果魔界付近まで流れ着き、半狂乱になっていたところを魔王軍が保護しました。」
「彼女らの性欲は底無しです。しかも何故かいつも二人掛かりで同じ相手に襲いかかりますから、下手に男性を与えればあっという間に壊してしまう。そこで懲罰房に入れられている男性に交替で相手をしてもらう事になっています。」
…なんだか扱いが動物とその餌のようだと思ったが肯定されても嫌なので黙っていることにした。
……その後も懲罰房の見学は続いた。触手で出来た椅子に拘束され、ただひたすら身体中を責められる者。スライムの水槽に全身を埋められている者。奇妙な機械で謎の音楽を聴かされ、何故か絶頂し続ける者。ルーンを刺繍された服を着せられ、快楽にのたうち回る者…。魔界ならではの様々な方法で、お仕置きと称した快楽責めを受けていた。
「そしてこちらが…あら、もうこんな時間?」
気づけば時刻は既に正午を回っていた。
「今日はここまでにしておきましょう。午後はしっかり搾りたいので…。」
「ええー!?まだ私の部屋を案内してないのにーッ!」
ルリエがそう切り上げようとするが、ルルが抗議の声を上げた。
「ねー。キミも私の担当部屋見たいですよねー?」
「…え、遠慮しておきます。」
先程のルリエの話を思い出し、丁重にお断りする。
「そんなー…」
……、
…。
「案内ありがとうございました。また来ます。」
「今度私に調教させてくださいね?」
「はぁ…あんまり反抗的な様だったら考えてみますよ。」
(ひぃぃぃぃ…。)
ルルに別れを告げ、入ってきた隠し通路から懲罰房を後にした。…取りあえず無駄な抵抗はろくな目に遭わなそうだということだけは分かった。
「あ、そうだ。」
「はい?」
先を行くルリエが突然振り返る。そこにはこれまで幾度か見た嫌な笑みが張り付いていた。
「今度蟲を使わずに失禁するまで擽ってあげましょう。」
「許してくださいなんでもしますからッ!!」
苦難の日々は続く…。
個室に女の声が響いた。
…ゆっくりと目を開ける。部屋には窓は存在しない為時間は分からないが、魔動機による灯りが室内を照らしていた。
「気分はどうですか?」
一体何時間眠っていたのかはわからない、しかし十分な睡眠は取れたらしく特に疲労は残っていなかった。
「あ…おはようございます。大丈夫です…。」
寝起きのぼやけた頭でやや答えになっていない返事を返す。
「はい、おはようございます。では朝の搾精をはじめましょうか♪」
そして自分が今何処に居るのかを思い出した。
………………………
「あの…これは…?」
「搾精機ですが何か?」
………。
改めて目の前に差し出されたソレを見る。彼女が壁のスイッチを押すと突然床の一部に穴が空き、そこから触手状の管が飛び出したのだ。さらにその先端に部屋の隅に備え付けの棚に収納されていたアタッチメントを連結させ、その搾精機とやらは完成する。
「どう見ても生きてるんですがそれは…」
触手部分は勿論、先端のアタッチメントまでやけに有機的なソレはヒクヒクと蠢きながら時折内部から微細な触手を覗かせていた。
「まぁ、森の生物を改良したものですから。昨日貴方に寄生させたモノと組成的にはほぼ同じです。…さあ服を脱いでください。」
「いや、使い方を教えて貰えれば一人でやりますから…」
昨日偶然見てしまった搾精の光景を思い出す。人の見ている前でアレに精液を搾られているところなど想像したくも無い。
「ダメに決まっているでしょう。貴方には私の見ている前で強制的に与えられる快楽に悶えて貰わなければ意味が無いのです。」
やっぱり…しかしここは食い下がらなければ。
「いや、でも…」
「…あまり反抗的だと罰として今夜はおねしょさせますよ。」
「ごめんなさい許してください。」
土下座して謝罪する。
うん、やっぱり駄目だったよ…
しぶしぶズボンに手を掛けた。
「シルエラ。」
「はいお嬢様♪」
「うわ、また出たッ!?」
昨日と同じように突然背後に彼女は表れた。そして流れるような動作でこちらを抱きすくめ、下穿きを脱がしてゆく。
昨日はあまり意識しなかったが、ルリエとは対照的に彼女は男性と比較してもかなりの長身だ。そんな彼女に抱きすくめられれば、ましてや今のこの縮んでしまった身体では文字通り包み込まれているような形になってしまう。そして昨日と同じように不思議な脱力感に襲われ下半身を露出したまま床にへたり込んでしまった。
