帽子屋のように気が狂っている
「ここは...どこなんだ...？」
開口一番に私は呟いた。
奇妙な形をした植物が生えている草原。そこに建てられているドールハウスのような可愛らしい建物。辺りに散らばっている大きなトランプのカードや積み木。
まるで童話に出てくるような世界。そう言える光景が私の目の前に広がっていた。
「なんだ...ここは...？」
私はその光景が信じられなかった。なぜなら、あまりにも現実とかけ離れているからだ。誰だってそうなるだろう。
夢なのだろうか？ そう思って目を瞑り、両手で頬を強く叩く。だが、目の前の光景が消えることはなかった。
「夢ではない...のか...。」
その事実に肩を落とし、地べたに座り込む。夢だったら、どれだけ良かっただろうか...。
この世界に、私が知っているものはない。あるのは自分の正常を疑ってしまうほどの、狂った世界だけだ。
しかし、何故こんな世界に来てしまったのだろうか？今でも良くわからない。
確かこうなる前、私は大学の用務員の仕事を終え、暗い夜道を一人で歩いていた。月明かりがその道を照らしてくれて、懐中電灯などの明かりがなくても十分前が見えるほどだった。
程なくして、月が雲に隠れてしまった。辺りは真っ暗になり、一寸先も見えなくなってしまった。
他に道を照らす物もないし、月が再び照らしてくれるのを待とう。 そう気楽に思いながら、歩くのをやめ、気長に待った。
しかし、一向に月は雲から出ては来なかった。むしろ、周りが更に暗くなり始めているという感覚に襲われた。
これでは家に帰れない。 そう困っていると、不意に、眩しい光が目の前に現れた。
私はその光を、誰かが私を照らしてくれているのだと思い、その光に向かっていく。今思えば、あの光を疑っておくべきだった。
ある程度近づいていくと、急にその光が大きく広がった。
私は目を瞑り、手を顔の前に出して、その光が収まるのを待つ。気がつくと、先程の光景が私の目の前に広がっていた。
以上、私がこの世界に来る前の回想だが、やはり良く分からない。
何故、まったく月が雲から出て来なかったのか？ そして、私をこの世界に迷い込ませたあの光はなんだったのだろうか？
そんな疑問を抱いていたが、考えても何も分からないし、気休めにもならなかった。
「...これからどうしようか...。」
この世界を眺めながら、そう呟く。元いた世界に戻りたいが、それは叶わぬ願いだろう。第一、この世界に出口があるのかどうかさえも分からない。
ならばこの世界を探索しようか。しかし、この世界ことは全く知らないし、何が出るのかも分からない。
けど、こうやって座り込んでいても何も変わりはしない。しかし、無闇にこの世界を歩くのは...。
この世界を歩くか迷っていると、不意に香しい香りが漂ってきた。
私はその臭いに驚き、辺りを見渡すが、当然誰もいない。
誰か近くにいるのだろうか...？ そう思い、地べたに座るのをやめ、その臭いがする方向へと足を進めた。
しばらく香ばしい臭いを追って歩いていると、恐らくその臭いの元となる場所へとたどり着いた。
「なんだこれは...？」
そこには、何十人が一斉に食事が出来るほどの長テーブルと、その横に等間隔に置かれている腰掛け付きの椅子があった。
純白のテーブルクロスが引かれ、その上には、誰かが使ったであろうと思われる純白のお皿、ティーカップ、ティーポッドが置かれていた。
さっきまで漂ってきた香りは、あれから漂ってきているのか...？ そう疑問を抱きつつ、テーブルに置いてあるティーポッドとティーカップを調べてみる。
すると、さっきまで漂ってきた香りは、この中に入っている紅茶のものだということが分かった。
さっき漂ってきた臭いはこれだろう。 そう思いながら、ひとまず安堵する。
しかし、新たな疑問が出てきた。何故こんな場所にテーブルが置かれているのだろうか。何故食べかけのお皿や、飲みかけの紅茶があるのだろうか。
それが指し示すことはただ一つ。誰かがここにいた。そうとしか考えられなかった。
「けど、一体誰が...。」
「おや、見ない顔だね？」
「ッ！？」
不意に、後ろから女性の声が聞こえてきた。
私はその声に体を一瞬震わせた後、勢いよく振り向く。一体誰なんだ！？
そこには、マジシャンが被っていそうなトランプの四つのマークを刺繍した緑の高シルクハット、シルクハットにはキノコが生え、「In this Style 10/6」と書かれたハート型の値札が置かれていた。
そして、全体が緑がかった燕尾服、その下には白無地のイカ胸シャツを着ていた。イカ胸シャツは彼女の体にぴったりと合っており、たわわに実った双丘をくっきりと表していた。
ズボンもぴったりであり、ダイヤが刺繍されていた。手には、真っ白い手袋をはめていた。
その全てを着こなす、麗人としか言い様がない美しい女性がいた。なんて美しいのだろう。
すぐさま私は、その女性の虜になり、しばらく見続けていた。
「どうしたんだい？ボクをそんなに見つめて。」
その一言に、私は我に返る。いかん、少し見惚れていたな。
それがバレたくなかった私は、なんとか取り繕うと、あくまでも冷静に彼女と向き合った。
「いや、すまない。少しボーッとしていた。」
「私を見つめながら？それは見惚れていたと言うんじゃあないのかい？」
「...まぁ、そうだな。」
いきなりバレてしまった。まぁ、あれだけ見つめていれば、バレるのもしょうがない。
「ふーん...ボクに見惚れていたのか...。」
彼女は微笑みながらそう呟く。そのまま顔を下げて、胸に手を置いた。その姿は、まるで舞台で演技を始めようとする女優のように美しく見えた。
