魔物が攻めてきて。
ドカーン! ボンッ!
「きゃあああああ!!」
「うわあああああ!!」
「逃げろ!早く!」
怒声、金切り声、悲鳴、様々な声が聞こえるこの場所は、反魔物領。
魔物が軍を率いて攻めてきたのである。
「隊長!第2、第3部隊、共に壊滅です!残されたのは我々2人のみです!」
「そうか・・市民の避難状況は?」
隊長と呼ぶ男の名は、アレク。第1部隊の副隊長である。
隊長と呼ばれる女性の名は、リコ。女性ながら部隊の隊長の座についている。
剣技は群を抜いている。
「もうすでに完了済みです!この地区にいるのは我々のみです!」
「よしなら良い。撤退の準備だ。本隊へ合流した後、魔物を側面から叩く!」
撤退の準備を始め、本隊へ合流しようと動くが・・・
「あ〜♪見つけた〜♪」
「「!!」」
突如、空、建物の上から気配と声を感じ、見上げるリコとアレクそこには・・
「サキュバス・・」
「エキドナにデュラハン、幹部クラスの魔物まで・・・」
そこには強力な魔力を持つ魔物が3人もいたのだ。
「強そうな男だ・・ぜひ手合わせ願いたい・・・」
「ダメよ、あなたは夫がいるでしょ・・?私が丸呑みにするんだから・・♪」
「ひっ・・」
「大丈夫だアレク落ち着け・・・」
丸呑みにするだの、あきらかに剣をこちらに向けてくるだの、恐ろしい事をしようと分かったアレクは一瞬ビクッとするがリコになだめられ落ち着きを取り戻す。
「いいか?アレク、私が時間を稼ぐ、その隙に本隊に向かえ。」
「・・・!?今なんと!?」
なんとリコは時間を稼ぐと言い出したのだ。それは、「私をおいて逃げろ」
ということを意味していた。
「しかし隊長は・・!?」
「お前はろくに命令の一つも守れんのか・・?すぐに追いつく・・・」
「・・・っ!分かりました!」
ダッ!
「あっ!逃げたわ!」
「追いかけろ!」
「待て!!」
追いかけようとする魔物達の前に立ち塞がり剣を抜くリコ。
「なによ?ただの人間のあなたが勝てるとでも・・・?」
「いや・・・時間稼ぎだ・・神格クラスの魔物相手にたった一人で勝てるわけがない・・」
「今なら許してあげるわ・・]
「どきなさい」
「・・・・っ!!!!」
リコは一瞬ふらつく、エキドナからとてつもないオーラが漂いはじめたのだ。
「ダメだ・・・あいつを追わせはしない・・・」
なんとか耐えて、構えなおすリコ。しかし震えている・・・恐怖の前に
「ふ〜ん・・まぁいいわ・・私は別の場所にいくわ・・・」
「・・・?なぜだ・・?」
「だって・・♪気づいたからよ・・♪」
「・・・?」
「まっそれはあなたも後で気づくわ・・じゃあね♪」
意味深なセリフを言って別の場所へ向かうエキドナを見て頭に?をうかべ混乱するリコだが、再び鋭い目つきで残った魔物を睨み付ける。
「では、私と戦うのだな・・・」
「そっちのサキュバスは・・?」
「私は見てるだけ〜♪」
デュラハンと戦闘を始めようとするリコだが・・・
「魔物、貴様の名前は・・?」
「私はニーナ・・・魔王軍第1部隊副隊長だ。ちなみに隊長は私の夫ルカだ。」
「あの行方不明だった・・!?今は確か青年になっているはず・・・生きていたのか・・・」
「今は立派な剣の達人だ。夫としてもな♪」
「ふん・・!堕落したのか・・お前を殺してから粛清してやる・・・」
この一言が、ニーナの逆鱗に触れた。
「ア゛?」
「!!!!!?????」
ニーナから強力な魔力が漂い始めたのだ。
所変わってこちらはアレク
「はぁ・・・はぁ・・・」
息を切らせて合流を目指すアレクあきらかに疲労している。
「どうなってるんだ・・・ここまできても味方が見当たらない・・・」
そう、なんと本隊がいるはずの広場まで来ても一人も味方がいないのだ。
いくらなんでもおかしいと思うのは、不思議ではない。
「んっ?あれは・・・マイク・・?」
アレクの視線の先に同僚のマイクがいたのだ。
誰だお前とか言っちゃいけない。
「マイク、こっちだ!俺だ!」
必死に呼びかけるアレクだが・・・
「マイク・・・?」
マイクが呼びかけにまったく応じないのだ。しかも結構な大きさの声にかかわらず。
「・・?驚かそうとでもしてんのか?」
タッタッ
「マイク?大丈夫か?」
近づき、アレクはマイクの肩を叩いたそのときだった。
ボンッ!
