【大道芸人ゾーン】
「ヒャッハー、汚物は消毒だぜー!」
「風を送って火力120%でお送りしておりまーす」
「ちょっとあんた達やりすぎ!。いつも消化することになる私の身にもなってよね。あんたも土塁作りしっかりね」
「うん、ばっちりだよ〜。これでいいよねー、マスター」
「うんうん、オッケーオッケー、バッチリよ。えらいえらい」
「おい、マスター、俺も褒めてくれよ!」
「僕も、僕も〜」
「わっ、私だって褒められてあげてもいいんだからね」
「はいはい、みんなお利口お利口」
火を吹くイグニスに、その火に風を送って強化するシルフ。
彼女たちをハラハラしながら見つめるウンディーネに、のんびりと土塁を維持するノーム。
マスターであるダークマターがそれをにこやかに見つめていた。
いつも本ばっかり書いていたら体が鈍っちゃうものね。それにこうすればお金も稼げるし、男の人だって見つけられるかもしれない。
ダークマターは自分の目論見ににやけてしまう。
「お、あのマスターのダークマターさん美人だな〜」
「俺も使役されて〜。掃除洗濯、夜のお供も何なりとお申し付けくださいませ」
「でも、あの人と付き合うことになったら、あのちびっ子達も付いてくるんだよな。一気に5人も養うとか俺、無理だな」
「というか、あの人の子供だったりして」
「マジかー、4人も子持ちとか萎えるわ〜」
好き勝手に話す男どもの声がダークマターの耳に届く。
私はまだ処女ですっ!。それに男だったら、今は厳しくとも全員養ってやるという甲斐性くらい持ちなさい!
ダークマターはおもむろに指先をその男性たちに向けて、イグニスに目配せする。
イグニスはその視線を受けて獰猛に笑う。
そして、その炎が男性たちに向かう。
「あっつぅぅぅぅ!?」
「何すんだー!」
男性たちの悲鳴が上がった。
◆
「「あ」」
ばったり出くわしてしまった妖狐と刑部狸。
「やなやつに会うてしもたわ」
踵を返す刑部狸とその尾を掴む妖狐。
「捕まえたぜ。ルゥ〜パァ〜ン」
「とっつぁ〜ん。って、誰がルパンかい!」
刑部狸は妖狐の手を振りほどく。
「ふざけんのも大概にしいや。あんさん、うちを捕まえるゆうても理由もなんもあらへんやろ」
「そうね。こんなにふさふさふわふわの尻尾は目の前にあると言うのに、つづみちゃんってばそっちの尻尾は出してくれないのだもの」
「やめい」
わきわきと手を動かす妖狐から刑部狸は尻尾を隠す。
「ねえ、次は何を企んでるの?」
「企んどるとは人聞きの悪い。いくらあんさんがICPOやからって、むやみにウチのことを疑うのはやめてんか?」
「ふーん」
刑部狸をじろじろと見る妖狐。
「ま、いいわ。今日はお祭りだし。賭博会場は潰せたしね」
意味ありげな視線で妖狐が刑部狸を見る。
「ほうか。悪いやつもおるもんやなぁ」
刑部狸は妖狐にバレないようにほぞを噛む。
「お前なんかと一緒におったら、景気が悪うなってまうわ。ほな、さいなら」
刑部狸は妖狐から離れようとするが、妖狐はその背中に声を投げかける。
「あ、そうそう。なーんか海の向こうのフェアリー・ファミリーの一つが近々来日するみたいなんだけど、何か知らない?、隠神組の親分さん」
刑部狸は妖狐の言葉に足を止める。
「知らん。それにそないなことこんなカタギの場で言うない。ウチはもう足洗たんや」
やから、余計な詮索はすなや。顔を傾け妖狐を見る刑部狸の目は細く狭められ、眼鏡の奥からは鋭い眼光が光っていた。
妖狐は刑部狸の後ろ姿をおとなしく見送った。
