新しい家族
多くの人が賑わう町中から少し離れた森の中。
一人の少年がカゴを片手に枝々の根本に生えたキノコを摘んでいく。
少年はキノコを売って小遣い稼ぎをしており、植物図鑑を片手に食べられそうなものを探している。
最近では図鑑を使わなくてもどれが毒を持っているかは分かるようにはなったので、半人前は脱出できたと言えるかもしれない。
そして今日は秋のシーズンにしか生えないと言われる香り高いキノコの群生地に向かっていた。
太陽は雲に隠れ、風もなく、穏やかな気候だった。
目当てのキノコはなかなか見つからないが、そこそこ良い値で売れるキノコを抜き取り、カゴの中身は次第に膨れていった。
しかし、少年はさらなる収穫を求めて普段行かない森の奥地へと足を踏み入れる。
森の奥地では凶悪な魔物がひしめいていると町の誰もが理解していることだが、少しくらいなら大丈夫だろうと軽んじる少年がそこにはいた。
じめじめとした地帯を伸びきった草を掻き分けながら、腐った枝や木の根元を探していく。
探し始めてから30分は経っただろうか。ある草を掻き分けた時に、目当てのキノコが腐った枝に繁殖していた。
「あった！」
思わず声が出てしまうほど興奮し、すぐさまその場に近づいた。
少年は宝の山からもくもくとキノコを採取し、ついにはカゴがキノコで一杯になった。
これだけあればしばらく遊んで暮らせるーー
そんな欲望が少年の頭に思い浮かぶ。
荷物をまとめ、さっさと町へもどろうと振り向いた時、今まで全く揺れなかった木々がさわさわと揺れ動いている。
風も吹いていないのに、なんだか不気味だった。
ここは凶悪な魔物が出ると言われる魔境の地…。
少年はそのことをあまり信じてはいなかったが、長居はしたくない居心地の悪さを感じていた。
少年の胸まである草を掻き分け、歩を進める。
空耳かもしれないが、幽霊のような声が辺りに響き渡る。
思わず身体を反応させ、辺りを見回してみるが、人影はなかった。
こうなってくると一層気味が悪くなり、自然と足の進み方も速くなる。
目印として大木に傷をつけた場所まで戻った。
その時、少年の耳に妙な音が入り込んできた。
何かと思って振り向いてみれば、遠くの草が激しく揺れているのが目に入った。
その揺れは異常なスピードでどんどん少年に迫っていく。
草に隠れて姿は確認出来ないが何かとんでもないものが少年に向かっているのはあきらかだった。
このまま逃げても逃げ切るのは無理だと思い、少年は大木に登り始める。
高い所に身を置けば魔物が少年を襲おうとしても、魔物が高いところに行ける術はないと考えたからである。
激しい草の揺れは大木の前でピタっと止まり、異様な静けさの後にその身を晒す。
「ひぃ……！」
少年が見たものは間違いなく魔物だった。
蛇のようにうねった身体に、硬そうな鱗で覆われた深い緑の身体。
そして人間の女性のような上半身を兼ね揃えていて、初めて見るその魔物に、少年は言葉が出なかった。
というのも町で語られている極悪非道な魔物、ワームに似た箇所が多すぎたのだ。
確か噂では獲物を見つけると執拗に追いかけ、疲れきったところに巻き付いて全身の骨をバキバキに折ると聞いた事がある。
そして無慈悲に獲物の四肢を食いちぎって、苦痛に悶えている所を頭から咀嚼される…考えただけで身震いするような凄惨な話だ。
「おいしそう……おい……しそう……」
涎を垂らさんばかりの欲望に忠実な顔に戦慄を覚える。
捕まれば、噂通りバクリと食われて、絶命するという嫌なイメージしか湧いてこなかった。
見たところお腹が空いているから、何か食べ物をあげれば見逃してくれるかもしれない。
そうは言っても、少年の手にはカゴ一杯のキノコのみ。
町まで持ち帰ることが出来れば多額のお金と取引できるので気は進まない。
ワームは痺れを切らしたのか、大木に体当たりをし始める。
そんなことをしてもそうそう折れることなどないと鷹を括っていたが、次第にミシミシと嫌な音を立て始める。
立派な二角を木に何度も突き刺し、切れ込みを入れているようにも見える。
それが偶然の産物かどうかは分からないが、大木へのダメージは著しかった。
このままでは死ぬ。
そう思い、少年はキノコの入ったカゴごとワームに投げた。
カゴはワームのそばにポトンと落ち、ワームの視線もカゴに移る。
興味津津といった様子で、華奢な手でひょいとカゴを拾いあげる。
「お、お腹空いてない？それ、あげるから見逃してくれないかな……」
ワームは、んむうと首をかしげると、カゴの中を乱暴にまさぐり、キノコを口に放り込んだ。
毒キノコでも入っていれば一矢報いる事ができたかもしれないが、今となってはもう遅かった。
もしゃもしゃと顎を上下に動かすと、みるみるうちに表情が暗くなっていく。
「まずい……」
ゴミでも見るかのような目でカゴを見下すと、飽きたようにぽいっと放り投げる。
視線が少年に切り替わった瞬間、恋する乙女のように目が爛々と輝く。
「えへ……私を殺そうとしたんだよね…でも私は毒なんて効かないんだよぉ……」
少年は大きな勘違いをされ、必死に弁明しようとするが言葉が出てこなかった。
逃げようにもどこにも逃げ道はない。
