連載小説
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ある休日の奴隷の話
― 変化の少ない日々を退屈と受け取るか平穏と受け取るかは人それぞれだろう。
 
 刺激を求めるニンゲンであればそれは退屈と映るだろう。人生の殆どを穏やかな森の中で過ごすエルフであればそれは平穏と見るかもしれない。どちらにせよ、それを否定的に見るか、それとも肯定的に見るかは本人の価値観に依るものが大きいのだ。
 
 ― そして…私はどちらかと言えば後者の側だ。
 
 長らく変化の少ない森の中で暮らしてきたからだろうか。私は変化の乏しい日々がそんなに嫌いではなかった。毎朝、ニンゲンの為に食事を作り、彼のいない時間は炊事洗濯をする。空いた時間はニンゲンのセーターを編むか、或いは彼から買ってもらった小説を読む。ニンゲンが帰ってきてからは一緒に食事をし、或いは外へ買い物へと出かける。そんな穏やかで暖かな日常を私はとても気に入っていて…幸せであるとさえ思っていたのだ。
 
 ― でも、それは決して変化が欲しくないと言う訳ではなくて…。
 
 「ふふ…っ♪」
 「随分と上機嫌ですね」
 
 思わず漏れでた笑みに反応したのは私の横に立つ狐顔の男だ。普段、着ている警備隊の制服ではなく、焦茶色のダッフルコートに身を包んでいる。膝上まですっぽりと覆うそのゆったりとしたコートの下には世にも珍しいこの男の私服姿は隠されているはずだ。勿論、私はその中身もしっかりばっちりと知っている。そう思うと少しばかり優越感を感じるのだ。
 
 「そりゃ久方ぶりのデートだからな。機嫌も良くなるのは仕方ない」
 「デートのつもりはないんですけど」
 
 そんな上機嫌な私をいじめるように脇に立つニンゲンはそう言った。だが、わざわざ私服まで持ちだして朝から夜まで適当に街をぶらつこうと言ったのは彼の方である。これがデートでなければ一体、何だと言うのだろう。実際、日差しが真上から照りつける昼過ぎになった今の時点でさえ、彼の手には幾つかの商品がぶら下がっていた。
 
 「そう言う割りには随分と色々、買ってくれてるじゃないか」
 「貴女に拗ねられると厄介ですからね。たまには飴も買ってご機嫌取りでもしませんと」
 
 ― まったく…素直じゃない奴め…♪
 
 勿論、私はそれがただの言い訳である事を知っている。何だかんだ言って私に甘いこの男はここ数日、忙しくて帰りが遅くなっていたのを気に病んでいたのだ。夜遅く過ぎてエッチもろくに――それこそ二回くらいしか!!――出来なかった事を悔やんでいるのだろう。だからこそ、ようやく手に入れた休日を私のために使ってくれようとしているのだ。
 
 ― 嬉しい…っ♪
 
 私だって口では「私の為に休日を丸々注ぎ込め」と可愛げのない言葉を言ったり出来る。だけど、それはそれだけコイツと休日を一緒に過ごしたいと思っているということなのだ。それを彼から歩み寄り、言い出してくれたのだから嬉しくないはずがない。赤茶色のレンガで舗装された大通りを二人で歩いている今でさえ小躍りしてその喜びを表現したいくらいなのだから。
 
 「そういうのをデートだって言うんだと思うんだがなぁ♪」
 「そんな事言い出したら買い物に出かける日が全部、デートじゃないですか、まったく」
 
 ― そんな意地悪な事を言いつつもニンゲンの頬は少しだけ赤くなっていた。
 
 普段、人を嫌というほどいじめてくれている癖にこの男は自分が責められるのは割りと苦手だ。想定外の出来事に弱いニンゲンは最近、私にこうした表情を良く見せてくれる。そして、普段の鬼畜な様子からは想像も出来ないほど可愛らしい姿を私はもっとずっと見たくなってしまうのだ。
 
 「じゃあ、毎日がデートだ。こんな美人と毎日デートだなんて世の連中、皆が羨むぞ♪」
 「そんなセリフは鏡を見てから言いなさい。魔物娘の中じゃ凡百の顔をしている癖に」
 
 ― その可愛げのない言い回しはある種、褒め言葉だ。
 
 エルフである私には少なからず自分の美貌に自信がある。少なくともニンゲンの女にはよっぽどの事がない限り負けないだろう。だが、それがこの街に多く暮らす魔物娘が相手であると話はまったく別になってしまうのだ。絵画から抜け出たのではないかという美しさを振りまく彼女らに並ぶのはエルフでさえ難しいかもしれない。だが、彼は魔物娘に勝るとも劣らないと遠回しに言ってくれているのだ。そう思えば素直じゃないその言葉も悪くない気がする。
 
 「まぁ、私は貴女の顔が一番、好きですけどね」
 「ふぇぇ!?」
 
 だが、唐突に聞こえたその言葉が私の喜悦を吹き飛ばした。なにせ彼が口にしたその言葉は私にとってはダイアモンドよりも希少なものなのである。最近、めっきり言ってくれないその言葉が本当に現実なのかと半ば信じられない私は呆然と彼の方へと視線を向けた。だが、それを出迎えたのは意地悪な――そして私の大好きな――ニンゲンの表情である。まるでその言葉がまるっきり嘘であるとアピールするその顔に私はからかわれた事を悟った。
 
 「不意打ちってのはこうやって使うものですよ。貴女はまだまだ甘いですね」
 「ぐぬぬ…」
 
 勝ち誇ったニンゲンの言葉に私は頬を膨らませる。たった一回で逆転するなんて酷い。悔しい。そんな言葉さえ心の中には浮かんだ。しかし、同時にそれが私にとっては嬉しいのだ。彼が私にとって圧倒的上位者であり、征服者であり、支配者であるのを感じさせるやり取り一つで私の胸は高鳴り、そして子宮に熱い熱を灯してしまう。ジュンと子宮の奥が蕩け、甘い熱を広げるのを感じた瞬間、私は外気の冷たさを否応なく意識してしまうのだ。
 
 「くしゅんっ!」
 
 瞬間、私の口からくしゃみが飛びでてしまう。反射的に抑えた手で唾液が飛散するのは抑えたものの、大衆の面前でくしゃみをするのは少しだけ恥ずかしい。とは言え、年末間近なこの大通りに歩いているのは恋人と手を組み、自分たちだけの世界にどっぷりと浸かったものばかりである。恐らく誰一人――いや、ニンゲン以外はまったく気にしていないだろう。
 
 「大丈夫ですか?」
 「う…ちょっと寒いかも…」
 
 気遣うニンゲンに答えるその言葉も当然だろう。なにせ私は彼とお揃いのダッフルコートの前面を開け、鎖骨を露出した黒のフリルブラウスと黒のロングタイトスカートという出で立ちなのだから。コートこそ羽織っているとは言え、その格好は冬の寒さが最高潮に達する時期に着るものとは到底、言えないだろう。
 
 「だから、もっと暖かい格好をしなさいと言ったんですよ。今からでも遅くないですからコートの前だけでも閉じなさい」
 「…嫌」
 「嫌って…貴女ね…」
 
 呆れたようにニンゲンがそう言うが私だって譲れない。勿論、馬鹿な事を言っているのは私の方だという自覚はあるが、彼の申し出を断っているのはそもそも感情的なものが強いのだ。最初から論理的な理由で拒否していない以上、それは私の心を鈍らせる理由にはならない。
 
 「だって…前を閉じたら首輪が見えなくなってしまうじゃないか……」
 
 ― そう。私の首には黒皮の上等な首輪が光っていて…。
 
 そこから伸びる銀色の鎖が彼の左手にそっと握られている。まるで私が彼の所有物であり、ペットであることを見せびらかすようなそれの下には薄紫色の淫らな文様――快楽のルーンと言うらしい――が刻まれていた。それらは普通であれば恥ずかしくてまっさきに隠したくなるものだろう。だが、寧ろ、私はそれを全世界中の人達に見せつけ、私が幸せであることをアピールしたかったのである。
 
 ― それほどまでにはっきりとアピール出来る物を隠したいと思えるはずがない。
 
 だからこそ、私はこの寒空の下でコートを広げ、その下も首輪が映えるような薄い服しか見に着けていないのである。勿論、それで多少寒くなるのは覚悟の上だ。今更、寒いからと言って私の決意が鈍る事はない。
 
 ― それに……。
 
 「…風邪引きますよ」
 「お前が暖めてくれたら風邪なんて引かない」
 
 信頼感を込めて放ったその言葉にニンゲンはそっと額に右手を当てた。まるで頭痛を堪えるような仕草に私は思わず笑みを浮かべてしまう。だって、それは明らかにポーズなのだ。困っているのだと仕方ないのだと自分に言い訳する為の演技なのである。きっと彼は私の欲しいものをくれる。そう確信できる姿に思わず頬が緩んでしまっても仕方ないだろう。
 
 「ホント、貴女は我侭ですね…」
 「うん。知ってる」
 
 だけど、それは勿論、その我侭をこの男が飲み込んでくれるとも分かっているからだ。ニンゲンは私の言う事を絶対に無下にはしないと理解しているからである。そうでなければ、こんな我侭なんて怖くて言えやしない。私にとって世界とは彼そのものであり、ニンゲンに嫌われるのは世界の崩壊を意味するほどなのだから。
 
 「…ほら」
 「えへへ…っ♪」
 
 そんな事を考えている間に諦めがついたのだろう。恥ずかしそうに視線を背けながら、彼がそっと左手を差し出してくれた。私の首から伸びる鎖を手のひらに載せるそれに私はそっと自分の右手を絡める。そのまま指の一つ一つを絡ませ合う『恋人繋ぎ』になったその手をニンゲンは自分のコートのポケットへとぎゅっと押し込んだ。
 
 「ふふ…♪お前の手は暖かいな…♪」
 「そういう貴女は手が冷たいですよ」
 「知ってるか?手の冷たい奴は心が暖かいらしいぞ」
 「貴女が暖かいのは頭の中でしょうに」
 
 ― お前も顔が暖かそうだけどな♪
 
 その言葉を私は意図的に胸の奥へと押し込んだ。それは勿論、嘘だからという訳ではない。実際にニンゲンの顔は赤くなって、触れると暖かそうである。それにも関わらず私がそれを言わなかったのは流石に彼のプライドを傷つけるであろうと思ったからだ。彼はサディストだけあってプライド高く、それを傷つけられると割りと本気で拗ねるのである。その様も可愛いとは言え、あんまり弄りすぎると後の復讐が怖い。
 
 ― この間なんて腰が立たなくなるくらいまで犯されちゃったし…♪
 
 久しぶりの連休だからと浮かれたのが悪かったのだろう。ついつい調子に乗りすぎた私を彼は縛り上げ、目隠しをして数時間放置したのである。ようやく触って貰えた頃にはもう私は心も身体も敏感になってしまい、かすかな刺激でもあっさりとイッてしまうのだ。その状態の私が文字通り一日中、彼のオチンポで犯されて、正気でいられるはずがない。射精しても容赦しない乱暴な抽送にオーガズムを重ねられ、数えきれないほど意識を飛ばしたのだ。正直、死ぬと思ったのは一度や二度ではない。
 
 ― あぁ…♪ちょっと垂れちゃった…♪
 
 その甘美で乱暴なお仕置きを脳裏に思い浮かべるだけで既に潤んでいた子宮からドロリと愛液が溢れるのを自覚する。だって、あの体験は泣き叫んで許しを請うほど辛かったが、それ以上に幸せで気持ちが良いものであったのだから。もう一度したいとは決して言えないけれど、ニンゲンがしたいと言えばきっと私は拒めない。きっと言葉では拒否しつつ、悦んで彼に…いいえ…『ご主人様』に身体を差し出してしまうだろう。
 
 「ラウラ?」
 「ふぁぁ…い…♪」
 
 途中で会話が途切れ、私が足を止めたのを不審に思ったのでしょう。ご主人様が訝しげに私の名前を呼んでくださいました。あんなに我侭を言ったにも関わらず、私の事を慮って下さる愛しいお方に暖かいものが胸中に広がります。ですが、じんわりと広がる暖かな愛情を塗り替えるように子宮からドロドロとした欲情が沸き上がってきていたのでした。
 
 ― さっきの妄想で私の中の『スイッチ』がぁ…♪
 
 普段は抑えこまれている魔物の欲望を剥き出しにし始める私の口からは荒い吐息が吐き出され始めていました。熱いそれは寒空の下で白い球体を作り出し、私の興奮を形にするのです。勿論、ご主人様がそれに気付かないはずがありません。私がメスの顔を見せ始めているのに気づいた愛しいお方はぎゅっとポケットの中で私の指を握りしめて下さるのです。
 
 「…こんな街中で発情したんですか?」
 「はいぃ…申し訳ありません…♪」
 
 咎めるような冷たい声に答える私の声にはどんどんと甘いものが混じり始めていました。それも仕方のない事でしょう。だって、ご主人様の鋭い言葉は私に『お仕置き』を彷彿とさせるのですから。とても甘美で淫らなその味はもう私の身体の中に刻み込まれているのです。身も心も魔物と化した私がそれに抗う事など出来るはずがありません。
 
 「こんな人通りの多い所で欲情するなんて…恥ずかしくないんですかね…。あぁ、ケダモノである貴女にそんな人としての最低限の尊厳を期待する方が間違いでしたね」
 「ふぁぁ…ぁっ♪」
 
 冷たい蔑みの言葉に私の背筋がブルリと震えてしまいます。人のプライドを傷つけ、屈服させようとするようなその言葉は完全に服従した私にとって欲情を掻き立てるものでしかありません。私を追い詰めるようなご主人様の言葉一つ一つが私を敏感にする媚薬のような効果を発揮するのでした。
 
 ― そんな私の肩をご主人様は右手でそっと抱き寄せてくれて…っ♪
 
 「でも、貴女はもう私のペットなんですよ。そんな顔をされたら私の躾の仕方が甘いんじゃないかと疑われるじゃないですか」
 「ご…ごめんなさい…♪」
 
 躾のなっていないメス犬はご主人様の品格も失われるものです。その事に関して、私はご主人様に謝らなければいけないでしょう。ですが、それでももう私は止まれないのです。一度、火が点いた魔物の本能はご主人様の精液を子宮に頂くまで決して下火になる事はないのですから。
 
 ― まして…最近は回数も少なかったですし…♪
 
 教団との戦争により、多くの人が死ぬか辞めた警備隊の中では大規模な組織編成が行われていると聞きます。その中で中間管理職に当たるご主人様もまた様々な部署との協議や打ち合わせに追われてるのでしょう。お陰様でここ最近はニ三回しか可愛がってもらっていないのです。その事に不満を漏らす事はありませんでしたが、身体はそうではなかったのでしょう。今までお預けを喰らった分をしっかり愛してもらおうと興奮を高まらせていました。
 
 ― あぁ…♪もう我慢出来ない…っ♪
 
 「だから…ラウラに…淫乱ペットのラウラにまたお仕置きして躾け直してください…ぃっ♪ご主人様が何処に出しても恥ずかしくない淫乱メス奴隷になれるように…調教しなおして下さいませ…っ♪」
 
 その興奮に背中を突き動かされるように私の口からオネダリの言葉が飛び出しました。それにご主人様の顔にも昏いものが浮かび始めるのです。それはきっと目の前のメス奴隷を再び調教するという支配欲とケダモノじみた性欲が混ざったものなのでしょう。ですが、私にそれを怖がる気持ちは一切ありません。寧ろご主人様のそんな表情を向けられているということが心を震わせるほど嬉しいのです。
 
