No.1「Alraune」
私の名前はローザと言うアウラウネだ。
私はとある新魔領の近くの森で暮らしていた。
「さてと、今日はどの植物を見ていこうかな?」
私は森の中にある植物を見ては、香りを楽しんだりもした。
気に入った花を見つければそれを植木鉢に入れ家へと持ち帰ったりもした。
今も私はノソノソお森の中を歩いているところだ。
「……おッ、早速発見♪」
家から十分歩いたところにある森の奥にたどり着いた。
そこにあったには小さな紫色の花だった。
「うぅ〜んッ、見たこともない花ね?」
森の奥には立派で大きな木があった。
その木は直径一メートルはあろう大樹だ。
この木の根元には小さな紫の花が一輪ほど咲いているのだ。
「何だかこの花には力強さを感じるわ」
私はその花に手を伸ばした。
しかし、それはできなかった。
何故かと言うと、その花が突然光り出したのだ。
「……な、何よこれッ!?」
私は慌てながらも光る花から少し距離をとった。
花の光が光を増してゆき、私は光に飲み込まれていった。
「な、何なのよ……これはッ!?」
そして私は光に包まれながら意識を手放すのであった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「う、うぅ〜んッ……」
光に包まれた私は目を覚ました。
辺りを見ると私が住んでいた森となんら変わりはない場所だった。
しかし、私は空を見てから首を傾げた。
「……ここは何処よ?」
私は立ち上がり周囲を見渡した。
周囲は木々に多い囲まれているものの足元や空が違うのだ。
足元は人工的に作られたブロックの床、空はガラスの天井。
そして、植物の方に視線を向けた。
「な、何なのよこれはッ!?」
私は木々を見ながら大声を発した。
それもそうだろうと思った。
だって、私が知る木では無く見たこともない植物があちらこちらにあるのだ。
私はそっと植物に恐る恐る触れようとした。
しかし、それは何者かによって阻止された。
「植物に触れるのは此処では禁止だよ?」
「……えッ?」
私は声のした方向を見た。
そこに居たのは青年だった。
しかし、彼の見た目は何処か違った。
黒い髪に茶色の瞳、汚れ一つない白衣の下には黒い服だ。
この青年はどうやら医者なのだろうと思った。
「あ、あのぉ〜……」
「……んッ、何かな?」
私は恐る恐る彼に聞いてみた。
「こ、ここは何処かしら?」
「……はい?」
彼は目を点にしながら私の方を見ていた。
何か変なことを言ったのだろうかと思い、私は首を傾げながら頭の上に「?」を浮かべた。
「質問に答える前に聞きたいことがある」
「……んッ、何かしら?」
「キミは何者なんだ?見たところアウラウネのようだけど……現代の魔物より魔力が高いのだが?」
彼の質問も変わった質問だった。
私は微笑みつつ彼にこう答えた。
「私はローザ。森に住んでいたのだけれど……突然何処かに飛ばされたみたいなの?」
「ふむッ、ローザか……良い名前じゃないか」
「……んなッ!?」
微笑みつつ私に言ってきた彼の言葉に思わず頬を赤らめてしまう。
―何を言ってくるのよこの人間はッ!?―
私は心の中でこう思ったのだ。
私は一つ聞いていなかったものと一緒にこう質問した。
「ね、ねぇ〜ッ……貴方の名前は?」
「あぁ、自己紹介がまだだったね?私の名前は清水一樹(きよみず いつき)だ」
「イツキ……ジパング人かしら」
「ジパング?あぁ、なるほどね……君は図鑑世界の住民なわけだ」
「……えッ?」
彼、今何て言ったかしら?
