雪に閉ざされし山里で <下>
何かに刺され夢遊病者のようになってしまった雅之進
どうやらなにかのあやかし者に出会いその魔力を体内へ入れられたのではと思ったアメリア
このままでは相手の力に中てられデクのようになってしまうと、事態を重く見た
手下のようなだるまもいた事だしここは相手の力を駆逐しなけれいけないと強く思った
「こうなったならば、仕方がありません・・・」
そう言うと、アメリアは静かに雅之進にもらった首の帯を解いた・・・
逃亡中に首を落とし、不覚になって雅之進と交わることとなったならば、どんな危険があるかわからないと
雅之進は彼女のために首の帯を作っていた。なかなか良く出来ているもので少々乱暴に動いても首が転がり落ちることはなかった
それを外そうというのだ
首をはずすとデュラハンは体内に蓄えている精が漏れ出してしまうため、自己防衛のために激しく相手を求めるようになってしまう
前にもその時のようなことがあったアメリアだが、その時は首だけ残って体は海の中へ落ちてしまってどうしようもないことになり
仕方がなく仮死状態となって命を繋いだ
今回は、大量の精を持って未知なる相手の支配から雅之進を救い出すのが目的
「今、助けてさしあげますからね」
アメリアはやさしく抱きしめその額にキスをした
首をはずしたアメリア
今まで溜めてきた精が紫煙となって部屋に洩れていく
「ああ、雅之進!貴方は私のもの!他の女に獲られて堪りますか!」
漏れ出すにしたがって激情が彼女を巡る
うつろな声を未だに発している雅之進の口を塞ぐ
「うん・・・ちゅば・・・ううん・・・雅之進!雅之進!!」
必死に口を貪る
キスをしながら股間に手を伸ばす
「こんな状態でもからだは正直なのね。もう下はいいのかしら?」
彼女の手コキに反応してモノがそそり立つ
「はぁ。なんだかびくびくしてきたわよ?でもこのままイカせるわけにはいかないわ。ちゃんと私の中で出してね」
体はデク状態の雅之進に馬乗りになりモノを膣へと埋めていく
「あああ!いいわ!やはり貴方はいい!こんなにも私を期待させてくれるのだから」
雅之進は虚ろではあったがだんだんと顔に赤みが差し込んできている
「動くわよ?すぐにイッたりしないでね?」
騎乗位になった彼女はそのまま動き始める
「ああっ・・・はあん・・・ああ・・・」
彼女の首はどうしているかと言うと、雅之進の股間で自分の体と雅之進の体が繋がっているところを眺めながら玉袋や菊門をしゃぶっていた
「貴方のモノと私のあそこが繋がっているのを見ながら出来るなんて・・・ゾクゾクするわ」
菊門を刺激すればするほど、イチモツがビクッとする
「あああ・・・気持ちいいのね?またこんなに大きくなった・・・うきゃぁぁ!・・・ああ・・・そんなところ舐めちゃ・・・ダメ!んん」
ふいに、雅之進が首の穴周辺を舐め始めた
交わっている最中、いつもキスをするのが好きだったから無意識なのだろうが、どうやら首周辺は彼女にとって弱い場所だったらしい
アメリアが膣と舌を使って雅之進を責めたてる。雅之進は彼女の反応が良くなるものだからか首周辺や乳房を責めたてる
そんな果てのない営みがいつまでも続いていった
「う!ううぁぁぁ・・・はぁっはぁっ・・・あ・・・めり・・・あ?」
紫煙が部屋を満たすたびに雅之進はだんだんと意識が戻りつつあるようだ
「・・・はぁ・・・はぁ・・・首をとったのか・・・おまえと繋がりながらそうして眺められるのはなんだか背が寒くなるな」
「お嫌ですか?」
上目使いにまるで挑発するような、ねぶるようなそんな目をして彼女は囁いた
「いや、むしろ良い。・・・期待なのか・・・?そんな寒気だ」
雅之進は彼女の頭を愛しく抱えるとやさしくキスをした
その後、夜明けまでそんな営みは続いた
アメリアから漏れた精はその部屋の中で結界となり、雪女の力を弾き飛ばす効果を生んだ
互いの状態がどうなっているかを確認できるまで回復してきたようだったが、その後また意識は混沌としてきてしまったようで
彼女をヤキモキさせた
--------------------------------------------------
結局、雅之進が正気を取り戻すまで数日かかった
雅之進自身としては一体わが身に何が起こったのかすらよくわかっていない
