借金も計画的に。
大藤琴乃葉（オオフジ・コノハ）を知っているだろうか。
成績優秀な事はもとより、何より彼女を引き立てるのはその愛らしさにある。
焦げ茶色の癖毛を纏めるように留めた葉っぱ型のピンも可愛らしいし。
その琥珀色の瞳には、引き込まれるような錯覚さえ覚えてしまう。
ちょっとハスキーな声には落ち着きが見えて、それもまた彼女の良い所なのだ。
156と言う身長も相成って、なお可愛らしさを引き立てる。
そして人間からかけ離れた美貌や、仕草や、不意に見せる笑み等、彼女は隠れた人気者だ。
さて、今の発言でお気付きだろうか。
何故そこまで可愛らしいと評判の彼女が、隠れた人気者なのか。
普通なら表立って可愛いとでも言って、あわよくばお近づきになりたいだろう。
少なくとも、男子ならだれでも思ったハズだ。
俺だってそうだったんだし。
だが、そうは言ってられない理由がある。
それがどんな理由であるにしろ、これだけは破る事はしたくない。
少なくとも、この富士居学園（フジオリ学園）に実験的に入学出来た50人の男子はそう思うハズだ。
だって、女の子の多い学校なんだぜ？ 退学したくは、無いだろう？
でも、嗚呼。
恋愛禁止だなんて、思いもしなかったよ。
手に握ったON-OFFを切り替える為のリモコンをかちゃかちゃと弄びながら、そう思った。
さて、ここは定文系で始めよう。
黒瀬英次。16歳、童貞。
恋愛に憧れた青年のお話は、此処から始まるのだ、と。
※
夏も間近に迫る、ある日の出来事だった。
創立記念日で学校は休みだし、家にいるのもつまらない。
そんな思いで、俺…黒瀬英次は買い物に出掛けていた。
買いたい物は、本とか…ペンとか？ まあ、何でも良い。
だから先ずはフードコートで軽く食事を済ませ、その後で本屋に行き、文庫本を二冊程購入。
これは家に帰ってからの楽しみだ。
そして、次に買うのは…服。
良く考えたら、毎日学校では制服。家では寝間着と言う格好だし、何よりもう夏になる。
新しい半袖や半ズボンが欲しいのだ。
なので、服売場へ直行。
安売りのシャツやパンツ等もついでに買おう。
と、思いかれこれ三十分は経っただろうか。
幾ら服を買おうと、似合わなければ買う意味はない。
そう思って試着室に向かい、シャっ、と音を立ててカーテンを開ける。
で、硬直。
なんで？ そう思った人も居るだろう。
だから説明する。…いや、誰に説明するんだろう。
……。まあ、いいか。
兎に角、俺は固まった。
何故ならそこに、半裸の大藤さんが居たからだ。
いやしかし、待てよ自分。
幾ら半裸でも、いやいや、幾らってなんだ？ そこに半裸の可愛い子が居るなら俺はもうバーニングファイアーとか何とか。
いやいや、ちょっと待とうか。
え？ あれ、なんでここに彼女が？
というか肌綺麗だなぁ。すべすべしてそうだ。
とか、あの丸っこい三角形の耳、モフモフしてんなぁ…と…か……？
え!? ナニあの耳!?
というか尻尾とか脚周りの毛とかちょっと待て待て待て待て…。
混乱する俺をよそに、彼女は別段気にする様子もなく、それどころか俺の手首を掴み…。
…シャっ。
その狭い個室に、連れ込むのだった。
…って。
えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?!?!?!?!?!?!?
混乱。または、狂乱。狂喜乱舞的な？
ていうかこの狭い個室に、大藤と二人きり!?
ちょっ、ナニこれ、えっ!?
そんな俺を見て、小さく笑んだ彼女は、口を開く。
「…ふむ。似合わないのかな。感想すら言われないとなると、少しショックかな」
伏せ目がちに此方を見据えながら、不満げに物申す大藤。
が。
その下着と肌色面積の多いそれに感想を言えと！？
ならば敢えて叫ぼう！ スンマセン脳内保存しましたぁぁぁぁあぁぁぁぁ！
、と。
いや、勿論口にだせる訳が無い。
圧倒的に、勇気が足りない。
だから俺はと言うと、「いや…その耳…可愛いね」としどろもどろに言うしか出来なかった。
それを聞いた彼女は、男ならぶっ倒れそうな程可愛らしい笑顔を浮かべて、
「ありがと。じゃ」
と言い。
シャっ。…トン。シャっ。
カーテンを開け、俺を外に。そしてまたカーテンを閉める。
…そこで俺の一時の安らぎと言うか日々の興奮剤になるであろう出来事は終わりを迎え…。
シャっ。
「…待った？」
なかった！？ え！？ まじっすか！？
「あ、いや、全然！」
…余りの嬉しさに、ハキハキと答えてしまうが。
「それじゃ、これ…買ってくれるかな？」
という台詞と共に、夢心地は覚めてしまった。
いや、寧ろ覚醒したと言うべきか。
何故なら彼女が手渡してきたその温かな布は。
小さな布切れは。
うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ脱ぎたてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ！！
その脳内叫びが聞こえない彼女はどう思ったのか、口を開く。
「私の裸同然の姿、見たんだから…ね？」
にっこり。またしてもぶっ倒れそうな程の笑顔を見せて、俺をレジへと誘うのだった。
お会計、一万八千七百円になります♪
その値段は、大藤がさり気なくレジに出した衣類のせいである事は容易に分かるだろう…。
