キョニュー特戦隊只今参上！
「キャー、私のカバンがー！」
白昼の街中に少女の叫び声が上がる。
「へっ、トロトロしてるお前が悪いんだよ」
盗んだのは少年だ。少年は雑踏の中を駆け抜けて路地裏に逃げる。
「まったくこの街はやりやすくてタマンねぇな」
彼は少年らしからぬいやらしい笑みを浮かべた。まるで中年の男が嗜虐的な笑みを浮かべたような。
彼は手慣れた手つきで金目のものだけ抜き取ると、そのままカバンを捨てていく。
路地裏から出て行くのは先ほどとは違う顔をした少年だった。
彼はなんと馬鹿なことをしでかしたのだろう。
いくら彼が変装の魔術に長けていたとしても彼は捕まる。
何せ、この街には彼女たちがいるのだから。
◆
「今日の獲物はど、こ、か、なっと」
今日も彼は狙いやすそうな子供を探して、街をウロつく。
「お、あいつなんて良さそうだ」
彼の視線のの先にはホルスタウロスの少女がいた。可愛らしい魔女のキャラクターがついたカバンを脇に置いて、のほほんとソフトクリームを舐めている。見た目は幼いとはいえ、流石はホルスタウロス。同年代の少女よりも胸は膨らみ、ソフトクリームの舐め方も牛のようにねっとりとして将来が期待できる。
「カバンだけじゃなくて、あいつもいただききたいぜ」
少年は下劣な笑みを浮かべる。
「だが、下手な欲を出して足がつくわけにはいかねぇな」
邪な欲望の対象を金銭だけに押しとどめて彼は少女に近づく。
彼がカバンに手をかけ、引き寄せたその時、
「そこまでじゃ。悪党よ！」
少女の声が響いた。
驚く少年は咄嗟に逃げようとするが、足が地面に縫い付けられたようになって動けない。
「なんっ、だぁ！、これはぁぁ！」
なんらかの魔術によるものだろうが、少年の実力では解除できなかった。
「チィッ」
舌打ちをする少年の前に声の主が現れる。
「お主、新参者じゃな。この街を守るワシらのことを知らなかったと見える」
自信満々の笑みを浮かべたバフォメットが、腕組みをして薄い胸を張りながら立っていた。
彼女の登場に周りの人々から歓声が上がった。
「ウォォ〜。キョニューちゃん、マジ巨乳（虚乳）ー！」
「キャー、かわいいー。頑張れー」
馬鹿にされているようだが、人気者には違いない。
声援を受けたバフォメットはますます得意顔になる。
「何者だ。テメェ！」
少年のセリフに待ってましたとばかりに、新たな人影が現れる。
屋根の上から軽やかに飛び降りたのはクー・ シーの少女。まだ幼い彼女の毛並みはふわふわだ。
そして彼女はポーズを取った。彼女のふわふわな毛並みをこれでもかとアピールした上につぶらな瞳でじっと見つめる。
どこかの金融機関の宣伝を思い出してしまう。
「パウカー！！」
彼女は叫んだままそのポーズで固まった。
抱きしめてたくなる衝動を必死で押さえながら、少年は目の前の状況を理解しようとする。が、できなかった。
混乱してきている少年をよそに次の影が近づく。
人垣を優雅に掻き分けながらダンピールの少女が現れる。
固まっているクー・シーの横で腰に下げたレイピアを抜きはなった。
少年は切っ先を向けられて、逃げようともがくがやはり足は地面から離れない。
ダンピールはそのままのポーズで、
「ニークン！！」
と叫ぶと、クー・シーと同様に固まった。
少年は訳が分からず混乱するばかりだ。周りの人たちはさっきまでの茶々が嘘のように、静まり返っている。
それがさらに少年に混乱をもたらす。
混乱していく少年の目が蠢く小さな粘体を捕らえた。
紫色の粘体が四方八方から続々と集まって集合して、少女の形を作っていく。
全ての粘体が集まった時、そこにはダークスライムの少女が立っていた。
「ト、トリンバルっ！」
彼女はビシッとポーズを決めつつ叫んだ。若干ぎこちなく、羞恥に頬を染めている。
続々と少女が集まり、最初に現れたバフォメットを中心にしてポーズを決めた姿勢で固まっていく。