「うおっ!?」
なんとマイクは煙のように消えたのだ。
「偽者・・・?魔物か!?」
剣を構え、周囲を警戒し始めるアレク。
「ご名答なのじゃ!」
「!!」
子供がイタズラに成功したときの喜びの声をあげるような、
幼い声が聞こえてきた。
「バフォメット・・!?嘘だろ・・・」
「魔王軍第2部隊隊長、ルリ参上♪なのじゃ!」
そこには、一番アレクが会いたくない魔物がいた。アレクは剣士、つまり肉弾戦でないと意味が無い。対して相手は遠距離、回復、近距離、なんでもありの魔法だ。武が悪すぎる。
「マイクはどこだ!」
「ん〜?お兄ちゃんのことなのじゃ?」
「お兄ちゃん・・?」
お兄ちゃんと意味が分からない事を言われ、混乱するアレク。
「まぁいい、貴様を倒してから調べる!本隊に合流した後にな!」
「あ〜それは無理だと思うのじゃ♪」
「どういうことだ?」
「口よりも・・・それなのじゃ!」
「うわ!?」
アレクの足元に魔方陣が現れる。
「転送魔法!?しまった!」
どこかへと飛ばされるアレク・・・
所変わり、こちらはリコ
「どうしたどうした!?」
「くっ・・・」
ギンッ!ギンッ!
金属が擦れ合う音を鳴らしニーナと戦い・・・
否、ニーナが一方的に切り付けてるだけである。戦いとは言えない。
「私の夫をどうすると?え!?」
「くそ・・!」
ガギン!キン!
(強すぎる・・・!魔物といえど、ここまで・・?)
強いのも無理はない。リコはニーナの逆鱗に触れたのだから。
防いでいるだけでもすごい。
今ならニーナは、アップルマンも倒せる
ガギン!
「キャ!」
「勝負あり・・・だな」
戦闘は終了、剣を弾かれたリコの負けだ。
「さて・・・ミナ!」
「は〜い♪」
ゆっくりとリコのもとへ、サキュバスが近づいてくる。
「殺せ・・・」
「やだ♪」
「拷問でもする気か?なにも話さんぞ・・・」
「違うわよ♪」
「・・・・!?何を!?」
リコはミナに組み敷かれてしまう。抵抗できないように。
「あの男の子相手に素直になれるようにしてあげる♪」
「なんだココは・・・?」
先ほどルリにより町のどこかへと、飛ばされたアレク。
「・・・!?あれは!?」
魔力が濃い広場をアレクは見つける。いや、「見つけてしまった。」と言うべきか・・・
「ほらもっとぉ♪」
「ひぃぃぃぃぃ・・・・」
パンパン!
「可愛いわね・・・♪」
「もう許して・・・」
そこには、アレクがよく知っている者達が魔物達と交わっている・・・
「司令官・・・本隊や第2、第3部隊の人たちまで・・・」
そう、そこには壊滅したはずの第2、第3部隊。そして合流するはずだった本隊の者達までいたのだ。そしてルリと交わる親友の姿を発見する。ようやくアレクは理解したのだ。ルリの「無駄」という言葉の意味を。
「だからいったじゃろ♪」
「くそったれ!!!!」
ダッ!
