読切小説
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ボクの秘密基地
 その日、ボクは友達たちに囲まれてた。
 大好きだった友達と別れなければならなかったからだ。

「ほんとうに行っちゃうの?」
「うん」
「どこに行っちゃうの?」
「わからない…とおいとこ」
「帰ってくるよね」
「うん。ぜったいに帰るよ。だってボクたちには、大人にないしょのひみつ基地があるじゃないか!あそこのこと…ボクが帰ってくるまでお願いね」
「うん!そうだよね。ルチアが帰ってくるまで俺たちいつまでも守ってる」

 友達たちは、遠くへと行くことになってしまったボクを励ましてくれた。

「絶対だよ!ボクも向こうに行ったらたくさん友達作って、ここみたいなひみつ基地作るんだ!ここよりすごいのだよ!かえってきたら、うんと自慢してあげるんだから!」
「ここよりもスゴイの?!うん!聞きたい!ルチアとその友達の作ったヒミツキチのはなし、ぜったい話してよね!」

 ボクたちは、そういいあって別れたんだ。

 ボクの名前は、ルチアーノ。親しい人たちはみんな、ルチアって呼ぶの。友達も、神父様も、お祈りに来る人も。
 ボクは孤児だから、パパもママもいないんだけど、ボクを引き取って育ててくれたのは、教会の神父様。だから、いろいろお手伝いをしているの。その神父様が、砂漠っていうところの街の教会に招かれたって言ってたの。だから、ボクもついて行くことになったんだ。

 砂漠の街に着いたとき、ボクは目をいっぱいに開けて驚いたんだ。だって、見渡すかぎりおっきな砂山があるんだもの。
 おっきな砂山。くっさいラクダっていきもの。みどりがほとんどない街。みんな、お洋服じゃなくてダボダボしたマントを被ってて帽子を被っているの。おひさまはギラギラしていて暑いけど、日陰に入っちゃえば大丈夫さ。
 教会に着くと、部屋の中まで砂だらけ。ボクは、お掃除のしがいがありそうだなって思ったの。

 神父様は、教会にやってくる人たちのお相手で大忙し。懺悔のときなんかはボクはすることがないの。だからそんな時はお掃除するか、お外で遊んでいるの。教会にやってくる人たちの連れてるボクぐらいのこどもの相手をしてあげようと思うんだけど、肌の色が違うって言ってなかなか遊ぼうとはしてくれないの。
 だから、そんな時は砂で遊んでいるの。

 その日…ひとりで砂山をつくってると、ふっと目の前が暗くなったんだ。
 見上げてみると、見たこともないおねぇちゃんが目の前でニコニコしてたの。

「ボク、ひとり?」
「そうだよ」
「お友達は?」
「まだいないよ。でも、そのうちいっぱいつくるよ!だから、さびしくないよ」
「そう。えらいのね」

 おねぇちゃんは、こどものボクでもきれいな人だって思うほど。そんなおねぇちゃんがボクの隣に座るとニコニコしてる。
 きれいなピンク色のマントを羽織っているおねぇちゃん。

「おなまえは?」
「ルチア。ほんとうはルチアーノっていうんだけど、親しい人たちはみんなルチアって呼ぶの。おねぇちゃんのおなまえは?」
「サんど…
「さ?」
「サ…サー………」
「おねぇちゃん……もしかして、おなまえないの?」
「…うん」
「じゃぁ、ボクがつけてあげる。んーと、んーと…」
「んーと?」
「んーと…あっ、おねぇちゃんきれいな宝石もってるの?」

 見れば肩にキラキラした赤いものがあった。

「これ、きれい?」
「とっても赤くてキラキラ。そうだ、おねぇちゃんのおなまえ…サルビアでどう?」
「さるびあ?」
「とっても赤くてちっちゃいお花が咲くんだよ?よく教会に鉢を届けてくれた人がいたの」
「そうなんだ。…さるびあ…さるびあ!アハッ♪」
「サルビアおねぇちゃん、うれしそう」
「さるびあ♪ ルチア、ありがとう」
「うん!」

 おねぇちゃんは、とってもうれしそうに笑ってる。

「それで、ルチアはなにしてるの?」
「砂遊び」
「砂遊び?」
「うん。まだお友達いないから、おおきなお山をつくっているの」
「そうなんだ。友達作ったら何して遊ぶの?」」
「んーと…」
「うん」

 ボクは考えた、たくさんの砂を使ってできること…

「おねぇちゃん、棒倒し知ってる?」
「ぼうたおし?」
「うん。こう砂の山をつくってね?頂上にこうやって棒を立てるの」
「うん」
「でね?まわりの砂を取っていくの」
「うんうん」
「で、最後にこの棒を倒しちゃったほうが負けなの」
「ふーん」
「やってみる?」
「うん♪」

 棒倒し…おねぇちゃんはへたくそだった。いきなり砂をかばっと取って棒を倒しちゃうんだもの。
 まじめに、最初の一手で棒を倒しちゃう人なんて初めて見たよ。だから、教えてあげたの。

「こうやって、すこしずつ周りの砂をとっていくの」
「こう?」
「そうそう。ゆっくりゆっくりね?そうして、棒を倒さないように…すればいいと思うの」
「じゃぁ…どんな棒も少しずつゆっくりと攻めて行けば倒れないってこと?」
「ん?うん。すこしずつね。さいしょは大雑把でもいいの。でも、さいごがしょうぶだよ」
「うん!わかったよ」

 おねぇちゃんは、まんめんの笑顔でニコニコしてくれたんだ。
 ボクはそんなおねぇちゃんを見ると、すっごくドキドキしちゃうんだ。

「とりゃ!」
「ぴょい!」
「どりゃ!」
「さらさら…」
「ちょい……あーあーー」
「ふふふ、おねぇちゃんのまけー」
「え?えーダメ!もう一回!もう一回ぃ」
「しかたないなぁ」

 やっぱり、おねぇちゃんはへたくそだ。だから、何回もいっしょに遊んだんだ。

「あーあー…またまけちゃった」
「おねぇちゃん、へただなぁ」
「違う棒倒しなら自信あるのにぃ」
「ちがう棒倒し?」
「うん♪ それなら、わたし自信あるよ」
「そうなんだ。それってどんなの?」
「ふたりだけで仲良くできるの。やってみようよ」
「へぇ…ふたりだけでかぁ。でも…ボクもっとお友達増やしたいんだ。ゴメンナサイおねぇちゃん」
「ルチアは、友達いっぱいできたらどうするの?」

