ＫＲＤＫ
『はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・・・・・・・』
僕は逃げていた。
『はぁ・・・・・はぁ・・・・・はぁ・・・・・はぁ・・・・・・』
街からそう遠くない山の中、時刻はもう木々も寝静まる時間だ。
逃走する前からビリビリに破かれた服は木の枝に引っ掛かったりして既に最低限の役目しか果たしていない。
裸足のまま逃げてきたから足の裏は傷だらけ、もう痛みすら感じない。
心臓が早鐘を打ち、全身の筋肉が悲鳴を上げ、自分の限界を告げてくる。
だけど僕は逃げなければならない。
なぜなら・・・・・・・・
「坊っちゃぁぁぁぁぁぁん！！逃げるんじゃねえよお！！」
「おっちゃん達とイイことしようぜえ！！」
「凸凸ＬＯＶＥ！！凸凸ＬＯＶＥ！！」
「待て！！あいつにも穴はある！！♀×♀なら凹凹ＬＯＶＥ！だが♂×♂なら凸凹ＬＯＶＥ！！！だ！！！！」
「うっひぃおおおおおおおお！！マジかよ！！超！エキサイティィィン！！！」
「はぁ、はぁ、は、初めてなのかな？？なのかな？？」
「処女厨乙。だがあいつの処女は俺がもらうぜぇぇぇぇええええええ！！！」
この変態の編隊から全力で逃げているからである。
捕まる事、それはつまり男としての尊厳を失うことである。
ここまでに至る経緯は複雑にして単純。
僕は貧乏人の三男として産まれた。そして売られたのだ。
売られたからには酷い扱いが待っているだろうと思っていたがこれは想定外だ。
さらに、１人(それでも絶対に嫌だが)ならまだしもあいつら７人もいる。
無理無理無理無理！！！絶対無理！！！！
改めて状況を確認し逃げる心構えを作った時、限界を迎えた僕の足は木の根を捕らえ、僕の身体は地面に転がった。
「ひゃーーはははははははははははははは！！追いかけっこは終わりだぜ子猫ちゃぁん！！」
「猫だと女っぽくねえか？」
「犬なら男っぽいか？」
「ひゃーーーーはははははははははははは！！追いかけっこは終わりだぜ子犬ちゃぁん！！」
「いいんじゃね？新しくね！？」
変態の会話は理解出来ない
『なんだよお前等！！何で僕を買ったんだよ！！』
「何でって、凸凹ＬＯＶＥ！を・・・・」
『そこだよ！！なら女の奴隷買えばいいだろ！！わざわざ男の僕を襲うんだよこのホモ野郎ども！！』
「「「「「「「違う！！！！！！」」」」」」」
「とある偉い人はこう仰られた、『この世の性別は男、女、ショタ、ふたなりの４つだ』とな」
「そしてお前はショタだ」
「故に！これは男×ショタであり！！我々はホモではなくショタコンだ！！！！」
お話しにならない・・・・・(ふたなり？)
僕の成長は遅く、今になっても身長は大人の腰に手が回せるくらいしかない。
そのうち伸びるだろうと思ってたがもう遅いみたいだ。
くそっ、貧乏でホルスタウロスのミルクが買えなかったからだ・・・・・・・・・
「さぁて・・・・・そろそろフィーバータイムの時間だぜぇ・・・・」
リーダー格の太った男はもうすでにパンツ一丁になっていた
・・・・・・・・・まずい！！！！
『やだ・・・・やめて！！』
「いいねぇ、その顔！！ゾクゾクするぜ！！がばぁ！！！」
男がついに飛び掛ってきた！！こうなったら一か八か・・・・
『僕、こう見えても１９歳なんです！！』
ピタ・・・・・・・
僕の言葉に変態どもが止まった。
この事実に呆然としているようだ。普段は認めたくない事実だが今は感謝しよう。
ショタの定義は分からないが、奴らの言葉から察するに幼い男の子のことだろう。
様々な経験を積んだ僕は当て嵌まらないはずだ。
さぁ！僕を解放しｔ・・・・
「「「「「「「キターーーーー(・∀・)ーーーーーーーーーー」」」」」」」
は？
「その見た目でその歳ってことはもう成長しないってことじゃん！！」
「とある偉い生物学者はこう嘆いた・・・・『ショタは成長すると男に性転換してしまう』と・・・・」