アレクは思ったのだろう。隊長のもとへ向かえば良いと、あの人ならば負けてない。勝っているはずだと。
「それも無駄というのに・・・♪ククク・・」
リコと別れた場所まで逃げ出してきたアレク、必死に探すが・・・
「隊長!どこへ!?」
見当たらないのだ、先ほど戦っていた魔物達の姿も、リコの姿までもが。
「まさか・・・そんなはずがない!」
アレクの頭に最悪の結末がよぎる・・・リコは・・・愛してる人は死んでしまったのではないのかと・・・
「まだ気持ちも伝えてないのに・・・隊長!!」
必死に血眼になり探す。喉が痛もうとも、声がかすれようとも・・・
そこでようやく後ろ姿を発見する。
「・・・隊長!グスッ・・よかった!」
そこで、リコを見つけた。アレクは涙を流し近づく。だが・・・
「待てよ・・・」
アレクの脳内に再び警戒という単語が浮かぶ。もしかしたらこの隊長は、マイクの時と同じく幻影なのでは?と・・・
「貴様は隊長か・・・?」
隊長か・・・?と答えると・・・
「当たり前だろう・・・なにを言っている・・・」
「よかった・・・!隊長!」
後ろを向いているといえど、反応が返ってきてうれしかったのか、アレクは剣を収め、近づく。隙だらけの状態で・・・
「アレク・・・グスッ」
「隊長・・なぜ泣いてるのですか・・?」
リコは泣いていた。なぜ泣いているのだろうか・・・?アレクは分からなかった。
「悲しいことでも・・?どこか痛むのですか・・?」
「いえ・・・違うわ・・・」
そのときだった。
「あなたを襲えるから嬉しくて泣いているのよ♥」
ゾクッ!!!!
「うわああああああ!!!!!」
隊長なのだろう、見た目も変わらない、いつもの隊長だ、いつも気さくに振舞ってくれる優しい人だ、俺の大切な大好きな人だ。
心の中ではそう思っているのだろう。思いたいのだろう、しかし今の隊長の姿は・・・リコの姿は・・・
「サキュバス!!!」
そう、いつもと明らかに違うところは、リコに角が生えている。尻尾も隠していたのだろう、今は生えている。そして妖しい色気、妖艶な雰囲気、すべてがサキュバスのそれと同じだ。
「あはぁ♪待ってよ〜♪」
「うわああああ!!」
アレクは走り出す。リコから逃げるために。生き延びようとするために。
(嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!!!隊長が・・リコが・・・サキュバスに!!!)
心の中では、願いの中ではサキュバスになってるわけが無いと思いたいと願っている。しかし、まぎれもなくあれは「リコ」と思う自分がいる。それがアレクは恐ろしかった。騎士団に入ったときから「憧れの人」として、そして今は「愛する人」として思うアレクだった。だが、今は魔物に、自分がもっとも憎むべき相手へとリコは変わってしまっている。それが怖かった。恐ろしかった。なにが恐ろしいというと、アレクは「もっとも大切な人」を切らなければならないということだった。
「待て待て〜♪」
「来るなあああああ!!!!」
逃げても逃げても追いかけてくる。一番好きな人なのに今は、恐怖の塊となりリコは、アレクを追い詰める。このときアレクは、自身がどこへ向かっているのか、把握していない。これがいけなかった。
「い、行き止まり・・・・」
「追いついた・・・・へへへ♪」
「ひぃっ!!」
追い詰められたもう逃げられない。
「隊長お願いです!退いてください!あなたを切りたくない!」
「や〜だ♪だってエキドナ様から言われた言葉、分かったもん♪」
「な・・なにを・・?」
「私がアレクが好きってこと〜♪」
「なっ・・・!?」
衝撃の一言を言われ、一瞬ビックリするアレクだった。
リコはその隙を見逃さなかった。
「うわぁ!」
ズダン!
「捕まえた♪」
「やめてください!隊長!」
「やだ♪」
リコはアレクの鎧を脱がし始める。一瞬で。
「あ・・・ああ・・」
「へへへ♪大きい♪アムッ!」
「うわ!あああああ!」
いきなりリコは、アレクのモノをくわえ込んだ。
「ジュルジュル・・へへへ♪」
「やめ・・うわあ!!」
抵抗しよとしても「男」だ。アレクは快楽から逃れられない。
「で・・出る・・」
「ダメダメ♪出すならこっちで♪」
リコは蜜壺を開く。完全に出来上がっている。
「やめ・・・「やめない♪」」
ズプッ!!
「うわああああ!!!!」
ゴリゴリ!