 ボクは、向こうでいっぱいのお友達とひみつ基地を作って遊んだことを話すことにした。

「ボクね?向こうでは、お友達とひみつ基地を作ってね遊んでいたんだ」
「ひみつきち?」
「そう。おとなの知らない、ぼくたちだけの遊び場所。そこにおかしを持っていったり、おもちゃを持ってきたりして、みんなで遊ぶの。そうすると、すっごくたのしいんだよ?」
「友達だけの遊び場所?それ、すっごくたのしそう」
「うん!たのしいんだよ。でも…」
「でも?」
「…ここじゃ、ひみつきちも作れないよ。向こうは森の中にいっぱいおおきな木があって、中には人が入れるようなおおきな洞のある木もあったの。そこがボク達のひみつ基地」
「そうなんだ。じゃぁねぇ、おねぇちゃんのひみつきちに来てみない?」
「え?!!おねぇちゃん、ひみつ基地あるの?」
「あるよ♪ すっごいのが」
「すっごいの?」
「すっごいよ♪」
「どんなすっごいの?」
「んーとねぇ」

 おねぇちゃんは、口に指をあてて「んー」と考えている。そのうちにポンと手をたたくと、ウインクして笑った。

「まず、砂の上を走れます」
「動くの?!」
「うん。そして、砂の中に潜れます」
「潜る?!」
「さらに、勢いよく飛び上がると空も飛べます」
「飛べるの?!すっごい!すっっっごいよおねぇちゃん!」
「さらにさらに、その中はとてもひんやりとしていて快適なの」
「すずしいの?」

 ボクは思わず身を乗り出していた。砂遊びは楽しいけど、ここの暑さにはまだまだ慣れていなかったから…。

「それに、とっても肌触りのいいソファがあって気持ちいいの」
「気持ちよさそう!」
「うん!だから、ルチアも来て!ぜったい気に入るよ!」
「ぜったい?」
「ぜったい!ぜったい!だから、明日ここにまた来て!持ってくるから!」
「ぜったいだよ!」
「ぜったい来てね!」

 次の日が来るのをボクは待ちきれなかった。
 翌日…。
 待ちきれなくて、走っていってみると…
 いきなり、砂山が盛り上がって、埃が舞い上がったと思った途端…
 黒くて大きなものが目の前にいた。
 なんだかわからないけれど、すごく大きなもの。先端の牙がある。その前でおねぇちゃんがボクを見ておいでおいでと手を振っていた。

「ルチア!来てくれたね」
「スッゲー!これが、おねぇちゃんのひみつきち?」
「そうだよ。おねぇちゃんのひみつきち」

 おねぇちゃんは、自慢げにニヤニヤと笑っている。ボクは大興奮してその動くひみつきちを手で撫で回した。
 ペチペチと叩くと、向こうのひみつ基地みたいな感触が。なんだか、切り株の皮みたい。それが時々、わさわさ動くの。
 おねぇちゃんの近くに寄って見ると、かっくいい牙がニュッと突き出していた。そして、ボクの背丈よりも上には、おねぇちゃんの宝石みたいなキラキラがあったの。

「カッケー!おねぇちゃんのひみつ基地!」
「かっけーでしょ!でね、でね、でねっ!早く中に入って!見せたいものかあるの!」
「見せたいもの?うん!見せて見せて!!」

 ボクは、おねぇちゃんの手を取って中へと入って行ったんだ。

「見ててね」

 そう言って指差した先には、入り口が…。
 あの突き出した牙が、ガチンと内側に動いた。

「動いた!」
「そうよ。かっけー?」
「カッケー!」
「ふふふ。じゃ、閉じるね?」
「うん」

 入り口から見える外が、お星様みたいな形になってゆっくりと見えなくなった。
 入り口が閉じちゃったからだろう、中は真っ暗になったちゃった。

「真っ暗だよおねぇちゃん」
「だいじょーぶ、だいじょーぶ」

 ぱっと明るくなった。思わず、目を閉じちゃった。

「ルチア、目を開けてみて大丈夫だから」

 そのやさしい声にゆっくりと目を開けると…中は、一面ピンク色。おねぇちゃんもピンク色になってた。
 マントがピンク色だと思っていたけど、おねぇちゃんの全身もピンク色だった。

「おねぇちゃん。ピンク色、かわいい」
「ほんと?」
「ほんとだよ」
「ほんとのほんと?」
「ほんとのほんとのほんと」
「ふふふ、ありがとう」

 おねぇちゃんはうれしそうに笑うと、突然ボクをギュッて抱きしめたんだ。

「おねぇちゃん?」
「なぁに?ルチア」

 しばらくギュッとしてから、頭をナデナデするおねぇちゃん。
 その間、ボクはおねぇちゃんのおっぱいに埋もれることになっててすごくドキドキしてたんだ。

「……」
「ルチア、顔、真っ赤よ」
「……」
「かわいい、ルチア♥ もう!かわいいんだから♥♥♥」
「……ん」

 おねぇちゃんは、再びギュッてすると今度はスリスリと頬づりをしてる。
 おねぇちゃん…あったかくてなんだかママみたいだ。ママのことは覚えてないけど、ママみたいだって思ったんだ。
 ふんわりとあったかいおねぇちゃん。心の落ち着くやさしいにおいが、ふっと漂ってきてボクはすっかりおねぇちゃんのこと大好きになってたんだ。

「じゃ、ひみつ基地を紹介するね?」
「あ……うん!」

 もっとギュッてしててほしかったけど、ひみつ基地への興味もいっぱいあったんだ。 

「ほら、ここさわってみて」

 指を指されたところを触ってみると…フニョフニョとやわらかかった。壁なのか?見渡す限りやわらかかった。

「やわらかい」
「座ってみて」
「あったかくって、やわらかくて…神父様の肘掛みたいだ」
「そう。でね?お布団にもなるのよ?」
「おふとん?」
「そう、そのまま寝そべってて」
「うん」

