泥酔の饗宴
青年が目を覚ますと、木々に囲まれた湿地帯に倒れ込んでいた。
両親に身を売られ、トラックに投げ込まれた事までは、覚えているが、その後の事は覚えていい。
何か事故にでもあって放り棄てられたのか、それとも邪魔だったから捨てたのか。
理由は分からないが、後頭部がズキズキと痛み始める。
幸い大きなけがはしていないが、まともに食事を取っていなかったためか元気はない。
ジメジメとした湿地帯は居心地も悪く、色とりどりの毒蛇が警鐘を鳴らしている。
長居してもいいことはないと悟り、ボロ切れを纏ったまま走り出す。
膝が切れて出血しているため全速力では走れない。
それでもその場にいるよりは何より最善の策だと思った。
数時間走ったり、歩いたりを繰り返していくうちに日も沈み始めた。
肌寒い風が青年の横を走り去る。
このまま日が暮れれば、食料も何もない状態で一夜を過ごすことになる。
ましてや真夜中の森で、どんな獰猛な動物が青年を狙っているかわからない。
何としてでも状況を一変させなければ、死に限りなく近いのは必至だった。
とはいえ、草木を掻き分けても開けた場所には出そうにない。
万事休すと思って俯いたその時、青年の耳に美しい笛の音色がかすかに届いた。
どこからともなく聞こえてきたその音色は聞いたことがないほど美しく、人を惹きつける力があった。
誰かがいる。もしかしたら助けてくれるかもしれない。
藁にもすがる思いでその音色がする方へと青年は駆け出した。
獲物をおびき寄せるような、妖しい音色だという事を疑いもせずに。
道なき道を突き進んだ所で、少し開けた場所に出ることができた。
音色の主を見つけるまでそう時間はかからなかった。
切り株に座りながら笛を吹いている獣人。
山羊のツノに柔らかそうな体毛が特徴的で、残念ながら同じ人間ではない。
下手をすれば、青年を獲って食う可能性だってある。
警戒しながら近付くと、獣人は突如笛を吹くのをやめた。
そして青年に気づくとにっこりと微笑んだ。
屈託のない笑顔に思わず気を緩ませてしまう。
最大限に警戒しながら、じりじりとにじり寄っていく。
「別に襲ったりしませんよ？」
「そ、そうか」
小さく笑いながら、フレンドリーに話しかける獣人は目を凝らせばどこかで見たことがある種族の特徴に似ていた。
サテュロス。
笛を吹くのが好きな温厚な獣人……。
青年が覚えているのはここまでで、実際の所は詳しく知らない。
とりあえず獰猛な動物でない事は確かだ。
一人だけ警戒しているのが馬鹿らしくなり、すっと肩の力を抜く。
「私はただ誰かとお酒を飲みたいだけなんです。一人でお酒を飲むより、二人の方がいいですからね。キミはお酒大丈夫ですか？」
サテュロスは切り株の横に置いてあった紫色のワインボトルを取り出すと、白いマグカップになみなみと注ぎ、青年に渡してきた。
そういえば、サテュロスって酒も好きだったっけと青年は思い出した。
「一緒に飲んでぱぁーっと過ごしましょう」
「大丈夫だけど……実は、遭難して食べ物も水もないんだ」
せっかくの酒の席で水を差すようで申し訳ないが、はっきり言っておかなければサテュロスのペースに引き込まれる。
暗くなると思ったが、素っ頓狂なほどサテュロスは明るかった。
「あーそうなんですか？ じゃあ私が全部面倒見てあげます！ 夜を安全に過ごせる場所も教えてあげます！」
「ほ、ほんとか？」
まさかの事態に喜びを隠せない。
もうダメだと思っていたが、神様は見捨てなかった。
神よありがとう。
両親に身を売られた時とはうって変わって神様に感謝するのだった。
「その代わり私と飲んでくれたら、ですけどね」
「そんなこと言われたら喜んで飲むよ！ ありがとう！」
「えへへ、そんなに喜んでもらえると照れますよ……さ、ぐいっといっちゃって」
渡された容器は標準のマグカップほどの大きさだが、そこになみなみとワインが注がれている。
全部一気に飲むのは無理だが、青年にとって酒は弱い方でもない。
これくらいなら口をつけても倒れる事はないだろう。
青年はマグカップに口をつけて、ごくごくと飲み始めた。
隣でサテュロスが小さく口を弧に歪めたが、青年はその事には全く気付かない。
半分程度飲み干して、ワインのあまりの飲みやすさに驚いた。
「うまい……これならグイグイいけそうだ」
素直に感想を口にすると、サテュロスは相変わらず笑顔で口を開く。
「喜んでもらえたみたいで嬉しいです！まだまだあるから遠慮しないでいいですよ」
青年が頷くと、サテュロスが質問を投げかける。
「ここは人間が中々立ち入ることができないところなんですけど、キミはどうやってここまで？」
「実は自分でもよくわからなくて……両親に金がないからって売られてさ……」
「ええっ、ということは引き取られた商人に置き去りにされたとか……？」
「そう、そうなんだよ……全く酷い話でさ」
