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約束 the another promise

これは、もう一つの約束の物語。
もし、カティアというユフィとの約束を守り、青年を支える存在がいなかったら…?
彼はどんな運命を辿っていただろうか…

これは、そんな知られざる物語。

注)このSSよりも先に本筋の方を見るのをお勧めします。
 わからない表現があったらいけないので、本編を先に見ることをお勧めします。先に本編を見た方がより楽しめるでしょうし。

登場魔物 ひみつ

傾向 ダーク 魔物化 追加。

少々ですがヤンデレ成分あり。
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「ヤクソクダヨ…オニイチャン……」



私の記憶……もう酷く歪んじゃってる……

それもそうだよね……だって、もう私は生きる事も死ぬ事も許されないんだから……

どんどん薄れていく記憶…でも、一つだけ…たった一つだけ、まだ残ってる…
闇の中に蕩けていく中、その記憶を支えに心を強く持っていた…

「お兄ちゃん…お兄ちゃん…お兄ちゃん……」

たった一つだけ残ってるのは…お兄ちゃんとの思い出…
ずっとにいるって約束…だけ…

でも、私から約束…破っちゃったね…いけない子だね…

「お兄ちゃん……寂しい…よぉ……」












私は、お兄ちゃんの妹として生まれた……私は不満だった…

どうしてお兄ちゃんの妹なんだろう…他人だったらよかったのに……
お兄ちゃんが大好きだった……ずっとずっと一緒にいたかった…

でもね……

この村には……

イケニエが必要なんだ……







どうして、私が逃げようとしないか、お兄ちゃんはわかんなかったよね…
イケニエになる人間は…なんでイケニエにされるのかを聞かされるの。
イケニエにならなければ村が…この大陸が魔界になる……仮に生き残った人間がいたとしても、その人間にはこの村の下にある魔力の塊に魔力を吸われるって呪いを受けてまともに生きれなくなるんだって…

そんな事聞いちゃったら…イケニエになるしかないよね?
だって、もし逃げても私に呪いがかかってどっちみち死ぬんだもん…
だから逃げなかったの…

ホントは怖いよ……泣きたいよ…

でもね、お兄ちゃんのためって思えば、がんばれるんだよ…



そういえば、お兄ちゃんは昔は泳げなかったのに私が溺れた時に助けてくれた事もあったよね?

あの時は本当に嬉しかった……
それでお兄ちゃんは水を克服しちゃうし(でも、自分からは行かなかったね)本当にあの時は私だけのヒーローに思えちゃった…




お兄ちゃん、どうしてるかな……

助かってるかな……呪い…受けてないかな…?









意識が闇に堕ちる……私は今、この大陸と一つになったも同然だった。
私はこの大陸の地下にある膨大な魔力を…自分の命を使って押さえ込んでる状態になってる……

そのためのいらない体は台座に置いておくんだって……

闇の中でも、鮮明に周りを見渡せる………あ、ほら…大陸の最北端に飛んでるハーピーがいる!

あ、最南端ではリザードマンさんが素振りをしてるよ!

私はこの地下にある魔力を伝って、意識を大陸全土に張ることができた。
お兄ちゃん…どこにいるかな……

ふと、気になって周りを見渡す……そこには倒れているお兄ちゃんがいた…

「っ!?お兄ちゃん!!」

叫んでも…今の私じゃあ届かない…指を咥えて見ていることしか出来なかった…


















「グッ…ぁ……がぁぁぁ!!?」

僕の中をまるで虫が食らうように……何かが失っていく感覚に捕らわれる…
魔力を吸われているようだった…

体がどんどん重くなっていく……持って二日……多分一日も経てば体は動かなくなるだろうと予想は出来た…

体中が軋むように痛い……どんどん自分の中の力が弱くなっていく……

苦しい…痛い……誰か………


そう助けを求める傍ら…仕方がないと思っている僕がいる…


だって…僕の身勝手で……こうなってしまったんだから……
僕がユフィを連れて逃げて…その結果がこれ……
その守ろうと思った妹さえも、さっきの地震で散り散りになってしまった…