「はい、じっとしててくださいね〜♪」
まるで子供をあやすような調子で囁かれながら、背後から回された手により股を開かされる。抵抗する力はいつの間にか奪われていた。このサキュバス固有の能力なのか、はたまた纏う雰囲気と技術の為せる技か、シルエラに抱かれると条件反射の如く全身を心地良い脱力感が包み、そのまま抵抗の意志まで強制的に溶かされてしまう。そうして露わになった、今はもう無毛のそこに搾精機が近づけられた。
「あっ‥、」
快楽に対する期待も多少あったのか、すでにやや固くなっていたそこを吸い込むように飲み込んだ。そして内部の構造が一斉に搾精動作を開始する。
「ひああぁ…」
謎の粘液でぬめるその筒状の物体内部にびっしりと敷き詰められた毛糸程のサイズの触手が縦横無尽に肉茎を舐め回す。さらに筒自体も蠢き収縮し、グニグニと揉み込むような刺激を与えてきた。包皮の中にも触手が侵入し、いとも簡単にそれを剥いてしまう。未成熟な性器の敏感な部分を直接舐め擽られ、あっという間に射精感が押し寄せた。そして堪える間もなく限界に達する。
「あふ…」
正面に陣取ったルリエが見つめる中、射精が始まると筒の動作が搾り出すようなそれに変わり更に吸引が加わり、効率的に精液が吸い取られていく。
「ふふ、早いですね♪…あ、いいんですよ?ここでは早いことは良いことですからね♪それより…、」
耳元でシルエラが囁いた。そして抱く力を強める。
「そろそろ始まりますよ♪」
彼女がそう言った瞬間、筒内部の構造が変化を始めた。それまで肉茎全体を満遍なく舐め擽っていた触手の群れが短く縮み、やや硬度を増して先端に集まってくる。そして射精直後で敏感になった亀頭部分を集中的に責め始めたのである。
「うああああああーーーーッ!!と、止めッ…あがあああッ!!」
耐え難い刺激に手足が勝手に暴れ出すが、がっしりと抱きすくめるシルエラの身体からは逃れられない。振り乱す頭が彼女の胸に埋まるだけだった。そして程なくして今までとは違う、不思議な脱力感が湧き上がってくる。
「はうう…ッ!!」
何かが噴き出した。じんわりとした脱力感と快感と呼ぶには強すぎる刺激がないまぜになった不思議な感覚の中でそれは自分の制御を離れ、勝手に漏れてゆく…。それは昨日強制的に失禁させられた時の感覚に似ていた。
「ふふ、潮を噴いたのは初めてですよね?本来懲罰用なんですけど…お嬢様の意向で貴方には毎日使ってもらいますから、頑張って慣れてくださいね♪」
「…まあ簡単に慣れさせる気はありませんが。」
すかさずルリエが言い放った。
「あっ…ぁっ……」
漸く筒内部の動きが緩やかになり、吹き飛ばされていた思考が戻ってきた。これも彼女なりの意趣返しの一つなのだろう。
張っていた力が抜け、上体が後ろへ倒れ込んだ。後頭部がシルエラの胸に沈む。その柔らかな感触につい甘えたくなってしまう。
「はい♪よくがんばりました。」
するとまるでその一瞬の感情を読み取ったかのように彼女は優しく抱き締めてくれた。
「…さて、今日のところはとりあえず、これで朝の搾精は終わりです。朝食に向かいましょうか。」
…………
……
…。
食堂として連れてこられた場所には自分の他にも数多くの人間の男性と彼らを連れる魔物が居た。
「あまり私たち以外の魔物には近付かない方がいいですよ。いたずらされるかもしれません。」
ルリエがそう忠告すると男を連れていない魔物達の何人かがサッと顔を背けた。
「ここでは基本的な食事の他にアルラウネの蜜やホルスタウロスのミルクなんかも販売しています。懐に余裕が出てきたら利用してみるのもいいかもしれません。」
「ここでお金を稼ぐことなんて出来るんですか?」
「はい、余分に精を出していただければ。」
あっ、そういう…
とりあえず案内されるがまま列に並び、一人分の食事を受け取って席に着いた。二人は当然のように両側に陣取った。
「…。あなた達は食べないんですか?」
「あらシルエラ。彼が私たちに朝食をくれるそうですよ?」
「まあ♪それではお言葉に甘えていありがたくただきましょうか♪」
「ゑ?」
何かおかしな事を言っただろうか…?