飛び降りればその瞬間を狙って捕まえられるし、この場に居座っても体当たりを続けらればいつしかこの大木も限界を
迎えるだろう。
「ち、違う！ちょっと話を聞いて……」
説得しようにも、興奮しているのか中々聞こうとしない。というより、二人の間にはそれなりの高低差があったため、聞きにくいのだろう。
ワームが一際強く身体を打ち付けると、大木は大きな音を立てて傾いた。
もうこれ以上は無理だ。
そう思い、大木が倒れる寸前に少年は身を投げ出す。
ドシンと地響きがした途端に地を蹴り、走りだした。
しかし、そう簡単にワームは逃がしてはくれなかった。
猛スピードで少年に迫り、ついに少年の足がワームによって掴まれる。
少年は派手に転んでしまい、そうなれば後はワームの思うがままだった。
しなやかな身体が少年に絡み付いていく。
「うう……」
噂通りなら間違い無く骨を折られる。
その恐怖で思考がまとまらなくなっていた。
しかし、少年の目の前のワームはひどく欲情してはいるが、残虐な事をしようなどとは微塵も思っていないのだ。
「捕まえたぁ……もう逃げられないよぉ？」
少年の耳元で荒い息遣いが繰り返される。
ぎしぎしと巻きつかれる感触は妙な心地よさを伴い、雄の性なのか、下半身が反応してしまう。
その変化にワームが気づかないわけもなく、にんまりと口を開くと、少年の唇を奪う。
我慢出来ずに漏れていた愛液をじゅるじゅると流し込まれ、興奮がより助長される。
少年からすればワームは異種なのだが、その愛液は雌の匂いが染み付いており、異種を感じさせず味覚を甘さが支配する。
「んく……んんぅ……」
少年が顔を反らそうとしても大きな両手で頬を挟まれ無理にでも口内を犯してくる。
ふやけそうな意識の中、ワームは満足したのか唇を遠ざける。
液が淫らに糸を引き、とろんとした眼で少年の怯えた表情をじっと見つめる。
必死に身体をひねってみても、下半身が接着剤で固定されているかのように全く動かない。
か細い腕で胴体をぽかぽか叩いても結果は同じだった。
「もう、かわいいなあ……そんなに焦らなくてもシてあげるからぁ……」
「ち、ちがっ……ひゃぅあ！」
少年の叩くという行為はワームにとっては性行為を求める求愛行動でしかない。
この近辺のワーム、特に彼女は非常にポジティブに物事を取る傾向がある。
考える事が苦手な彼女としてはそのほうが楽なのかもしれない。
「ちょ、ちょっとまって！ 待った！ ストップ！」
「ぅん……？」
少年の必死さが伝わったのか、発情した表情が少し緩む。
「あのね、ぼ、僕は……全然美味しくないよ！」
腹から声を絞り出して、何とか目の前のワームに訴えかける。
虚勢を張った所で解放してくれるとは思えないが、とにかく抵抗したかったのだ。
小さな少年が大声を張り上げる、そのギャップにワームはびくっと震える。
「……そうなの？」
「う、うん！」
怯んだのかわからないが、ワームはエメラルド色の瞳で少年を見つめながら、何かをじっくり考えている。
元々このワームは頭が回る方では無い。
考える時はいつもエモノを捕まえてから、である。
そのほうがじっくりと物事を考えられるし、尚且つ絶対にエモノを逃さない自信があるのだ。
一際強く身体を締め付けると、にっこりと笑顔を浮かべ、涎を垂らす。
粘着性のある液体が少年の頭に降り注ぎ、ねっとりと顔を汚される。
「とてもそうには見えないよぅ……こんな可愛い子、一生探しても中々出会えないと思うんだぁ……えへへへへぇ……」
「いやでも！ あ、そうだ……僕には家族がいるんだ！家に帰らないときっと親が心配するから、だから」
「ん……かぞく……？」
ワームは頭に疑問符でも浮かんでいるかのように首をかしげる。
「なにそれ……おいしい？」
「お、おいしくなんかない！ キミにもいるでしょ……その……ほら、お母さんとかお父さんとか…」
「オトウサン……オカアサン……？ カゾクとどっちがおいしいの？」
何を想像してしまったのか、涎をさらにだらだらと垂れ流し、少年の顔は一層べとべとにされてしまう。
ワームは母親とも父親とも、確かに存在してはいるが、少年の言葉が両親を思い出すには至らなかった。
元々彼女は若いワームであり、特別語学堪能という訳でもない。
食べる事が大好きであり、食欲に素直に従い、愚直に食料を追い求める。
それはワーム全てに言える事ではなく、彼女特有の趣向から引き出される行動である。
物事には何でもまっすぐで、一度彼女に気に入られてしまえば逃げる事は難しい。
少年はワームにも分かりやすい言葉で何とか説明し、ようやくわかってもらえた。
「えええ……そういう意味だったの……オトウサンとオカアサン……カゾク……」
「そ、そうなんだよ！」
「そっかそっかぁ。じゃあ……キレイに忘れさせてあげるね……？」
「……は？」
途端に締め付けがさらに強くなり、愛しまれるように少年は身体をスリスリと擦り付けられる。
「私のパパとママはね……随分前にけんかしてどこかへ行っちゃったんだ。だから、二人で暮らしてカゾクになろ？」
「な！ そ、そんなのいやだ！ 僕はキミみたいな魔物となんて一緒には……」
「分かった？」
有無を言わさぬ威圧感を感じ、背筋が凍る。
