連載小説
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4# 二人っきり
俺が一か月後に退院してから三日たつ。
俺と接触事故を起こした小型トラックの運転手は酒気及び運転の罪で捕まったのだと脩也さんに聞いた。
今は、部屋で一人籠ってからベットに横たわっている。

「あぁ〜……暇だ……」

時刻は午前九時を回った頃だろう。
正二郎さんから先ほど連絡があった。

『一週間は休んでから戻ってこい』

正二郎さんも俺の体のことを考えてのことだろうと思い。
俺は、その言葉に甘えて一週間の休みを貰った。
部屋に籠りっきりというのも悪いので部屋を出てからリビングに向かった。
リビングではメイスがソファに座ってからテレビを見ていた。
俺に気づいたメイスは微笑みながら一度頭を下げてきた。

「おはようございます雄介さん」
「あれメイス?小雪さんと脩也さんは??」
「小雪さんは脩也さんと共に研究所で籠るのだと聞いてます」
「そっか……あぁ、退屈だ……」
「そうですね……退屈です」

俺とメイスは苦笑いをしながら話し合った。
脩也さんと小雪さんはどうやら大学にある研究所に籠ると言っていた。
そして、俺はメイスの隣に座り一緒にテレビを視ることにした。
今の時間は報道番組などが多いいので様々な情報が見れる。

「日本も物騒なものですね?」
「そうだな?でも……平和なのには変わらないだろう」
「いえいえ、天界の方がとても……」
「……あッ……」

一瞬メイスの表情が曇ったので俺は気づく。
メイスは天界に住んでいるエンジェルだからいつかは帰らないといけない。
しかし、天界に帰る方法は分からないのだ。
今のメイスは何処か寂しげだった。

「……ごめん」
「いいんです。帰り方を知らない私がいけないんですから……」
「……でも」
「それより朝ご飯まだでしたよね?」
「あぁ、そうだったな」
「何か作ってきますので待ってってください」

メイスは微笑みながらダイニングへと姿を消した。
俺は、一人リビングでテレビを視ることにした。
……ちょっと待ってよ。
小雪さんは朱里さんと一緒に三日間は出かけている。
脩也さんもおそらくは五日間は戻ってこない…となるとだ。
現在、この家では俺とメイスの二人っきりと言うわけだ。
マズイ……俺の心臓の鼓動が早まっているのを感じる。
メイスはエンジェルと言っても女性なわけだ。
男と女が一つ屋根の下と言うのは不味い気がした。

〜暫くお待ちください・・・〜

「お待たせしました」
「おぉ、良い香りがする……」

メイスがダイニングから大きなお盆に朝ご飯を乗せて戻ってきた。
メイスが作ってきた朝ご飯の香りを嗅いだ俺は頬が緩んでいるだろう。
俺は、ソファから降りてから炬燵に足を入れる。

「今日の朝ご飯は鯖の味噌漬けとお味噌汁と白ご飯です」
「へぇ〜……ここまでできるのか?」
「はい、小雪さんの教えが良かったのですよ」
「そうだろうな?」
「えぇ、それでは頂きましょうか?」

俺とメイスは向かい合ってから炬燵に座り朝ご飯を食べてゆく。
鯖の味噌漬けは脩也さんと俺の好物でもある。
まずはそれを一口食べてからじっくりと味を堪能する。

「ど、どうでしょうか?」
「うん、美味しいよッ!!」
「本当ですか?……良かった……」

メイスが微笑みながら喜んでいた。
その表情を見るたんびに俺の心が弾んだ。
可愛かったと言えば間違いないと思う。

「お体の方はどうですか?」
「痛みはするけれど……大した怪我ではなくて良かったよ」
「そうでしたか……朝ご飯を食べ終わったら治癒魔法をかけますね?」
「あぁ、頼むよ」

あのドジッ娘だったメイスはドジでは無くなったのだ。
彼女は俺たちと共に暮らしてゆくうちにしっかりした娘になった。
朝食も食べ終えた俺は上半身だけ裸になり部屋のベットで俯せの状態になっている。
そして、俺のベットに腰かけるメイスは一度深呼吸をしてから言う。

「それでは始めますね?」
「御願いします」

メイスが俺の背中に手を宛がうと彼女の手の周りに緑色の光が集まる。
彼女は、天界に居る先輩エンジェルから治癒魔法を教わったのだと言った。
光が体に触れると寒さを忘れたかの様に暖かさを感じる。
メイスが言うには治癒魔法は術者の感情が現れるのだそうだ。

「終わりました」
「うん、有難うメイス」
「いえいえ、このぐらいはエンジェルとして当たり前です」

彼女は自慢げに胸を張りながら言う。
俺は上体を起こしてから脱いだ服を着ようとした瞬間。

「駄目ですよ雄介さん。新しい服を持ってきますので待っていてください」
「あ、あぁ、うん……」

メイスが俺の服を取ってから部屋を出る。
代わりに用意していたパーカーを羽織らされた。
このパーカーからはメイスの香りがした。
クンクン、うん……良い香りだった。
俺は微笑みながらパーカーの香りを楽しんでいる。
どうみてもただの変態です、有難う御座います。

「雄介さん……戻りました」
「うおぉうッ!?」

メイスが部屋に入ってきたので慌てて俺は匂いを楽しむことを辞める。
それを見たメイスはきょとんとしながら首を傾げながら俺を見ていた。

「どうかなさいました?」
「いやいや、何もないんだ……」
「……んぅッ??」

あははッ、と苦笑いをしながらメイスに言う。
彼女は不思議そうに俺を見つめるのであった。

〜暫くお待ちください・・・〜

午後の三時頃に俺とメイスはソファに座ってから煎餅を食べている。
俺は横目でメイスを見てみる。
彼女の服装は黒のブラウスの下に純白のワンピース姿だった。
しかも、ワンピースの腰の部分からは天使の羽根が出ていた。

「……んッ?私の顔に何かついてますか?」
「あぁ、いやいや、何も……」
「クスクス、変な雄介さん……」

メイスは口に手を添えてから静かに笑う。
俺は恥ずかしさの余りに煎餅を頬張る。

「うッ、ケホケホッ!?」
「だ、大丈夫ですかッ!?」

煎餅を摘めらせた俺の背を数回叩きながら心配してくれるメイス。
用意されていた湯呑に入ったお茶を一気に飲み干してから俺は一息つく。

「ふぅ〜……助かった……」
「もうッ、クスクス……」

お腹を抱えながら微笑むメイスを見ながら俺は口をとがらせる。
すると、彼女は何かに気づいたかのように俺の方を向く。

「雄介さん……そのまま、ジッとしててくださいね?」
「あ、あぁ……」

俺はメイスに言われたとおりにジッとする。
すると、彼女が俺の前に膝たちで俺の髪の毛を触る。
俺の顔の前にはメイスの顔が近づいていた。

「はい、とれまし……」
「……。」

俺とメイスはそのまま見つめ合ってからの沈黙。
メイスの顔がみるみる真っ赤になってからソファに座る。
そう言う俺は顔を真っ赤にしながらそっぽを向く。

「す、すみません……」
「あぁ、いやいや……」

そう言って俺はメイスの方を見る。
彼女は顔を真っ赤にしてから俯いていた。
その顔はどこか嬉しそうな表情だった。
その彼女の笑みを見ていると俺の心臓の鼓動が激しさを増していった。
13/01/28 06:46更新 / オガちゃん
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■作者メッセージ
はいオガちゃんです。
主人公爆せろよって思ってしまった…しゃーないよね?
さてさて…次回はどうなることやら…
ではノシ

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