「でも目の前のショタはこのままずっとショタだ！！おっちゃんイッちまいそうになるぜええええええええええええええええええ！！！！！！！」
「神キターーーーーーーーーー！！！」
「でも、これって神を穢すことになるんじゃね？」
「逆に考えろ！神を穢すってメチャメチャ興奮するシチュエーシュンじゃねえか！！」
「非実在青少年が実在したああああああああああああああ！！もう俺たまらねええええええええええ！！！！」
歓喜の雄叫びを上げ、次々にキャストオフしていく変態達。
終わった・・・・・・・
もう、僕に出来るのはささやかな抵抗しかない・・・・それも、こんなガチムチ共には意味のないことだろう。
もはや、神に祈りながらこいつらが満足するのを待つしかない・・・・・・・
神様・・・・・・助けて・・・・・・・
『何をしている貴様ら！！！！』
馬の嘶きとともに高らかに聞こえてくる女性の声。
声のする方を向くとそこには馬に騎乗した女性がいた・・・・・
蒼く美しい長い髪、その髪に負けることなくさらに美しく凛々しい顔、村娘が普段着ているような服だが、髪から覗く長い耳、そして騎乗している馬には首が無くさらに鬣は黒い炎のようだった。
女性は人間ではなかった。
今の僕には女神様だが
女性は馬を見事に操り、変態共を退けると馬から降りて僕に駆け寄った
『大丈夫か？』
『・・・・・・・・はい。』
僕は近くで見た女性の美しさに見惚れていた。
・・・・・・・本当に女神だ
「やいやいやいやいやい！！！」
「勝手に出てきていい雰囲気になってんじゃねえぞ！！」
「そいつは俺たちのもんだ！大人の女には興味ねえからさっさと失せな！！」
馬の勢いに一瞬怯んだだけだった変態共はどこから取り出したか分からないが、手に手に武器を持って僕と女性を取り囲んだ。
「リーダー！どうします？」
「こいつ、世間一般では美人って呼ばれる人種ですよ！！」
「ふん！！女には興味ねえが、ショタっ子が一度に相手できるのはせいぜい４人くらいだ。残りはこの女を犯してりゃ時間つぶしになるだろ。」
「自分、ショタっ子とずっと絡み合っていたいお！」
「我侭いうんじゃない！！」
「そこの姉ちゃん！！聞いた通りだ！犯されたくなきゃショタっ子置いてさっさと失せな！」
『お姉さん！！』
『ふふ、状況はだいたい分かった。僕、ちょっとそこで待ってなさい。』
女性・・・・・お姉さんは誰もがドキッとするような微笑を浮かべると変態共に向き直った。
お姉さんの腰にはいつの間にかベルトが巻かれていた。バックルの部分が異様に大きい・・・・・
「なんだ？姉ちゃんやる気かい？」
「お前さん何もんのつもりだ！？」
『通りすがりの首なし騎士《ライダー》よ！覚えておきなさい！！』
と言うと、お姉さんはベルトに付いていたカードホルダーから一枚カードを取り出して構え・・・・
『変身！！！』
と叫んでカードをベルトに差し込み、読み込ませた。
《Mamono Ride・・・・・ＤＵＬＬＡＨＡＮ！！！》
ベルトが光り、お姉さんの服が変わっていく・・・・
どこにでもいる村娘の服から、目玉がいたるところに着き、マントがまるで蒼炎のようにはためき、厳格そうでそれでいて自身の豊満な体の魅力は惜しみなく晒すデュラハンの鎧になった。
自分も教会の教本で見たことがあるデュラハンの姿だ。
『さぁ、あなた達の罪を数えなさい！』
「野郎共！やっちまいな！！」
「小癪なあああああ！！」
お姉さんが両刃の剣を抜き放ち、変態共が各々武器を振りかぶって襲い掛かる！
流れるような動きで変態の攻撃を避け、蹴りや峰打ちで変態を退ける。
まるで踊るような華麗な動きだ。７人を相手にしているのに、凄い。
「くっそ、俺が相手だああああ！！」
７人で掛かって仕留められない状況に痺れを切らしたのか、今度は一対一でやるようだ・・・・・・・・・バカ？
大声で襲い掛かる筋肉隆々な変態
