雨音の中で
「……雲行きが怪しいな」
「……そうね、今にも降ってきそう」
リフォンとミルラナがマシュエットの街を旅立ってからまる１日半ほど過ぎた頃。
二人はカートセリアの街を目指し街道を歩いていた。
辺りはだだっ広い草原になっており、遠くには山々が連なって見える。
その山の向こうから、どす黒い雲が徐々に姿を現していた。
するとすぐに、ぽつ、と二人の顔に水滴が当たる。
「……まずいな、本当に降ってきやがった」
二人は辺りを見回してみるが、あろうことか近くには雨宿りできそうな建物や大きな木もない。
そうこうしているうちに、雨粒は次第に数を増していった。
「……このままじゃ二人ともずぶ濡れになっちまう。ちょっと走るぞ」
「その方がよさそうね。了解よ」
二人は適当な荷物を傘代わりに、駆け出した。
しかし、雨は無慈悲に、どんどん強く二人に降り注ぎ、もはや土砂降りという状態だった。
視界も、道も、どんどん状態が悪くなっていく。
二人は必死に雨宿りできる場所を探し、そしてリフォンが叫んだ。
「ミルラナ！ あそこに何か小屋がある！ あそこで雨宿りさせてもらおう！」
雨の音がうるさく、大声を出さないと相手の声が聞こえない。
「そうね！ そうさせてもらいましょ！」
まるで滝のような豪雨の中、二人はやっとのことでその小屋にたどり着いた。
雨は軒先でしのげるレベルではなくなっていたので、リフォンは小屋のドアを叩きながら叫んだ。
「すみません！ 旅の者ですが、少し雨宿りさせてもらえませんか！？ すみません！！」
返事はない。というか、中から人の気配がしない。
リフォンはドアの取っ手に手をかけると、ドアはきしむ音を立てながら開いた。
二人はおそるおそる小屋の中に入った。
やはり人の気配はなく、中はすっかり荒れ果てていた。
「……空き家、らしいな。……盗賊にでも襲われたのか？」
「単に家主がこの場所を捨てて別の場所に移ったのかもね」
「ともかく助かった。ここでしばらく休ませてもらおう」
「そうね。……っくしっ！」
ミルラナがくしゃみをして身震いする。
二人はすっかりびしょ濡れで、おまけに気温も下がってきていた。
「このままじゃ二人揃って風邪ひいちまうな。濡れた服を乾かさないと」
リフォンはそう言うや否や、さっさと服を脱ぎ始め、半裸になった。
「ちょ、ちょっと！？」
ミルラナが顔を赤くして慌てる。
その様子を見て、リフォンが苦笑する。
「……いや、仕方ないだろ。濡れた服を着てたら、体温を奪われて風邪引いちまう。……ほれ、お前も脱げ。後ろ向いててやるから」
「ふぇっ！？」
「風邪引いたらまずいだろうが。ほら、さっさと脱いだ脱いだ。俺はその間に暖炉に火をつけてみるから」
そう言うと、リフォンはミルラナに背を向け、適当な木切れなどを暖炉に放り込み、火打石を叩き始める。
「……う、うぅ……」
ミルラナは顔を赤くしたまま、観念したように服を脱ぎ始めた。
暖炉の中の炎に照らされ、二人の影が揺らめく。
外は相変わらず土砂降りの雨が降っており、まだ昼過ぎくらいのはずなのに薄暗い。
ミルラナは小屋にあった毛布にくるまっており、リフォンは半裸のまま暖炉の火にあたっていた。
「……リフォン、ごめんね。……寒くないの？」
ミルラナは申し訳なさそうにリフォンに尋ねる。
小屋の中には使えそうな毛布が１枚しかなく、リフォンは当然のようにその毛布をミルラナに譲ったのである。
「大丈夫大丈夫。直火の遠火で暖まってるからな……っくしょぃ！」
そう言った矢先に、リフォンは派手にくしゃみをした。
ミルラナはわずかに逡巡していたが、やがて、覚悟を決めたように、リフォンに声をかけた。
「……リフォン」
「んぁ？」
鼻をすすりながら、リフォンが答える。
「……この毛布、結構大きいから……その、一緒に、入る？」
ミルラナはそう言いながら、毛布の端をわずかに広げる。
