廃村の国W
いつの間にか壁に掛けられた松明が地下聖堂を照らしている。
その仄かな明かり照らされ、エイリの身体は青く輝いていた。
彼女の顔はどこか照れたように表情が緩んでいる。
「えっと…その…この方…テルルさんを助けるのは構わないのですが…一つお願いがあります」
エイリは頷くと少し落ち着かない様子でそう言った。
心なしか2人の従者もソワソワしている。
周りを見れば今まで無表情で静かだった5人のスライムも隣の仲間と何やら話し合っている。
「…だ……事…見れ…」
「…いい…わ…ほ…」
「おい……う」
「……わ……も…ら」
「…お腹減ったー」
全く聞き取れない。
声が重なって混沌としている。
最後に不穏な言葉が聞こえてきた気がする。
リーアはそんな5人を無視して、エイリに答える。
「テルルを助けてもらうんだから出来る限るの事はするぞ」
「…その……テルルさんに渡す魔力が足りないので、私に精を下さいませんか?」
「!?」
エイリはもじもじと手を動かしながらそう言った。
魔物の魔力の源…精、すなわち男性の精液のことである。
それを欲しがるということはつまり…
「えっと…つまり、俺と…」
「あ…いえ、精だけ下されば…一線を越えてしまうと、貴方自身が欲しくなってしまいますので」
貴方自身が欲しくなる。
その言葉にドキドキしながらも、リーアはエイリに精を渡すのを了承した。
「それでは…失礼します…」
「あ…ああ」
エイリはそういいながらゆっくりと近づいてくる。
だが、実際にリーアの体に触れたのは二人の従者だった。
「?」
「私はテルルさんを見ていないといけないので…僭越ながら従者がお相手をさせて頂きます」
エイリがそう言うと、下半身が繋がったままの従者2人がリーアの体を愛撫する。
「私はファイと…その娘はスイと呼んで欲しい」
「リーア様、よろしくお願いします」
「んっ…ああ…頼むよスイに…ファイ」
2人は自己紹介をする。
リーアが2人の名前を呼ぶと、2人は軽く微笑み、同時に彼の頬にキスをした。
「リーア様どうか楽になさって下さい」
「私達に任せて…」
ファイが腰に抱きつき、スイがリーアにキスをする。
腕が体をまさぐり、唇合わせ、舌と舌を絡める。
「んぷっ…ちょ…スイ…キス…上手い…」
「ん…ちゅ…」
「はぁはぁ…」
彼も女性経験が無いわけではないが、魔物娘のテクニックは見事だった。
キスをしている従者がリーアの鎧に手を掛ける。
「んっ……リーア様…もっと下さい…」
ゆっくりと、鎧を外し、衣服を脱がしていく。
素肌に直接触れるスライムの体はぬるぬるとして少し冷たく、とても心地よかった。
「くちゅ…ちゅ…はぁ…あ…すごい…大きい…」
「あっ…ファイ…それ…んっ…気持ちいい…」
ファイと名乗った従者は下半身の衣服を全て脱がし、リーアの分身を手で擦っていた。
スイと呼ばれた少女は相変わらず、リーアとキスを交わしている。
「スイ…そろそろこっちを」
「はい…」
ファイは一度手を離し、キスで惚けているスイを引っ張り、座らせると2人でリーアを愛撫し始めた。
彼女達の手に包まれる感触は今までに経験したことの無いものだった。
手で触れられているにも拘らず、粘液が滴り、適度に締め付け、擦りあげる。
その刺激だけで達してしまいそうなのを堪えていると、2人の様子が変わった。