『ふ・・・・・パワーで来るならこちらもパワーだ！』
《Mamono Ride・・・・・・ＡＫＡＯＮＩ！！！》
カードホルダーから肌の赤い女性の描かれたカードを取り出し、ベルトに読み込ませるお姉さん。
するとデュラハンの鎧が、トラ柄の下着の様な服に変化し、額から２本の角が生えた。
「ぬおおおおおおおおお！！！！」
がっちり組み合う変態とお姉さん。体格で変態有利かと思いきや・・・・
『どりやああああああああああああああ！！！！！！！』
筋肉隆々な変態は宙を舞い、大木に向かって投げ飛ばされた。
「な、なに！？次は俺だ！！！」
次の変態は体の半分はあろうかという巨大なハンマーを振り上げる。
『ハンマーには、ハンマーだ！』
《Mamono Ride・・・・・ＣＹＣＬＯＰＳ！！！》
《Attack Ride・・・・・ＨＡＭＭＥＲ！！》
またカードホルダーからカードを取り出すお姉さん。今度は２枚だ。
一つ目の女性が描かれたカードを読み込むと、一つ目の書かれたバンダナをした鍛冶師の姿に。
続けてでっかいハンマーの描かれたカードを読み込むと、デュラハンの剣がでっかいサイクロプスのハンマーになった。
お姉さんはハンマーを振りかぶると
『ふんぬ！！！』
変態のハンマーにぶち当て、変態のハンマーの砕き、勢いそのままに変態をハンマーで殴り飛ばした！
「同士よ！！！！！このクソアマがぁ！！！」
お姉さんの後ろから剣で急襲する変態！
『危ない！！』
僕が叫んだが、お姉さんは慌てずにカードを１枚使った。
《Mamono Ride・・・・・ＧＡＲＧＯＹＬＥ！！！》
途端にお姉さんの肌は石のように硬質化し、襲い掛かった変態の剣が逆に折れてしまった。
そして文字通りの石拳を変態に叩き込み戦闘不能にする。
「こうなったら・・・・・通信教育で習った魔術で・・・・・・」
変態が詠唱すると周りにいくつも火球が出現する。
『ふん、そんな稚拙な魔術で何ができる。本当の魔術とはこうだ！』
《Mamono Ride・・・・・ＷＩＴＣＨ！！！》
《Attack Ride・・・・・ＥＸＰＬＯＳＩＯＮ！！》
変態が作り出した火球の何倍も大きい火球が現れた。
勝負になるはずもなく、４人目の変態は上手に焼けました。
その後、５人目を
《Mamono Ride・・・・・ＭＩＮＯＴＡＵＲＯＳ！！！》
暴れ牛のような剛力と角で放り投げ、槍で襲い掛かった６人目は
《Mamono Ride・・・・・ＨＯＲＮＥＴ！！！》
《Attack Ride・・・・・ＢＥＥ’Ｓ ＳＰＥＡＲ！！》
槍を弾き飛ばされ、自身も弾き飛ばされた。
《Mamono Ride・・・・・ＥＬＦ！！！》
『どこへ行こうというんだ？』
《Attack Ride・・・・・ＥＬＶＥＮ’ＢＯＷ！！》
７人目、リーダー格の変態は逃げようとしていた。
エルフに変身したお姉さんの弓はそれを逃がさず、矢で大木に磔にした。
今まで気づかなかったがその大木には７人の変態が集まっていた。
お姉さんは一度に止めを刺すために一箇所に纏めたんだろう。強い。
《Mamono Ride・・・・・ＤＵＬＬＡＨＡＮ！！！》
お姉さんは元のデュラハンの姿に戻り、おそらく止め用のカードである金色のカードを取り出した。
「やめてくれ！！！待ってくれ！！頼む！！もうしないから！！！」
『貴様らの様な悪の変態は、その命、天へ返しなさい！！』
「「「「「「「ひいいいいいいいいいいいい！！！！！」」」」」」」
《Final Attack Ride・・・・・Ｄ！Ｄ！Ｄ！ＤＵＬＬＡＨＡＮ！！！！！》
デュラハンの剣に黒い竜巻が巻き起こる！！
『はあああああああああ！！！！！！！』
『せいやあああああああああああ！！！！！！』
お姉さんが剣を振ると竜巻は波動となり、大木ごと変態共を山の向こうへ吹き飛ばした！！
『あ、あの、ありがとうございます！！』