ミルラナも今は服を脱いで乾かしている状態であり、毛布の下はほぼ裸である。
「はっ！？ いや、だって、お前、それは……！」
かつてないほどにリフォンが慌てる。
「……一緒に入って、くっついてた方が、その、人肌でも暖まると、思うし……」
消え入りそうな声で、ミルラナは言う。
その顔が赤く染まっていたのは、暖炉の炎に照らされていたから、というだけではないだろう。
「……い、いいの、か？」
ミルラナは小さくこくりと頷いた。
大きめの毛布に、二人でくるまる。
リフォンがミルラナを後ろからすっぽりと抱き抱えるようにして、その上から毛布をまとう。
これが一番効率がいい、と考えた結果だった。
だが、効率がいいということは肌の接触部分が多いということでもあり、かなりきわどい体勢だということに二人ともすぐに気づくことになる。
しかし、今更体勢を変えようとも言いづらく、仮に体勢を変えて横に並ぶようにして毛布を被ると、微妙に毛布の長さが足りないのである。
結果、二人は気まずい沈黙の中、毛布にくるまっていた。
（こうしてみると、リフォンって、大きいんだなぁ……）
リフォンの腕の中にすっぽり収まっている感じがとても心地よい。
（……暖かい。それに、何か不思議な匂い……）
ミルラナはだんだん頭がぼーっとするような心地よい感覚に襲われ、自然と身体や頭をリフォンの身体に擦り付けていた。
「…………」
「……？」
ふと、ミルラナは、リフォンが小声で何かを呟いているのに気づいた。
「……リフォン……？」
「……『森羅万象、万物の一切は流転するもの也。此れ即ち、流れを支配する者は万物を支配する者と心得よ。』『森羅万象、万物の一切は……』」
「…………へ？」
リフォンは堅く目を閉じ、必死に彼の体術の極意（？）を唱えていた。
「……『森羅万象、万物の一切は流転するもの也。此れ即ち、流れを支配する者は万物を支配する者と心得よ。』『森羅万象、万物の一切は……』」
「……あの、リフォン？ ……ど、どうしたの？」
「……情けない話だが」
「？ うん」
「……さっきからお前がくっついてくるせいで、理性が吹っ飛びそうだから、必死に煩悩を振り払っていたんだ」
「……っ！！」
ミルラナはその言葉に、真っ赤になって俯く。
頭がぼーっとして、リフォンに聞こえてしまうのではないかというくらい胸がドキドキする。
そして、ミルラナは。
「……わ、私は……っ」
「……お、おう？」
意を決したように。
その言葉を、口にした。
「……理性が、吹っ飛んでも、構わない、けど……っ」
二人、しばし硬直。
そして。
「……い、いいの、か？」
ごくり、とリフォンが生唾を飲み込む音が聞こえる。
ミルラナは、黙って、頷いた。
少しの沈黙の後、ミルラナは潤んだ目でリフォンの顔を見上げた。
そして。
二人は、ゆっくりと口付けを交わした。
「……ん……っふ……」
長いキスを終え、互いに顔を離す。
「……リフォン……っ」
潤んだ瞳で見つめながら、ミルラナは熱っぽい声でリフォンの名を呼ぶ。
もはやリフォンは自分を抑えることができず、毛布の上にミルラナを押し倒し、そして再度彼女に口付けた。
「んっ……ん、ちゅ……ん、ふぅっ、ちゅ……」
何度もついばむようなキスから、次第に深いキスへ。
互いに舌を絡ませ、舐めあう。
互いの唾液を舐めとり、味わう。
「ちゅっ……ん、……れろっ……じゅ……」
長く情熱的なキスを終え、リフォンはゆっくりと顔を離す。
二人の唇の間に、銀色の橋が一瞬かかり、そして消えた。
「……っ、はぁっ、はぁっ……リ、フォン……っ」
当然ながらミルラナは既に裸だった。
あまり大きいとは言えないが、手ごろな大きさの彼女の胸の先端は、寒さのせいもあってか、すでにピンと立っていた。
「……触るぞ」
「……うん。あんまり大きくないから、面白くないかもしれないけど……」
「……そんなことないさ。可愛いよ」