「あれは、絶対何かあるわね。隠神つづみちゃん。今度こそ尻尾をつかんでシコシコしてやるんだから。でも。うぅ〜、トイレトイレ。あの目を見てたら夏でも肝が冷えちゃったわ」
妖狐はいそいそとトイレに向かうのだった。
◆
「一枚が二枚、二枚が四枚、四枚が八枚、…」
袴姿のリザードマンが見事な刀さばきで紙を細かくしていく。
「この刀の切れ味ならば、こう!」
刀の切れなくした部分で腕を切って血糊が飛ぶ。
観客からは悲鳴が飛んだ。
「でも大丈夫、このサンドウォームの粘液なら」
リザードマンの言葉に隣の地面からサンドウォームが現れてその口が、くぱぁと開く。そこから口からは溢れ出した粘液がリザードマンの頭から被せられる。
「ちょっと、多っ。わぁぁぁ!」
粘液でぬとぬとになったリザードマンの服が溶け出した。
「うおおおおおおおお!」
衣装が溶けてさらしとふんどし姿になるリザードマンを見て観客からは興奮した声が上がる。
「きゃあああああああ!」
リザードマンはさらしもふんどしも溶かし始めた粘液に、体を隠しながら小屋に逃げ込んでいってしまった。
「俺は買うぜ。いくらだ?」
「私もちょうだい。プレイの幅が広がりそう」
「ありがとうございます〜。それでは順番に並んでくださーい」
サンドウォームが小瓶に入れた粘液を次々と売っていく。
しかし、とある男性のところで。
「あら?、申し訳ありません。ストックが無くなってしまいました」
「ええっ、そんなぁ」
男性は残念そうな顔を浮かべる。
「そんな顔をしないでください。次のものを用意いたしますから」
そう言って、サンドウォームは男性の手を引いて、自身の大きく開いた攻殻の中を覗き込ませる。
「ほ、ら♡。ちゃんと見えますか?。あなたのためだけの商品です」
サンドウォームは男性にだけ見えるように股を開く。そこにある真ん中の泉からはプクプクと粘液が溢れ出ていた。
男性はその淫靡な有様を見て、下半身に集まっていく熱を止められない。
「あなたのためだけの粘液。ご自身でお好きなだけすくい取ってください。手でもお口ででもお好きな器で」
サンドウォームが蕩けた表情を浮かべる。
「もちろんお代はあなたの粘液です。私の全身に、奥の奥まで注いでください」
「あ、ああ」
男性はサンドウォームに言われるがまま、くぱあと開いた攻殻の中にある、さらにくぱあと開いた股の泉に吸い寄せられる。
「申し訳ありません。みなさま。今日はもう売り切れでーす♡」
ぬらぬらと濡れた瞳でハキハキとサンドウォームが宣う。
残りの客から投げられるブーイングと祝福の声。
男性を攻殻の中に咥え込むと攻殻の口をぴっちりと締めて地面の中へ引っ込んで行く。
その口の中では股の口はぱっくりと開いたままだった。
◆
「いつもより多めに回しておりまーす!」
「あ〜れ〜」
自分の嫁の唐傘お化けの足を持ち上げて器用に回す男性の肌には筋肉の筋が浮かび汗が浮いている。
唐傘お化けは傘を開いて横回転させられている。
「すごいですわね」
「いやはやこれは何とも」
それを見つめているのは艶やかな浴衣に身を包んだお嬢様方。
彼女たち自身の高貴なオーラで浴衣も嬉しそう、そこまで意匠は凝らされていないようなのに十二単でも来ているかのようにな重厚感に華やかさだった。
「おいおい、あれ見てみよろよ」
「ゴクリ、とんでもないな。全員が全員、美人なんて言葉じゃ言い表せないくらいだ」
「きっとどこかのお嬢様だぜ。声をかけるなんて畏れ多い」
