ひーろー。ヒーロー?
「魔術も駄目。戦闘も駄目。それに、防御も駄目駄目」
そんな事、分かってる。
「そんなあなたが、どうして世界を変えるなんて言えたのかしら?」
俺には...いや、俺達になら救えるかもしれねぇんだよ!!
「ふふ.....馬鹿げているわ。そんなモノはただの妄言。それにあなたはこの世界の人間ですらないのよ?」
そんな事、知った事かよ!俺は....俺はヒーローになりたいんだよ!!救いてぇんだよ!!
「自分の仲間も守れなかったくせに....?」
そんな....はずは....。
「見なさい、紀徒。皆死んでいるわ♪ふふ...あははっ♪」
俺の後ろには、血まみれで倒れているエストレア達がいて___________。
「あなたには......」
_________何も、救えはしないわ。
「...っ!?」
その言葉が聞こえて、飛び起きる。
肌寒い風が頬を撫でて、意識が覚醒してゆく感覚。
今のは......、夢、なのか....?
辺りを見渡す。
___________エストレア達は....寝ている。と、いう事は。
「ふぅ....夢、か....」
先程の夢を思い返して、安堵の息を吐く。だが。
「ぁ......ぅ...ぐ...」
そんなうめき声が後ろから聴こえて、振り向く。そこには...。
「フィア...?」
自らの体を抱きしめるようにしているフィアがいた。
その体は、微かに震えている。
「.....ぁ...しょ..う..ねん...?」
顔を上げて呟いたフィアは、俺を見るなり抱きついてきて...。
「....しばらく、こうしていてもいいか....?」
いつもの元気過ぎる声は、そこにはなかった。
聞こえたのは、小さくてか細い声。だから俺は、無言でフィアを抱き返す。
どうしたのだろうか?そんな疑問は無い。
恐らく、彼女も見たのだろう。
先程の夢を、[彼女自身]の視点で。
しばらく、無言の時間が流れる。一秒一秒がとても長く感じられて。
その沈黙に耐えられなくなった俺は、彼女に訊く。
「あの少女は、やっぱりお前なのか?」
彼女は答える「やはり、見たんだな...」と。
何故、俺があの夢を見たのかは分からない。
だけど、俺は見た。彼女の夢を。
それには、何か理由があるはずだ。
「見たのなら、言う。私はいつか....少年達を殺してしまう」
______私は、そういう生き物だから。
フィアが告げた一言。それがどんな意味を孕んでいるかなど、俺には関係無い。だって。
「それがどうした?お前は俺の...俺達の仲間だろ?」
いつか殺してしまう?そういう生き物?
しらねぇよ!
「私はそういうふうに創られたんだ!少年が仲間と呼んでくれても、それは変わらない。無理だったんだ私には....っ!!」
緋色とも朱色とも言える瞳から涙を溢れさせ、彼女は言う。
「私を[リリム]として...[娘]として育ててくれたあの方も、私がいなくなっても何も思わない!大切なモノを無くしてゆく私は、邪魔だったのだろうからな!少年もいつか私を嫌いになる!だから私は...私は....っ!」
それは、彼女の心の叫びなのだろう。だが。
「そんな事、間違ってるぞ?」
そうだ。間違っている。
「間違ってなどいない!私のような欠陥品は...不良品は皆を不幸にする!私が少年達と共に行こうとしたのも、きっと間違いだったんだ!」
「いや、違う」
「違わない!私は否定されるべき生き物だ!私は...私は勝手にやってしまう...破壊を....っ!」
いいや。やっぱり、お前間違ってるよ。だって。
「全部違ぇよ!!何が否定だ不良品だぁ?!それ以前にお前は[フィア エンフィールド]だろうが!それに、今更お前を嫌いになんてならねぇよ!お前は、俺の大切な仲間なんだよ!」
俺も叫ぶ。優樹達が寝ているが、この際どうでもいい。
「だけど、私は「うっせぇ!」」
フィアの言葉に声を被せる。
「お前が否定されるってんなら!俺がそれを超えるくらい肯定してやる!お前が何かを殺してしまうなら俺が!お前を全力で止めてやる!だから!!」
____そんな事で、一々悩むんじゃねぇよ!!
俺の気持ちを叫ぶ。
その叫びに返事は返ってこなかったけど、きっと。
俺の気持ちは届いたんだと思う。何故なら。
もう一度抱きついた彼女は、泣いてはいたけれど。
さっきよりも、何かが違っていたから。
それが何かは、俺にはまだ分からない。だけど今はそれでもいいだろう。
そう思い、彼女を強く抱きしめる。その後彼女が呟いた言葉は。
「ありがとう」
感謝の言葉だったのだから。
そんな事、分かってる。
「そんなあなたが、どうして世界を変えるなんて言えたのかしら?」
俺には...いや、俺達になら救えるかもしれねぇんだよ!!