その光景とダークスライムの少女の様子を見て、少年はだんだんと悟ってきた。
これは、あれだ。何か戦隊物、みたいな。
少し冷めた目になってきた少年は、次の瞬間顔を驚愕に染めることになる。
轟音とともに何かが空から降ってきた。
砂煙りの中、地面には小ぶりながらも邪悪な剣が突き立っている。
剣の主は剣から現れた。柄の部分から黒い血液のようなものが流れ出し、少女の形を作る。
人々から感嘆のため息が漏れた。
少女は剣を抜き、天に掲げて叫ぶ。
「k」
少女の口が塞がった。まるで強制的に口を閉じさせられたかのように。
バフォ様がにっこりと少女に微笑んでいた。が、目は笑っていない。
剣を持った少女は少し涙目になりながら、コクコクとバフォメットに頷くと、少女の口が開けられるようになった。
「マーラっ！」
そして、そのまま少女はポーズをとって固まった。
さっきからポーズをとったままの少女たちが涙目になっている。バフォ様が怖いのだろうか。
いや違う。
剣を持った少女が登場の際に巻き上げた砂埃が目に入ったのだ。
しかし、目をこすることは許されない。なぜなら、バフォ様が見ている。
最後の少女が現れる。
その少女は少年の横を通る時に、少年の肩に軽く手を触れた。急に与えられた刺激に振り向いた少年の背筋は凍った。
その少女の目はまるで獲物を見つけた肉食獣のようで、無邪気なはずの笑顔はひどく歪で恐ろしいものに見えた。
少年と同じように、外見と中身がかみ合っていないような。
「ちっ、あんた囮だったのかよ」
思わず少年は悪態をついていしまう。
ホルスタウロスの少女はポーズをとって固まっている他の少女たちに加わると、
「ガーテン！！」
まだ育ちきっていない胸を強調しながらポーズをとった。
五人の少女が集まって、その中心にいるバフォメットが動く、動く、溜めながら動く。
「キョニュー！！」
ポーズをとって叫ぶ。
バフォメットが名乗って、六人は改めてポーズをとる。今度は協調を目指したポーズだ。
「キョニュー特戦隊只今参上っ！！」
六人が声を合わせて宣言した。
すると、割れんばかりの喝采が鳴り響いた。
「さっすがぁ、今日もイカしてるぜー、みんなー」
「トリンバルちゃんとマーラちゃんはまだまだ固いぞー」
「今日もみんなのキョニューが拝めて、ありがたや、ありがたや」
周りの人々から思い思いの言葉がかけられる。
ポーズをとっている少女達も周りに集まっている人々もみんな子供。
身動きの取れない少年も含めてみんながみんな子供だ。この街には大人の姿では入れない。
この街を統治しているサバトが出した法。街に入るためには子供になるための薬を購入しなくてはならない。
「なぜ私は子供もいるのにこのようなことをしているのでしょう」
「私も夫がいるのに。なぜこうなったぁ！」
そんな中、トリンバルとマーラの二人はうなだれていた。
◆
「ワシらはこの街の平和を守るキョニュー特戦隊。ワシが隊長のキョニューじゃ」
観念するのじゃ、とキョニューが貧乳を張る。
「キョニュー、w」
少年はバフォメットの貧乳を見て、鼻で笑ってしまった。
途端に空気が凍りついた。物理的に。
「ちょっと、キョニューちゃん。ダメだよぅ。この子のお仕置きは私がするんだから」
「おっと、スマンスマン。つい」
ガーテンの言葉にキョニューが氷を解除する。
つい、で凍らされた少年は恐怖と寒さで震えていた。
ガーテンは少年の目線に合わせてしゃがみ込む。
少年にパンツが見えてしまうが、少年はそれどころではない。
今から何をされるのか。
「そんなに怖がらなくても大丈夫だよぅ。今からは気持ちいことをするだけだから」
そう言いななら、ガーテンは少年のズボンをパンツもろとも下ろした。
少年のペニスは寒さと不安で縮こまってしまっている。
「な、何をするんだ」
抵抗する少年をよそに少女は告げる。
「今から私が手コキをしまーす。もし、しゃせーせずに耐えられたら、無罪で離してあげるし、私のおまんこ、使ってもいいよ」