「シルエラ、貴女からどうぞ?」
「はい♪ではお先に失礼しますね〜♪」
そう言うと突然、彼女の姿が消えてしまった。
「…え?」
そして次の瞬間には、此方の股の間に出現していた。それが魔術によるものなのかシルエラの本来持つスピードなのかはこの際どうでもいい。
「では、いただきます!」
なぜなら止める間もなく彼女はズボンからペニスを取り出し、その口に咥え込んでしまったからだ。
「…っ!?何を…」
「朝食をくれるのでしょう?サキュバスの食事が何かはご存知ですよね?」
右隣のルリエが意地悪くニヤついた笑みで言った。
「べ、別にあげるとは一言も…はぅぅ!?」
反論を許さないとばかりにシルエラの責めが加速した。
「ほらほら、手が止まっていますよ?あまり長居しても迷惑ですからさっさと食べてしまってください。…なんなら私が食べさせて差し上げましょうか?」
それどころではないのを明らかに分かった上で言っている。こちらは食事を続けるどころかテーブル下での刺激が凄すぎて叫ばずに居るのが精一杯だった。
「くふッ…」
根元まで飲み込んだそれを長い舌が蹂躙する。その動きは複雑かつ精緻、まるで口の中に3枚の舌があり、それらが別々の意志を持って動いているような錯覚すら覚えた。寝起きに一度搾られたとはいえ、人の身で耐えられるものではなく…
「ぁっ……ぁ…ぁ…」
程なくして弾ぜた。すかさず吸引が加えられ舌の動きも表面を舐め取るような、いたわる様なものに変わった。あまりの心地よさに今自分たちが何処にいるか忘れて上半身が崩れ落ちそうになる。が、なんとかテーブルに突っ伏す寸前で踏みとどまった。
「ホラホラホラ、吸われてる間がチャンスですよ。食べ終わるまで続けますから手と口を動かしてください。」
そう言っている間にも舌の動きが2発目を求めるそれに変わった。
「ひぃぃ…やめ……っ」
聞く耳を持たない。本当に食べ終わるまで続ける気らしい。観念して震える手でパンを掴み口に詰め込んみ水で流し込むように食べ始めた。
……、
…。
「終わった…。」
4、5回は搾られただろうか。妙なことを言うんじゃなかった…、口は災いのもととはこのことだ。
「はい、お疲れ様でした。次は私の番ですね。」
「ゑ?」
「…まさかシルエラにはあれだけ出しておきながら私には一滴もくれないと?」
「いや、だってもう……」
流石にもう出し尽くした気がする。
「本当にそうでしょうか?」
突然股間全体がくすぐったい何かに包まれる感触が襲った。ルリエの両手はテーブルの上にあり、シルエラももう既に左の席に戻っている。そしてその何かは腰を広がり椅子に触れているはずの臀部まで覆い尽くした。まるで羽毛で出来たパンツを穿かされているようだ。そしてその羽毛の群れが一斉に蠢きだした。
「ウヒァ!?なッ何だこれ…!?」
「魔術による搾精を行います。流石に今の状態で私が直接手を触れるのは酷かと思いますので。感謝しなさい。」
どうやら彼女なりに手加減してくれているつもりらしい。しかしそれでも魔力で出来た搾精下着は容赦がなかった。尻たぶから肛門を通り、袋に至るまで余すとこなく包み込み擽り回す。その上揉むように蠢きながら締めつけてくるのだ。程なく再度射精感が沸き上がってきた。
「はぅ…」
「…ほら、まだ出せるじゃないですか。ここは魔界ですから、空気中の魔力が精力を底上げするのです。」
彼女の目の前に白の雫がふよふよと浮かんでいる。今出したばかりの精液だ、おそらく魔術で転送したのだろう。そして彼女は軽く指を振り、それを口へと運んだ。
