ふと、『貴方』は気が付きました。

貴方は辺りを見渡しますが、薄暗くてよく見えませんでした。

しかし、貴方の目の前にある大きな館だけは…別です。

その館だけはしっかりと、貴方の瞳が捉えています。

しかし貴方は、少し疑問を感じているでしょう。

何故なら、貴方はこの場所を知りませんし、来た覚えもないからです。

『　　　　　　』

疑念を呟いてから貴方は、とりあえずここが何処なのか…。

それをたずねる為に、館の扉へ近づきます。

すると、ギィィ…と軋む音がして、館の扉が開きました。

そのタイミングの良さに、少なからず吃驚した貴方ですが、不思議と疑問は浮かびません。

貴方は自分の目的も忘れて、扉を開けた少女に礼を述べました。

「…いえ、おきゃくさまを待たせる訳にはいきませんから…」

そんな事を、愛くるしい笑顔で貴方に告げる少女。

「…では、おきゃくさま。…此方へ…」

貴方そのまま手を引かれ、長い廊下を歩きました。

廊下の壁には、左右両方に大きな扉と、赤い火の灯る蝋燭が置いてあります。

その蝋燭の灯火は、貴方が通り過ぎると消えて行きます。

ふと、後ろを見れば…果てない闇が覆っていました。

貴方は少し恐怖を感じましたが、それも、少女の問い掛けで掻き消されます。

「…おきゃくさま…、よろしければ、御名前をおしえてくれませんか…？」

その問い掛けに貴方は答えます。

『　　　　　　』

すると、少女がやんわりと微笑んで。

「…『　　』様、ですか…。とっても素敵なおなまえです…」

にっこりと微笑んだ少女は、一つの扉の前で立ち止まり…。

「…『　　』様、此方の御部屋へ、どうぞ…」

扉を開けて、貴方を誘います。

貴方は何の疑問も感じずに、その扉へ入り…。

「…では、ごゆっくり御楽しみくださいませ…」

少し悲しげな声に振り向くと、少女どころか扉さえ無くなっていました。

あれ？　おかしいな…。

貴方は思いましたが、何故だか別段と気にとめる事もありません。

ただ、貴方は前に進むだけです。

狭く、暗い通路を抜けると…。

「…んー？　んふふ、こんばんは、お兄さん♪」

少し不健康そうな、青白い肌の少女がベッドに腰掛けていました。

大きなベッド以外何も無い部屋で、その少女は貴方を見詰めてきます。

薄暗い灰色をした短髪の隙間から見える、アメジストのような瞳は真っ直ぐに貴方を見据えていました。

また、床やベッドの上に落ちた漆黒の羽が相成って、何とも言えず…見とれてしまう貴方。

薄暗い部屋に、貴方と少女の呼吸音だけが響きます。

それから暫く経った頃でしょうか。

おもむろに、少女は告げます。

「ねぇ…、ずっと立ってて、辛くない？」

今なら私の隣が空いてるよ、と言いながら、少女は貴方にそう言いました。

そんな言葉に貴方は苦笑しながら、『　　　』と呟いて、少女の隣に腰掛けます。

ギシ…。貴方の体重で軋んだベッドの上で、またギシッとベッドが軋みます。

理由は単純です。

貴方が少女に肩を掴まれて、ベッドに押し付けられたのです。

背中や後頭部に感じる柔らかな布団の感触と。

自分のお腹の上に馬乗りになる少女の心地良い重みに、貴方は少しドキドキします。

そんな貴方に、少女がトドメの一撃をお見舞いしました。

「…ね、お兄さん…？　えっち、しよっか…？」

…ちゅ。

貴方の額に、柔らかくて温かい少女の唇が当たります。

…が。

そんな事よりも貴方は、耳元で囁かれた言葉…誘惑に困惑していました。

確かにこんなに可愛い子とエロい事出来るのならそれは嬉しいけど…。