「本当に酷いですね。そんな奴はろくな目にならないから気にしちゃダメですよー」
身の上話を冗談交じりで聞いてくれるサテュロス。
青年は家族に対してもまともに自分の事を話す機会がなかった。
酒の力を借りているとはいえ、目の前のサテュロスと距離が近づくのを感じた。
サテュロスはマグカップなどを使わずにワインボトルを掴んではごくごくと豪快に飲んでいる。
「ふうっ、という事は、キミは独り身ですね？」
「まあ、家族にまで見捨てられたから天涯孤独だな……」
「そっかそっかぁ〜♪」
なぜか嬉しそうにサテュロスは含笑いをする。
「実は、この森って中々人が来ないんですよ。さっきみたいに笛を吹いて誰かが来るのを待っているんですけど、ほとんど失敗ばかりで……成功した時も、人の気配はするんだけど誰も姿を見せなくて……警戒されてるんだろうなあとは思ってたんです」
「……そうなのか」
「そんな時にキミが来てくれたから……本当に嬉しいです。最初は警戒してたみたいですけどこうしてお話しできますもんね？」
青年の顔を覗き込むサテュロスに、思わず心が奪われてしまう。
獣人ではあるが、話している時の反応や仕草は人間よりも可愛く見えた。
サテュロスの話に耳を傾けている内に、つい口の中が寂しくなって酒を入れてしまう。
異様なほどに飲みやすく、優しい味と共に果実の香りが舌と脳を満たしてくれる。
それからもサテュロスの話に華を咲かせては酒が進み、いつしか日が暮れた。
既に用意してあった薪を集めて、火を起こすと、ぱちぱちと辺りを照らす灯となった。
まるで山賊の親分かのように、サテュロスは豪快にワインボトルを飲み続けた。
顔はほんのり赤くなり、先ほどよりもさらに上機嫌になる。
「ふふっ、キミって面白いですね」
「そんなことないよ、普通に生きてきただけだし……」
「普通の人間は紛争に巻き込まれたり、奴隷として商人に売られたりしませんよ。それでも強く生きているキミは素直に凄いと思いますので自信を持ってください」
半ば同情めいた気持ちはあったが、話を聞いていくうちにサテュロスも青年に興味がわいてくる。自分が体験したことのない話を次から次へと話してくれる青年はとても新鮮で、もっと聞いていたくなる気分にさせてくれる。
「キミは逃げたりしないんですね」
「まあ、逃げる理由もないしな。獣人を嫌う人もいるけど、僕からすれば対して人間と変わらない」
「そうですね……でも獣人は不老なのが人間とは違いますね」
「え、そうなのか！？」
「冗談です」
くすくす笑いながら青年の頬をつつく。
だいぶデキあがってるようではあるが、意識ははっきりしている。
「でも、人間と比べたら老いの進行は遅いと思いますよ。現に私は何歳に見えますか……？」
「……それ答え間違ったら死ぬ奴じゃ……」
「ふふっ……さあてね……？」
笑顔が怖いサテュロスはワインボトルをがぶ飲みする。
そのあとも積もり積もる話を青年へ喋っては、青年も自分の生い立ちや他愛ない世間話をする。
青年は心のどこかで話し相手が欲しかったのかもしれない。
そんな時に出会った人恋しいサテュロスは青年の傷を幾分癒してくれた。
話も途切れる事なく、楽しい時間を過ごしていると、ふと青年はじっとサテュロスを見つめた。
サテュロスの端正な顔立ち、恵まれた身体に目をやると隠しきれない興奮が現れてしまう。
なんとか抑え込もうと思って抑えられるものでもない。それに加えてボロ切れなのでどう抗っても異変は現れる。
その変化に気付かないほど、サテュロスは鈍感ではなかった。
「……ね、どうしたんですか？目が泳いでますよ？」
心配そうに顔を覗き込む一方で胸を強調して見せるサテュロス。
大きさも形も整った実りある果実は青年の心を大きく揺さぶる。
ワインの甘い香りがふんわりと流れてきて、鼻腔をくすぐる。
「い、いや……なんでもない」
まだばれていないと思っている青年は腰を引き、異変を隠そうとした。
せっかく馬が合う人、もといサテュロスが現れたのに、こんな事で幻滅されては食料も水も寝床も得られない。
そのために酒の席で話に花を咲かせたわけではないが、死活問題だ。
なるべく目を逸らそうとするがサテュロスは意地悪く視界に入り、青年の反応を求める。
「頬が赤くなってますよ。もしかして照れてるんですか？」
「ちがっ……ちょっと酒が回ってきただけだよ」
決して青年の股間には触れようとせず、ひたすら青年の反応を確かめる。
普通の人間であれば、もう理性を失ってもおかしくない。
しかし、青年はすんでのところで耐えていた。
「……ちょっと笛を吹いてもいいですか？機嫌が良いと吹きたくなるんです」
「え、ええ……？いいけど……」
何の脈絡もなく笛に口を付けるサテュロス。
しかし、サテュロスは何も考えずに演奏をするほど不器用ではなかった。
口には出さないが心の奥深い底ではサテュロスの本能たる暗い欲が渦巻いているのだ。