ドラゴンの血が流れているからなのか、その風格を垣間見せられる。
流れからして首を横には振れなかった。
少年は甘んじて首を縦に振ってしまう。
殺人鬼のような眼差しから一転して子猫のような柔らかい笑顔に変わる。
「うんうん、いいこいいこ。じゃあ……とりあえず味見するから力を抜いて楽になってねぇ……」
ワームは少年の事が相当気に入ったようで、味見をせずとも連れて帰る気ではいたがやはりそこは食欲に勝てなかった。
彼女らワームはエモノの精がまずくても自らが体内で生成した分泌液をエモノに飲ませ続ける事によって自分好みの精を出す食料に変える事ができるので、何よりもワームの趣向に合うかどうかが一番重視されるのだ。
ワームは肉棒を根本からがっしりとつかむと、不慣れな手つきでごしゅごしゅと扱かれる。
無骨な外見からは想像もつかないくらいにすべすべでもちもちしたその手の触感は人間の女性と比べても謙遜が無い。
乱暴なシゴキ方ではあったが、気持ち良いことに変わりはない。
「う……ぐ……」
「れろぉ…んぐっ…ヨダレ、たっぷり先っぽにかけてあげたから……もっと気持ちよくなると思うよ……えへへ」
ぬちゃっとした液体が潤滑油となり、さらに滑りをよくさせる。
引っかかる事もなくなり、彼女の大雑把なシゴキがさらに強力になる。
蛇体で包み込まれている心地よさと、敏感な神経を握られている感触に、ワームに全てを支配されたような錯覚を引き起こす。
少年の頬をぺろっと舐め取るとそのままちゅぅぅうっと頬に吸い付く。
少年の柔い肌を楽しむようにはむはむと甘噛みし、扱くのも忘れずに快感を高めていく。
「はう！ こ、こんなので……」
「はむ……そろそろ、出るよね……たぁくさん私に味見させてね……んんぅ……」
口内に導かれるように少年のモノがワームに咥えられる。ワームの口内はしっとりとあたたかく、ぬちゃぬちゃの粘液が満遍なく口内に張り付いている。
その粘液が次から次へと侵入者に襲いかかり、べとべとのぬちゃぬちゃに仕立て上げると、最後の仕上げとばかりにじゅるるうううぅうぅううぅと思い切り先端を吸われる。
精を絞り出すその感覚に我慢できるわけもなく少年はびくんびくんと身体を震わせる。
「あああ！……う、うぁ……」
迫り来る律動を抑える事は出来ずに、全てをワームの口内に放出してしまう。
ずるううう…じゅるううう…
袋をやわやわと刺激され射精をさらに促され、もう何も出なくなった所でようやく解放される。
「いい味……癖になりそう……えへ、えへへへへぇ……」
味見もした所で、ワームは完全に少年を気に入ってしまったようだ。
少年を見つめる目は恋する乙女そのもので、ワームはさらに少年を締め付ける事でダイレクトに愛情を表現する。
「あぁああぐ！！」
肺に空気をつまらせたのか、一瞬息ができなくなってしまう。それで尚且つワームにぎゅーぎゅー締め付けられてしまえばむせ返るというもの。
そんな苦しむ少年を見て、ワームはすぐさま締め付けから解放する。
「だ、だいじょうぶ？」
ワームは心配なのか俯く少年の顔を下からぐいっと覗き込む。
「う……し、しぬ……たすけて……」
「え、え！ まだ会ったばかりなのに……死んじゃダメだよぉ……」
純粋なワームは少年を心の底から気遣っていた。惚れ込んだ手前、死ぬと聞かされてはいてもたってもいられなかったのだ。
それに彼女は人間の事について詳しくは知らない。
人間は私達と違ってほんの些細な事で死に至らしめてしまうのかもしれない。
そう思い込んでしまったのだ。
おどおどするワームを見て少年はとある思いつきを実行に移す。
「こ、このままでは死んでしまう……だから、ちょっと、離れていてくれないか……？」
「……え？」
「まだ魔物が発する瘴気には慣れないんだ……だから、少し離れれば良くなるから……」
「しょうき…？ そんなの聞いたことな」
「げほげほっ！……た、頼む！お願いだから……30秒だけでいいから！」
悶え苦しむ素振りを見て、ワームはますます少年を心配する。
「むう。さんじゅうびょう、だね」
「ああ、後向こう向いててくれないか。目を合わせると瘴気の威力が倍増するんだ」
「……そうなの？ わかった、つらそうだもんね」
ワームは少年の言葉を鵜呑みにし、目を両手で隠す。
少年はその仕草に多少可愛いとは思ったが、すぐさま草むらを掻き分けて先のカゴを拾う。
「ねーえ。何か草が擦れ合う音がするんだけど……」
「まだ駄目だ！ 今見たら体が拒否反応起こして死ぬ」
「んんう……わかったよぉ」
ワームのそんな様子にしたり顔を浮かべながら少年は来た道へ引き返す。
すぐさま勢いをつけて走りだす。
だがワームが追ってくる様子は無かった。
ワームは未だに少年の返答を待っているからだ。何度も何度も声を投げかけ、ずっと。
「……あれ」
全く反応が無くなり、さすがに不審に思ったのか目を見開き、辺りを見回す。
カゴもなければ少年もいなくなり、しばらく思考をまとめてから結論に至った。騙されたのだと。
「だましたんだぁ……くすくす……そんな事しても無駄なのに」
ワームの心の中で少年を完璧に制服したいという暗い欲が沸々と沸き起こる。