「窮屈なお屋敷の生活を抜け出して、お祭りにおでかけあそばしゃっしゃっらりなされたんだぜ」
「ラリってるのはお前だ。無理に慣れない言葉を使うおうとするなよ」
頭がチリチリになっている男性2人だけでなく、男女問わず多くの瞳が彼女たちを見つめていた。
「多分声をかけようと近づいた瞬間これだぜ」
馬鹿の片方が自分のこめかみに拳銃の形をとった手を当てる。
「スナイパー!?」
「ない話じゃないだろう?」
指先に息を吹きかけつつ、ボンバーヘッドが騙る。
そこに近づいていく、見た所普通のサキュバス。気安そうに何事かを話しかけている
「おいおい。撃たれるぞ。庶民が話しかけていい方々ではあらせらりらりるれろ」
「さすがに今度はワザとだろ!。もう普通に話せよ。ラリったやつと一緒に居たくねぇよ」
「わかったよ。あっ、テイターニア様が抱きついたぞ」
「挨拶なんじゃねぇの?。なんか涙目だし久々の再会とか?」
「うおお。がんじがらめの貴族の生活。抜け出した先で再会した庶民の友達。家に帰れば待っている貴族のしきたり、彼女たちはこの一夏の思い出を胸にこれからの日々をすごすのであった」
「うう、泣ける。でも、ええなぁ」
「うん。ええどすなぁ」
思わずほっこりしてエセ京都弁になってしまう馬鹿二人。他の人々も彼女たちの様子にほっこりしている様子だ。
それぞれの頭の中では彼女たちの生活に対する妄想が渦巻いているのだろう。
周りの妄想のネタにされてしまったのは四人のお嬢様たち+一人の出涸らし。
いや、もちろん庶民っぽいサキュバスもサキュバスとしてとても可愛らしい容姿はしていたのだが、彼女たちに比べればどうしても見劣りしてしまう。
四人のお嬢様は、リリム、ファラオ、ワイト、テイターニア。皆がみんなタイプの違う絶世ともいえる美少女揃いだった。
彼女たちで妄想してほっこりする周りの人々とは対照的に彼女たちは皆、げんなりしていた。
「サキュバスちゃん〜。もうやだー」
サキュバスにしがみついて涙をにじませるテイターニア様。
「よしよし。テイターニアちゃん」
「いつもこれでは本当にもうげんなりしますわ」
「リリムちゃん、あなたの喋り方はお嬢様っぽいけど」
「ワイトちゃん、そんなことは言わないでくださいませ。これは言葉を勉強するときに見せられた画像が偏っていたのですわ」
「中世や古代ならわかるんやけど、今は現代や。ウチらもむかーしの高貴な血を受け継いどるかもしれんけど、今は普通の家庭の娘やで。ウチのオトンもオカンも共働きで役員でもなんもない普通の会社員やし、家で普通に屁ぇもこくわ」
「普通を強調するのはいいけど、女の子が屁、なんて普通に言うのはやめておこうよ、ファラオちゃん」
「ええやんか。女子校やったら、みぃんな気にせぇへんで、ちんぽ欲しいも言うとるわ」
「私も同意ですわ。おちんぽをいただきたいですわ」
「うっわ、卑猥や。丁寧にしたつもりで、卑猥さを増しとるあざとい女がおるで。それにこの浴衣かて、オカンにド⚫︎キで買ってきてもろた安もんやねん。何が由緒正しいおべべや、何が十二単や。あない重たくてけったいなもん持っとるわけあるかっちゅーの。うちのオカンが着重ねとるんはジャージとトラ柄のジャケットやわ」
「ジャージの上にトラ柄のジャケットを羽織ったファラオ、正直見てみたいな」
「テイターニアちゃん、ならウチに来(き)い。茶(ちゃあ)でもしばこうや」
「まぁまぁ、せっかくのお祭りなんだから屋台回ろう。私、こんなの憧れてたんだー」