 寝そべっていると、壁のフヨフヨがゆっくりと張り出してきて、ボクを包み込む。

「ふふふ、どう?」
「あったかい。きもちいい」
「ふふっ!よかった」

 ニコニコのおねぇちゃん。そんなおねぇちゃんに気になっていたことを聞いてみた。

「おねぇちゃん。ほんとうにこのひみつ基地…動くの?」
「もちろんよ?」
「でも、中にいたらわからないじゃないか」
「それじゃぁ…お外、見てみる?」
「え?」

 何をしたのかわからなかったけど…目の前の壁がいきなり窓みたいになった。
 ボクはポカンと口をあけてたと思う。だって、だって…その窓の外はすごい速さで変わっていったのだから。
 お空と砂の地面が流れるように変わっていく。けど、ホントに動いているのか判らないほど、この中は揺れもしない。
 向こうに、大きな砂の山が見えた。そこに登ったみたいで、次の瞬間…浮いた様な気持ち悪さを感じた。

「おねぇちゃん、今の何?」
「飛んだみたい」
「飛んだの?」
「そう、また飛んでみる?」
「うん!」

 また向こうの方に砂のお山が見えた。その瞬間、猛烈な風が入り口の方から吹き込んできた。
 入り口が開いてた。お星様のようなギザギザの外の光景。ぐんぐんと近づいてくるお山。お山は見えなくなって、青い空だけが見えて…
 また突然の浮遊感。
 そして…真っ青のお空が見えて…教会の二階から砂漠を見渡すような景色が見えた。けど、すぐに地面が!
 シュッと入り口が閉じると、ズシン!!って感じの、すごい揺れと…砂が飛んできた。

「ルチア!ゴメン!」
「え?」
「砂かぶっちゃったね。ゴメン!」

 おねぇちゃんは、砂をかぶったボクの顔を拭きながら謝っている。

「おねぇちゃん…」
「ゴメン、ゆるして」
「…………す」
「ごめん…」
「スゲーすげーよ!おねぇちゃん!」
「え?」
「飛んでた!ほんとに飛んでたよ!ボク達ほんとに飛んでたんだよ!すっげーおねぇちゃん!おねぇちゃんのひみつ基地スッゲー!!」

 ボクは興奮して、おねぇちゃんを抱きしめてた。驚いた顔をしてるおねぇちゃん。
 ボクは更にお願いしてた。

「砂の中…潜れるっていってたよね」
「…うん♪」
「やってぇ、おねがい、やってぇ」
「ルチア♪ …んじゃぁ、いっくよぉぉぉ!!」

 しょんぼりとしてたおねぇちゃんの顔が、一気に笑顔に変わった。
 お外の光景は、地面、空、地面、そして…真っ暗に。
 真っ暗だと思ったら、黄土色の砂がキラキラ光りながら窓を流れていく。太陽に照らされた砂の山が風に流されてサラサラと流れるような流れじゃないけど、滝の流れが砂になったかのような光景だ。
 そして、また浮遊感。
 一気に地面が見えて、空が見えて、また地面。少しだけ揺れたと思ったら、また砂の滝。
 ボクは、窓に頭が引っ付くように夢中でお外の様子を見てたんだ。
 そんな時…。

「ルチア?おねぇちゃんのこと、好き(Love)?」

 砂の流れが止まったなと思ったら、窓が消えた。そして、おねぇちゃんが、真剣な顔をしてボクを見てた。

「うん!ボク、おねぇちゃんのことスキ(Like)」

 そう言うと、おねぇちゃんの顔がパァァァァァっと明るくなった。

「ほんとに♥ほんとに♥おねぇちゃんのこと好き(Love)?」
「ほんとにほんとにほんとに、スキ(Like) だよ」

 その時、おねぇちゃんは本当にうれしそうな顔をして、ボクの頭をナデナデしてくれたんだ。

「おねぇちゃんね?今まで一人ぼっちだったから、とってもルチアのこと好きになっちゃったの♥」
「ボクも、おねぇちゃん…ママみたいだなって思ってたの」
「ママ?」
「ボク、孤児でね?ママもパパもいないの。そんな時、神父様がボクを拾って下さったの」
「ママか…」
「おねぇちゃんには、ママやパパはいるの?」
「いたよ」

 いたよ…か。今はいないのか。ボクと同じだ。

「今はいないの?じゃぁ、ボクとおなじだ」
「うん。でも、もうわたしにはルチアがいるもん♥。寂しくないよ」
「うん。ボクもサルビアおねぇちゃんがいるもん。寂しくないよ」

 ボクとおねぇちゃんはそう言って笑いあった。

「ねぇ、ルチア?おねぇちゃんと棒倒ししない?」
「えぇ!ボク、お外で棒倒しやるよりひみつ基地でもっと遊びたい!」
「そうじゃなくて、ここでできる棒倒し。おねぇちゃんと二人でできるの」
「ここで?…どんな棒倒し?」

 お部屋の中で、ふたりでやる棒倒しにちょっと興味が出たボクは、聞いてみることにした。

「ふふふ。おんなじよ。棒が倒れたら…棒が萎びて倒れちゃったら負けよ?」
「しなび…?よくわからないや。けど、おねぇちゃんには負けないんだから!」

 へたくそなおねぇちゃんに負けるはずがないと、ボクはそう思ったんだ。

「じゃぁ、準備するね?」

 急に、暗くなるお部屋。それと共に、ゆっくりとお布団がボクを覆っていく。

「お、おねぇちゃん。なにするの?!」
「なにって、棒倒しするのよ?服着てちゃできないでしょ?」
「えっ?……うわっ!」

 なにか水みたいなのが、ゆっくりとお布団から染み出してきた。
 それは、どんどん服に染み込んでいって…
 なんだか、とってもお布団があったかくなった。素肌でお布団に潜っているようだ。

「ふわ…おねぇちゃん。なん…なんかヘンだよぉ」
「なにが変なのかなぁ?」
「お服着てるのに…べちゃべちゃであったかいんだ」
「ふふふ、服は邪魔だからとっちゃったの」
「え?」

 その途端、まわりがパッと明るくなった。
 そして、見えたのは…。

「服が!」
「ルチアの裸んぼ♥…かわいい♥」
「おねぇちゃん、ボクの服どうしたの?」
「え?…もうないよ」
「…神父様がボクのために作ってくださった大事な服だったのに」

 ボクがしょんぼりとしたのを見て、おねぇちゃんはオロオロとしたような声をだした。

「ルチア…ごめんなさい。その、そんなに大事なものだったの?ごめんなさい」
「なんでこんなことしたのさ」
「ルチアのこともっと知りたかったの。ルチアの裸んぼう見たかったの」
「ボクの?」
「…うん。だってだって…おねぇちゃん…ルチアのこと、大好きになっちゃったんだもの♥♥♥」
「だいすきになると、裸んぼうにならなくちゃいけないの?」
「うん♥。そうだよ?だから、おねぇちゃんの裸んぼうも見て」

 そう言うと、おねぇちゃんの胸あてとかパンツとかが解けて、すっぽんぽんのおねぇちゃんが!