一瞬で子宮口まで導かれる。コリコリとしたものが、先に当たる。
「気持ちいい?アレク♪」
「うわああ!!ひやあああ!」
ビュルビュル!
「ありゃりゃ〜♪アレク早漏なんだ♪」
「もうやめて・・・リコ・・・」
「へへへぇ♪名前で呼んでくれた♪」
アレクは泣いている・・・腰も抜けて抵抗もできない。
「まだまだ・・・♪」
「いやだああああああ!!!」
まだまだ終わらない・・・・
END
「っていう事で結婚したんだよな。お前たち。」
「ニーナ・・君もえげつないね・・・」
「いえいえ、これで好きって言えたんですし・・・・」
「だよね、アレク♪」
ここは魔王城、現在、アレクは第3部隊の指揮をとっている。
「ただいまなのじゃ!」
「よ〜お前ら。」
「マイク、それにルリさんも」
「なんだなんだアレク、ラブラブだな」
「お前もだろ・・・・」
マイクとルリが戻ってきた。どうやら買い物に行っていたようだ。そこでアレクはマイクに茶化される。
「なんか凄かったよなお互いに・・・」
「俺はリコと、お前はルリさんと、エキドナのミリもうちの司令官と・・・やばかったな・・・」
「お兄ちゃんができてよかったのじゃ!」
「アレクともラブラブになったしね♪」
そこにまた来客が来る。
「お邪魔しまーす♪」
「げっサラさん・・・」
「げっとはなによ?」
そこにサラが来た。現在は軍の前線から退いている。
「ソラさんは?」
「彼なら、育児中よ。アレク君。」
どうやら子宝に恵まれたようだ。ソラは必死にミルクをあげている事だろう。
「おっと、ニーナ任務だ。」
「分かった。」
「俺達も行こう。」
「え〜やだやだ!」
「夜、相手してやるから。」
「分かりました!」
「魔法で援護を頼んだ。ルリ。」
「分かったのじゃ!」
「頑張ってね〜ソラも後で連れてくから〜」
「ソラなら連れてきたぞ。」
「ジン離せ!あの子の寝顔をもっと見ておきたい!」
「見ておくからはやく行きなさい!」
「orz」
今日も魔王軍は騒がしいようだ。
END
「きゃあああああ!!」
「うわあああああ!!」
「逃げろ!早く!」
怒声、金切り声、悲鳴、様々な声が聞こえるこの場所は、反魔物領。
魔物が軍を率いて攻めてきたのである。
「隊長!第2、第3部隊、共に壊滅です!残されたのは我々2人のみです!」
「そうか・・市民の避難状況は?」
隊長と呼ぶ男の名は、アレク。第1部隊の副隊長である。
隊長と呼ばれる女性の名は、リコ。女性ながら部隊の隊長の座についている。
剣技は群を抜いている。
「もうすでに完了済みです!この地区にいるのは我々のみです!」
「よしなら良い。撤退の準備だ。本隊へ合流した後、魔物を側面から叩く!」
撤退の準備を始め、本隊へ合流しようと動くが・・・
「あ〜♪見つけた〜♪」
「「!!」」
突如、空、建物の上から気配と声を感じ、見上げるリコとアレクそこには・・
「サキュバス・・」
「エキドナにデュラハン、幹部クラスの魔物まで・・・」
そこには強力な魔力を持つ魔物が3人もいたのだ。
「強そうな男だ・・ぜひ手合わせ願いたい・・・」
「ダメよ、あなたは夫がいるでしょ・・?私が丸呑みにするんだから・・♪」
「ひっ・・」
「大丈夫だアレク落ち着け・・・」
丸呑みにするだの、あきらかに剣をこちらに向けてくるだの、恐ろしい事をしようと分かったアレクは一瞬ビクッとするがリコになだめられ落ち着きを取り戻す。
「いいか?アレク、私が時間を稼ぐ、その隙に本隊に向かえ。」
「・・・!?今なんと!?」
なんとリコは時間を稼ぐと言い出したのだ。それは、「私をおいて逃げろ」
ということを意味していた。
「しかし隊長は・・!?」
「お前はろくに命令の一つも守れんのか・・?すぐに追いつく・・・」
「・・・っ!分かりました!」
ダッ!