覚えているのは、夢うつつながら女に呼ばれたこと、夢から醒めるとアメリアが首を取っていてひどく淫らになっていたことぐらい
いつもは妻たらんとしているのか、その口調は丁寧な言い方をしているがあの時は素な彼女だったようだ
あの時の獲物を舐るあの視線あれを思い出すだけで、雅之進恐ろしいような、またあんな彼女と契ってみたいような気持ちになる
「もうよろしいのですか?雅之進」
「・・・すまぬ。アメリア心配をかけた。あのとき己の身に何が起きていたのか未だに分からぬのだ。よかったら教えてくれぬか?」
『その先はわしがお教えしましょうぞ?』
部屋の外から村長の声が聞こえてきた
「突然のご無礼申し訳なく・・・」
「村長様。何か知っておいでで?」
「村長殿!なんだか久しぶりですな」
「はい。わしも雅之進様が元に戻られたようでほっとしております。奥方様、少しばかり長くなりまするがよろしいかな?」
「はい」
「では・・・」
村長は静かに話を始めた
この村がいつからあるかはもう誰も知らない
しかし、遠い昔から村に伝わる古い口伝が残っている
“旅人(男の)来し時、吹雪の合間晴れる時あれど決して外に出てはならず
氷女(ヒメ)さま出でてこれを婿とす
これ永久に契りてその姿見ること叶わず
氷女(ヒメ)さま婿貰いし時
里、大いなる恵み受け給いてその豊穣を祝するであろう”
年頃になった雪女は氷女(ヒメ)と呼ばれる。姫の意味合いもある
彼女は里に自分に見合った男がいないか探す
気に入った男がいると、決まって吹雪の日に山から下りてくる
そして、晴れた日に男が出てくるのを見計らって印をつける
そして、自分の使いでもある雪だるまを男がいる家の先に置いておく
だるまは道案内などで男を女の元へ導く
そして氷女の呼びかけに答えた男を誘い、手料理を振舞う
それを気に入ってくれたならば、これを夫として彼女達は向い入れる
その後、彼らの姿を見ることはなくなる
そうして、翌年は山の幸などが豊富に採れ、周辺の山々や村は大いに潤う
雪女たちはこの辺りの地では豊穣を連れてくる神としても奉られていると・・・
そんな話を聞いて雅之進は村長に詰め寄って言った
「村長殿!それが分かっていながら何故我等に忠告をしてくれなかったのですか!」
「氷女様の婿取りが成功に終わったあと里に豊穣が訪れる。このような山深き里では豊穣に湧くなどということは滅多にないこと!わしはこの里で村長をしている。里の者が幸せに暮らしていけるならばなんだってしましょうぞ?」
「しかし!」
「わしは奥方様を想って忠告までした。それ以上の義理はないですぞ?それに、貴方様はどうもまだ同心であった頃の癖が抜けていない模様。今の貴方様はあやかしを妻としたお尋ね者でしかありますまい!昔の考え方に囚われず何故その美しい奥方様と幸せを支え合おうとなさらぬのか!木ノ内又左ヱ門なる人物はかつての同心だった貴方様と同じ!あやかしを見つけたならば何があろうとお切りになるでしょう。火の粉を払えとは言わぬがもっとご自分のお立場を考えては如何か!」
雅之進はぐうの音の出せなかった。確かにお尋ね者の自分に人のことを言える道理はないのだ。かつて自分も仕事熱心だった頃はある。そして同じように職務に熱心だった木ノ内又左ヱ門を踏み台にして、おのが身に降りかかる火の粉を払えたのだから、もっと良かったと思わなくてはならないのかもしれない
「雅之進・・・」
アメリアがそっと肩を抱いてくれた
「アメリア・・・俺は・・・」
「良いのです。貴方が無事であればそれで」
「では、わしはこれにて。吹雪く日もこれから少なくなるでしょう。春になるまでここに逗留なされるがよい。雅之進殿?春が来るまでもう一度自身について考えてみては如何かな?」
と、村長は部屋を出て行った
雅之進は寄り添うアメリアを見ながら、もう一度身の振り方を考えてみようと思うのだった
--------------------------------------------------
春
雪も融けはじめ梅がぽつぽつと咲き始める頃
雅之進とアメリアは再び旅立つことにした
「村長殿、いろいろとお世話になり申した。あれから、いろいろを考えて、自分にとって一番大事なものとは何かを見つめる良い機会になり申した」
そういうと雅之進はアメリアの手をぎゅっと握った