少年は良かれと思ってやったことかもしれないが、結果としてワームの心に火を点けてしまっただけかもしれない。
「あれだけ私の涎でべとべとにしてあげたんだもん……おうち以外の方向からの私の匂いを辿れば……えへへへぇ……まっててね……ぎゅーっと締め付けてめちゃくちゃに犯してあげるからぁ……」
高らかな笑い声が森に響き渡ると、ずぞぞっと地を這うような音とともに草むらが揺れる。
それは日が没し始めた夕方の出来事であった。
「ここまで逃げれば……」
少年は息を切らしながら膝に手をつく。
ワームがあまり頭が良くなくて助かった、そう思っていた。
しかし、少年は油断していた。
30秒やそこらのアドバンテージであればワームから逃げ切れる事など不可能なのだ。
物凄い地響きと共に地を這うような音。
少年は瞬時に悟ったがもう遅かった。
息も切れ切れの状態では、まともに走っても脇腹が痛くなり、その場でかがみこんでしまう。
視界にワームが入ってきた瞬間、その細い身体をぐるぐる巻きにされ、ぎちっ、ぎちっ、と絞められる。
「うああ……」
「えへへぇ……私から逃げようだなんて……わるい子だねぇ？」
おしおきといわんばかりに服は引き裂かれ、その無防備な状態でぬめったウロコを全身で感じさせられる。愛おしく巻き付かれ、愛おしく撫でられ、ワームの愛情を目一杯注がれると、息も絶え絶えの少年の唇は奪われる。
ねっとりとした突然のキスに対応できるわけもなく、されるがままに口内をワームの思うがままに蹂躙される。
少年の小さな舌などワームのおおきな舌に比べれば赤子のようなもの。
あっという間にくるくるされ、濃厚なディープキスをぐちゅぐちゅという淫らな音と共に実行されるとそれだけで少年の心は蕩けてしまいそうだった。
「や、やめ……しょ、瘴気が」
「それがどうしたの？ 気持ち良いんでしょ……？」
騙した相手の言う事など何回も信じない。
純粋なワームはそれだけに、学習能力はそれなりに素養があったのだ。
「ぜったいに逃がさないからね……えへへへへぇぇ……」
目を細めながら少年の肉棒を握り、乱暴にシゴキ始める。
発情したかのように舌を出し、精を奪わんとする動きに素直に応じてしまう。
「だして……ほら、はやく……だしてだして……」
サオとカリを揉みつぶされ、少年はたまらず精を吐き出す。
こぷこぷと零れ出る精液にワームは口角をあげると、丹念に舐めまわし精を味
わい尽くす。
「あはぁ……おいしいよぉ……さあて……私のおうちに帰ろうか？」
ぐったりと力を抜いた少年を絞め上げたまま、ワームは少年を戦利品のように大切に抱え込み、そのまま地を這い続ける。
移動している間にもたまらないといった表情できゅ〜っと頬と頬を擦り合わせられる。
今までずっと一人で生活してきたところに少年というカゾクが出来たのだ。
喜びもひとしおだった。
「まいにちまいにちいっぱい愛しあおうねぇ……？ でも、今度にげようとしたら……たっぷりいじめて……調教してあげる。泣いてもゆるさないから覚悟してねぇ……」
「そ、そんな……」
「だいじょうぶ。にげなければ私はいっつも優しいよ？」
頭を撫で撫でされ、不思議と安心感が少年の胸に広がっていく。
少し年上のお姉さんだと思えばワームに愛されるのも悪くないかもしれない。
「じゃあおうちに着く前にもう一回出しておこうねぇ……」
「ま、待って！まだ敏感……」
「だーめ♪さっき逃げたおしおきだから……たくさん喘いで気持ちよくなって」
唾を肉棒にたらし込むと、柔らかい指先でぎゅぎゅっと握られ、上下に擦られる。
「うあああ……」
悶絶の表情をワームにたっぷりと見られ、少年の心は恥辱にまみれていく。
ワームは手を離すと尻尾をぐるぐると肉棒に巻きつけて、ウロコを存分に感じさせると共に、裏筋を容赦なく絞めつけられ、手コキで高められた精液が暴発してしまいそうになる。
何とか耐えきると、柔らかな胸を顔に押し付けられぎゅっと抱きしめてくる。
「かおひんやりしててきもちい……ほらぁ……甘えてもいいんだよ。じゃあそろそろ……ぴゅっぴゅって出しちゃおうねぇ……」
少年は胸に顔を挟まれた状態でごしゅ、ごしゅと激しくシゴキを加えられ、溜め込んだ快感が波になって襲いかかってくる。ガマンしようにもワームの前では強制的に脱力させられてしまう。
「あううう……」
どぴゅ……どぴゅ……
気持ちいい律動に身を任せて、ワームのお腹に精をかけてしまう。
あまりの気持ちよさに気を失いそうになるが、ワームが少年の耳に舌をいれた瞬間意識が覚醒する。
「ひゃあう！」
「かわいい……おうちに帰ったらまたたぁくさん出してもらうよぉ？ それで
それで、あしたも、そのまたあしたもずぅーーっと愛しあうんだからねぇ……えへへ、えへへへぇ……」
少年に心酔したワームはこれから始まる二人の性活が待ち遠しくてたまらなかった。
もし、彼ら二人の性活を邪魔するような事があれば……
その者は間違いなくワームに叩きのめされるだろう。
それこそ竜に姿を変えて激しく攻撃的になることもあるかもしれない。
それから少年は快楽を貪るような性活を余儀なくされる。
「メインディッシュはこれからだよぉ……えへへへぇ……」
今日もワームの住処から嬌声が響き渡るーー。