しばらくすると、彼女は胸に手を置くことをやめる。再び顔を上げ、私と向き合った。
「おおっと、すまない。ボクの自己紹介をしていなかったな。ボクの名前はシオフィラス・ルース。この世界の住人で、みんなからは「マッドハッター」と呼ばれているよ。君の名前はなんだい？」
マッドハッター。確か童話の、「不思議の国のアリス」に出てくる登場人物だった気がする。
しかし、あの話のマッドハッターは顔が大きい老人で、こんなに美人だとは聞いていないぞ。
空想と現実のギャップに驚いたが、彼女から名前を訊かれていたので、それを先に優先することにした。
「私の名前はジャービス・テイラー。大学の用務員で、この世界には迷い込んできた。」
簡略に述べた。相手は私の元の世界を知らないだろうし、長々と話しても意味がないと思ったからだ。
「じゃあ、君は外の世界から来た人なんだね。どうぞ、よろしく。」
彼女はそう言うと、私の前に開いた手を差し出す。歓迎の意味なんだろうか？
だとすると、この世界に住んでしまうことになる。それは避けたいが、握手を求められたら返すのが礼儀というものだ。美人なら、なおさらだ。
私も開いた手を差し出し、彼女の手を握る。すると、彼女は嬉しそうに微笑んだ。
「よろしく、ジャービス。」
「ああ、よろしく、シオフィラス。」
私の名前を呼んできたので、私も同じように名前を呼ぶ。美女に自分の名前を呼ばれるというのは、そんなに悪い気分じゃないな。
しばらくの間、私達は握手を交わした。それが終わると、彼女は腰掛け付きの椅子に座り、足を組んだ。
「すまないけど、もうお茶会は終わってしまってね。でも、まだティーポッドの中に紅茶が少し残っていたはずだ。一緒に飲むかい？」
彼女はそう言いながら、ティーポッドの蓋を外し、中身を確認しようと覗き込む。
確認し終えると、彼女はこちらを向き、一緒に飲むかと提案してきた。正直、さっきから喉が渇きっぱなしだ。紅茶であるが、飲み物を飲めることは素直に嬉しい。
だが、私は
「いや、別に良い。喉は渇いていないからな。それより、この世界から出る方法を教えてくれないか？」
首を振りながら拒否した。その後に続けて、この世界から出る方法を訊いた。
確かに、紅茶を飲んで、喉の渇きを潤したい。だが、私にはこの世界から出る方法を見つけ、元の世界に帰るという目標がある。彼女には悪いが、飲んでいる暇はない。
提案を断られた彼女は、それに驚くかのように、一瞬目を見開く。その後、足を組み直し、指と指を交差させた。
「君が言っていることには、嘘と本当がある。「ここから帰りたい」ということは本当だ。けど、「喉は渇いていない。」ということは嘘だ。当たっているかい？」
「な！？」
彼女に、私が思っていることを全て当てられる。
そんな彼女に対し、私は目を見開いて動揺する。なんだこの女性...！？心が読めるのか！？
「確かに、ここの住人である私は、この世界から出る方法を知っている。けど、焦ってしまっては元も子もない。喉を潤してからでも遅くはないだろう。」
確かにそうだ。焦ってしまっては元も子もない。
しかし、私は、「安心感」が欲しいのだ。この世界から出られるという、「安心感」が。
それは、聞いただけでは駄目だ。自分の目で確かめたいのだ。
「だが、私は...。」
「ジャービスは、「カラス」と「書き物机」が似ているのはなぜか知っているかい？」
「へ？」
私が言い掛けようとした時、彼女は意味が分からない事を私に訊いてきた。「カラス」と「書き物机」が似ているだって？どこも似ていないだろう。
あまりにも意味が分からない問いに、私は聞き返した。
「「カラス」と「書き物机」だよ。なぜ似ているのか分かるかい？」
「...分からない。答えを教えてくれ。」
しばらく考えてみたが、まったく答えが思い付かない。思い付くはずがないだろう。「カラス」と「書き物机」の違いなんて。
答えが知りたい私は、彼女に答えを教えてもらうことにした。
すると、少し間を置いて、彼女はこう答えた。
「それはね。...ボクにも分からない。」
「は？」
彼女の予想外の解答に、私は思わず聞き返す。「分からない」って、どういうことだ？
言っていることが理解できない私は、彼女を睨み付け、問い詰めることにした。
「どういうことだ？」
「そもそも、この問いには答えなんて無い。誰も知らないし、ボクだって知らない。」
「なんだそりゃ！？」
彼女の意味不明な返答に対し、私は前のめりの姿勢になり、声を張り上げる。答えが存在しないって、だったら何のための問いだったんだ！？
「じゃあ、何のために問いかけたんだ！？」
「何の意味もないよ。君をからかってみただけさ。」
「はぁ...、そうかい...。」
淡々と問いかけの意味を話す彼女。そのことに私は呆れ、右手で顔を覆い隠す。
まったく、何を考えているのか分からない女性だ。確か、「不思議の国のアリス」に出てくるマッドハッターも、何を考えているのか分からない奴だったな。
「でも、少なからず意味はあったみたいだ。」
「...？」
「君の体、さっきと比べて違わないかい？」
彼女に言われた通り、肩を回したり、上下させたりして体の変化を確かめる。
すると、先程と比べて、大分肩の力が抜けていることが分かった。
「多分、君は冷静じゃあなかったんだと思う。元の世界に戻りたいがために、急いで私に帰れる方法を聞き出そうとした。分かるよ、突然こんな世界に飛ばされて、元の世界に帰りたいという気持ち。けど、少し落ち着いてみたはどうだろうか？」