にへら、と少女は笑う。
「知ってるんだよぅ。君が私のこと、エッチな目で見てたことは。だ、か、ら。がーんばれっ、がーんばれっ」
そう言いながら、ガーテンは少年のペニスを扱き始めた。
「キョニューちゃんのせいで、おちんちん縮こまっちゃってるよー。大きくなぁれ、大きくなぁれ」
少女のたどたどしい手つきが自分のペニスをしごく背徳的な光景をみて、恐怖ばかりであった少年の心に欲情の火が灯った。
「おい」
「なぁに？」
「本当だろうな」
「何が？」
「惚けるなよ、さっきの話だよ。お前の手コキに耐えられたら、見逃してもらえる上にお前を好きにしていいって」
そこまでは言っていないが、少年は脂ぎった笑みを浮かべながらガーテンに問いかける。
「本当だよー、君が勝ったら、私は君のせーどれーにだってなってあげるよー」
答えながら、彼女はまたにへら、と笑った。本当に嬉しそうだ。
「その言葉に忘れんじゃねぇぞ」
少年は、ふひひ、と不気味に笑ってペニスを勃起させた。
「わぁ、大きくなった」
驚く少女の姿をみて、少年はペニスを挑発的にピクピクと動かした。
そんな少年に、
「じゃあ。そろそろ、逝かせてアゲルネ」
ガーテンは本当に、嬉しそうに嗤った。
”みこすりはん”
ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ！！
汚い悲鳴とともに少年の精液が噴火のように迸った。
あまりの衝撃に快感を感じる余裕もなく、激しく体を痙攣させる少年。
ガーテンは自分にかかった精液を妖艶に舐めとりながら、少年を見ている。
少年は視点の定まらない目をしながら、肩で息をしている。
「三擦り半どころか、一擦りも耐えられなかったようじゃな」
つまらないとばかりに、キョニューは背を向ける。
「お主の好きにするがよい、お主の性技に比べれば追放も投獄も生ぬるいものじゃ。ワシは先に帰って、ロリーダ様に報告しておこう」
「わかったー。じゃあ、好きにするねー」
少女の顔には無邪気な笑みしか浮かんでいない。
「ねぇねぇ。そういえば、私が勝った時のことをまだ約束してなかったよね」
少年は浅い息を吐きながら、ガーテンを見る。少年の瞳からはすでに劣情は消え去り、そこには不安と恐怖しか残っていなかった。
「君が勝ったら。私のことを好きにしていい、って約束だったから。私も君を好きにしていい、ってことだよねー」
そこにあるのは少女の無邪気な笑み。しかし、少年の瞳に映ったのは、目と口を三日月型に歪めて嗤う女の顔だった。
◆
見物人たちはすでに見るものはないと去っていく。
残っているのはガーテンの性技を盗もうと目を光らせているものだけだ。
「すごいです。流石、全身オナホールと言われるだけありますね」
「ああ。あの技はぜひともものにしたいものだ」
この場に残った特戦隊のメンバーはトリンバルとマーラの二人だけ。
ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！！
街には少年の悲鳴が響いている。
「ですが、残念ながら彼女の技を全て盗むことはできそうにありません」
「おいおい。そんな弱気なことを言うものじゃないぞ」
「いえ、そういう意味ではありません。マーラ、あなたは彼女が手コキ以外をしているところを見たことがありますか？」
マーラは少し考える。
「いや、ないな」
「そうでしょう。彼女の性技を存分にふるえる相手がいないのですよ。それに、彼女の本来の技はホルスタウロスらしくバイずりだそうです。ですが、相手がいないどころかこの街の掟ではよほどのことがない限り、元の姿に戻ることすらできません」
「ぐぬぬ」
マーラが唸る。
「先ほどの技だってそうですよ」
「みこすりはん、だったか？」
「ええ、あの技も本来は、玉で一擦り、竿で一擦り、カリで一擦り、鈴口で半擦りして弾く、合わせて三擦り半で射精させる技です。それなのに、私は入隊してから二擦り以上耐えた相手を見たことがありません」