一人の少年がカゴを片手に枝々の根本に生えたキノコを摘んでいく。
少年はキノコを売って小遣い稼ぎをしており、植物図鑑を片手に食べられそうなものを探している。
最近では図鑑を使わなくてもどれが毒を持っているかは分かるようにはなったので、半人前は脱出できたと言えるかもしれない。
そして今日は秋のシーズンにしか生えないと言われる香り高いキノコの群生地に向かっていた。
太陽は雲に隠れ、風もなく、穏やかな気候だった。
目当てのキノコはなかなか見つからないが、そこそこ良い値で売れるキノコを抜き取り、カゴの中身は次第に膨れていった。
しかし、少年はさらなる収穫を求めて普段行かない森の奥地へと足を踏み入れる。
森の奥地では凶悪な魔物がひしめいていると町の誰もが理解していることだが、少しくらいなら大丈夫だろうと軽んじる少年がそこにはいた。
じめじめとした地帯を伸びきった草を掻き分けながら、腐った枝や木の根元を探していく。
探し始めてから30分は経っただろうか。ある草を掻き分けた時に、目当てのキノコが腐った枝に繁殖していた。
「あった！」
思わず声が出てしまうほど興奮し、すぐさまその場に近づいた。
少年は宝の山からもくもくとキノコを採取し、ついにはカゴがキノコで一杯になった。
これだけあればしばらく遊んで暮らせるーー
そんな欲望が少年の頭に思い浮かぶ。
荷物をまとめ、さっさと町へもどろうと振り向いた時、今まで全く揺れなかった木々がさわさわと揺れ動いている。
風も吹いていないのに、なんだか不気味だった。
ここは凶悪な魔物が出ると言われる魔境の地…。
少年はそのことをあまり信じてはいなかったが、長居はしたくない居心地の悪さを感じていた。
少年の胸まである草を掻き分け、歩を進める。
空耳かもしれないが、幽霊のような声が辺りに響き渡る。
思わず身体を反応させ、辺りを見回してみるが、人影はなかった。
こうなってくると一層気味が悪くなり、自然と足の進み方も速くなる。
目印として大木に傷をつけた場所まで戻った。
その時、少年の耳に妙な音が入り込んできた。
何かと思って振り向いてみれば、遠くの草が激しく揺れているのが目に入った。
その揺れは異常なスピードでどんどん少年に迫っていく。
草に隠れて姿は確認出来ないが何かとんでもないものが少年に向かっているのはあきらかだった。
このまま逃げても逃げ切るのは無理だと思い、少年は大木に登り始める。
高い所に身を置けば魔物が少年を襲おうとしても、魔物が高いところに行ける術はないと考えたからである。
激しい草の揺れは大木の前でピタっと止まり、異様な静けさの後にその身を晒す。
「ひぃ……！」
少年が見たものは間違いなく魔物だった。
蛇のようにうねった身体に、硬そうな鱗で覆われた深い緑の身体。
そして人間の女性のような上半身を兼ね揃えていて、初めて見るその魔物に、少年は言葉が出なかった。
というのも町で語られている極悪非道な魔物、ワームに似た箇所が多すぎたのだ。
確か噂では獲物を見つけると執拗に追いかけ、疲れきったところに巻き付いて全身の骨をバキバキに折ると聞いた事がある。
そして無慈悲に獲物の四肢を食いちぎって、苦痛に悶えている所を頭から咀嚼される…考えただけで身震いするような凄惨な話だ。
「おいしそう……おい……しそう……」
涎を垂らさんばかりの欲望に忠実な顔に戦慄を覚える。
捕まれば、噂通りバクリと食われて、絶命するという嫌なイメージしか湧いてこなかった。
見たところお腹が空いているから、何か食べ物をあげれば見逃してくれるかもしれない。
そうは言っても、少年の手にはカゴ一杯のキノコのみ。
町まで持ち帰ることが出来れば多額のお金と取引できるので気は進まない。
ワームは痺れを切らしたのか、大木に体当たりをし始める。
そんなことをしてもそうそう折れることなどないと鷹を括っていたが、次第にミシミシと嫌な音を立て始める。
立派な二角を木に何度も突き刺し、切れ込みを入れているようにも見える。
それが偶然の産物かどうかは分からないが、大木へのダメージは著しかった。
このままでは死ぬ。
そう思い、少年はキノコの入ったカゴごとワームに投げた。
カゴはワームのそばにポトンと落ち、ワームの視線もカゴに移る。
興味津津といった様子で、華奢な手でひょいとカゴを拾いあげる。
「お、お腹空いてない？それ、あげるから見逃してくれないかな……」
ワームは、んむうと首をかしげると、カゴの中を乱暴にまさぐり、キノコを口に放り込んだ。
毒キノコでも入っていれば一矢報いる事ができたかもしれないが、今となってはもう遅かった。
もしゃもしゃと顎を上下に動かすと、みるみるうちに表情が暗くなっていく。
「まずい……」
ゴミでも見るかのような目でカゴを見下すと、飽きたようにぽいっと放り投げる。
視線が少年に切り替わった瞬間、恋する乙女のように目が爛々と輝く。
「えへ……私を殺そうとしたんだよね…でも私は毒なんて効かないんだよぉ……」
少年は大きな勘違いをされ、必死に弁明しようとするが言葉が出てこなかった。
逃げようにもどこにも逃げ道はない。
飛び降りればその瞬間を狙って捕まえられるし、この場に居座っても体当たりを続けらればいつしかこの大木も限界を
