連載小説
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1.プロローグ
その日、私は新しく買ったコンデジを持って散歩をしていた
季節は、寒い日々をようやく抜けだして、暖かくなりはじめている
桜のつぼみも大きく膨らみ、花開くときを今か今かと焦がれているように見える
そんな冬から春に移ろう中、コンデジ片手に散歩に出かけたわけだ

河原を歩く
雲もほとんどない晴天だ。頬に感じる風が暖かく、心もうきうきしてくる
白や黄色の水仙や名前のわからない草花が風に揺れている
そんな姿をカメラに収めながら歩く

本当に良い天気だ
腕を伸ばしてすーっと深呼吸・・・

そんなとき
!!
空が光った・・・?!


バリバリバリッ!!!
ドカーーーーーーン!!!

っ!?

耳をつんざく大音響
脳天をかち割られたような・・・そんな表現も当てはまらないような感覚

目の前が真っ白になったと思った瞬間、暗転・・・なにもわからなくなった



気が付けば・・・

見慣れない白い空間・・・

白いカーテン

白い布団

どこかで見た病室のようだ

サーーー

カーテンを引く音
視線をそちらへ動かすと看護師さんが入ってきた

「気がつかれましたか?」
「・・・・ぉ・・・」
「まだしゃべらないで?あなたは雷を受けてずっと意識不明の重態だったんです。体もひどい火傷でもう二週間近く寝てたんです。でもお安心してください。精密検査の結果は体内部への異常は見つかりませんでした。だから、火傷の治療とリハビリをしながら退院を目指しましょう?」

そういうと看護師さんは医者を呼びにいった


雷だって?あんな晴天だった日に?
青天の霹靂とでもいうのだろうか
包帯でぐるぐる巻きになっていたのは利き手ではない方だった
雷は腕、手、足を通って地面に抜けていったようだ丁度、いろいろな携帯とかカメラとか持っていたからそれ沿いに抜けたみたいだ
もし、雷が体内を走っていったらアウトだったろう。そこら辺は幸運だったと言える

体を少しずつ動かせるようになったので、当日持っていたものを確認してみた
服は・・・裂けていたボロボロに、べっとりと付いた血や皮膚なのかが生生しい
MP3プレーヤーは完全に壊れていた。雷が落ちたという肩付近にあったイヤホンは溶けていた
ズボンのポケットに入れていた携帯は、見た目大丈夫だったが電源が入らない
高圧電流で内部が焼き切れてしまったのだろうか?
買ったばかりのカメラも電源が入らない
ちょっと奮発して高いの買ったのに・・・

病院から退院した後、カメラの画像が気になった
一体、最後に何が撮れているのだろうか?
手に持ちながら歩いていたから何が写っているのやら興味がわいた
SDカードが壊れていたらそれまでだけれど・・・

おっと、壊れていない!読み込んだ!
PCにSDを差し込むと何事もなかったように読み込んだ
画像の確認・・・
空・・・膨らむ桜の蕾・・・木々の若葉・・・水仙などの花々・・・
この次だ

期待に胸を膨らませマウスをクリックした

・・・

何かが写りこんでいた
その後にも何枚も撮れていた
なんと言ったらいいのだろうか
直撃を受けたときダイヤルが換わって連写モードに入ったらしい

思わず腕を振り上げたのだろう空が写っている・・・青白い雷なのか?光・・・

ピントボケした上から地面に振り下ろしているであろう瞬間・・・瞬間・・・

地面と衝撃で裂けたと思われるズボン・・・幸運?な事に足は写っていなかった。火傷したグロなんて見たくないし・・・

体が倒れたのだろうカメラは地面から向こうを写していた

最後の画像に驚いた
画像には倒れた私に向かって走る人々が写っている
しかし、おかしいのはそこではなかった
私と走ってくる人々の間・・・つまり、私から数メートルのところに透けて写りこむ人影があった
昔よく流行った心霊写真のように写りこむ人影・・・
これがあの瞬間に撮れたものだった・・・
10/12/26 18:50更新 / 茶の頃
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■作者メッセージ
すっかりやる気が萎えていたけど、ちょこっとだけSS書いてみようという気力が出だので久しぶりに書いてみた
連載出して大丈夫かよ俺ー

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