彼女は、先程の私の心理を淡々と喋る。その喋り方にはどこか説得力があり、思わず納得してしまう。
確かにそうなのだろう。私は元の世界に帰りたいがために、あんなに体を強ばらせながら、彼女に帰り方を教えてもらおうとした。
彼女に言われた通り、少し落ち着こうか...。 そう思い、私は目を瞑る。そのまま息を深く吸い、そして吐いた。
少し落ち着いてきたので、私は再び目を開ける。
先程の姿を見ておかしいと思ったのか、彼女は少し口の端が吊り上がっていた。
「で、飲むかい？」
「ああ、飲ませてもらおうか。」
「ふふ、分かった。じゃあ、どの席でもいいから座りたまえ。」
他の空いている席に手の平を差し向けながら、彼女に座るように言われた。どの席も空いているので、どこでも良いと思う。
だが、ここは隣の席に座ろう。多分、礼儀だと思うし、なにより彼女が間近に見られるからだ。
隣の席に座ると、シオフィラスは慣れた手つきでティーポッドを持ち、二つのティーカップに紅茶を注いだ。注がれた紅茶からは香ばしい香りがして、私の食欲を掻き立てた。
彼女が注いでくれた行為に感謝しつつ、右手は取っ手、左手はティーカップの上部を持つ。
彼女も自分のティーカップに注いでいき、注ぎ終わった後、私と同じように手に持つ。こちらを向いて、私がティーカップを手に持っていることを確認すると、彼女は口を開いた。
「それじゃあ、頂こうか。」
「ああ、頂こう。」
互いに飲むことを伝えると、私はティーカップに口を付け、なるべく音を立てないように飲んでいく。
飲んだ瞬間、紅茶特有のさっぱりした甘みと癖になる甘い香りが、口の中に充満していく。なんて美味しいのだろう！こんな美味い紅茶、今まで飲んだことがない！
今まで喉が渇きっぱなしだったということも相まって、ほんの数秒で紅茶を飲み干してしまう。しまった、もっと味わっておけばよかった。
そんな私をおかしいと思ったのか、シオフィラスはティーカップから口を離すと、くすりと笑ってこちらを見た。
「ふふ、どうやら君は相当喉が渇いていたようだね。どうだい、美味しいだろう？」
「ああ、こんなに美味しい紅茶は今まで飲んだことがない。さっぱりしているのにどこか癖になる甘みと、ほのかに漂ってくる香りが絶妙にマッチしている。」
私は、まるでどこかのグルメリポーターのように、この紅茶の美味しさを彼女に伝えた。それほど美味しかったのだ。
すると、彼女は紅茶を褒められたのが嬉しかったのか、またくすりと笑った。
「ふふ、そんなに褒められると、こっちも嬉しくなってしまうよ。もう一杯頂くかい？」
「是非とも、飲ませて頂こう。」
彼女がそう訊いてきたので、私は快く承諾した。こんな美味い紅茶を、一杯で済ますのは勿体ない。
「じゃあ、ティーカップを私の側に置いてくれないか？」
「ああ、分かった。」
ティーポッドを持ちながら、彼女はそう頼んできた。そのことを了承し、彼女の近くにティーカップを置く。
置くと、彼女がそれ目掛け、紅茶を注いでいく。一滴も零さずに注いでいく姿は、まるで高級レストランのウェイターのように美しく思えた。
「はい、注ぎ終わったよ。」
「ありがとう。」
一言感謝を述べ、今度は一気に飲まないよう気をつけながら、少しずつ飲んでいく。
しかし、本当に美味しい紅茶だ。飲んでいると体の中から暖まってくるし、元気になってくるような感覚を覚える。
しかも、嫌なことが忘れられ...あれ？
そこまで考えて気付いた。自分の体に何が起こっているかを。
呼吸や心臓の動きが荒くなり、体中が徐々に熱くなり始めている。
何かがおかしい。 そう考える暇もなく、やがて全身の力が抜けていき、右手に持っていたティーカップが音もなく地面に落ちた。
「おや、どうしたんだい？」
この瞬間を待っていたかのように、彼女はティーカップを置いて、にやりと笑いながらこちらに近づいてきた。その表情は、どこか狂気に染まっているように見えた。
側まで近づくと、対面するような形で私の膝に座り、手を首の後ろに持って行った。
「な...何をしたんだ...？」
「何を？ああ、説明し忘れていたね。この紅茶には、媚薬作用がある作物が使われているのさ。」
「な、なんだって...！？」
さらっと衝撃の事実を告げた彼女に対し、私は目を見開いて驚く。
そんな私を尻目に、彼女は更に抱きついてきた。彼女の双丘が、私の胸に押し当てられる。その柔らかな感触に、私の体が更に熱くなっていく。
そして、耳元でこう囁いてきた。
「でも、大丈夫。ボクだって飲んでいる。この世界じゃあ普通のことなのさ。」
私は、彼女の言葉の意味が理解できなかった。
普通.....？普通だと.....？紅茶に...媚薬を入れる...ことが普通....だって....？
「ふ...普通...？」
「そう、普通。君も今に分かるさ。」
そう言うと、彼女は耳元から顔を離す。燕尾服を脱いでいき、白無地のイカ胸シャツだけになる。たわわに実った双丘がはっきりと強調されていて、とても魅力的に見えた。
そして、大きなネクタイを外してイカ胸シャツを脱いでいく。すると、彼女の胸が露わになった。重力に逆らってそのままの状態であり、ピンクの色の乳房がピンっと立っていた。
恥ずかしさを微塵も感じさせない凛とした態度で、彼女はこう言ってきた。
「さぁ、ジャービス。ミルクだよ。」
「な、何を...。」
「何を馬鹿なことを」と言おうとした。しかし、言い掛ける前に、すでに私の手が彼女の右胸に伸びていた。
その唐突な行動を、私は理解しようとした。だが、駄目だった。すでに私の中に存在している理性は、ほんの一欠片しか残っていなかったのだから。