「う……」
あまりにも美しい音色は青年を魅了し、同時に情欲を掻き立てる。
自らを奮い立たせるような扇情的なメロディーは雄を獣へと変貌させる。
それに加えて留める理性を溶かす酒を入れられては到底抗う事は不可能だった。
最後の防壁となる理性を音色と酒で溶かし、したり顔のサテュロスにとっては青年の反応が楽しみでしかなかった。
衰弱した青年が次にどういった行動をするのか……。
その如何によってはサテュロスも次の一手を打つ必要があるからだ。
しかし、青年はサテュロスが思っていたよりもあっさりと本能に従った。
笛を吹いていたサテュロスを押し倒すと、本能のままに唇を奪う。艶のある唇は重ねれば重なるほどに魅了され、長い長い口づけをしても飽きる事はなかった。
口づけを重ねて互いに顔を見つめる。
「ご、ごめん急になんかおかしくな……んぐっ！！？」
サテュロスは間髪入れずに青年の舌を求めて口づけする。
口内に侵入した舌を止める術はなくすぐに絡めとられ、甘い酒にたっぷり使った舌を存分に絡ませられる。
舌から滴る酒が青年の脳を蕩けさせ、さらに甘い夢心地へと誘われていく。
れろぉ……ぐちゅう……ちゅ……じゅるり……
今までの旅路を癒すように、思い出させなくするように、青年を口内から犯していく。
先ほどまでの明るさはそこにはなく、雌の本能に従い青年を我が物にしようという策略めいた行動を実行している。
少しずつ弱らせてから互いの愛を確かめ合い、最終的には思い切り依存させる。
食料も水も、住処も持っているサテュロスからしたら、何も持たない青年に対して大きく有利に物事を運ぶ事ができる。
サテュロスがちゅるりと舌を離すと、唾液が滴り互いの服を湿らせる。
「キミから手を出したんですから……遠慮はしませんよ……？」
ふわふわの体毛に押し付けられる青年の肉棒。
張り詰めた興奮の象徴はもはや隠す事など不可能だ。
羞恥に顔が紅くなったが、サテュロスは好色の意を示す。
「ぎゅっと抱きしめて擦り付けたら気持ちいいでしょう」
サテュロスは手を青年の背に回すと、ぐいっと引き寄せた。
「うあっ！！」
互いに密着した状態で肉棒は柔らかい体毛にぐちっと潰されている。
しかし優しく上下されるだけでこの上ない快感が上がってくるのがわかった。
我慢汁が垂れ、サテュロスの下腹部を汚しながら恍惚に浸っている。
サテュロスの力は強く、青年のやつれた体では突き放す事など出来ない。
嫌と言っても逃げられるわけがなかった。
青年が気持ちよさそうにびくんと跳ねるたびに、サテュロスは満ち足りた気持ちになる。
酔いが脳を揺さぶり、まともに物を考えられない青年は、ただひたすら快楽を享受するしかなかった。
「このお酒で酔ってる時に出すとすっごい気持ちいいですよ。何もかも忘れたくなるくらい、快感で塗りつぶされるらしいんですけど……もう限界ですか？」
「あふっ……あああっ……」
「出してもいいですけど、その代わり、出せば出すほどキミの中で私のイメージが濃くなりますよ。あんまり出し過ぎると……戻れなくなりますよ？くすくす」
忠告はするが、サテュロスは決して擦るのを止めなかった。
深くキスをされてまた舌を絡められる。
体毛に包み込まれ、柔らかい肌にぐりっと肉棒の先端を押し付けられた時、今まで溜まっていた精液が溢れ出た。
びゅくん、びゅくんと肉棒が激しく脈動するのが伝わり、気持ちよすぎる快楽の前に思わずサテュロスをぎゅうっと抱きしめた。
サテュロスは射精を確認すると、青年の舌を思い切り吸い上げた。淫らな水音を立てながら、サキュバスが精力を奪い取るかのように。
キスをしながらだったのでまともに息もできずにはあはあと荒く息づいてしまう。
「しあわせそうな顔です……でもまだこれからですよ」
「え……」
青年は思い切り射精した後に自らの異変に気が付いた。
いつもなら萎えていく肉棒が全く衰えていなかったからだ。
「私がキミにあげたお酒は精力を増強して興奮しやすくする作用があります。これでたくさんできますよ」
「なっ……初めからそのつもりで酒を……？」
「あはははっ、何を言ってるんですか……そうに決まってるじゃないですか……ふふふっ」
サテュロスは青年の肉棒を掴むと、激しく上下に扱いてくる。
手袋の擦れるような感触がたまらない。
射精したばかりだというのにまた興奮を促され、続くキスの前に何も太刀打ちできない。
甘ったるいサテュロスの唾液を流し込まれ、しっとりとした目で見られながら犯される。
足がガクガクと震え、立つことも困難になる。
辛そうな青年を察してか、サテュロスはゆっくりと青年を芝生へ寝かせる。
サテュロスは添い寝をし、青年の耳元で囁く。
ぱちぱちと薪が命を燃やす傍ら、青年は精を放ちたい欲望でいっぱいだった。
「最後までじっくり見ててあげますから、思い切り射精してくださいね」
