初詣の惨劇1
――――カランカランッ
今日は新年と言う事で初詣に来ている。
正直、人ごみは嫌いだ。
こんなクソ寒い日にこんな集まるなんて、
風邪を引きに来てるようなものじゃないか。
しかしながら何故俺がここに居るかというと
端的に言えば友人に行こうと言われたからなのだが。
だが待てども待てども友人は来ず、
結局こうやって一人で参詣している。
今年も何事もなく普通に過ごせますよーにー(棒)
あからさまな棒読みで願い事を言った俺は、
早く帰ってコタツにでも入ろうかと後ろを振り向いた時、
ふっと静かになった。急に全ての音が止んだ。
何事かと俺が顔を上げた瞬間。
目の前に足があった。
いや正確には足の裏なのだが、そんなことは些細なことだ。
それが俺の顔面にぶち当た―――突き刺さり、俺は後ろに吹っ飛んだ。
そのまま神社の何神様だか知らないが、
その銅像に空中タックルを決めて、受身も取らず無様に落ちる。
(?)、(??)、(???)
何だ?何が起きたんだ?
いきなり目の前に足があって気づいたら吹っ飛んでて・・・
(うあぁぁぁぁ!!!顔がっ!顔が全力で痛いぃ!!!)
え、ちょっと待って前歯折れて・・・ないよな、よかった・・・
痛みで動転しているのか、蹴られたことよりも顔の傷を気にしていた。
しかしそれも一時のこと。蹴られたんだから蹴ったやつがいるのは当たり前だ。
(誰だ!いきなり蹴りやがった奴はぁ!!)
しかし犯人とうに逃げ去って・・・はいなかった。
どころかちょうど俺が立っていた場所に仁王立ちしている。
そして犯人は言い放った。
「着地成功♪」
それから俺は驚愕の光景を眼にした。
(なん・・・だこれ・・・?)
最初は気づかなかった。
一瞬にして『動物を含む全ての生き物の声が』止んだこと。
あれだけの事があったのに『何故誰も来なかったのか』ということ。
(時が、時間が止まってる・・・?)
「ご名答です♪」
俺が気づいたとき犯人(そいつ)は目の前にいた。
「正解した君にとっておきのプレゼントがありますよ♥」
そんな言葉を言ってきたが、俺の耳には入らなかった。
『綺麗だ』と思った。いや『美しい』か・・・
いやいや、そんな言葉では形容しがたいほど完璧な、
そもそも完璧すぎて人間じみていないような・・・
(って、人間じゃねーーーっ!!!)
遠目では解らなかったが、とがった耳、深い紅の瞳、漆黒の翼と尻尾。そして角。
明らかにコスプレにしては生まれながらの備え付け感が高すぎる。(動いてるじゃん!)
「ちょっと、聞いてますか?」
いいえ聞こえません。全くハイ。
俺はまだまだ長生きしたいんだ。地獄の使者は帰ってくれ!
「ちょ、ちょっと?」
もういい!俺は帰る!俺は帰るぞ!!
車までダッシュして、逃げるように家へ帰った。
急ぐ車の中で思う。
あれは幻覚だったのだろうか?
家に着いた。
急いで玄関に入り、自分のプライベートゾーンを構築する。
さぁて今日はじっくりとゲームを・・・・・
「何をしているのですか?」
ぞっとした。
13/01/04 17:17更新 / 紅逢
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