欲望に身を任せつつ、彼女の右胸に手を添える。そのまま、彼女の乳房に顔を寄せ、赤ん坊のように吸い付いた。
「ん♥」
吸い付いた途端、彼女は小さめの嬌声を上げる。それを意に介せず、私は一心不乱に吸い付いた。
どれだけ吸い付いても、彼女の胸から母乳が出ることはない。しかし、何故か甘いミルクの味がした。
その味を求めて吸い付いていると、不意に私の頭に何かが置かれ、一定間隔に動かされる。それは、彼女の手だった。
「おいしいかい、ジャービス？♥」
まるで愛しい我が子をあやすかのように、優しく訊いてくる彼女。それに応えるように、吸い付きながら首を縦に振った。
すると、彼女は嬉しそうに笑い、こう言った。
「そうかい♥じゃあ、もっとやってくれ♥」
そう言われた瞬間、私の中の何かが切れた。そして、彼女の左胸を、余っている手で鷲掴み、揉みし抱いた。
「はあぁん！」
すると、彼女が一段と高い嬌声を上げる。麗人がこういった嬌声を上げるというのは、とても扇情的であった。
しばらくの間、唇で右の乳房を、左手で左の乳房を転がしながら、彼女の胸を弄んだ。
その行為に感じているのか、彼女はずっと、小さめの嬌声を上げていた。
そのまま弄んでいると、彼女が息を荒げながら呟いた。
「ジャービス...♥もう...♥」
彼女は何か言い掛けていたが、私には直感で分かった。もうイキそうだということを。
彼女の左の乳房を軽くつねり、右の乳房を歯で軽く噛んだ。
「アアアアアァァァーーーー！！！♥♥♥」
すると、彼女は周りに轟くような嬌声を発し、体を思いっ切り反らした。
どうやらイったみたいだ。 そう直感で感じ、彼女の胸から離れる。右の乳房が私の唾液でテカっていて、とても魅力的に見えた。
彼女はしばらく、背筋を反らせたのままピクピクと体を震わせていた。それほど、イった快感が強かったのだろう。
それが終わると、背筋をゆっくりと戻していく。戻ったと同時にきつく抱きしめてきて、胸の谷間に私の顔が埋まる。
「ん！？」
「ハァ...ハァ...♥素晴らしいよ、ジャービス....♥」
息を整えながら喋る彼女。対して私は、少々息苦しいが、彼女の胸の中で安らぎを感じた。
そんな時、彼女の片手が離れる。次の瞬間、私の足の付け根から電流のような快感が走った。
「んむ！？」
「ジャービスのモノ....♥もうこんなに大きくなっているな...♥」
どうやら、彼女が私の息子に触れたようだ。愛おしそうに呟き、一定の間隔で撫で続ける。
そんな快感に、私は体を震わせながら享受していく。正直、撫でられただけでも出そうだった。
だが、彼女は手を離し、私の膝から立ち上がった。そんな彼女を、眉をひそめながら見ていた。
「ふふ...♥そんな顔しないでくれ...♥」
そう言うと、ダイヤのマークをあしらったズボンのベルトを緩め、下着と共に脱いでいく。彼女の秘所からは愛液が漏れていて、ふとももにまで伝っていた。
脱いだ後、後ろにある長テーブルに腰を掛ける。そのまま見せつけるように股を開くと、頬が赤く染まった顔で口を開いた。
「さぁ、ジャービス...♥おいで...♥」
誘われるように言われた私は、急いでジーンズのベルトを緩め、下着と共に下げた。
すると、勢いよく私の剛直がそそり立った。全体が、我慢汁で濡れてテカっていた。
そのまま彼女に近づき、彼女の秘所に私の剛直をぴたりと当てる。そして、勢いよく腰を突き出した。
「ああああああぁぁぁぁーーーーー！！！♥♥♥」
「うぐぁ！？」
入れた途端、彼女が周りに響くような嬌声を発する。どうやら、またイってしまったみたいだ。
彼女の中はとても熱くトロトロで、しかも全体が締め付けてくるように動く。私はそのあまりの快感に、眉間にしわを寄せて、苦悶の声を発した。
しかし、それだけでは満足出来なかった。私が求めているのはさらなる快感、この中に精をぶちまけることだった。
この考えは媚薬が作用している所為だろうが、私は歯止めが効かなくなっていた。一度彼女の中から剛直を出すと、再び勢いよく貫いた。
「はあぁぁぁ！♥」
「ハァ、ハァ！」
それをくり返し、私は更なる快感を求めて彼女の中から出し入れをする。彼女の愛液が潤滑油のような役目をしていて、なんの滞りもなく動かせた。
しばらく動かしていると、私の中から何かが駆け上っているのが分かった。多分、私が求めている更なる快感だろう。
すると、彼女が私の背中に手を回し、力強く抱きしめてきた。それと同時に、彼女の中が締まる。
「ああ！ジャービス！♥もう出そうなんだろう？♥私の中で君のモノがとてつもなく大きくなっているのが分かるよ！さぁ、出してくれ！♥」
「うぐぁぁ！！」
その不意な出来事に、私は我慢が出来るはずが無く、勢いよく彼女の中にぶちまけてしまう。
「はああああああああぁぁぁーーーーーーー！！！！♥♥♥」
「うああああああああああぁぁぁ！！！」
出した瞬間、全身がバラバラになりそうな快感が私を襲う。そのあまりの快感に耐えきれずに、絶叫にも似た嬌声を上げた。
彼女にも同じことが起こったのか、私と同じように叫んでいた。
１分か２分ぐらい彼女の中に精を出し続けた。それが終わると、とてつもない疲労感が私を襲い、彼女の胸へと体を預ける。
すると、彼女が優しく抱きしめてきて、息を吐きながらこう呟いた。
「ハァ、ハァ...。よかったよ...ジャービス...。」
その言葉を掛けられた私は、嬉しさのあまり口角を上げる。
もはや、この場所から出る方法なんてどうでもよかった。ただ彼女と共に歩んでいくという、新たな目標が出来たのだから。
そして、私の意識はまどろみの中へと消えていった。