 「…仕方ありませんね」
 「んぁ…っ♪」
 
 そう言ってご主人様は私を手をポケットの中へと突っ込んだまま、路地裏へと引きずり込むのでした。乱暴とも言えるそれに私は引っ張られながら、暗い影の世界へと連れていかれます。大通りとは違い、少し荒れた感じがするそこはまるで別世界に迷い込んだようでした。その中をご主人様は自分の庭のようにするすると動き回り、私を奥へ奥へと連れていくのです。
 
 「あぁ、ありましたね」
 
 数分後、ご主人様が見上げたのは大きな大きなお屋敷のような建物でした。一般的なレベルを遥かに超えるご主人様の家を更に数倍にした大きさのその建物にはデカデカを『LOVE』という看板が掲げられています。一体、これがどういう意図の建物なのかは私には分かりません。しかし、このような裏路地で、しかも、これだけ大規模な店を構えるという事はそれだけ後ろめたい事をしている可能性が高いでしょう。
 
 「入りますよ」
 「…はいっ♪」
 
 しかし、私がそれを恐れる必要は何処にもありません。だって、私の隣には愛するご主人様がいてくれているのですから。ご主人様が傍に居てくれているだけで私は文字通り百人力の力を発揮出来るのです。どんな恐ろしいものだって私達二人でなら乗り越えられるでしょう。
 
 ― そんな事を考えていると鋼鉄製の頑丈そうな扉をご主人様が開き…。
 
 瞬間、私の目に様々な輝きが飛び込んでくるのです。思わず目を細めて光の量を制限した私の手をご主人様が強くぐいぐいと引っ張って下さいました。導くようなそれに従い、数歩足を進めた後、私は自分の目を焼く輝きが部屋中に満ちる黄金の所為だと言う事に気づいたのです。
 
 ― …なんという悪趣味な…。
 
 大きく開かれた天井も広々とした壁も全てが黄金色に輝いていました。流石に床は違いますが上等そうな大理石が敷き詰められています。待合室でも兼ねているのでしょう。並べられているソファーやテーブル、柱時計までも金色に輝いています。成金趣味を全開にし、上品さの欠片もないその空間に私は半ば呆れにも近い感情を抱きました。
 
 ― そんな空間の奥から黒い燕尾服を纏った男性が現れ…。
 
 歳の頃は40過ぎでしょうか。小じわが目立ち始めている顔は冷たく、感情がまるで感じられません。ですが、石像のようなその顔は整っており、妙な色気のようなものを漂わせていました。燕尾服から微かに分かる身体の線も整っており、それなり以上に鍛えているのが見て取れます。きっと普通の女性からすれば、黄色い悲鳴をあげてもおかしくないような美形なのでしょう。しかし、私にとって男性とはご主人様ただ一人に他なりません。まるで血に濡れたような赤い唇をそっと開く姿を見ても、まったく心を動かされないのです。
 
 「これはこれはハワード様。まだ開店前なのですが、何かご用件でしょうか?」
 「部屋を一つ貸しなさい。料金は宿泊料込みで普段の倍払います。サービスは何も要りません。『自前の』がありますから」
 「畏まりました」
 
 もう待ち切れないとばかりに並べ立てるご主人様の意図を悟ったのでしょう。燕尾服の男性はそっと頭を下げ、懐からそっと黄金色の鍵を取り出しました。112という小さなタグと結び付けられたそれはきっと部屋の番号なのでしょう。それをご主人様は受け取り、再び足を動かし始めました。
 
 「すみませんね。恩に着ます」
 「いえいえ、ハワード様は少ない常連のお客様ですからね。…もっとも…もう常連じゃないようですけど」
 
 脇を通り過ぎる瞬間に交わされたその言葉と同時に男性が一瞬だけ私に視線を向けました。何処か微笑えましいものを見るようなそれに私が首をかしげた瞬間、ご主人様の腕がぐいっと私を引っ張るのです。まるで男性の視線から私を奪い取ろうとするようなそれに思わず笑みが浮かんでしまいました。
 
 ― ふふ…♪そんなに嫉妬しなくたって…私はご主人様だけのものですよぉ…♪
 
 多くの人は知りませんが、ご主人様はとても嫉妬深い男性です。少なくとも、こうして私と他の誰かが視線を交わす事にだって強い嫉妬を感じる程には。勿論、それは私に女としての嬉しさと幸福感をもたらすものでした。ですが、あんまりご主人様を嫉妬させてあげるのは可哀想なのです。今まで幾度と無く向けた言葉ですが、またご主人様に聞いてもらうべきでしょう。
 
 「また来ますよ。『自前の』を連れて」
 「それはそれは。楽しみにお待ちしております」
 
 しかし、それよりも先にご主人様が口を開き、男性との会話を打ち切りました。その意味の殆どは分かりませんが、またここに連れて来ていただけるようです。この施設がまだなんなのかは確信が得られませんが、ご主人様がこうした様子を見せると言う事は……――
 
 「ここですね」
 
 112と刻まれたプレートを見つけたご主人様は鍵を錠前へと差し込みます。そのまま鍵を開いたご主人様は扉を素早く開け、私を部屋の中へと引きずり込むのでした。強引なそれに私が「きゃあっ♪」と媚を浮かべた小さな悲鳴をあげた瞬間、私はピンク色のベッドの上に押し倒されていたのです。
 
 「ご主人…さまぁ…♪」
 
 甘く愛しいお方を呼ぶ私の上からご主人様がのしかかるようにベッドへと腕を突き立てたのです。何処か鬼気迫るその姿からは欲情が煙のように吹き出してるようでした。少なくとも私を虐める言葉ばかりがスラスラと出てくる唇からは荒い息が断続的に漏れ、ご主人様の興奮が振りかかるようです。
 
 「ここなら…メス犬がどれだけ泣き叫んでも誰も助けに来てはくれませんよ」
 「ふ…ぅん…っ♪」
 
 鋭いその言葉に私の背筋に歓喜の感情が迸るのです。勿論、それはご主人様にメス犬呼ばわりされた嬉しさも無関係ではありません。ですが、それと負けないくらいに誰も助けに来てくれないという言葉が嬉しかったのです。だって…それは逆に言えばどれだけご主人様のオチンポに乱れても、淫語を口走っても…誰にも見られないと言う事なのですから。その痴態の一瞬までもご主人様のものであると思っている私にとって、それは欲望を解放させる言葉に過ぎないのでした。
 
 「ここなら道具も沢山ありますしね。今日一日かけて躾けなおしてあげます」
 「ありがとう…ございますぅ…っ♪」
 
 休日全てを使って私を愛してくださるというご主人様の宣言に私は胸を震わせながら感謝の言葉を紡ぎました。それにご主人様の欲情も強くなっていくのが分かります。ご主人様は確かにサディストですが、嫌がる相手を無理矢理、犯すのを好むタイプではありません。淫らな素質を花開かせ、自分専用のメス犬へと仕立て上げてく事に喜びを感じる方なのです。
 
 ― そして…私はその逆で…♪
 
 私は別に苛められるのが好きな訳ではありません。強引に犯そうとする相手など問答無用で吹き飛ばしてやるでしょう。ですが、それは身も心を捧げた相手であれば別なのです。何もかもを捧げたお方が相手にどんどんとメス奴隷としての素質を花開かせて頂ける事に途方もない喜びを感じるマゾヒストなのでした。
 
 ― だから…私とご主人様の相性はぴったり…♪
 
 お互いに求め合う最高の相手と心を通わせ恋人同士に――照れ屋のご主人様はきっと認めないでしょうが――なれたのです。その確立はきっと天文学的数字でしょう。あんまりこういう言葉は責任を丸投げしているようで好きではありませんが、私にはそれがまるで『運命』のように思えるのでした。
 
 「…じゃあ…まずは…」
 
 そう言ってご主人様は枕元にそっと手を伸ばしました。その動きはまるで何処に何があるのかを完全に把握しているように淀みがありません。いえ、さっきの男性との会話から察するに熟知しているのでしょう。でも、さっきの成金趣味な部屋からは想像も出来ないほどムードのある暖かな部屋はきっと…いえ、間違いなく娼館で……――
 
 ― まぁ…ご主人様も男性ですし…私とこんな関係になるまでは…こういう所に通っててもおかしくはないんでしょうけれど…。
 
 つい最近、こうした仲になった私がご主人様の「それまで」に嫉妬出来る訳ではないのは自覚していました。しかし、そう理解する頭とは裏腹に私の心には嫉妬の感情がじわじわと入り込んで来るのです。ご主人様にこれから愛してもらえるという期待と愛情。その間にそっと影を落とすそれを私は振り払おうとしましたが、中々、上手くはいきません。
 
 ― ご主人様が…私以外の女に…!!
 
 そう思うだけで胸の内を焦がすような嫉妬の炎が沸き起こってしまうのです。そんな醜い自分を抑えようとしましたが、結果は中々、芳しくありません。それに私が溜息を漏らした瞬間、私は自身の肩にご主人様の手が掛かっている事に気づきました。
 
 「ラウラ…」
 「あ…」
 
 そのままじっと私の顔を覗き込むご主人様の視線。それは信じられないほどまっすぐで、そして真剣なものでした。私以外の何者も映さない、考えていないその瞳。それに引き込まれるように感じた私は愛しいオスの背中に自分から手を回しました。
 
 ― 本当…勝てませんね…♥
 
 ついさっきまで嫉妬と期待の間で苦しんでいたのが嘘のように私の心から嫉妬が消え去っていました。自分ではどうしようもなかったはずのドス黒い感情もご主人様の視線一つで消えてしまう。心の中までご主人様に明け渡している自分に誇らしさを感じながら、私はご主人様が脱がせやすいように少しずつ身体をよじっていくのでした。
 
 「相変わらず綺麗ですよ」
 「ん…ぁっ♪」
 
 そんな私の耳元で甘く囁いてくれるその言葉だけで軽く達してしまいそうです。ですが、私の淫らな身体はもっともっと素晴らしく、そして気持ち良いものを知っているのでした。こんな軽いものではなく、もっと激しいものが欲しい。そう主張するように私のオマンコから愛液が糸を引いて落ちて行くのです。
 
 「だから…もっと綺麗にしてあげますよ」
 「それは…ぁっ♪」
 
 そう言ってご主人様が取り出したのは一本の麻縄でした。見るからに頑丈そうなそれに縛り上げられれば、きっと並大抵の力では逃げられません。ですが、そうして縛られる事に私は…――
 
 「早く…綺麗にしてください…っ♪私を…私をギチギチに縛り上げて…ご主人様専用のメス穴に…ぃ♪」
 
 完全にスイッチが入ってしまった私の前でご主人様がにっこりと微笑みます。勝利を確信し、自らの奴隷の教育に満足している笑み。それを浮かべながら、ご主人様は甘く、そしてきつく私を縛り上げていってくれました。私の希望通り、ギチギチで窮屈なそれに私が身を震わせるのにも構わず、手慣れた様子で作業を進めていくのです。
 
 「よし。完成っと」
 「ふあぁ……♪」
 
 胸の前で両手両足を合わせるように縛られる私の胸の谷間にもくすぐったい感触の麻縄が食い込んでいます。ここ最近、急激に成長した胸を強調するようにブラウスの上から拘束するその縄は私の股間にも通っていました。ぴっちりとしたタイトスカートを押し上げ、下着を露出させるその麻縄は微かな身動ぎでさえ擦れて、既に愛液を溢れさせるオマンコにムズムズとした刺激を加えるのです。
 
 「それにしても…随分と刺激的な下着じゃないですか」
 「ふああぁっ♪」
 
 その喰い込んだ麻縄をご主人様が責めるような口調と共に引っ張ってくれました。それだけで私の胸からモヤモヤがなくなり、秘所と麻縄が擦れるのです。くすぐったい感覚と共に走り抜ける快感を遮ってくれる下着はありません。いえ、より正確に言えば、ある事にはあるのですが、それはまったく防御と言う意味では役立たずで……――
 
 「オープンショーツ…って言うんでしたっけ。まさか穴開きの下着を身につけているなんて…最初から期待してたんですか?」
 「は…はいぃ…っ♪」
 
 ご主人様の言葉通り、私の黒い下着には秘裂を模したような鋭い切れ込みがクロッチ部分に入っているのです。下着を着用したままセックス出来るようにと開発されたそれはクロッチ以外の部分をレースで彩られており、扇情的でした。ご主人様から贈られたその淫らな下着をこうしてデートの時に選んだのも勿論…こうして愛していただけるのを期待していたからです。
 
 「ふふ…それじゃあ大通りで通行人に思いっきり見せつけながら、犯してやった方が良かったですね」
 「きゅぅぅぅっ♪♪」
 
 その意地悪な言葉によって私の脳裏に淫らな妄想が浮かび上がってくるのです。赤茶けたレンガで舗装されたオシャレな大通りで四つん這いになった私がご主人様のオチンポで奥まで思いっきり犯される姿。首輪を引っ張られ、わんわんとメスの鳴き声をあげる私を道行く人々は羨ましそうに見ているのです。或いは私達に触発されたようにセックスを始める恋人もいて…そこはすぐさま淫らな渦へと……♪
 
 ― とっても素敵な想像…です…けど…♪
 
 しかし、それは私の痴態を他の男性に見られてしまうという事と同義なのです。正直、それはあまり許容したくはありません。勿論、ご主人様がそれをしたいと言うのであれば拒否はしませんが、私の全てはご主人様ただ一人のものなのです。触れられるのは元より、痴態を見られるのもあまりいい気分にはなりません。
 
 「い…嫌…ですぅ…♪ラウラは…ラウラはご主人様だけのものですからぁっ♪他の…他の人に見られるなんて…私…っ」
 「ふふ…」
 
 思わず出てきた拒絶の言葉にご主人様が嬉しそうな笑みを浮かべて下さいました。我侭とも言えるメス奴隷の懇願はきっとご主人様の独占欲を刺激したのでしょう。まるで宝物を扱うような優しく穏やかな手つきでご主人様が私の頬をそっと撫でて下さるのです。
 
 「冗談ですよ。私だって貴女のこんなに淫らな顔を他の誰かに見せたいだなんて思ってませんから」
 「あぁ…っ♪」
 
 独占欲を剥き出しにしたご主人様の甘い言葉に私の身体にまた熱くなり、ジュンと子宮の奥が蕩けてしまいます。敏感な部分を護るという役目をまるで果たしていない下着にはじっとりと愛液が広がり、麻縄にも侵食していくのが分かりました。ご主人様の手が麻縄を引っ張る度にくちゅくちゅと音を立ててしまう淫らな身体に私の胸まで自己主張を始めてしまうのです。
 
 「おやおや…乳首がブラウスの中で浮き立っていますね」
 
 揶揄するようなご主人様の言葉通り、私の乳首はピンと張り、ブラウズを持ち上げていました。麻縄が食い込むブラウスを浮き上がらせるほど硬く張ったそれを本来、遮るべきブラはありません。それはオープンショーツと対になるべきオープンブラを身につけているという訳ではなくて……――
 
 「最初からノーブラ…ですか。まったく…ただのお出かけにどれだけ淫らな期待をしてたんですか貴女」
 「んきゅぅ…っ♪」
 
 私の頬から手を離し、胸を強引に鷲掴みにするご主人様の冷たい言葉に私の背筋にブルリと寒気が走ります。それとは対極的なドロドロとした熱が胸で湧き上がり、子宮へと垂れ落ちて行きました。身体の中は熱いのに、肌は寒い。そんな矛盾した感覚に揺すられる私の口が勝手に開き、言葉を紡ごうとするのです。
 
 「だ、だってラウラ…発情期なんです…っ♪ご主人様が傍に居て下さるだけで…ドロドロのグチョグチョになっちゃう淫乱メス奴隷なんですよぉっ♪」
 
 それは紛れも無い事実でした。ご主人様と自宅で緩やかに過ごす時間でさえ、私はセックスを期待し、股間を濡らしているのです。ご主人様がしたい時に何時でもオチンポを暖かい媚肉にて受け入れられるように準備しているのでした。そんな私がご主人様とデートに出かけて、甘いセックスを期待しないはずがありません。何時いかなる状態であってもご主人様に犯していただけるように下着のチョイスもそれに特化したものにしていたのです。
 