迎えるだろう。
「ち、違う！ちょっと話を聞いて……」
説得しようにも、興奮しているのか中々聞こうとしない。というより、二人の間にはそれなりの高低差があったため、聞きにくいのだろう。
ワームが一際強く身体を打ち付けると、大木は大きな音を立てて傾いた。
もうこれ以上は無理だ。
そう思い、大木が倒れる寸前に少年は身を投げ出す。
ドシンと地響きがした途端に地を蹴り、走りだした。
しかし、そう簡単にワームは逃がしてはくれなかった。
猛スピードで少年に迫り、ついに少年の足がワームによって掴まれる。
少年は派手に転んでしまい、そうなれば後はワームの思うがままだった。
しなやかな身体が少年に絡み付いていく。
「うう……」
噂通りなら間違い無く骨を折られる。
その恐怖で思考がまとまらなくなっていた。
しかし、少年の目の前のワームはひどく欲情してはいるが、残虐な事をしようなどとは微塵も思っていないのだ。
「捕まえたぁ……もう逃げられないよぉ？」
少年の耳元で荒い息遣いが繰り返される。
ぎしぎしと巻きつかれる感触は妙な心地よさを伴い、雄の性なのか、下半身が反応してしまう。
その変化にワームが気づかないわけもなく、にんまりと口を開くと、少年の唇を奪う。
我慢出来ずに漏れていた愛液をじゅるじゅると流し込まれ、興奮がより助長される。
少年からすればワームは異種なのだが、その愛液は雌の匂いが染み付いており、異種を感じさせず味覚を甘さが支配する。
「んく……んんぅ……」
少年が顔を反らそうとしても大きな両手で頬を挟まれ無理にでも口内を犯してくる。
ふやけそうな意識の中、ワームは満足したのか唇を遠ざける。
液が淫らに糸を引き、とろんとした眼で少年の怯えた表情をじっと見つめる。
必死に身体をひねってみても、下半身が接着剤で固定されているかのように全く動かない。
か細い腕で胴体をぽかぽか叩いても結果は同じだった。
「もう、かわいいなあ……そんなに焦らなくてもシてあげるからぁ……」
「ち、ちがっ……ひゃぅあ！」
少年の叩くという行為はワームにとっては性行為を求める求愛行動でしかない。
この近辺のワーム、特に彼女は非常にポジティブに物事を取る傾向がある。
考える事が苦手な彼女としてはそのほうが楽なのかもしれない。
「ちょ、ちょっとまって！ 待った！ ストップ！」
「ぅん……？」
少年の必死さが伝わったのか、発情した表情が少し緩む。
「あのね、ぼ、僕は……全然美味しくないよ！」
腹から声を絞り出して、何とか目の前のワームに訴えかける。
虚勢を張った所で解放してくれるとは思えないが、とにかく抵抗したかったのだ。
小さな少年が大声を張り上げる、そのギャップにワームはびくっと震える。
「……そうなの？」
「う、うん！」
怯んだのかわからないが、ワームはエメラルド色の瞳で少年を見つめながら、何かをじっくり考えている。
元々このワームは頭が回る方では無い。
考える時はいつもエモノを捕まえてから、である。
そのほうがじっくりと物事を考えられるし、尚且つ絶対にエモノを逃さない自信があるのだ。
一際強く身体を締め付けると、にっこりと笑顔を浮かべ、涎を垂らす。
粘着性のある液体が少年の頭に降り注ぎ、ねっとりと顔を汚される。
「とてもそうには見えないよぅ……こんな可愛い子、一生探しても中々出会えないと思うんだぁ……えへへへへぇ……」
「いやでも！ あ、そうだ……僕には家族がいるんだ！家に帰らないときっと親が心配するから、だから」
「ん……かぞく……？」
ワームは頭に疑問符でも浮かんでいるかのように首をかしげる。
「なにそれ……おいしい？」
「お、おいしくなんかない！ キミにもいるでしょ……その……ほら、お母さんとかお父さんとか…」
「オトウサン……オカアサン……？ カゾクとどっちがおいしいの？」
何を想像してしまったのか、涎をさらにだらだらと垂れ流し、少年の顔は一層べとべとにされてしまう。
ワームは母親とも父親とも、確かに存在してはいるが、少年の言葉が両親を思い出すには至らなかった。
元々彼女は若いワームであり、特別語学堪能という訳でもない。
食べる事が大好きであり、食欲に素直に従い、愚直に食料を追い求める。
それはワーム全てに言える事ではなく、彼女特有の趣向から引き出される行動である。
物事には何でもまっすぐで、一度彼女に気に入られてしまえば逃げる事は難しい。
少年はワームにも分かりやすい言葉で何とか説明し、ようやくわかってもらえた。
「えええ……そういう意味だったの……オトウサンとオカアサン……カゾク……」
「そ、そうなんだよ！」
「そっかそっかぁ。じゃあ……キレイに忘れさせてあげるね……？」
「……は？」
途端に締め付けがさらに強くなり、愛しまれるように少年は身体をスリスリと擦り付けられる。
「私のパパとママはね……随分前にけんかしてどこかへ行っちゃったんだ。だから、二人で暮らしてカゾクになろ？」
「な！ そ、そんなのいやだ！ 僕はキミみたいな魔物となんて一緒には……」
「分かった？」
有無を言わさぬ威圧感を感じ、背筋が凍る。
ドラゴンの血が流れているからなのか、その風格を垣間見せられる。
