ラヴァーテール
「おにーさんにならいいよ? 存分に楽しむといいさ」
朝。生まれたままの姿同士で起きるわけでもなくダラダラとしていると、ラナの尻尾に目を惹かれた。
一度や二度ではなかったが、昨日の行為による気怠さがその意識を今までよりも露骨なものにしてしまっていたようだ。
ベッドの上でうつ伏せになり、大きな尻尾を揺らしながら挑発するように目を細める。
正直なところものすごく触りたかった。撫でたり抱きしめたりしてみたかった。
旅をしているとは思えないほど手入れの行き届いたフサフサ加減と艶のある毛並み。
恐らくあの尻尾全体がもふもふしているのだろうなと思うと触りたくて仕方がない。
ラナと恋仲になってから幾度となく体を重ねてきたが、実のところ尻尾を触ったことは一度もなかった。
そもそも体位がいつも正常位か対面座位、騎乗位で、行為の最中に尻尾に触れる機会に恵まれなかったというのもあるが、半獣の魔物娘にとっての尻尾はそうやすやすと気軽に触れていいものだとは思えなかったし、下手なことをして彼女の機嫌を損ねるのも嫌だった。
だが、その欲求は日に日に増していたようで、ついに今日ラナに見透かされてしまったというわけだ。
「でも、一向にボクの尻尾を触ろうとしないから興味ないのかと思ってたよ」
「そんな事ない。君に魅力的じゃないところなんて何処にもないよ」
「あ、っ……――〜〜〜〜! も、もう! なんでそうさらっと恥ずかしいこと言うのさ!?」
「嫌だったか?」
「ぅ……嬉しいけどさ……。ボクの心臓が持たないよ……」
真っ赤になった愛らしい顔を枕に押し付けて隠してしまった愛おしい恋人は、触れることを待ち侘びるように尻尾を小さく揺らす。
『触らないの?』という不安そうな感情と『触ってもいいよ?』という蠱惑的な誘惑。
遮るものもはなく、抑制する必要のない欲求は無意識のうちに手を彼女の尾に伸ばしていた。
「ひゃ……っ♥」
小さな嬌声(ひめい)とビクつく身体に思わず手を引っ込めそうになるが、『やめないで』と言わんばかりに手に尻尾を押し付けられる。
その意思を汲み、なるべく優しく彼女の尻尾を愛でる。
「……! こ、これは……」
その感触は想像以上に想像以上だった。
ふんわりサラサラとした毛並みが指の一本一本に絡みつき、こちらの掌が逆に撫でられているような感覚。
手を沈めただけでこれだというのだから、撫でたらどれほどの感動が得られるのか計り知れない。
「あっ♥ あぅ……♥ ひっゃ……♥ お、おにーさ……んぅっ♥」
気がつけば両の手が彼女の尻尾に埋もれていた。
『我を忘れる』というのはこういうことを言うのだろうか。
思わず感嘆の声を上げながら一心不乱に尻尾を撫でる姿はさぞ滑稽なのだろうが、誰にどう思われても構わないほどにそれは魅力的だった。
まるで魅了の魔法をかけられたような、そんな甘い誘惑。
防げるはずもなかった。ましてや愛おしい恋人のそれなのだから、防ぐ必要もなかった。
欲望に身を任せて、だけど優しく、だけど激しく。
万が一にも痛がってしまわないように大切に、一心不乱に愛撫する。
掌に感じる温かくて柔らかな文字通り彼女の『チャームポイント』は、俺の心を掴んで離さなかった。
「おにーさんっ♥ 触り方やらしっ……♥ ひぅっ♥ やぁ……っ♥」
撫でているうちに『これに抱きついたらどうなってしまうのだろう』そんな欲求が心を支配する。
そう考え始めると止まらなかった。というより、止められなかった。
彼女の尻尾をこちらに引き寄せて、不思議そうな声をだす彼女を他所にそれを抱きしめてみる。