 「まったく…格好は清楚で可愛いのにそんな事ばっかり考えていたんですね」
 
 ― あぁ…ご主人様に褒めていただいた…っ♪
 
 勿論、それはただ褒めるだけのものではありません。持ち上げて落とすそれは私を辱める意図を込めて向けられたものなのですから。しかし、その双方は私にとって歓迎すべきものでしかないのです。ご主人様に可愛いと褒めて貰えたのはファッション系雑誌で色々と勉強した甲斐があると思いますし、辱める言葉もまたメス奴隷の私を興奮させる媚薬でしかありません。
 
 「きゅ…ぅ…♪は、はい…ぃ♪淫乱メス奴隷のラウラはご主人様とのセックスばかり考えてましたぁ…っ♪」
 
 そして自分で自分を辱めるようなその言葉もまた私にとっては甘い媚毒に過ぎません。勿論、ご主人様に責めて頂くのにはまったくと言って良いほど及びませんが、それでもゾクゾクとした快感が私の中を走り抜けるのです。それが縛られているという被虐的な感覚と結びつき、私の奥からまたドロリと愛液を漏らさせました。
 
 「おや…それじゃあ躾にならないじゃないですか。これは困りましたねぇ」
 
 ― そう言って、ご主人様の手は私からそっと離れて…っ。
 
 麻縄を引っ張ってて下さった手も私の胸を鷲掴みにしてくださった手も全てが私から取り上げられてしまいます。それは私にとって生きる糧を奪われるのも同義でした。だって、今日までご主人様はお忙しくて、あんまり私には構ってくださらなかったのです。そして、今、ようやく訪れた好機。それは私にとって砂漠の中で見つけたオアシスにも匹敵するほどのものだったのです。
 
 ― でも…それはまるで蜃気楼だったかのように遠ざかっていくのです。
 
 それがどれだけ恐ろしいものであるかは体験したものにしか分からないでしょう。自分が生き残る唯一の道が幻であったと知る絶望感は私自身でさえ始めて味わうものなのですから。感じたこともないほど愕然とするその感情に私の心は暗く振るえるのでした。こんなのは嫌だと、意地悪しないで欲しいと泣き叫ぶ心が私に口を開かせます。
 
 「あぁ…っ♪ご、ごめんなさい…っ♪で、でも…ご主人様に犯して頂かないとラウラは…ラウラは気が狂ってしまいそうで…っ♪」
 「いっそ狂ったほうが一周回って元に戻るんじゃないんですか?」
 
 ― その言葉に私の脳裏に『元』の自分が浮かび上がります。
 
 生まれてからずっと父の期待に応える事で頭が一杯で…操り人形にも近かった自分。エルフというアンデンティティに縋り、ご主人様の優しさにも気付かなかった愚かな自分。そして…自分を護ろうと必死に棘を世界へと向けていた弱い自分。それらはもう私にとっては過去の『私』でした。そして、その過ぎ去った『私』に戻ってしまうのはあまりにも辛い事なのです。素直にご主人様に愛を伝える事も出来ない自分たちに戻りたいだなんてメス奴隷である『ラウラ』が思うはずがありません。
 
 「いや…嫌です…っ!ラウラは…ずっとご主人様に狂っていたいんです…っ!ご主人様に愛してもらって…犯してもらって…ご主人様の事だけを考えるメス奴隷のままで居たいんです…っ!!」
 
 必死の懇願にご主人様はその顔に少しだけ考えるような素振りを見せて下さいました。何処か焦らすようなその表情のままご主人様は数十秒ほど考えこまれます。しかし、その口からどんな言葉が飛び出すのか、それだけに注視し、心を砕いていた私にとってそれは数十分にも…いいえ、一時間にも思える時間でした。
 
 「…良いでしょう。そこまで言うのであれば私だって吝かではありません。…ですが、証明しなさい」
 「証明…です…か…?」
 「えぇ。貴女が私のメス奴隷に相応しいかどうかを、です。それが出来たら…ご褒美をあげますよ」
 「んくぅ…♪」
 
 一体、『それ』とは具体的に何なのか。それを話さないままご主人様は私の胸に両手を当てて、ゆっくりと揉んで下さるのです。根元から乳首へと少しずつ力を入れる場所を変えていくそれはまるで乳搾りをされているようでした。女になった当初からは考えられないような大きな乳肉はその刺激に悦び、柔軟に形を変えながら快感を走らせるのです。
 
 ― 胸の奥にビリビリくるぅ…っ♪
 
 そしてその快感は胸の奥の芯とも言える部分をビリビリと痺れさせ、震えさせるのです。何処か甘いそれを胸の奥は熱へと変えて、全身へと行き渡らせるのでした。身体の芯である骨を蕩けさせるような優しく甘いその熱に私の全身から力が奪われ、何もかもをご主人様に委ねたくなってしまいます。
 
 ― でも…私は…『証明』しなきゃいけなくて…♪
 
 ご主人様が一体、どういう意図で『それ』を口にしたのかはまだ分かりません。しかし、ただ、胸を揉まれ、感じているマグロのようなエルフがご主人様のメス奴隷に相応しいとは到底、思えないのです。求めた分だけ還元出来るようなメス奴隷こそ、ご主人様に相応しいでしょう。
 
 「あぁ…っ♪ありがとうござい…ますぅ…っ♪とっても…とっても嬉しいです…♪」
 「まだご褒美をあげると決まった訳ではありませんよ。お礼を言うのは早いんじゃないんですか?」
 「ふあぁ…♪」
 
 そう冷たく言い放ちながらもご主人様の指は横から圧力を掛け、私の胸を絞りあげるように愛撫してくださるのです。街を出歩くサキュバスにも負けない大きな乳肉がご主人様の指にて潰され、逃げ場を求めて上へと変形させられるのでした。露天商が売るロケットに似たその形には本来の胸の形とは大きくかけ離れているでしょう。しかし、それを見ても私はなんら恐怖を感じません。寧ろご主人様が私の胸を弄んでくださっているという視覚的情報に子宮がまたキュンと疼いてしまうのです。
 
 ― あぁ…これが正解なんですね…っ♪これで良いのですね…っ♪
 
 それを私のご主人様が分からないはずがありません。私がこうして胸を弄ばれるのに何ら痛みを感じず、それどころか胸の奥にドロドロとした熱を灯してしまうのをご主人様は知っているはずなのです。それにも関わらず、こうして愛撫をエスカレートしてくださったという事はこれが正しいというご主人様からのアピールなのでしょう。それに胸を踊らせた私はご主人様をもっと悦ばせようと甘い言葉を唇に載せていくのです。
 
 「ご、ご主人様に愛していただけると…胸の奥がジンジンってしておっぱいが溶けちゃいそうです…っ♪」
 「ほぅ。感度は良いようですね」
 「はぁいっ♪ご主人様にいぃっぱい愛していただいた淫乱おっぱいは…ご主人様に愛していただけるとイッちゃいそうになるくらいに…感度抜群なんですぅ…っ♪」
 
 その言葉に嘘はありません。ご主人様の指は私にとってそれだけ淫靡で素晴らしいものなのです。今はまだ触れられてはいませんが、敏感な乳首を摘まれるだけで私はきっとはしたなく絶頂してしまいでしょう。
 
 ― 早くご主人様に乳首を触って欲しい…っ♪
 
 そんな言葉が脳裏に浮かびますが、それをオネダリする訳にはいきません。確かに欲望のままオーガズムへと何度も突き上げられる感覚は甘美です。今だって欲しくないと言えば嘘になってしまうでしょう。ですが、今は私がご主人様に試されている時間でもあるのです。快楽に溺れてしまうのは簡単ですが、それでご主人様に失望されてしまっては元も子もありません。
 
 「どう…ですかぁ…♪ご主人様は…ご主人様専用のメス奴隷のおっぱいは気持ち良い…ですか…っ♪」
 「…まぁまぁですね」
 「んきゅん…っ♪」
 
 その瞬間、ご主人様の爪が少しずつ乳肉へと喰い込んでくるのです。限界近くまで絞り上げられた柔肉が衣服越しであってもそれに耐え切れるはずがありません。ビリリと鋭く突き刺さるような快感を胸の奥へと伝えるのです。それに思わず甘い息を漏らしてしまう私はご主人様の言葉に歓喜の念を抱くのでした。
 
 ― ご主人様ぁ…っ♪
 
 「まぁまぁ」と言いつつもご主人様の顔には強い獣欲が浮かんでいます。ご主人様の冷たい顔でも隠し切れないそれに私が喜ばない…いえ、悦ばないはずがありません。私の胸に興奮してくださっている何よりの証に私の興奮もまた高まっていくのです。思わずゾクゾクとした感覚が走り抜けた乳肉に鳥肌が立ちますが、それはご主人様の興奮を宿す大きな手によって宥められるのでした。
 
 「ふわぁ…っ♪ご主人様の手が熱くて…ゾクゾクが暖かくなって…胸の奥がまたドロドロになってますぅ…♪」
 「要領を得ない言葉ですね…」
 「はふ…ぅ…っ♪」
 
 そう言いつつもご主人様の大きな手は爪を突き立ててくるのです。被虐的なその刺激に私の口からまた甘い声が搾り出されてしまいました。じわりじわりと柔肉へ食い込もうとする爪は被虐的である反面、あまり激しくはありません。じっくりねっとりと身体の芯を炙るような淫らな熱が私を追い詰めていくのです。
 
 ― そして…もうその熱は胸だけでは収まらなくて…っ♪
 
 ドロドロと零れ落ちるような熱に子宮がもう我慢できなくなってきたのでしょう。私の足もまた内股を擦れ合わせるように動いていました。しかし、ハムのように縛り上げられた私の足は殆ど身動きが取れません。動いていると言ってもほんの数センチ程度の僅かなものなのです。
 
 ― それでも…気持ち良くない訳ではなくって…っ♪
 
 内股を擦れ合わせる度にオマンコへと通る麻縄も連動して少し動くのです。きゅっと食い込んだ麻縄の刺激に子宮からまた愛液が滴り落ちてしまいました。既に愛液塗れになり、変色している麻縄に生暖かい体液が染み出し、くちゅくちゅと音をたてるのです。その淫らな水音に否応なく自分の興奮を自覚させられる私は思わず背筋を浮かせて胸を突き出してしまうのでした。
 
 「そんなに背中を浮かせてどうしたんです?」
 
 ― 意地悪な表情と共に向けられた言葉には支配欲を充足させたものが混ざっていました。
 
 きっと…いえ、間違いなくご主人様は私が何をして欲しいのか分かっているのです。分かった上で私に聞いてくださっているのです。私を辱める為に、私自身の口からより深いところへと転落するように仕向けてくださっているのです。私が必ず自分の思い通りの言葉を紡ぐ。そんな確信に満ちたご主人様の姿に私も非支配欲と言えるような欲望が充足するのが分かるのです。
 
 「ふぁ…ぁ♪もっと…ぉっ♪もっと…ラウラの淫乱おっぱいを触ってください…っ♪ご主人様に触ってもらえるだけでアクメしちゃう淫乱おっぱいをもっと虐めてぇ♪」
 「さて、どうしましょうか」
 
 ― あぁ…♪そ、そんなぁ…っ♪
 
 ご主人様だってこのままでは満足できないはずです。私の乳肉をもっと激しく嬲りたいはずなのです。しかし、ご主人様の口から出たのは私を焦らすような言葉でした。それは勿論、ポーズであると私には分かっています。ですが、例え分かっていても胸の奥に根付く貪欲なメス奴隷の本能は収まってはくれません。早くご主人様に直接、触っていただきたいと私の胸の中で思いっきり吠えているのです。
 
 「胸を直接、触るとなると一度、縄を解かないといけないんですよね。それは流石に面倒ですし…」
 「い、良いですからっ♪服を破っちゃって良いですから…っ♪ううん…破ってくださいっ♪ご主人様の腕で服を引き裂いてっ♪ラウラをメス奴隷に相応しい格好にして欲しいんです…っ♪♪」
 
 勿論、この服はご主人様とのデートに選ぶだけあってかなりのお気に入りでした。いえ…より正確に言えば、私の衣服全てがお気に入りと言っても過言ではないでしょう。私がご主人様の庇護下でないと外にも出られない関係上、私の衣服は一着を除いて、全てご主人様から頂いたものなのですから。多かれ少なかれご主人様との思い出が染み付いた衣服は私の宝物も同然です。
 
 ― でも…今はそれ以上に…っご主人様が欲しくて欲しくて…っ♪
 
 その宝物と天秤に掛けてあっさりと欲望を選びとってしまう程度には私はもうメス奴隷に堕ちてしまっているのです。ですが、そんな自分に後悔も何もありません。だって、それはご主人様が私をそれだけ歪めて下さったという事なのですから。ご主人様好みの淫らなメス奴隷に自分が生まれ変わった事に誇らしささえ感じるのです。
 
 「そこまで必死にオネダリされたら…仕方ありません…よねっ!」
 「ふぁぁ…っ♪♪」
 
 その言葉と同時にご主人様の腕が私の胸からそっと離れてしまいます。しかし、私はさっきとは違い、それに不安も絶望感も感じません。だって、それはすぐに私のブラウスへと掛けてくれるのですから。そのままシルクで編まれた闇色のブラウスがご主人様の腕によって乱暴に引き裂かれていくのです。
 
 ― あぁ…ビリビリって…ぇっ♪
 
 布地の裂ける悲鳴のような音に私の背筋にゾクゾクとしたものが走りました。悲鳴をあげながらゆっくりと剥がれていくそれはまるで『昔』の私の残滓のようにも感じるのです。下らないものにばかり縋り、一番、大事なものを見失い続けていた愚かな自分が私から引き離されていく感覚。その後から現れるのは勿論、欲望にどっぷりと浸かった淫らなメス奴隷としての『ラウラ』です。ゆっくりと露出している透き通るような白い肌も、そこに刻まれた快楽のルーンもそれを象徴しているようにしか思えません。
 
 ― そして…それをご主人様に見て頂いているなんて…っ♪
 
 淫らな欲望そのものである自分の姿を愛しいお方に余す所無く見ていただいているのです。淫猥に育ったメス奴隷の身体をご主人様の冷たい双眸で貫かれるその感覚は途方もなく嬉しいものでした。誇らしいとさえ思う自分の身体をそうなるまで育てて下さったお方に見て頂いているのですから当然でしょう。そして…それにメス奴隷としての悦びを感じ、子宮がまたキュンと収縮するように感じるのも当然の事なのです。
 
 ― そうしている内に私のおっぱいが完全に露出させられてしまうのです…っ♪
 
 「ふぅ…ようやく出てきましたね」
 「んあぁぁ…っ♪♪
 
 胸の部分だけ引き裂かれ、頂点の乳首まで晒された私の胸をご主人様の指がそっと撫でるのです。さっきまでの大胆な愛撫とは違い、ただ触れるだけと言えるようなそれは私の肌を信じられないほどゾクゾクさせてくれるのでした。直接、ご主人様に触れて頂いているというのが大きいのでしょうか。刺激という面で言えばさっきのほうがよっぽど強いはずなのに、こうして直接触れられる方が気持ち良いのです。
 
 「どうです?この辺りとか縄が食い込んで痛いでしょう?」
 「はぁ…っ♪あぁぁっ♪」
 
 そう言ってご主人様が縄で縛られている根元にそっと指を這わすだけで甘い吐息が私の口から漏れてしまいます。興奮しきったメスの吐息は優しく労るようなその愛撫が気持ち良かったからに他なりません。勿論、私はマゾヒストではありますが、ご主人様の優しさにまったく心動かされない訳ではないのです。寧ろそうやって優しく労って下さるお方にこうして飼ってもらっている事が途方もなく嬉しくて、心が震えてしまうのでした。
 