「可愛い、って、そんな……っ、んっ……！」
リフォンの手が、優しくミルラナの胸を包む。
彼女の胸は、大きなリフォンの掌にすっぽりと収まるサイズだった。
リフォンはおそるおそるミルラナの胸を揉みしだく。
ピンと立った先端がリフォンの掌にこすれ、ミルラナの身体に電流のような快感が走る。
「ひゃあんっ！？」
「うわっ、ごめん！ どこか、痛かったか！？」
慌てて手を離すリフォンに、ミルラナはふるふると首を振る。
「ち、違うの。その、ちょっと、びっくりして……」
「そ、そうか。すまん。もうちょっとゆっくり触るな」
「う、うん……」
リフォンは改めて、ミルラナの胸をゆっくりと揉みしだく。
リフォンが指に力を入れると、ミルラナの程よい大きさの胸は柔らかく形を変え、その度にミルラナの口から甘い吐息が漏れる。
「……んぁっ……んっ……くふっ……！」
リフォンは手で胸を揉むのをやめ、彼女の胸にそっと舌を這わせた。
「んんっ……！？ んくぅっ……ひゃんっ……！」
白い丘陵を登るようにゆっくりと舌を這わせ、そして頂上の突起を舌で弾くように舐める。
「ひゃああぁっ！！」
ミルラナの身体が、びくん、と跳ねた。
「……乳首、弱いんだな」
「……そっ、そんな、ことっ……、あっ、んああっ！！」
リフォンは乳首を重点的に舐め回し、舌で弾き、甘噛みする。
その度に、ミルラナの身体を電流のような快感が貫き、ミルラナの身体は何度も跳ねた。
「……っ、はぁっ、はぁっ……！」
「……ミルラナ、そろそろ、入れて、いいか……？」
リフォンが尋ねると、ミルラナは微笑みながら頷いた。
「……うん。来てぇ……」
リフォンはもう一度ミルラナに軽く口付けると、完全に膨張した自分の逸物を、そっとミルラナの秘所にあてがった。
既に、ミルラナの秘所はとろとろに濡れている。
リフォンは、ぐっ、と腰を進め、彼女の中に進入していった。
「く、うっ……！」
「ん、ふぁあああっ！！」
リフォンの逸物が、ミルラナの中に完全に飲み込まれる。
「……全部、入ったぞ……。ミルラナ、大丈夫か？」
「……私なら、大丈夫だから、動いて、いいよ……っ」
リフォンはゆっくりと腰を引き、そしてまたゆっくりと深く挿入していく。
ミルラナの中は狭く、リフォンが動くたびにきゅんきゅんとリフォンの逸物を締め付ける。
結合部からはくちゅ、ぐちゅ、と淫靡な水音が聞こえ、ミルラナも甘いあえぎ声を上げる。
「んっ、あんっ、あっ、ぅあっ、やっ、あんっ！」
狭い小屋の中に、暖炉の火が爆ぜる音と、ミルラナの嬌声が響く。
不意に、ミルラナの瞳から涙がこぼれた。
「……っ、ミルラナ？ どうした？ 痛いのか？」
ミルラナはふるふると首を振る。
「……リフォン、ごめんね、私、初めてじゃ、なくて……っ」
リフォンは、それを聞いてふっと笑う。
「……正直、悔しいのは否定できないけど、これからは俺専用、だろ？ それでいいさ」
「……うん、うん……っ！」
ミルラナは何度も頷く。
リフォンはそんな彼女に軽く口付けると、再び腰を動かし始めた。
リフォンが腰を動かすたび、ミルラナの胸がそれに合わせて弾むように揺れる。
「あっ、あっ、はっ、ぅあっ、はぁっ、あんっ、あぁっ！」
「……っ、ミルラナ、すまん、そろそろ、限界……っ！」
「はぁっ、あっ、うんっ、っ、私もっ、んっ、もうっ、イきそうっ、ぁんっ、だからっ、そのままっ、んっ、出してっ……！」
ミルラナがそう言うのと同時に、リフォンの動きが速くなり、ミルラナを襲う快感もどんどん強くなってくる。
「……っ、はぁっ、ミルラナっ、ミルラナ……っ！！」
「あっ、あぁっ、リフォンっ、リフォンっ……！！」
互いに愛しい相手の名前を何度も呼びながら、絶頂に向けて高まっていく。
「…っ、くっ、ミルラナっ、もうっ、射精るっ……！」
「あっ、あっ、私も、もう、イくぅっ…！！」
ミルラナは両手両足でリフォンにしっかりと抱きつき、リフォンも腰を激しくミルラナに叩きつける。