『礼には及ばん、たまたま通りかかっただけだ。』
変身を解き、元の服に戻ったデュラハンのお姉さんに駆け寄り頭を下げる。
『あの！！このご恩を返したいんです！なんでもします！！』
『！！！？？？・・・・・・本当か？』
『はい！本気です！！・・・・・・？』
頭を上げるとお姉さんが鼻から血を出しながらこっちを見ていた。さっきの戦闘で怪我したのか！？
『お、お姉さん！！大丈夫ですか？？！！』
『問題ない。では、行くぞ！』
『うわあ！！』
お姉さんは僕を首なし馬に乗せると自分も乗り、自分の住処である魔界の城に向かって馬を走らせた。
『簡単なことじゃった！人間が魔物の性欲に負けてしまうなら、魔物に使わせれば何の問題もない話だったのじゃ！！』
地下室でバフォメット様が報告書を満足げに眺めている。
机の上ではたくさんのフラスコに無地のカードが入れられている。どうやら精製中らしい。
『戦地でかさ張る武器や鎧がこれ１枚で事足りる。しかも１人で何通りの戦い方ができ、コストもカードだからそれほどではない！一石で何鳥も落とせるぞえ！まだ、ケンタウロスとかハーピーとか、身体が著しく変化するものには変身できなかったり、精の貯蔵が出来て理性が強いデュラハンでないと扱えない。と改良点はあるが、十分戦場で使えるはずじゃ！！あーはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは！！』
『おーい、我が妻よ。気持ちよく笑ってるとこ悪いが、件のベルトを使ってたデュラハンがショタっ子連れ込んでよろしくやってるようだぞ。』
『むう、やはりデュラハンと言えど増大した性欲には敵わなかったか。まあでも、魔物娘にとってはいつものことじゃ！支障はあるまいて。さて、我が夫よ。このベルトの量産の件じゃが・・・・・・』
『いや。変身した度に欲情されてたら戦線がもたねえよ！！』
その後、魔界に程近い村や町で悪者を懲らしめる通りすがりの首なし騎士が多数目撃され、都市伝説と化した。
僕は逃げていた。
『はぁ・・・・・はぁ・・・・・はぁ・・・・・はぁ・・・・・・』
街からそう遠くない山の中、時刻はもう木々も寝静まる時間だ。
逃走する前からビリビリに破かれた服は木の枝に引っ掛かったりして既に最低限の役目しか果たしていない。
裸足のまま逃げてきたから足の裏は傷だらけ、もう痛みすら感じない。
心臓が早鐘を打ち、全身の筋肉が悲鳴を上げ、自分の限界を告げてくる。
だけど僕は逃げなければならない。
なぜなら・・・・・・・・
「坊っちゃぁぁぁぁぁぁん！！逃げるんじゃねえよお！！」
「おっちゃん達とイイことしようぜえ！！」
「凸凸ＬＯＶＥ！！凸凸ＬＯＶＥ！！」
「待て！！あいつにも穴はある！！♀×♀なら凹凹ＬＯＶＥ！だが♂×♂なら凸凹ＬＯＶＥ！！！だ！！！！」
「うっひぃおおおおおおおお！！マジかよ！！超！エキサイティィィン！！！」
「はぁ、はぁ、は、初めてなのかな？？なのかな？？」
「処女厨乙。だがあいつの処女は俺がもらうぜぇぇぇぇええええええ！！！」
この変態の編隊から全力で逃げているからである。
捕まる事、それはつまり男としての尊厳を失うことである。
ここまでに至る経緯は複雑にして単純。
僕は貧乏人の三男として産まれた。そして売られたのだ。
売られたからには酷い扱いが待っているだろうと思っていたがこれは想定外だ。
さらに、１人(それでも絶対に嫌だが)ならまだしもあいつら７人もいる。
無理無理無理無理！！！絶対無理！！！！
改めて状況を確認し逃げる心構えを作った時、限界を迎えた僕の足は木の根を捕らえ、僕の身体は地面に転がった。
「ひゃーーはははははははははははははは！！追いかけっこは終わりだぜ子猫ちゃぁん！！」
「猫だと女っぽくねえか？」
「犬なら男っぽいか？」
「ひゃーーーーはははははははははははは！！追いかけっこは終わりだぜ子犬ちゃぁん！！」