 「いえ…っ♪大丈夫…ですぅ…っ♪グイグイって食い込んで…気持ち良い…ですからぁ…っ♪」
 
 その言葉は嘘ではありません。ご主人様は縛り方も一流なのか、こうしてガチガチにされても痛みは殆どないのです。微かに感じる痛みも快感を増幅させるスパイスでしかありません。その代わり窮屈さはかなりのものですが、それもまたメス奴隷である私には悦ばしいものでした。ご主人様に所有されていると否応なく感じさせられる窮屈さは寧ろ快感に近いものだったのです。
 
 「そうですか。じゃあ…もっとキツくしても良いですよね」
 「く…うぅ…っ♪」
 
 そう言ってご主人様はぐいっと胸の部分を締め付けるように麻縄を調整するのです。膨れ上がる窮屈さに思わず私の口から声が漏れでてしまいました。ですが、何処か艶の浮かぶ声が表すようにそれは決して苦痛ではないのです。寧ろ私の被虐的な本能を刺激してくれる麻縄に快感を強めてさえいました。
 
 「ありがとう…ございますぅ…っ♪」
 「良い子ですね…ちゃんとお礼の言える子は嫌いじゃないですよ」
 「くぅんっ♪♪」
 
 お褒めの言葉と共にそっと頭を撫でて下さるご主人様に胸の奥が爆発してしまいます。まるで内側に秘める感情を爆発させるようなそれに私の身体が脈打つように跳ねるのでした。麻縄によって制限された可動域を限界まで使って震えるような身体の内側では暖かな波が幾つも反射しているのです。何処か陶酔にも近いそれはとても甘く…何より毎日、感じているもので……――
 
 ― あはぁ…っ♪私…私、イッちゃったぁ…っ♪
 
 興奮が高まるにつれ、敏感になっていく心から広がるオーガズム。それは性感帯から広がるものとは違い、暖かで穏やかなものです。何処か母性を彷彿とさせるそれは優しく私の身体から力を奪っていくようでした。ですが、それは決して快楽がない訳ではないのです。穏やか故にすんなりと受け止められるオーガズムは私の身体に抵抗を許さず、緩やかに快楽で満たしていくようでした。
 
 「ふふ…頭を撫でられただけでイくなんて…本当に駄目な奴隷ですね貴女は」
 「きゅふぅぅぅっ♪♪」
 
 嘲りを込められた言葉とは裏腹にその口調はとても穏やかで優しいものでした。きっと自分の言葉だけでアクメを迎える淫乱メス奴隷に支配欲の充足を感じてくださっているのでしょう。そう思うと胸の奥からまた暖かなものが湧き上がり、心が絶頂へと突き上げられるのです。そして、再び湧き上がるその快楽で敏感にさせられた私の乳肉をご主人様の両手が再び包んで下さるのでした。
 
 「しかし…本当に大きくなりましたね。昔はあんなに貧相だったのに」
 「ご主人様の…お陰ですぅ…♪」
 
 ご主人様に大きな胸が好みと言われてから私はずっと豊胸に努めてきたのです。暇な時には雑誌に載っていた豊胸エクササイズを繰り替えし、メニューもこっそり豊胸に良いと聞くものにしていたのでした。ですが、それがこのように結実したのはきっと私の努力だけではないでしょう。恐らくではありますが、愛しいお方に好かれようとする魔物娘の身体が毎日、執拗に揉んで下さったご主人様に応えようとしたのです。そうでなければここまで胸が急成長するなんてありえないでしょう。
 
 「ご主人様がいぃっぱい愛してくださったから…ご主人様の愛情が一杯詰まってるんですよぉ…♪」
 「貴女はロマンチストですね」
 「そういうの…お嫌いですか…?」
 「…他の女性であれば…何を馬鹿なことを、と言ってやりますとも。でも、貴女が言うのであれば悪くないですよ」
 「んっきゅぅぅっ♪♪」
 
 ― んあぁぁ…ビリビリぃぃっ♪♪
 
 自分で言った優しい言葉は照れくさかったからでしょうか。ご主人様は少しだけ頬を赤くしながら私の乳肉を本格的に揉んでくださるのです。根元と谷間をきつくしばられて大きさを強調させられている胸がご主人様の手の中で柔らかく形を変えるのでした。指と指との間に柔肉が入り込み、指の間でまで愛撫されるような感覚に私の胸の奥がブルブルと震えます。
 
 ― あぁ…♪私のお胸が…ご主人様の指を食べてますぅ…♪
 
 僅かとは言え、密着を遮っていたブラウスがなくなった今、ご主人様の指を遮るものはありません。しかし、それは貪欲な乳肉を抑えるものもないという事なのです。何もかも飲み込もうとするような貪欲な柔肉がご主人様の指をどんどんと飲み込み、取り込もうとしているようにも見えるのでした。ですが、ある種、嗜虐的とも言えるその光景にも私は被虐的なものを感じてしまうのです。
 
 ― ご主人様の指が…私の胸の中で暴れてるぅ…っ♪
 
 まるで「お前の思い通りにさせるものか」と言わんばかりに飲み込まれた指が乳肉の中で暴れているのです。皮膚よりももっと奥までご主人様の指が暴れ、犯されているような感覚に私の背筋がブルリと震えました。身体の内側までご主人様に犯していただけているという被虐感とそれすら悦ぶ自分に背徳感を掻き立てられた私がその素敵な感覚をご主人様に伝えようと唇を開くのです。
 
 「ふあ…ぁっ♪指でおっぱい犯されるの素敵ですぅっ♪胸の奥までご主人様に犯されるのゾクゾクしますぅ…っ♪」
 「胸の奥まで…ですか。そうですね。そんなのが出来たら素敵ですけれど…」
 「くぅぅんっ♪♪」
 
 めり込んだ指で爪を立てるご主人様の刺激に媚びたメス犬のような声が私の口から漏れ出ます。何処か熱に浮かされたようなそれに竦むことなく、ご主人様の指はそのまま肌を引っ掻くように刺激して下さるのでした。赤い跡を残そうとするような嗜虐的な愛撫に私の胸がトクンと高鳴ってしまうのです。心の奥まで被虐的な本性で染まりきった今の私には微かに痛みを走らせるそれも快楽を引き立てるものでしかありません。
 
 「胸の奥まで私色に染め上げられたら面白いでしょう…ね!」
 「ひぃぃぃぃぃぃっ♪♪」
 
 その言葉と同時にご主人様の左手が胸から離れ、ぐいっと麻縄を引っ張られるのです。窮屈に私を締め上げる縄の感触に私の身体がふぅっと優しく浮き上がり始めました。何処かうっとりとしたその感覚は夢見心地であると言っても良いかも知れません。ですが、夢見心地とは異なり、身体の感覚はどんどんと敏感になっていくのです。麻縄の捩れ一つ一つまではっきりと認識できるほどに敏感になっていく感覚は陶酔にも似た感覚と相まって表現しづらいほど素敵でした。俗に言う「縄酔い」の状態に入った私は甘い陶酔と快楽を味わうように身体を震えさせていたのです。
 
 ― あぁ…♪き、気持ち良い…っ♪
 
 全身に広がるその陶酔は私の身体からどんどんと力を奪って行きます。最初はご主人様が胸を触りやすいようにと微かに浮いていた腕もゆっくりと重力へ引かれていくのでした。そして奪った力をそのまま快楽へと変えているように身体中が気持ち良くなってしまうのです。どこもかしこも快楽で埋め尽くされているような感覚に私の身体はオーガズムへとひた走るのでした。
 
 「っく……ぅぅぅぅぅっ♪♪」
 
 ビクンと露出した肌が跳ねた瞬間、身体中で快楽が芽吹いたように感じるのです。身体中を埋め尽くした快楽が一斉に花開き、より淫らな快楽を広げるのでした。陶酔感をより強く、そして快楽を激しくしたその絶頂に私の背筋は浮かび上がろうとします。ですが、限界いっぱいにまでキツくされた麻縄はそれすらも許してはくれません。ギチギチと独特の鳴き声をあげながら、私の身体をがっちりと抑え込んでいました。
 
 ― それがまた…気持ち良くて…っ♪♪
 
 その窮屈で息苦しい感覚がマゾヒストの私にとっては途方もなく気持ち良いのです。しかも、それが心を捧げた愛しいご主人様の手による緊縛ともなれば尚更でしょう。ご主人様に所有されているという歪んだ錯覚が私の感じるオーガズムに色を着け、何時までもその甘美な感覚から離してくれません。まるで底なし沼のようにねっとりと私を捉え、快楽で溺れさせようとしているようです。
 
 「ふふ…イきましたね」
 「ふぁ…ぁい…♪ラウラはぁ…ラウラはご主人様にご報告も出来ずにアクメしちゃったぁ…悪いメス奴隷ですぅ…♪」」
 
 本当であればオーガズム前にご主人様に報告し、その許可を頂かなければいけないのです。ですが、唐突に訪れた縄酔いの感覚は私にそれを許さず、アクメへと突き上げたのでした。ある種、事故とも言えるイキ方でしたが、ご主人様にはまったく関係ありません。せっかく教え込んで下さった奴隷としての作法を私が図らずも破ってしまった事に心から謝罪しなければいけないでしょう。
 
 「ちゃんと謝れる奴隷は嫌いじゃないですよ。ですが…これからどうすれば良いのかは分かりますね?」
 「あぁぁっ♪♪」
 
 言い聞かせるような言葉と同時にご主人様の指がぎゅっと乳房を掴んでくださいます。まるで握り潰さんとするような強い圧力に乳肉がぐにゃりと変形し、乳首を突き出すような形になるのでした。再び淫らなロケット型に変えられた乳肉の中ではさっきとは比べものにならないほどの被虐的な快楽がバチバチと弾けています。一つ一つが頭の奥で弾けるような快楽は縄酔いのオーガズムと結びつき、私を絶頂へと一気に連れて行くのでした。
 
 「は…はいぃっ♪ラウラは全部、ご主人様に報告しますぅっ♪おっぱいの奥がビリビリして今もイキそうなのをご主人様に全部…じぇえんぶ伝えますぅ…♪」
 「おやおや、さっきイッたばかりなのにもうイッちゃうんですか。本当に貴女は淫乱ですね」
 「きゅぅぅぅ…っ♪♪」
 
 ― 冷たいその言葉に私の背筋が震えます。
 
 瞬間、胸の奥からぐわりと熱の塊が鎌首をもたげます。まるで快楽によってドロドロに蕩けさせられた身体の芯のようなそれは私の身体中を這いまわり始めるのでした。快楽神経に直接絡みつき、刺激するようなそれはとても激しく、さっきの縄酔いの感覚とは大違いです。ですが、双方ともに被虐的でもある絶頂という点では変わりません。そしてその事を接点とするように二つのアクメは絡み合い、私の中でどんどんと大きくなっていくのでした。
 
 「あはぁっ♪ラウラまたイッてましゅぅっ♪どんどんイくのぉっ♪ご主人様にぎゅううってして貰えるだけでイッちゃう淫乱メス奴隷なのぉっ♪」
 「おやおや…随分とあっさりイくものですね。これじゃあ面白みも何もないじゃないですか」
 「ふあぁっ♪ご、ごめんなさいっ♪でも…れもぉ仕方ないんれすぅっ♪ご主人様が愛してくれるってだけで…ご主人様が傍に居て下さるってだけでぇっ♪ラウラは淫乱メス奴隷になっちゃうんですかりゃぁっ♪」
 
 ぶつかり合う快楽が私の中でどんどんと強くなり、私の身体を震わせていました。荒れ狂う快楽の波は勿論、気持ち良く、欲望一色に染まった意識をグラグラもまた揺らすのです。ですが、その弊害として私の舌は少しずつ回らなくなり始めているのでしょう。ご主人様の意地悪な言葉に許しを乞う言葉も媚びの浮かんだ舌足らずなメスの声へと変貌していきました。
 
 「それじゃあ…こんな事したらどうなるんですか…ねぇ!?」
 「ひぅぅぅぅぅぅぅぅんっ♪♪」
 
 その言葉と同時にご主人様の腕に力が入り、ぎゅっと乳首の方へと動かされるのです。まるで根元からお乳を絞られるようなそれに被虐的な快楽が私の胸で爆発しました。また全身へと弾き出される快楽の波に私の子宮がブルリと震えたような気がするのです。まるで自分も虐めて欲しい。おっぱいだけ不公平だと主張するような反応と共に愛液よりもより熱く、もっとドロドロな液体が子宮から漏れ始めるのでした。
 
 ― あぁ…っ♪本気汁ぅっ♪アクメ汁まで出ちゃってるぅぅっ♪
 
 被虐的な快楽に押し流されてる自分の象徴とも言える粘液に私の心はまた被虐的な快楽を受け止めるのです。いえ、きっともう何をされても私はマゾヒスティックなオーガズムを迎えてしまうのでしょう。縄酔いと胸のオーガズムはそれだけ私の身体を淫らに仕立て上げ、追い詰めているのです。何をされても被虐的な快楽として受け取ってしまう今の私はきっとメス奴隷と呼ばれるに相応しい顔をしているのでしょう。
 
 ― でも…それが嬉しい…っ♪
 
 だって、私はご主人様のメス奴隷なのです。少なくともそう呼ばれ、愛されたいと思っているメス犬なのです。そんな私が今、浮かべているであろう淫らなメス奴隷そのものの表情をご主人様に見て頂いている。それだけで私の心は喜悦に塗れ、メス奴隷としての充足を感じてしまうのでした。
 
 「ふふ…こんな強く絞られても感じるなんて…本当に貴女は良く出来たマゾ奴隷ですよ」
 「くぅ…ぅぅんっ♪♪あ、ありがとぉごじゃいますぅっ♪」
 
 お褒めの言葉を紡ぐご主人様の手は上に上り詰めるのを止めません。ゆっくりじっくりと乳牛の母乳を絞るように乳首を目指してくださるのです。今、こうして乳肉を乱暴に扱かれるだけでもオーガズムを迎えるほど気持ち良いのに、乳首をイジられたらどうなるのか。そんな不安と期待が入り混じった目で私はご主人様の指の行く末を見つめていたのでした。
 
 「触られたいですか?」
 「っ♪」
 
 そんな私にご主人様が気づいたのでしょう。ニヤニヤと意地悪そうな表情のままご主人様はそっと指を止められました。ピンク色の乳輪に指が掛かる状態でそうやって聞かれるなんて意地悪にも程があるでしょう。後ほんの数センチ…上へと伸ばされるだけでジンジンと疼きを走らせ続けている乳首に触れて貰えるのですから。既に欲望に塗れ、メスとしての本能を剥き出しにしている私にはそれはもう我慢など考えられない光景なのでした。
 
 「はいっ♪ビンビンのメス乳首触ってくだしゃいっ♪ラウラの淫乱乳首疼きまくって…もうご主人様が欲しくてジンジンしてりゅんですぅっ♪おかしくなりそうなくらいにビンビンになってる乳首を扱いて…犯してぇっ♪ラウラを助けてくださいぃっ♪♪」
 「そうまで乞われたら…仕方ないですね」
 「くぅぅ……〜〜〜〜〜〜っ♪♪」
 
 ― 瞬間、私の意識がバチバチと弾けるのを感じるのです。
 
 ご主人様の指がぎゅっと乳首をつまんで下さった瞬間、視界ごと意識を真っ白に染めるような快楽の波が沸き起こるのです。それは今までとはまったく比べ物にならないほど激しく、強いものでした。あまりにも気持ち良すぎて意識が何度も飛んでしまいそうになるのです。何時、奈落の底へと転落してもおかしくない中で、風前の灯のような意識に快楽の波が何度も襲いかかって来ました。思わず飲み込まれそうになるほど凶暴なそれに私は反射的に歯を食いしばって堪えていたのです。
 