「そうよね。あなたが本当のお嬢様ですものね、サキュバスちゃん」
「そんなことないよ」
「そんなことあるに決まっとるやないか。この四人の親は、みぃんなあんたんとこのオカンの会社に世話んなっとるんやから」
「そうね。身分違いとはこっちのことよ」
「そんなこと言わないでよ。悲しくなるじゃない」
サキュバスが頬を膨らませる。
「でも、申し訳ないのは本当よ。私たちがこんなド⚫︎キの浴衣を着ていて、あなたは西陣織の浴衣を着ているのに庶民扱いされて」
「それって、お高いんでしょう?」
「そうでもないよ。ゼロが5個か、6個くらい」
「ひゃー、敵わんわぁ」
「全然気にしないよ。これはこれで新鮮で面白いし」
「「「「サキュバスちゃん」」」」」
彼女の純粋な笑顔に感激する、見た目お嬢様四人。
そんな彼女たちを見ていて我慢が出来なくってきたクレイジーボンバー二人。
「よし。あのサキュバスの子でいいから俺声かけてみる」
「俺も一緒に行くぜ。お前に絡まれてるサキュバスちゃんを助ける俺」
「おい、お前、俺を見捨てる気か?」
「ふっふっふ。女絡みで情けは禁物だぜ」
「どうやって近づこうかな。あの浴衣安物っぽいから、ワザとジュースをこぼすとかいいかもな。弁償するのだって安いもんだろ。あのお嬢様たちのと違って、あれ絶対ド⚫︎キだぜドンキ」
ぎゃはは、といい笑顔で笑いあう迷える金魚二人。シー・ビショップさん質はわるいですが2匹追加です。
「よし、じゃあ行こうぜ。どっちが勝っても恨みっこなしだぜ」
「もちろん」
互いに拳をぶつけ合って誓う二人の額には金魚どころか、ただの鮒の絵が見えた。
「お嬢様に接近する不審人物2名を発見。これ以上近づくのならば排除してください。もしも警告を無視するのであれば、私が撃ちます。必要ないとは思いますが、ケンタウロスさんもサブで待機をお願いします」
森の中でスコープを覗き込むホーネットが無線に向かって話していた。
「風を送って火力120%でお送りしておりまーす」
「ちょっとあんた達やりすぎ!。いつも消化することになる私の身にもなってよね。あんたも土塁作りしっかりね」
「うん、ばっちりだよ〜。これでいいよねー、マスター」
「うんうん、オッケーオッケー、バッチリよ。えらいえらい」
「おい、マスター、俺も褒めてくれよ!」
「僕も、僕も〜」
「わっ、私だって褒められてあげてもいいんだからね」
「はいはい、みんなお利口お利口」
火を吹くイグニスに、その火に風を送って強化するシルフ。
彼女たちをハラハラしながら見つめるウンディーネに、のんびりと土塁を維持するノーム。
マスターであるダークマターがそれをにこやかに見つめていた。
いつも本ばっかり書いていたら体が鈍っちゃうものね。それにこうすればお金も稼げるし、男の人だって見つけられるかもしれない。
ダークマターは自分の目論見ににやけてしまう。
「お、あのマスターのダークマターさん美人だな〜」
「俺も使役されて〜。掃除洗濯、夜のお供も何なりとお申し付けくださいませ」
「でも、あの人と付き合うことになったら、あのちびっ子達も付いてくるんだよな。一気に5人も養うとか俺、無理だな」
「というか、あの人の子供だったりして」
「マジかー、4人も子持ちとか萎えるわ〜」
好き勝手に話す男どもの声がダークマターの耳に届く。
私はまだ処女ですっ!。それに男だったら、今は厳しくとも全員養ってやるという甲斐性くらい持ちなさい!