サテュロスに玩具のように扱われる肉棒は刺激にさらされて我慢汁が溢れ出る。
びくびくと脈打ちはじめ、サテュロスの手袋は汚れてしまっている。
そんなことはお構いなしに、サテュロスは扱くのをやめずに青年を追い詰めていく。
「あああ！やめっ……！ひぃ！」
「さあ、射精のお時間ですよ〜ぴゅっぴゅしましょうね……？」
幼子をあやすような言葉で、青年を優しく射精へと導いた。
激しく律動した肉棒はサテュロスの手の中でびくんびくんと暴れる。
その激しい動きを抑え込むように強く握ると、サテュロスの嗜虐心は満たされていく。
「……うっ、ううっ……」
「気持ちよさそうでしたね。では前戯もこれぐらいにしておきましょうか」
前……戯……？
青年は耳を疑った。
二回も射精を促されたのに、それがまだ前戯だったなんて。
息つく暇もなく、サテュロスは青年に馬乗りになったかと思うと、体を前に倒して唇を重ねる。
サテュロスの柔らかい胸が青年の胸板で押しつぶされ、心地良すぎて動く気にもなれなかった。
唇を離すとサテュロスはワインボトルに口を付け、そのまま青年へ口づけする。
口内にワインを口移しで流し込まれ、またさらなる興奮を助長させる。
「んぷっ……れうっ……んんっ……おいしいって言ってくれましたもんね。たくさん飲ませてあげますよ……」
「ま、まって……あぅ……」
絶え間なくワインを押し込まれて青年の息は絶え絶えだった。そして視界はぼうっとしてきて次第にまた性欲が蘇り始める。
サテュロスは興奮した様子で自らの秘所を肉棒へ近づける。
「そ、それはだめだ……！」
「あはっ、もう手遅れですよ……」
狙いを定めて腰をおろすと、青年の肉棒はサテュロスの密壺に飲み込まれる。
入れた瞬間に襲う極上の快感。サテュロスがぎゅっと力を入れる度に身悶えさせられる。
「ひああっ！ こ、これやばいっ……」
「……んっ……これで一つになれましたね……さあ、じっくり楽しみましょう」
にゅぷっ……ずぷっ……
淫らな音が辺りに響き渡る。
サテュロスは青年と深くキスをしながら腰を振る。
すべてをサテュロスに繋がれているような感覚に身を震わせる事しかできなかった。
「れろ……出したらわかってますよね……？責任は取ってくださいね……？」
「や、やめ……あ、ああああ！！」
あまりにサテュロスの中が気持よくて、こすれる度に出しそうになる。
ましてや柔らかい体毛が常時肌に張り付いていて、ずっと交わっていたくなる柔らかさが青年の思考を停止させる。
それでも根性で耐えきっていたが、積極的なサテュロスの舌技、腰使いに骨抜きにされてしまう。そしてついに限界が訪れる。
「責任の取り方は色々あると思いますが、少なくとも私の元を離れて逃げ出すなんてことはありえませんよ……？ふふっ、あはははっ……よかったですね。孤独な生活ともこれでおさらばですよ……？これからは私がキミといるんですからね」
「そんなの……くぅっ……」
「イヤなら頑張って我慢してください。射精したらそういうことだと理解しますから。もっとも、我慢なんてさせませんけどね……？
「ぐっ……も、もうだめだ……でる…っ……」
肉棒が射精準備に入ってるのが分かった。張り詰めた性欲の塊がサテュロスの膣によって解放されようとしている。
瞬時に蓄えられた精液が弾け飛ぶのを止める事ができない。
「さあとどめです。イってください」
サテュロスは青年の唇を奪うと、舌を絡ませ思い切り吸い上げる
同時に膣に力をぎゅっと入れて根元から絞り上げるような動きを加えて肉棒を喜ばせる。
「あああっ……」
この動きに青年は耐えられずに溜まった精液を吐き出してしまう。
びゅくびゅくと激しく脈打ちながら放たれる精液は２回出した後でも衰えていなかった。
「あっ……熱いのがきてる……」
精液はサテュロスの膣へと吸い込まれた。
ひとしきり射精が終わると、サテュロスは肉棒を引き抜くと、どろりと精液が垂れ落ちる。
ワインが回って、意識が朦朧としていた中での盛大な射精で、青年は意識を手放した。
日の光が窓から差し込み、青年の顔を柔く照らす。
目覚めた所に見覚えはない、木製の寝室だ。
「ここは……」
まだふらふらはするが、悪酔いはしていないので気分の悪さはない。
自分の服装に目をやるとボロキレはすべて剥がされ、町を歩いていてもおかしくないような服装に仕立てされていた。
昨日のことを次第に思い出し、辺りを見回すが彼女はいない。
「おはようございます」
青年の後ろから声がする。ぽんと肩を置かれ、振り向くと、笑顔のサテュロスがそこにいた。
サテュロスを見た瞬間、どうしようもなく愛おしくなり、体が震えてくる。
思わず抱き着くと、震えも止まり、心地よい充足感が青年を満たしていく。
「……だいすきだ……もうお前がいないと生きていけない……」
「ふふふっ、そうですか。私も、同じ気持ちですよ」
だから
「ずっと一緒にいてくださいね？」
