恋心のカタチ
私は高校入学と共に初恋をした。
入学して三日目に私は声をかけようとした。
しかし、彼の周りにはたくさんの人だかりができていた。
何度も声をかけようとしても失敗に終わった。
そんなこんながあって今は新年が始まってもう二月の上旬ごろ。
私は通路の壁からそっと覗くかのように何かを見るのだ。
その視線の先に居るのは私の同じクラスの男子生徒だ。
彼はイヤホンで音楽を聴きながら本を読みつつ廊下を歩いていた。
「あぁ……どうしたらこの気持ちは言えるの?」
私は彼が好きなのだけれども告白をする機会が全くなかった。
彼は人魔問わずに良く頼られていたり話しかけられていたりという状況が多く続く中で私はこっそりと見ていることが多いのだ。
私は胸元を片手で握りしめてから壁に背を持たれかける。
「胸が……苦しい……」
私はその場で蹲りつつ俯いた。
彼を思うと私の胸が苦しくなってゆく。
でもこれでいいのかもしれない。
一つ目で青い肌、おまけに無口なこんな私なんて彼は愛してくれないんだ。
どうして私はサイクロプスとして生まれてしまったのかな?
でもお母さんとお父さんには言えない。
私をここまで育ててくれたのに今更こんなことは言えない。
「どうして……こんな醜い魔物に……」
私はその場で体操座りで座ってから膝に顔を埋める。
誰にも泣き顔を見せたくないから…。
私は小さくなりながら泣き始める。
しかし、それは突然止まるのだった。
「こんなところで泣いて……何かあったのか?」
「……えッ?」
私は顔を上げるとそこには彼がポケットに手を突っ込んでから私を見下ろしていた。
私はまた顔を膝に埋める。
「……何でもない」
「何でもなくは無いだろ?……立てるか?」
彼は膝に手を添えてから前かがみになり手を差し出してきた。
私は彼を見上げると彼は微笑む。
「……私に……私に優しくしないでッ!!」
私は彼の手を弾いてから立ち上がり怒りを込めて大声で怒鳴った。
その後に逃げ出すかのように廊下を走っていく。
涙が宙を舞っているが私は全速力で走った。
私は屋上へと階段を走って駆け上がるのだ。
そして、勢いよくスライド式のドアを開けてから大きく屋上へと一歩を踏み出す。
「ハァハァ……うッ……ハァハァ……」
私はその場で膝に手を乗せてから肩で息をする。
これで五度目の屋上への全力疾走だ。
ここは私の好きな場所でもあった。
「ハァハァ……ふぅ〜……」
私は両手を広げてからそのまま後ろに倒れる。
コツンッと頭に痛みが襲ってくるがすぐに消えるのだ。
私の一つしか無い目には無限に広がる大空が映し出されていた。
この空はとても綺麗で私の大好きなものの一つ。
お母さんと一緒に包丁を作るのも好き。
お父さんと一緒に家事をするのも好き。
私の好きはたくさんのものに使われていた。
でも、彼への好きはそれよりも特別だった。
「嫌われた……かな……?仕方ないよね……あぁ、サヨナラ……」
サヨナラ私の初恋よ。
この大空に散りばめられた雲と共に風で飛ばされて欲しいものだ。
あぁ、また涙が溢れてきた。
胸の痛みもさっきの物より激しい痛みを感じた。
「苦しいよ……ひくッ……私じゃあ……貴方の……ぐすッ……うぅ……」
左手で胸元を握って右腕で大きな目から溢れる涙を拭う。
私の心がものすごく泣いているように思えた。
だからこんなにも悲しい涙が大粒となって溢れているのだろうか。
一度でも良いから私は…私はッ!!