ああ、俺は自分の服買えないのね…。
※
所変わって、ここはフードコート。
なんでまた来てんの？ という質問をされる前に答えよう。
あの後別れるかと思いきや、彼女は俺の手を引いて此処までやって来たのだった。
因みに彼女の耳や尻尾は、どういう原理か今は存在を確認出来ない。
そしてその彼女…大藤は、何の違和感もないかのように俺の金でロコモコ定食を頼み、幸せそうに咀嚼している。
因みにドリンクはタピオカブルーとか言う、タピオカ入りのグレープジュース。
ロコモコ定食は980円。タピオカブルーは320円と、合計1300円。
俺の財布の中は、もう残金一万二千しかない…。
が、大藤が笑顔になるならそれもありかなぁ…なんて思うので文句は言わないけども。
「…んん、ここのロコモコ定食は美味しいんだよね。フードコートにしては」
にこにこ。もぐもぐ。…ごっくん。ぷはぁ〜。
見ているだけでも清々しい食べっぷりだ。
ぶっちゃけ、食事中の笑顔が一番可愛いと思う。眼福眼福。
そんな大藤を見つめていると、色々思う事もあるわけでして。
さっき試着室で見た時より胸デカくないか、とか。
肌白かったなぁ、とか。
後はあの耳触りたかったなぁ、尻尾ももふもふしたいなぁ、とか。
と、かれこれ十五分ぐらい経ったかな？
「ご馳走様。ありがと、黒瀬」
「いやいや、どういたしまして」
という会話の通り、食べ終わったみたいだった。
案外食べるの早いなぁ、とか思いながら、ちょっと思った事を口にする。
「所で、なんで俺に払わせてるのかな？」
ちょっとお財布が悲鳴をあげてます、はい。
そんな質問に彼女が答えたのは、
「…ああ、えーと。お財布無くしたから…じゃ、なくてっ！ 黒瀬が私の試着覗いたから、そのお詫びに黒瀬が払ってるのです」
(｀･ω･´)どや。
いや、ドヤ顔されましても。
というか財布無くしたのね。それで俺をカモにしたと。
だが、それでも良い。
可愛かったし。
分かるだろ？ 可愛いは、唯一不動の正義なんだよ。
つまりは、このデート気分の見返りに諭吉さんや小銭の皆さんが旅だっただけなのだ。
別に後悔も未練もない。ありがとう財布の中の住民よ。
だが、これ以上財布の中身を危険に晒すのも危ないので、この辺でお暇しようかな。
そう思い、「そっか。…まあ、飯も食べたし、そろそろ帰るわ」
と、大藤に告げる。
が。
「ん？ じゃあ御一緒しまする」
(｀･ω･´)キリっ
ドヤ顔と変わんないよ！
と、言う感想よりも。
ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ！？！？！？！？！？
という感想が上回っていたことは、言うまでもないだろうか。
※
どっきん、どっきん。
心臓の音が、やけに大きく聞こえる。
そりゃもううるさい位に。
だが、それも仕方がない。だって、彼女居ない歴＝年齢の俺の家に。
家賃二万のボロアパートに。
しかもベッドの上でごろごろと…！
憧れの女の子が居るんだから…！
「あー、えーと…大藤…？」
返事は無い。人の枕に顔をうずめて、ただゴロゴロ転がっているだけ。
何が楽しいんだ。
何が楽しくてそんな事してるんだ。
そして何より。
俺もうあの枕抱いて寝るわ。抱きしめて寝るわ。痛いぐらいに！
因みに大藤の耳やら尻尾やらは今、完全に出現している。
あれは隠す気が皆無なんだろうか？ そうなんだろうか？
…そうだと良いな。 なんか和む…。
が、相変わらず心臓は爆音を奏で、毎晩御世話になっている布団を占拠した焦げ茶色のもふもふが気になってしかたない。
どうしよう、撫でたいよあれ…。
あのゆらゆら揺れる尻尾撫で回したいよ…。
太もも周りのもふもふももふもふしたいお…！
ピコピコしてる耳も触りてぇんだァ！
…と、既に理性が決壊し始めている。
だからヘッドホンを装置して、最大音量で約束の場所を聴く事にした。
静まれ…、静まれ、俺の理性よ……！！
まあ、多分寝ちゃうんだろうけどさ、俺…。
※
…まあ、予告通り寝てしまった訳ですが。
それはどうやらもふもふさんも同じようで、小さな寝息を立てていらっしゃる。
…『おいこれもふもふ出来んじゃね？』
…黙れ俺の頭ん中！ 止めろぉ！ 止めろショッ○ー！ …なんか違うな。
まあいいか。
ショッカーもＺＥＫＵＴＯも未確認なんたらさんでも何でも良いよな、うん。
そう思い、時計を見ると…七時半…過ぎ。
あ、やっべえ大藤家帰らなくて大丈夫かなとか、夜飯作らないとという意志が働いたのだが、せっかく寝ている大藤を起こす訳にも行かないので、夜飯作成に取り掛かりたいと思います。
思ったら即行動。
先ずは冷蔵庫にしまっていた鶏肉を取り出します。
皮だけ包丁で剥ぎ取ります。
鍋に水、醤油、砂糖、塩、お酢などを加え、沸騰するまで放置。
その間に、皮を剥いだ鶏肉を一口サイズに切りましょう。
鍋の水が沸騰したら、そこに剥ぎ取った皮を入れて約1分放置。
一分経ったら取り出して、小さく切り分けます。
それを小皿にいれ、ポン酢と適当に葉野菜を突っ込んで完成。
残った汁と切り分けた鶏肉で（割愛）
「…ふぅ…完成…」
説明がめんどくさいので割愛したが、作ったのは鳥皮ポン酢と親子丼である。
ぶっちゃけかなり自信がある事は確かで、念のために大藤の分も作っているのだが。
「…起きない、なぁ…」
すー…ぴー…すー…ぴー。