トリンバルはため息をつく。
「あの技は三行半をつきつきてきた相手を三擦り半で骨抜きにしたという、壊れそうになった夫婦関係を持ちなおさせた逸話があるとてもありがたい技なのです。彼女は数少ない使い手です。だから是非覚えたいのですが、そもそも最後まで技を使える相手がいないだなんて」
なんのために私はあの恥ずかしいポーズを覚えたのでしょう。およよ、とトリンバルが泣き出してしまう。
「知っていますか？。彼女自身の性技を打ち破りおまんこまでたどり着ける猛者がいないから、彼女はまだ処女だそうです。あんな素晴らしい技を持ちながら、それを受け止められるだけの方に巡り会えないなんてなんて悲しい話なのでしょうか」
酒も飲んでいないのに、泣き上戸のように彼女は泣く。
おそらく彼、私の夫ならば彼女に太刀打ちできるのではないかと、マーラは思う。
しかし、紹介したら最後、キョニュー特戦隊全員との体を使った戦闘に入ってしまうだろう。
それはそれでよいのだが、今はまだダメだ。
「よし！。ではトリンバルよ。酒でも飲みに行こうではないか。幸い私たちは二人とも夫がいる。お互いの惚気話でこの暗い気持ちを吹き飛ばそうではないかぁ！」
マーラがトリンバルを酒場へ誘う。
一瞬、トリンバルはきょとんとした顔をしたものの、すぐに、
「いいですよ。吹き飛ばすどころか、とろけて何も残らないような話をしましょう」
粘体の顔が艶やかに歪む。
くつくつ、とマーラは笑い、ふふふ、とトリンバルも笑う。
そうして、少女二人は酒場に向かうのであった。
二人は自分たちの会話がガーテンにも聞こえていることを知らない。
ましてや、ガーテンの口元が引きつっていることなんて、もっと知らない。
だから、その場から離れていっているはずなのに、どんどん大きくなっていく少年の悲鳴に首を傾げてしまうだけなのであった。
白昼の街中に少女の叫び声が上がる。
「へっ、トロトロしてるお前が悪いんだよ」
盗んだのは少年だ。少年は雑踏の中を駆け抜けて路地裏に逃げる。
「まったくこの街はやりやすくてタマンねぇな」
彼は少年らしからぬいやらしい笑みを浮かべた。まるで中年の男が嗜虐的な笑みを浮かべたような。
彼は手慣れた手つきで金目のものだけ抜き取ると、そのままカバンを捨てていく。
路地裏から出て行くのは先ほどとは違う顔をした少年だった。
彼はなんと馬鹿なことをしでかしたのだろう。
いくら彼が変装の魔術に長けていたとしても彼は捕まる。
何せ、この街には彼女たちがいるのだから。
◆
「今日の獲物はど、こ、か、なっと」
今日も彼は狙いやすそうな子供を探して、街をウロつく。
「お、あいつなんて良さそうだ」
彼の視線のの先にはホルスタウロスの少女がいた。可愛らしい魔女のキャラクターがついたカバンを脇に置いて、のほほんとソフトクリームを舐めている。見た目は幼いとはいえ、流石はホルスタウロス。同年代の少女よりも胸は膨らみ、ソフトクリームの舐め方も牛のようにねっとりとして将来が期待できる。
「カバンだけじゃなくて、あいつもいただききたいぜ」
少年は下劣な笑みを浮かべる。
「だが、下手な欲を出して足がつくわけにはいかねぇな」
邪な欲望の対象を金銭だけに押しとどめて彼は少女に近づく。
彼がカバンに手をかけ、引き寄せたその時、
「そこまでじゃ。悪党よ！」
少女の声が響いた。
驚く少年は咄嗟に逃げようとするが、足が地面に縫い付けられたようになって動けない。
「なんっ、だぁ！、これはぁぁ！」
なんらかの魔術によるものだろうが、少年の実力では解除できなかった。
「チィッ」
舌打ちをする少年の前に声の主が現れる。
「お主、新参者じゃな。この街を守るワシらのことを知らなかったと見える」
自信満々の笑みを浮かべたバフォメットが、腕組みをして薄い胸を張りながら立っていた。