 ― でも…でもぉぉっ♪
 
 それはあまり芳しいとは言えませんでした。だって、私の身体はもう魔物そのものになってしまっているのです。その心の大半も魔物のものになっている私が快楽を堪える事など出来るはずがありません。実際、食いしばったはずの歯からがすぐさま力が抜け、代わりに唾液が唇の端から零れ落ちるのです。なんとか堰き止められていた快楽は言うに及ばず、雪崩のように押し寄せてくるのでした。
 
 「あひぃぃぃぃぃっ♪♪」
 
 それに意識がふっと遠ざかろうとした瞬間、私の胸から鮮烈な快楽が走るのです。鋭く突き刺さるようなそれには微かな痛みさえも伴っていました。一体、何をされているのか。白く点滅する視界をそっと私の胸先に向ければ、そこではご主人様の指が私の乳首を折れ曲げてくださっていたのです。中程からぽっきりと折るようなそれに疼いた乳首は途方も無い悦びを感じ、快楽として私に吐き出しているのでしょう。
 
 ― あぁぁ…こんな…こんなの…ぉっ♪♪
 
 自分の大事な身体の部分をご主人様に変形させて頂いている。それだけでも今の私には絶頂してしまいそうなくらいに気持ち良いのに、淫らな私の身体の中でも特に敏感な部分をイジられているのです。その快楽はその他のオーガズムを飲み込み、どんどんと膨れ上がっていくのでした。奈落へと突き落とそうとする快楽よりももっと強く激しいそれに魔物と化したはずの私の心は微かな恐怖すら感じていたのです。
 
 ― おかしく…おかしくなりゅ…♪こんなの味わったらきっと…元に戻れない…っ♪
 
 そう警告する私自身も確かに存在しました。けれど、私の心はそれ以上にその快楽を心待ちにしていたのです。何もかもを押し流されるような凶悪的で嗜虐的な――それこそ怪物と言って良い程の悦楽を心待ちにしていたのですから。欲望に染まりきった私さえ飲み込み、淫らに歪めるそれを甘受し、より淫らなメス奴隷へと変貌するのを望んでいたのです。
 
 「ひっぃぃっ♪来りゅぅ…っ♪アクメ来ましゅぅ…っ♪おっきいオーガズム来ちゃうんですぅっ♪♪おかしくなりしょうな波が一杯来てるぅっ♪♪」
 「そうですか。では…メス奴隷らしくイきなさい」
 
 ― その瞬間、ご主人様の指にさらに力が篭って…っ♪♪
 
 被虐的感覚と共に膨れ上がる悦楽を止められるものはもう何もありませんでした。だって、ご主人様は私がイくのを許可してくださったのです。それに耐えようとする事の方がご主人様の優しいお心遣いを無駄にしかねません。オーガズムの波に身を委ね、壊れてしまう私をご主人様はご所望なのですから。
 
 「はいぃっ♪イきましゅぅっ♪ごしゅじんしゃまの指ですっごいのイくのぉっ♪ラウラのメス奴隷アクメ見てくださいいいっっ♪♪」
 
 ― その言葉と同時に私の胸が弾けてぇ…っ♪
 
 「きゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっっ♪♪♪」
 
 その瞬間、最高潮の絶頂が私の身体の中で暴れまわるのです。何もかも飲み込み、全てを悦楽へと変えようとする貪欲なそれに私はそっと身を委ねました。無防備な意識は何度も快楽へと飲み込まれ、闇の中へと落ちるのです。ですが、それもまた殆どタイムラグがないまま悦楽によって起こされてしまうのでした。まるで生と死を何度も繰り返しているような感覚はとても被虐的であり、何より甘美であるのです。
 
 ― ふぁぁ…♪だ、ダメぇ…っ♪
 
 しかし、それは私に一つの変化をもたらしました。触られてもいない下半身にムズムズとした感覚が沸き起こりはじめたのです。何処か排泄欲求にも似たそれはアクメによって弛緩した私の身体では堪えられません。お腹の奥で渦巻くムズムズ感はそのまま塊となって、私の中を滑り落ちていくのです。
 
 「出りゅぅっ♪出ちゃいみゃすぅっ♪お潮吹いちゃうのぉっ♪」
 
 その言葉と同時に私の下半身から透明な液体が吹き出しました。愛液とは違い、粘度を殆ど持たないそれがベッドに幾つも染みを作るのです。いいえ…それはベッドだけではありません。私を押し倒すような格好だったご主人様の衣服にも私の潮吹きは掛かってしまって……――
 
 ― あぁ…いけないのに…そんなの…喜んじゃいけないのにぃぃっ♪♪
 
 ですが、ご主人様を自分の体液でマーキングしたという事に淫らなメス犬の本能が充足を訴えるのでした。まるで最高のオスを自分だけで独占しようとするような恥知らずなそれを私は何度も否定しようとしたのです。しかし、悦楽はやっぱり本能の味方なのでしょう。思考の鈍い私ではそれを否定し切る事は出来ず、その充足もまたオーガズムへと結びつくのでした。
 
 「ふあぁ…♪ふ…にゃぁ…♪♪」
 
 そのままたっぷり数分間、私はそのオーガズムに身体を揺さぶられていました。四肢にも広がる甘い痺れが身体中の何処でも震えさせるのです。繰り返される絶頂で敏感になった肌と麻縄が擦れる感覚に淫らなメス犬の身体は簡単にアクメを感じてしまいました。
 
 ― ですが…それも長くは続きません…♪
 
 いつの間にかご主人様の指は私の胸から離れ、快楽の量は激減していました。オーガズムの大元でもあったそれがなくなった今、私の絶頂は緩やかに下降線を描き始めていたのです。まだ身体の内側では反響するような余韻が残っていますが、それもまたそう遠くない内に消えてしまうでしょう。
 
 ― でも…ご主人様はそれとは対照的で‥ぇ♪
 
 ご主人様のお顔には隠し切れないほど強い獣欲が浮かんでいるままなのです。いえ、それはさっきまでよりも遥かに鋭く本能をむき出しに出しにしたものと言っても過言ではないでしょう。私の肌に振りかかるような荒い吐息はとても熱く、肌が焦げてしまいそうなくらいなのですから。微かに覗く眼光は鋭く、まるで射抜かれているようにも感じるのです。何度も生唾を飲み込む音が聞こえる口からはご主人様が歯を食いしばっておられるのが見て取れました。
 
 ― そうなるまでご自分を抑えておられるのはきっと私を気持ち良くする為でもあるのでしょう…♪
 
 獣浴をむき出しにするほどに我慢を重ねているご主人様の姿に何かご奉仕してあげたいですが、縛られた状態では何も出来ません。四肢どころか関節一つでさえ殆ど満足に動かせないないのです。ご主人様が私のお口マンコにオチンポを突っ込んでくださらなければ、逞しい肉棒をしゃぶりあげる事さえ不可能なのでしょう。
 
 ― あぁ…♪オチンポぉ…っ♪
 
 ふと浮かんだその想像に私の子宮がぼっと燃え上がりました。今までずっと構って貰えず、欲求不満だった子宮にとってそれは咽喉から手が出るほど欲しいものです。私の両手で掴んでもまだ真っ赤な亀頭が顔を見せる大きなオチンポで、メリメリとオマンコを押し広げて貰い、子宮のお口にたっぷりとキスの雨を降らして欲しくて溜まりません。
 
 ― ご主人様も…♪ご主人様もきっとそれを望んでますよねぇ…♪♪
 
 未だにダッフルコートを脱がれていないご主人様がどれだけ勃起しておられるかは分かりません。ですが、私の手首よりも尚太い剛直はきっとバキバキに勃起しているでしょう。オスの欲望の塊とも言うべきそれをご主人様だって濡れそぼったメスの膣内へと突っ込み、思いっきり欲望を吐き出したいはずです。
 
 ― だから…オネダリぃ…♪しない…とぉ…♪
 
 私がオネダリしなければご主人様は何時まで経っても私を犯してくださらないかもしれません。私がちゃんとオネダリ出来るまでご主人様は我慢しようと思っておられるのかもしれないのです。もし、そうであればここで安寧と次を待ってる訳にはいきません。ご主人様を早く気持ち良くしてあげる為にもここはセックスをオネダリするべきでしょう。そう考えた私がそっと唇を開き……――
 
 「失格ですね」
 「ふぇ?んぁ…ぁっ♪」
 
 冷たく告げられたそれに思わず問い返した瞬間、ご主人様の両腕が麻縄をぎゅっと掴みました。そのまま私の身体をベッドから浮き上がらせ、左右を反転させるのです。仰向けの体勢から俯せの体勢へとされた私にはご主人様の顔も何も見えません。まるでメス犬が交尾を欲しているようにお尻を高く上げた姿勢にされられるのです。
 
 ― このポーズはぁ…♪
 
 メス奴隷である私とご主人様のお気に入りの体位。後背位を彷彿とさせる姿勢に私の心が甘く揺れました。もしかしたら挿入して頂けるのかもしれない。その期待が私の身体に力を灯し、お尻を左右に揺らすのです。はしたなくオスを誘うようなそれにご主人様がどんな顔をしてくださっているのかは分かりません。ですが、微かに聞こえた生唾を飲み込む音が決して悪い表情ではないと教えてくれるようでした。
 
 「まったく…そんな風にご主人様を誘惑して…」
 
 ― その言葉と同時にコートを強引に脱ぎ捨てようとする音が聞こえ…
 
 「縛られているっていうのに恥も外聞もなくそんな風にオネダリして…恥ずかしく無いんですか?」
 
 ― 今度は私が贈った毛糸のセーターと中の肌着を脱ぎ捨てる気配が伝わり…
 
 「お陰で…もう少し焦らそうと思っていたのに我慢出来なくなってしまったじゃないですか…!」
 
 ― カチャカチャとベルトを外した音から布製の黒いズボンを引き下げるまでを想像し…
 
 「そんなメス奴隷失格な貴女にはお仕置きが必要ですね!」
 
 ― 最後にツンと鼻の奥を刺激する精の匂いにご主人様は下着を脱ぎ捨てられたのを私は悟ったのです。
 
 「はぁいっ♪ラウラに…淫乱メス奴隷のラウラに思う存分、お仕置きしてくださいっ♪オマンコゴリゴリって犯し抜いて頭の中までご主人様専用にして欲しいんですぅっ♪♪」
 
 媚と陶酔。そして喜悦がこれでもかと混ざり合ったその声が今の私の全てでした。その他の感情はまるでなく、ご主人様に犯して頂ける事だけに心を砕いていたのです。そんな私のお尻にご主人様の大きな手がそっと触れ、オマンコの真ん中を通る麻縄をそっとズラして下さったのでした。そして、私ご主人様両手が私の尻たぶを開いて…――
 
 「きゅぅ………ぅぅぅぅ〜〜〜〜〜〜っっっ♪♪♪」
 
 ― あぁ…っ♪あぁぁ…っ♪♪あぁぁぁぁぁぁぁぁっ♪♪
 
 その瞬間、私の意識はオーバーフローしました。躊躇なく一気にオマンコへと突き入れられたオチンポの硬さ。太さ。逞しさ。そして熱。それら全てが信じられないほどの悦楽を伴って私の中へと叩きつけられるのです。鋼鉄のような硬さがぐちょぐちょに蕩けた膣肉を蹂躙する感覚も、杭のような太さが愛液塗れのオマンコを押し広げる感覚も、ドクンドクンと脈打つ逞しさが膣内を揺らす感覚も、マグマのような熱がお腹の奥を焼く感覚も…全部が全部、気持ち良くってぇ…っ♪
 
 「ひああああああああああああぁぁっ♪♪」
 
 自分が何をしているのか、何を口走っているのか。私の中ではそれすら失われていくのです。まるで全身が膣肉へと変わっていくような感覚に私の胸が大きく揺れました。だって、それはご主人様に全身を貫かれているような錯覚すら生み出しているのです。私の全身がご主人様で満たされているのです。それを悦ばしく思わないメス奴隷はきっと世界中のどこにだっていないでしょう。
 
 「ん…くぅぅぅぅっ♪♪♪」
 
 ― ひぅ…ぅぅぅっ♪しゅごいいぃぃぃっ♪アクメしゅごいのぉぉっ♪♪♪
 
 そしてそれは勿論、私に歓喜をもたらすだけではありません。膣肉へと変わっていく全身をご主人様が乱暴で強引に貫いて下さる悦楽に何度となくオーガズムを繰り返していたのです。膣肉をご主人様の血管が浮いた肉幹が、反り返ったカリ首が、真っ赤に腫れ上がった亀頭が、それぞれ擦れる度に絶頂へと押し上げられていくのでした。一つ一つが乳首を弄られる悦楽に勝るとも劣らないアクメの波はまるで数珠つなぎのように切れ間なく、私に襲いかかってくるのです。
 
 ― まだぁっ♪まだじぇんぶ入ってにゃいのにぃいっ♪♪
 
 まだご主人様に熱い亀頭は中腹ほどにまでしか進んでいません。まるで今まで放置されていた事を拗ねるように膣肉がきゅっと締まり、通せんぼをしているからです。きっとご主人様も思うようには進めないのでしょう。メチメチと音を立てて掘り進む肉棒も膣肉の突起や粒に阻まれて、不満そうに震えていました。けれど、それは膣肉も同じです。オマンコの中で最も敏感で最も貪欲で最も甘えん坊な子宮口の部分にオチンポはまだ到達していないのですから。
 
 ― こんにゃので奥まで挿入れられたら…私…死んじゃうかもぉ…♪♪♪
 
 何度となく味わったその瞬間を思うだけで私の身体は震えます。しかし、それは恐怖から来るものではありません。寧ろそれは歓喜の色合いの方が強いのです。死ぬかも知れないほどの悦楽がすぐそこに待っていると思えるのですから当然でしょう。欲求不満の震源地である子宮もまたその瞬間を心待ちにし、身を焦がすような欲情を全身へと広げていったのです。
 
 「ふふふ…こんなに締めつけて…そんなにオチンポ欲しかったんですか?」
 「ひゃ…ひゃいぃっ♪オチンポ欲しかったんれすぅっ♪ご主人様のオチンポ欲しくてぇおかしくなりそうなくりゃい疼きまくってたのぉっ♪♪今も一杯、甘えてりゅんですぅっ♪♪」
 
 ― 辛うじて意識が聞き取った自分の声はもう完全に蕩けきっていてぇ…♪
 
 ドロドロの欲情に塗れたメスの声はもう殆どメスの鳴き声に近いものでした。いえ、ただ自らと愛しいお方の興奮を高める為に欲望から紡がれるそれは鳴き声よりももっと卑しいかもしれません。ですが、私にとってはその卑しさが途方もなく気持ち良いのです。自分の淫らさを自覚させるようなその甘い声は私にとって媚薬も同然でした。
 
 「それは嬉しいですね…でも…これじゃあ入らないじゃないですか…!ほら…少しは…緩めなさっ…い…!」
 「ひっきゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ♪♪♪」
 
 瞬間、パンと肉の弾ける小気味いい音が部屋の中へと響き渡りました。けれど、それは音だけではないのです。私のお尻にはその音と同時に微かな衝撃が走り抜けていました。胸と同じくらいに大きく育ったお尻をふるふると震わせるそれには痛みが殆どありません。ただ、代わりに信じられないほどの喜悦が私の中でのた打ち回っていたのです。
 