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっ♥ やっ、おにーさ……っ♥」
それは、天国だった。
全身を直に極上の最上級毛布に包まれているかのような安心感。
彼女の体温と彼女のニオイで全てが満たされていく。
たまらず頬ずりしてみると、形容すればその触感の品位を貶めてしまいかねないほどの悦楽が顔全体を包み込む。
ふんわりと漂う彼女のニオイはまるで媚薬効果の香のようで、衝動的なまでに彼女を汚してしまいたくなる。
「ぇ、あっ♥ だめぇ……♥ ニオイ嗅がないで……♥ 恥ずかしいよぅ……♥」
浅ましく勃起した息子を押し付ける。
それだけで達してしまいそうなほどの快楽を得ながら、尻尾ごと彼女に覆いかぶさった。
「ふぇ? あっ……♥ だめ……っ♥ おにーさん、えっちはだめだよぅ……♥」
「悪い、我慢できないっ……!」
「うぅ……♥ 昨日あんなにしたでしょ?♥ ダメだってばぁ……♥」
しっぽを撫でられただけで達していた彼女の膣口からはまるでごちそうをお預けされてしまっているかのように涎で溢れていた。
『ダメ』という割には素直に股を開いて腰を持ち上げている彼女に愛おしさを感じながら、そのまま膣内に挿入する。
「ひ――ゃあぁぁんっっっ♥」
「あ――、っぐ……。い、挿入れただけなのにイクの、これで何度目だ?」
「やぁ……言わないでよぅ……♥ うぅー……しょうがないじゃないかぁっ♥ ボクのオマンコはおにーさんのおちんちん専用なんだからぁっ♥」
ちらりとこちらを振り向きながら発情しきった雌の表情でそんな可愛らしいことを言う彼女に、思わずビクンと反応してしまう。正直言ってこちらも人のことは言えず、顔から下腹部までを極上の尻尾に包まれながら、狭く、それでいて柔らかい泥濘に沈めた怒張に走る快楽に、すんでのところで絶頂しそうなほどに高まってしまっていた。
「――っ、そうかい……っ!」
「あ――っ♥、ゃ、あぁぁーっ♥ だめっ♥ あぅっ、これだめぇっ♥」
ピストンする度に絶頂しているような断続的にキュウキュウと締め付ける感触と、体重をかけてるこちらに押し付けるように反発する尻尾からもたらされる悦楽が脳内をピンク色に染め上げて、ラナのことだけで思考が塗りつぶされる。
「や、っぁあ――♥ やらっ、この体勢やらぁっ♥ おにーさんの顔見たいっ♥ 見たいよぅっ♥」
「――っ、君ねっ……今そういう事言うのは反則だろっ……!」
愛らしい恋人のいじらしいおねだりを聞いて更に高まってしまい、それを叶えてやりたくてももう腰は止められそうになかった。
何より征服感が凄まじかった。ラナの全てを支配しているかのような悦楽が全身を駆け巡りスパークする。
その衝動を止めることなどできるはずもなく、反発してくる尻尾ごとラナを押しつぶすように密着しながらその欲望を彼女の奥に叩きつけた。
「――――――〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっっっ♥♥♥♥」
一際大きな嬌声が部屋の中に響く。
何もかもを放出したかのようなすさまじい絶頂感と、何もかもを吸い出されるかのような絶頂による快楽とが交わり合い、息もできないほどの多幸感に身を焦がす。
くたっと力尽きたように尻尾に込められた力も抜け、覆いかぶさる俺の射精をいたわるように優しく包み込んでくる。
しばらくの間こうしていたかったが、ラナを窒息させてしまいかねないのを思い出して名残惜しさを噛み締めながら彼女の膣から未だ張り詰めた怒張を引き抜く。
ゴポリ、という音とともに我ながらすごい量を出したなと感心するほどの精液が彼女の膣口から溢れ出る。