「お、おねぇちゃ…」
「ルチア…手で隠さないで裸になったおねぇちゃん…見てほしいな」

 ボクは恥ずかしくて、手で見ないようにしてたんだ。
 けど…おねぇちゃんが見てほしいって。
 だから、ゆっくりとおねぇちゃんを見たんだ。

「……どう、かな」
「……」

 ボクは、目が離せなくなってた。細い肩なのに、ボンッとおおきなおっぱい。腰はきゅっとしてて、なんていうか…まぁるくて…触りたくなるようなお尻だったんだ。おねぇちゃんは、ピンク色だからとってもかわいくて…。

「ルチア?」
「……ぁ」

 小首を傾げるおねぇちゃん。おっぱいがぷるるんと動いた。

「ルチア、おねぇちゃんのおっぱいに興味あるの?」

 ボクは、さっき抱きしめてくれたときの感覚を思い出しちゃってたんだ。
 やわらかなあのおっぱいを。

「ふふふ♥、じゃぁ………えい♥」

 その途端に、ボクはおねぇちゃんのおっぱいに包まれてたんだ。
 おねぇちゃんのおっぱいは…やわらかかった。
 教会でミサのために作られる焼きたてパンのようにふっわふわ。しかも、ほっかほか。
 それが、気持ちよくて…ある言葉を口にしてたんだ。

「ママ」
「ルチア?ママに会いたい?」
「おねぇちゃん。…わからないよ。ボクはママのことぜんぜん知らないんだもの」
「そう…」
「それに、もうボクにはおねぇちゃんがいるよ?おねぇちゃんはふわふわでほっかほかだよ?だから、いつまでもこうしていたいな」
「ルチア!すき♥もうダメっ♥ルチアのことたべちゃいたい!ううん、もう我慢できないのっ!ルチアのこと食べちゃうの!!」

 おねぇちゃんはそう叫ぶと、ボクのお口をおねぇちゃんのお口で塞いだんだ。
 ボクはその時、噛み付かれたのかと思ってびっくりしちゃったんだ。
 やめてって手で押しのけようとしたんだけど、おねぇちゃんはギュッてして放してくれないの。
 それどころか、おねぇちゃんのお口の中からベロが出てきて、ボクをペロペロ舐めはじめたの。ボク、怖くって目をギュッと瞑っていたんだけど…。

「ふふぁ、るふふぁ!」

 おねぇちゃんが、ボクを呼んでたの。ボク…ゆっくりと目を開けてみたの。
 そしたら…。
 おねぇちゃん…すっごくいい顔してたの。
 お祈りを終えた後の人の顔みたいな…。懺悔をし終えてほっとした人のような…。結婚式のお嫁さんのような…。あれが幸せな人の顔なんだろう。そんな顔を、おねぇちゃんはしてたんだ。
 その顔を見た途端に、ボクは押しのけようとしたのを後悔したんだ。

「んふふぁ♥」

 視線を落したときに、またおねぇちゃんに呼ばれたの。
 おねぇちゃん…にっこりと笑ってた。そして、ゆっくりとお口を離してくれたの。

「おねぇちゃん…ゴメン」
「ルチア♥。ふふふ♥、いいコいいコ♥」

 押しのけようとしたのに、ボクをいい子いい子ってナデナデしてくれるおねぇちゃん。
 ボクは、そんなおねぇちゃんのことやっぱり好きって思ったの。

「おねぇちゃん」
「ふふふ。ルチアがわたしのこと、やっとギュッてしてくれた♪」

 おねぇちゃんのおっぱいは照れくさかったけど、ギュッてするとやっぱりママみたいで安心するんだ。

「ルチア。もっとキスしてていい?」
「キス?」

 結婚式の口づけのことだろうか?たしかあの時…神父様は…“誓いのキスを”って言ってた。
 キスって誓いのキス?おねぇちゃんとボクって結婚するの?

「いつまでもいっしょにいたいー♥ のキス。ダメ?」
「おねぇちゃん。キスって…」
「ルチアと一緒にいつまでもいたいの♥」
「やっぱり、誓いのキス?結婚式みたいなお嫁さんとお婿さんのキスのこと?」
「っ!そう!そうなの!!わたし、ルチアのこといっまでも一緒にいる!片時も離れないって誓う♥♥♥」

 ボクは…どうしていいのかわからなくてしばらく考えてたの。
 いつまでも神父様にありがとうって言ってお仕えしようと思ったの。お友達いっぱい作るって約束したの。こっちで仲いい友達作ったら、自慢できるようなひみつ基地作るって約束したの。あの木の洞のひみつ基地に絶対帰るってお友達に誓ったの。

 でも…。
 おねぇちゃん…とっても辛そう。もう、すぐにも泣いちゃいそう。おねぇちゃんのパパもママも、もういいないって言ってたの。ボクと同じひとりぼっち。
 ボクは…。
 けっしんして、おねぇちゃんのお口にキス…したんだ。

 おねぇちゃん、今にも泣いちゃいそうに目がウルウルしてた。
 ボクが、キスしたのがわかったときの、おねぇちゃんの顔って言ったら…
 泣いちゃったんだ。涙がポロポロと頬を伝ってく。
 ボク泣かせちゃったって思って、涙を拭ってあげるんだけど…どんどん頬を伝っていくの。
 ボク、神父様に怒られちゃう。“いいですか?男の子はどんなことがあっても女の子を泣かせちゃいけません!”って言ってたの。
 どうやったら、泣き止んでくれるんだろ?
 ボクは、キスをやめておねぇちゃんに言ったんだ。

「泣かせちゃってゴメンよおねぇちゃん。だから、いっしょに棒倒ししよ?二人ですれば楽しいんでしょ?また、ニコニコ笑ってよ!おねぇちゃん」

 寂しくって悲しくって泣いているものだとばかり思っていたボクは、笑ってほしくてそう言ったんだ。

「いいの?」
「ん。男の子は、女の子を泣かせちゃいけないんだ。ボク、神父様と約束したんだ」
「ルチア。ルチア♥ だいしゅき♥♥♥ 」

 最後の声が聞こえなくなるほど、おねぇちゃんはボクに飛びつくようにキスをしてくれたんだ。
 ちゅっちゅと、ボクとおねぇちゃんのお口から、音が響く。
 ボクのお口の中を、一生懸命ぺろぺろなめるおねぇちゃん。
 ボクは…おねぇちゃんのベロがお口の中を舐めるたびに、なんだかボーッとしちゃうんだ。