「……。おいしいじゃないですか。生意気です。」
なんで不機嫌になるんだ…。
「さぁ、他の方の邪魔ですから食べ終わったらさっさと行きますよ!」
「……。」
ふらつく体をシルエラに支えられながら石造りの廊下を歩きだした。
「…ちょっと搾り過ぎました。午前中は施設の案内も兼ねて見学にしましょう。あとコレはサービスです、飲んでおきなさい。」
食堂を出る際に彼女は言い、そして白い液体の入ったビンをくれた。ホルスタウロスのミルクだそうだ。疲労回復、精力回復の効果があるらしい。
…あれ、優しい?
「先ほどのが食堂、そして隣に購買部があります。お金が貯まったら計画的に利用するといいでしょう。また、ここをまっすぐ進んで突き当たりを右に行った所に一応教会があります…が、よく人が消えるのであまりお勧めできません。」
「絶対に行かんわ。」
なんでそんな怪奇現象が放置されているのだ。
「…そしてこれから行く所は懲罰房です。」
先ほどの説明で右にその物騒な教会があると言っていた突き当たり、その壁面に彼女が掌をかざす。するとその石造りの壁が透き通り消えてしまった。
「隠し通路…」
「逃亡対策の一つです。施設職員しか通れません。」
壁面に現れた通路をくぐる。内部の様子は他と全く同じだった。
「あらあら、ルリエさんでわないですか〜!…あらあらあら?その子は新しい懲罰対象です?」
隠し通路を通り抜けると一人のサキュバスがパタパタとやってきた。柔和な笑みを浮かべた、懲罰房という物騒な場所にはそぐわない見るからに温厚そうな女性である。
「いえ、今日は見学です。昨日入ったコレに、此処は案内しておいた方がいいかと思いまして。」
コレとは何だコレとは。
「それはそれは。あ、私ルルと申します。以後お見知りおきを♪」
「あ、どうも。ミハイロフスキです。よろしくお願いします。」
ルリエとは違ってフレンドリーで優しそうな女性だ。こんな人が自分の担当だったら、もっと違った生活が待っていたかもしれない。
「彼女は暗示の名手で幼児化調教が趣味の変態です。近づいてはいけません。」
「ちょっ…!」
ルリエがさらりととんでもない事を言った。
「彼女の暗示に掛かれば3日でオネショが再発し、1週間でオムツが取れなくなり、2週間で立つ事を忘れ、3週間で母乳以外を口に出来なくなります。そして最終的には肉体も幼児サイズに退行させられ、その上記憶や羞恥心等は大人のままという最悪の…」
「他人の趣味をとやかく言わないでください!」
ルリエさんが担当で本当によかったですハイ…。
一通り口論したのち、ルルと名乗ったサキュバスがくるりと振り返った。
「では、私がご案内させていただきますね♪お二人はこちらの休憩室でごゆっくりと…」
「いえ、私たちも行きますが。」
「デスヨネー……。」
「まったく、ホントに油断も隙も無い…。」
なんだか既視感のあるやりとりののち、奥へと案内される。この時ばかりはルリエが少し頼もしく見えた。
案内されて進んだ一本道の両側の壁には小さなプレートが等間隔で並んでいた。
「そのプレートのある所がそれぞれ個室になっています。そこで担当官の注文に沿った懲罰が行われています。…あ、懲罰と言っても別に危険な事はないので、安心して、気軽にいつでも罰を受けに来てくださいね?」
「いやそれは…」
わざわざ自分から罰を受けに来る人間がいるわけ無いだろう…。
「ここでの懲罰は基本的に快楽を以て行われます。お仕置きと言うよりもここでの生活を受け入れていただくための処置という意味合いが強いので。ハマる人も多いんですよ?