「あっ!逃げたわ!」
「追いかけろ!」
「待て!!」
追いかけようとする魔物達の前に立ち塞がり剣を抜くリコ。
「なによ?ただの人間のあなたが勝てるとでも・・・?」
「いや・・・時間稼ぎだ・・神格クラスの魔物相手にたった一人で勝てるわけがない・・」
「今なら許してあげるわ・・]
「どきなさい」
「・・・・っ!!!!」
リコは一瞬ふらつく、エキドナからとてつもないオーラが漂いはじめたのだ。
「ダメだ・・・あいつを追わせはしない・・・」
なんとか耐えて、構えなおすリコ。しかし震えている・・・恐怖の前に
「ふ〜ん・・まぁいいわ・・私は別の場所にいくわ・・・」
「・・・?なぜだ・・?」
「だって・・♪気づいたからよ・・♪」
「・・・?」
「まっそれはあなたも後で気づくわ・・じゃあね♪」
意味深なセリフを言って別の場所へ向かうエキドナを見て頭に?をうかべ混乱するリコだが、再び鋭い目つきで残った魔物を睨み付ける。
「では、私と戦うのだな・・・」
「そっちのサキュバスは・・?」
「私は見てるだけ〜♪」
デュラハンと戦闘を始めようとするリコだが・・・
「魔物、貴様の名前は・・?」
「私はニーナ・・・魔王軍第1部隊副隊長だ。ちなみに隊長は私の夫ルカだ。」
「あの行方不明だった・・!?今は確か青年になっているはず・・・生きていたのか・・・」
「今は立派な剣の達人だ。夫としてもな♪」
「ふん・・!堕落したのか・・お前を殺してから粛清してやる・・・」
この一言が、ニーナの逆鱗に触れた。
「ア゛?」
「!!!!!?????」
ニーナから強力な魔力が漂い始めたのだ。
所変わってこちらはアレク
「はぁ・・・はぁ・・・」
息を切らせて合流を目指すアレクあきらかに疲労している。
「どうなってるんだ・・・ここまできても味方が見当たらない・・・」
そう、なんと本隊がいるはずの広場まで来ても一人も味方がいないのだ。
いくらなんでもおかしいと思うのは、不思議ではない。
「んっ?あれは・・・マイク・・?」
アレクの視線の先に同僚のマイクがいたのだ。
「マイク、こっちだ!俺だ!」
必死に呼びかけるアレクだが・・・
「マイク・・・?」
マイクが呼びかけにまったく応じないのだ。しかも結構な大きさの声にかかわらず。
「・・?驚かそうとでもしてんのか?」
タッタッ
「マイク?大丈夫か?」
近づき、アレクはマイクの肩を叩いたそのときだった。
ボンッ!
「うおっ!?」
なんとマイクは煙のように消えたのだ。
「偽者・・・?魔物か!?」
剣を構え、周囲を警戒し始めるアレク。
「ご名答なのじゃ!」
「!!」
子供がイタズラに成功したときの喜びの声をあげるような、
幼い声が聞こえてきた。
「バフォメット・・!?嘘だろ・・・」
「魔王軍第2部隊隊長、ルリ参上♪なのじゃ!」
そこには、一番アレクが会いたくない魔物がいた。アレクは剣士、つまり肉弾戦でないと意味が無い。対して相手は遠距離、回復、近距離、なんでもありの魔法だ。武が悪すぎる。
「マイクはどこだ!」
「ん〜?お兄ちゃんのことなのじゃ?」
「お兄ちゃん・・?」
お兄ちゃんと意味が分からない事を言われ、混乱するアレク。
「まぁいい、貴様を倒してから調べる!本隊に合流した後にな!」
「あ〜それは無理だと思うのじゃ♪」
「どういうことだ?」
「口よりも・・・それなのじゃ!」
「うわ!?」
アレクの足元に魔方陣が現れる。
「転送魔法!?しまった!」
どこかへと飛ばされるアレク・・・
所変わり、こちらはリコ
「どうしたどうした!?」
「くっ・・・」
ギンッ!ギンッ!
金属が擦れ合う音を鳴らしニーナと戦い・・・
否、ニーナが一方的に切り付けてるだけである。戦いとは言えない。
「私の夫をどうすると?え!?」
「くそ・・!」
ガギン!キン!