「それは良かったですな。本当に大事なものは手の内に近ければ近いほどそれが当たり前になってしまい気付かなくなるもの。今回のこと良き教訓となるでしょう。それはそうと、わしがあなた方のようなあやかし連れを受け容れたのも仔細があります」
「・・・どのような?」
「わしはその昔、薬の行商をしておりましてな。よくいろいろな所を回ったものです。丁度このあたりで流行り病で多くの者が困っているという話を聞きつけ、この里へ参ったわけです。・・・冬のひどい吹雪の日でしてな。後はその知っての通り・・・。わしは二度と世へ出ることもないと思っておったのですが、連れが亡うなってしもうてこの里へ戻ってきたのです・・・」
「・・・そのようなことが・・・村長様。私、人としてふれあって頂き本当に救われる想いでありました。ありがとう存じます」
「いえいえ、奥方様。お二方の幸せな日々を祈っておりますぞ?」
村長や里の者たちをと別れた二人
その胸にはいろいろな想いが飛来する
遠ざかる村を面歯がゆくみつめる雅之進
何があっても二人の絆を守り抜こうと決意したアメリア
「確かに、俺はどこかでまだ決意がいたらなかったのかもしれない。だからこそ付け入られた・・・。アメリアこれからも至らぬ俺をよろしく頼む!」
「はい!貴方は何があっても私が守ります!・・・それと雅之進?浮気でなかったにせよ、浮気をしたらどうなるか分かっているわね?」
「え?」
「数日間寝かせないくらいの仕置をするのだから!!覚悟しておいてくださいませ?」
そんな言葉に寒気を感じてマジマジと彼女の顔を見てみた。その顔はどことなく楽しげだった
後日・・・
「あの女!私の雅之進に手を出そうとして!もし会うようなことがあったら、人の男に手を出したお礼に袋叩きにしてあげようと思ったのに!!」
肩をいかれせて背負っていた剣を振り、バッサバッサと藪を払って道なき道を進むアメリア
「は、はははは…」
あの雪女にしろアメリアにしろ女の執念とはすごいものだと雅之進は思った
同時に怒らせないようにと心に誓ったのだった・・・
どうやらなにかのあやかし者に出会いその魔力を体内へ入れられたのではと思ったアメリア
このままでは相手の力に中てられデクのようになってしまうと、事態を重く見た
手下のようなだるまもいた事だしここは相手の力を駆逐しなけれいけないと強く思った
「こうなったならば、仕方がありません・・・」
そう言うと、アメリアは静かに雅之進にもらった首の帯を解いた・・・
逃亡中に首を落とし、不覚になって雅之進と交わることとなったならば、どんな危険があるかわからないと
雅之進は彼女のために首の帯を作っていた。なかなか良く出来ているもので少々乱暴に動いても首が転がり落ちることはなかった
それを外そうというのだ
首をはずすとデュラハンは体内に蓄えている精が漏れ出してしまうため、自己防衛のために激しく相手を求めるようになってしまう
前にもその時のようなことがあったアメリアだが、その時は首だけ残って体は海の中へ落ちてしまってどうしようもないことになり
仕方がなく仮死状態となって命を繋いだ
今回は、大量の精を持って未知なる相手の支配から雅之進を救い出すのが目的
「今、助けてさしあげますからね」
アメリアはやさしく抱きしめその額にキスをした
首をはずしたアメリア
今まで溜めてきた精が紫煙となって部屋に洩れていく
「ああ、雅之進!貴方は私のもの!他の女に獲られて堪りますか!」
漏れ出すにしたがって激情が彼女を巡る
うつろな声を未だに発している雅之進の口を塞ぐ
「うん・・・ちゅば・・・ううん・・・雅之進!雅之進!!」
必死に口を貪る
キスをしながら股間に手を伸ばす
「こんな状態でもからだは正直なのね。もう下はいいのかしら?」
彼女の手コキに反応してモノがそそり立つ
「はぁ。なんだかびくびくしてきたわよ?でもこのままイカせるわけにはいかないわ。ちゃんと私の中で出してね」
体はデク状態の雅之進に馬乗りになりモノを膣へと埋めていく
「あああ!いいわ!やはり貴方はいい!こんなにも私を期待させてくれるのだから」
雅之進は虚ろではあったがだんだんと顔に赤みが差し込んできている
「動くわよ?すぐにイッたりしないでね?」
騎乗位になった彼女はそのまま動き始める
