連載小説
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護送車にて
「……んで、おにーさんいったい何やっちゃったの?矯正施設送りなんて……あむ…あんまり偉い人っぽくないけど…ん…」

「こ、こっちが聞きたい…ッ、俺が…、何をしたと…俺は只の一兵卒だぞ……、…うッ!?」

後ろ手に縛られ、この「空飛ぶ檻」の柵に背を預けている青年の股の間に顔を埋め口淫を続けながら両腕に鳥の翼を持つ少女が問い掛けた。一見穏やかに、落ち着いて見えるその様子とは裏腹に、彼女の口内では長い舌が激しく蠢き、絡み付いて執拗に彼を責め立てている。

「ふーん…、んじゃ私怨かなぁ…誰かに恨み買ったとか?……ぁむ、美味し♪」
それまで縦横無尽に動き回り口内にくわえ込んだ肉棒を弄んでいた舌が裏筋から先端までを重点的になぶり、とどめとばかりに激しく吸い上げた。同時に柔らかな羽毛を備えた両手が彼の下腹部から太腿の内側にかけてを優しくくすぐる。

「ぅはあ゛ぁぁ!!」

ぞくぞくとした痺れにも似た快感が背筋を走り、たまらずその魔物の少女の口内に精を吐き出してしまった。射精後の、快楽の余韻を伴った心地よい倦怠感が全身を包み込み、ぐったりと力が抜けてしまう。その間も口淫は止むことなく続けられているのだが、陰茎を舐めしゃぶる舌の動きはそれまでとうって変わって優しくなり、トロけるような快感を与えてくれていた。そして尿道内に残された精液まで一滴残らず吸い取りその味を堪能すると、ようやく青年を解放する。

「ふぅ……ごちそうさま♪おにーさん結構おいしかったよ、それじゃ私そろそろ休憩終わりだから、またねー♪」

未だ余韻に浸り放心している青年に対してそう投げかけると、ハーピーの少女は空へと続く扉から元気よく飛び立っていった。……が、十秒も経たないうちに入れ替わりで別の少女が檻の中に入ってくる。

「こんにちは♪」
「ヒィッ!?」
「早速だけど…いただきます!」

彼女は顔の前で両翼を合わせると、止める間もなくまだ露出したままの青年の股間へと飛びつく。そしてまた同じことが繰り返されるのだった。おそらくこのサイクルは彼らが目的地に到着するまで続くのだろう。


ーーーーーーーーー


……勤務していた城が魔王軍に落とされた。

今の状況を極めて簡潔に言うならばこうだ。当然、自分含めた兵および住民の身分は捕虜である…。ただ、あまりにも唐突な転落劇に半ばまだこの事実を受け入れきれずにいた。何せ国境線上で幾度かの小規模な小競り合いは続いていたとはいえその全てで我が軍は敵を撃退しており、大規模な侵攻を受けた事など一度として無かったのだから…それがたった1日たらずで全面降伏という事態になるなどいったい誰が予想出来ようか。

…一応経緯としては、どうやら既に城内および街の者に何人もの内通者が居たらしく、彼らを通じてこの城塞都市全域に効果を及ぼす戦略級大規模魔術の術式をコツコツと構築していたらしい。聞けば反乱分子を一人一人確保するところから始まり、完成まで数年間に及ぶ大作戦だったという。そしてその術が発動した瞬間都市内の全ての人間は無力化され、同時に攻め込んで来た魔物の軍勢により城は驚くほどあっさりと占領されてしまった。住民も兵士も一人残らず捕えられ、しかもその間僅か1日。敵とはいえここまで鮮やかにやられてしまうともう屈辱を通り越して感心するしかない……。
…ついでに言えば、それだけ大規模な内部工作に全く気付かなかった我々も相当に間抜けだったと言われざるを得ないのであるが…。