ちょっと可笑しいけど、可愛らしい寝息。
やっぱり時間の事もあるし、起こした方が…。
そう思い、近づく。そして、声を掛けるも反応が無いので軽く揺すってみる。
「んや…毬藻は…んにゃんにゃんにゃ………」
毬藻がどうしたんですか。可愛らしい寝言だ事…！
さらに、頬をツツく。
「…ばると…ふぇると…しゃん…」
それはあれですか。砂漠の虎ですか。
次は、耳を触る。
「……ん………」
寝返りを打つ…と。
もふもふで手触り最高でしたぜ。
しかし、全然起きないので…。
最終兵器のヘッドホンを、彼女の頭に装置する。
そして、大音量でアラーム音を流すと…。
「っ！？」
「…はい、おはようございます大藤さんや」
遂に、起床。やっぱりアラーム音は最強兵器だと思うんだ。
「飯作ったから、食べてけ。な？」
寝起きの彼女に告げて、リビングで待つ。
寝癖で出来たアホ毛を揺らしながらやって来た大藤は、もそもそと親子丼を頬張っていく。
が、終始無言。
もぐもぐ。…ごっくん。
そして、ご馳走様でしたと手を合わせる大藤。
「…おいしかった」
と、最後に放った言葉は嬉しかったけどね。
後にわかった事だが、大藤は寝起きが物凄く弱いのだ。
嗅覚、感覚、視覚全てが鈍くなってるみたい。
で、食べ終わった後なんだけど。
彼女はゆっくりと立ち上がり、お邪魔しましたーと言いながら帰って行った。
まあ、学校じゃ全く話せない大藤と沢山話せた日だったなぁ、なんて思ったり。
あ、そうそう。
あの枕最高でしたぜ。
※
かちゃ…かちゃ…。
手の内のリモコンをいじりながら、思う。
その奇跡的出来事も、今じゃ二週間も前の事なのだ。
やっぱ夢なのかねぇ…？
頭の中で考えながら、“枕の下”に置いてあったリモコンのレバーをONにしたりOFFにしたり。
授業中の暇つぶしにはなった、かな。
そう思うと同時に、授業終了のチャイムが鳴り響いたのだった。
※
「…黒、瀬…ちょっと……来て…」
そして、授業が終わってからそれは直ぐだった。
少し辛そうな大藤に、図書室に連行されたのだ。
この学校で、一番広いとされる図書室は、沢山の本があるが、利用者は少ない。
そんな場所で何をしようというのだろうか。
そもそも、だ。
「大藤？ 顔、赤いぞ？ 熱あるんじゃ…」
そんな心配だってある。
だけど大藤は、そんな事知らないとばりに、奥へ奥へと進んで行く。
そして、電球が切れて暗くなった辺り…外国などの新聞が置いてある区域で、大藤は立ち止まった。
「ん…はぁ…はぁ……、っ、黒、瀬…」
そう言って、もたれ掛かってくる大藤。
身体に掛かる、心地良い重さとか、柔らかさよりも先ず。
「…っておい!? すげぇ熱いじゃんかお前…っ、保健室、行くぞ」
常温としては信じられない熱さの手を取り、歩き出そうとする。
…が。
「…く、ろせ……リモコンっ、使った、ね…？」
逆に手を引っ張られて、そんな事を言われる。
そして、そのまま抱き付かれて身動きが取れなくなる。
何時もは隠れている耳や尻尾もでていて、呼吸は荒い。
「…ん…っ、ん…使用代…払っ、て…」
何を言っているんだ。そんな事より、先ずは保健室に。
言葉を発するより先に、大藤が言葉を紡ぐ。
「ぁ…くぅ…200万、って、私…書いた紙、置いた、よね…、んっ」
一回使用したら二百万。確かに、そんな紙が置いてあった。
が、流石に冗談じゃ…。
「…払えない、なら…、覗き、と…、耳とか、ほっぺたとか、触ったの、皆に言う、から、ぁっ」
「それはやったけど、今はそんな事より、早く休まないとダメだろ!?」
事実は肯定するけど、こんなに熱があるのに休まないなんてダメだろう。
倒れたりしたら、それこそ一大事だぞ―。
言おうとして、失敗した。
何故なら、背伸びをした大藤の唇に、口を塞がれていたから。
そして、何かえもいえぬ味がする液体を…流し込まれる。
だが、唇同士が触れている為に吐き出せず、その液体を飲み込んだ。
「で、も…ん、ぁっ…沢山、使ったか、ら…払えない、よ…ね…？」
大藤が言葉を発するけど、頭に入って来ない。
何故なら、身体が…喉が、熱っ、い…!?
「黒瀬…、のっ、家…、売れそうなモノなかっ、た…し、取り立てなんか…出来ない、けどっ」
身体中に熱が籠もるのが分かる。
それに何より、身体に触れている大藤が、気持ちよくて、心地よくて堪らない。
思考回路が溶かされるような錯覚の中、大藤が告げる。
「黒瀬、ならっ…、黒瀬、本人なら、取り立てる価値が…ある、の…っ！」
ぎゅうぅ…、と、肩に腕をまわされて…キスをする。
唇を押し退けるようにして侵入してきた大藤の舌に、自分の舌が触れて快楽が溢れた。
そこから先は、ただ…貪るように。
舌先を絡め…甘噛みし、吸い上げる。
お互いにそれを繰り返し、身体に触れ合い、撫で回す。
くちゅっ…ちゃ…ちゅるる、ちゅっ…。
脳を溶かすような快楽と、その快楽を高める卑猥な音が控えめに音を上げる。
「んぁっ、ちゅっ ♥れぉっ、ちゅるる、ちゅっ ♥くろ、しぇ…ちゅっ ♥」
惚けた表情で、名前を呼んでくる大藤。
「んっ ♥んんっ ♥ ぁっ、ん…口だけじゃなくて…こっち、も…っ、んふぁっ ♥」
制服のボタンを外し、さらけ出された下着越しの控えめな胸と。
スカートを託しあげて見える、愛液でだらしなく汚れたショーツや太もも。
そんな場所を解放されて、耐えられる訳がない。