「貴方の傍に……居たかった……ううぅッ……」
「だったらそう言ってくれればいいんだよッ!!」
「……えッ?」
「ハァハァ……あぁッ……ハァハァ」
私は体を起こしてから後ろを振り向く。
そこには肩で息をしながら膝に手を置いている彼が居た。
暫くして彼が私の方に歩いてきた。
「……来ないで」
「嫌だと言ったら?」
私が後ろに後ずさると彼は一歩ずつ近づいてくる。
また一歩また一歩と私に近づいてきた。
「来ないでよッ!!」
「……。」
私はフェンスに背をくっつけた瞬間に怖くなった。
大声を出してから両手を前に出してから顔を隠す。
「……俺が嫌いか?」
「ちがう……違うッ!!……そうじゃないの……」
私は首を横に全力で振りながら彼に言った。
彼は私に近寄ってこう言った。
「なら……どうして……」
彼の質問に思わず答えそうになった。
でも、思い切って言ってみよう。
「私は……醜い魔物だから……」
「それだけかい?」
「うぅん……一つ目で青い肌の私なんて……私なんて……」
その場でぺたんと座ってから両手で顔を隠しながら言った。
すると彼は…。
―ぎゅッ―
「……ッ!?」
彼は私を強く抱きしめてきた。
私は驚いてからそのまま両手を顔から離した。
「それが何だっていうんだよ?」
「……えッ?」
彼は私の耳元で小さく呟いてから言ってくれた。
彼はこんなにも私のことを思っていてくれたんだ。
「俺はさ……高校の入学式の時に君を一目見たときからさ……」
「……それって……」
「だからさ……「……待って」……うッ」
彼の口に人差し指を添えてから黙らせる。
そして、私は彼の耳元でこう呟いた。
「好きです、私とお付き合いしてください」
言えた、ようやく言えたんだ。
私は心の中のモヤモヤが消えた感覚に嬉しさを覚えて微笑んでいる。
それを見ていた彼は…。
「結構可愛い笑顔で着るじゃん」
「……あうッ?!」
私の頭の上にはキノコ雲ができた。
彼は「うわッ!?」と言ってから驚いて尻もちをついた。
私は顔を真っ赤にしてから立ち上がって彼を見つめる。
可愛いと言われたのはおそらくはお母さんとお父さんたち以外には彼意外だ。
「へ、返事を……聞いても良い?」
「あ、あぁ……そうだな」
私は彼に手を差し伸べると彼は掴んでから立ち上がった。
「……答え何てわかってるくせに」
「ふふッ……さぁ、何のことかな?」
私は手を後ろで握ってから彼の頬にキスをしてからそのまま横を通り過ぎる。
「……あッ、待ってってッ!?」
「嫌だ……私を泣かした……罰だよ」
「よしッ、わかった……絶対に捕まえてやるからな?」
そう言ってから私と彼の屋上での鬼ごっこが始まった。
彼と晴れて恋人同士になった。
この気持ちは変わることのない恋心のカタチなのだろうと思う。
「ま、待ってくれよッ!!」
私はその場で振り返ってから彼にこう言った。
「大好きだよ」
私は今までに見たこともない一番の笑顔を彼に見せた。
さて、今月はバレンタインだ。
頑張って彼への…恋心のカタチをプレゼントしよう。
私はそれを心の内に秘めてから彼の元へと向かうのであった。
入学して三日目に私は声をかけようとした。
しかし、彼の周りにはたくさんの人だかりができていた。
何度も声をかけようとしても失敗に終わった。
そんなこんながあって今は新年が始まってもう二月の上旬ごろ。
私は通路の壁からそっと覗くかのように何かを見るのだ。
その視線の先に居るのは私の同じクラスの男子生徒だ。
彼はイヤホンで音楽を聴きながら本を読みつつ廊下を歩いていた。
「あぁ……どうしたらこの気持ちは言えるの?」
私は彼が好きなのだけれども告白をする機会が全くなかった。
彼は人魔問わずに良く頼られていたり話しかけられていたりという状況が多く続く中で私はこっそりと見ていることが多いのだ。
私は胸元を片手で握りしめてから壁に背を持たれかける。
「胸が……苦しい……」
私はその場で蹲りつつ俯いた。
彼を思うと私の胸が苦しくなってゆく。
でもこれでいいのかもしれない。
一つ目で青い肌、おまけに無口なこんな私なんて彼は愛してくれないんだ。
どうして私はサイクロプスとして生まれてしまったのかな?