深く激しい絶頂を迎えてビクビクと痙攣するのに合わせて精液が吹き出るさまは収まらない性欲を湧き立てるのには十分すぎた。
「ぅ……ぅぅー……!♥ やだって言ったのに!♥ おにーさんの意地悪っ!♥」
批難するように息も絶え絶えな身体をなんとかこちらに向けて涙目で抗議してくるものの、絶頂が深すぎたのか言葉の端々が色で染まっている。
荒い息と紅潮した頬が扇情を煽り、アレ程出したばかりだというのに彼女とまた繋がりたくて仕方がない。
「っ……♥ ……おにーさんのケダモノっ♥」
「……君が魅力的すぎるのがいけない。……それに君も……ってうわっ!?」
飛びかかられ、反応できずに押し倒される。
流石魔物娘。毎度のことながら体力が凄まじいと言うかなんというか。
完全にスイッチが入り、『まだ足りない』と言わんばかりにあっという間に挿入し有無を言わさずピストンする。
「ちょ、ラナっ……! まっ……く、ぁあ……っ!?」
「おにーさんは待ってくれなかったもんっ♥ だからボクも待たないからぁっ♥ ボクにしてくれたみたいにおにーさんも気持ちよくなってくれなきゃやだっ♥」
「だからってこん……っあ、ぁああっ!」
無理やり犯すような一方的な腰使い。自分が受けた快楽を相手にも与えようと懸命な腰使い。
愛らしく、いじらしく、愛おしい彼女の愛情が、快楽となって思考を濁流で呑み込んでいく。
パチュッパチュッという水混じりの肉がぶつかりあう音をリズムに、二人の嬌声(うたごえ)が奏でられる。
激しく、激しく、激しく。もっと、もっと、もっと。激しく、激しく、激しく。
高め合い、求め合い、共に快楽を貪り食らう。
会話はなく、それでも通じ合う心と心が、二人の心を満たしていく。
「おにーさん、すきっ♥ すきすきすきぃっ♥ だいすきっだいすきぃっ♥」
「ラナっ、ラナぁっ! 俺も、俺も好きだっ! 大好きだっ……愛してるっ!」
「〜〜〜〜〜〜っ♥♥♥ ボクもっ♥ ボクも愛してるよっ♥ おにー……さぁっんっ……!♥」
倒れ込むように身体を密着させて首に手を回され、強く抱きしめられる。
押し付けられる彼女の柔らかさと、汗のまじった濃厚なニオイ、そして抱きしめながらも止まることのないピストンの快楽が僅かに残った我慢の堤防をたやすく打ち砕いていく。
「だきしめてっ♥ 痛くしてもいいからっ♥ ぎゅってしてぇっ♥」
言われたとおり、彼女を尻尾ごと強く抱きしめる。
胸板に鼻を押し付けてニオイを堪能していたラナの口から声にならない嬌声があがり、ギュゥッと締め付ける膣肉の感触に愛おしさで胸が満たされていく。
気がつけばただ犯されていただけの俺も下から腰を突き上げて、ラナの子宮をコツンコツンとノックしていた。
激しい肉の衝突音と水音と、喘ぎ声と嬌声が入り混じった淫靡な空間は、二人の熱気を更に高める。
もうお互いに軽く絶頂し続けているような快楽の中、互いの好意をぶつけるように、ただただ腰を振り立てた。
「――っ♥ これっ♥これ好きっ♥ 全部おにーさんに抱きしめられるの大好きっ♥ あっ、や、ぅう♥ イクっ♥ すごいのキちゃうっ♥ やっ♥ 怖いっ♥ 怖いよぅっ♥」
「ラナっ、大丈夫っ……俺が、俺が一緒だからっ……!」
「おにーさんっ、おにーさぁんっ♥ 抱きしめて♥ もっと、もっともっと♥ 強く抱きしめて♥」
「っ……! ダメだ、もう……っ!」
「うんっ♥ ボクもっ♥ ボクもイクっ♥ イッちゃう♥ イこっ♥ 一緒にっ♥ 一緒じゃなきゃやぁっ♥」
しかし、いつまでも続けたいとも思えるこの瞬間も限界を迎える。
高まり昂ぶり高めあい、理性も思考も溶け落ちて、ただ恭悦に身を焦がす。
示し合わせたわけでもなく、ただ深まった二人の情愛が、互いの絶頂を互いに引き起こした。