 ― あぁぁ…っ♪ご主人様に…ぃっ♪♪ご主人様にお尻をぶたれてるぅぅっ♪♪
 
 その事実だけでマゾ奴隷である私はあっさりとオーガズムを貪ってしまうのです。心の奥底から沸き上がる被虐的な悦楽にあっさりと屈した私の口からは唾液の塊がドロリと零れ落ちるのでした。しかし、それは必ずしも私の膣肉が緩むという事を意味しません。寧ろ絶頂した膣肉がキュンと締まり、ご主人様の肉棒の侵入をまた妨げているのでした。
 
 「私は緩めろと言ってるんですけど…ね…っ!」
 「ひぃぃぃぃぃぃぃんっっっ♪♪♪」
 
 それにご主人様の手が再び私のお尻へと振り下ろされるのです。それに再び絶頂した膣肉がキュっと締まり、ご主人様の邪魔をするのでした。そんな聞き分けのない私のオマンコを躾けるようにご主人様の手が何度も何度も私のお尻へと振り下ろされるのです。まるで永遠に続くループのようなそれに私は尻肉を何度となく震わせてアクメしていました。
 
 ― でも…このまま…じゃぁっ♪♪
 
 私はこのままでもおかしくなりそうなくらいに気持ち良いのです。ご主人様のオチンポが膣肉と擦れる度に意識を白く染め上げ、全身がオマンコへと凝縮されるような絶頂を繰り返しているのですから。ですが、そんな私とは違い、ご主人様はきっとこのままではイけません。思う存分、私の膣肉を抉り、蹂躙しなければご主人様のオスの欲望は決して充足へは至らないでしょう。
 
 ― その為にも力を抜かなきゃいけない…のにぃ…っ♪♪
 
 ですが、気持ち良すぎて私の肉体は絶頂から帰ってこないのです。淫乱メス奴隷の私にとってアクメしないというのは心臓の鼓動を止めろと言うのに等しいくらいの無理難題でしょう。そして、オーガズムの度に膣肉を蠢かせ、締め付けてしまうのも生理現象なのです。私自身がどれだけ止めようとしてもどうにかなるものではありません。
 
 「まったく…叩かれる度にイくなんて、そこまでマゾだなんて思いもしませんでした…よっ!ホント…仕方ないです…ね!」
 「きゅぅぅぅぅんっっ♪♪♪」
 
 最後に二発、お尻をぶって下さったご主人様の手が私のお尻から私の腰へと移動するのです。そのままくびれの着いたメスのウェストをがっちりと掴まれるのでした。縄にも負けない力強い拘束に私の胸がドキドキをさらに高鳴らせます。このままでは心臓が破裂してしまうのではないか。そんな事さえ考えた私の腰にご主人様が思いっきり腰を進められ…っ♪♪――
 
 「あへえええええぇぇぇぇっ♪♪♪」
 
 さっきまでゆっくり掘り進んでいたご主人様のオチンポがいきなり土石流のような勢いで私の膣奥を目指し始めるのです。ゴリゴリと周りの膣肉を巻き込み、雪崩込もうとするそれにオチンポの感覚が私の中で膨れ上がりました。まるで何処もかしこもオチンポだらけになったような錯覚の中、私は潮を吹いていたのです。
 
 ― あぁぁ…っ♪もう…もう何も分かんにゃいぃ…っ♪
 
 本来であればそれは先に排泄欲求を訴えるはずでしょう。しかし、私の意識には一度足りとも予告めいたそれが訪れる事はありませんでした。オーガズムに意識を飛ばし、それを蘇らせる間に訪れていたのか、或いは最初からそんなものはなかったのか。それすらも快楽で満たされた私には分かりません。
 
 ― れも…それが良いのぉっ♪♪
 
 自分すらどんどんと見失い、悦楽に…いえ、オチンポに没入していく感覚。それは魔物にとって途方もなく幸せなものでした。それをもっと貪ろうとするようにオマンコがぎゅううっとオチンポを締め付けるのです。それはご主人様に敢えて可愛げのない態度をする事で、後でたっぷりと苛めて貰おうとする普段の私にも似ていました。でも、ご主人様はそんな可愛げのない私をねじ伏せ、蹂躙し、屈服させて下さって…そして……♪♪――
 
 「ひっぅぅぅ…〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ♪♪♪」
 
 コツンと何かが私の奥を叩いた瞬間、私の意識がバチバチと弾けるのです。死と新生。それを数秒の間に何十回も繰り返す激しいアクメに私の全身がガクガクと震えました。ですが、私の子宮口はまるでそれでも離れたくないと主張するかのようにきゅうっとオチンポに吸い着いていたのです。オマンコが火傷しそうな熱を孕む亀頭を抱きしめ、キスするようなそれにオチンポもブルブルと悦んで下さるのが分かりました。
 
 ― あぁぁっ♪おくぅぅぅっ♪奥しゅごいぃっ♪頭弾けりゅぅぅっ♪♪
 
 その振動もまた子宮口から子宮へと全て伝わるのです。欲求不満が過ぎて下へと滑り落ちていた子宮はそれに悦び、ドロドロの愛液を子宮口から吹き出しました。ご主人様のオチンポにねっとりと絡みつくそれを膣肉は擦りこむように絡みつきながら、傅くようにひくついていたのです。そこにはもうさっきまでの拒むような硬さはなく、心の底から服従したメスの悦びに溢れていました。
 
 「ふふ…ようやく屈服しましたね」
 「ふぁぁ…っ♪も、申し訳ありましぇ…くふゅんっ♪」
 「構いませんよ。こうして再び誰が誰の所有物なのか教え込むのは嫌いではありませんし」
 
 ― そう言ってごひゅじん様は優しくおひりを撫でて下さっへ…っっ♪
 
 痛くはなかったとは言え、少しだけ赤くなった肌をご主人様は優しく撫でて下さるのです。ご主人様にも噛み付く駄犬にご褒美をあげるようなそれに私の尻肉が熱くなってしまいました。まるでもっと撫でて欲しい。もっと優しくして欲しいと主張するような熱に応え、ご主人様は丁寧に愛してくださるのでした。
 
 「貴女を何度も屈服させるのはそれはそれで支配欲が湧き上がりますしね」
 「は…はひぃんっ♪♪」
 
 その言葉と共に最奥で動かないままであったご主人様のオチンポがゆっくりと動き始めます。子宮口に抱きしめられたままゆっくりと円を描くそれに私の口から唾液と嬌声が零れ落ちました。まるで自分のオチンポの味を子宮口に教え込み、誰が所有者であるかを刻み込もうとしているそれに所有物である私は途方も無い幸せを味わってしまうのです。
 
 ― しょれに…カウパーみょぉ…♪♪ドロドロのかうぱぁ美味しいのぉっ♪
 
 今の今までずっと我慢をされておられたご主人様のオチンポからは既に透明な粘液が溢れていました。それを子宮口はじっくりと舐めとり、味わい尽くしていたのです。舌よりも遥かに敏感で、舌とは比べものにならないほど貪欲な私のメスの部分はそこに混ざり込んだ精の匂い一つにさえ身体を熱くさせているのでした。
 
 ― でも…足りないのぉっ♪こんにゃんじゃ薄すぎへぇ…♪♪
 
 微かに混ざり込んだ精の味はまるで身体の芯を蕩けさせるような甘さを感じさせるのです。それはこの世のどんな食べ物よりも素敵な味でしょう。ですが、私はご主人様のザーメンの味をもう覚え込んでいるのです。まるで麻薬そのもののような精液の味を子宮に教え込んで頂いたのです。カウパー程度ではもう満足出来ません。
 
 「ふふ…さっきから中がきゅっきゅってリズミカルに絞めつけていますよ。そんなに動いて欲しいんですか?」
 「はぁ…いぃっ♪♪」
 
 実際、私にとっては今のこの状況は生殺しも同然でした。敏感な子宮口にコリコリとキスして下さるのはとても嬉しいし、気持ち良いのです。今まで疼き続けていた子宮が充足するのを感じるのですから当然でしょう。ですが、私はもっと激しい抽送が好みなのです。身体全体を揺さぶられるような激しいセックスでないと満足出来ないマゾ奴隷に変貌しているのでした。
 
 「さぁて…どうしましょうかね。さっきまで私のご褒美を拒んでいたのは貴女の方ですし」
 「しょ…しょんにゃあぁっ♪」
 
 確かにご主人様のオチンポを膣肉がガチガチに締め付け、侵入を拒んでいたようだったのは事実です。しかし、それは私の意思などではありません。身体の生理現象に過ぎないのです。それを盾にして私を焦らそうとするご主人様の言葉に私は絶望にも近い感情を味わっていたのでした。
 
 「き、気持ち良くしましゅぅっ♪ご主人しゃまのオチンポから一杯、ぷりぷりのざぁめん頂けるように頑張りましゅからぁっ♪♪一杯、メス奴隷オマンコでご主人様のオチンポにご奉仕しましゅから…っ♪どぉか…どうかご慈悲をぉぉ…っ♪♪」
 「そうまで乞われたら仕方ありません…ねっ」
 「ふわああああぁぁぁぁっ♪♪♪」
 
 その言葉と同時にご主人様のオチンポがゆっくりと後ろへと逃げていくのです。子宮口はそんなオチンポを逃すまいと必死に縋りつき、膣肉を締め付けようとしました。ですが、腕と腰の力を使えるご主人様に対し、オマンコはあまりにも無力なのです。必死の抵抗も虚しく、ご主人様の亀頭は子宮口からそっと離れていくのでした。
 
 ― ふああぁ…っ♪♪ゾリゾリされてりゅぅぅっ♪♪
 
 オチンポが引き抜かれる動きに凶悪なまでに反り返ったご主人様のカリ首がオマンコと激しく擦れ合うのです。オマンコ中にある肉襞や粒を引っ掻いて、膣肉ごと引き出そうとするそれに私の被虐感と絶頂は否応なく高まっていくのでした。そして、挿入する時とはまた違った悦楽に私の心と身体が揺れ、ご主人様のオチンポをあちらこちらへとぶつけるのです。
 
 ― いっぱいぃっ♪オチンポ一杯こしゅれてるぅぅっ♪♪
 
 自分でも制御できないランダムな動きに私はまた数えきれないほどオーガズムを迎えてしまうのです。何処と擦れてもアクメしてしまうほど敏感な身体にランダム性まで加わったのだから当然でしょう。膨れ上がる絶頂に私は何度も飲み込まれ、叩き起こされるのでした。
 
 「はぁ…ぁっ♪はぁぁっ♪♪」
 「ほらほら、へばってないでここからが本番ですよっ!!」
 「きゅうううぅぅぅぅぅっっ♪♪♪」
 
 そして今度は入り口近くまで引きぬかれ、亀頭以外が全て外へと出た肉棒が一気に私のオマンコへと叩き込まれるのです。最早、それを抑えこむ締め付けは私にはありません。愛液塗れのオマンコをスムーズに滑るご主人様のオチンポはそのまま別離の悲しみに震える子宮口へと飛び込んでいくのでした。
 
 「ゴンってぇっ♪ゴンゴンきましゅぅっ♪♪」
 
 先ほどの抽送とは比べものにならないほど強い抽送に身体中が悦楽が弾けました。たった一突きで数えきれないほどのオーガズムを迎えてしまった私の頭がそっとベッドへと堕ちるのです。首をあげる体力すら悦楽へと変えられてしまった私の腰を崩れ落ちないようにしっかりと抑えて下さったご主人様は次の突撃の為に再び子宮口と距離を取られるのでした。
 
 「一度でそんな風にへばってるようじゃ最後の方にはおかしくなっちゃうんじゃないんですかね…ぇっ!」
 「んにゃああぁぁっ♪♪い、良いんれすぅっ♪おかしくなりたいのぉっ♪♪ごしゅひんしゃまの事だけ考えるメス奴隷にぃっ♪ご主人様に愛されるマゾ奴隷になりたいんでしゅぅっ♪」
 「じゃあ…望みどおりにしてあげますよ…!」
 
 本心からの言葉に興奮したようにご主人様のストロークが大きく、激しいものへとなっていくのです。まるで欲望そのものを叩きつけるようなそれに私は何度となくアクメしてしまうのでした。挿入だけで何度となく意識を飛ばしていた私は既に意識があるのかないのかさえ判別出来ません。ただ激しい悦楽が身体中を駆け回り、それを貪っていられる幸せだけが私の中にはあったのです。
 
 「ガンガン来るのしゅてきぃっ♪オチンポしゅごいのぉっ♪♪もうオチンポだけれ良いっ♪♪他にはにゃにもいりましぇんんんっ♪♪」
 「そんな事まで口走るなんて…チンポを突っ込まれたら誰でも良いんじゃないんですか…っ!」
 「ふにゃあああああああぁぁっ♪♪」
 
 私の言葉に嫉妬でも擽られたのでしょうか。ご主人様はそう言いながら、オチンポでグリグリとお腹側の膣肉を抉られるのです。オマンコの入り口に程よく近いそこはGスポットと俗に言われる部分なのでしょう。そこを熱い亀頭でグリグリしていただくだけでただオマンコを抉られるよりも遥かに気持ち良い感覚が私の中を駆け抜けるのでした。再び潮を噴きだしてしまうその刺激に私の意識が揺さぶられます。ですが、私にはそれを堪えてご主人様に答えなければいけません。
 
 「ち…がいましゅぅっ♪ご主人様のオチンポらからぁっ♪ご主人様のオチンポが良いんれすぅっ♪♪ご主人様以外の人なんていやぁっ♪嫌い…ひらいでしゅからぁっ♪♪」
 「だから?」
 「ガンガンちゅいてぇっ♪♪メスどれぇのラウラに誰がごしゅひん様なのか教えてくだしゃいっ♪♪ご主人しゃまの味を刻みこんれぇっ♪」
 「ラウラ…!!」
 
 勿論、私はご主人様以外の誰のもの――それこそ私自身のものですらありません。髪の毛の先から爪の先まで全てをご主人様に捧げたのですから。その他の有象無象に靡く事などあり得ませんし、ご主人様の味を忘れるはずがありません。ですが、私はその言葉でご主人様の独占欲を刺激できると知っているのです。自信満々に振るまいつつも、肝心な所で自信を持てないご主人様を満足させられる言葉であると知っているのでした。
 
 ― あぁ…♪可愛い…可愛いご主人様…ぁ……♪♪
 
 私はご主人様の過去を断片的にしか知りません。しかし、ご主人様が少し前の自分を嫌って――いえ、諦観していたのくらいは分かります。きっとこんな自分が幸せになる権利などないと、そんな馬鹿な事でも考えておられたのでしょう。ですが、それは大きな間違いです。ご主人様はご自分で自覚なさっていない素晴らしい所が沢山あるのですから。少なくとも本当に見るべきところのないニンゲンならば、行き場のないエルフを匿ったりなど最初からしないでしょう。
 しかし、それなのにご主人様は一向に自信を取り戻されません。私まで何時かいなくなってしまうのではないかという疑念を常に抱き続けておられるのが節々から察する事が出来るほどに。私にとってそんなご主人様が途方もなく愛しく、そして可愛らしく映るのです。
 
 ― でも、そんな事…そんな事ありましぇんよぉっ♪ずぅっと…じゅぅぅっと一緒れすからねぇ…っ♪♪
 
 私はご主人様に助けて頂き、そして生まれ変わったのです。プライドだけが高く、視野も狭かったエルフからご主人様に愛して頂く為に全てを注ぐメス奴隷へと。そんな私がご主人様の傍を離れるはずがありません。死ですらも私たちを分かつ事は出来ない。そんな予感さえ私の中にはあったのですから。
 