彼女の登場に周りの人々から歓声が上がった。
「ウォォ〜。キョニューちゃん、マジ巨乳（虚乳）ー！」
「キャー、かわいいー。頑張れー」
馬鹿にされているようだが、人気者には違いない。
声援を受けたバフォメットはますます得意顔になる。
「何者だ。テメェ！」
少年のセリフに待ってましたとばかりに、新たな人影が現れる。
屋根の上から軽やかに飛び降りたのはクー・ シーの少女。まだ幼い彼女の毛並みはふわふわだ。
そして彼女はポーズを取った。彼女のふわふわな毛並みをこれでもかとアピールした上につぶらな瞳でじっと見つめる。
どこかの金融機関の宣伝を思い出してしまう。
「パウカー！！」
彼女は叫んだままそのポーズで固まった。
抱きしめてたくなる衝動を必死で押さえながら、少年は目の前の状況を理解しようとする。が、できなかった。
混乱してきている少年をよそに次の影が近づく。
人垣を優雅に掻き分けながらダンピールの少女が現れる。
固まっているクー・シーの横で腰に下げたレイピアを抜きはなった。
少年は切っ先を向けられて、逃げようともがくがやはり足は地面から離れない。
ダンピールはそのままのポーズで、
「ニークン！！」
と叫ぶと、クー・シーと同様に固まった。
少年は訳が分からず混乱するばかりだ。周りの人たちはさっきまでの茶々が嘘のように、静まり返っている。
それがさらに少年に混乱をもたらす。
混乱していく少年の目が蠢く小さな粘体を捕らえた。
紫色の粘体が四方八方から続々と集まって集合して、少女の形を作っていく。
全ての粘体が集まった時、そこにはダークスライムの少女が立っていた。
「ト、トリンバルっ！」
彼女はビシッとポーズを決めつつ叫んだ。若干ぎこちなく、羞恥に頬を染めている。
続々と少女が集まり、最初に現れたバフォメットを中心にしてポーズを決めた姿勢で固まっていく。
その光景とダークスライムの少女の様子を見て、少年はだんだんと悟ってきた。
これは、あれだ。何か戦隊物、みたいな。
少し冷めた目になってきた少年は、次の瞬間顔を驚愕に染めることになる。
轟音とともに何かが空から降ってきた。
砂煙りの中、地面には小ぶりながらも邪悪な剣が突き立っている。
剣の主は剣から現れた。柄の部分から黒い血液のようなものが流れ出し、少女の形を作る。
人々から感嘆のため息が漏れた。
少女は剣を抜き、天に掲げて叫ぶ。
「k」
少女の口が塞がった。まるで強制的に口を閉じさせられたかのように。
バフォ様がにっこりと少女に微笑んでいた。が、目は笑っていない。
剣を持った少女は少し涙目になりながら、コクコクとバフォメットに頷くと、少女の口が開けられるようになった。
「マーラっ！」
そして、そのまま少女はポーズをとって固まった。
さっきからポーズをとったままの少女たちが涙目になっている。バフォ様が怖いのだろうか。
いや違う。
剣を持った少女が登場の際に巻き上げた砂埃が目に入ったのだ。
しかし、目をこすることは許されない。なぜなら、バフォ様が見ている。
最後の少女が現れる。
その少女は少年の横を通る時に、少年の肩に軽く手を触れた。急に与えられた刺激に振り向いた少年の背筋は凍った。
その少女の目はまるで獲物を見つけた肉食獣のようで、無邪気なはずの笑顔はひどく歪で恐ろしいものに見えた。
少年と同じように、外見と中身がかみ合っていないような。
「ちっ、あんた囮だったのかよ」
思わず少年は悪態をついていしまう。
ホルスタウロスの少女はポーズをとって固まっている他の少女たちに加わると、
「ガーテン！！」
まだ育ちきっていない胸を強調しながらポーズをとった。
五人の少女が集まって、その中心にいるバフォメットが動く、動く、溜めながら動く。
「キョニュー！！」
ポーズをとって叫ぶ。
バフォメットが名乗って、六人は改めてポーズをとる。今度は協調を目指したポーズだ。
「キョニュー特戦隊只今参上っ！！」