右手で大藤を抱きしめながら、唇を貪り。
空いた左手で、もふもふに包まれた外太ももやツルツルで弾力のある内太ももを撫で回す。
お尻や尻尾の付け根なども摘み、擽るように撫で回した。
最早ショーツの性能を保っていない、愛液塗れのそれに手を入れて、秘部を弄る。
そして、その秘部にあてがわれていたソレを取り出して、大藤にたずねる。
「…これ、俺がリモコンで動かしてたんだ？ 変態、だね…んっ…」
手に持っているのは、無線式のローターバイブレーション。
なる程、あのリモコンは、これを動かす為の物なのか。
そうと分かれば話は早い。
ポケットからリモコンを取り出して、それをONにする。
そのまま、彼女の蜜壷…ではなく、お尻の穴へあてがい、押し込む。
「んやぁ、あっ!? そこ、ぉ、しりっ ♥んぁっ、あっ… ♥振動、すごっ、い、のっ ♥」
余程感じていたのか、キスする事すら出来なくなり、必死にしがみついている大藤。
そんな可愛い大藤を見せられて、我慢なんて出来るハズも無く…。
カチャカチャとベルトを外し、いつになく巨大に肥大化している己が分身を、秘部にあてがい、蜜壷の中へと一気に突き上げる。
「んあっ、ぁっ、ふぁぁぁあっ ♥ ♥ ♥黒瀬ぇ… ♥ふぁ、くろ、せぇ ♥」
「くっ…う…」
突き上げた瞬間に、強烈な快楽と、甘ったるく熱の籠もった大藤の声が聞こえ、尚更に興奮する。
「はじめ、て…なのにっ ♥くろ、せにっ ♥ ♥沢山、気持ちよくなぁあっ、ふぁ ♥もらえてる、よぉっ ♥ ♥」
ぬるぬるとした肉の壁に、びっしりと這うヒダやツブツブが蠢き、奥へ奥へと俺を突き動かす。
突き上げる度に締め付け、嬌声をあげる大藤の膣は、まるで吸い上げるかのように俺のモノを離そうとはしない。
「んあっ、ぁっ、ふぁぁぁあっ、あぁっ ♥やぁっ、んっ ♥そこ、だめっ、ぇっ ♥ ♥」
いつの間にか、俺は大藤を抱きかかえるかのように犯していた。
所謂、駅弁状態である。
持ち上げ、落としながら突き上げる。
卑猥な水音はその音を次第に大きくしていき、そして…。
「ん、やぁ ♥もっ ♥ ♥だめっ ♥くろせっ ♥くろ、せぇっっ ♥ ♥なんかくるよっ、あっ ♥黒瀬ぇ ♥」
「俺も、もう…くっ、ぁ…出る、ぞ…っ！」
くちゃくちゅくちゅちゃっ、くちゅ…っ
一層激しくなる水音と、強い快楽の波が押し寄せて来て。
「ん、あっ ♥くろ…っ ♥あっ、やぁっ、えいじっ ♥えい、じっ ♥わかるよっ ♥ ♥おちんちんびくびくしてっ、あふぁっ ♥わたしも、きゅんって、してっ ♥あふぁあ、やぁ、んっ ♥ ♥いっしょっ ♥いっしょにっ、イこっ ♥ ♥えいじっ ♥えいじぃっ ♥ ♥ ♥」
「くっ、あ゛ぁっ、出すから、なっ…大藤…っ、くっ」
瞬間、膣内で俺のモノが跳ね、大量の精を吐き出した。
その量は結合部から溢れ出すほどで、その量と共に快感も半端ではない。
「熱っ、いっ ♥えいじ、のっ ♥たくしゃあっ、んっ ♥きてる、よぅ… ♥」
そう呟いた大藤を抱きしめながら、長い射精感を堪能する。
そして、止まったであろう射精を終え、自分を彼女の中から外へ出す。
だが、まだ離すまいと吸い上げる彼女の蜜壷は、蠢きながら痙攣していた。
射精後の敏感になったモノを抜くと、空気を孕んだ膣穴がポンっと、音を立て…尚更に、いやらしさが増して感じる。
「ん、ぁ…はぁ…はぁ、ん…えいじぃ…もう、私の…だから…ね… ♥」
そんな言葉と共に、キスをされる。
嗚呼、どうすんだこの惨状…、と、嘆くのはもう少し後の話である。
※
―そんな出来事から、早くも１ヶ月が経とうとしていた。
大藤は所かまわず甘えてくるようになり、人気の無い場所で行為を行う事も多々あった。
…の、だが。
最初に述べたように…この学園は恋愛禁止である。
風紀が乱れ、生徒が自重心を失う可能性があるからだとかなんとか。
なので、こういう関係になってしまった生徒は、退学処分となってしまう。
…が。
大藤曰わく、「そうした方がどきどきするし、英次とえっちしないなんて無理」と言って話を聞かないのだ。
要するに、寧ろ学校でヤる事が好きらしい。
それに俺は、誘われたら断れない。
だってあの悲しそうな顔！ 無理無理！
…と、読んで字の通りだ。
だから今日も、その…あれだ。
大藤のお気に入りの図書室で、隠れて行為を行う。
…いったい、何を間違えてこんなに美味しい話になったんだろうか…。
それは、俺にはもう分からない。
だからここは、こんな定文系で終わろうと思う。
黒瀬英次はめでたく童貞を捨て。
大藤琴乃葉は途切る事の無い“借金”を抱えた契約者が出来た。
二人は何時までも、幸せに。
…終わり。
※
「ん…、ちゅっ ♥ 英次、じゃあ…行こっか？」
「ん。 そうするか、大藤」
「む。また大藤って呼んだ。下の名前で呼んでみて？」
「あー、無理無理、ハズいわ…」
「…今のキス三百万だよ？ 払えるの？ …払えないなら…ね？」
「あー、はいはい、分かりましたよー。…こ、こ、こここ、琴乃、葉…」
「うん、宜しいっ♪」
こうやって、私は尽きない我が儘を言い続ける。
英次が困った時も、疲れた時も、我が儘を言い続ける。
きっと英次は、呆れながらも聞いてくれるだろうし。
その我が儘が彼を動かしてくれるハズだから。
だから、私は。
我が儘で、欲張りで、でも…誰よりも一途なまま、彼の隣を歩くんだ。