だけど、やっぱりそういう事は…。

そこまで、貴方は考えます。ですが…。

「…んー？　大丈夫、お兄さん…ここは、そーゆーお店なんだよ？」

少女は貴方をしきりに誘います。

最初から布面積の少ない服ははだけさせ、破廉恥極まりない格好で囁きました。

…お兄さんが好きなようにしてあげる。

…乱暴に…玩具みたいに私を使って良いんだよ？

…ふふ、それとも……お兄さんを玩具にしちゃおうかな？

クスクスと笑いながら、耳元で囁く少女。

その誘惑は…甘い、あま〜い声は、まるで悪魔の囁きのように脳に浸透してきいます。

天使のような容姿からは想像も出来ない甘味な言葉が、貴方を惑わしました。

…んふふ…、幾らアブノーマルな性癖でも、私が受け止めてあげる。

…ね？　ほら…、お兄さんも…沢山、溜まってるでしょ？

…ん、あぁっ♪　ねぇ、見て…？　私、もうこんなになってるんだ、よ…？

くちゅ…と、小さな水音を響かせて自らの秘部に指を這わせる少女。

いつの間にかベッドに倒れていた少女は、太ももを摺り合わせながら秘部を弄っています。

…ドクン、ドクン、ドクン。

貴方の心臓の音が大きく、強く…自分自身、聞こえているはずです。

だって貴方は、目の前で自慰にふける女の子を目の当たりにしているのですから。

くちゅくちゅくちゅくちゅ。

激しく中指が動き、人差し指で弾くようにクリトリスを弄る少女。

彼女の嬌声が、尚更に貴方を奮い立たせます。

「…ん、んっ♪　くり、がぁっ♪　きも、ち…っ、っ！」

バサ、バサと、少女の翼は、少女が快楽を得る度に閉じたり開いたりを繰り返します。

そんなものを見せられて、男の貴方が堪えられるハズがありません。

ズボンを突き破らんが如く肥大化した愚息を、貴方は戸惑う事無く取り出しました。

それを、貴方はいつものように手のひらで握り、激しく上下に動かします。

今の貴方にあるのは、いつも見ている動画や画像とは違う生身の肉体への欲望です。

目の前で嬌声をあげる少女に向かって、己の欲望を吐き出そうとする貴方。

そしてそんな貴方に向かって股を開き、くぱぁ…と秘部を開け、笑顔の少女。

貴方は自分自身を慰める行為から与えられる快楽に耐えきれなくなって…。

びゅくっ！　びゅる、びゅっ、るるるるるっ！！

貴方は暫くヌいていなかった事もあってか、少し黄色い精液を少女にぶちまけます。

「んぁっ♪　いっぱいでたぁ♪」

そう言った少女の髪や顔、唇に、鎖骨…お腹、おへそ…そして、秘部にかかった貴方の欲望。

お互いの自慰で、部屋には雄と雌の臭いが充満していました。

貴方の目の前にいる少女は、貴方の精液と自らの体液でぐちょぐちょに汚れています。

しかし、それだけの量を出しても…まだ、貴方のペニスは健在です。

「…んふふ…お兄さん？　次は、見抜きなんて勿体ないこと…許さないからね♪」

膝立ちになった貴方の肩に手を置きながら、少女が貴方と重なるように肌を密着させました。

ぴちゅ…、と、貴方の亀頭と少女の膣前庭が重なります。

ビクッ、ビクッ、と跳ねる貴方自身は、彼女の熱い秘部に触れているだけで我慢の限界でした。

「…んふふ、遂に…お兄さん、と私の…シエルのここが、繋がっちゃうね？」

少女…シエルが呟いたかと思うと、途端に貴方のペニスに肉が絡みつきました。

シエルが腰を、貴方の腰へと打ち付けます。

ぱちゅん！　ぺちゅん！　、と貴方とシエルの体液で濡れた身体同士は打ち付け合う度に音が鳴り、いやらしい。

しかし、今の貴方にはどうだって良い事です。