開口一番に私は呟いた。
奇妙な形をした植物が生えている草原。そこに建てられているドールハウスのような可愛らしい建物。辺りに散らばっている大きなトランプのカードや積み木。
まるで童話に出てくるような世界。そう言える光景が私の目の前に広がっていた。
「なんだ...ここは...？」
私はその光景が信じられなかった。なぜなら、あまりにも現実とかけ離れているからだ。誰だってそうなるだろう。
夢なのだろうか？ そう思って目を瞑り、両手で頬を強く叩く。だが、目の前の光景が消えることはなかった。
「夢ではない...のか...。」
その事実に肩を落とし、地べたに座り込む。夢だったら、どれだけ良かっただろうか...。
この世界に、私が知っているものはない。あるのは自分の正常を疑ってしまうほどの、狂った世界だけだ。
しかし、何故こんな世界に来てしまったのだろうか？今でも良くわからない。
確かこうなる前、私は大学の用務員の仕事を終え、暗い夜道を一人で歩いていた。月明かりがその道を照らしてくれて、懐中電灯などの明かりがなくても十分前が見えるほどだった。
程なくして、月が雲に隠れてしまった。辺りは真っ暗になり、一寸先も見えなくなってしまった。
他に道を照らす物もないし、月が再び照らしてくれるのを待とう。 そう気楽に思いながら、歩くのをやめ、気長に待った。
しかし、一向に月は雲から出ては来なかった。むしろ、周りが更に暗くなり始めているという感覚に襲われた。
これでは家に帰れない。 そう困っていると、不意に、眩しい光が目の前に現れた。
私はその光を、誰かが私を照らしてくれているのだと思い、その光に向かっていく。今思えば、あの光を疑っておくべきだった。
ある程度近づいていくと、急にその光が大きく広がった。
私は目を瞑り、手を顔の前に出して、その光が収まるのを待つ。気がつくと、先程の光景が私の目の前に広がっていた。
以上、私がこの世界に来る前の回想だが、やはり良く分からない。
何故、まったく月が雲から出て来なかったのか？ そして、私をこの世界に迷い込ませたあの光はなんだったのだろうか？
そんな疑問を抱いていたが、考えても何も分からないし、気休めにもならなかった。
「...これからどうしようか...。」
この世界を眺めながら、そう呟く。元いた世界に戻りたいが、それは叶わぬ願いだろう。第一、この世界に出口があるのかどうかさえも分からない。
ならばこの世界を探索しようか。しかし、この世界ことは全く知らないし、何が出るのかも分からない。
けど、こうやって座り込んでいても何も変わりはしない。しかし、無闇にこの世界を歩くのは...。
この世界を歩くか迷っていると、不意に香しい香りが漂ってきた。
私はその臭いに驚き、辺りを見渡すが、当然誰もいない。
誰か近くにいるのだろうか...？ そう思い、地べたに座るのをやめ、その臭いがする方向へと足を進めた。
しばらく香ばしい臭いを追って歩いていると、恐らくその臭いの元となる場所へとたどり着いた。
「なんだこれは...？」
そこには、何十人が一斉に食事が出来るほどの長テーブルと、その横に等間隔に置かれている腰掛け付きの椅子があった。
純白のテーブルクロスが引かれ、その上には、誰かが使ったであろうと思われる純白のお皿、ティーカップ、ティーポッドが置かれていた。
さっきまで漂ってきた香りは、あれから漂ってきているのか...？ そう疑問を抱きつつ、テーブルに置いてあるティーポッドとティーカップを調べてみる。
すると、さっきまで漂ってきた香りは、この中に入っている紅茶のものだということが分かった。
さっき漂ってきた臭いはこれだろう。 そう思いながら、ひとまず安堵する。
しかし、新たな疑問が出てきた。何故こんな場所にテーブルが置かれているのだろうか。何故食べかけのお皿や、飲みかけの紅茶があるのだろうか。
それが指し示すことはただ一つ。誰かがここにいた。そうとしか考えられなかった。
「けど、一体誰が...。」
「おや、見ない顔だね？」
「ッ！？」
不意に、後ろから女性の声が聞こえてきた。
私はその声に体を一瞬震わせた後、勢いよく振り向く。一体誰なんだ！？
そこには、マジシャンが被っていそうなトランプの四つのマークを刺繍した緑の高シルクハット、シルクハットにはキノコが生え、「In this Style 10/6」と書かれたハート型の値札が置かれていた。
そして、全体が緑がかった燕尾服、その下には白無地のイカ胸シャツを着ていた。イカ胸シャツは彼女の体にぴったりと合っており、たわわに実った双丘をくっきりと表していた。
ズボンもぴったりであり、ダイヤが刺繍されていた。手には、真っ白い手袋をはめていた。
その全てを着こなす、麗人としか言い様がない美しい女性がいた。なんて美しいのだろう。
すぐさま私は、その女性の虜になり、しばらく見続けていた。
「どうしたんだい？ボクをそんなに見つめて。」
その一言に、私は我に返る。いかん、少し見惚れていたな。
それがバレたくなかった私は、なんとか取り繕うと、あくまでも冷静に彼女と向き合った。
「いや、すまない。少しボーッとしていた。」
「私を見つめながら？それは見惚れていたと言うんじゃあないのかい？」
「...まぁ、そうだな。」
いきなりバレてしまった。まぁ、あれだけ見つめていれば、バレるのもしょうがない。
「ふーん...ボクに見惚れていたのか...。」
彼女は微笑みながらそう呟く。そのまま顔を下げて、胸に手を置いた。その姿は、まるで舞台で演技を始めようとする女優のように美しく見えた。