僕が良かれと思ってやったことは…何一つ良くはなかった…

「ユ………フィ…!」

届くはずはない…今はもうここにはいないのだから……

「約束……したよね……ずっと一緒だって…」

例え足が動かなくても…例え呼吸が乱れていても…

這いずってでも彼女を探す……

「オニイ……チャン…」

「………?」

ふと、声が聞こえた……














もし、呪いを受けていたら……私の予想は的中してしまった。
お兄ちゃんは私を連れて逃げ出そうとしたため、儀式が遅れてしまったから…



嬉しかった……村の人達がどうなっても構わないかのように私を連れ出したことが本当に嬉しかった……
涙でいっぱいになった…本当は怖くて…恐くて…
お兄ちゃんに抱きかかえられたままだと、私はお兄ちゃんから離れる勇気がでなくて…地震で離れ離れになった時、本当はお兄ちゃんの所に行けたけど…

そうすると、儀式は失敗。呪いが降りかかって…二人とも死んじゃう…だからあの時、わざと別の方向に行って村に戻ったの…

そこで私は……台座の上で…家から取ってきた包丁で……


自分を刺した……


本当は恐かった……自殺なんて考えた事なかった…



お兄ちゃんのため…お兄ちゃんのため…お兄ちゃんのため…お兄ちゃんのため
お兄ちゃんのため…お兄ちゃんのため…お兄ちゃんのため…お兄ちゃんのため
お兄ちゃんのため…お兄ちゃんのため…お兄ちゃんのため…お兄ちゃんのため




それだけが私を動かした…











「お兄ちゃん!!」

届かない…私の叫び……

「いやぁ……お兄ちゃん…死なないで……」

お兄ちゃんが…死んじゃう…!
いや、いや…いやだいやだいやだいやだいやだいやだ…

「ぁ…ああ!!………だめ…吸わないで!!!」

この大陸に意識を巡らせる私は、お兄ちゃんの魔力がここに吸われていくのを感じる事が出来た。

「だめ!!いやあ!!!こんなのだめ!!吸わないで!!私のお兄ちゃんを殺さないでぇ!!!」

私が抑えてる魔力の塊に…届きもしない言葉を吐く……

「いや…いやだよぉ………」

どうすることもできない…私は見ることしかできない…
魔力の塊………アレに吸われてる…



魔………力…?



私はとある考えが浮かんだ……

でも…それは……

「あ、あはは……いいよね……? だって…もう……」

我慢なんてできっこないんだから……















「オニイチャン…」

今度はハッキリと聞こえた………
しかも…この声…

「ユ、ユフィ…?」

まともに動かない体に鞭を打ち、辺りを探す。

「ここだよ…お兄ちゃん……」

声のする方を見た。さっきよりもクリアに聞こえる……
この声は…聞き間違えるはずもない…

「ココだよ…ねぇ…」

しかし、すぐに僕の周りに異変は起こった…!
地面がどす黒く変色していく…
草や樹が邪悪な姿へと変貌する…
空気が淀む…

「えへへ…やっと見つけた…♪」

目の前に現れたのは…妹だ…確かにユフィだ…

その笑顔は太陽のようで、今と何ら変わらない……
この笑顔を見ると…安心する…守ってやりたいと思う…

ただ、太陽のような笑顔をしたユフィは…黒い球体に乗っていた…











「あは、あはははは……」

そうだよ…なんでこんなことに気付かなかったんだろう…

魔力なら……ここにいくらでもある…

私が使えばいいんだ…
その魔力の塊に手を触れる…

「ひっ!?」

途端、そこから大量の触手が現れ、私をがんじがらめにしてしまう…

恐い…

でも…

「あ、く、ん!? ひゃあ!! そ、そこはぁ…」

キモチイイ…

魔力と一緒に、欲望が私の中に入っていく…

挿入れたい…挿入れたい…挿入れたい…

お兄ちゃんの…欲しい………

「お兄ちゃん…待っててね…」

そうして、私はその魔力の塊に引きずり込まれた……

私は…この大陸を魔界に変えてしまう程の魔力を…その身に宿して…
肉体を蘇生させた…

現実に戻った私は、いつのまにか傍にあった黒い球体に乗って、

「すぐに…行くから……」








目の前に…苦しそうにしながらも私を見てる…
私だけのお兄ちゃん…お兄ちゃんが目の前にいる…!