両親に身を売られ、トラックに投げ込まれた事までは、覚えているが、その後の事は覚えていい。
何か事故にでもあって放り棄てられたのか、それとも邪魔だったから捨てたのか。
理由は分からないが、後頭部がズキズキと痛み始める。
幸い大きなけがはしていないが、まともに食事を取っていなかったためか元気はない。
ジメジメとした湿地帯は居心地も悪く、色とりどりの毒蛇が警鐘を鳴らしている。
長居してもいいことはないと悟り、ボロ切れを纏ったまま走り出す。
膝が切れて出血しているため全速力では走れない。
それでもその場にいるよりは何より最善の策だと思った。
数時間走ったり、歩いたりを繰り返していくうちに日も沈み始めた。
肌寒い風が青年の横を走り去る。
このまま日が暮れれば、食料も何もない状態で一夜を過ごすことになる。
ましてや真夜中の森で、どんな獰猛な動物が青年を狙っているかわからない。
何としてでも状況を一変させなければ、死に限りなく近いのは必至だった。
とはいえ、草木を掻き分けても開けた場所には出そうにない。
万事休すと思って俯いたその時、青年の耳に美しい笛の音色がかすかに届いた。
どこからともなく聞こえてきたその音色は聞いたことがないほど美しく、人を惹きつける力があった。
誰かがいる。もしかしたら助けてくれるかもしれない。
藁にもすがる思いでその音色がする方へと青年は駆け出した。
獲物をおびき寄せるような、妖しい音色だという事を疑いもせずに。
道なき道を突き進んだ所で、少し開けた場所に出ることができた。
音色の主を見つけるまでそう時間はかからなかった。
切り株に座りながら笛を吹いている獣人。
山羊のツノに柔らかそうな体毛が特徴的で、残念ながら同じ人間ではない。
下手をすれば、青年を獲って食う可能性だってある。
警戒しながら近付くと、獣人は突如笛を吹くのをやめた。
そして青年に気づくとにっこりと微笑んだ。
屈託のない笑顔に思わず気を緩ませてしまう。
最大限に警戒しながら、じりじりとにじり寄っていく。
「別に襲ったりしませんよ？」
「そ、そうか」
小さく笑いながら、フレンドリーに話しかける獣人は目を凝らせばどこかで見たことがある種族の特徴に似ていた。
サテュロス。
笛を吹くのが好きな温厚な獣人……。
青年が覚えているのはここまでで、実際の所は詳しく知らない。
とりあえず獰猛な動物でない事は確かだ。
一人だけ警戒しているのが馬鹿らしくなり、すっと肩の力を抜く。
「私はただ誰かとお酒を飲みたいだけなんです。一人でお酒を飲むより、二人の方がいいですからね。キミはお酒大丈夫ですか？」
サテュロスは切り株の横に置いてあった紫色のワインボトルを取り出すと、白いマグカップになみなみと注ぎ、青年に渡してきた。
そういえば、サテュロスって酒も好きだったっけと青年は思い出した。
「一緒に飲んでぱぁーっと過ごしましょう」
「大丈夫だけど……実は、遭難して食べ物も水もないんだ」
せっかくの酒の席で水を差すようで申し訳ないが、はっきり言っておかなければサテュロスのペースに引き込まれる。
暗くなると思ったが、素っ頓狂なほどサテュロスは明るかった。
「あーそうなんですか？ じゃあ私が全部面倒見てあげます！ 夜を安全に過ごせる場所も教えてあげます！」
「ほ、ほんとか？」
まさかの事態に喜びを隠せない。
もうダメだと思っていたが、神様は見捨てなかった。
神よありがとう。
両親に身を売られた時とはうって変わって神様に感謝するのだった。
「その代わり私と飲んでくれたら、ですけどね」
「そんなこと言われたら喜んで飲むよ！ ありがとう！」
「えへへ、そんなに喜んでもらえると照れますよ……さ、ぐいっといっちゃって」
渡された容器は標準のマグカップほどの大きさだが、そこになみなみとワインが注がれている。
全部一気に飲むのは無理だが、青年にとって酒は弱い方でもない。
これくらいなら口をつけても倒れる事はないだろう。
青年はマグカップに口をつけて、ごくごくと飲み始めた。
隣でサテュロスが小さく口を弧に歪めたが、青年はその事には全く気付かない。
半分程度飲み干して、ワインのあまりの飲みやすさに驚いた。
「うまい……これならグイグイいけそうだ」
素直に感想を口にすると、サテュロスは相変わらず笑顔で口を開く。
「喜んでもらえたみたいで嬉しいです！まだまだあるから遠慮しないでいいですよ」
青年が頷くと、サテュロスが質問を投げかける。
「ここは人間が中々立ち入ることができないところなんですけど、キミはどうやってここまで？」
「実は自分でもよくわからなくて……両親に金がないからって売られてさ……」
「ええっ、ということは引き取られた商人に置き去りにされたとか……？」
「そう、そうなんだよ……全く酷い話でさ」
「本当に酷いですね。そんな奴はろくな目にならないから気にしちゃダメですよー」
