連載小説
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2.発見
雷を受けた瞬間に撮った写真
そこには心霊写真のように映りこむ人影
それをもっとよく見ようと思った
上半身はくっきり写っているが下半身はぼやっと透けている
PCでそこだけ拡大し、出来うる限り見やすくした
人影は、カメラを持っていた
カメラといってもコンデジみたいなモノではなく、明治時代とか昔に作られたカメラがだいたいこんな形をしていたのを見たことがある
大きさは30センチ四方位か?

その人物もやはり雷が当たったらしく稲妻と傾いたカメラそして、驚き慌てているようなそんな様子が写っていた
どうやら女性のようだ。ハンチング帽を被り縁なしメガネをかけている。細部はカメラとかに隠れて不明だが、その目が印象的だ
まるで、蛇やトカゲのような目つき。目を大きく見開き、雷で驚いたような表情ではあるがやはりそれは特徴的だ
それと、背中あたりに蛇のような爬虫類の尻尾が見える。なんだろうか?蛇の人形でもこの人の後ろにはあったのだろうか?
これは本当に心霊写真なのだろうか?謎は深まるばかりだ


カメラは無事なのか?と電源を入れてみた
“ピコッ”という音と共にいとも簡単にレンズが立ち上がる
いけるか?と思ったが液晶画面に何も写らない
振っても叩いても何も写らなかった。真っ暗な画面があるだけ
やはりだめか・・・保障対象になるかな・・・
そんなことを考えながらレシートと保障証を探そうと、PCの前から腰を上げたときだった

液晶画面が青くなった

おかしい
確認して見るとカメラの液晶画面には空が写っていた
目の前にあるのはPCとPCを置いた机があるだけなのに何故か、カメラはそれ以外のものを映し出している。ここはもちろん室内だ
はじめ、私は画像確認ボタンでも押したのかと思った
それならば、内蔵メモリーに空の写真でも入っていてそれが映し出されたのだろうと・・・
しかし、そうでもないみたいだ
カメラを下に向けると、今度は草の生えた地面が映し出された
1歩下がると真っ暗、もう一歩下がると木の幹が現れた
唖然とした。このカメラは何を・・・どこを撮っているのだろうか

いろいろなところへカメラを向ける
斜め上に向ければ、青々と茂る木や真っ青な空
ぐるっと回転させれば木々生い茂る森の中といった風情だ
もっとそれをよく見たくて部屋や家の中にカメラを向けまくる

まるで家の中にいながらにして異世界を覗き見ているようで心が躍る
初めて万華鏡を与えられた子供のように私は嬉々とした

床に寝そべりカメラを下に向け、向こう側に見える草を観察する
どこか見たことがあるようなのに、たぶん違う草
どんな花を咲かせるのだろうか?
どんな匂いをしているのだろうか?
蜜はどんな味をしているのだろうか?
緩い風に揺れ動く草草
カメラの向こう側では手を伸ばせば簡単につかむことが出来るような距離

ゴロンと上を見れば木から漏れる木漏れ日が映っている
と、木の枝に何か動物が見える
リスによく似た動物が何かを齧っている

画面の向こう側は一体どこなのだろうか?

そんな疑問と新しい発見を期待して私は散歩に出かけるようになった
10/12/26 18:50更新 / 茶の頃
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■作者メッセージ
異世界を覗けるカメラそんなのがあったらどうします?
俺だったら撮りまくって写真集にでもしてそうだけど

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