「ああっ・・・はあん・・・ああ・・・」
彼女の首はどうしているかと言うと、雅之進の股間で自分の体と雅之進の体が繋がっているところを眺めながら玉袋や菊門をしゃぶっていた
「貴方のモノと私のあそこが繋がっているのを見ながら出来るなんて・・・ゾクゾクするわ」
菊門を刺激すればするほど、イチモツがビクッとする
「あああ・・・気持ちいいのね?またこんなに大きくなった・・・うきゃぁぁ!・・・ああ・・・そんなところ舐めちゃ・・・ダメ!んん」
ふいに、雅之進が首の穴周辺を舐め始めた
交わっている最中、いつもキスをするのが好きだったから無意識なのだろうが、どうやら首周辺は彼女にとって弱い場所だったらしい
アメリアが膣と舌を使って雅之進を責めたてる。雅之進は彼女の反応が良くなるものだからか首周辺や乳房を責めたてる
そんな果てのない営みがいつまでも続いていった
「う!ううぁぁぁ・・・はぁっはぁっ・・・あ・・・めり・・・あ?」
紫煙が部屋を満たすたびに雅之進はだんだんと意識が戻りつつあるようだ
「・・・はぁ・・・はぁ・・・首をとったのか・・・おまえと繋がりながらそうして眺められるのはなんだか背が寒くなるな」
「お嫌ですか?」
上目使いにまるで挑発するような、ねぶるようなそんな目をして彼女は囁いた
「いや、むしろ良い。・・・期待なのか・・・?そんな寒気だ」
雅之進は彼女の頭を愛しく抱えるとやさしくキスをした
その後、夜明けまでそんな営みは続いた
アメリアから漏れた精はその部屋の中で結界となり、雪女の力を弾き飛ばす効果を生んだ
互いの状態がどうなっているかを確認できるまで回復してきたようだったが、その後また意識は混沌としてきてしまったようで
彼女をヤキモキさせた
--------------------------------------------------
結局、雅之進が正気を取り戻すまで数日かかった
雅之進自身としては一体わが身に何が起こったのかすらよくわかっていない
覚えているのは、夢うつつながら女に呼ばれたこと、夢から醒めるとアメリアが首を取っていてひどく淫らになっていたことぐらい
いつもは妻たらんとしているのか、その口調は丁寧な言い方をしているがあの時は素な彼女だったようだ
あの時の獲物を舐るあの視線あれを思い出すだけで、雅之進恐ろしいような、またあんな彼女と契ってみたいような気持ちになる
「もうよろしいのですか?雅之進」
「・・・すまぬ。アメリア心配をかけた。あのとき己の身に何が起きていたのか未だに分からぬのだ。よかったら教えてくれぬか?」
『その先はわしがお教えしましょうぞ?』
部屋の外から村長の声が聞こえてきた
「突然のご無礼申し訳なく・・・」
「村長様。何か知っておいでで?」
「村長殿!なんだか久しぶりですな」
「はい。わしも雅之進様が元に戻られたようでほっとしております。奥方様、少しばかり長くなりまするがよろしいかな?」
「はい」
「では・・・」
村長は静かに話を始めた
この村がいつからあるかはもう誰も知らない
しかし、遠い昔から村に伝わる古い口伝が残っている
“旅人(男の)来し時、吹雪の合間晴れる時あれど決して外に出てはならず
氷女(ヒメ)さま出でてこれを婿とす
これ永久に契りてその姿見ること叶わず
氷女(ヒメ)さま婿貰いし時
里、大いなる恵み受け給いてその豊穣を祝するであろう”
年頃になった雪女は氷女(ヒメ)と呼ばれる。姫の意味合いもある
彼女は里に自分に見合った男がいないか探す
気に入った男がいると、決まって吹雪の日に山から下りてくる
そして、晴れた日に男が出てくるのを見計らって印をつける
そして、自分の使いでもある雪だるまを男がいる家の先に置いておく
だるまは道案内などで男を女の元へ導く
そして氷女の呼びかけに答えた男を誘い、手料理を振舞う
それを気に入ってくれたならば、これを夫として彼女達は向い入れる
その後、彼らの姿を見ることはなくなる
そうして、翌年は山の幸などが豊富に採れ、周辺の山々や村は大いに潤う
雪女たちはこの辺りの地では豊穣を連れてくる神としても奉られていると・・・
そんな話を聞いて雅之進は村長に詰め寄って言った
「村長殿!それが分かっていながら何故我等に忠告をしてくれなかったのですか!」