「ルチア、ルチア…しゅき♥ …だいしゅき♥♥♥ 」

 ボーっとしていると、いつの間にかおねぇちゃんとおふとんに包まれてたんだ。
 お布団も、ベロみたいな形になってて、ボクを包帯で包むようにやさしく包んでいくの。足も手も身体も…。
 包むと、お布団はゆっくりとボクを横たえたと思ったら、おねぇちゃんがキスをやめたの。そして…。
 前かがみになって、上目使いにボクを覗き込むように見たの。

「ルチアの裸んぼ…かわいい♥ 」

 それを言われた途端、ボクは恥ずかしくなって身体を隠そうとしたんだけど…お布団がそれを許してくれないの。

「つるつる裸んぼ。それに…」

 おねぇちゃんの視線がボクの裸から、ゆっくりとおチンチンに向けられたの。

「剥けてない。ちっちゃなおチンチン♥ 」

 ボクは耳を塞ぎたかった。だって、だって…恥かしかったんだもの。
 大好きなおねぇちゃんにおチンチンを見つめられているって思うと…なんかヘンになっちゃったんだ。
 ヘン、おチンチンが痛いの。おチンチンを見てみると…、見たこともないほど大きくなってたの。
 ボクは…おチンチンがどうにかなっちゃったんじゃないかって…思ったの…だから…。

「おねぇちゃん。ボクのおチンチン、どうにかなっちゃったの」
「え?」
「こんなこと初めてなの!おチンチンが、おチンチンがおっきくなってるの!」
「ふふふ、おねぇちゃんに見られておっきしたんだねぇ♥♥♥」

 その時…おチンチンを見ながら、おねぇちゃんの顔がニヤリと笑ったんだ。

「ルチア?」
「なぁに?」
「もう…おねぇちゃん…ダメっ!食べちゃう!ルチアをぐちゅぐちゅにしちゃう!ぐちゃぐちゃのどろどろにしちゃいたい♥♥♥ 」
「なにを…ひぁ!」

 途端に、お布団からも他のふわふわからも、ビュッとお水が掛けられたの。
 お布団は、ふるふると震え始めてボクの手や足、さらにお腹を探るように擦るように動き始めたの。
 ビュッビュッとかけられるお水はとてもぬるぬるして気持ち悪い。

「もう、ルチアはそんなに可愛くおねぇちゃんを誘うんだから!」
「ひぅ…おねぇちゃん。こ、これやめてぇ」

 なんだか、だんだんとぬるぬるがあったかくなってきて、おかしな感じ。

「こんなにも、おっきしちゃうなんて、かわいすぎだよ♥♥♥ んーーーーーちゅーーーーー♥♥♥ 」

 おねぇちゃんは、おっきくなっちゃったおちんちんにキスしたんだ。

「ダメおねぇちゃん!そ、そんなこと…汚い」
「汚くないよ♥、ルチアだもん♥ 。自分のこと汚いなんていう子はおしおきだぁ!」

 おねぇちゃんは、あむって声を出してボクのおちんちんを咥えると、皮の下のおしっこの穴のあるところをチロチロと舐め始めたんだ。

「ぺろぺろ♥ 。ふふふ、しょっぱい!けど、これ好きー♥ ルチアの味なんだなって!」
「ひゃぁ…くすぐったいよおねぇちゃん!」
「先っぽだけじゃぁ、おねぇちゃん満足できないよ♥ 。皮は…んしょんしょ…剥けないねぇ」
「いたっ!痛いよう!」
「痛かった?ごめんね」

 おねぇちゃんは、ボクの小股に顔を埋めながら、ペロペロ舐めたり、ちゅっちゅとキスしたりしてる。
 おチンチンはもっと大きくなって痛い。ボクは、痛みを堪えようと目と口を閉じようとしたけれど、べとべとのお布団が口の中に入ってきて、何かどろどろしたものを飲ませようとする。助けを求めておねぇちゃんを見ると…
 糸みたいに細い何かを持っていた。お布団の一部だろうか?それは、他のお布団みたいに、わさわさと動いている。
 そして…糸は雫を垂らしながら、おチンチンに殺到した。
 一本一本が、皮の端を引っ張り始めたんだ。ボクは、痛いって言うのだけれど、やめてくれないの。

「ルチアにちゅーーーー♥♥♥」
「お、おねぇちゃ………」

 抱き締めて頭を撫でながら、ボクにキスをするおねぇちゃん。
 おちんちんは痛くて…。痛くて…おねぇちゃんをギュッてしちゃうんだ。

「ルチア。大丈夫、だいじょーぶ!すぐに痛くなくなるよ、だから…キスしてぇ♥」
 ボクは、忘れようとするようにおねぇちゃんにキスをしたんだ。
 すると、いつの間にかおチンチンはいたくなくなってたんだ。頭をはなして、そっとおチンチンを見ると…。
 真っ赤な苺みたいなものが、先っちょについてたの。

「かーわーいーいっ!ルチアのおチンチン♥ ふふふ、ぴくぴく震えてるっ!」

 ああああ、もうだめ。もうだめだよおねぇちゃん。
 ボクは、恥ずかしすぎてギュッて目を瞑ったんだ。その途端…
 ぬるっとしたものがおチンチンを触ったんだ。

「ルヒアのおヒンヒン…くさくって…しょっぱいよ?」
「うぁ…ぁぁぁぁぁぁ」

 ボクの口からは、うつろな声がもれ出ちゃってる。だって、最初は痛かったんだもの…それがだんだんと…たのしみ…待ち遠しいの?
 ぺちゃぺちゃと音を出しながら、舐めてるの。お布団も、くちゅくちゅと音を出してボクの身体を舐めるようにさすっているの。

「ぉ、おねぇちゃぁ…ボ、ボクヘン…ヘンなのぉ」
「ちゅ♥ ……ちゅ♥ ……んふ……レロレロレロ…」
「お、お腹が…おまたが…じ、じんじんするのぉ」
「ふふふ♥ 。ちゅ♥ …んふふふふ♥ 。はむ…レロレロレロ〜♥ 」
「だめぇ…なんか、なんか…ひぅ!おしっこしたいの。我慢できないよぅ!だめぇやだぁ………あぅ!」