そして。
「く、うああぁっ……！！」
「あっ、あああああああああああぁぁぁっ！！」
二人は同時に達し、リフォンはミルラナの中に大量の精液を注ぎ込んだ。
「あ、はぁっ……♪ お腹の中、熱い……っ♪」
リフォンは息を荒げながら、逸物をミルラナから引き抜こうとする。
だが、ミルラナは抱きつく手足に力を込めてそれを制する。
「……もう少し、このままで……♪」
「……ミルラナ……」
とろんと蕩けた表情で、ミルラナはリフォンに囁く。
射精したばかりだというのに、ミルラナの中でリフォンの逸物が再び膨張していった。
「……あ……、リフォンの、中でまた大きくなった……♪」
ミルラナはとろんとした表情のまま、嬉しそうに微笑む。
「……このまま、もう一回、しよ……♪」
ミルラナがリフォンの耳元をくすぐるように囁く。
二人は口付けを交わすと、そのまま再び交わり始めた……。
・・・・・・・・・・・・
「……ぅ、ん……」
朝の日差しを浴びて、ミルラナは目を覚ます。雨はすっかり上がっており、空は晴れ渡っていた。
隣では、リフォンがミルラナを抱きかかえるようにして眠っていた。
ミルラナは昨夜の情事を思い出し、顔を赤らめる。
その後、二人は何度も交わり、そのまま力尽きて眠ってしまったらしい。
ミルラナはリフォンの寝顔を見て微笑むと、そっと彼に擦り寄った。
リフォンは小さく身じろぎをすると、ゆっくりと目を覚ます。
ミルラナは、彼に擦り寄るようにしながら微笑みかけた。
「……おはよう」
「……ああ。おはよう」
リフォンもミルラナに微笑み返し、そして今の状況が照れくさくなったのか、顔を赤らめる。
そんなリフォンに、ミルラナは幸せそうにしがみついた。
「……もう少し、このまま……」
「……ああ」
二人はそれからしばらくの間、裸で抱き合っていたのだった……。
「……そうね、今にも降ってきそう」
リフォンとミルラナがマシュエットの街を旅立ってからまる１日半ほど過ぎた頃。
二人はカートセリアの街を目指し街道を歩いていた。
辺りはだだっ広い草原になっており、遠くには山々が連なって見える。
その山の向こうから、どす黒い雲が徐々に姿を現していた。
するとすぐに、ぽつ、と二人の顔に水滴が当たる。
「……まずいな、本当に降ってきやがった」
二人は辺りを見回してみるが、あろうことか近くには雨宿りできそうな建物や大きな木もない。
そうこうしているうちに、雨粒は次第に数を増していった。
「……このままじゃ二人ともずぶ濡れになっちまう。ちょっと走るぞ」
「その方がよさそうね。了解よ」
二人は適当な荷物を傘代わりに、駆け出した。
しかし、雨は無慈悲に、どんどん強く二人に降り注ぎ、もはや土砂降りという状態だった。
視界も、道も、どんどん状態が悪くなっていく。
二人は必死に雨宿りできる場所を探し、そしてリフォンが叫んだ。
「ミルラナ！ あそこに何か小屋がある！ あそこで雨宿りさせてもらおう！」
雨の音がうるさく、大声を出さないと相手の声が聞こえない。
「そうね！ そうさせてもらいましょ！」
まるで滝のような豪雨の中、二人はやっとのことでその小屋にたどり着いた。
雨は軒先でしのげるレベルではなくなっていたので、リフォンは小屋のドアを叩きながら叫んだ。
「すみません！ 旅の者ですが、少し雨宿りさせてもらえませんか！？ すみません！！」
返事はない。というか、中から人の気配がしない。
リフォンはドアの取っ手に手をかけると、ドアはきしむ音を立てながら開いた。
二人はおそるおそる小屋の中に入った。
やはり人の気配はなく、中はすっかり荒れ果てていた。
「……空き家、らしいな。……盗賊にでも襲われたのか？」
「単に家主がこの場所を捨てて別の場所に移ったのかもね」
「ともかく助かった。ここでしばらく休ませてもらおう」
「そうね。……っくしっ！」