「氷女様の婿取りが成功に終わったあと里に豊穣が訪れる。このような山深き里では豊穣に湧くなどということは滅多にないこと!わしはこの里で村長をしている。里の者が幸せに暮らしていけるならばなんだってしましょうぞ?」
「しかし!」
「わしは奥方様を想って忠告までした。それ以上の義理はないですぞ?それに、貴方様はどうもまだ同心であった頃の癖が抜けていない模様。今の貴方様はあやかしを妻としたお尋ね者でしかありますまい!昔の考え方に囚われず何故その美しい奥方様と幸せを支え合おうとなさらぬのか!木ノ内又左ヱ門なる人物はかつての同心だった貴方様と同じ!あやかしを見つけたならば何があろうとお切りになるでしょう。火の粉を払えとは言わぬがもっとご自分のお立場を考えては如何か!」
雅之進はぐうの音の出せなかった。確かにお尋ね者の自分に人のことを言える道理はないのだ。かつて自分も仕事熱心だった頃はある。そして同じように職務に熱心だった木ノ内又左ヱ門を踏み台にして、おのが身に降りかかる火の粉を払えたのだから、もっと良かったと思わなくてはならないのかもしれない
「雅之進・・・」
アメリアがそっと肩を抱いてくれた
「アメリア・・・俺は・・・」
「良いのです。貴方が無事であればそれで」
「では、わしはこれにて。吹雪く日もこれから少なくなるでしょう。春になるまでここに逗留なされるがよい。雅之進殿?春が来るまでもう一度自身について考えてみては如何かな?」
と、村長は部屋を出て行った
雅之進は寄り添うアメリアを見ながら、もう一度身の振り方を考えてみようと思うのだった
--------------------------------------------------
春
雪も融けはじめ梅がぽつぽつと咲き始める頃
雅之進とアメリアは再び旅立つことにした
「村長殿、いろいろとお世話になり申した。あれから、いろいろを考えて、自分にとって一番大事なものとは何かを見つめる良い機会になり申した」
そういうと雅之進はアメリアの手をぎゅっと握った
「それは良かったですな。本当に大事なものは手の内に近ければ近いほどそれが当たり前になってしまい気付かなくなるもの。今回のこと良き教訓となるでしょう。それはそうと、わしがあなた方のようなあやかし連れを受け容れたのも仔細があります」
「・・・どのような?」
「わしはその昔、薬の行商をしておりましてな。よくいろいろな所を回ったものです。丁度このあたりで流行り病で多くの者が困っているという話を聞きつけ、この里へ参ったわけです。・・・冬のひどい吹雪の日でしてな。後はその知っての通り・・・。わしは二度と世へ出ることもないと思っておったのですが、連れが亡うなってしもうてこの里へ戻ってきたのです・・・」
「・・・そのようなことが・・・村長様。私、人としてふれあって頂き本当に救われる想いでありました。ありがとう存じます」
「いえいえ、奥方様。お二方の幸せな日々を祈っておりますぞ?」
村長や里の者たちをと別れた二人
その胸にはいろいろな想いが飛来する
遠ざかる村を面歯がゆくみつめる雅之進
何があっても二人の絆を守り抜こうと決意したアメリア
「確かに、俺はどこかでまだ決意がいたらなかったのかもしれない。だからこそ付け入られた・・・。アメリアこれからも至らぬ俺をよろしく頼む!」
「はい!貴方は何があっても私が守ります!・・・それと雅之進?浮気でなかったにせよ、浮気をしたらどうなるか分かっているわね?」
「え?」
「数日間寝かせないくらいの仕置をするのだから!!覚悟しておいてくださいませ?」
そんな言葉に寒気を感じてマジマジと彼女の顔を見てみた。その顔はどことなく楽しげだった
後日・・・
「あの女!私の雅之進に手を出そうとして!もし会うようなことがあったら、人の男に手を出したお礼に袋叩きにしてあげようと思ったのに!!」
肩をいかれせて背負っていた剣を振り、バッサバッサと藪を払って道なき道を進むアメリア
「は、はははは…」
あの雪女にしろアメリアにしろ女の執念とはすごいものだと雅之進は思った
同時に怒らせないようにと心に誓ったのだった・・・
10/08/08 23:08更新 / 茶の頃
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