彼は「図鑑世界の住民」と私に言ってきたのだ。
ここで何かが食い違った。
ここは私が住んでいた場所では無くて、何処か別の世界だということになるのだ。
「そ、それじゃあ……ここは何処なの?」
「その質問の答えはこうなるね?」
彼は腕を組んでから微笑みつつ私に言った。
「此処は日本。平たく言えば人間世界だよ」
「……えッ、えぇぇぇぇぇッ!!」
私は彼の言葉に思わず目を見開いて驚いてしまった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
それから暫くして私は彼、イツキと共に清水植物園という植物を観賞するための施設で一緒に過ごすことになった。
それから一週間と言う時間が過ぎた。
「今日はどの子を見ていけばいいかしら?」
「今日は、花たちの方を見ていこうと思う」
「へぇ〜ッ、そうなの?」
「言っておくけれど、勝手に花を持ち出すことはしないでよ」
「うぐッ、わ、わかってるわよ」
彼と生活をしてゆくうちにこの日本と言う世界のことは大体わかってきた。
彼に「裸で出歩くのはやめてくれ」と言われたので黒のTシャツに白衣を着てから植物園の中を歩いてゆく。
「さぁ、ついたよ?」
「……まぁッ」
彼が温室の扉を開けた先にあったものに思わず両手を口元に添えて驚いた。
此処は私が初めて入るのになぜか懐かしさを感じた。
温室には様々な花壇に植えられて元気に育っている花たち。
そして、見たこともない大きな花を見つけた。
私はその花に顔を近づけたのだ。
「……うッ、何よこれ」
「この花はラフレシアと言う植物だ。強烈な臭いがしたろ?」
「え、えぇッ。こんな花は見たことないわ」
私は彼にそう言ってから微笑んだ。
イツキも私の方を見て微笑み返してきた。
「ね、ねぇ〜ッ、イツキ?」
「どうかしたローザ?」
「私たちっていつ結婚できるかしらね?」
「まぁ、住民権は手に入ったから……もう少し先になるだろうね?」
「もう、またそうやってから話を止める」
私は頬を膨らませながら彼の胸元に顔を埋める。
イツキは微笑みながら私を抱きしめてくれた。
彼と恋に落ちてから今に至る時間は私にとって何よりも大切な時間となった。
「そうだ、ローザ。ちょっと来てくれないか?」
「えッ、ちょっとどこに?」
「良いから良いから、ついてきてくれればわかるよ?」
そう言ったイツキの後を私は追いかけた。
彼と手を繋いだまま向かった先は私の秘密の場所と言えるだろうと思う。
「……ねぇ、イツキ?」
「んッ、何だい?」
そして、私は彼にこう言ったのだ。
「……大好き、絶対に私を枯らさないでね?」
「ふふッ、分かってるよ……私もローザが大好きだよ」
私と彼はその秘密の場所に入ればそのまま抱きついて唇を重ねた。
私はとある新魔領の近くの森で暮らしていた。
「さてと、今日はどの植物を見ていこうかな?」
私は森の中にある植物を見ては、香りを楽しんだりもした。
気に入った花を見つければそれを植木鉢に入れ家へと持ち帰ったりもした。
今も私はノソノソお森の中を歩いているところだ。
「……おッ、早速発見♪」
家から十分歩いたところにある森の奥にたどり着いた。
そこにあったには小さな紫色の花だった。
「うぅ〜んッ、見たこともない花ね?」
森の奥には立派で大きな木があった。
その木は直径一メートルはあろう大樹だ。
この木の根元には小さな紫の花が一輪ほど咲いているのだ。
「何だかこの花には力強さを感じるわ」
私はその花に手を伸ばした。
しかし、それはできなかった。
何故かと言うと、その花が突然光り出したのだ。
「……な、何よこれッ!?」
私は慌てながらも光る花から少し距離をとった。
花の光が光を増してゆき、私は光に飲み込まれていった。
「な、何なのよ……これはッ!?」
そして私は光に包まれながら意識を手放すのであった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「う、うぅ〜んッ……」
光に包まれた私は目を覚ました。
辺りを見ると私が住んでいた森となんら変わりはない場所だった。
しかし、私は空を見てから首を傾げた。
「……ここは何処よ?」
私は立ち上がり周囲を見渡した。
周囲は木々に多い囲まれているものの足元や空が違うのだ。
足元は人工的に作られたブロックの床、空はガラスの天井。
そして、植物の方に視線を向けた。
「な、何なのよこれはッ!?」
私は木々を見ながら大声を発した。
それもそうだろうと思った。