ダークマターはおもむろに指先をその男性たちに向けて、イグニスに目配せする。
イグニスはその視線を受けて獰猛に笑う。
そして、その炎が男性たちに向かう。
「あっつぅぅぅぅ!?」
「何すんだー!」
男性たちの悲鳴が上がった。
◆
「「あ」」
ばったり出くわしてしまった妖狐と刑部狸。
「やなやつに会うてしもたわ」
踵を返す刑部狸とその尾を掴む妖狐。
「捕まえたぜ。ルゥ〜パァ〜ン」
「とっつぁ〜ん。って、誰がルパンかい!」
刑部狸は妖狐の手を振りほどく。
「ふざけんのも大概にしいや。あんさん、うちを捕まえるゆうても理由もなんもあらへんやろ」
「そうね。こんなにふさふさふわふわの尻尾は目の前にあると言うのに、つづみちゃんってばそっちの尻尾は出してくれないのだもの」
「やめい」
わきわきと手を動かす妖狐から刑部狸は尻尾を隠す。
「ねえ、次は何を企んでるの?」
「企んどるとは人聞きの悪い。いくらあんさんがICPOやからって、むやみにウチのことを疑うのはやめてんか?」
「ふーん」
刑部狸をじろじろと見る妖狐。
「ま、いいわ。今日はお祭りだし。賭博会場は潰せたしね」
意味ありげな視線で妖狐が刑部狸を見る。
「ほうか。悪いやつもおるもんやなぁ」
刑部狸は妖狐にバレないようにほぞを噛む。
「お前なんかと一緒におったら、景気が悪うなってまうわ。ほな、さいなら」
刑部狸は妖狐から離れようとするが、妖狐はその背中に声を投げかける。
「あ、そうそう。なーんか海の向こうのフェアリー・ファミリーの一つが近々来日するみたいなんだけど、何か知らない?、隠神組の親分さん」
刑部狸は妖狐の言葉に足を止める。
「知らん。それにそないなことこんなカタギの場で言うない。ウチはもう足洗たんや」
やから、余計な詮索はすなや。顔を傾け妖狐を見る刑部狸の目は細く狭められ、眼鏡の奥からは鋭い眼光が光っていた。
妖狐は刑部狸の後ろ姿をおとなしく見送った。
「あれは、絶対何かあるわね。隠神つづみちゃん。今度こそ尻尾をつかんでシコシコしてやるんだから。でも。うぅ〜、トイレトイレ。あの目を見てたら夏でも肝が冷えちゃったわ」
妖狐はいそいそとトイレに向かうのだった。
◆
「一枚が二枚、二枚が四枚、四枚が八枚、…」
袴姿のリザードマンが見事な刀さばきで紙を細かくしていく。
「この刀の切れ味ならば、こう!」
刀の切れなくした部分で腕を切って血糊が飛ぶ。
観客からは悲鳴が飛んだ。
「でも大丈夫、このサンドウォームの粘液なら」
リザードマンの言葉に隣の地面からサンドウォームが現れてその口が、くぱぁと開く。そこから口からは溢れ出した粘液がリザードマンの頭から被せられる。
「ちょっと、多っ。わぁぁぁ!」
粘液でぬとぬとになったリザードマンの服が溶け出した。
「うおおおおおおおお!」
衣装が溶けてさらしとふんどし姿になるリザードマンを見て観客からは興奮した声が上がる。
「きゃあああああああ!」
リザードマンはさらしもふんどしも溶かし始めた粘液に、体を隠しながら小屋に逃げ込んでいってしまった。
「俺は買うぜ。いくらだ?」
「私もちょうだい。プレイの幅が広がりそう」
「ありがとうございます〜。それでは順番に並んでくださーい」
サンドウォームが小瓶に入れた粘液を次々と売っていく。
しかし、とある男性のところで。
「あら?、申し訳ありません。ストックが無くなってしまいました」
「ええっ、そんなぁ」
男性は残念そうな顔を浮かべる。
「そんな顔をしないでください。次のものを用意いたしますから」
そう言って、サンドウォームは男性の手を引いて、自身の大きく開いた攻殻の中を覗き込ませる。