…そうそう、この方も此処に来たばかりなのですが、なかなか馴染めなさそうだとのことで昨日の夜からここに入っているんです。」
そう言って彼女は通路右側の壁、並んでいるプレートの一つに手をかざした。
「うわっ!?」
彼女がプレートを操作した瞬間、壁が透明に透き通り、中の様子が露わになる。そこに居たのはなんと見知った顔だった。
「あ、昨日の…」
昨日、最初の説明を受けた時に唯一刃向かい、ダークエルフの鞭に打ち据えられた勇者の少年だった。手足をだらりと弛緩させ、投げ出した状態で床に座っている。彼の両隣には二人の魔物が侍り、豊かな肢体を押し付けながら両の耳を舐めしゃぶっていた。
「声も聞きます?」
ルルが更にプレートを弄る。すると内部の音まで聞こえて来た。
「…ぁーー………ぁっ……ぁ…。」
「あらあら、もうまともに喋ることも出来ないみたいですね。」
「ちなみに彼が受けているのはグール二人による耳責め12時間コースです。ご存じかもしれないですが、グールの唾液には強力な浸透性媚薬の効果があって、触れた所をあっという間に性感帯に変えてしまうんです。12時間もずっと同じ箇所を舐められ続けたらそこの感度は半永久的に戻らないでしょうから…今後耳許で囁かれる度に絶頂する事になるでしょうねぇ…。ふふ、明日から大変ですね♪」
少年勇者の目に既に光は無かった。涙と涎と鼻水を垂れ流し、時折小さな喘ぎ声を上げるのみとなった姿は正に廃人のそれだ。仮にここから出ることが出来ても今後まともな生活が出来るのかさえ疑問だ。
「ええと…記録によると、開始一分で一度目の射精を伴わない絶頂を経験し、開始五分で一度目の失禁、その後も絶頂と失禁を何度も繰り返し9時間が経過。今では軽めの絶頂が常に継続している状態とのことです。つまりイキっぱなしですね。」
ルルがさも愉しそうに言った。いくら温厚そうな雰囲気を振りまいてはいても、やはり中身は魔物なのだ。価値観の違いを再認識する。
「あ、因みに中からは此方は見えませんし音も届かないのでご安心を。では次に行きましょうか。」
そう言うと彼女はプレートを操作し、壁を元に戻すと先へ進んだ。
「部屋の数は結構なものでして、とても一日では回りきれないので、今日は私の独断と偏見で選んだお勧めのところだけを何カ所かご紹介しますね。」
「いや、入りませんからね!?」
「まぁとりあえず全部見てからということで」
もう帰りたい…。
「次はこちらですね。」
先程の話の通り、壁に張り付いたプレートごとに懲罰房が存在するのだとするとおおよそ十数部屋分を通り過ぎ、奥へと進んだ。そしてあるプレートの前で立ち止まり、先程と同様にそれを操作する。壁が透け、顕わになったその先には最初の部屋とは全く異質の光景が広がっていた。
「んぶ…、むぐぅ……ッ!?」
男の苦しげな呻き声が響く。部屋の中央には巨大な白い塊が鎮座し、一人の男がそれに抱き着く様な形でうつ伏せに拘束されていた。
「…何これ?」
男の手足はその白い塊に半ばまで飲み込まれ、胴体が柔らかなその謎の物体に沈み込むまでに密着させられていた。
「これも触手の森に自生する搾精植物の改良種の一つですよ。あのように人が触れると瞬時に拘束し、股間が当たる部分に開いた搾精口で精を搾り取ります。さらに、捕らえた獲物にはあのように栄養を与えながら、長期間に渡って飼育する習性があるので一切の世話が必要ありません。」
よく見ると男が顔を埋めている辺りに女性の乳房の様なモノが形成されており、その先端を強制的に咥えさせられていた。おそらくあそこから栄養が与えられているのだろう。