「いいんじゃね？新しくね！？」
変態の会話は理解出来ない
『なんだよお前等！！何で僕を買ったんだよ！！』
「何でって、凸凹ＬＯＶＥ！を・・・・」
『そこだよ！！なら女の奴隷買えばいいだろ！！わざわざ男の僕を襲うんだよこのホモ野郎ども！！』
「「「「「「「違う！！！！！！」」」」」」」
「とある偉い人はこう仰られた、『この世の性別は男、女、ショタ、ふたなりの４つだ』とな」
「そしてお前はショタだ」
「故に！これは男×ショタであり！！我々はホモではなくショタコンだ！！！！」
お話しにならない・・・・・(ふたなり？)
僕の成長は遅く、今になっても身長は大人の腰に手が回せるくらいしかない。
そのうち伸びるだろうと思ってたがもう遅いみたいだ。
くそっ、貧乏でホルスタウロスのミルクが買えなかったからだ・・・・・・・・・
「さぁて・・・・・そろそろフィーバータイムの時間だぜぇ・・・・」
リーダー格の太った男はもうすでにパンツ一丁になっていた
・・・・・・・・・まずい！！！！
『やだ・・・・やめて！！』
「いいねぇ、その顔！！ゾクゾクするぜ！！がばぁ！！！」
男がついに飛び掛ってきた！！こうなったら一か八か・・・・
『僕、こう見えても１９歳なんです！！』
ピタ・・・・・・・
僕の言葉に変態どもが止まった。
この事実に呆然としているようだ。普段は認めたくない事実だが今は感謝しよう。
ショタの定義は分からないが、奴らの言葉から察するに幼い男の子のことだろう。
様々な経験を積んだ僕は当て嵌まらないはずだ。
さぁ！僕を解放しｔ・・・・
「「「「「「「キターーーーー(・∀・)ーーーーーーーーーー」」」」」」」
は？
「その見た目でその歳ってことはもう成長しないってことじゃん！！」
「とある偉い生物学者はこう嘆いた・・・・『ショタは成長すると男に性転換してしまう』と・・・・」
「でも目の前のショタはこのままずっとショタだ！！おっちゃんイッちまいそうになるぜええええええええええええええええええ！！！！！！！」
「神キターーーーーーーーーー！！！」
「でも、これって神を穢すことになるんじゃね？」
「逆に考えろ！神を穢すってメチャメチャ興奮するシチュエーシュンじゃねえか！！」
「非実在青少年が実在したああああああああああああああ！！もう俺たまらねええええええええええ！！！！」
歓喜の雄叫びを上げ、次々にキャストオフしていく変態達。
終わった・・・・・・・
もう、僕に出来るのはささやかな抵抗しかない・・・・それも、こんなガチムチ共には意味のないことだろう。
もはや、神に祈りながらこいつらが満足するのを待つしかない・・・・・・・
神様・・・・・・助けて・・・・・・・
『何をしている貴様ら！！！！』
馬の嘶きとともに高らかに聞こえてくる女性の声。
声のする方を向くとそこには馬に騎乗した女性がいた・・・・・
蒼く美しい長い髪、その髪に負けることなくさらに美しく凛々しい顔、村娘が普段着ているような服だが、髪から覗く長い耳、そして騎乗している馬には首が無くさらに鬣は黒い炎のようだった。
女性は人間ではなかった。
今の僕には女神様だが
女性は馬を見事に操り、変態共を退けると馬から降りて僕に駆け寄った
『大丈夫か？』
『・・・・・・・・はい。』
僕は近くで見た女性の美しさに見惚れていた。
・・・・・・・本当に女神だ
「やいやいやいやいやい！！！」
「勝手に出てきていい雰囲気になってんじゃねえぞ！！」
「そいつは俺たちのもんだ！大人の女には興味ねえからさっさと失せな！！」
馬の勢いに一瞬怯んだだけだった変態共はどこから取り出したか分からないが、手に手に武器を持って僕と女性を取り囲んだ。
「リーダー！どうします？」
「こいつ、世間一般では美人って呼ばれる人種ですよ！！」
「ふん！！女には興味ねえが、ショタっ子が一度に相手できるのはせいぜい４人くらいだ。残りはこの女を犯してりゃ時間つぶしになるだろ。」