ミルラナがくしゃみをして身震いする。
二人はすっかりびしょ濡れで、おまけに気温も下がってきていた。
「このままじゃ二人揃って風邪ひいちまうな。濡れた服を乾かさないと」
リフォンはそう言うや否や、さっさと服を脱ぎ始め、半裸になった。
「ちょ、ちょっと！？」
ミルラナが顔を赤くして慌てる。
その様子を見て、リフォンが苦笑する。
「……いや、仕方ないだろ。濡れた服を着てたら、体温を奪われて風邪引いちまう。……ほれ、お前も脱げ。後ろ向いててやるから」
「ふぇっ！？」
「風邪引いたらまずいだろうが。ほら、さっさと脱いだ脱いだ。俺はその間に暖炉に火をつけてみるから」
そう言うと、リフォンはミルラナに背を向け、適当な木切れなどを暖炉に放り込み、火打石を叩き始める。
「……う、うぅ……」
ミルラナは顔を赤くしたまま、観念したように服を脱ぎ始めた。
暖炉の中の炎に照らされ、二人の影が揺らめく。
外は相変わらず土砂降りの雨が降っており、まだ昼過ぎくらいのはずなのに薄暗い。
ミルラナは小屋にあった毛布にくるまっており、リフォンは半裸のまま暖炉の火にあたっていた。
「……リフォン、ごめんね。……寒くないの？」
ミルラナは申し訳なさそうにリフォンに尋ねる。
小屋の中には使えそうな毛布が１枚しかなく、リフォンは当然のようにその毛布をミルラナに譲ったのである。
「大丈夫大丈夫。直火の遠火で暖まってるからな……っくしょぃ！」
そう言った矢先に、リフォンは派手にくしゃみをした。
ミルラナはわずかに逡巡していたが、やがて、覚悟を決めたように、リフォンに声をかけた。
「……リフォン」
「んぁ？」
鼻をすすりながら、リフォンが答える。
「……この毛布、結構大きいから……その、一緒に、入る？」
ミルラナはそう言いながら、毛布の端をわずかに広げる。
ミルラナも今は服を脱いで乾かしている状態であり、毛布の下はほぼ裸である。
「はっ！？ いや、だって、お前、それは……！」
かつてないほどにリフォンが慌てる。
「……一緒に入って、くっついてた方が、その、人肌でも暖まると、思うし……」
消え入りそうな声で、ミルラナは言う。
その顔が赤く染まっていたのは、暖炉の炎に照らされていたから、というだけではないだろう。
「……い、いいの、か？」
ミルラナは小さくこくりと頷いた。
大きめの毛布に、二人でくるまる。
リフォンがミルラナを後ろからすっぽりと抱き抱えるようにして、その上から毛布をまとう。
これが一番効率がいい、と考えた結果だった。
だが、効率がいいということは肌の接触部分が多いということでもあり、かなりきわどい体勢だということに二人ともすぐに気づくことになる。
しかし、今更体勢を変えようとも言いづらく、仮に体勢を変えて横に並ぶようにして毛布を被ると、微妙に毛布の長さが足りないのである。
結果、二人は気まずい沈黙の中、毛布にくるまっていた。
（こうしてみると、リフォンって、大きいんだなぁ……）
リフォンの腕の中にすっぽり収まっている感じがとても心地よい。
（……暖かい。それに、何か不思議な匂い……）
ミルラナはだんだん頭がぼーっとするような心地よい感覚に襲われ、自然と身体や頭をリフォンの身体に擦り付けていた。
「…………」
「……？」
ふと、ミルラナは、リフォンが小声で何かを呟いているのに気づいた。
「……リフォン……？」
「……『森羅万象、万物の一切は流転するもの也。此れ即ち、流れを支配する者は万物を支配する者と心得よ。』『森羅万象、万物の一切は……』」
「…………へ？」
リフォンは堅く目を閉じ、必死に彼の体術の極意（？）を唱えていた。
「……『森羅万象、万物の一切は流転するもの也。此れ即ち、流れを支配する者は万物を支配する者と心得よ。』『森羅万象、万物の一切は……』」
「……あの、リフォン？ ……ど、どうしたの？」
「……情けない話だが」
「？ うん」