(｀･ω･´)どや！
成績優秀な事はもとより、何より彼女を引き立てるのはその愛らしさにある。
焦げ茶色の癖毛を纏めるように留めた葉っぱ型のピンも可愛らしいし。
その琥珀色の瞳には、引き込まれるような錯覚さえ覚えてしまう。
ちょっとハスキーな声には落ち着きが見えて、それもまた彼女の良い所なのだ。
156と言う身長も相成って、なお可愛らしさを引き立てる。
そして人間からかけ離れた美貌や、仕草や、不意に見せる笑み等、彼女は隠れた人気者だ。
さて、今の発言でお気付きだろうか。
何故そこまで可愛らしいと評判の彼女が、隠れた人気者なのか。
普通なら表立って可愛いとでも言って、あわよくばお近づきになりたいだろう。
少なくとも、男子ならだれでも思ったハズだ。
俺だってそうだったんだし。
だが、そうは言ってられない理由がある。
それがどんな理由であるにしろ、これだけは破る事はしたくない。
少なくとも、この富士居学園（フジオリ学園）に実験的に入学出来た50人の男子はそう思うハズだ。
だって、女の子の多い学校なんだぜ？ 退学したくは、無いだろう？
でも、嗚呼。
恋愛禁止だなんて、思いもしなかったよ。
手に握ったON-OFFを切り替える為のリモコンをかちゃかちゃと弄びながら、そう思った。
さて、ここは定文系で始めよう。
黒瀬英次。16歳、童貞。
恋愛に憧れた青年のお話は、此処から始まるのだ、と。
※
夏も間近に迫る、ある日の出来事だった。
創立記念日で学校は休みだし、家にいるのもつまらない。
そんな思いで、俺…黒瀬英次は買い物に出掛けていた。
買いたい物は、本とか…ペンとか？ まあ、何でも良い。
だから先ずはフードコートで軽く食事を済ませ、その後で本屋に行き、文庫本を二冊程購入。
これは家に帰ってからの楽しみだ。
そして、次に買うのは…服。
良く考えたら、毎日学校では制服。家では寝間着と言う格好だし、何よりもう夏になる。
新しい半袖や半ズボンが欲しいのだ。
なので、服売場へ直行。
安売りのシャツやパンツ等もついでに買おう。
と、思いかれこれ三十分は経っただろうか。
幾ら服を買おうと、似合わなければ買う意味はない。
そう思って試着室に向かい、シャっ、と音を立ててカーテンを開ける。
で、硬直。
なんで？ そう思った人も居るだろう。
だから説明する。…いや、誰に説明するんだろう。
……。まあ、いいか。
兎に角、俺は固まった。
何故ならそこに、半裸の大藤さんが居たからだ。
いやしかし、待てよ自分。
幾ら半裸でも、いやいや、幾らってなんだ？ そこに半裸の可愛い子が居るなら俺はもうバーニングファイアーとか何とか。
いやいや、ちょっと待とうか。
え？ あれ、なんでここに彼女が？
というか肌綺麗だなぁ。すべすべしてそうだ。
とか、あの丸っこい三角形の耳、モフモフしてんなぁ…と…か……？
え!? ナニあの耳!?
というか尻尾とか脚周りの毛とかちょっと待て待て待て待て…。
混乱する俺をよそに、彼女は別段気にする様子もなく、それどころか俺の手首を掴み…。
…シャっ。
その狭い個室に、連れ込むのだった。
…って。
えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?!?!?!?!?!?!?
混乱。または、狂乱。狂喜乱舞的な？
ていうかこの狭い個室に、大藤と二人きり!?
ちょっ、ナニこれ、えっ!?
そんな俺を見て、小さく笑んだ彼女は、口を開く。
「…ふむ。似合わないのかな。感想すら言われないとなると、少しショックかな」
伏せ目がちに此方を見据えながら、不満げに物申す大藤。
が。
その下着と肌色面積の多いそれに感想を言えと！？
ならば敢えて叫ぼう！ スンマセン脳内保存しましたぁぁぁぁあぁぁぁぁ！
、と。
いや、勿論口にだせる訳が無い。
圧倒的に、勇気が足りない。
だから俺はと言うと、「いや…その耳…可愛いね」としどろもどろに言うしか出来なかった。
それを聞いた彼女は、男ならぶっ倒れそうな程可愛らしい笑顔を浮かべて、
「ありがと。じゃ」
と言い。
シャっ。…トン。シャっ。
カーテンを開け、俺を外に。そしてまたカーテンを閉める。
…そこで俺の一時の安らぎと言うか日々の興奮剤になるであろう出来事は終わりを迎え…。
シャっ。
「…待った？」
なかった！？ え！？ まじっすか！？
「あ、いや、全然！」
…余りの嬉しさに、ハキハキと答えてしまうが。
「それじゃ、これ…買ってくれるかな？」
という台詞と共に、夢心地は覚めてしまった。
いや、寧ろ覚醒したと言うべきか。
何故なら彼女が手渡してきたその温かな布は。
小さな布切れは。
うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ脱ぎたてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ！！
その脳内叫びが聞こえない彼女はどう思ったのか、口を開く。
「私の裸同然の姿、見たんだから…ね？」
にっこり。またしてもぶっ倒れそうな程の笑顔を見せて、俺をレジへと誘うのだった。
お会計、一万八千七百円になります♪
その値段は、大藤がさり気なくレジに出した衣類のせいである事は容易に分かるだろう…。
ああ、俺は自分の服買えないのね…。
※
所変わって、ここはフードコート。