「イっ――――――――♥ あ、ぁぁあああああっっっっっ♥♥♥♥♥」
「ッ――――――――!! っあ、か、はぁ――……っぁ……」
先ほどとは比べほどにならないほどの快楽。
先ほどとは比べほどにならないほどの絶頂。
先ほどとは比べほどにならないほどの情愛。
精も根も尽き果てたように力が抜け、それでも抱きしめることは止めず、愛おしそうに胸板に頬ずりするラナの頭を撫でる。
嬉しそうに頭を掌に擦り付けながら、だらしなく破顔する彼女はまさに小動物のようであった。
しばらく、互いに息が落ち着くまで繋がったまま抱きしめ合う。
あまりにも幸福すぎる満ち足りた時間の中、愛おしい彼女の存在を確かめるように強く抱きしめた。
「……ねっ、おにーさん」
「……ん?」
「だいぶ落ち着いてきたけどさ……もうちょっとこうしてていいかな。ボク、まだおにーさんとつながってたいな」
「……奇遇だな。俺も、ラナとこうしてたい」
「えへへ……ありがと♪」
抱きしめる力が強くなる。それに習って抱きしめる力を強くする。
少し息苦しそうにしていたけれど、幸せそうにラナも力を強くした。
「……ね、おにーさん」
「……ん?」
「ちゅーしよ? ボク、ちゅーしたいなぁ」
「はいはい、仰せのとおりに」
つながったまま、抱きしめたまま、互いの唇を塞ぎ合う。
互いをいたわるように、互いを愛し合うように、深く、深く、優しく、優しく。
数秒だろうか、数分だろうか。
時間の感覚も曖昧な中で、どちらともなく唇を離す。
「……ね、おにーさん」
「……ん?」
「……えへへ……だいすきっ♥」
「……ふふっ。……俺も、ラナが大好きだよ」
笑い合う男女が二人、朝の光に包まれる。
それはまるで尻尾の生えた恋人との物語を祝福するようで。
抱き合う二人を優しく照らしていた。
朝。生まれたままの姿同士で起きるわけでもなくダラダラとしていると、ラナの尻尾に目を惹かれた。
一度や二度ではなかったが、昨日の行為による気怠さがその意識を今までよりも露骨なものにしてしまっていたようだ。
ベッドの上でうつ伏せになり、大きな尻尾を揺らしながら挑発するように目を細める。
正直なところものすごく触りたかった。撫でたり抱きしめたりしてみたかった。
旅をしているとは思えないほど手入れの行き届いたフサフサ加減と艶のある毛並み。
恐らくあの尻尾全体がもふもふしているのだろうなと思うと触りたくて仕方がない。
ラナと恋仲になってから幾度となく体を重ねてきたが、実のところ尻尾を触ったことは一度もなかった。
そもそも体位がいつも正常位か対面座位、騎乗位で、行為の最中に尻尾に触れる機会に恵まれなかったというのもあるが、半獣の魔物娘にとっての尻尾はそうやすやすと気軽に触れていいものだとは思えなかったし、下手なことをして彼女の機嫌を損ねるのも嫌だった。
だが、その欲求は日に日に増していたようで、ついに今日ラナに見透かされてしまったというわけだ。
「でも、一向にボクの尻尾を触ろうとしないから興味ないのかと思ってたよ」
「そんな事ない。君に魅力的じゃないところなんて何処にもないよ」
「あ、っ……――〜〜〜〜! も、もう! なんでそうさらっと恥ずかしいこと言うのさ!?」
「嫌だったか?」
「ぅ……嬉しいけどさ……。ボクの心臓が持たないよ……」
真っ赤になった愛らしい顔を枕に押し付けて隠してしまった愛おしい恋人は、触れることを待ち侘びるように尻尾を小さく揺らす。
『触らないの?』という不安そうな感情と『触ってもいいよ?』という蠱惑的な誘惑。
遮るものもはなく、抑制する必要のない欲求は無意識のうちに手を彼女の尾に伸ばしていた。