「……さっきからお前がくっついてくるせいで、理性が吹っ飛びそうだから、必死に煩悩を振り払っていたんだ」
「……っ！！」
ミルラナはその言葉に、真っ赤になって俯く。
頭がぼーっとして、リフォンに聞こえてしまうのではないかというくらい胸がドキドキする。
そして、ミルラナは。
「……わ、私は……っ」
「……お、おう？」
意を決したように。
その言葉を、口にした。
「……理性が、吹っ飛んでも、構わない、けど……っ」
二人、しばし硬直。
そして。
「……い、いいの、か？」
ごくり、とリフォンが生唾を飲み込む音が聞こえる。
ミルラナは、黙って、頷いた。
少しの沈黙の後、ミルラナは潤んだ目でリフォンの顔を見上げた。
そして。
二人は、ゆっくりと口付けを交わした。
「……ん……っふ……」
長いキスを終え、互いに顔を離す。
「……リフォン……っ」
潤んだ瞳で見つめながら、ミルラナは熱っぽい声でリフォンの名を呼ぶ。
もはやリフォンは自分を抑えることができず、毛布の上にミルラナを押し倒し、そして再度彼女に口付けた。
「んっ……ん、ちゅ……ん、ふぅっ、ちゅ……」
何度もついばむようなキスから、次第に深いキスへ。
互いに舌を絡ませ、舐めあう。
互いの唾液を舐めとり、味わう。
「ちゅっ……ん、……れろっ……じゅ……」
長く情熱的なキスを終え、リフォンはゆっくりと顔を離す。
二人の唇の間に、銀色の橋が一瞬かかり、そして消えた。
「……っ、はぁっ、はぁっ……リ、フォン……っ」
当然ながらミルラナは既に裸だった。
あまり大きいとは言えないが、手ごろな大きさの彼女の胸の先端は、寒さのせいもあってか、すでにピンと立っていた。
「……触るぞ」
「……うん。あんまり大きくないから、面白くないかもしれないけど……」
「……そんなことないさ。可愛いよ」
「可愛い、って、そんな……っ、んっ……！」
リフォンの手が、優しくミルラナの胸を包む。
彼女の胸は、大きなリフォンの掌にすっぽりと収まるサイズだった。
リフォンはおそるおそるミルラナの胸を揉みしだく。
ピンと立った先端がリフォンの掌にこすれ、ミルラナの身体に電流のような快感が走る。
「ひゃあんっ！？」
「うわっ、ごめん！ どこか、痛かったか！？」
慌てて手を離すリフォンに、ミルラナはふるふると首を振る。
「ち、違うの。その、ちょっと、びっくりして……」
「そ、そうか。すまん。もうちょっとゆっくり触るな」
「う、うん……」
リフォンは改めて、ミルラナの胸をゆっくりと揉みしだく。
リフォンが指に力を入れると、ミルラナの程よい大きさの胸は柔らかく形を変え、その度にミルラナの口から甘い吐息が漏れる。
「……んぁっ……んっ……くふっ……！」
リフォンは手で胸を揉むのをやめ、彼女の胸にそっと舌を這わせた。
「んんっ……！？ んくぅっ……ひゃんっ……！」
白い丘陵を登るようにゆっくりと舌を這わせ、そして頂上の突起を舌で弾くように舐める。
「ひゃああぁっ！！」
ミルラナの身体が、びくん、と跳ねた。
「……乳首、弱いんだな」
「……そっ、そんな、ことっ……、あっ、んああっ！！」
リフォンは乳首を重点的に舐め回し、舌で弾き、甘噛みする。
その度に、ミルラナの身体を電流のような快感が貫き、ミルラナの身体は何度も跳ねた。
「……っ、はぁっ、はぁっ……！」
「……ミルラナ、そろそろ、入れて、いいか……？」
リフォンが尋ねると、ミルラナは微笑みながら頷いた。
「……うん。来てぇ……」
リフォンはもう一度ミルラナに軽く口付けると、完全に膨張した自分の逸物を、そっとミルラナの秘所にあてがった。
既に、ミルラナの秘所はとろとろに濡れている。
リフォンは、ぐっ、と腰を進め、彼女の中に進入していった。
「く、うっ……！」
「ん、ふぁあああっ！！」
リフォンの逸物が、ミルラナの中に完全に飲み込まれる。
「……全部、入ったぞ……。ミルラナ、大丈夫か？」