「はぁはぁ…リーア…横になって」
「リーア様…」
「んっ…あ…ああ…」
2人はゆっくりと自分達の作る水溜りの上に彼を押し倒すと、2人で彼の物に口を寄せた。
「あぁっ…!」
「ちゅ…んぐっ…」
「くちゅ…」
ぐちゃぐちゃとスイが頭を上下させ、下から潜り込む様にして、ファイが竿から玉袋を舐め回す。
さすがの彼もこれ以上我慢できなかった。
「もう…出る…スイ、口に出すぞ!」
「むぐっ…むぅ…」
「ちゅ…出して…リーア!」
あっという間に押し上げられ、スイの口の中に放ってしまう。
「んぐっ!…んぁ…ん……ん…はぁ…はぁ」
「スイ…私にも」
「うん…ちゅ…」
「んぷ…ごく……」
2人がリーアの精液を奪うように飲み干していく。
青く透けた肢体に白い体液が混じり、薄まっていく様子を見せ付けられる。
唇を離した二人の間に銀色の糸が引いた。
だが、リーアはそれらを気にすることも出来ないほど、疲れていた。
それまで彼が経験したどれよりも彼女達との行為は快感であり、これでは親魔物派が増えるのも頷けると、そう考えてしまった。
「はぁ…はぁ…これで…足りるか?」
「ぁ…ん…足りると思います…マスター、どうですか?」
「はぁ……ふぅ…私達は足りない……」
ファイはギラギラとした目でリーアの性器を見つめているが、彼は意図的にそれを無視した。
エイリは目を閉じて自分の体調を確かめる。
「ありがとうございます…これなら十分です」
「ではマスター…早速やっちゃって下さい」
「頼む…」
スイの軽い言葉を受けつつ、エイリはテルルの唇と自分のそれを重ねる。
魔物の純粋な魔力とエイリの体の一部がテルルの喉を通り、体内に取り込まれる。
人間の目では変化を窺い知る事はできないが、ゆっくりと2・3刻程の時を掛けて体を変化させていくらしい。
「後は少しの間、待つだけです」
「…ありがとう」
「リーア様…悲しいの?」
服を着込み、床に座り込んだリーアは礼を述べたが、その目尻には涙が浮かんでいた。
それを見つけたスイが抱きつきながら彼の顔を覗き込むと、彼はスイを安心させるように頭は撫でた。
「…違うんだよ…怖かったんだ」
「みゅ?」
「テルルは幼い頃からの友人でギルドに入ってから5年間ずっと一緒だったんだ…」
頭を撫でられ、気持ちよさそうに瞳を細めながら、スイはされるがままになっている。
別れの言葉も伝えられないまま、彼女を失うのは怖かった。
そう聞かされると、スイの瞳がにわかに輝いた。
「じゃあ、テルル様はリーア様の恋人なんですか?」
「えっ……いや…その…」
「その様子だと…関係を進展させられなかったみたいね」
「!!」
スイの質問に戸惑っているところに、背後でファイがぼそりと呟いた。
「リーア様、今回のことでテルル様へのお気持ち…自分の中で整理が付いたのではないでしょうか?」
「…」
エイリの言葉を聞き、彼は考えた。
テルルが居なくなった時に、魔物が居る廃村の奥まで1人で切り込んだ。
彼女が魔物の胸元に抱かれているのを見て、勝ち目のない戦いをスライムに
挑んだ。
彼女の命が失われそうな時、今までの生活を捨てて、彼女を助けることを選んだ。
彼女を助けるために、本来は近づくことすらしないはずの魔物と性行為を行った(本番は避けたが)。
これらは、仲間を助けるためだけの行動だろうか?