「自分、ショタっ子とずっと絡み合っていたいお！」
「我侭いうんじゃない！！」
「そこの姉ちゃん！！聞いた通りだ！犯されたくなきゃショタっ子置いてさっさと失せな！」
『お姉さん！！』
『ふふ、状況はだいたい分かった。僕、ちょっとそこで待ってなさい。』
女性・・・・・お姉さんは誰もがドキッとするような微笑を浮かべると変態共に向き直った。
お姉さんの腰にはいつの間にかベルトが巻かれていた。バックルの部分が異様に大きい・・・・・
「なんだ？姉ちゃんやる気かい？」
「お前さん何もんのつもりだ！？」
『通りすがりの首なし騎士《ライダー》よ！覚えておきなさい！！』
と言うと、お姉さんはベルトに付いていたカードホルダーから一枚カードを取り出して構え・・・・
『変身！！！』
と叫んでカードをベルトに差し込み、読み込ませた。
《Mamono Ride・・・・・ＤＵＬＬＡＨＡＮ！！！》
ベルトが光り、お姉さんの服が変わっていく・・・・
どこにでもいる村娘の服から、目玉がいたるところに着き、マントがまるで蒼炎のようにはためき、厳格そうでそれでいて自身の豊満な体の魅力は惜しみなく晒すデュラハンの鎧になった。
自分も教会の教本で見たことがあるデュラハンの姿だ。
『さぁ、あなた達の罪を数えなさい！』
「野郎共！やっちまいな！！」
「小癪なあああああ！！」
お姉さんが両刃の剣を抜き放ち、変態共が各々武器を振りかぶって襲い掛かる！
流れるような動きで変態の攻撃を避け、蹴りや峰打ちで変態を退ける。
まるで踊るような華麗な動きだ。７人を相手にしているのに、凄い。
「くっそ、俺が相手だああああ！！」
７人で掛かって仕留められない状況に痺れを切らしたのか、今度は一対一でやるようだ・・・・・・・・・バカ？
大声で襲い掛かる筋肉隆々な変態
『ふ・・・・・パワーで来るならこちらもパワーだ！』
《Mamono Ride・・・・・・ＡＫＡＯＮＩ！！！》
カードホルダーから肌の赤い女性の描かれたカードを取り出し、ベルトに読み込ませるお姉さん。
するとデュラハンの鎧が、トラ柄の下着の様な服に変化し、額から２本の角が生えた。
「ぬおおおおおおおおお！！！！」
がっちり組み合う変態とお姉さん。体格で変態有利かと思いきや・・・・
『どりやああああああああああああああ！！！！！！！』
筋肉隆々な変態は宙を舞い、大木に向かって投げ飛ばされた。
「な、なに！？次は俺だ！！！」
次の変態は体の半分はあろうかという巨大なハンマーを振り上げる。
『ハンマーには、ハンマーだ！』
《Mamono Ride・・・・・ＣＹＣＬＯＰＳ！！！》
《Attack Ride・・・・・ＨＡＭＭＥＲ！！》
またカードホルダーからカードを取り出すお姉さん。今度は２枚だ。
一つ目の女性が描かれたカードを読み込むと、一つ目の書かれたバンダナをした鍛冶師の姿に。
続けてでっかいハンマーの描かれたカードを読み込むと、デュラハンの剣がでっかいサイクロプスのハンマーになった。
お姉さんはハンマーを振りかぶると
『ふんぬ！！！』
変態のハンマーにぶち当て、変態のハンマーの砕き、勢いそのままに変態をハンマーで殴り飛ばした！
「同士よ！！！！！このクソアマがぁ！！！」
お姉さんの後ろから剣で急襲する変態！
『危ない！！』
僕が叫んだが、お姉さんは慌てずにカードを１枚使った。
《Mamono Ride・・・・・ＧＡＲＧＯＹＬＥ！！！》
途端にお姉さんの肌は石のように硬質化し、襲い掛かった変態の剣が逆に折れてしまった。
そして文字通りの石拳を変態に叩き込み戦闘不能にする。
「こうなったら・・・・・通信教育で習った魔術で・・・・・・」
変態が詠唱すると周りにいくつも火球が出現する。
『ふん、そんな稚拙な魔術で何ができる。本当の魔術とはこうだ！』
《Mamono Ride・・・・・ＷＩＴＣＨ！！！》