 ジョロロロって感じで、おしっこがおねぇちゃんの口の中へと飛び出してく。
 おねぇちゃんは、それをコクンコクンって飲んでいく。味わっているかのように、目を瞑って大きく息を吸いながら…。

「おねぇちゃぁぁぁ…ご、ごめんなさい」

 ボクは申し訳なくって、ボロボロに泣きながら謝った。
 恥ずかしくて、恥かしくて…

「おしっこしちゃったね。大丈夫よ。ルチアのおしっことってもおいしかったから!それより…ルチアの精通ってまだなのかなぁ?」
「せいつう?」
「でも、大丈夫そう。なんか、それっぽいものが混じってたし。次は期待できるね♥ 」
「次?次って?」

 ボクはもう終わったんだって思ってた。だって、おねぇちゃんの顔は満足そうににっこりと笑っているんだもの。

「気持ちよかった?」
「……うん
「ふふふ、よかった」
「……」

 頭がぼーっとする。

「そんなに真っ赤になっちゃって!そんな呆けた顔をしちゃって!もう!いい子いい子!んん〜〜〜〜!!でも、おねぇちゃんも気持ちよくしてよね?お口だけじゃ満足できないの♥ 。もっともっと、ルチアを食べたいの!♥ 」
「えええ?!」

 ボクはもう終わったって思ってたから、ボクだけが気持ちよくなってたことに初めて気が付いたの。

「おねぇちゃんには、下にもお口があるのでした♥ 」
「えぇぇぇぇ!!」

 おねぇちゃんは、ボクの目の前で膝をたてて座ると、小股を開いて見せたんだ。
 男だったら、おちんちんがあるところ…お口のように唇のようなものがある。

「見て?下のお口…こんなにも涎をたらして、ルチアのおチンチン食べたいっ♥ て言ってるよ?」

 とろりと、涎をたらすように雫が滴り落ちていく。

「キスがしたいの?」
「うんん。違うよ?ここは本当にそのおちんちんを食べちゃうところ。はぐはぐっておちんちんをカミカミするの♥ 」
「ひっ!」
「そうすると…おねぇちゃんもルチアもきっときもちいい♥ って思うよ?」

 お口でカミカミ…。もぐもぐされるってことなのかな?
 ボクが、体を硬くしたのが分かったのか、おねぇちゃんは手を伸ばしてボクの手を握ると言った。

「お口でするのといっしょよ?歯はないから、もっともぐもぐ出来るの。きっとルチアのおチンチンも、おねぇちゃんのお口もとろけちゃうよ♥ 」

 いっしょ?お口といっしょ?お口のときはペロペロしてた。だんだんと気持ちよくなって…。おしっこしちゃったんだ…。

「……」
「大丈夫。おねぇちゃんに任せなさい!そこに横になっているだけでいいからねっ♥ 」
「…うん」

 おねぇちゃんは手を伸ばすと、お布団のどろっとしたものを掬ってから、おチンチンを掴む。
 石鹸を溶かしたみたいに、ぬらぬらしたおねぇちゃんの手にまたもボクのおチンチンはおっきくなったんだ。

「おっきしたね♥ 。それじゃ、いくね?」

 ボクの上に跨るように座ると、ゆっくりとボクのおチンチンをお口の中に入れていく。
 一瞬だったけど、拒むようにお口をすぼめるおねぇちゃんのお口。
 おねぇちゃん自ら、両手で唇を広げると…涎がとろーっと湧き出して滴るんだ。
 おねぇちゃんも恥ずかしそうに、顔を赤くしてボクを見てる。
 ボクも、真っ赤なおねぇちゃんが可愛らしくて、顔と下のお口とを交互に見てたんだ。
 そして…
 そのお口は、パスタを吸い取るようにおチンチンがちゅるるって吸い取ったんだ。

「ふふふ、ちっちゃい♥ 。ルチアのおチンチン♥ …こんなにもちっちゃい♥ 」

 ボクは、その時そんな声さえ聞けないほど驚いてたんだ。
 だって、ほんとうにお口がカミカミしたんだもの。
 その中は、もうすごく熱くて…カミカミしてきて…おねぇちゃんがかぶさってて、顔はおっぱいに包まれてて…
 とにかくパニックになってたの。

 もうすぐにでも、おしっこがまた出ちゃいそうだったけど、おねぇちゃんが言ったんだ。

「棒倒し…このままだと負けちゃうよ?」

 負けたくない。下手だったおねぇちゃんに負けたくない。
 ボクは、頑張っておちんちんに力を入れたの。

「ん♥ またおっきしたぁ♪ いいコいいコ。ふふふ♥ 」

 そうして、おねぇちゃんはボクの上で腰を上げたり下げたりしだしたんだ。
 おチンチンへのカミカミも、どんどん力が強くなってく。まるでホントにおチンチンを食べちゃおうとしてるみたいに。
 声を上げたいのに、プニプニのおっぱいが顔を揉むようにプルプルしてきて声も上げられない。
 身体も、お布団がコチョコチョするかのように身体中をペロペロと舐めてくるんだ。
 ボクは、んーんー呻きながら、ついに!おしっこしちゃったんだ。

「ふぁ♥ !あ♥ あ♥ あ♥ あん………っ!」

 そのおしっこのせいなのか、おねぇちゃんの身体がぶるぶると震えた。
 すぐに、おねえちゃんの身体もブルブルと震えて…力尽きたように、覆いかぶさってきたんだ。

「ルチア♥ 。ふふふ♥ 、ルチア♥ ルチアはもうおねぇちゃんのもの!ルチア、ちゃんと精通したんだね♪ うれしい!おねぇちゃんでイってくれた♥ おねぇちゃんも、ルチアがくれた精がうれしくてイっちゃったよ♥♥♥ 」
「おねぇちゃん」

 おねぇちゃんがうれしそう!
 おねぇちゃんがうれしそう!喜んでる!そう思うと…ボクも、うれしくなっちゃうんだ。

「でも…ね?おねぇちゃん…もっともっと、もーーーーーーっと気持ちよくなりたいの♥ 。ルチアは気持ちよかった?」
「…気持ちよかったよ。おねぇちゃんがうれしそうで、ボクもうれしくなっちゃったの」
「じゃあ、じゃぁ、じゃぁ!もっともっともっと!気持ちよくし合おう♪」

 そう言ってボクを抱きしめると、またおチンチンを手にとって扱き出すおねぇちゃん。
 どうやら、ボクが勝つまでずっと棒倒しは終わらないようだった。





「ふぁっ?!」

 おチンチンになにかヌメッとした感触がはしった。
 ボクは、気が付いたら寝てたらしい。あの後…どうなったのかわからないけど…。
 おねぇちゃんは?どうしたんだろうか?