そして気になる我々捕虜の処遇である。とりあえず殺される心配は無いのだという。敵の士官曰く教団の流布していた魔物が人を殺して喰らうというのは全くの嘘であり、彼女自身、捕虜の命は保証はすると明言していた。…勿論それこそ嘘である可能性もある、しかし今はその言葉にすがるより他に無いのだ。現在捕虜は男女で別々に集められており、説明では、男は各々魔物によって精を搾られ、気に入られればそのまま彼女らの所有物となるらしい。また、女は例外無く全員魔物に変えられるという。…当然敗者である我々に拒否権は無い、しかしこれまで相手を殺す気で戦って来たのだから処刑されないだけ幸運であると考えねばならないだろう…。

…といっている間にまた檻の前に一人の魔物が降り立った。黒く悪魔然とした角、尾、そして翼を持った典型的なサキュバスである。彼女は檻の戸口に立つ管理官らしき魔物に一二言告げると檻の中を物色し始めた。…しばらくして、俺の左隣で拘束され座っていた見た目14〜16位の少年を指名すると、彼は檻の中に入ってきた兵士によって有無を言わさず連れていかれた。その後も次々とやって来る魔物により男は連れ去られ、檻の中身は減ってゆく。

…一方的に貰われてゆく彼等の表情は様々だ。当然不安や怯えはあるのだが、しかし不思議と悲壮感はあまり無かった。
 それは少なくとも殺されはしないという話をわりと本気で信じているというのもあるだろうが、一番はこの周囲の雰囲気だ。自分を含む捕虜となった人間の男はもれなく市街の広場や城等に急遽こさえられたいくつもの檻の中に放り込まれているのだが、その捕虜を物色するように眺めている魔物達の中に時折人間の姿が混じることがあった。彼等は魔物側の協力者…すなわち今回の襲撃における内通者であり我々の立場からすれば裏切り者である。魔物娘の妖艶な肢体に籠絡されたか、或いは金や地位で買収されたか……いずれにしてもこの結果を見れば彼等は利口であったと言わざるを得ないが、その人間たちと魔物達とのやりとりは見ているこちらの気が抜けるほど平和なものだった。それこそまるで友人や恋人同士のような…

…そんな光景を見せつけられているせいでこの後魔物の中の誰かに引き取られ、仮に奴隷として扱われようともそこまで無体な仕打ちは受けずに済むのではないかなどと淡い期待を抱いてしまうのもまた、仕方のない事なのかもしれない。
俺も心の底では密かにそんな希望的観測をしては「やめておけ」と自戒する事を繰り返している。

…そんな不審な表情をしていたのも手伝ってか、展示が始まって半日以上が経過しても俺は順調に売れ残り、檻の中身が半分以下になってしばらくたった今も中々指名される気配は無い。もしもこれで最後まで買い手がつかなかった場合はそれはそれで恐ろしい事になりそうな予感がした。

先程までとは別の意味で不安になってきたあたりで、ふと檻の外が騒がしくなったのに気付く。…すると全身を漆黒の甲冑に包んだデュラハンが観衆を掻き分けて進み出てきた。何事かと思っていると、なんと彼女は俺の前で立ち止まり、此方を見下ろしながら告げたのだ。

「…ミハイロフスキー・コールマン小隊長だな?」

「え…?あ、はい。」

俺の名前である。

「…、まさか貴様がこんな所に居たとはな…、一緒に来てもらおうか。」
「え?」

…もしかしたら戦場で会ったのだろうか。しかし俺は彼女の顔に覚えは無かった。
だが、有無を言わせぬ勢いで彼女は俺を檻から連れ出してゆく。…ひょっとしたら彼女が俺の新たな主人なのだろうか。

 答えは否、連れてこられた場所は…

「貴様はこっちだ。」
「おぃ……何かの間違いじゃないのか!?」
「何が間違いだ!こちらにとっては貴様があんな一般捕虜の檻に混じってた事こそ大間違いだ!!なんたる侮辱だ……!!」

…意味が分からない。
何故なら案内された別の檻に入れられていたのは、明らかに俺とはかけ離れた位置に居る人物ばかりだったからである。領主の一族、教団の枢機卿や司祭、軍の将軍および幹部等々…まさにそうそうたる面々だ。それに引き換え俺は部下3人ばかりを持つ末端の一兵卒である…場違いな感には凄まじいものがあった。

「いいからとっとと入れ!」

どうしたものかと入り口でまごまごしていると遂に痺れを切らしたのか後ろから蹴り入れられた。痛いじゃないか…

ガチャリ…

異議を唱える間もなく扉を閉められた。

「…これで全員か。」「はっ!!」「では送り出せ。」
 ガコンッ…!!