六人が声を合わせて宣言した。
すると、割れんばかりの喝采が鳴り響いた。
「さっすがぁ、今日もイカしてるぜー、みんなー」
「トリンバルちゃんとマーラちゃんはまだまだ固いぞー」
「今日もみんなのキョニューが拝めて、ありがたや、ありがたや」
周りの人々から思い思いの言葉がかけられる。
ポーズをとっている少女達も周りに集まっている人々もみんな子供。
身動きの取れない少年も含めてみんながみんな子供だ。この街には大人の姿では入れない。
この街を統治しているサバトが出した法。街に入るためには子供になるための薬を購入しなくてはならない。
「なぜ私は子供もいるのにこのようなことをしているのでしょう」
「私も夫がいるのに。なぜこうなったぁ！」
そんな中、トリンバルとマーラの二人はうなだれていた。
◆
「ワシらはこの街の平和を守るキョニュー特戦隊。ワシが隊長のキョニューじゃ」
観念するのじゃ、とキョニューが貧乳を張る。
「キョニュー、w」
少年はバフォメットの貧乳を見て、鼻で笑ってしまった。
途端に空気が凍りついた。物理的に。
「ちょっと、キョニューちゃん。ダメだよぅ。この子のお仕置きは私がするんだから」
「おっと、スマンスマン。つい」
ガーテンの言葉にキョニューが氷を解除する。
つい、で凍らされた少年は恐怖と寒さで震えていた。
ガーテンは少年の目線に合わせてしゃがみ込む。
少年にパンツが見えてしまうが、少年はそれどころではない。
今から何をされるのか。
「そんなに怖がらなくても大丈夫だよぅ。今からは気持ちいことをするだけだから」
そう言いななら、ガーテンは少年のズボンをパンツもろとも下ろした。
少年のペニスは寒さと不安で縮こまってしまっている。
「な、何をするんだ」
抵抗する少年をよそに少女は告げる。
「今から私が手コキをしまーす。もし、しゃせーせずに耐えられたら、無罪で離してあげるし、私のおまんこ、使ってもいいよ」
にへら、と少女は笑う。
「知ってるんだよぅ。君が私のこと、エッチな目で見てたことは。だ、か、ら。がーんばれっ、がーんばれっ」
そう言いながら、ガーテンは少年のペニスを扱き始めた。
「キョニューちゃんのせいで、おちんちん縮こまっちゃってるよー。大きくなぁれ、大きくなぁれ」
少女のたどたどしい手つきが自分のペニスをしごく背徳的な光景をみて、恐怖ばかりであった少年の心に欲情の火が灯った。
「おい」
「なぁに？」
「本当だろうな」
「何が？」
「惚けるなよ、さっきの話だよ。お前の手コキに耐えられたら、見逃してもらえる上にお前を好きにしていいって」
そこまでは言っていないが、少年は脂ぎった笑みを浮かべながらガーテンに問いかける。
「本当だよー、君が勝ったら、私は君のせーどれーにだってなってあげるよー」
答えながら、彼女はまたにへら、と笑った。本当に嬉しそうだ。
「その言葉に忘れんじゃねぇぞ」
少年は、ふひひ、と不気味に笑ってペニスを勃起させた。
「わぁ、大きくなった」
驚く少女の姿をみて、少年はペニスを挑発的にピクピクと動かした。
そんな少年に、
「じゃあ。そろそろ、逝かせてアゲルネ」
ガーテンは本当に、嬉しそうに嗤った。
”みこすりはん”
ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ！！
汚い悲鳴とともに少年の精液が噴火のように迸った。
あまりの衝撃に快感を感じる余裕もなく、激しく体を痙攣させる少年。
ガーテンは自分にかかった精液を妖艶に舐めとりながら、少年を見ている。
少年は視点の定まらない目をしながら、肩で息をしている。
「三擦り半どころか、一擦りも耐えられなかったようじゃな」
つまらないとばかりに、キョニューは背を向ける。
「お主の好きにするがよい、お主の性技に比べれば追放も投獄も生ぬるいものじゃ。ワシは先に帰って、ロリーダ様に報告しておこう」
「わかったー。じゃあ、好きにするねー」