「また、定期的に触手を生やして汗や皮膚の老廃物を食べてくれるので身体も清潔に保たれます。」
至れり尽くせりで逃げ場が無い。例えばこれを大量に生産し、それらに自分のように不老化した男を取り付ける事で簡単に永久機関としての魔力炉が出来てしまう。その光景を想像し、少し背筋が寒くなった。
「私達魔物に対して特に忌避反応を示す人がこういった部屋に入れられます。これはほんの一例で、色んな種類がありますから、今度詳しくご紹介させてください。きっと気に入るモノが見つかりますよ♪」
「いや、結構ですから。…それで、この人はいつまでここに居ればいいんですか?」
どうやらコレを使ってプラント建設のような発想は、少なくとも此処では無いらしい。あくまで魔物が直接対応出来ない場合の暫定的な処置のようだ。
「まあ、魔物に対して助けを求められる位には順応するか、でなければ快楽で少しおつむが緩くなるまでですかね。あんまり明確な基準は無いんですよ。たまにフリーの娘が来て気に入った相手に声をかけていきますけどね、それでオーケーならそのままお持ち帰りです。」
(そういう所はテキトーなんだなぁ…)
「では次の部屋に…」
再び歩みを進める。今度はかなり長かった。やがて現れた十字路を右へと…。区画ごとに同種の部屋が固まっているとすると、先程の様な無人搾精室は相当数あるということなのかもしれない。
しかし、どのような人間がここに連れてこられるかを考えれば当然といえば当然。その点では自分は幸運な方なのだろう。教義に殉じて無駄な抵抗をする義理も意志も無いのだから…。逃走の機会も反撃の目ももはやあり得ないことは解りきっている。ならばせめてこんなところにぶち込まれないよう、せいぜい模範囚を演じ続ける事が最良の選択の筈だ…。
そんなことを考えながら案内されるままに道を進むこと十数分、ようやく次の目的地に着いたようだ。
「ここからは本格的においたをした人への“お仕置き”を主目的とした部屋になります。例えば脱走を企てた者、暴力を振るった者等、あと他の収監者への嫌がらせや苛め行為等は特に厳しく罰せられますので注意して下さい。一応痛みを伴うモノは無いですけど、それでも比較的苦しい責めが主体になります。あ、もしそういった行為を目撃したら通報してくださいね?隠すと為になりませんよ?さもないとこのように…」
そう言ってルルがパネルを操作する。その瞬間、廊下に男の爆笑が響き渡った。
「ひいぃーーひひひゃはははッ、あひッ、も、もうやべでぇぇぇーッ!!」
「まだまだぁ♪一分後に更に一段階感度が上がるよぉ♪」「それとももう一人増やす?」「どっちがいい?早く選ばないと両方やっちゃうよー♪」
「どっぢもいやだああぁぁぁーッははは!」
中では一人の男が三人の妖狐に取り囲まれ、苛烈な擽り責めを受けていた。
男の両手は天井から生えた極太の触手に肘の手前まで呑み込まれ、それによって男自身も宙に浮かされている状態だ。そうしてがら空きになった脇腹に、背中に、足に、3人の手指と尻尾が纏わり付く。
「さあさあ、どっちにするぅ?アト10秒で決めないとホントに両方やっちゃうよ?」
背中に張り付いた一体が脇腹と胸に手を這わせながら耳元で囁く。
「ひひぃぃっ…じ、じゃあもう一人ぃひひひはぁッ!!」
「はいかしこまりましたぁ!」