 先程の騎士の号令と共に檻全体が音を立てて傾いた。そしてなんとゆっくりと浮き上がったのである。
慌てて外を見ると両腕が鳥の翼状になった魔物の少女達が檻の天上の4隅に付けられた鎖を引き、持ち上げているのだ。どうやら檻ごとここに居る人間を何処かへ運んでゆく気らしい。
そして周囲には交代要員だろうか、同じタイプの魔物が何人も飛び回っていた。



………、


…そして今に至る。

「……ぅ…ぅ、」

 腰に貼り付き、延々と口淫を続ける少女の口内に何度目かの精を放った。彼女が「何人目」かはもう分からない。もはや量も濃度も最初とは比べるべくも無いほどに下がったそれを強烈に吸い上げると、ようやく彼女は口顔を上げた。

「…ふぅ、ごちそうさま♪」

「……ぁ、あぁ…」

 好き放題に搾り取られたこちらは完全に腰が抜けてしまっている。ちなみにこの巨大な檻に入れられている他の人間もまた、同じような状態だ。最初の頃は必死に抵抗していた教団関係者も反抗的な分むしろ徹底的に搾られたのか、多くの者は満身創痍でピクリとも動かない。今になって一人の人間に対して常にい一人〜二人の魔物がついているのが分かった。おそらく捕虜の監視も兼ねているのだろう。彼女たちはそのついでにつまみ食いをしているのだ。
 青年の隣…彼から少し離れたそこには、一時は教団の中枢にいたという司祭が闇色の修道服に身を包んだ二人の魔物に前後から挟み込まれ陵辱を受けていた。力無く開いた口からは涎を垂らし、目の焦点は定まっていないが魔物二体にたかられてまだ意識を保っているだけでも流石と言うべきだろう。背後に陣取った方はその豊かな胸の膨らみを背中に押し付けながら後ろから彼を抱きすくめ、服の隙間から両手を中に入れて上半身を弄っている。正面のもう一人は左腕を彼の肩に回してしなだり掛かり右手で彼のものに凄まじい手淫を加えていた。その指先の動きは速すぎてよく分からない…しかしそんな責めを加えながらも彼女の表情は平然としており、その落差に端から見ている方は恐怖すら覚える。
…が、勿論、実際にそれを今受けている男にしてみればそんなことを気にする余裕など無いのだろう…見ている間にもびくりと微かに体を震わせ、もう何度目かも分からないであろう精をその滑らかな手指に搾り取られてしまった。

「ふふ…これでまた少し貴方の罪が洗い流されました…。」
「ぅ…ぅおぁっ…!?」

 男が苦しげに呻く。見ればたった今男からなけなしの精を搾り取った修道服姿の魔物は手に吐き出されたそのほぼ透明な粘液を指に絡め、いまだビクビクと脈打つ肉棒に対して更なる手技を加えていた。その液体はまるで皮膚から吸収されるかのようにあっという間に消え、スベスベに乾いたしなやかな手指が絶頂直後の敏感な性器を襲っている。

「…しかし、残念ながらこれではまだ全然足りないのですよ。」
 「貴方が冒した罪を贖うには…」
「これは贖罪なのです…」
 「さぁ…神に捧げましょう。」
「貴方の反省と…」
 「後悔の証を…もっと捧げましょう…」

 男を前後から責めなぶる二体の魔物が耳元で、交互に囁いた。まるで洗脳のようである。同時に彼の急所を捕らえ続ける手の動きが加速した。ただひたすら、弱点を的確に、冷静に責め立てるその手技に彼は10秒と保たず再度贖罪の証を捧げる事となった。しかし、絞り出したその聖液は先程のそれよりも更に薄く、少ない。