否。
断じて否。
心の底で、彼女を愛していた。
だが、今まで友人として長く付き合い、今は任務を共にする仲間としての関係が有り、一歩を踏み出せなかった。
だが今なら……
「エイリさん」
「はい?」
「ありがとう」
「…はい」
それから3刻。
魔物化が終わるまでの間、エイリとテルルは自分のことを互いに話し合った。
過去の生まれ、友人のこと、ギルドに参加して5年間の話。
人間だった頃、恩人のスライムこと。
そして、7日前に訪れた来客のこと。
「…3人が?」
「はい…私を見つけるなり、切りかかってきました」
「どうやって切り抜けた?」
エイリは天井を指差した。
それにつられて天井を見上げ、納得した顔でエイリに視線を戻した。
「上から襲ったのか…」
「その通りです、しかし…」
その時にエイリを助けたスライムが死んでしまった。
そう話す彼女はとても悲しい表情をしていた。
「……それで3人を…殺した?」
「はい、殺しました」
「そうか…」
「全身から水分を完全に抜きました」
彼女はそう言い切った。
どうしますか、3人の仇を討たれますか?
エイリは問いかけた。
やめておく。
リーアはそう言った。
今ならエイリの気持ちが良く分る。
彼はそう思った。
テルルを魔物の下に捕らわれたと考えたとき、彼も同じような感情を持ったからだった。
それに、彼は彼自身が魔物の徹底殲滅を掲げる教会の方針とは反りが合わないと感じていた。
エイリもそれを聞いて、安心したように微笑むのだった。
そして、それからまもなく、テルルが目を覚ました。
リーアが彼女を抱き起こすと、驚いたような顔をしていた。
「ちょ…どうしたのさ」
「よかった…」
「何を言って…ちょっと…後ろの青いの」
リーアに抱き締められた彼女が見たのは、彼の背後に並んでいるスライム達。
広間の中で、一本だけ火のついた松明に照らされて、彼女達の青い体が蠢いているのが分かった。
「お前を助けてくれたんだよ」
「?……あっ…私…井戸から……」
「テルル様…その説明は私から」
それから半刻を掛けて、エイリはテルルに事の顛末を説明する。
魔物化の説明に至ったところで、テルルが動揺し怯え出したので、リーアが
抱きかかえ、落ち着かせる一幕もあった。
そして一通り話し終えたところで、テルルがリーアに詰め寄る。
「…私…魔物になっちゃったのね…リーア、私怖い…」
「大丈夫だ、これからもずっとお前のそばに居るからさ」
「私が魔物になったらもうこっちで生きていけないんだよ…リーアは私と一緒にいてくれるの?」
「ああ、お前と一緒にいられれば、どこへでも」
彼女の見た目はまだ人間のそれだった。
実際にはスライム化しているがそれでも彼女は彼女のまま。
性格や仕草が変質することも無い。
そう考え、リーアはテルルを抱き締めた。
「リーア様、お楽しみのところ申し訳ないですが…」
「?」
「その…これからどのように身を処されるかお聞かせいただけませんか?」
「それはつまり…ギルドを抜けて親魔物派の領地に亡命するか否かということだな?」
リーアはテルルを放し、再び床に腰を落ち着け、エイリと向かい合う。
エイリの脇にはスイとファイが控え、彼女の背後には5人のスライムが落ちつき無くぷるぷると震えている。
テルルがリーアのすぐ横に座り込んだところで彼は先ほどの質問に答えた。
「結論から言えば、俺はテルルと一緒に居たい、ここに居てそれが出来ないなら、甘んじて出て行くつもりだ」
「そうですか」
エイリが笑った。
彼女にあって初めて見た本当の笑顔だった。
「実は私達もここを去りたいと常々思っていました」
「それなら今まで何度も襲撃を受けてきたのに、何で今まで出て行かなかったんだ?」
この廃村は魔物が出るとして、反魔物派からの襲撃を受けたことが何度かあった。
その中にはギルドに属さない集団もあり、かなりの危険に晒されていたのだと言う。