しばらくすると、彼女は胸に手を置くことをやめる。再び顔を上げ、私と向き合った。
「おおっと、すまない。ボクの自己紹介をしていなかったな。ボクの名前はシオフィラス・ルース。この世界の住人で、みんなからは「マッドハッター」と呼ばれているよ。君の名前はなんだい？」
マッドハッター。確か童話の、「不思議の国のアリス」に出てくる登場人物だった気がする。
しかし、あの話のマッドハッターは顔が大きい老人で、こんなに美人だとは聞いていないぞ。
空想と現実のギャップに驚いたが、彼女から名前を訊かれていたので、それを先に優先することにした。
「私の名前はジャービス・テイラー。大学の用務員で、この世界には迷い込んできた。」
簡略に述べた。相手は私の元の世界を知らないだろうし、長々と話しても意味がないと思ったからだ。
「じゃあ、君は外の世界から来た人なんだね。どうぞ、よろしく。」
彼女はそう言うと、私の前に開いた手を差し出す。歓迎の意味なんだろうか？
だとすると、この世界に住んでしまうことになる。それは避けたいが、握手を求められたら返すのが礼儀というものだ。美人なら、なおさらだ。
私も開いた手を差し出し、彼女の手を握る。すると、彼女は嬉しそうに微笑んだ。
「よろしく、ジャービス。」
「ああ、よろしく、シオフィラス。」
私の名前を呼んできたので、私も同じように名前を呼ぶ。美女に自分の名前を呼ばれるというのは、そんなに悪い気分じゃないな。
しばらくの間、私達は握手を交わした。それが終わると、彼女は腰掛け付きの椅子に座り、足を組んだ。
「すまないけど、もうお茶会は終わってしまってね。でも、まだティーポッドの中に紅茶が少し残っていたはずだ。一緒に飲むかい？」
彼女はそう言いながら、ティーポッドの蓋を外し、中身を確認しようと覗き込む。
確認し終えると、彼女はこちらを向き、一緒に飲むかと提案してきた。正直、さっきから喉が渇きっぱなしだ。紅茶であるが、飲み物を飲めることは素直に嬉しい。
だが、私は
「いや、別に良い。喉は渇いていないからな。それより、この世界から出る方法を教えてくれないか？」
首を振りながら拒否した。その後に続けて、この世界から出る方法を訊いた。
確かに、紅茶を飲んで、喉の渇きを潤したい。だが、私にはこの世界から出る方法を見つけ、元の世界に帰るという目標がある。彼女には悪いが、飲んでいる暇はない。
提案を断られた彼女は、それに驚くかのように、一瞬目を見開く。その後、足を組み直し、指と指を交差させた。
「君が言っていることには、嘘と本当がある。「ここから帰りたい」ということは本当だ。けど、「喉は渇いていない。」ということは嘘だ。当たっているかい？」
「な！？」
彼女に、私が思っていることを全て当てられる。
そんな彼女に対し、私は目を見開いて動揺する。なんだこの女性...！？心が読めるのか！？
「確かに、ここの住人である私は、この世界から出る方法を知っている。けど、焦ってしまっては元も子もない。喉を潤してからでも遅くはないだろう。」
確かにそうだ。焦ってしまっては元も子もない。
しかし、私は、「安心感」が欲しいのだ。この世界から出られるという、「安心感」が。
それは、聞いただけでは駄目だ。自分の目で確かめたいのだ。
「だが、私は...。」
「ジャービスは、「カラス」と「書き物机」が似ているのはなぜか知っているかい？」
「へ？」
私が言い掛けようとした時、彼女は意味が分からない事を私に訊いてきた。「カラス」と「書き物机」が似ているだって？どこも似ていないだろう。
あまりにも意味が分からない問いに、私は聞き返した。
「「カラス」と「書き物机」だよ。なぜ似ているのか分かるかい？」
「...分からない。答えを教えてくれ。」
しばらく考えてみたが、まったく答えが思い付かない。思い付くはずがないだろう。「カラス」と「書き物机」の違いなんて。
答えが知りたい私は、彼女に答えを教えてもらうことにした。
すると、少し間を置いて、彼女はこう答えた。
「それはね。...ボクにも分からない。」
「は？」
彼女の予想外の解答に、私は思わず聞き返す。「分からない」って、どういうことだ？
言っていることが理解できない私は、彼女を睨み付け、問い詰めることにした。
「どういうことだ？」
「そもそも、この問いには答えなんて無い。誰も知らないし、ボクだって知らない。」
「なんだそりゃ！？」
彼女の意味不明な返答に対し、私は前のめりの姿勢になり、声を張り上げる。答えが存在しないって、だったら何のための問いだったんだ！？
「じゃあ、何のために問いかけたんだ！？」
「何の意味もないよ。君をからかってみただけさ。」
「はぁ...、そうかい...。」
淡々と問いかけの意味を話す彼女。そのことに私は呆れ、右手で顔を覆い隠す。
まったく、何を考えているのか分からない女性だ。確か、「不思議の国のアリス」に出てくるマッドハッターも、何を考えているのか分からない奴だったな。
「でも、少なからず意味はあったみたいだ。」
「...？」
「君の体、さっきと比べて違わないかい？」
彼女に言われた通り、肩を回したり、上下させたりして体の変化を確かめる。
すると、先程と比べて、大分肩の力が抜けていることが分かった。
「多分、君は冷静じゃあなかったんだと思う。元の世界に戻りたいがために、急いで私に帰れる方法を聞き出そうとした。分かるよ、突然こんな世界に飛ばされて、元の世界に帰りたいという気持ち。けど、少し落ち着いてみたはどうだろうか？」
彼女は、先程の私の心理を淡々と喋る。その喋り方にはどこか説得力があり、思わず納得してしまう。