「ほ、ら♡。ちゃんと見えますか?。あなたのためだけの商品です」
サンドウォームは男性にだけ見えるように股を開く。そこにある真ん中の泉からはプクプクと粘液が溢れ出ていた。
男性はその淫靡な有様を見て、下半身に集まっていく熱を止められない。
「あなたのためだけの粘液。ご自身でお好きなだけすくい取ってください。手でもお口ででもお好きな器で」
サンドウォームが蕩けた表情を浮かべる。
「もちろんお代はあなたの粘液です。私の全身に、奥の奥まで注いでください」
「あ、ああ」
男性はサンドウォームに言われるがまま、くぱあと開いた攻殻の中にある、さらにくぱあと開いた股の泉に吸い寄せられる。
「申し訳ありません。みなさま。今日はもう売り切れでーす♡」
ぬらぬらと濡れた瞳でハキハキとサンドウォームが宣う。
残りの客から投げられるブーイングと祝福の声。
男性を攻殻の中に咥え込むと攻殻の口をぴっちりと締めて地面の中へ引っ込んで行く。
その口の中では股の口はぱっくりと開いたままだった。
◆
「いつもより多めに回しておりまーす!」
「あ〜れ〜」
自分の嫁の唐傘お化けの足を持ち上げて器用に回す男性の肌には筋肉の筋が浮かび汗が浮いている。
唐傘お化けは傘を開いて横回転させられている。
「すごいですわね」
「いやはやこれは何とも」
それを見つめているのは艶やかな浴衣に身を包んだお嬢様方。
彼女たち自身の高貴なオーラで浴衣も嬉しそう、そこまで意匠は凝らされていないようなのに十二単でも来ているかのようにな重厚感に華やかさだった。
「おいおい、あれ見てみよろよ」
「ゴクリ、とんでもないな。全員が全員、美人なんて言葉じゃ言い表せないくらいだ」
「きっとどこかのお嬢様だぜ。声をかけるなんて畏れ多い」
「窮屈なお屋敷の生活を抜け出して、お祭りにおでかけあそばしゃっしゃっらりなされたんだぜ」
「ラリってるのはお前だ。無理に慣れない言葉を使うおうとするなよ」
頭がチリチリになっている男性2人だけでなく、男女問わず多くの瞳が彼女たちを見つめていた。
「多分声をかけようと近づいた瞬間これだぜ」
馬鹿の片方が自分のこめかみに拳銃の形をとった手を当てる。
「スナイパー!?」
「ない話じゃないだろう?」
指先に息を吹きかけつつ、ボンバーヘッドが騙る。
そこに近づいていく、見た所普通のサキュバス。気安そうに何事かを話しかけている
「おいおい。撃たれるぞ。庶民が話しかけていい方々ではあらせらりらりるれろ」
「さすがに今度はワザとだろ!。もう普通に話せよ。ラリったやつと一緒に居たくねぇよ」
「わかったよ。あっ、テイターニア様が抱きついたぞ」
「挨拶なんじゃねぇの?。なんか涙目だし久々の再会とか?」
「うおお。がんじがらめの貴族の生活。抜け出した先で再会した庶民の友達。家に帰れば待っている貴族のしきたり、彼女たちはこの一夏の思い出を胸にこれからの日々をすごすのであった」
「うう、泣ける。でも、ええなぁ」
「うん。ええどすなぁ」
思わずほっこりしてエセ京都弁になってしまう馬鹿二人。他の人々も彼女たちの様子にほっこりしている様子だ。
それぞれの頭の中では彼女たちの生活に対する妄想が渦巻いているのだろう。
周りの妄想のネタにされてしまったのは四人のお嬢様たち+一人の出涸らし。
いや、もちろん庶民っぽいサキュバスもサキュバスとしてとても可愛らしい容姿はしていたのだが、彼女たちに比べればどうしても見劣りしてしまう。
四人のお嬢様は、リリム、ファラオ、ワイト、テイターニア。皆がみんなタイプの違う絶世ともいえる美少女揃いだった。
彼女たちで妄想してほっこりする周りの人々とは対照的に彼女たちは皆、げんなりしていた。
「サキュバスちゃん〜。もうやだー」