「それは…まず1つにどこに逃げれば私達が安全に過ごせるか、それが分からなかったのです」
「なるほど」
彼女達は条約で結ばれた領地の境界を知らなかった。
よって、村を出て行く踏ん切りがつかなかったのだった。
そしてもう一点、これがもっとも厄介な点だった。
それは…
「リーア様…もう一度お聞きしますね…貴方はこれから魔物と人間が一緒に
暮らせる国に行かれるという事で間違いないですね?」
「ん…ああ間違いない、しかしどうしてそんな事を気にするんd」
彼の言葉は最後まで紡がれなかった。
途中でスライム達が一斉に彼に群がったからだ。
あっという間に押し倒され。衣服を引っ張られる。
1人が彼の唇を奪い、他の4人が衣服を器用に脱がし始めた。
「ちょ…むぷ…ちょっと…ちゅ…何を…」
「それはですね、リーア様」
スライム5人に纏わり付かれ、服を剥ぎ取られる彼を見据えて座ったまま、
エイリは答えた。
「私達はこれから、リーア様に同行させて頂こうと思っているのですが、私はともかくその娘達はとても空腹なのです」
つまり、彼女達は空腹で体力・魔力の供給が問題だったのだ。
よって…彼はスライム達に寄って集って弄ばれる。
「うわ…そこ触らないで、んっ…つまり…それって…あむ…」
「はい、その娘達に食事を与えて頂きたいのです」
「あっ……跨らないで、腰落とさないで…あああぁぁぁ!!」
そして、狂乱の宴が始まる。
スライム5人に代わる代わる犯され、彼女達が真っ白に染まるまで、彼は犯され続けた。
エイリは途中までは傍観していたが、我慢できなくなったらしく、ファイと
スイを参加させた。
そして、テルルはと言うと。
「はぁ…はぁ…凄い…あんなに激しく腰を振って…2人とも気持ちよさそう…」
欲情していた。
魔物化による体質変化と、魔物になったばかりで魔力が足りていないのが原因だった。
そしてついに…
「リーア!私も混ぜなさい!!!」
テルルがキレて乱入してきた。
宴、更に盛り上がる。
時が過ぎ、大よそ3刻。
交わった回数は2桁を数え、彼の射精回数は歴代記録を大幅に塗り替えることになった。
スライム達は満腹と言った様子で各々眠りこけている。
エイリもファイとスイを通して、満腹になるほど精を受け取ったらしく満足した表情である。
一方のテルルは…
「あはは…私、姿もスライムになっちゃった」
「まあ…仕方ないだろ…あれだけヤリまくればな…魔力も補充されただろうし…」
身体が青い半液状の物体で構成された、正真正銘のスライムになっていた。
衣服は既に脱ぎ散らかしていたが、これらを再び着る事は出来ない。
スライムが形作る女性は生前のテルルの姿を形作っている。
(とはいっても…裸は知らんから髪形と表情は以前のままと言う程度だがな…)
「ねぇリーア?」
「どうした?」
「私のこと怖い?こんな姿でエッチな娘で…嫌いになった?」
リーアはテルルの頭を優しく抱き寄せる。
「怖くないぞ、それに子供の時から今まで、そしてこれからもお前のことが
好きだよ」
「!?、馬鹿」
顔を真っ赤にしてそっぽを向く彼女はまるでレッドスライムのようだった。
そして、抱き合ったまま、2人は緩やかにまどろんでいった。
早朝、腰の痛みと全身の疲れを感じながらも、リーアは5人のスライムと
エイリ、テルルを連れ、廃村を後にした。
向かうは親魔物領。
そこは魔物と人が共に暮らす、混沌とした国。
彼らにとっては希望溢れる国だった。
彼らは親魔物領に逃げ込んだ後もしばらくの間、親魔物派側のギルドの保護の下、生活を共にした。
その後、彼らについての記録は現存する資料からは消えてしまう。
彼らがそれぞれ別の人生を歩んでいるのか、今もあの夜の地下聖堂の様に皆が並んで横になっているのか…それはまったくもって不明である。
●報告書●
魔物調査:失敗
人的損害:5名