(強すぎる・・・!魔物といえど、ここまで・・?)
強いのも無理はない。リコはニーナの逆鱗に触れたのだから。
防いでいるだけでもすごい。
ガギン!
「キャ!」
「勝負あり・・・だな」
戦闘は終了、剣を弾かれたリコの負けだ。
「さて・・・ミナ!」
「は〜い♪」
ゆっくりとリコのもとへ、サキュバスが近づいてくる。
「殺せ・・・」
「やだ♪」
「拷問でもする気か?なにも話さんぞ・・・」
「違うわよ♪」
「・・・・!?何を!?」
リコはミナに組み敷かれてしまう。抵抗できないように。
「あの男の子相手に素直になれるようにしてあげる♪」
「なんだココは・・・?」
先ほどルリにより町のどこかへと、飛ばされたアレク。
「・・・!?あれは!?」
魔力が濃い広場をアレクは見つける。いや、「見つけてしまった。」と言うべきか・・・
「ほらもっとぉ♪」
「ひぃぃぃぃぃ・・・・」
パンパン!
「可愛いわね・・・♪」
「もう許して・・・」
そこには、アレクがよく知っている者達が魔物達と交わっている・・・
「司令官・・・本隊や第2、第3部隊の人たちまで・・・」
そう、そこには壊滅したはずの第2、第3部隊。そして合流するはずだった本隊の者達までいたのだ。そしてルリと交わる親友の姿を発見する。ようやくアレクは理解したのだ。ルリの「無駄」という言葉の意味を。
「だからいったじゃろ♪」
「くそったれ!!!!」
ダッ!
アレクは思ったのだろう。隊長のもとへ向かえば良いと、あの人ならば負けてない。勝っているはずだと。
「それも無駄というのに・・・♪ククク・・」
リコと別れた場所まで逃げ出してきたアレク、必死に探すが・・・
「隊長!どこへ!?」
見当たらないのだ、先ほど戦っていた魔物達の姿も、リコの姿までもが。
「まさか・・・そんなはずがない!」
アレクの頭に最悪の結末がよぎる・・・リコは・・・愛してる人は死んでしまったのではないのかと・・・
「まだ気持ちも伝えてないのに・・・隊長!!」
必死に血眼になり探す。喉が痛もうとも、声がかすれようとも・・・
そこでようやく後ろ姿を発見する。
「・・・隊長!グスッ・・よかった!」
そこで、リコを見つけた。アレクは涙を流し近づく。だが・・・
「待てよ・・・」
アレクの脳内に再び警戒という単語が浮かぶ。もしかしたらこの隊長は、マイクの時と同じく幻影なのでは?と・・・
「貴様は隊長か・・・?」
隊長か・・・?と答えると・・・
「当たり前だろう・・・なにを言っている・・・」
「よかった・・・!隊長!」
後ろを向いているといえど、反応が返ってきてうれしかったのか、アレクは剣を収め、近づく。隙だらけの状態で・・・
「アレク・・・グスッ」
「隊長・・なぜ泣いてるのですか・・?」
リコは泣いていた。なぜ泣いているのだろうか・・・?アレクは分からなかった。
「悲しいことでも・・?どこか痛むのですか・・?」
「いえ・・・違うわ・・・」
そのときだった。
「あなたを襲えるから嬉しくて泣いているのよ♥」
ゾクッ!!!!
「うわああああああ!!!!!」
隊長なのだろう、見た目も変わらない、いつもの隊長だ、いつも気さくに振舞ってくれる優しい人だ、俺の大切な大好きな人だ。
心の中ではそう思っているのだろう。思いたいのだろう、しかし今の隊長の姿は・・・リコの姿は・・・
「サキュバス!!!」
そう、いつもと明らかに違うところは、リコに角が生えている。尻尾も隠していたのだろう、今は生えている。そして妖しい色気、妖艶な雰囲気、すべてがサキュバスのそれと同じだ。
「あはぁ♪待ってよ〜♪」
「うわああああ!!」
アレクは走り出す。リコから逃げるために。生き延びようとするために。
(嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!!!隊長が・・リコが・・・サキュバスに!!!)