流れからして首を横には振れなかった。
少年は甘んじて首を縦に振ってしまう。
殺人鬼のような眼差しから一転して子猫のような柔らかい笑顔に変わる。
「うんうん、いいこいいこ。じゃあ……とりあえず味見するから力を抜いて楽になってねぇ……」
ワームは少年の事が相当気に入ったようで、味見をせずとも連れて帰る気ではいたがやはりそこは食欲に勝てなかった。
彼女らワームはエモノの精がまずくても自らが体内で生成した分泌液をエモノに飲ませ続ける事によって自分好みの精を出す食料に変える事ができるので、何よりもワームの趣向に合うかどうかが一番重視されるのだ。
ワームは肉棒を根本からがっしりとつかむと、不慣れな手つきでごしゅごしゅと扱かれる。
無骨な外見からは想像もつかないくらいにすべすべでもちもちしたその手の触感は人間の女性と比べても謙遜が無い。
乱暴なシゴキ方ではあったが、気持ち良いことに変わりはない。
「う……ぐ……」
「れろぉ…んぐっ…ヨダレ、たっぷり先っぽにかけてあげたから……もっと気持ちよくなると思うよ……えへへ」
ぬちゃっとした液体が潤滑油となり、さらに滑りをよくさせる。
引っかかる事もなくなり、彼女の大雑把なシゴキがさらに強力になる。
蛇体で包み込まれている心地よさと、敏感な神経を握られている感触に、ワームに全てを支配されたような錯覚を引き起こす。
少年の頬をぺろっと舐め取るとそのままちゅぅぅうっと頬に吸い付く。
少年の柔い肌を楽しむようにはむはむと甘噛みし、扱くのも忘れずに快感を高めていく。
「はう！ こ、こんなので……」
「はむ……そろそろ、出るよね……たぁくさん私に味見させてね……んんぅ……」
口内に導かれるように少年のモノがワームに咥えられる。ワームの口内はしっとりとあたたかく、ぬちゃぬちゃの粘液が満遍なく口内に張り付いている。
その粘液が次から次へと侵入者に襲いかかり、べとべとのぬちゃぬちゃに仕立て上げると、最後の仕上げとばかりにじゅるるうううぅうぅううぅと思い切り先端を吸われる。
精を絞り出すその感覚に我慢できるわけもなく少年はびくんびくんと身体を震わせる。
「あああ！……う、うぁ……」
迫り来る律動を抑える事は出来ずに、全てをワームの口内に放出してしまう。
ずるううう…じゅるううう…
袋をやわやわと刺激され射精をさらに促され、もう何も出なくなった所でようやく解放される。
「いい味……癖になりそう……えへ、えへへへへぇ……」
味見もした所で、ワームは完全に少年を気に入ってしまったようだ。
少年を見つめる目は恋する乙女そのもので、ワームはさらに少年を締め付ける事でダイレクトに愛情を表現する。
「あぁああぐ！！」
肺に空気をつまらせたのか、一瞬息ができなくなってしまう。それで尚且つワームにぎゅーぎゅー締め付けられてしまえばむせ返るというもの。
そんな苦しむ少年を見て、ワームはすぐさま締め付けから解放する。
「だ、だいじょうぶ？」
ワームは心配なのか俯く少年の顔を下からぐいっと覗き込む。
「う……し、しぬ……たすけて……」
「え、え！ まだ会ったばかりなのに……死んじゃダメだよぉ……」
純粋なワームは少年を心の底から気遣っていた。惚れ込んだ手前、死ぬと聞かされてはいてもたってもいられなかったのだ。
それに彼女は人間の事について詳しくは知らない。
人間は私達と違ってほんの些細な事で死に至らしめてしまうのかもしれない。
そう思い込んでしまったのだ。
おどおどするワームを見て少年はとある思いつきを実行に移す。
「こ、このままでは死んでしまう……だから、ちょっと、離れていてくれないか……？」
「……え？」
「まだ魔物が発する瘴気には慣れないんだ……だから、少し離れれば良くなるから……」
「しょうき…？ そんなの聞いたことな」
「げほげほっ！……た、頼む！お願いだから……30秒だけでいいから！」
悶え苦しむ素振りを見て、ワームはますます少年を心配する。
「むう。さんじゅうびょう、だね」
「ああ、後向こう向いててくれないか。目を合わせると瘴気の威力が倍増するんだ」
「……そうなの？ わかった、つらそうだもんね」
ワームは少年の言葉を鵜呑みにし、目を両手で隠す。
少年はその仕草に多少可愛いとは思ったが、すぐさま草むらを掻き分けて先のカゴを拾う。
「ねーえ。何か草が擦れ合う音がするんだけど……」
「まだ駄目だ！ 今見たら体が拒否反応起こして死ぬ」
「んんう……わかったよぉ」
ワームのそんな様子にしたり顔を浮かべながら少年は来た道へ引き返す。
すぐさま勢いをつけて走りだす。
だがワームが追ってくる様子は無かった。
ワームは未だに少年の返答を待っているからだ。何度も何度も声を投げかけ、ずっと。
「……あれ」
全く反応が無くなり、さすがに不審に思ったのか目を見開き、辺りを見回す。
カゴもなければ少年もいなくなり、しばらく思考をまとめてから結論に至った。騙されたのだと。
「だましたんだぁ……くすくす……そんな事しても無駄なのに」
ワームの心の中で少年を完璧に制服したいという暗い欲が沸々と沸き起こる。
少年は良かれと思ってやったことかもしれないが、結果としてワームの心に火を点けてしまっただけかもしれない。