備 考:2名のギルド員派遣から3日後、討伐隊が村に向うも魔物も人も
おらず、魔物は村を去ったと推察される。
その仄かな明かり照らされ、エイリの身体は青く輝いていた。
彼女の顔はどこか照れたように表情が緩んでいる。
「えっと…その…この方…テルルさんを助けるのは構わないのですが…一つお願いがあります」
エイリは頷くと少し落ち着かない様子でそう言った。
心なしか2人の従者もソワソワしている。
周りを見れば今まで無表情で静かだった5人のスライムも隣の仲間と何やら話し合っている。
「…だ……事…見れ…」
「…いい…わ…ほ…」
「おい……う」
「……わ……も…ら」
「…お腹減ったー」
全く聞き取れない。
声が重なって混沌としている。
最後に不穏な言葉が聞こえてきた気がする。
リーアはそんな5人を無視して、エイリに答える。
「テルルを助けてもらうんだから出来る限るの事はするぞ」
「…その……テルルさんに渡す魔力が足りないので、私に精を下さいませんか?」
「!?」
エイリはもじもじと手を動かしながらそう言った。
魔物の魔力の源…精、すなわち男性の精液のことである。
それを欲しがるということはつまり…
「えっと…つまり、俺と…」
「あ…いえ、精だけ下されば…一線を越えてしまうと、貴方自身が欲しくなってしまいますので」
貴方自身が欲しくなる。
その言葉にドキドキしながらも、リーアはエイリに精を渡すのを了承した。
「それでは…失礼します…」
「あ…ああ」
エイリはそういいながらゆっくりと近づいてくる。
だが、実際にリーアの体に触れたのは二人の従者だった。
「?」
「私はテルルさんを見ていないといけないので…僭越ながら従者がお相手をさせて頂きます」
エイリがそう言うと、下半身が繋がったままの従者2人がリーアの体を愛撫する。
「私はファイと…その娘はスイと呼んで欲しい」
「リーア様、よろしくお願いします」
「んっ…ああ…頼むよスイに…ファイ」
2人は自己紹介をする。
リーアが2人の名前を呼ぶと、2人は軽く微笑み、同時に彼の頬にキスをした。
「リーア様どうか楽になさって下さい」
「私達に任せて…」
ファイが腰に抱きつき、スイがリーアにキスをする。
腕が体をまさぐり、唇合わせ、舌と舌を絡める。
「んぷっ…ちょ…スイ…キス…上手い…」
「ん…ちゅ…」
「はぁはぁ…」
彼も女性経験が無いわけではないが、魔物娘のテクニックは見事だった。
キスをしている従者がリーアの鎧に手を掛ける。
「んっ……リーア様…もっと下さい…」
ゆっくりと、鎧を外し、衣服を脱がしていく。
素肌に直接触れるスライムの体はぬるぬるとして少し冷たく、とても心地よかった。
「くちゅ…ちゅ…はぁ…あ…すごい…大きい…」
「あっ…ファイ…それ…んっ…気持ちいい…」
ファイと名乗った従者は下半身の衣服を全て脱がし、リーアの分身を手で擦っていた。
スイと呼ばれた少女は相変わらず、リーアとキスを交わしている。
「スイ…そろそろこっちを」
「はい…」
ファイは一度手を離し、キスで惚けているスイを引っ張り、座らせると2人でリーアを愛撫し始めた。
彼女達の手に包まれる感触は今までに経験したことの無いものだった。
手で触れられているにも拘らず、粘液が滴り、適度に締め付け、擦りあげる。
その刺激だけで達してしまいそうなのを堪えていると、2人の様子が変わった。
「はぁはぁ…リーア…横になって」
「リーア様…」
「んっ…あ…ああ…」
2人はゆっくりと自分達の作る水溜りの上に彼を押し倒すと、2人で彼の物に口を寄せた。
「あぁっ…!」
「ちゅ…んぐっ…」
「くちゅ…」
ぐちゃぐちゃとスイが頭を上下させ、下から潜り込む様にして、ファイが竿から玉袋を舐め回す。
さすがの彼もこれ以上我慢できなかった。
「もう…出る…スイ、口に出すぞ!」
「むぐっ…むぅ…」
「ちゅ…出して…リーア!」
あっという間に押し上げられ、スイの口の中に放ってしまう。