確かにそうなのだろう。私は元の世界に帰りたいがために、あんなに体を強ばらせながら、彼女に帰り方を教えてもらおうとした。
彼女に言われた通り、少し落ち着こうか...。 そう思い、私は目を瞑る。そのまま息を深く吸い、そして吐いた。
少し落ち着いてきたので、私は再び目を開ける。
先程の姿を見ておかしいと思ったのか、彼女は少し口の端が吊り上がっていた。
「で、飲むかい？」
「ああ、飲ませてもらおうか。」
「ふふ、分かった。じゃあ、どの席でもいいから座りたまえ。」
他の空いている席に手の平を差し向けながら、彼女に座るように言われた。どの席も空いているので、どこでも良いと思う。
だが、ここは隣の席に座ろう。多分、礼儀だと思うし、なにより彼女が間近に見られるからだ。
隣の席に座ると、シオフィラスは慣れた手つきでティーポッドを持ち、二つのティーカップに紅茶を注いだ。注がれた紅茶からは香ばしい香りがして、私の食欲を掻き立てた。
彼女が注いでくれた行為に感謝しつつ、右手は取っ手、左手はティーカップの上部を持つ。
彼女も自分のティーカップに注いでいき、注ぎ終わった後、私と同じように手に持つ。こちらを向いて、私がティーカップを手に持っていることを確認すると、彼女は口を開いた。
「それじゃあ、頂こうか。」
「ああ、頂こう。」
互いに飲むことを伝えると、私はティーカップに口を付け、なるべく音を立てないように飲んでいく。
飲んだ瞬間、紅茶特有のさっぱりした甘みと癖になる甘い香りが、口の中に充満していく。なんて美味しいのだろう！こんな美味い紅茶、今まで飲んだことがない！
今まで喉が渇きっぱなしだったということも相まって、ほんの数秒で紅茶を飲み干してしまう。しまった、もっと味わっておけばよかった。
そんな私をおかしいと思ったのか、シオフィラスはティーカップから口を離すと、くすりと笑ってこちらを見た。
「ふふ、どうやら君は相当喉が渇いていたようだね。どうだい、美味しいだろう？」
「ああ、こんなに美味しい紅茶は今まで飲んだことがない。さっぱりしているのにどこか癖になる甘みと、ほのかに漂ってくる香りが絶妙にマッチしている。」
私は、まるでどこかのグルメリポーターのように、この紅茶の美味しさを彼女に伝えた。それほど美味しかったのだ。
すると、彼女は紅茶を褒められたのが嬉しかったのか、またくすりと笑った。
「ふふ、そんなに褒められると、こっちも嬉しくなってしまうよ。もう一杯頂くかい？」
「是非とも、飲ませて頂こう。」
彼女がそう訊いてきたので、私は快く承諾した。こんな美味い紅茶を、一杯で済ますのは勿体ない。
「じゃあ、ティーカップを私の側に置いてくれないか？」
「ああ、分かった。」
ティーポッドを持ちながら、彼女はそう頼んできた。そのことを了承し、彼女の近くにティーカップを置く。
置くと、彼女がそれ目掛け、紅茶を注いでいく。一滴も零さずに注いでいく姿は、まるで高級レストランのウェイターのように美しく思えた。
「はい、注ぎ終わったよ。」
「ありがとう。」
一言感謝を述べ、今度は一気に飲まないよう気をつけながら、少しずつ飲んでいく。
しかし、本当に美味しい紅茶だ。飲んでいると体の中から暖まってくるし、元気になってくるような感覚を覚える。
しかも、嫌なことが忘れられ...あれ？
そこまで考えて気付いた。自分の体に何が起こっているかを。
呼吸や心臓の動きが荒くなり、体中が徐々に熱くなり始めている。
何かがおかしい。 そう考える暇もなく、やがて全身の力が抜けていき、右手に持っていたティーカップが音もなく地面に落ちた。
「おや、どうしたんだい？」
この瞬間を待っていたかのように、彼女はティーカップを置いて、にやりと笑いながらこちらに近づいてきた。その表情は、どこか狂気に染まっているように見えた。
側まで近づくと、対面するような形で私の膝に座り、手を首の後ろに持って行った。
「な...何をしたんだ...？」
「何を？ああ、説明し忘れていたね。この紅茶には、媚薬作用がある作物が使われているのさ。」
「な、なんだって...！？」
さらっと衝撃の事実を告げた彼女に対し、私は目を見開いて驚く。
そんな私を尻目に、彼女は更に抱きついてきた。彼女の双丘が、私の胸に押し当てられる。その柔らかな感触に、私の体が更に熱くなっていく。
そして、耳元でこう囁いてきた。
「でも、大丈夫。ボクだって飲んでいる。この世界じゃあ普通のことなのさ。」
私は、彼女の言葉の意味が理解できなかった。
普通.....？普通だと.....？紅茶に...媚薬を入れる...ことが普通....だって....？
「ふ...普通...？」
「そう、普通。君も今に分かるさ。」
そう言うと、彼女は耳元から顔を離す。燕尾服を脱いでいき、白無地のイカ胸シャツだけになる。たわわに実った双丘がはっきりと強調されていて、とても魅力的に見えた。
そして、大きなネクタイを外してイカ胸シャツを脱いでいく。すると、彼女の胸が露わになった。重力に逆らってそのままの状態であり、ピンクの色の乳房がピンっと立っていた。
恥ずかしさを微塵も感じさせない凛とした態度で、彼女はこう言ってきた。
「さぁ、ジャービス。ミルクだよ。」
「な、何を...。」
「何を馬鹿なことを」と言おうとした。しかし、言い掛ける前に、すでに私の手が彼女の右胸に伸びていた。
その唐突な行動を、私は理解しようとした。だが、駄目だった。すでに私の中に存在している理性は、ほんの一欠片しか残っていなかったのだから。
欲望に身を任せつつ、彼女の右胸に手を添える。そのまま、彼女の乳房に顔を寄せ、赤ん坊のように吸い付いた。