「ふふ.....馬鹿げているわ。そんなモノはただの妄言。それにあなたはこの世界の人間ですらないのよ?」
そんな事、知った事かよ!俺は....俺はヒーローになりたいんだよ!!救いてぇんだよ!!
「自分の仲間も守れなかったくせに....?」
そんな....はずは....。
「見なさい、紀徒。皆死んでいるわ♪ふふ...あははっ♪」
俺の後ろには、血まみれで倒れているエストレア達がいて___________。
「あなたには......」
_________何も、救えはしないわ。
「...っ!?」
その言葉が聞こえて、飛び起きる。
肌寒い風が頬を撫でて、意識が覚醒してゆく感覚。
今のは......、夢、なのか....?
辺りを見渡す。
___________エストレア達は....寝ている。と、いう事は。
「ふぅ....夢、か....」
先程の夢を思い返して、安堵の息を吐く。だが。
「ぁ......ぅ...ぐ...」
そんなうめき声が後ろから聴こえて、振り向く。そこには...。
「フィア...?」
自らの体を抱きしめるようにしているフィアがいた。
その体は、微かに震えている。
「.....ぁ...しょ..う..ねん...?」
顔を上げて呟いたフィアは、俺を見るなり抱きついてきて...。
「....しばらく、こうしていてもいいか....?」
いつもの元気過ぎる声は、そこにはなかった。
聞こえたのは、小さくてか細い声。だから俺は、無言でフィアを抱き返す。
どうしたのだろうか?そんな疑問は無い。
恐らく、彼女も見たのだろう。
先程の夢を、[彼女自身]の視点で。
しばらく、無言の時間が流れる。一秒一秒がとても長く感じられて。
その沈黙に耐えられなくなった俺は、彼女に訊く。
「あの少女は、やっぱりお前なのか?」
彼女は答える「やはり、見たんだな...」と。
何故、俺があの夢を見たのかは分からない。
だけど、俺は見た。彼女の夢を。
それには、何か理由があるはずだ。
「見たのなら、言う。私はいつか....少年達を殺してしまう」
______私は、そういう生き物だから。
フィアが告げた一言。それがどんな意味を孕んでいるかなど、俺には関係無い。だって。
「それがどうした?お前は俺の...俺達の仲間だろ?」
いつか殺してしまう?そういう生き物?
しらねぇよ!
「私はそういうふうに創られたんだ!少年が仲間と呼んでくれても、それは変わらない。無理だったんだ私には....っ!!」
緋色とも朱色とも言える瞳から涙を溢れさせ、彼女は言う。
「私を[リリム]として...[娘]として育ててくれたあの方も、私がいなくなっても何も思わない!大切なモノを無くしてゆく私は、邪魔だったのだろうからな!少年もいつか私を嫌いになる!だから私は...私は....っ!」
それは、彼女の心の叫びなのだろう。だが。
「そんな事、間違ってるぞ?」
そうだ。間違っている。
「間違ってなどいない!私のような欠陥品は...不良品は皆を不幸にする!私が少年達と共に行こうとしたのも、きっと間違いだったんだ!」
「いや、違う」
「違わない!私は否定されるべき生き物だ!私は...私は勝手にやってしまう...破壊を....っ!」
いいや。やっぱり、お前間違ってるよ。だって。
「全部違ぇよ!!何が否定だ不良品だぁ?!それ以前にお前は[フィア エンフィールド]だろうが!それに、今更お前を嫌いになんてならねぇよ!お前は、俺の大切な仲間なんだよ!」
俺も叫ぶ。優樹達が寝ているが、この際どうでもいい。
「だけど、私は「うっせぇ!」」
フィアの言葉に声を被せる。
「お前が否定されるってんなら!俺がそれを超えるくらい肯定してやる!お前が何かを殺してしまうなら俺が!お前を全力で止めてやる!だから!!」
____そんな事で、一々悩むんじゃねぇよ!!
俺の気持ちを叫ぶ。
その叫びに返事は返ってこなかったけど、きっと。
俺の気持ちは届いたんだと思う。何故なら。
もう一度抱きついた彼女は、泣いてはいたけれど。
さっきよりも、何かが違っていたから。
それが何かは、俺にはまだ分からない。だけど今はそれでもいいだろう。
そう思い、彼女を強く抱きしめる。その後彼女が呟いた言葉は。
「ありがとう」
感謝の言葉だったのだから。
11/10/22 19:04更新 / 紅柳 紅葉
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