「んぐっ!…んぁ…ん……ん…はぁ…はぁ」
「スイ…私にも」
「うん…ちゅ…」
「んぷ…ごく……」
2人がリーアの精液を奪うように飲み干していく。
青く透けた肢体に白い体液が混じり、薄まっていく様子を見せ付けられる。
唇を離した二人の間に銀色の糸が引いた。
だが、リーアはそれらを気にすることも出来ないほど、疲れていた。
それまで彼が経験したどれよりも彼女達との行為は快感であり、これでは親魔物派が増えるのも頷けると、そう考えてしまった。
「はぁ…はぁ…これで…足りるか?」
「ぁ…ん…足りると思います…マスター、どうですか?」
「はぁ……ふぅ…私達は足りない……」
ファイはギラギラとした目でリーアの性器を見つめているが、彼は意図的にそれを無視した。
エイリは目を閉じて自分の体調を確かめる。
「ありがとうございます…これなら十分です」
「ではマスター…早速やっちゃって下さい」
「頼む…」
スイの軽い言葉を受けつつ、エイリはテルルの唇と自分のそれを重ねる。
魔物の純粋な魔力とエイリの体の一部がテルルの喉を通り、体内に取り込まれる。
人間の目では変化を窺い知る事はできないが、ゆっくりと2・3刻程の時を掛けて体を変化させていくらしい。
「後は少しの間、待つだけです」
「…ありがとう」
「リーア様…悲しいの?」
服を着込み、床に座り込んだリーアは礼を述べたが、その目尻には涙が浮かんでいた。
それを見つけたスイが抱きつきながら彼の顔を覗き込むと、彼はスイを安心させるように頭は撫でた。
「…違うんだよ…怖かったんだ」
「みゅ?」
「テルルは幼い頃からの友人でギルドに入ってから5年間ずっと一緒だったんだ…」
頭を撫でられ、気持ちよさそうに瞳を細めながら、スイはされるがままになっている。
別れの言葉も伝えられないまま、彼女を失うのは怖かった。
そう聞かされると、スイの瞳がにわかに輝いた。
「じゃあ、テルル様はリーア様の恋人なんですか?」
「えっ……いや…その…」
「その様子だと…関係を進展させられなかったみたいね」
「!!」
スイの質問に戸惑っているところに、背後でファイがぼそりと呟いた。
「リーア様、今回のことでテルル様へのお気持ち…自分の中で整理が付いたのではないでしょうか?」
「…」
エイリの言葉を聞き、彼は考えた。
テルルが居なくなった時に、魔物が居る廃村の奥まで1人で切り込んだ。
彼女が魔物の胸元に抱かれているのを見て、勝ち目のない戦いをスライムに
挑んだ。
彼女の命が失われそうな時、今までの生活を捨てて、彼女を助けることを選んだ。
彼女を助けるために、本来は近づくことすらしないはずの魔物と性行為を行った(本番は避けたが)。
これらは、仲間を助けるためだけの行動だろうか?
否。
断じて否。
心の底で、彼女を愛していた。
だが、今まで友人として長く付き合い、今は任務を共にする仲間としての関係が有り、一歩を踏み出せなかった。
だが今なら……
「エイリさん」
「はい?」
「ありがとう」
「…はい」
それから3刻。
魔物化が終わるまでの間、エイリとテルルは自分のことを互いに話し合った。
過去の生まれ、友人のこと、ギルドに参加して5年間の話。
人間だった頃、恩人のスライムこと。
そして、7日前に訪れた来客のこと。
「…3人が?」
「はい…私を見つけるなり、切りかかってきました」
「どうやって切り抜けた?」
エイリは天井を指差した。
それにつられて天井を見上げ、納得した顔でエイリに視線を戻した。
「上から襲ったのか…」
「その通りです、しかし…」
その時にエイリを助けたスライムが死んでしまった。
そう話す彼女はとても悲しい表情をしていた。
「……それで3人を…殺した?」
「はい、殺しました」
「そうか…」
「全身から水分を完全に抜きました」
彼女はそう言い切った。
どうしますか、3人の仇を討たれますか?