「……これだけですか?」「全然足りませんわ…」
「もぅ…もう、出なぃ…から…」
 今にも消え入りそうな声で許しを乞う。実際もう気絶寸前なのだろう。それを前後の魔物が絶妙な愛撫によって無理やり意識を維持させているのだ。
 先程魔物二体にサンドイッチされて意識を保っているのを流石だといったが、何のことはない、それすらも彼女たちの手のひらの上の事であった。

「…仕方ないですね。今はここまでにしておきましょう」
 「時間はこれから先無限にあるのですから…」
「貴方にはこれから永い永い贖罪の日々が待っています…」
 「死ぬ程気持ちのいい毎日が……死にたくても死なせませんけど、」
「せめてそれまで…」
 「束の間の休息を…」
 ようやく休憩の許しが出され、男は崩れるように背後から自分を責めていた魔物の胸に頭を預けそのまま動かなくなった。

 意識を逸らそうとも勝手に耳に入ってきた話を聞く限り、彼には今後これよりも更に熾烈な日々が永遠に続くのだろう。教団関係者としてこれまで長い間民衆を騙していたとはいえ、流石にご愁傷様と思ってしまう……

……、

……などと言っている場合ではない。

 同じ檻に入れられているという事は自分も彼と同等の罪人として扱われていると考えざるを得ないのだ。明日は我が身である。
 ついでに言えば比較的大人しくしていたせいか自分の担当は常に一人で、扱いもここから見える他の面々に比べれば優しかったのだが、終わりの見えない搾精に流石にもう意識が朦朧とし始めていた。

「あの…これ何時まで…」
「…もうそろそろ着くんじゃないかな?あたしはもう交代無いから…このまま最後までよろしく♪」
 ついさっき前任の見張りと交代し、精を啜っているハーピーの少女であるが彼女でとうとう最後とのことらしい。おそらく搾れる精の量を考えて後半の担当者程時間が長く取られているのだろう。そして彼女は再び股の間に顔を埋め、残りわずかな精を搾り出そうと性器を吸い立てた。

「……ッ!?」

 少女の口内で舌先が踊る。幾度も強制された射精によりいい加減感度も鈍り、刺激にも慣れが出てきたかと思いきや全然甘かった。魔物の技巧はそんなもの関係無しに、いとも容易に絶頂へと導いてしまうのだ。粘度の高い唾液にぬめる舌が雁首に絡み付き、裏スジから鈴口を通って何度も擦り上げると、されている自分でも驚く程簡単に達してしまった。

…のだが、

「……、これだけ?」
「ひっ!?」

少々怒りを孕んだ声で少女が問い掛けてくる。

「そ…そんな事言われても……」

 何度逝かされた所で減るものは減るのだから仕方がない。しかしこの魔物の少女は納得がいかないようだ。一瞬もの凄い目つきでこちらを睨むと、何も言わずに、逝ったばかりでもう萎えかけているモノに再度食らいつく。 そしてその咥内で凄まじい舌技を浴びせかけた。

「ひっ、ひああああぁぁーーッ!!!?」

思わず悲鳴がもれた。腰が引ける。しかし檻の柵を背にした状態では逃げる余地など無く、さらにはいつの間にか腰には少女の両腕が回され、がっちりと捕まえられていた。 引き剥がそうにも自分の両手は後ろに拘束され抵抗のしようがない。

「あ、あぁ…」

 ひとたまりもなく連続絶頂を迎えさせられた。しかし彼女は何もなかったかのように舌を絡め続ける。

「…とりあえず残ってるぶん全部出してもらうから」
「ひぃぁぁぁ…」

 射精直後の疲労感と虚脱感からついに瞼が重くなってきた。ふと、空を見ると妖しい紫色の光が目に入る。いつの間にか魔界に入っていたらしい。
「もうすぐ目的地に着く」
そう彼女は言った。目覚めるときにはもうこの搾精が終わっていることを祈って、周囲に転がる他の男たちの後を追う事にしたのだった……。

16/11/01 00:00更新 / ラッペル
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続きます…

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