「あれだけ私の涎でべとべとにしてあげたんだもん……おうち以外の方向からの私の匂いを辿れば……えへへへぇ……まっててね……ぎゅーっと締め付けてめちゃくちゃに犯してあげるからぁ……」
高らかな笑い声が森に響き渡ると、ずぞぞっと地を這うような音とともに草むらが揺れる。
それは日が没し始めた夕方の出来事であった。
「ここまで逃げれば……」
少年は息を切らしながら膝に手をつく。
ワームがあまり頭が良くなくて助かった、そう思っていた。
しかし、少年は油断していた。
30秒やそこらのアドバンテージであればワームから逃げ切れる事など不可能なのだ。
物凄い地響きと共に地を這うような音。
少年は瞬時に悟ったがもう遅かった。
息も切れ切れの状態では、まともに走っても脇腹が痛くなり、その場でかがみこんでしまう。
視界にワームが入ってきた瞬間、その細い身体をぐるぐる巻きにされ、ぎちっ、ぎちっ、と絞められる。
「うああ……」
「えへへぇ……私から逃げようだなんて……わるい子だねぇ？」
おしおきといわんばかりに服は引き裂かれ、その無防備な状態でぬめったウロコを全身で感じさせられる。愛おしく巻き付かれ、愛おしく撫でられ、ワームの愛情を目一杯注がれると、息も絶え絶えの少年の唇は奪われる。
ねっとりとした突然のキスに対応できるわけもなく、されるがままに口内をワームの思うがままに蹂躙される。
少年の小さな舌などワームのおおきな舌に比べれば赤子のようなもの。
あっという間にくるくるされ、濃厚なディープキスをぐちゅぐちゅという淫らな音と共に実行されるとそれだけで少年の心は蕩けてしまいそうだった。
「や、やめ……しょ、瘴気が」
「それがどうしたの？ 気持ち良いんでしょ……？」
騙した相手の言う事など何回も信じない。
純粋なワームはそれだけに、学習能力はそれなりに素養があったのだ。
「ぜったいに逃がさないからね……えへへへへぇぇ……」
目を細めながら少年の肉棒を握り、乱暴にシゴキ始める。
発情したかのように舌を出し、精を奪わんとする動きに素直に応じてしまう。
「だして……ほら、はやく……だしてだして……」
サオとカリを揉みつぶされ、少年はたまらず精を吐き出す。
こぷこぷと零れ出る精液にワームは口角をあげると、丹念に舐めまわし精を味
わい尽くす。
「あはぁ……おいしいよぉ……さあて……私のおうちに帰ろうか？」
ぐったりと力を抜いた少年を絞め上げたまま、ワームは少年を戦利品のように大切に抱え込み、そのまま地を這い続ける。
移動している間にもたまらないといった表情できゅ〜っと頬と頬を擦り合わせられる。
今までずっと一人で生活してきたところに少年というカゾクが出来たのだ。
喜びもひとしおだった。
「まいにちまいにちいっぱい愛しあおうねぇ……？ でも、今度にげようとしたら……たっぷりいじめて……調教してあげる。泣いてもゆるさないから覚悟してねぇ……」
「そ、そんな……」
「だいじょうぶ。にげなければ私はいっつも優しいよ？」
頭を撫で撫でされ、不思議と安心感が少年の胸に広がっていく。
少し年上のお姉さんだと思えばワームに愛されるのも悪くないかもしれない。
「じゃあおうちに着く前にもう一回出しておこうねぇ……」
「ま、待って！まだ敏感……」
「だーめ♪さっき逃げたおしおきだから……たくさん喘いで気持ちよくなって」
唾を肉棒にたらし込むと、柔らかい指先でぎゅぎゅっと握られ、上下に擦られる。
「うあああ……」
悶絶の表情をワームにたっぷりと見られ、少年の心は恥辱にまみれていく。
ワームは手を離すと尻尾をぐるぐると肉棒に巻きつけて、ウロコを存分に感じさせると共に、裏筋を容赦なく絞めつけられ、手コキで高められた精液が暴発してしまいそうになる。
何とか耐えきると、柔らかな胸を顔に押し付けられぎゅっと抱きしめてくる。
「かおひんやりしててきもちい……ほらぁ……甘えてもいいんだよ。じゃあそろそろ……ぴゅっぴゅって出しちゃおうねぇ……」
少年は胸に顔を挟まれた状態でごしゅ、ごしゅと激しくシゴキを加えられ、溜め込んだ快感が波になって襲いかかってくる。ガマンしようにもワームの前では強制的に脱力させられてしまう。
「あううう……」
どぴゅ……どぴゅ……
気持ちいい律動に身を任せて、ワームのお腹に精をかけてしまう。
あまりの気持ちよさに気を失いそうになるが、ワームが少年の耳に舌をいれた瞬間意識が覚醒する。
「ひゃあう！」
「かわいい……おうちに帰ったらまたたぁくさん出してもらうよぉ？ それで
それで、あしたも、そのまたあしたもずぅーーっと愛しあうんだからねぇ……えへへ、えへへへぇ……」
少年に心酔したワームはこれから始まる二人の性活が待ち遠しくてたまらなかった。
もし、彼ら二人の性活を邪魔するような事があれば……
その者は間違いなくワームに叩きのめされるだろう。
それこそ竜に姿を変えて激しく攻撃的になることもあるかもしれない。
それから少年は快楽を貪るような性活を余儀なくされる。
「メインディッシュはこれからだよぉ……えへへへぇ……」
今日もワームの住処から嬌声が響き渡るーー。
13/03/26 21:07更新 / コロメ