エイリは問いかけた。
やめておく。
リーアはそう言った。
今ならエイリの気持ちが良く分る。
彼はそう思った。
テルルを魔物の下に捕らわれたと考えたとき、彼も同じような感情を持ったからだった。
それに、彼は彼自身が魔物の徹底殲滅を掲げる教会の方針とは反りが合わないと感じていた。
エイリもそれを聞いて、安心したように微笑むのだった。
そして、それからまもなく、テルルが目を覚ました。
リーアが彼女を抱き起こすと、驚いたような顔をしていた。
「ちょ…どうしたのさ」
「よかった…」
「何を言って…ちょっと…後ろの青いの」
リーアに抱き締められた彼女が見たのは、彼の背後に並んでいるスライム達。
広間の中で、一本だけ火のついた松明に照らされて、彼女達の青い体が蠢いているのが分かった。
「お前を助けてくれたんだよ」
「?……あっ…私…井戸から……」
「テルル様…その説明は私から」
それから半刻を掛けて、エイリはテルルに事の顛末を説明する。
魔物化の説明に至ったところで、テルルが動揺し怯え出したので、リーアが
抱きかかえ、落ち着かせる一幕もあった。
そして一通り話し終えたところで、テルルがリーアに詰め寄る。
「…私…魔物になっちゃったのね…リーア、私怖い…」
「大丈夫だ、これからもずっとお前のそばに居るからさ」
「私が魔物になったらもうこっちで生きていけないんだよ…リーアは私と一緒にいてくれるの?」
「ああ、お前と一緒にいられれば、どこへでも」
彼女の見た目はまだ人間のそれだった。
実際にはスライム化しているがそれでも彼女は彼女のまま。
性格や仕草が変質することも無い。
そう考え、リーアはテルルを抱き締めた。
「リーア様、お楽しみのところ申し訳ないですが…」
「?」
「その…これからどのように身を処されるかお聞かせいただけませんか?」
「それはつまり…ギルドを抜けて親魔物派の領地に亡命するか否かということだな?」
リーアはテルルを放し、再び床に腰を落ち着け、エイリと向かい合う。
エイリの脇にはスイとファイが控え、彼女の背後には5人のスライムが落ちつき無くぷるぷると震えている。
テルルがリーアのすぐ横に座り込んだところで彼は先ほどの質問に答えた。
「結論から言えば、俺はテルルと一緒に居たい、ここに居てそれが出来ないなら、甘んじて出て行くつもりだ」
「そうですか」
エイリが笑った。
彼女にあって初めて見た本当の笑顔だった。
「実は私達もここを去りたいと常々思っていました」
「それなら今まで何度も襲撃を受けてきたのに、何で今まで出て行かなかったんだ?」
この廃村は魔物が出るとして、反魔物派からの襲撃を受けたことが何度かあった。
その中にはギルドに属さない集団もあり、かなりの危険に晒されていたのだと言う。
「それは…まず1つにどこに逃げれば私達が安全に過ごせるか、それが分からなかったのです」
「なるほど」
彼女達は条約で結ばれた領地の境界を知らなかった。
よって、村を出て行く踏ん切りがつかなかったのだった。
そしてもう一点、これがもっとも厄介な点だった。
それは…
「リーア様…もう一度お聞きしますね…貴方はこれから魔物と人間が一緒に
暮らせる国に行かれるという事で間違いないですね?」
「ん…ああ間違いない、しかしどうしてそんな事を気にするんd」
彼の言葉は最後まで紡がれなかった。
途中でスライム達が一斉に彼に群がったからだ。
あっという間に押し倒され。衣服を引っ張られる。