 「ほら…随分とオマンコが緩んでいますよ。もっと締めなさい」
 「ふわぁいっ♪♪」
 
 そんな私に対してご主人様らしいところを見せつけようとされたのでしょうか。鋭く言い放ちながらご主人様の手が再び私の尻肉を弾けさせました。ですが、膣肉が緩いなんて事はきっと嘘なのでしょう。私のオマンコを蹂躙するオチンポの感覚はまるで衰えてはいません。子宮口まで屈服させられた最初の抽送以降、ねっとりと絡みつき、血管の浮いた僅かな隙間でさえ逃さないように密着しているのですから。
 
 ― でも…きゅっきゅしない訳にはいきましぇん…♪♪
 
 ご主人様の言葉が嘘であると思っても、この愛しい御方の言葉そのものが消える訳ではありません。全てをご主人様に捧げた私にとって、その言葉は真実そのものなのです。また私がそう思っているだけで本当に緩んでいる可能性も完全に否定は出来ません。
 
 「ふぅぅ…っ♪♪く…うぅぅぅっ♪」
 
 そう心の中で結論づけた私が必死に膣肉を締めようとお尻に力を込めるのです。ですが、身体の力の大半を悦楽へと変えられた今の私にはそれは中々、結実させられない努力でした。意識こそオマンコへと集中していますが、膣肉を動かしているのは殆ど本能に依るものが大きいのです。それを意識の力で動かすには私の身体は悦楽漬けになり過ぎ、蕩け過ぎていたのでした。
 
 「お尻の方は物欲しそうにひくついてるって言うのに…どうにも緩いままですね」
 「くぅぅぅんっ♪ご…ごめんなしゃいぃっ♪♪」
 
 そっと尻たぶを開いたご主人様の言葉通り私のアナルはひくひくとしていました。ご主人様に弄ってもらえるようにデート前に念入りに洗浄したそこは膣肉を締め付けようとする度に反応してしまうのです。それを「物欲しそう」と表現された私に被虐的な熱がじっとりと絡み付いてくるのでした。
 
 ― あぁ…♪アナル…ぅ♪アナルも疼いちゃってりゅぅ…♪♪
 
 全てをご主人様に捧げたというのは決して比喩ではありません。私の尻穴もご主人様によって拡張され、淫靡なメス穴としてご使用頂けるまでになったのです。流石にオマンコほど感度は良くありませんが、弄られる度に頭がおかしくなるほどの被虐感が湧き上がるそこは私のお気に入りでした。そこを触って欲しいというメスの欲望がムクムクと鎌首をもたげ、盛り上がったアナルをまたひくつかせてしまうのです。
 
 「くぱくぱってリズミカルに開いてますよ。そんなにこっちも弄って欲しいんですか?」
 「ふわぁいっ♪ご主人様に調教していたらいたケツマンコもしゃっき疼きっぱなしれ…ぇっ♪ごひゅじん様に構って欲しくてくぱぁしちゃってりゅんですよぉっ♪♪どうか…どうか淫らなけちゅマンコにも…ご主人様のご慈悲…っふぉおおおぉぉぉぉっっ♪♪♪」
 
 そこまで言った瞬間、私の尻穴からゴリっとした感覚が広がってしまうのです。ご主人様のオチンポほど大きくはない、けれど、親指よりも遥かに大きいそれに私の意識がブツンと途切れました。それが覚醒した瞬間、オチンポを模した冷たい何かが私のケツマンコへと挿入されているのに気づいたのです。
 
 「あああああああぁぁぁぁぁっ♪♪♪」
 
 ご主人様の調教によって敏感になった尻穴は前準備もなにもない挿入でも途方も無い悦楽を湧き上がらせていたのです。そして、まるで愛液のように激しく腸液を分泌し、潤滑油にするケツマンコを『何か』は無慈悲に蹂躙していくのでした。膣肉ほど締まらないアナルの壁をゴリゴリと削っていくようなそれに私の口から嬌声が溢れるように吐き出されるのです。
 
 「どう…です?張り型を突っ込まれる気分…は…?淫乱な貴女はさぞや気持ち良い…でしょう…?」
 「んんにゃあぁぁっ♪ひ…ぅぅぅぅぅっっ♪♪」
 
 勝ち誇ったようなご主人様の言葉に私は応える余裕を持ちませんでした。だって、身体の中でも特に敏感な二つの穴を激しく陵辱されているのです。一つだけでも狂いそうなほどなのに二つ同時に責められて無事でいられるはずがありません。今まで一応とは言え、言葉を紡いできた口もその機能を失い、嬌声を吐き出すだけになったのでした。
 
 ― おみゃんこもっ♪オマンコもきゅっきゅしちゃってりゅぅぅっ♪♪ぎゅううってしちゃうのぉぉっ♪♪
 
 そして勿論、変化は口にだけに留まりません。許容量一杯の悦楽を注ぎ込まれた私の膣肉が再びぎゅうっと強く収縮し始めるのです。まるでオチンポの動きを遮り、悦楽の量を制限しようとするようなそれはまったく上手くいってはいませんでした。それ以上に鋭く、強く、オチンポが膣肉を抉り、蹂躙してくださっているのです。
 
 「中々…締まるように…なったじゃない…ですか…!」
 
 そのオチンポの持ち主であるご主人様は少しだけ苦しそうな声をあげられました。でも、それは決して痛みの混じったものではありません。寧ろ快楽を堪える色の強いものです。オチンポも一回り大きくなり、カサは膣肉と擦れる度にビクビクと震えていました。熱はさらに強くなり、思考を焼きつかせるようです。特に凄いのは亀頭の部分で先端の鈴口から一杯カウパーを漏らしておられるのが魔物の子宮口にはばっちり分かってしまうのでした。
 
 ― ふぁぁぁっ♪もぉ射精するんでしゅねぇっ♪♪ざぁめん下さるんですねぇっ♪♪
 
 それは紛れも無い射精の予兆でしょう。今までずっと我慢して下さった分、とっても濃厚で美味しい精液を私にご馳走してくださろうとしているのです。それを感じ取った私の膣肉は突起や粒を絡ませるように激しく蠢き、締め付けるのです。今まで私を気持ち良くして下さったご主人様により激しい絶頂をプレゼントしようとするようなオマンコの動きにオチンポもまたたっぷりと震えて悦んでくれるのでした。
 
 「う…おぉ…!やれば出来るじゃないですか…!」
 「ひぃぃぃあぁっ♪♪く…ひぃぃぃぃんっ♪♪」
 
 ― ありがとう…ごじゃいましゅぅぅ…っ♪
 
 お褒めの言葉にお返事をしようにも私の口はやっぱり言葉を紡いではくれません。しかし、普段であればそんな私を躾けて下さるご主人様ももう限界近いのでしょう。オチンポからは射精の予兆がこれでもかとばかりに伝わっており、掠れた声にも快楽が浮かんでいるのですから。私の身体を支える腕にも微かな震えが走り、指先にもぎゅっと力が篭っていました。
 
 「それじゃあ…そろそろご褒美をあげます…ね…!」
 
 その言葉と同時にご主人様の腰はさらに激しく私へと打ち据えられるのです。大きなストロークはパンパンと肉の弾ける音を連続して鳴らせ、私のオマンコを抉って下さるのでした。今までよりもさらに強く、そして大きなそれに私の身体も高まり、悦楽を大きくしていくのです。その中心となる子宮からは何度となく悦楽の波が湧き上がり、それを身体中へと広げていくのでした。
 
 ― れも…もっとぉもっとしゅごいのが来りゅのぉっ♪♪
 
 さっきよりも遥かに強い悦楽の波に私の身体中から震えが止まりません。ですが、それは期待の色を強く孕んだものでした。当然でしょう。だって、考えうる限り最高の幸せがすぐそこにまで迫ってきているのですから。身体や心だけでなく、魂までも蕩けさせるような甘いオーガズムには今の被虐的な絶頂も前菜でしかありません。
 
 ― 早く早くっ早く早く早く早くぅぅぅぅぅっっ♪♪
 
 そんな堪え性のない私が膣肉をさらに締め付けた瞬間、ご主人様のオチンポがビクンと震えてまた一回り大きくなるのです。メスの最奥へと射精し、確実に孕ませる為に内圧を高めた姿は何処か痛ましく、そして逞しいものでした。思わず癒してあげたくなるそれに私は甘い息を吐いた瞬間、それが思いっきり私の子宮口へと叩きつけられぇ……っ♪♪――
 
 「           」
 
 どぴゅると音を立てるようにザーメンが私の子宮口へと注がれた瞬間、私の子宮が爆発しました。勿論、それは錯覚だったのでしょう。何の攻撃を受けてもいないのに子宮が爆発する事などあり得ないのですから。
 しかし、私にはそうとしか思えません。子宮から湧き上がった衝撃が子宮とオマンコ以外の全ての部分を吹き飛ばしたようにしか感じません。その証拠に私の口は動いているのに、それが何を叫んでいるのかは分からないのです。自分が何を言っているのかさえ私には感じられず、ベッドに横たわっているはずの四肢の触覚も完全に消え去っていました。
 
 ― あ…れぇ…?
 
 何処か現実感の伴わないその感覚に私は首を傾げました。だって、今は待ち望んでいた最高の瞬間が訪れているはずなのです。オマンコだけになった身体が最高の蕩楽を享受しているはずなのです。しかし、私にはそのような感覚がまるで来てはくれません。それどころか最初にあった溢れんばかりの悦楽すら消え去ってたのです。蕩楽を味わえなかっただけでなく、自分を今まで包み、慈しんでくれた暖かい悦楽の消失に私は言い知れない寂しさを覚えました。
 
 ― その瞬間…私の子宮からぐわりと熱が持ち上がって……っ♪♪
 
 まるで神代の時代から蘇った巨人のような熱の姿に私は子宮を震わせました。だって、その全ては私が待ち望んだ蕩楽で出来上がっていたのです。私が本来、味わっているはずの最高の感覚で出来上がっていたのでした。そして、化物のような姿と化したそれがじわじわと迫っているのを見て、私はこの鈍い感覚が自己防衛本能の表れである事に気づいたのです。
 
 ― あんなの…あんなのに飲み込まれたら死んじゃう……っ♪♪
 
 きっと気が狂うだけでは済まない。それどころか命すら危ないかもしれない。そんな蕩楽の塊に私は逃げる事が出来ませんでした。いえ、それどころか私は自分からその塊へと両手を広げて飛び込んでいったのです。最高の幸せがそこにあると信じて飛び込んだ愚かな私の肌がむき出しになり、神経が引き出されるのを感じるのでした。その全てから直接、蕩楽を注ぎ込まれるのが分かった瞬間、私の意識がぶわりと弾けたのです。
 
 ― ひっくぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっっっっ♪♪♪
 
 射精を自覚し、それを蕩楽として受け止めるほんのコンマ数秒を何十秒にも引き延ばしていた私はその感覚に現実へと引き戻されました。しかし、自分の身体が膣肉だけに切り落とされたような錯覚は未だに私の中には残っているのです。自然、頭のてっぺんまでオチンポで埋め尽くされるように感じる私はその充実感と蕩楽に全身を震わせるのでした。
 
 ― いくっいくいくいくいくいくぅぅぅぅぅっ♪♪♪
 
 絶え間なく続くオーガズムと言うのは今までもありました。しかし、今、私が味わっているのはそもそも終わりさえしないオーガズムなのです。幾つもの絶頂が数珠つなぎに繋がっているのではなく、深く大きな蕩楽に飲み込まれ、それが永遠に続いていくのです。まったく色褪せる気配のない快楽の波は慣れる事すら許してはくれません。いえ、寧ろドンドンと大きくなり、私を包み込んでいくのです。手に負えない怪物のようなそれはもう私を手放してはくれません。心の奥底までもを蕩楽で溶かすように私の中へと入り込み、意識を犯していくのです。
 
 ― あへぇぇっ♪♪くりゅぅぅぅぅっ♪一杯くりゅううぅぅぅっ♪♪♪
 
 さらに私の膣奥には今、硬い肉竿を弾けさせるようにご主人様のザーメンが叩きつけられているのです。今まで我慢に我慢を重ねてこられてようやく解放された精液はとっても濃厚でした。まるで張り付くようにも感じるそれを貪欲に吸い上げる子宮口からは途方も無い甘さと幸せが伝わってくるのです。
 
 ― えりゅふのぉっ♪♪えりゅふのしきぅが征服されてりゅぅっ♪ごしゅじんしゃまのざぁめんで溺れそうになってるのぉぉっ♪♪
 
 最早、アイデンティティにも近いエルフのプライドがその射精に微かな抵抗を示そうとしました。ですが、それは蕩楽をより淫らに味わうスパイスでしかないのです。今更、そんなものが出てきた所で待ちに待った最高の幸せに抗えるはずがありません。寧ろその抵抗をねじ伏せて子宮まで屈服させられる感覚に私は何度もアクメしてしまっていたのです。
 
 ― 美味ひいっ♪♪美味しい美味しい美味しいっっっ♪♪♪
 
 この世の甘味を全て集めて、ドロドロに混ぜあわせたような濃厚な甘さ。子宮口の壁に張り付くような濃厚さを持つザーメンは触れた部分からその甘さを湧き上がらせるようでした。身体中が膣肉へと集中するような錯覚に包まれた私にとってそれは全身が甘味に包まれているも同然です。骨すら溶かすような甘いそれをたっぷりと味わいながら、私は蕩楽に身を委ね続けていました。
 
 ― ふわぁ…ぁっ♪しあわしぇ……っ♪♪
 
 魂を蕩けさせるほどの甘い猛毒。それを貪り続ける私の膣肉は痙攣を走らせる以外に能がなくなった身体とは違って活発に動き続けていました。ご主人様の肉棒に負けないくらいに真っ赤に火照った柔肉を絡みあわせ、精液を思いっきり吸い上げようとしているのです。じゅるじゅると音を立てて搾り出すようなその蠢きにオチンポもとっても悦び、美味しいザーメンをたっぷりとご馳走して下さるのでした。
 
 ― あぁ…♪♪♪…ん…っふぁあぁっ♪♪
 
 ですが、それも長くは続きません。ご主人様は既に魔物の主人に相応しいインキュバスと化し、その精液の量は常人を遥かに超えられています。ですが、それは必ずしも永遠に射精し続けられるという事ではありません。その証拠に激しい勢いで叩きつけられた精液は少しずつ弱まり、漏れ出るようなものになるのでした。
 
 「く…ぅぅ……!!!!」
 
 ご主人様の搾り出すような声が私の耳に認識された瞬間、私の世界に色が戻り始めました。今まで自分の内側にしか向いて来なかった意識が外へと向けられたのでしょう。それ自体はとても喜ばしい事ではありますが、悦ばしい事とは決して言えません。だって、それは私の中の多幸感とも言える蕩楽が薄れ、消えていったのと同義なのですから。
 
 ― …うりゅ…しゃいぃ…っ♪
 
 ドクドクと鼓膜を震わせる自分の鼓動の音すら今の私には煩わしいものでした。もっとあの蕩楽を味わいたい私にとって、そんなものよりも多幸感が欲しいのです。しかし、その望みは決して叶わない事も今までの経験から自覚していました。どれだけ冷徹に振舞おうとされていてもご主人様もまた私と同じ血の通った生き物なのです。そんなご主人様だからこそ身も心も捧げたのですから、それ以上を望むべきではありません。
 
 ― れも…ちょっとらけ…残念…かにゃぁ……♪♪
 
 もし、永遠にご主人様のザーメンを味わい続けられたらどれだけ素敵でしょうか。永遠にあの魂すらふやけるような多幸感の中に身を委ね続けられたら…。そんな感情は決して収まってはくれません。しかし、それでも多少は冷静さを取り戻してきたのでしょう。心の中に浮かんだ言葉は媚の強いものではありましたが、蕩楽の停止を受け入れるものでもあったのです。
 