「ちゅ♥ …れろれろ…あ、ルチア起きた?」
「おねぇちゃん!」
「昨日あんなにセックスしたのに、もうこんなにも元気♪ 」

 おねぇちゃんの口元には、おっきなおチンチンが。
 昨日見たよりもおっきいかもしれない。

「だから…ナメナメしてあげるの♥ 」
「あっ、あっ、うはぁぁぁ…ダメ!おねぇちゃん」
「だーめーよー♪ ルチアのおチンチンは、もうサルビアおねぇちゃんのものなのだ!ルチアのものじゃないんだモン!」
「そ、そんなぁぁぁ」
「ルチア、棒倒し負け続けてるじゃない!だから、おチンチンはおねぇちゃんのモノなのだ!くやしかったらおねぇちゃんを負かしてみなさい!」
「うぅぅぅ…そんなのムリだよう。だってボク…おねぇちゃんのこと大好きだもの!」 
「おねぇちゃんも、だいだいだいだーーーーーい好きなんだからね!」

 おチンチンを咥えながら、ボクの抱きつくおねぇちゃん。

「ルチア、これからもずっとずっとずぅぅぅぅぅっといっしょにいてくれる?」
「うん。…………………………あ、でも…」

 いっしょにいるって言おうとしたとき…ある人のことを思い出した。
 それは、神父様。まるで、パパみたいな存在。

「おねぇちゃん、さっき昨日っていった?」
「言ったよぅ」

 ボクの顔がサーッと冷たくなるような気がした。神父様が心配してる。そう思うと、いてもたってもいられなくなった。

「おろ?ふにゃふにゃになっちゃったぞ?ふにゃふにゃチンチンかわいーぞ♥ 」
「おねぇちゃん。ゴメン帰らなくちゃ!」

 その途端、おねぇちゃんの顔がこれでもかってくらいに泣きそうになった。

「なんで?なんでなんでなんでなんで!ルチア、おねぇちゃんのこと好きって言ったじゃない!もう、帰せないよ!ルチアのおチンチンはおねぇちゃんのもの!だから、ルチアもおねぇちゃんのものなの!帰っちゃダメなの!」
「そんなこといわないで…これはこれからおねぇちゃんといっしょにいるために、どうしてもしておかなくちゃならないことだから!」
「ルチア…」
「さぁ、おねぇちゃん。キスしよ?ボク、おねぇちゃんのこと大好きだからいつまでもキスしてたい」
「うん!いつまでもキスしてようね♥ 」

 そう言ってボクは…おねぇちゃんを説得したんだ。

「ルチアが帰ってこなかったら…おねぇちゃん、怒って街を壊しちゃうかも」
「え?」
「気づいてたかもしれないけれど…おねぇちゃんは魔物。このひみつきちはおねぇちゃんの一部。ルチア…怖い?」
「……こわくない。ちょっと抜けてるけど、おねぇちゃんはおねぇちゃんだよ。いつもニコニコ、時々うるうる。おっぱいふわふわ、ママみたいなやさしいおねぇちゃん」
「ルチア!…………はやく、はやく戻ってきてね♥ 」
「うん」

 こうして、ボクはおねぇちゃんと別れたんだ。







 ボクは、懺悔室にいた。
 どうしても、言わなければいけないことがあったから。
 前にここに入ったのは…お皿を割っちゃった時の事。その前は、ラクダが臭くて嫌い!って思っちゃったこと…。
 でも、今回は…どう言ったらいいのか迷っていた。言いたいことは、きちんと分かっている。
 それは、感謝の気持ちと、彼女を慕っていること。そして、どれだけ感謝しても足りないけれどそれを踏みにじるようなことをしなければならないこと…。
 ボクは…。

「次の方…どうぞ」

 考えのまとまらないまま、部屋の中から声を掛けられた。ここよりも反対側の扉から、誰かが出て行くのが見えた。

『何を懺悔したいのかな?神の子よ。その胸の内に宿りし罪悪を、神に告白するのです。さすれば、きっと神は許して下さるでしょう』

 神様の代弁者。その深く澄み切った低い声が、ボクは大好きだったんだ。
 心の中では、いつもパパって呼んでたんだ。

「告白します。ボクは罪を犯しました」

 懺悔室の壁の向こうから、息を呑む気配がした。胸の内では、パパって呼びたいほど好きな人、いつも隣にいて一緒にいてくれた人。どんな時でも、ボクを心配していてくれた人。だから、ゴメンなさい。

「ボクはまだ幼くて心配してくれる人がいるのに、家に帰らず一日外で明かしました」

 向こうからは、ほっとしたような気配が。きっと夜通し心配してくれてたのだろう。

「神様、ゴメンなさい。心配していてくれた人は、ボクの親代わりの人。ボクは孤児で、パパもママもいなかったけれどその人はやさしくボクを見守っていて下さったの。ボクはいつもその人のことを心の中で、パパって呼んでいたの。ボクなんかよりずっとずっと大きな手をしていて、がっちりと分厚いの。そんな手に引っ張って貰えたこと…ボクはとても感謝しています」

 震えるような空気が洩れてくる。ボクは感謝とごめんなさいの気持ちに押しつぶされそうになって、言葉を続ける。

「好きな人ができました」

『……』

「その人は…きっと魔物」

 空気が凍ったというのはこういうことなのかな。驚きの声すら上げられない…そんな気配。罪悪感で張りさけそう。

「ボクと話す時、本当にうれしそうでずっとニコニコ。ボクの機嫌が悪くならないように時々ソワソワ。ボクも分かるよ。拾われたとき、ボクもそうだったから。人の顔色を見てたから。ボクはその人を見てると、そんなことがわかっちゃうの。寂しそうな笑い方を時々したの。パパもママももういないんだって。ずっと一人で生きてたって言ってた。そんな人がボクを抱き締めててくれた時…ママって思ったの。ママのことはもう覚えてないの。けど、その人に抱っこされるとママに抱っこされてるような気がして…すごく安心したんだ。その人、ボクといると楽しいって、大好きって言ってくれたの。…ボクもその人のこと大好きです」