1人が彼の唇を奪い、他の4人が衣服を器用に脱がし始めた。
「ちょ…むぷ…ちょっと…ちゅ…何を…」
「それはですね、リーア様」
スライム5人に纏わり付かれ、服を剥ぎ取られる彼を見据えて座ったまま、
エイリは答えた。
「私達はこれから、リーア様に同行させて頂こうと思っているのですが、私はともかくその娘達はとても空腹なのです」
つまり、彼女達は空腹で体力・魔力の供給が問題だったのだ。
よって…彼はスライム達に寄って集って弄ばれる。
「うわ…そこ触らないで、んっ…つまり…それって…あむ…」
「はい、その娘達に食事を与えて頂きたいのです」
「あっ……跨らないで、腰落とさないで…あああぁぁぁ!!」
そして、狂乱の宴が始まる。
スライム5人に代わる代わる犯され、彼女達が真っ白に染まるまで、彼は犯され続けた。
エイリは途中までは傍観していたが、我慢できなくなったらしく、ファイと
スイを参加させた。
そして、テルルはと言うと。
「はぁ…はぁ…凄い…あんなに激しく腰を振って…2人とも気持ちよさそう…」
欲情していた。
魔物化による体質変化と、魔物になったばかりで魔力が足りていないのが原因だった。
そしてついに…
「リーア!私も混ぜなさい!!!」
テルルがキレて乱入してきた。
宴、更に盛り上がる。
時が過ぎ、大よそ3刻。
交わった回数は2桁を数え、彼の射精回数は歴代記録を大幅に塗り替えることになった。
スライム達は満腹と言った様子で各々眠りこけている。
エイリもファイとスイを通して、満腹になるほど精を受け取ったらしく満足した表情である。
一方のテルルは…
「あはは…私、姿もスライムになっちゃった」
「まあ…仕方ないだろ…あれだけヤリまくればな…魔力も補充されただろうし…」
身体が青い半液状の物体で構成された、正真正銘のスライムになっていた。
衣服は既に脱ぎ散らかしていたが、これらを再び着る事は出来ない。
スライムが形作る女性は生前のテルルの姿を形作っている。
(とはいっても…裸は知らんから髪形と表情は以前のままと言う程度だがな…)
「ねぇリーア?」
「どうした?」
「私のこと怖い?こんな姿でエッチな娘で…嫌いになった?」
リーアはテルルの頭を優しく抱き寄せる。
「怖くないぞ、それに子供の時から今まで、そしてこれからもお前のことが
好きだよ」
「!?、馬鹿」
顔を真っ赤にしてそっぽを向く彼女はまるでレッドスライムのようだった。
そして、抱き合ったまま、2人は緩やかにまどろんでいった。
早朝、腰の痛みと全身の疲れを感じながらも、リーアは5人のスライムと
エイリ、テルルを連れ、廃村を後にした。
向かうは親魔物領。
そこは魔物と人が共に暮らす、混沌とした国。
彼らにとっては希望溢れる国だった。
彼らは親魔物領に逃げ込んだ後もしばらくの間、親魔物派側のギルドの保護の下、生活を共にした。
その後、彼らについての記録は現存する資料からは消えてしまう。
彼らがそれぞれ別の人生を歩んでいるのか、今もあの夜の地下聖堂の様に皆が並んで横になっているのか…それはまったくもって不明である。
●報告書●
魔物調査:失敗
人的損害:5名
備 考:2名のギルド員派遣から3日後、討伐隊が村に向うも魔物も人も
おらず、魔物は村を去ったと推察される。
10/06/20 00:12更新 / 月影
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