「……私なら、大丈夫だから、動いて、いいよ……っ」
リフォンはゆっくりと腰を引き、そしてまたゆっくりと深く挿入していく。
ミルラナの中は狭く、リフォンが動くたびにきゅんきゅんとリフォンの逸物を締め付ける。
結合部からはくちゅ、ぐちゅ、と淫靡な水音が聞こえ、ミルラナも甘いあえぎ声を上げる。
「んっ、あんっ、あっ、ぅあっ、やっ、あんっ！」
狭い小屋の中に、暖炉の火が爆ぜる音と、ミルラナの嬌声が響く。
不意に、ミルラナの瞳から涙がこぼれた。
「……っ、ミルラナ？ どうした？ 痛いのか？」
ミルラナはふるふると首を振る。
「……リフォン、ごめんね、私、初めてじゃ、なくて……っ」
リフォンは、それを聞いてふっと笑う。
「……正直、悔しいのは否定できないけど、これからは俺専用、だろ？ それでいいさ」
「……うん、うん……っ！」
ミルラナは何度も頷く。
リフォンはそんな彼女に軽く口付けると、再び腰を動かし始めた。
リフォンが腰を動かすたび、ミルラナの胸がそれに合わせて弾むように揺れる。
「あっ、あっ、はっ、ぅあっ、はぁっ、あんっ、あぁっ！」
「……っ、ミルラナ、すまん、そろそろ、限界……っ！」
「はぁっ、あっ、うんっ、っ、私もっ、んっ、もうっ、イきそうっ、ぁんっ、だからっ、そのままっ、んっ、出してっ……！」
ミルラナがそう言うのと同時に、リフォンの動きが速くなり、ミルラナを襲う快感もどんどん強くなってくる。
「……っ、はぁっ、ミルラナっ、ミルラナ……っ！！」
「あっ、あぁっ、リフォンっ、リフォンっ……！！」
互いに愛しい相手の名前を何度も呼びながら、絶頂に向けて高まっていく。
「…っ、くっ、ミルラナっ、もうっ、射精るっ……！」
「あっ、あっ、私も、もう、イくぅっ…！！」
ミルラナは両手両足でリフォンにしっかりと抱きつき、リフォンも腰を激しくミルラナに叩きつける。
そして。
「く、うああぁっ……！！」
「あっ、あああああああああああぁぁぁっ！！」
二人は同時に達し、リフォンはミルラナの中に大量の精液を注ぎ込んだ。
「あ、はぁっ……♪ お腹の中、熱い……っ♪」
リフォンは息を荒げながら、逸物をミルラナから引き抜こうとする。
だが、ミルラナは抱きつく手足に力を込めてそれを制する。
「……もう少し、このままで……♪」
「……ミルラナ……」
とろんと蕩けた表情で、ミルラナはリフォンに囁く。
射精したばかりだというのに、ミルラナの中でリフォンの逸物が再び膨張していった。
「……あ……、リフォンの、中でまた大きくなった……♪」
ミルラナはとろんとした表情のまま、嬉しそうに微笑む。
「……このまま、もう一回、しよ……♪」
ミルラナがリフォンの耳元をくすぐるように囁く。
二人は口付けを交わすと、そのまま再び交わり始めた……。
・・・・・・・・・・・・
「……ぅ、ん……」
朝の日差しを浴びて、ミルラナは目を覚ます。雨はすっかり上がっており、空は晴れ渡っていた。
隣では、リフォンがミルラナを抱きかかえるようにして眠っていた。
ミルラナは昨夜の情事を思い出し、顔を赤らめる。
その後、二人は何度も交わり、そのまま力尽きて眠ってしまったらしい。
ミルラナはリフォンの寝顔を見て微笑むと、そっと彼に擦り寄った。
リフォンは小さく身じろぎをすると、ゆっくりと目を覚ます。
ミルラナは、彼に擦り寄るようにしながら微笑みかけた。
「……おはよう」
「……ああ。おはよう」
リフォンもミルラナに微笑み返し、そして今の状況が照れくさくなったのか、顔を赤らめる。
そんなリフォンに、ミルラナは幸せそうにしがみついた。
「……もう少し、このまま……」
「……ああ」
二人はそれからしばらくの間、裸で抱き合っていたのだった……。
13/04/08 20:06更新 / クニヒコ
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