 ― しょれに…ぃ♪今みょ…気持ち良いが一杯れぇ…♪♪
 
 射精を受け止めている間にだけ味わえるメスとしての最高の幸せ。それはもう私の中には殆ど薄れてしまっていました。しかし、その代わり私にはギチギチと締め付ける麻縄やオチンポの逞しさが伝わっているのです。数えきれないほど迎えたオーガズムで壊れてしまいそうなほど敏感になった私の身体はそれだけでもアクメしてしまうのでした。鋭く脳髄に突き刺さるような絶頂を何度も味わいながら、私は余韻とも言えないような激しいものに身を委ねているのです。
 
 ― そんにゃ私を縛っているあさにゃわを…ご主人様がぐっと掴んれくだしゃって…♪♪
 
 「よい…しょ」
 「ふにゃああああああああああぁぁぁぁっ♪♪」
 
 そのままぐいっと後ろへと引き上げられる感覚に私は悲鳴のような嬌声をあげました。だって、ご主人様のオチンポは一向に萎える気配を見せず、私の膣内に収まったままなのです。そんな状態で無理矢理、身体を引き上げられれば硬い肉棒を子宮口がゴリゴリと擦れてしまうのでした。敏感な部分を抉るようなその刺激に今の私が我慢できるはずがありません。緩んだ肉穴からまた潮を吹いた私はご主人様の腰に載せられるような体勢へと変えられるのでした。
 
 ― お尻ぃぃぃっ♪おひり…がぁぁぁっ♪♪
 
 それは勿論、私のケツマンコに入っている張り型をより深い所にまで押しこむものでもあるのです。緩んだ腸壁をゴリゴリと削り、奥へと入り込んでくるそれに取り戻したはずの私の視界がバチバチと弾けて白く染まってしまいました。あっという間に身体中へと満ちた被虐感に尻穴もまたきゅっと窄まります。それに張り型の存在を強く意識してしまう私の後ろでご主人様がそっと口を私の耳に近づけるのを感じました。
 
 「ほら、まだまだ終わりじゃありませんよ」
 「くふゅぅぅぅぅんっ♪♪♪」
 
 その言葉と共にご主人様の腰が動き、脱力した私の膣肉を突き上げるのです。その動きは後背位の時ほど激しくはありません。ですが、鋼のような硬さを一向に失わないオチンポで何度となく膣奥を叩き、子宮が跳ねるような悦楽はまったく遜色ないものです。自重によってオチンポに子宮が突き刺さるような感覚はとても被虐的でザーメンを一滴残らず飲み込んだ子宮からは愛液がダラダラと零れ落ちるのでした。
 
 「欲求不満だったのが貴女だけと思わない事ですね。私だってずっとお預け食らってたんですから。今日一日、ずっと付き合って貰いますよ」
 「ふわあぁぁぁぁぁぁぁっ♪♪♪」
 
 欲望に塗れたご主人様の言葉は私にとっては心を震わせるほど嬉しいものでした。だって、ご主人様が今日一日掛けてずっと愛してくださると宣言してくださったのですから。今までの埋め合わせをしようとするようなそれに私が喜ばないはずがないのです。そして、その喜びを悦びへと変える子宮はご主人様のオチンポにたっぷりと吸いつき、離さないと言うかのようにぎゅっと抱きしめるのでした。
 
 ― お礼を…おりぇいを…言わなきゃいけないにょにぃ…っ♪♪
 
 ですが、子宮を揺さぶるような強烈な突き上げに私の身体は従ってはくれません。本来、言葉を紡ぐはずの口は愛液を垂れ流す子宮と同じく唾液を垂れ流すだけでした。私の内股一杯を艶やかに光らせる愛液もご主人様の突き上げと共ににちゃにちゃという音を掻き立て、言葉の代わりに自己主張しているようです。そんな自分に情けなさと被虐感を感じた瞬間、膣肉が詫びるようにきゅっと締まるのでした。
 
 「く…ぅ…!その調子…ですよ…!そうやってちゃんとしてれば…すぐにご褒美をあげますから…ね…!」
 
 ― あぁ…っ♪ごほぉびぃっ♪ご褒美ざぁめんっっ♪♪
 
 咽喉から…いえ、子宮から手が出るほど欲しいご褒美。それをご主人様が下さると言って下さった瞬間、私の思考はそれ一色になってしまいました。一度、精液を味わったとは言え、その味は麻薬にも近いのです。ご主人様の味を味わえば味わうほどもっと欲しくなってしまうそれに私が逃れられるはずがありません。
 
 ― 私…一杯締め付けましゅからぁぁっ♪オチンポに一杯、ご褒美しましゅぅっ♪♪らから…ざぁめん早くくだしゃいぃっ♪♪
 
 堪え性のないその言葉が胸を埋め尽くすと同時に私はどんどんご主人様にのめり込んでいくのです。ご主人様ナシでは生きていけない魔物の身体を誇りに思い、ご主人様に求められる事を幸せと受け取りながら。これから先も永遠に続いていくであろうそれを私自身の全てで受け取りながら、私の腰もまた自分から動き始め……。
 
 ― そして、私はご主人様に嬲られ続けたのでした。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ― …後悔先に立たずという言葉がある。
 
 事が終わった後にどれだけ悔やんでも取り返しの付かないものである。そんな人生の真理を表した言葉を私は今、実感していた。ただ、それは本来の意味とは少し違う意味で、だが。
 
 ― こ…腰が…たた…ない……。
 
 そう。アレから一日中激しく犯され続けた私の腰には一切の力が入らないままであった。インターバルすら挟んでもらえず、射精が終わった後にすぐ次のセックスへと移り続けていたのである。インキュバスの性欲が凄まじいものであると分かっていたつもりであったが、あそこまで激しいものであったとは…。正直、命の危機を感じたのは一度や二度ではない。
 
 ― もっとも…三回目くらいからもう射精してるのだかしてないのだか分からない状態だった訳だが。
 
 三度目の膣内射精の後、私の意識は本格的に混濁してしまっていた。私を犯しているのがご主人様――いや、ニンゲンである事は分かっていたものの、自分が今、どんな体勢なのかさえ分かっていなかったのである。ただ、身体中が多幸感に満ち溢れ、死ぬほど気持ち良かったのを覚えているが、それ以外の記憶が殆ど残っていなかった。
 
 ― きっと凄まじい状態だったのだけは分かるがな。
 
 私がこうして身体を預ける薄紅色のベッドは様々な体液でそれはもう悲惨な事になっていた。どこもかしこもびしょ濡れで無事な場所など何処にもなかったのである。それを乾かそうにも思考は快楽で痺れたままで、マトモに魔術を紡げそうにはなかった。
 また部屋中にはオスとメスの匂いが混ざり、どんな生娘でもそれが性交の残り香であると分かるだろう。壁紙にまで染み込んでもおかしくないようなその匂いの中で私の身体は余韻にふるふると震えていた。
 
 「くっそ…眠れないじゃないか……」
 
 身体はもう鉛を巻きつけたように重く、全身から疲労が伝わってくる。しかし、数時間経ってもまだ走る快楽の余韻が私を眠りへと誘ってはくれない。それはきっと嗅いでいるだけで発情しそうな部屋の匂いや決して寝心地が良いとは言えないベッドも無関係ではないのだろう。
 
 ― まぁ…悪い気分じゃない。
 
 既にニンゲンは糸が切れたように眠り込んでいた。ぶっ通しで二日間、私を犯し続けた性欲の化物はその面影をまるで感じさせない穏やかな寝顔を見せている。何処かスッキリしたようなものさえ感じさせるその寝顔を見られるのは勿論、私だけの特権だ。それを行使出来る機会を得られたのは僥倖とも言えるだろう。
 
 ― それに…こうして抱いてもらっている訳だし…。
 
 今の私の姿勢はニンゲンの腕を枕にしてその半身を掛け布団にしているような状態だ。愛しいオスの半身が自分の身体へと寄りかかり、委ねられてる感覚は形容しがたい幸せである。それを意識が多少はっきりとしている今、味わえるのはそう悪い気分ではない。
 
 ― でも…休みとか大丈夫なんだろうか…?
 
 確か昨日――いや、一昨日…か?犯されている間は記憶が曖昧で自信がない――聞いた話ではニンゲンの休みはそう長くはなかったはずだ。深くは踏み込んではいないが恐らく一日…長くても二日程度だろう。その全てを私との時間に当ててくれたのは嬉しいが、出勤しなくて大丈夫なのか少し不安になる。
 
 ― 私の為に社会的信用までは失って欲しくないし…。
 
 勿論、こうしてニンゲンと傍に居られるのは途方も無い幸せだ。だが、それにズルズルと堕落していく訳にはいかないのである。少なくともニンゲンが社会にその身を置いている以上、それを立てるのが恋人…い、いや…つ、妻としての義務だろう。積極的に自堕落な生活に引き込もうとする魔物もいるかもしれないが、私のプライドとしてもそれは譲れない。
 
 ― も、勿論…コイツが世捨て人になるって言うのであれば…そりゃあ……。
 
 朝も昼も夜も他のことを何も考えずただセックスするだけの生活。それに憧れないと言ったら嘘になる。永遠に今回のようなセックスをし続けたいと言う欲望は確かに私の中にもあった。だが、それに溺れる訳にもいかない理由もまた私の中にあったのである。その二つの間で板挟みになった私は鬱憤を吐き出すように一つ溜息を吐いた。
 
 「ふふ…♪本当にお前は…酷い奴だな…♪」
 
 こんなに私をやきもきさせるのは世界中でただ一人この男だけだ。それも当然だろう。私の世界はニンゲン一人で出来上がってると言っても過言ではないのだから。私が喜ぶのも、怒るのも、落ち込むのも、悲しむのも、全部ニンゲンの為だ。そこまで私の心を専有していると言うのに、まだ私を埋め尽くそうとする貪欲なオスの胸元に私はそっと唇を近づける。
 
 「ちゅ……♪」
 
 そのまま強く吸引し、鮮やかな赤色の華を咲かせてやる。かなり強めに作ったその痣はきっと数日間は消えないだろう。本当は首筋にキスマークを残しておきたいが、それではニンゲンの威厳に関わる。仮にも他人を率いる仕事をしている以上、部下に舐められる要素は作ってはやれない。仕事をしているオスの背中をそっと支えてやるのがは…は、伴侶としての義務なのだから。
 
 ― でも…これくらいは許すべきだよな…♪
 
 鮮やかに咲いた赤色の痣はちゃんとシャツを着込んでいればまったく判別できないものだ。ニンゲンが浮気をするとは思っていないが、変な所で甘いコイツに焦がれる魔物がいないとも限らない。それを牽制する為にもこの程度のイタズラは許容するべきだろう。
 
 ― ふふ…♪これを見たらどう言うだろうなぁ…♪
 
 何時も通りであればあくまで呆れたようなポーズを取りながら怒りはしないはずだ。だが、また欲求不満を燻らせているのであれば、それを理由に犯してもらえるかもしれない。ご主人様の肌にイタズラをしたメス奴隷の私に淫らなお仕置きをしてくださるかも……♪♪――
 
 「…っといけないいけない…」
 
 先ほどまで死ぬかともうほどの蕩楽を貪っていたというのに魔物の淫らな身体はまだまだ愛され足りないらしい。思わずまた淫らな『スイッチ』が入りそうになってしまった。だが、私の身体は完全に腰が抜けて身動き出来ない状態である。そんな私に『スイッチ』が入った所で辛いだけだろう。
 
 ― それにまぁ…せっかく、安らかに眠っているんだし起こしてやりたくはない。
 
 インキュバスと言っても疲労という概念を失っている訳ではない。今日という休みを勝ち取る為に激務をこなし、そして私を心ゆくまで犯した化物とは言えど限界というのはあるのだ。それまでの激しさが嘘のように寝たニンゲンはかなり疲れているだろう。それを叩き起してまで自分の欲望を優先したいとは思えなかった。
 
 ― ふふ…♪でも…私は今…とっても幸せ…だ…♪
 
 勿論、それはこうして愛しいオスに密着していられるから、というのも無関係ではない。だが、それ以上にコイツとこうして深い繋がりを得られているというのがたまらなく嬉しいのだ。身も心も捧げられるようなご主人様に出会えた事が、そしてその傍に侍る事を許されている事が幸せなのである。
 
 ― その傍に居る事すら…許されなかった時期もあった…し…。
 
 それは思い返したくもない辛い記憶だ。ニンゲンに拒絶され、突き放された記憶。それはお互いの誤解が原因だったとは言え、私の心に深い傷を残していた。それも当然だろう。当時の私にとっては最早、ニンゲンはなくてはならない存在で、彼に心奪われていたのだから。そんな相手に誤解からとは言え拒絶され、無味乾燥に過ごした日々は一生、忘れられない辛い記憶となるだろう。
 
 ― だが、多分、それで良いんだ。
 
 エルフの集落から追い出されて…ここまで来るのに沢山、辛い事があった。きっと数え始めたらキリがないほどだろう。中にはいい思い出であったと思い返す事の出来るものもあるが、やっぱり辛いものは辛い。ニンゲンに拒絶された記憶などはその筆頭だろう。
 だが、その一方でそれらがなければ今の私が決して存在しないのも事実だ。父に追い出されなければ私はニンゲンに拾われる事も、護られる事もなかっただろう。拒絶の記憶も同様だ。それがあるからこそ今の私があり、今の幸せが得難いものであると実感できる。薄氷の上でギリギリ手にしたそれに気を許すことなく、二度と手放さないようにと大事に抱きしめる事が出来るのだ。
 
 ― きっと…私は世界一、幸せなメス奴隷だな…♪♪
 
 世界一幸せであるとは言えない。でも、メス奴隷という括りであればきっと私は世界一だ。だって…私はこんなにも優しく、愛しい人に仕えられるのだから。意地悪ではあるけれど、どんな人よりも真摯に私に向き合い、護ってくれたご主人様に身体を捧げられる幸せはきっと他のメス奴隷では及ぶまい。いや、及んだとしても…私の世界はご主人様だけだ。それを認知する事はきっと私の一生を探してもないだろう。
 
 ― それは歪んでいると言われるかもしれないが…。
 
 いや、幸せの停滞を選び、他の世界へと目を向けまいとする私はきっと歪んでいるのだろう。だけど、私は…今まで大事なものを幾つも失ってきた。両親も、故郷も、プライドも、自分さえも。だからこそ、私は一番大事なこの幸せだけは決して…それこそ世界を敵に回したとしても手放したくないのである。
 
 ― その為ならば…自分の未来なんて惜しくはない。
 
 ずっとニンゲンに愛してもらえるのであれば自分の未来なんて要らない。ずっとコイツのメス奴隷として飼って貰えるのであれば、世界なんてどうでも良い。自分の内側に篭りきりでずっと彼の事を考えていられるならば、他の事に気を割く必要などない。そんな自己完結が私の中で起こっていた。
 
 ― ん…そろそろ…か…。
 
 そんな事を考えている間に私の身体で眠気が快感を上回り始める。失敗したコーヒーのようなドロドロとした眠気が足に絡みつき、私を飲み込もうとしていた。疲労困憊という言葉が生易しく感じる今の私にはそれに抗う力はない。泥のような眠りへとズルズルと引きずり込まれてしまう。
 
 ― じゃあ…お休み…な♪私のだいだい大好きなご主人様…♪♪
 
 最後にちゅっと硬い胸板にキスをしてから私はそっとまぶたを閉じる。瞬間、私の意識を刈り取るように眠気が私へと襲いかかった。しかし、それに私は恐怖を感じる事はない。この世で最も信頼し、信用するオスの庇護下にいるのだから当然だろう。安堵感とも幸福感とも言えるようなその感情を抱きながら、私は待望の眠りの中へと堕ちていったのだった。
 
 
 
 
 
12/06/17 21:29更新 / デュラハンの婿
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■作者メッセージ
これにて完結です
一ヶ月ちょっとお付き合いありがとうございました!

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