サキュバスにしがみついて涙をにじませるテイターニア様。
「よしよし。テイターニアちゃん」
「いつもこれでは本当にもうげんなりしますわ」
「リリムちゃん、あなたの喋り方はお嬢様っぽいけど」
「ワイトちゃん、そんなことは言わないでくださいませ。これは言葉を勉強するときに見せられた画像が偏っていたのですわ」
「中世や古代ならわかるんやけど、今は現代や。ウチらもむかーしの高貴な血を受け継いどるかもしれんけど、今は普通の家庭の娘やで。ウチのオトンもオカンも共働きで役員でもなんもない普通の会社員やし、家で普通に屁ぇもこくわ」
「普通を強調するのはいいけど、女の子が屁、なんて普通に言うのはやめておこうよ、ファラオちゃん」
「ええやんか。女子校やったら、みぃんな気にせぇへんで、ちんぽ欲しいも言うとるわ」
「私も同意ですわ。おちんぽをいただきたいですわ」
「うっわ、卑猥や。丁寧にしたつもりで、卑猥さを増しとるあざとい女がおるで。それにこの浴衣かて、オカンにド⚫︎キで買ってきてもろた安もんやねん。何が由緒正しいおべべや、何が十二単や。あない重たくてけったいなもん持っとるわけあるかっちゅーの。うちのオカンが着重ねとるんはジャージとトラ柄のジャケットやわ」
「ジャージの上にトラ柄のジャケットを羽織ったファラオ、正直見てみたいな」
「テイターニアちゃん、ならウチに来(き)い。茶(ちゃあ)でもしばこうや」
「まぁまぁ、せっかくのお祭りなんだから屋台回ろう。私、こんなの憧れてたんだー」
「そうよね。あなたが本当のお嬢様ですものね、サキュバスちゃん」
「そんなことないよ」
「そんなことあるに決まっとるやないか。この四人の親は、みぃんなあんたんとこのオカンの会社に世話んなっとるんやから」
「そうね。身分違いとはこっちのことよ」
「そんなこと言わないでよ。悲しくなるじゃない」
サキュバスが頬を膨らませる。
「でも、申し訳ないのは本当よ。私たちがこんなド⚫︎キの浴衣を着ていて、あなたは西陣織の浴衣を着ているのに庶民扱いされて」
「それって、お高いんでしょう?」
「そうでもないよ。ゼロが5個か、6個くらい」
「ひゃー、敵わんわぁ」
「全然気にしないよ。これはこれで新鮮で面白いし」
「「「「サキュバスちゃん」」」」」
彼女の純粋な笑顔に感激する、見た目お嬢様四人。
そんな彼女たちを見ていて我慢が出来なくってきたクレイジーボンバー二人。
「よし。あのサキュバスの子でいいから俺声かけてみる」
「俺も一緒に行くぜ。お前に絡まれてるサキュバスちゃんを助ける俺」
「おい、お前、俺を見捨てる気か?」
「ふっふっふ。女絡みで情けは禁物だぜ」
「どうやって近づこうかな。あの浴衣安物っぽいから、ワザとジュースをこぼすとかいいかもな。弁償するのだって安いもんだろ。あのお嬢様たちのと違って、あれ絶対ド⚫︎キだぜドンキ」
ぎゃはは、といい笑顔で笑いあう迷える金魚二人。シー・ビショップさん質はわるいですが2匹追加です。
「よし、じゃあ行こうぜ。どっちが勝っても恨みっこなしだぜ」
「もちろん」
互いに拳をぶつけ合って誓う二人の額には金魚どころか、ただの鮒の絵が見えた。
「お嬢様に接近する不審人物2名を発見。これ以上近づくのならば排除してください。もしも警告を無視するのであれば、私が撃ちます。必要ないとは思いますが、ケンタウロスさんもサブで待機をお願いします」
森の中でスコープを覗き込むホーネットが無線に向かって話していた。
16/06/23 00:06更新 / ルピナス
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