 向こうからはなんの気配もない。誰もいないかのように思えるけど、確かにいて下さる。向こうのお部屋の扉は、いつも油を入れてあげないとすごくギィーギィーうるさいの。昨日のお掃除サボっちゃったから、たぶん油は挿してないと思う。

「神様は、魔物のことをお許しになっていません。神の子がその教えに背くようなことになってしまったことにボクは…胸の内がすごく痛いんです」

 おねぇちゃんのこと大好き!でも、パパも大好き!こんなにもお胸が痛いなんて…。

「神様は、きっとお許しにならないでしょう。パパも…お許しにはならないでしょう。だから…ボクは…」

 ここを出て行く…その言葉が、どうしても口から出ない。決心したのに!どんなことがあってもおねぇちゃんと一緒になるって!
 でも、大好きな人を目の前にすると…どうしても…声が出てこない。

『汝の罪は受け取った。人を愛しなさい。例え、どんな人でも。その想いは、汝が人として守っていかなければならぬもの。神は汝の心にあるもの。今まで見守っていてくださった神がお許しになられなくても、汝の心の神は常に寄り添っていてくれる』

 かすれたような声が、向こうから聞こえてきた。とても動揺しているのか、声が震えている。

『そして………汝の父も、汝が幸せになることを祈っている』
「…………っ」

 パパ。
 ありがとう。ボクは何度もありがとうって言ってた。目が熱い。ボクはもう涙をボロボロにながしてた。鼻水でグショグショになった声でありがとうって言ってた。





 そんな時!
 教会の扉が開かれた。信徒の方が不安げに叫ぶ!

「魔物だぁー!魔物が出ました!神父様!魔物です!!」
「ひぃぃ!恐ろしい!神父様助けてくださいまし!」
「神のお力で、あの化け物を倒してください!」

 口々に、見たこともない化け物が出たと言っていた。
 その姿は、黒くてでかいミミズか蛇のような姿。
 おねぇちゃんだ。
 ボクが遅いから、心配になって迎えに来たのだろう。

 この街の人々は、神の信徒じゃない人たちも大勢いる。人のような格好の魔物もやって来る。
 けれど、あんな姿の化け物は見たことがないと、この街の人は言う。昔の御伽噺に出てくるような魔物に、人々は怯えているようだった。
 そんな化け物を、神のお力を持っていると思われている神父様ならば何とかして下さるのでは?と、思われるのもわからないでもない。
 けど、ボクは知ってる。パパが、自ら言って下さったことだ。
 パパは、勇者様じゃない。魔物退治なんてできない。
 パパに、そのお力がないと分かったら…人々はパニックになってしまうだろう。
 教会は、人を導くもの…
 ならっ!

 ボクは、人生で初めてこんな大声をだしたことなんてないような声で人々に訴えた。

「みなさん!落ち着いてください!ボク達は神の子。例え魔物が来ようとも、神はいつも私達を守ってくださる。どんな邪悪が来ようとも、ボク達が脅かされることはない!ボクは、神の僕。神のお力になることならば、この身を捧げることは厭わない!だから皆さん!魔物が現れ、その不安に押しつぶされそうならば!このボクが、お力になりましょう!!」

 人々の驚きの瞳がボクに集まる。ボクは、恥ずかしさよりも、パパの力になりたくてそう叫んでた。
 外の魔物…おねぇちゃんがボクを傷つけるなんてことは絶対ない。けど、不安に怯える人たちが、パパに力がないとわかった時、パパをどうするのだろうか?それがとても不安だった。

 ボクは、パパを見た。複雑な顔をしてたけど…微笑んでから、ゆっくりと頷いた。
 まるで…どこかへと遊びに行くときのように、行ってらっしゃいって…そんな感じだったんだ。

 ボクは歩き出した。人々の間を。歩いていくと、人々は割れるように道をあけた。
 だから、走り出したんだ。
 一刻も早く、おねぇちゃんに抱きつきたくて。
 きっとおねぇちゃん…寂しくて泣いちゃっているかも。
 そう思うと、力が湧いてくる。足が軽くなる。

 街の向こうに、黒々としたヘビさんのようなおねぇちゃんが見えた。
 怒ったように、砂を巻き上げながらぐねぐねとしている。

 ボクは、走った。走って走って…約束の場所にやってきた。

「もぅ!遅いよールチア!」

 ブーって声が聞こえた。姿は見えない…けど、足元の地面がもぞもぞ動いてる。

「ごめんおねぇちゃん」
「遅い遅い!待ちくたびれちゃったよ!」
「心配で泣いちゃった?」
「だれが泣いてなんか!」
「ふふふ。ゴメンおねぇちゃん。…おねぇちゃんに頼みがあるの」
「頼み?」

 ボクは、まだ街の人々が見ていると思って、あるお願いをすることにしたんだ。

「うん。ボクの後ろからね?飛び出してきて、ガバーっと口あけてゴックンって丸呑みされたように見せかけてほしいの」
「いいの?」
「人が見てるから、お願い」
「うん!いいよ。一度、ルチアでやってみたかったの♥ 」
「じゃ、お願いね」

 足元の砂が硬くなった。きっと後ろに潜ったんだろう。
 いつ来るか、いつ来るか、楽しみにしてると…
 街のほうから悲鳴が上がったのが、ここからでも聞こえた。

「ルーチーアー♥ 」

 砂吹雪と共におねぇちゃんに抱っこされる感触が!

「ルチア!心配したんだよ?どうして、遅くなったのさ!」
「パパにお別れしてたの」
「そう…」

 しょんぼりとしたおねぇちゃん。やっぱり泣いてたみたい。
 顔に砂が張り付いてる。涙の後みたいに、砂の筋が頬にほんのりと残っていた。

「おねぇちゃん!好き♥ 大好き!!だから……いっぱい抱っこして!!」
「うん♥ うん♥ うんうん♥ おねぇちゃんもルチアだーい好き♥♥♥ ずーっとずーっとだーい好き♥ なんだから!!」

 おねぇちゃんが、ギュッって抱き締めてくれた。ボクもおねぇちゃんを力いっぱい抱き締めたの。すると、お布団もボク達に絡み付いてきてギュッとしてくれたの!
 おねぇちゃん!大好き♥ !!
13/04/21 17:13更新 / 茶の頃

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