ただ、全身に走る快楽に身を任せて腰を振るだけで良いのです。

貴方は、自分が何をしているのかすら…既に、どうでも良いのですから。

今の貴方はシエルの嬌声と、己に絡みつくシエルの膣内を隅々まで堪能するだけ。

鈴口を。亀頭を。カリ首を。肉竿を。

貴方は、その全てに与えられる表現しがたい快楽に身を震わせるだけ。

対面した格好で、貴方の膝上を跳ねるシエルが…貴方の全て。

もう貴方に、理性も、服も、必要ありません。

貴方自身が、それを望みました。

だから貴方は今、腰を振るい、肉欲を貪っているのです。

ぬちゅぬちゅぬちゃ…。

白く濁った、精液だか愛液だか分からないモノが、腰を打ち付ける度に貴方の腰へ飛び散ります。

そして、一際強く…子宮内をも犯す勢いで突き上げた貴方のペニスが弾けました。

どくっ、びゅっ、るるる、どくっ、どくっ。

「んぁっっっ♪　でて、るぅっ♪　あついの、いっぱ、いっ♪」

バサッ！　っと漆黒の翼が広がり、そのままエビ反りになりながら貴方の上で震えるシエル。

ですが貴方に、射精の余韻に浸る時間なんてありません。

とんっと貴方はシエルに押され、ベッドに倒れ込みます。

そんな貴方に跨がり、シエルは…。

「んっ♥　次は、わたし、が…ぁっ ♥　責める、からっ ♥」

そのまま騎乗位で挿入して―――。



※



「…『　　』様、ごめんなさい…お時間、です…」

どこよりも暗い闇の中、最初に出会った少女が目の前にいる。

貴方は思います。

あれ？　何…してたんだっけ…？

思い出そうとしても、頭には何も浮かびません。

そんな貴方を気にも止めず、少女は言葉を紡ぎました。

「…あの、『　　』様…、楽しめ、ました、か…？」

それに貴方は、こう答えました。

『　　　　　』

すると、少女は「…そう、ですか…」と呟いて。

「…あの、お時間、です…。もし、また来てくださるならわたし、まって、ます…から、ね…？」

そう言ってから、ぱたぱたと手を振り…霞んでいく少女。

よく見れば、貴方自身…自分も、霞んでいって……。







「…ーい、おーい、お兄さん、起きて起きてっ」

声が聞こえて、貴方は目をさまします。

一体誰の声だろうか？

貴方にはまだ、思い出せません。

ですが何故だか、とても気恥ずかしく感じた貴方は布団を被って、呟きます。

『　　　　　』

それに何を思ったか、シエルは貴方から布団を引っ剥がし…。

「二度寝とかするのは寝坊助だけでじゅーぶん！　お兄さん、おーきーてーくーだーさーいーっ！」

耳元で、叫ばれる貴方。

キーン、と耳鳴りがするほどうるさいので、貴方はシエルに『　　』と文句を言いました。

すると、今度は囁くように耳元で――――。





「じゃあ引きずってでも連れて行きますからいーですよー」

どこに？　そう訊く気すら貴方にはありません。

ですが、訊かなくても答えてくれそうですよ。

「んふふー、万魔殿、で・す・よ ♥」

そしてそのまま、言われた通り引きずっていかれた貴方とシエルの後の物語は―――。




『貴方』達の、御想像と言う事で♪








黒翼天使…おわり。

■作者メッセージ
どうもおはようございます、紅葉でーす。
眠ったの三時なのに目覚ましのせいで六時に起床！
あはは、永眠してぇ……。

ま、まあ兎も角、言われた通り第一話はダークエンジェルですw
お気に召してくれたら良いなぁ、なんて思いながら、約4０分で書かせて頂きました。
もう無理、僕は寝（死に）ます…。
おやすみなさいッス…。