心の中では、願いの中ではサキュバスになってるわけが無いと思いたいと願っている。しかし、まぎれもなくあれは「リコ」と思う自分がいる。それがアレクは恐ろしかった。騎士団に入ったときから「憧れの人」として、そして今は「愛する人」として思うアレクだった。だが、今は魔物に、自分がもっとも憎むべき相手へとリコは変わってしまっている。それが怖かった。恐ろしかった。なにが恐ろしいというと、アレクは「もっとも大切な人」を切らなければならないということだった。
「待て待て〜♪」
「来るなあああああ!!!!」
逃げても逃げても追いかけてくる。一番好きな人なのに今は、恐怖の塊となりリコは、アレクを追い詰める。このときアレクは、自身がどこへ向かっているのか、把握していない。これがいけなかった。
「い、行き止まり・・・・」
「追いついた・・・・へへへ♪」
「ひぃっ!!」
追い詰められたもう逃げられない。
「隊長お願いです!退いてください!あなたを切りたくない!」
「や〜だ♪だってエキドナ様から言われた言葉、分かったもん♪」
「な・・なにを・・?」
「私がアレクが好きってこと〜♪」
「なっ・・・!?」
衝撃の一言を言われ、一瞬ビックリするアレクだった。
リコはその隙を見逃さなかった。
「うわぁ!」
ズダン!
「捕まえた♪」
「やめてください!隊長!」
「やだ♪」
リコはアレクの鎧を脱がし始める。一瞬で。
「あ・・・ああ・・」
「へへへ♪大きい♪アムッ!」
「うわ!あああああ!」
いきなりリコは、アレクのモノをくわえ込んだ。
「ジュルジュル・・へへへ♪」
「やめ・・うわあ!!」
抵抗しよとしても「男」だ。アレクは快楽から逃れられない。
「で・・出る・・」
「ダメダメ♪出すならこっちで♪」
リコは蜜壺を開く。完全に出来上がっている。
「やめ・・・「やめない♪」」
ズプッ!!
「うわああああ!!!!」
ゴリゴリ!
一瞬で子宮口まで導かれる。コリコリとしたものが、先に当たる。
「気持ちいい?アレク♪」
「うわああ!!ひやあああ!」
ビュルビュル!
「ありゃりゃ〜♪アレク早漏なんだ♪」
「もうやめて・・・リコ・・・」
「へへへぇ♪名前で呼んでくれた♪」
アレクは泣いている・・・腰も抜けて抵抗もできない。
「まだまだ・・・♪」
「いやだああああああ!!!」
まだまだ終わらない・・・・
END
「っていう事で結婚したんだよな。お前たち。」
「ニーナ・・君もえげつないね・・・」
「いえいえ、これで好きって言えたんですし・・・・」
「だよね、アレク♪」
ここは魔王城、現在、アレクは第3部隊の指揮をとっている。
「ただいまなのじゃ!」
「よ〜お前ら。」
「マイク、それにルリさんも」
「なんだなんだアレク、ラブラブだな」
「お前もだろ・・・・」
マイクとルリが戻ってきた。どうやら買い物に行っていたようだ。そこでアレクはマイクに茶化される。
「なんか凄かったよなお互いに・・・」
「俺はリコと、お前はルリさんと、エキドナのミリもうちの司令官と・・・やばかったな・・・」
「お兄ちゃんができてよかったのじゃ!」
「アレクともラブラブになったしね♪」
そこにまた来客が来る。
「お邪魔しまーす♪」
「げっサラさん・・・」
「げっとはなによ?」
そこにサラが来た。現在は軍の前線から退いている。
「ソラさんは?」
「彼なら、育児中よ。アレク君。」
どうやら子宝に恵まれたようだ。ソラは必死にミルクをあげている事だろう。
「おっと、ニーナ任務だ。」
「分かった。」
「俺達も行こう。」
「え〜やだやだ!」
「夜、相手してやるから。」
「分かりました!」
「魔法で援護を頼んだ。ルリ。」
「分かったのじゃ!」
「頑張ってね〜ソラも後で連れてくから〜」
「ソラなら連れてきたぞ。」
「ジン離せ!あの子の寝顔をもっと見ておきたい!」
「見ておくからはやく行きなさい!」
「orz」
今日も魔王軍は騒がしいようだ。
END
15/03/08 20:07更新 / 海藻