「そ、その格好は…?」

私はそれに答えず、球体から降りて、お兄ちゃんを押し倒す。

「お兄ちゃん…よかったぁ……もう大丈夫だからね!!」

私は黒い球体から魔力を掬い取り、それをおもいっきりお兄ちゃんの体に押し込んだ。

「あ、がぁ!!あああああああ!!!!?」

「もっと…もっとだよ……お兄ちゃんは生きないといけないの…ずっと一緒にいるって、約束したんだから!!」

もっと…魔力を掬っては押し込み、掬っては押し込み…

「ぐが!?あぁ!!ゆ…ユフィ……!?」

お兄ちゃんの魔力は時間をかけて私の魔力に還元される…だから……定期的に魔力を送らないと……

でも、もう安心……私がずっと傍にいれば…お兄ちゃんが死ぬことなんてない…

「お兄ちゃん……一緒になろ?」

「ぁ…ああ……」

…ちょっと魔力を入れすぎたみたい……でも、いずれは還元されるから多めにいれたほうがいいよね…?
インキュバスになることもないみたいだし。

でも、今はそんなこと考えるよりも……
一つになりたい……

黒い球体は肥大化する…私はお兄ちゃんと一緒にその中に入った…

そして、その中で私は一つになる。

「おにい…ちゃん…」

魔力をいれたからか、お兄ちゃんのものは……

「おっきい…♪」

ビクビクと脈打ち、私と一つになることを待ってるみたいにぃ!

「挿入れるよ…私のおまんこ……たくさん味わッてぇ…」

入ってくる…私の中を掻き分けて……大好きな大好きな人のモノがどんどん入ってくる…

「イイ…イイよぉ!!好き!好き好き好き好き!!大好きぃ!!」

「あ、あぁぁ!!」

私の子宮にお兄ちゃんの亀さんがキスをする…
もっと…奥に!!

私の体は魔物に作り変えられた……だから…

エッチなことだったら…なんだってできるんだから…

「あぐ…あぁ!な…これはぁ!」

子宮の中に入っちゃった亀さん…私はそれを子宮の口でチュプチュプって絞めて…吸って…搾るの…

ついに私も感極まって、お兄ちゃんの胸に自分の胸を重ねて、口付けをする。

「くちゅ……ちゅ…れろ、出してぇ…せーしぃ…おにいひゃんのせ〜しぃ!!だしてぇ!!」

そうして、私達は果てた……





「ゆ、ユフィ……」

球体の闇の中、気が付けば私はお兄ちゃんに抱きかかえられていた…

「ダメな兄ちゃんで…ホントにごめん…」

あんなことがあったのに、お兄ちゃんは私を抱きしめてくれる…

「いいの…私だって……だめな妹だったんだもん…」

闇の中、二人は抱きしめあい…

「ずっと一緒だからな…これからも…」

「うん…」

また…疼いてきちゃった…

「お兄ちゃん……もう一回…しよ…♪」


















ある頃を境に……その大陸の地域は次々と魔界に変貌していった。
やがて、その大陸が完全な魔界になり、魔物娘の楽園と呼ばれるようになっていた。

ふと、奇妙な噂が立ち上る。

高濃度の魔力を有した魔界には黒い太陽が住む。
その幼くも笑顔は太陽のような少女の傍ら、一人の青年が、インキュバスにならずにいつまでもその少女と交じり、その魔界の主となっていた。

その噂は物見遊山に来た魔物娘から人間へと伝わり、

人々はその青年と少女に名前を付けた。

「幼き太陽と黒き守護者」

そう語り継がれていったのである。






〜fin〜

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こちらはアナザーストーリー。
なので、こちらはあるはずのない物語となっています。
主人公的にはハッピーかもしれませんが。周りからみたら激しくBADですからね。

補足をするならば、正史ではカティアという存在がいたおかげでユフィは未練を残す事なく、大陸の奥にある魔力を抑えることに努め、
アナザーでは、そのカティアがいないために、兄への未練を残し、このようなことになってしまった。という感じです。

皆さんは、この本編とifストーリー…

一緒にいる事が叶わず、それでも前へ進もうとする方

一緒にいる事は叶えられたが、前へ進めなかった方

どちらが好きでしたか?

10/09/23 14:21 zeno

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