「ん♥」
吸い付いた途端、彼女は小さめの嬌声を上げる。それを意に介せず、私は一心不乱に吸い付いた。
どれだけ吸い付いても、彼女の胸から母乳が出ることはない。しかし、何故か甘いミルクの味がした。
その味を求めて吸い付いていると、不意に私の頭に何かが置かれ、一定間隔に動かされる。それは、彼女の手だった。
「おいしいかい、ジャービス？♥」
まるで愛しい我が子をあやすかのように、優しく訊いてくる彼女。それに応えるように、吸い付きながら首を縦に振った。
すると、彼女は嬉しそうに笑い、こう言った。
「そうかい♥じゃあ、もっとやってくれ♥」
そう言われた瞬間、私の中の何かが切れた。そして、彼女の左胸を、余っている手で鷲掴み、揉みし抱いた。
「はあぁん！」
すると、彼女が一段と高い嬌声を上げる。麗人がこういった嬌声を上げるというのは、とても扇情的であった。
しばらくの間、唇で右の乳房を、左手で左の乳房を転がしながら、彼女の胸を弄んだ。
その行為に感じているのか、彼女はずっと、小さめの嬌声を上げていた。
そのまま弄んでいると、彼女が息を荒げながら呟いた。
「ジャービス...♥もう...♥」
彼女は何か言い掛けていたが、私には直感で分かった。もうイキそうだということを。
彼女の左の乳房を軽くつねり、右の乳房を歯で軽く噛んだ。
「アアアアアァァァーーーー！！！♥♥♥」
すると、彼女は周りに轟くような嬌声を発し、体を思いっ切り反らした。
どうやらイったみたいだ。 そう直感で感じ、彼女の胸から離れる。右の乳房が私の唾液でテカっていて、とても魅力的に見えた。
彼女はしばらく、背筋を反らせたのままピクピクと体を震わせていた。それほど、イった快感が強かったのだろう。
それが終わると、背筋をゆっくりと戻していく。戻ったと同時にきつく抱きしめてきて、胸の谷間に私の顔が埋まる。
「ん！？」
「ハァ...ハァ...♥素晴らしいよ、ジャービス....♥」
息を整えながら喋る彼女。対して私は、少々息苦しいが、彼女の胸の中で安らぎを感じた。
そんな時、彼女の片手が離れる。次の瞬間、私の足の付け根から電流のような快感が走った。
「んむ！？」
「ジャービスのモノ....♥もうこんなに大きくなっているな...♥」
どうやら、彼女が私の息子に触れたようだ。愛おしそうに呟き、一定の間隔で撫で続ける。
そんな快感に、私は体を震わせながら享受していく。正直、撫でられただけでも出そうだった。
だが、彼女は手を離し、私の膝から立ち上がった。そんな彼女を、眉をひそめながら見ていた。
「ふふ...♥そんな顔しないでくれ...♥」
そう言うと、ダイヤのマークをあしらったズボンのベルトを緩め、下着と共に脱いでいく。彼女の秘所からは愛液が漏れていて、ふとももにまで伝っていた。
脱いだ後、後ろにある長テーブルに腰を掛ける。そのまま見せつけるように股を開くと、頬が赤く染まった顔で口を開いた。
「さぁ、ジャービス...♥おいで...♥」
誘われるように言われた私は、急いでジーンズのベルトを緩め、下着と共に下げた。
すると、勢いよく私の剛直がそそり立った。全体が、我慢汁で濡れてテカっていた。
そのまま彼女に近づき、彼女の秘所に私の剛直をぴたりと当てる。そして、勢いよく腰を突き出した。
「ああああああぁぁぁぁーーーーー！！！♥♥♥」
「うぐぁ！？」
入れた途端、彼女が周りに響くような嬌声を発する。どうやら、またイってしまったみたいだ。
彼女の中はとても熱くトロトロで、しかも全体が締め付けてくるように動く。私はそのあまりの快感に、眉間にしわを寄せて、苦悶の声を発した。
しかし、それだけでは満足出来なかった。私が求めているのはさらなる快感、この中に精をぶちまけることだった。
この考えは媚薬が作用している所為だろうが、私は歯止めが効かなくなっていた。一度彼女の中から剛直を出すと、再び勢いよく貫いた。
「はあぁぁぁ！♥」
「ハァ、ハァ！」
それをくり返し、私は更なる快感を求めて彼女の中から出し入れをする。彼女の愛液が潤滑油のような役目をしていて、なんの滞りもなく動かせた。
しばらく動かしていると、私の中から何かが駆け上っているのが分かった。多分、私が求めている更なる快感だろう。
すると、彼女が私の背中に手を回し、力強く抱きしめてきた。それと同時に、彼女の中が締まる。
「ああ！ジャービス！♥もう出そうなんだろう？♥私の中で君のモノがとてつもなく大きくなっているのが分かるよ！さぁ、出してくれ！♥」
「うぐぁぁ！！」
その不意な出来事に、私は我慢が出来るはずが無く、勢いよく彼女の中にぶちまけてしまう。
「はああああああああぁぁぁーーーーーーー！！！！♥♥♥」
「うああああああああああぁぁぁ！！！」
出した瞬間、全身がバラバラになりそうな快感が私を襲う。そのあまりの快感に耐えきれずに、絶叫にも似た嬌声を上げた。
彼女にも同じことが起こったのか、私と同じように叫んでいた。
１分か２分ぐらい彼女の中に精を出し続けた。それが終わると、とてつもない疲労感が私を襲い、彼女の胸へと体を預ける。
すると、彼女が優しく抱きしめてきて、息を吐きながらこう呟いた。
「ハァ、ハァ...。よかったよ...ジャービス...。」
その言葉を掛けられた私は、嬉しさのあまり口角を上げる。
もはや、この場所から出る方法なんてどうでもよかった。ただ彼女と共に歩んでいくという、新たな目標が出来たのだから。
そして、私の意識はまどろみの中へと消えていった。
14/01/05 17:58更新 / こりき