少女の顔には無邪気な笑みしか浮かんでいない。
「ねぇねぇ。そういえば、私が勝った時のことをまだ約束してなかったよね」
少年は浅い息を吐きながら、ガーテンを見る。少年の瞳からはすでに劣情は消え去り、そこには不安と恐怖しか残っていなかった。
「君が勝ったら。私のことを好きにしていい、って約束だったから。私も君を好きにしていい、ってことだよねー」
そこにあるのは少女の無邪気な笑み。しかし、少年の瞳に映ったのは、目と口を三日月型に歪めて嗤う女の顔だった。
◆
見物人たちはすでに見るものはないと去っていく。
残っているのはガーテンの性技を盗もうと目を光らせているものだけだ。
「すごいです。流石、全身オナホールと言われるだけありますね」
「ああ。あの技はぜひともものにしたいものだ」
この場に残った特戦隊のメンバーはトリンバルとマーラの二人だけ。
ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！！
街には少年の悲鳴が響いている。
「ですが、残念ながら彼女の技を全て盗むことはできそうにありません」
「おいおい。そんな弱気なことを言うものじゃないぞ」
「いえ、そういう意味ではありません。マーラ、あなたは彼女が手コキ以外をしているところを見たことがありますか？」
マーラは少し考える。
「いや、ないな」
「そうでしょう。彼女の性技を存分にふるえる相手がいないのですよ。それに、彼女の本来の技はホルスタウロスらしくバイずりだそうです。ですが、相手がいないどころかこの街の掟ではよほどのことがない限り、元の姿に戻ることすらできません」
「ぐぬぬ」
マーラが唸る。
「先ほどの技だってそうですよ」
「みこすりはん、だったか？」
「ええ、あの技も本来は、玉で一擦り、竿で一擦り、カリで一擦り、鈴口で半擦りして弾く、合わせて三擦り半で射精させる技です。それなのに、私は入隊してから二擦り以上耐えた相手を見たことがありません」
トリンバルはため息をつく。
「あの技は三行半をつきつきてきた相手を三擦り半で骨抜きにしたという、壊れそうになった夫婦関係を持ちなおさせた逸話があるとてもありがたい技なのです。彼女は数少ない使い手です。だから是非覚えたいのですが、そもそも最後まで技を使える相手がいないだなんて」
なんのために私はあの恥ずかしいポーズを覚えたのでしょう。およよ、とトリンバルが泣き出してしまう。
「知っていますか？。彼女自身の性技を打ち破りおまんこまでたどり着ける猛者がいないから、彼女はまだ処女だそうです。あんな素晴らしい技を持ちながら、それを受け止められるだけの方に巡り会えないなんてなんて悲しい話なのでしょうか」
酒も飲んでいないのに、泣き上戸のように彼女は泣く。
おそらく彼、私の夫ならば彼女に太刀打ちできるのではないかと、マーラは思う。
しかし、紹介したら最後、キョニュー特戦隊全員との体を使った戦闘に入ってしまうだろう。
それはそれでよいのだが、今はまだダメだ。
「よし！。ではトリンバルよ。酒でも飲みに行こうではないか。幸い私たちは二人とも夫がいる。お互いの惚気話でこの暗い気持ちを吹き飛ばそうではないかぁ！」
マーラがトリンバルを酒場へ誘う。
一瞬、トリンバルはきょとんとした顔をしたものの、すぐに、
「いいですよ。吹き飛ばすどころか、とろけて何も残らないような話をしましょう」
粘体の顔が艶やかに歪む。
くつくつ、とマーラは笑い、ふふふ、とトリンバルも笑う。
そうして、少女二人は酒場に向かうのであった。
二人は自分たちの会話がガーテンにも聞こえていることを知らない。
ましてや、ガーテンの口元が引きつっていることなんて、もっと知らない。
だから、その場から離れていっているはずなのに、どんどん大きくなっていく少年の悲鳴に首を傾げてしまうだけなのであった。
16/06/18 22:17更新 / ルピナス