身の上話を冗談交じりで聞いてくれるサテュロス。
青年は家族に対してもまともに自分の事を話す機会がなかった。
酒の力を借りているとはいえ、目の前のサテュロスと距離が近づくのを感じた。
サテュロスはマグカップなどを使わずにワインボトルを掴んではごくごくと豪快に飲んでいる。
「ふうっ、という事は、キミは独り身ですね？」
「まあ、家族にまで見捨てられたから天涯孤独だな……」
「そっかそっかぁ〜♪」
なぜか嬉しそうにサテュロスは含笑いをする。
「実は、この森って中々人が来ないんですよ。さっきみたいに笛を吹いて誰かが来るのを待っているんですけど、ほとんど失敗ばかりで……成功した時も、人の気配はするんだけど誰も姿を見せなくて……警戒されてるんだろうなあとは思ってたんです」
「……そうなのか」
「そんな時にキミが来てくれたから……本当に嬉しいです。最初は警戒してたみたいですけどこうしてお話しできますもんね？」
青年の顔を覗き込むサテュロスに、思わず心が奪われてしまう。
獣人ではあるが、話している時の反応や仕草は人間よりも可愛く見えた。
サテュロスの話に耳を傾けている内に、つい口の中が寂しくなって酒を入れてしまう。
異様なほどに飲みやすく、優しい味と共に果実の香りが舌と脳を満たしてくれる。
それからもサテュロスの話に華を咲かせては酒が進み、いつしか日が暮れた。
既に用意してあった薪を集めて、火を起こすと、ぱちぱちと辺りを照らす灯となった。
まるで山賊の親分かのように、サテュロスは豪快にワインボトルを飲み続けた。
顔はほんのり赤くなり、先ほどよりもさらに上機嫌になる。
「ふふっ、キミって面白いですね」
「そんなことないよ、普通に生きてきただけだし……」
「普通の人間は紛争に巻き込まれたり、奴隷として商人に売られたりしませんよ。それでも強く生きているキミは素直に凄いと思いますので自信を持ってください」
半ば同情めいた気持ちはあったが、話を聞いていくうちにサテュロスも青年に興味がわいてくる。自分が体験したことのない話を次から次へと話してくれる青年はとても新鮮で、もっと聞いていたくなる気分にさせてくれる。
「キミは逃げたりしないんですね」
「まあ、逃げる理由もないしな。獣人を嫌う人もいるけど、僕からすれば対して人間と変わらない」
「そうですね……でも獣人は不老なのが人間とは違いますね」
「え、そうなのか！？」
「冗談です」
くすくす笑いながら青年の頬をつつく。
だいぶデキあがってるようではあるが、意識ははっきりしている。
「でも、人間と比べたら老いの進行は遅いと思いますよ。現に私は何歳に見えますか……？」
「……それ答え間違ったら死ぬ奴じゃ……」
「ふふっ……さあてね……？」
笑顔が怖いサテュロスはワインボトルをがぶ飲みする。
そのあとも積もり積もる話を青年へ喋っては、青年も自分の生い立ちや他愛ない世間話をする。
青年は心のどこかで話し相手が欲しかったのかもしれない。
そんな時に出会った人恋しいサテュロスは青年の傷を幾分癒してくれた。
話も途切れる事なく、楽しい時間を過ごしていると、ふと青年はじっとサテュロスを見つめた。
サテュロスの端正な顔立ち、恵まれた身体に目をやると隠しきれない興奮が現れてしまう。
なんとか抑え込もうと思って抑えられるものでもない。それに加えてボロ切れなのでどう抗っても異変は現れる。
その変化に気付かないほど、サテュロスは鈍感ではなかった。
「……ね、どうしたんですか？目が泳いでますよ？」
心配そうに顔を覗き込む一方で胸を強調して見せるサテュロス。
大きさも形も整った実りある果実は青年の心を大きく揺さぶる。
ワインの甘い香りがふんわりと流れてきて、鼻腔をくすぐる。
「い、いや……なんでもない」
まだばれていないと思っている青年は腰を引き、異変を隠そうとした。
せっかく馬が合う人、もといサテュロスが現れたのに、こんな事で幻滅されては食料も水も寝床も得られない。
そのために酒の席で話に花を咲かせたわけではないが、死活問題だ。
なるべく目を逸らそうとするがサテュロスは意地悪く視界に入り、青年の反応を求める。
「頬が赤くなってますよ。もしかして照れてるんですか？」
「ちがっ……ちょっと酒が回ってきただけだよ」
決して青年の股間には触れようとせず、ひたすら青年の反応を確かめる。
普通の人間であれば、もう理性を失ってもおかしくない。
しかし、青年はすんでのところで耐えていた。
「……ちょっと笛を吹いてもいいですか？機嫌が良いと吹きたくなるんです」
「え、ええ……？いいけど……」
何の脈絡もなく笛に口を付けるサテュロス。
しかし、サテュロスは何も考えずに演奏をするほど不器用ではなかった。
口には出さないが心の奥深い底ではサテュロスの本能たる暗い欲が渦巻いているのだ。
「う……」