なんでまた来てんの？ という質問をされる前に答えよう。
あの後別れるかと思いきや、彼女は俺の手を引いて此処までやって来たのだった。
因みに彼女の耳や尻尾は、どういう原理か今は存在を確認出来ない。
そしてその彼女…大藤は、何の違和感もないかのように俺の金でロコモコ定食を頼み、幸せそうに咀嚼している。
因みにドリンクはタピオカブルーとか言う、タピオカ入りのグレープジュース。
ロコモコ定食は980円。タピオカブルーは320円と、合計1300円。
俺の財布の中は、もう残金一万二千しかない…。
が、大藤が笑顔になるならそれもありかなぁ…なんて思うので文句は言わないけども。
「…んん、ここのロコモコ定食は美味しいんだよね。フードコートにしては」
にこにこ。もぐもぐ。…ごっくん。ぷはぁ〜。
見ているだけでも清々しい食べっぷりだ。
ぶっちゃけ、食事中の笑顔が一番可愛いと思う。眼福眼福。
そんな大藤を見つめていると、色々思う事もあるわけでして。
さっき試着室で見た時より胸デカくないか、とか。
肌白かったなぁ、とか。
後はあの耳触りたかったなぁ、尻尾ももふもふしたいなぁ、とか。
と、かれこれ十五分ぐらい経ったかな？
「ご馳走様。ありがと、黒瀬」
「いやいや、どういたしまして」
という会話の通り、食べ終わったみたいだった。
案外食べるの早いなぁ、とか思いながら、ちょっと思った事を口にする。
「所で、なんで俺に払わせてるのかな？」
ちょっとお財布が悲鳴をあげてます、はい。
そんな質問に彼女が答えたのは、
「…ああ、えーと。お財布無くしたから…じゃ、なくてっ！ 黒瀬が私の試着覗いたから、そのお詫びに黒瀬が払ってるのです」
(｀･ω･´)どや。
いや、ドヤ顔されましても。
というか財布無くしたのね。それで俺をカモにしたと。
だが、それでも良い。
可愛かったし。
分かるだろ？ 可愛いは、唯一不動の正義なんだよ。
つまりは、このデート気分の見返りに諭吉さんや小銭の皆さんが旅だっただけなのだ。
別に後悔も未練もない。ありがとう財布の中の住民よ。
だが、これ以上財布の中身を危険に晒すのも危ないので、この辺でお暇しようかな。
そう思い、「そっか。…まあ、飯も食べたし、そろそろ帰るわ」
と、大藤に告げる。
が。
「ん？ じゃあ御一緒しまする」
(｀･ω･´)キリっ
ドヤ顔と変わんないよ！
と、言う感想よりも。
ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ！？！？！？！？！？
という感想が上回っていたことは、言うまでもないだろうか。
※
どっきん、どっきん。
心臓の音が、やけに大きく聞こえる。
そりゃもううるさい位に。
だが、それも仕方がない。だって、彼女居ない歴＝年齢の俺の家に。
家賃二万のボロアパートに。
しかもベッドの上でごろごろと…！
憧れの女の子が居るんだから…！
「あー、えーと…大藤…？」
返事は無い。人の枕に顔をうずめて、ただゴロゴロ転がっているだけ。
何が楽しいんだ。
何が楽しくてそんな事してるんだ。
そして何より。
俺もうあの枕抱いて寝るわ。抱きしめて寝るわ。痛いぐらいに！
因みに大藤の耳やら尻尾やらは今、完全に出現している。
あれは隠す気が皆無なんだろうか？ そうなんだろうか？
…そうだと良いな。 なんか和む…。
が、相変わらず心臓は爆音を奏で、毎晩御世話になっている布団を占拠した焦げ茶色のもふもふが気になってしかたない。
どうしよう、撫でたいよあれ…。
あのゆらゆら揺れる尻尾撫で回したいよ…。
太もも周りのもふもふももふもふしたいお…！
ピコピコしてる耳も触りてぇんだァ！
…と、既に理性が決壊し始めている。
だからヘッドホンを装置して、最大音量で約束の場所を聴く事にした。
静まれ…、静まれ、俺の理性よ……！！
まあ、多分寝ちゃうんだろうけどさ、俺…。
※
…まあ、予告通り寝てしまった訳ですが。
それはどうやらもふもふさんも同じようで、小さな寝息を立てていらっしゃる。
…『おいこれもふもふ出来んじゃね？』
…黙れ俺の頭ん中！ 止めろぉ！ 止めろショッ○ー！ …なんか違うな。
まあいいか。
ショッカーもＺＥＫＵＴＯも未確認なんたらさんでも何でも良いよな、うん。
そう思い、時計を見ると…七時半…過ぎ。
あ、やっべえ大藤家帰らなくて大丈夫かなとか、夜飯作らないとという意志が働いたのだが、せっかく寝ている大藤を起こす訳にも行かないので、夜飯作成に取り掛かりたいと思います。
思ったら即行動。
先ずは冷蔵庫にしまっていた鶏肉を取り出します。
皮だけ包丁で剥ぎ取ります。
鍋に水、醤油、砂糖、塩、お酢などを加え、沸騰するまで放置。
その間に、皮を剥いだ鶏肉を一口サイズに切りましょう。
鍋の水が沸騰したら、そこに剥ぎ取った皮を入れて約1分放置。
一分経ったら取り出して、小さく切り分けます。
それを小皿にいれ、ポン酢と適当に葉野菜を突っ込んで完成。
残った汁と切り分けた鶏肉で（割愛）
「…ふぅ…完成…」
説明がめんどくさいので割愛したが、作ったのは鳥皮ポン酢と親子丼である。
ぶっちゃけかなり自信がある事は確かで、念のために大藤の分も作っているのだが。
「…起きない、なぁ…」
すー…ぴー…すー…ぴー。
ちょっと可笑しいけど、可愛らしい寝息。
やっぱり時間の事もあるし、起こした方が…。