でもお母さんとお父さんには言えない。
私をここまで育ててくれたのに今更こんなことは言えない。
「どうして……こんな醜い魔物に……」
私はその場で体操座りで座ってから膝に顔を埋める。
誰にも泣き顔を見せたくないから…。
私は小さくなりながら泣き始める。
しかし、それは突然止まるのだった。
「こんなところで泣いて……何かあったのか?」
「……えッ?」
私は顔を上げるとそこには彼がポケットに手を突っ込んでから私を見下ろしていた。
私はまた顔を膝に埋める。
「……何でもない」
「何でもなくは無いだろ?……立てるか?」
彼は膝に手を添えてから前かがみになり手を差し出してきた。
私は彼を見上げると彼は微笑む。
「……私に……私に優しくしないでッ!!」
私は彼の手を弾いてから立ち上がり怒りを込めて大声で怒鳴った。
その後に逃げ出すかのように廊下を走っていく。
涙が宙を舞っているが私は全速力で走った。
私は屋上へと階段を走って駆け上がるのだ。
そして、勢いよくスライド式のドアを開けてから大きく屋上へと一歩を踏み出す。
「ハァハァ……うッ……ハァハァ……」
私はその場で膝に手を乗せてから肩で息をする。
これで五度目の屋上への全力疾走だ。
ここは私の好きな場所でもあった。
「ハァハァ……ふぅ〜……」
私は両手を広げてからそのまま後ろに倒れる。
コツンッと頭に痛みが襲ってくるがすぐに消えるのだ。
私の一つしか無い目には無限に広がる大空が映し出されていた。
この空はとても綺麗で私の大好きなものの一つ。
お母さんと一緒に包丁を作るのも好き。
お父さんと一緒に家事をするのも好き。
私の好きはたくさんのものに使われていた。
でも、彼への好きはそれよりも特別だった。
「嫌われた……かな……?仕方ないよね……あぁ、サヨナラ……」
サヨナラ私の初恋よ。
この大空に散りばめられた雲と共に風で飛ばされて欲しいものだ。
あぁ、また涙が溢れてきた。
胸の痛みもさっきの物より激しい痛みを感じた。
「苦しいよ……ひくッ……私じゃあ……貴方の……ぐすッ……うぅ……」
左手で胸元を握って右腕で大きな目から溢れる涙を拭う。
私の心がものすごく泣いているように思えた。
だからこんなにも悲しい涙が大粒となって溢れているのだろうか。
一度でも良いから私は…私はッ!!
「貴方の傍に……居たかった……ううぅッ……」
「だったらそう言ってくれればいいんだよッ!!」
「……えッ?」
「ハァハァ……あぁッ……ハァハァ」
私は体を起こしてから後ろを振り向く。
そこには肩で息をしながら膝に手を置いている彼が居た。
暫くして彼が私の方に歩いてきた。
「……来ないで」
「嫌だと言ったら?」
私が後ろに後ずさると彼は一歩ずつ近づいてくる。
また一歩また一歩と私に近づいてきた。
「来ないでよッ!!」
「……。」
私はフェンスに背をくっつけた瞬間に怖くなった。
大声を出してから両手を前に出してから顔を隠す。
「……俺が嫌いか?」
「ちがう……違うッ!!……そうじゃないの……」
私は首を横に全力で振りながら彼に言った。
彼は私に近寄ってこう言った。
「なら……どうして……」
彼の質問に思わず答えそうになった。
でも、思い切って言ってみよう。
「私は……醜い魔物だから……」
「それだけかい?」
「うぅん……一つ目で青い肌の私なんて……私なんて……」
その場でぺたんと座ってから両手で顔を隠しながら言った。
すると彼は…。
―ぎゅッ―
「……ッ!?」
彼は私を強く抱きしめてきた。
私は驚いてからそのまま両手を顔から離した。
「それが何だっていうんだよ?」
「……えッ?」
彼は私の耳元で小さく呟いてから言ってくれた。
彼はこんなにも私のことを思っていてくれたんだ。
「俺はさ……高校の入学式の時に君を一目見たときからさ……」
「……それって……」
「だからさ……「……待って」……うッ」
彼の口に人差し指を添えてから黙らせる。
そして、私は彼の耳元でこう呟いた。
「好きです、私とお付き合いしてください」
言えた、ようやく言えたんだ。
私は心の中のモヤモヤが消えた感覚に嬉しさを覚えて微笑んでいる。
それを見ていた彼は…。
「結構可愛い笑顔で着るじゃん」
「……あうッ?!」
私の頭の上にはキノコ雲ができた。
彼は「うわッ!?」と言ってから驚いて尻もちをついた。
私は顔を真っ赤にしてから立ち上がって彼を見つめる。
可愛いと言われたのはおそらくはお母さんとお父さんたち以外には彼意外だ。
「へ、返事を……聞いても良い?」
「あ、あぁ……そうだな」
私は彼に手を差し伸べると彼は掴んでから立ち上がった。
「……答え何てわかってるくせに」
「ふふッ……さぁ、何のことかな?」
私は手を後ろで握ってから彼の頬にキスをしてからそのまま横を通り過ぎる。
「……あッ、待ってってッ!?」
「嫌だ……私を泣かした……罰だよ」
「よしッ、わかった……絶対に捕まえてやるからな?」
そう言ってから私と彼の屋上での鬼ごっこが始まった。
彼と晴れて恋人同士になった。
この気持ちは変わることのない恋心のカタチなのだろうと思う。
「ま、待ってくれよッ!!」
私はその場で振り返ってから彼にこう言った。
「大好きだよ」
私は今までに見たこともない一番の笑顔を彼に見せた。
さて、今月はバレンタインだ。
頑張って彼への…恋心のカタチをプレゼントしよう。
私はそれを心の内に秘めてから彼の元へと向かうのであった。
13/02/10 00:53更新 / オガちゃん