あまりにも美しい音色は青年を魅了し、同時に情欲を掻き立てる。
自らを奮い立たせるような扇情的なメロディーは雄を獣へと変貌させる。
それに加えて留める理性を溶かす酒を入れられては到底抗う事は不可能だった。
最後の防壁となる理性を音色と酒で溶かし、したり顔のサテュロスにとっては青年の反応が楽しみでしかなかった。
衰弱した青年が次にどういった行動をするのか……。
その如何によってはサテュロスも次の一手を打つ必要があるからだ。
しかし、青年はサテュロスが思っていたよりもあっさりと本能に従った。
笛を吹いていたサテュロスを押し倒すと、本能のままに唇を奪う。艶のある唇は重ねれば重なるほどに魅了され、長い長い口づけをしても飽きる事はなかった。
口づけを重ねて互いに顔を見つめる。
「ご、ごめん急になんかおかしくな……んぐっ！！？」
サテュロスは間髪入れずに青年の舌を求めて口づけする。
口内に侵入した舌を止める術はなくすぐに絡めとられ、甘い酒にたっぷり使った舌を存分に絡ませられる。
舌から滴る酒が青年の脳を蕩けさせ、さらに甘い夢心地へと誘われていく。
れろぉ……ぐちゅう……ちゅ……じゅるり……
今までの旅路を癒すように、思い出させなくするように、青年を口内から犯していく。
先ほどまでの明るさはそこにはなく、雌の本能に従い青年を我が物にしようという策略めいた行動を実行している。
少しずつ弱らせてから互いの愛を確かめ合い、最終的には思い切り依存させる。
食料も水も、住処も持っているサテュロスからしたら、何も持たない青年に対して大きく有利に物事を運ぶ事ができる。
サテュロスがちゅるりと舌を離すと、唾液が滴り互いの服を湿らせる。
「キミから手を出したんですから……遠慮はしませんよ……？」
ふわふわの体毛に押し付けられる青年の肉棒。
張り詰めた興奮の象徴はもはや隠す事など不可能だ。
羞恥に顔が紅くなったが、サテュロスは好色の意を示す。
「ぎゅっと抱きしめて擦り付けたら気持ちいいでしょう」
サテュロスは手を青年の背に回すと、ぐいっと引き寄せた。
「うあっ！！」
互いに密着した状態で肉棒は柔らかい体毛にぐちっと潰されている。
しかし優しく上下されるだけでこの上ない快感が上がってくるのがわかった。
我慢汁が垂れ、サテュロスの下腹部を汚しながら恍惚に浸っている。
サテュロスの力は強く、青年のやつれた体では突き放す事など出来ない。
嫌と言っても逃げられるわけがなかった。
青年が気持ちよさそうにびくんと跳ねるたびに、サテュロスは満ち足りた気持ちになる。
酔いが脳を揺さぶり、まともに物を考えられない青年は、ただひたすら快楽を享受するしかなかった。
「このお酒で酔ってる時に出すとすっごい気持ちいいですよ。何もかも忘れたくなるくらい、快感で塗りつぶされるらしいんですけど……もう限界ですか？」
「あふっ……あああっ……」
「出してもいいですけど、その代わり、出せば出すほどキミの中で私のイメージが濃くなりますよ。あんまり出し過ぎると……戻れなくなりますよ？くすくす」
忠告はするが、サテュロスは決して擦るのを止めなかった。
深くキスをされてまた舌を絡められる。
体毛に包み込まれ、柔らかい肌にぐりっと肉棒の先端を押し付けられた時、今まで溜まっていた精液が溢れ出た。
びゅくん、びゅくんと肉棒が激しく脈動するのが伝わり、気持ちよすぎる快楽の前に思わずサテュロスをぎゅうっと抱きしめた。
サテュロスは射精を確認すると、青年の舌を思い切り吸い上げた。淫らな水音を立てながら、サキュバスが精力を奪い取るかのように。
キスをしながらだったのでまともに息もできずにはあはあと荒く息づいてしまう。
「しあわせそうな顔です……でもまだこれからですよ」
「え……」
青年は思い切り射精した後に自らの異変に気が付いた。
いつもなら萎えていく肉棒が全く衰えていなかったからだ。
「私がキミにあげたお酒は精力を増強して興奮しやすくする作用があります。これでたくさんできますよ」
「なっ……初めからそのつもりで酒を……？」
「あはははっ、何を言ってるんですか……そうに決まってるじゃないですか……ふふふっ」
サテュロスは青年の肉棒を掴むと、激しく上下に扱いてくる。
手袋の擦れるような感触がたまらない。
射精したばかりだというのにまた興奮を促され、続くキスの前に何も太刀打ちできない。
甘ったるいサテュロスの唾液を流し込まれ、しっとりとした目で見られながら犯される。
足がガクガクと震え、立つことも困難になる。
辛そうな青年を察してか、サテュロスはゆっくりと青年を芝生へ寝かせる。
サテュロスは添い寝をし、青年の耳元で囁く。
ぱちぱちと薪が命を燃やす傍ら、青年は精を放ちたい欲望でいっぱいだった。
「最後までじっくり見ててあげますから、思い切り射精してくださいね」
サテュロスに玩具のように扱われる肉棒は刺激にさらされて我慢汁が溢れ出る。