そう思い、近づく。そして、声を掛けるも反応が無いので軽く揺すってみる。
「んや…毬藻は…んにゃんにゃんにゃ………」
毬藻がどうしたんですか。可愛らしい寝言だ事…！
さらに、頬をツツく。
「…ばると…ふぇると…しゃん…」
それはあれですか。砂漠の虎ですか。
次は、耳を触る。
「……ん………」
寝返りを打つ…と。
もふもふで手触り最高でしたぜ。
しかし、全然起きないので…。
最終兵器のヘッドホンを、彼女の頭に装置する。
そして、大音量でアラーム音を流すと…。
「っ！？」
「…はい、おはようございます大藤さんや」
遂に、起床。やっぱりアラーム音は最強兵器だと思うんだ。
「飯作ったから、食べてけ。な？」
寝起きの彼女に告げて、リビングで待つ。
寝癖で出来たアホ毛を揺らしながらやって来た大藤は、もそもそと親子丼を頬張っていく。
が、終始無言。
もぐもぐ。…ごっくん。
そして、ご馳走様でしたと手を合わせる大藤。
「…おいしかった」
と、最後に放った言葉は嬉しかったけどね。
後にわかった事だが、大藤は寝起きが物凄く弱いのだ。
嗅覚、感覚、視覚全てが鈍くなってるみたい。
で、食べ終わった後なんだけど。
彼女はゆっくりと立ち上がり、お邪魔しましたーと言いながら帰って行った。
まあ、学校じゃ全く話せない大藤と沢山話せた日だったなぁ、なんて思ったり。
あ、そうそう。
あの枕最高でしたぜ。
※
かちゃ…かちゃ…。
手の内のリモコンをいじりながら、思う。
その奇跡的出来事も、今じゃ二週間も前の事なのだ。
やっぱ夢なのかねぇ…？
頭の中で考えながら、“枕の下”に置いてあったリモコンのレバーをONにしたりOFFにしたり。
授業中の暇つぶしにはなった、かな。
そう思うと同時に、授業終了のチャイムが鳴り響いたのだった。
※
「…黒、瀬…ちょっと……来て…」
そして、授業が終わってからそれは直ぐだった。
少し辛そうな大藤に、図書室に連行されたのだ。
この学校で、一番広いとされる図書室は、沢山の本があるが、利用者は少ない。
そんな場所で何をしようというのだろうか。
そもそも、だ。
「大藤？ 顔、赤いぞ？ 熱あるんじゃ…」
そんな心配だってある。
だけど大藤は、そんな事知らないとばりに、奥へ奥へと進んで行く。
そして、電球が切れて暗くなった辺り…外国などの新聞が置いてある区域で、大藤は立ち止まった。
「ん…はぁ…はぁ……、っ、黒、瀬…」
そう言って、もたれ掛かってくる大藤。
身体に掛かる、心地良い重さとか、柔らかさよりも先ず。
「…っておい!? すげぇ熱いじゃんかお前…っ、保健室、行くぞ」
常温としては信じられない熱さの手を取り、歩き出そうとする。
…が。
「…く、ろせ……リモコンっ、使った、ね…？」
逆に手を引っ張られて、そんな事を言われる。
そして、そのまま抱き付かれて身動きが取れなくなる。
何時もは隠れている耳や尻尾もでていて、呼吸は荒い。
「…ん…っ、ん…使用代…払っ、て…」
何を言っているんだ。そんな事より、先ずは保健室に。
言葉を発するより先に、大藤が言葉を紡ぐ。
「ぁ…くぅ…200万、って、私…書いた紙、置いた、よね…、んっ」
一回使用したら二百万。確かに、そんな紙が置いてあった。
が、流石に冗談じゃ…。
「…払えない、なら…、覗き、と…、耳とか、ほっぺたとか、触ったの、皆に言う、から、ぁっ」
「それはやったけど、今はそんな事より、早く休まないとダメだろ!?」
事実は肯定するけど、こんなに熱があるのに休まないなんてダメだろう。
倒れたりしたら、それこそ一大事だぞ―。
言おうとして、失敗した。
何故なら、背伸びをした大藤の唇に、口を塞がれていたから。
そして、何かえもいえぬ味がする液体を…流し込まれる。
だが、唇同士が触れている為に吐き出せず、その液体を飲み込んだ。
「で、も…ん、ぁっ…沢山、使ったか、ら…払えない、よ…ね…？」
大藤が言葉を発するけど、頭に入って来ない。
何故なら、身体が…喉が、熱っ、い…!?
「黒瀬…、のっ、家…、売れそうなモノなかっ、た…し、取り立てなんか…出来ない、けどっ」
身体中に熱が籠もるのが分かる。
それに何より、身体に触れている大藤が、気持ちよくて、心地よくて堪らない。
思考回路が溶かされるような錯覚の中、大藤が告げる。
「黒瀬、ならっ…、黒瀬、本人なら、取り立てる価値が…ある、の…っ！」
ぎゅうぅ…、と、肩に腕をまわされて…キスをする。
唇を押し退けるようにして侵入してきた大藤の舌に、自分の舌が触れて快楽が溢れた。
そこから先は、ただ…貪るように。
舌先を絡め…甘噛みし、吸い上げる。
お互いにそれを繰り返し、身体に触れ合い、撫で回す。
くちゅっ…ちゃ…ちゅるる、ちゅっ…。
脳を溶かすような快楽と、その快楽を高める卑猥な音が控えめに音を上げる。
「んぁっ、ちゅっ ♥れぉっ、ちゅるる、ちゅっ ♥くろ、しぇ…ちゅっ ♥」
惚けた表情で、名前を呼んでくる大藤。
「んっ ♥んんっ ♥ ぁっ、ん…口だけじゃなくて…こっち、も…っ、んふぁっ ♥」
制服のボタンを外し、さらけ出された下着越しの控えめな胸と。
スカートを託しあげて見える、愛液でだらしなく汚れたショーツや太もも。
そんな場所を解放されて、耐えられる訳がない。
右手で大藤を抱きしめながら、唇を貪り。