《Attack Ride・・・・・ＥＸＰＬＯＳＩＯＮ！！》
変態が作り出した火球の何倍も大きい火球が現れた。
勝負になるはずもなく、４人目の変態は上手に焼けました。
その後、５人目を
《Mamono Ride・・・・・ＭＩＮＯＴＡＵＲＯＳ！！！》
暴れ牛のような剛力と角で放り投げ、槍で襲い掛かった６人目は
《Mamono Ride・・・・・ＨＯＲＮＥＴ！！！》
《Attack Ride・・・・・ＢＥＥ’Ｓ ＳＰＥＡＲ！！》
槍を弾き飛ばされ、自身も弾き飛ばされた。
《Mamono Ride・・・・・ＥＬＦ！！！》
『どこへ行こうというんだ？』
《Attack Ride・・・・・ＥＬＶＥＮ’ＢＯＷ！！》
７人目、リーダー格の変態は逃げようとしていた。
エルフに変身したお姉さんの弓はそれを逃がさず、矢で大木に磔にした。
今まで気づかなかったがその大木には７人の変態が集まっていた。
お姉さんは一度に止めを刺すために一箇所に纏めたんだろう。強い。
《Mamono Ride・・・・・ＤＵＬＬＡＨＡＮ！！！》
お姉さんは元のデュラハンの姿に戻り、おそらく止め用のカードである金色のカードを取り出した。
「やめてくれ！！！待ってくれ！！頼む！！もうしないから！！！」
『貴様らの様な悪の変態は、その命、天へ返しなさい！！』
「「「「「「「ひいいいいいいいいいいいい！！！！！」」」」」」」
《Final Attack Ride・・・・・Ｄ！Ｄ！Ｄ！ＤＵＬＬＡＨＡＮ！！！！！》
デュラハンの剣に黒い竜巻が巻き起こる！！
『はあああああああああ！！！！！！！』
『せいやあああああああああああ！！！！！！』
お姉さんが剣を振ると竜巻は波動となり、大木ごと変態共を山の向こうへ吹き飛ばした！！
『あ、あの、ありがとうございます！！』
『礼には及ばん、たまたま通りかかっただけだ。』
変身を解き、元の服に戻ったデュラハンのお姉さんに駆け寄り頭を下げる。
『あの！！このご恩を返したいんです！なんでもします！！』
『！！！？？？・・・・・・本当か？』
『はい！本気です！！・・・・・・？』
頭を上げるとお姉さんが鼻から血を出しながらこっちを見ていた。さっきの戦闘で怪我したのか！？
『お、お姉さん！！大丈夫ですか？？！！』
『問題ない。では、行くぞ！』
『うわあ！！』
お姉さんは僕を首なし馬に乗せると自分も乗り、自分の住処である魔界の城に向かって馬を走らせた。
『簡単なことじゃった！人間が魔物の性欲に負けてしまうなら、魔物に使わせれば何の問題もない話だったのじゃ！！』
地下室でバフォメット様が報告書を満足げに眺めている。
机の上ではたくさんのフラスコに無地のカードが入れられている。どうやら精製中らしい。
『戦地でかさ張る武器や鎧がこれ１枚で事足りる。しかも１人で何通りの戦い方ができ、コストもカードだからそれほどではない！一石で何鳥も落とせるぞえ！まだ、ケンタウロスとかハーピーとか、身体が著しく変化するものには変身できなかったり、精の貯蔵が出来て理性が強いデュラハンでないと扱えない。と改良点はあるが、十分戦場で使えるはずじゃ！！あーはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは！！』
『おーい、我が妻よ。気持ちよく笑ってるとこ悪いが、件のベルトを使ってたデュラハンがショタっ子連れ込んでよろしくやってるようだぞ。』
『むう、やはりデュラハンと言えど増大した性欲には敵わなかったか。まあでも、魔物娘にとってはいつものことじゃ！支障はあるまいて。さて、我が夫よ。このベルトの量産の件じゃが・・・・・・』
『いや。変身した度に欲情されてたら戦線がもたねえよ！！』
その後、魔界に程近い村や町で悪者を懲らしめる通りすがりの首なし騎士が多数目撃され、都市伝説と化した。
10/09/30 12:09更新 / 腐乱死巣