びくびくと脈打ちはじめ、サテュロスの手袋は汚れてしまっている。
そんなことはお構いなしに、サテュロスは扱くのをやめずに青年を追い詰めていく。
「あああ！やめっ……！ひぃ！」
「さあ、射精のお時間ですよ〜ぴゅっぴゅしましょうね……？」
幼子をあやすような言葉で、青年を優しく射精へと導いた。
激しく律動した肉棒はサテュロスの手の中でびくんびくんと暴れる。
その激しい動きを抑え込むように強く握ると、サテュロスの嗜虐心は満たされていく。
「……うっ、ううっ……」
「気持ちよさそうでしたね。では前戯もこれぐらいにしておきましょうか」
前……戯……？
青年は耳を疑った。
二回も射精を促されたのに、それがまだ前戯だったなんて。
息つく暇もなく、サテュロスは青年に馬乗りになったかと思うと、体を前に倒して唇を重ねる。
サテュロスの柔らかい胸が青年の胸板で押しつぶされ、心地良すぎて動く気にもなれなかった。
唇を離すとサテュロスはワインボトルに口を付け、そのまま青年へ口づけする。
口内にワインを口移しで流し込まれ、またさらなる興奮を助長させる。
「んぷっ……れうっ……んんっ……おいしいって言ってくれましたもんね。たくさん飲ませてあげますよ……」
「ま、まって……あぅ……」
絶え間なくワインを押し込まれて青年の息は絶え絶えだった。そして視界はぼうっとしてきて次第にまた性欲が蘇り始める。
サテュロスは興奮した様子で自らの秘所を肉棒へ近づける。
「そ、それはだめだ……！」
「あはっ、もう手遅れですよ……」
狙いを定めて腰をおろすと、青年の肉棒はサテュロスの密壺に飲み込まれる。
入れた瞬間に襲う極上の快感。サテュロスがぎゅっと力を入れる度に身悶えさせられる。
「ひああっ！ こ、これやばいっ……」
「……んっ……これで一つになれましたね……さあ、じっくり楽しみましょう」
にゅぷっ……ずぷっ……
淫らな音が辺りに響き渡る。
サテュロスは青年と深くキスをしながら腰を振る。
すべてをサテュロスに繋がれているような感覚に身を震わせる事しかできなかった。
「れろ……出したらわかってますよね……？責任は取ってくださいね……？」
「や、やめ……あ、ああああ！！」
あまりにサテュロスの中が気持よくて、こすれる度に出しそうになる。
ましてや柔らかい体毛が常時肌に張り付いていて、ずっと交わっていたくなる柔らかさが青年の思考を停止させる。
それでも根性で耐えきっていたが、積極的なサテュロスの舌技、腰使いに骨抜きにされてしまう。そしてついに限界が訪れる。
「責任の取り方は色々あると思いますが、少なくとも私の元を離れて逃げ出すなんてことはありえませんよ……？ふふっ、あはははっ……よかったですね。孤独な生活ともこれでおさらばですよ……？これからは私がキミといるんですからね」
「そんなの……くぅっ……」
「イヤなら頑張って我慢してください。射精したらそういうことだと理解しますから。もっとも、我慢なんてさせませんけどね……？
「ぐっ……も、もうだめだ……でる…っ……」
肉棒が射精準備に入ってるのが分かった。張り詰めた性欲の塊がサテュロスの膣によって解放されようとしている。
瞬時に蓄えられた精液が弾け飛ぶのを止める事ができない。
「さあとどめです。イってください」
サテュロスは青年の唇を奪うと、舌を絡ませ思い切り吸い上げる
同時に膣に力をぎゅっと入れて根元から絞り上げるような動きを加えて肉棒を喜ばせる。
「あああっ……」
この動きに青年は耐えられずに溜まった精液を吐き出してしまう。
びゅくびゅくと激しく脈打ちながら放たれる精液は２回出した後でも衰えていなかった。
「あっ……熱いのがきてる……」
精液はサテュロスの膣へと吸い込まれた。
ひとしきり射精が終わると、サテュロスは肉棒を引き抜くと、どろりと精液が垂れ落ちる。
ワインが回って、意識が朦朧としていた中での盛大な射精で、青年は意識を手放した。
日の光が窓から差し込み、青年の顔を柔く照らす。
目覚めた所に見覚えはない、木製の寝室だ。
「ここは……」
まだふらふらはするが、悪酔いはしていないので気分の悪さはない。
自分の服装に目をやるとボロキレはすべて剥がされ、町を歩いていてもおかしくないような服装に仕立てされていた。
昨日のことを次第に思い出し、辺りを見回すが彼女はいない。
「おはようございます」
青年の後ろから声がする。ぽんと肩を置かれ、振り向くと、笑顔のサテュロスがそこにいた。
サテュロスを見た瞬間、どうしようもなく愛おしくなり、体が震えてくる。
思わず抱き着くと、震えも止まり、心地よい充足感が青年を満たしていく。
「……だいすきだ……もうお前がいないと生きていけない……」
「ふふふっ、そうですか。私も、同じ気持ちですよ」
だから
「ずっと一緒にいてくださいね？」
16/11/28 00:16更新 / コロメ