ボゥンと小さな爆発が起こり、煙の中からもう一人妖狐が現れた。彼女は男を一瞥するとその瞳を嗜虐的に歪め、すぐさまフリーになっていた彼の左足に飛びついた。そして胸の谷間で膝を挟み込むように抱きしめると、回した両手で太股の内側を擽り始める。同時に彼女の持つ5本の尻尾が膝下を包み込み、妖しく蠢いた。
「ひやあぁぁぁーッ!」
それだけで、それまで全く触れられていなかったペニスから今日おそらく幾度目かであろう精液が噴き出した。
「あーあー、イっちゃった。じゃあペナルティね♪」
背中の妖狐がそう言うと、右の脇腹を擽っていた手を止め、男の目の前に掲げる。するとその指先に淡い桃色の光が灯った。
「や、やめろぉぉ…」
制止する男の声を無視し、その指は彼の右胸に這い、ルーンを描く。描かれた紋様は一瞬光を放つと、彼の身体に吸い込まれるように消えていった。
「ぁひぃぃ……。」
ルーンが消えた瞬間、笑い狂っていた男の表情が一瞬溶けた。しかしその脱力の瞬間を狙うように、脇腹への責めが再開され、すぐに元の、いや、先程よりも更に凄惨な笑顔へと戻っていった。
「ひぇぇ……。」
「ちなみにそこの妖狐は、本体は一人で残りは彼女の分身です。この部屋のルールとして、懲罰対象者は一定時間ごとに分身を一人増やすか、身体の感度を上げる魔術をかけられるかのどちらかを選ばなければなりません。また、射精や失禁をした場合は罰としてその都度あのように快楽のルーンを刻まれます。更に、この部屋自体に仕掛けられている術式により、中に居るだけで男性は日を追うごとに擽りに弱くなっていきます。」
「……。」
「ふふ、入りたくなりました?」
「…ッ!?い、いやそんなわけ…」
「この部屋には治癒の魔術も掛かっているので翌日筋肉痛になることもありませんよ?」
「いやそういう問題ではなく…」
目の前で笑い狂う男が味わっている地獄がどれほどのものか、想像もつかない。しかし、死ぬ程苦しい事だけは確かだろう。そんな所に自分からわざわざ入りたいと思う人間など居るはずがない。…居るはずが無いのに何故か自分の下半身は反応していた。
「クスッ。ではそろそろ次へ行きましょうか。」
有情にも気付かないふりをしてくれたルルは更に次の部屋を案内する。ルリエにだけは見つからないように気を付けなければ…それを理由に本当にここへ放り込まれかねない。
……、
…。
「むぐ…むうぅぅーー!」
次に案内された部屋は打って変わってシンプルだった。小さな石造りの個室の中央に簡素な椅子が一つ、そこに男が座らされ、拘束されている。そしてその膝の上に対面の体勢で座ったホルスタウロスに、その胸による窒息責めを受けていた。
彼の頭は谷間に完全に埋没し、更に両腕で乳房の上から圧迫される。温厚な種族とはいえ、ミノタウロス種の腕力でここまで拘束されてしまったらもはや逃れる術は無いだろう。事実、男が床に固定された椅子が軋む程暴れ、首を振り乱しても、びくともしない。
「ちなみにこの部屋にも仕掛けがあって、人間に対しては強烈な効果を発揮する魔物の淫気をかなり濃い濃度で充満させてあります。そしてあのように呼吸を制限されれば、それが許された時、思い切り淫気を吸い込む事になります、…魔物の体臭と一緒に。」
ルルがそう説明したところでちょうど男の顔を押さえる腕が緩められた。そして男が僅かに開いた谷間の中で空気を求め、必死に息を吸い込むと同時に、彼の腰の上に乗った大きな尻がくねった。ただそれだけで男は身体を震わせ、絶頂に至る。
「あのように条件付けしながら、匂いを嗅ぎながらイく癖をつけることで、最終的にはおっぱいの匂いを嗅ぐだけで絶頂に達する身体に調教します。」