空いた左手で、もふもふに包まれた外太ももやツルツルで弾力のある内太ももを撫で回す。
お尻や尻尾の付け根なども摘み、擽るように撫で回した。
最早ショーツの性能を保っていない、愛液塗れのそれに手を入れて、秘部を弄る。
そして、その秘部にあてがわれていたソレを取り出して、大藤にたずねる。
「…これ、俺がリモコンで動かしてたんだ？ 変態、だね…んっ…」
手に持っているのは、無線式のローターバイブレーション。
なる程、あのリモコンは、これを動かす為の物なのか。
そうと分かれば話は早い。
ポケットからリモコンを取り出して、それをONにする。
そのまま、彼女の蜜壷…ではなく、お尻の穴へあてがい、押し込む。
「んやぁ、あっ!? そこ、ぉ、しりっ ♥んぁっ、あっ… ♥振動、すごっ、い、のっ ♥」
余程感じていたのか、キスする事すら出来なくなり、必死にしがみついている大藤。
そんな可愛い大藤を見せられて、我慢なんて出来るハズも無く…。
カチャカチャとベルトを外し、いつになく巨大に肥大化している己が分身を、秘部にあてがい、蜜壷の中へと一気に突き上げる。
「んあっ、ぁっ、ふぁぁぁあっ ♥ ♥ ♥黒瀬ぇ… ♥ふぁ、くろ、せぇ ♥」
「くっ…う…」
突き上げた瞬間に、強烈な快楽と、甘ったるく熱の籠もった大藤の声が聞こえ、尚更に興奮する。
「はじめ、て…なのにっ ♥くろ、せにっ ♥ ♥沢山、気持ちよくなぁあっ、ふぁ ♥もらえてる、よぉっ ♥ ♥」
ぬるぬるとした肉の壁に、びっしりと這うヒダやツブツブが蠢き、奥へ奥へと俺を突き動かす。
突き上げる度に締め付け、嬌声をあげる大藤の膣は、まるで吸い上げるかのように俺のモノを離そうとはしない。
「んあっ、ぁっ、ふぁぁぁあっ、あぁっ ♥やぁっ、んっ ♥そこ、だめっ、ぇっ ♥ ♥」
いつの間にか、俺は大藤を抱きかかえるかのように犯していた。
所謂、駅弁状態である。
持ち上げ、落としながら突き上げる。
卑猥な水音はその音を次第に大きくしていき、そして…。
「ん、やぁ ♥もっ ♥ ♥だめっ ♥くろせっ ♥くろ、せぇっっ ♥ ♥なんかくるよっ、あっ ♥黒瀬ぇ ♥」
「俺も、もう…くっ、ぁ…出る、ぞ…っ！」
くちゃくちゅくちゅちゃっ、くちゅ…っ
一層激しくなる水音と、強い快楽の波が押し寄せて来て。
「ん、あっ ♥くろ…っ ♥あっ、やぁっ、えいじっ ♥えい、じっ ♥わかるよっ ♥ ♥おちんちんびくびくしてっ、あふぁっ ♥わたしも、きゅんって、してっ ♥あふぁあ、やぁ、んっ ♥ ♥いっしょっ ♥いっしょにっ、イこっ ♥ ♥えいじっ ♥えいじぃっ ♥ ♥ ♥」
「くっ、あ゛ぁっ、出すから、なっ…大藤…っ、くっ」
瞬間、膣内で俺のモノが跳ね、大量の精を吐き出した。
その量は結合部から溢れ出すほどで、その量と共に快感も半端ではない。
「熱っ、いっ ♥えいじ、のっ ♥たくしゃあっ、んっ ♥きてる、よぅ… ♥」
そう呟いた大藤を抱きしめながら、長い射精感を堪能する。
そして、止まったであろう射精を終え、自分を彼女の中から外へ出す。
だが、まだ離すまいと吸い上げる彼女の蜜壷は、蠢きながら痙攣していた。
射精後の敏感になったモノを抜くと、空気を孕んだ膣穴がポンっと、音を立て…尚更に、いやらしさが増して感じる。
「ん、ぁ…はぁ…はぁ、ん…えいじぃ…もう、私の…だから…ね… ♥」
そんな言葉と共に、キスをされる。
嗚呼、どうすんだこの惨状…、と、嘆くのはもう少し後の話である。
※
―そんな出来事から、早くも１ヶ月が経とうとしていた。
大藤は所かまわず甘えてくるようになり、人気の無い場所で行為を行う事も多々あった。
…の、だが。
最初に述べたように…この学園は恋愛禁止である。
風紀が乱れ、生徒が自重心を失う可能性があるからだとかなんとか。
なので、こういう関係になってしまった生徒は、退学処分となってしまう。
…が。
大藤曰わく、「そうした方がどきどきするし、英次とえっちしないなんて無理」と言って話を聞かないのだ。
要するに、寧ろ学校でヤる事が好きらしい。
それに俺は、誘われたら断れない。
だってあの悲しそうな顔！ 無理無理！
…と、読んで字の通りだ。
だから今日も、その…あれだ。
大藤のお気に入りの図書室で、隠れて行為を行う。
…いったい、何を間違えてこんなに美味しい話になったんだろうか…。
それは、俺にはもう分からない。
だからここは、こんな定文系で終わろうと思う。
黒瀬英次はめでたく童貞を捨て。
大藤琴乃葉は途切る事の無い“借金”を抱えた契約者が出来た。
二人は何時までも、幸せに。
…終わり。
※
「ん…、ちゅっ ♥ 英次、じゃあ…行こっか？」
「ん。 そうするか、大藤」
「む。また大藤って呼んだ。下の名前で呼んでみて？」
「あー、無理無理、ハズいわ…」
「…今のキス三百万だよ？ 払えるの？ …払えないなら…ね？」
「あー、はいはい、分かりましたよー。…こ、こ、こここ、琴乃、葉…」
「うん、宜しいっ♪」
こうやって、私は尽きない我が儘を言い続ける。
英次が困った時も、疲れた時も、我が儘を言い続ける。
きっと英次は、呆れながらも聞いてくれるだろうし。
その我が儘が彼を動かしてくれるハズだから。
だから、私は。
我が儘で、欲張りで、でも…誰よりも一途なまま、彼の隣を歩くんだ。
(｀･ω･´)どや！
12/06/30 23:24更新 / 紅柳 紅葉