だって、私が知る木では無く見たこともない植物があちらこちらにあるのだ。
私はそっと植物に恐る恐る触れようとした。
しかし、それは何者かによって阻止された。
「植物に触れるのは此処では禁止だよ?」
「……えッ?」
私は声のした方向を見た。
そこに居たのは青年だった。
しかし、彼の見た目は何処か違った。
黒い髪に茶色の瞳、汚れ一つない白衣の下には黒い服だ。
この青年はどうやら医者なのだろうと思った。
「あ、あのぉ〜……」
「……んッ、何かな?」
私は恐る恐る彼に聞いてみた。
「こ、ここは何処かしら?」
「……はい?」
彼は目を点にしながら私の方を見ていた。
何か変なことを言ったのだろうかと思い、私は首を傾げながら頭の上に「?」を浮かべた。
「質問に答える前に聞きたいことがある」
「……んッ、何かしら?」
「キミは何者なんだ?見たところアウラウネのようだけど……現代の魔物より魔力が高いのだが?」
彼の質問も変わった質問だった。
私は微笑みつつ彼にこう答えた。
「私はローザ。森に住んでいたのだけれど……突然何処かに飛ばされたみたいなの?」
「ふむッ、ローザか……良い名前じゃないか」
「……んなッ!?」
微笑みつつ私に言ってきた彼の言葉に思わず頬を赤らめてしまう。
―何を言ってくるのよこの人間はッ!?―
私は心の中でこう思ったのだ。
私は一つ聞いていなかったものと一緒にこう質問した。
「ね、ねぇ〜ッ……貴方の名前は?」
「あぁ、自己紹介がまだだったね?私の名前は清水一樹(きよみず いつき)だ」
「イツキ……ジパング人かしら」
「ジパング?あぁ、なるほどね……君は図鑑世界の住民なわけだ」
「……えッ?」
彼、今何て言ったかしら?
彼は「図鑑世界の住民」と私に言ってきたのだ。
ここで何かが食い違った。
ここは私が住んでいた場所では無くて、何処か別の世界だということになるのだ。
「そ、それじゃあ……ここは何処なの?」
「その質問の答えはこうなるね?」
彼は腕を組んでから微笑みつつ私に言った。
「此処は日本。平たく言えば人間世界だよ」
「……えッ、えぇぇぇぇぇッ!!」
私は彼の言葉に思わず目を見開いて驚いてしまった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
それから暫くして私は彼、イツキと共に清水植物園という植物を観賞するための施設で一緒に過ごすことになった。
それから一週間と言う時間が過ぎた。
「今日はどの子を見ていけばいいかしら?」
「今日は、花たちの方を見ていこうと思う」
「へぇ〜ッ、そうなの?」
「言っておくけれど、勝手に花を持ち出すことはしないでよ」
「うぐッ、わ、わかってるわよ」
彼と生活をしてゆくうちにこの日本と言う世界のことは大体わかってきた。
彼に「裸で出歩くのはやめてくれ」と言われたので黒のTシャツに白衣を着てから植物園の中を歩いてゆく。
「さぁ、ついたよ?」
「……まぁッ」
彼が温室の扉を開けた先にあったものに思わず両手を口元に添えて驚いた。
此処は私が初めて入るのになぜか懐かしさを感じた。
温室には様々な花壇に植えられて元気に育っている花たち。
そして、見たこともない大きな花を見つけた。
私はその花に顔を近づけたのだ。
「……うッ、何よこれ」
「この花はラフレシアと言う植物だ。強烈な臭いがしたろ?」
「え、えぇッ。こんな花は見たことないわ」
私は彼にそう言ってから微笑んだ。
イツキも私の方を見て微笑み返してきた。
「ね、ねぇ〜ッ、イツキ?」
「どうかしたローザ?」
「私たちっていつ結婚できるかしらね?」
「まぁ、住民権は手に入ったから……もう少し先になるだろうね?」
「もう、またそうやってから話を止める」
私は頬を膨らませながら彼の胸元に顔を埋める。
イツキは微笑みながら私を抱きしめてくれた。
彼と恋に落ちてから今に至る時間は私にとって何よりも大切な時間となった。
「そうだ、ローザ。ちょっと来てくれないか?」
「えッ、ちょっとどこに?」
「良いから良いから、ついてきてくれればわかるよ?」
そう言ったイツキの後を私は追いかけた。
彼と手を繋いだまま向かった先は私の秘密の場所と言えるだろうと思う。
「……ねぇ、イツキ?」
「んッ、何だい?」
そして、私は彼にこう言ったのだ。
「……大好き、絶対に私を枯らさないでね?」
「ふふッ、分かってるよ……私もローザが大好きだよ」
私と彼はその秘密の場所に入ればそのまま抱きついて唇を重ねた。
13/03/06 15:11更新 / オガちゃん
戻る
次へ