「……。」
「次に行きましょうか。」
淡々と説明を終え、次の部屋へ移動する…。
「あはっ、もっと出しなさいッ!もっとォ!!」
「んんーーーーッ!!」
次に案内された部屋では男が二人のエルフに犯されていた。神秘的なほど白い肌に金色の長髪、更に顔の造りまで瓜二つだ。
片方は仰向けに寝た男に跨がり夢中で腰を打ちつけ、また片方は男の唇に吸い付き激しくしゃぶり立てていた……と、ここまで書けば特に懲罰房でなくともこの施設であれば普通に見られそうな光景である。ならば何が違うのかと言えば、男を犯す二人の、その気迫が異常だった。腰を打ち下ろし、捏ね回す度に汗の雫を飛び散らせるその身体からは湯気が立ち上り、揺れる乳房からは乳汁が迸り、壊れたように繰り返し精を要求する口からはだらだらと涎が流れ落ちる。男の唇に吸い付いていた方は今度は耳や首周りを必死に舐め回している。
「魔力に侵されたエルフは通常、精の摂取をできる限り我慢しようとします。しかし、我慢すればするほどタガが外れたときに淫乱になってしまう…その末路があれです。」
ルルが何とも言えない微妙な表情で説明を始めた。
「普通精の摂取を我慢すると言っても限度があります。しかし彼女ら姉妹は森を追われた後、長期に渡ってそれをしなかった。…おそらく近くに人間が居なかったのでしょう。結果魔界付近まで流れ着き、半狂乱になっていたところを魔王軍が保護しました。」
「彼女らの性欲は底無しです。しかも何故かいつも二人掛かりで同じ相手に襲いかかりますから、下手に男性を与えればあっという間に壊してしまう。そこで懲罰房に入れられている男性に交替で相手をしてもらう事になっています。」
…なんだか扱いが動物とその餌のようだと思ったが肯定されても嫌なので黙っていることにした。
……その後も懲罰房の見学は続いた。触手で出来た椅子に拘束され、ただひたすら身体中を責められる者。スライムの水槽に全身を埋められている者。奇妙な機械で謎の音楽を聴かされ、何故か絶頂し続ける者。ルーンを刺繍された服を着せられ、快楽にのたうち回る者…。魔界ならではの様々な方法で、お仕置きと称した快楽責めを受けていた。
「そしてこちらが…あら、もうこんな時間?」
気づけば時刻は既に正午を回っていた。
「今日はここまでにしておきましょう。午後はしっかり搾りたいので…。」
「ええー!?まだ私の部屋を案内してないのにーッ!」
ルリエがそう切り上げようとするが、ルルが抗議の声を上げた。
「ねー。キミも私の担当部屋見たいですよねー?」
「…え、遠慮しておきます。」
先程のルリエの話を思い出し、丁重にお断りする。
「そんなー…」
……、
…。
「案内ありがとうございました。また来ます。」
「今度私に調教させてくださいね?」
「はぁ…あんまり反抗的な様だったら考えてみますよ。」
(ひぃぃぃぃ…。)
ルルに別れを告げ、入ってきた隠し通路から懲罰房を後にした。…取りあえず無駄な抵抗はろくな目に遭わなそうだということだけは分かった。
「あ、そうだ。」
「はい?」
先を行くルリエが突然振り返る。そこにはこれまで幾度か見た嫌な笑みが張り付いていた。
「今度蟲を使わずに失禁するまで擽ってあげましょう。」
「許してくださいなんでもしますからッ!!」
苦難の日々は続く…。
15/05/17 03:46更新 / ラッペル
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