「ひゃ……っ♥」
小さな嬌声(ひめい)とビクつく身体に思わず手を引っ込めそうになるが、『やめないで』と言わんばかりに手に尻尾を押し付けられる。
その意思を汲み、なるべく優しく彼女の尻尾を愛でる。
「……! こ、これは……」
その感触は想像以上に想像以上だった。
ふんわりサラサラとした毛並みが指の一本一本に絡みつき、こちらの掌が逆に撫でられているような感覚。
手を沈めただけでこれだというのだから、撫でたらどれほどの感動が得られるのか計り知れない。
「あっ♥ あぅ……♥ ひっゃ……♥ お、おにーさ……んぅっ♥」
気がつけば両の手が彼女の尻尾に埋もれていた。
『我を忘れる』というのはこういうことを言うのだろうか。
思わず感嘆の声を上げながら一心不乱に尻尾を撫でる姿はさぞ滑稽なのだろうが、誰にどう思われても構わないほどにそれは魅力的だった。
まるで魅了の魔法をかけられたような、そんな甘い誘惑。
防げるはずもなかった。ましてや愛おしい恋人のそれなのだから、防ぐ必要もなかった。
欲望に身を任せて、だけど優しく、だけど激しく。
万が一にも痛がってしまわないように大切に、一心不乱に愛撫する。
掌に感じる温かくて柔らかな文字通り彼女の『チャームポイント』は、俺の心を掴んで離さなかった。
「おにーさんっ♥ 触り方やらしっ……♥ ひぅっ♥ やぁ……っ♥」
撫でているうちに『これに抱きついたらどうなってしまうのだろう』そんな欲求が心を支配する。
そう考え始めると止まらなかった。というより、止められなかった。
彼女の尻尾をこちらに引き寄せて、不思議そうな声をだす彼女を他所にそれを抱きしめてみる。
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっ♥ やっ、おにーさ……っ♥」
それは、天国だった。
全身を直に極上の最上級毛布に包まれているかのような安心感。
彼女の体温と彼女のニオイで全てが満たされていく。
たまらず頬ずりしてみると、形容すればその触感の品位を貶めてしまいかねないほどの悦楽が顔全体を包み込む。
ふんわりと漂う彼女のニオイはまるで媚薬効果の香のようで、衝動的なまでに彼女を汚してしまいたくなる。
「ぇ、あっ♥ だめぇ……♥ ニオイ嗅がないで……♥ 恥ずかしいよぅ……♥」
浅ましく勃起した息子を押し付ける。
それだけで達してしまいそうなほどの快楽を得ながら、尻尾ごと彼女に覆いかぶさった。
「ふぇ? あっ……♥ だめ……っ♥ おにーさん、えっちはだめだよぅ……♥」
「悪い、我慢できないっ……!」
「うぅ……♥ 昨日あんなにしたでしょ?♥ ダメだってばぁ……♥」
しっぽを撫でられただけで達していた彼女の膣口からはまるでごちそうをお預けされてしまっているかのように涎で溢れていた。
『ダメ』という割には素直に股を開いて腰を持ち上げている彼女に愛おしさを感じながら、そのまま膣内に挿入する。
「ひ――ゃあぁぁんっっっ♥」
「あ――、っぐ……。い、挿入れただけなのにイクの、これで何度目だ?」
「やぁ……言わないでよぅ……♥ うぅー……しょうがないじゃないかぁっ♥ ボクのオマンコはおにーさんのおちんちん専用なんだからぁっ♥」
ちらりとこちらを振り向きながら発情しきった雌の表情でそんな可愛らしいことを言う彼女に、思わずビクンと反応してしまう。正直言ってこちらも人のことは言えず、顔から下腹部までを極上の尻尾に包まれながら、狭く、それでいて柔らかい泥濘に沈めた怒張に走る快楽に、すんでのところで絶頂しそうなほどに高まってしまっていた。
「――っ、そうかい……っ!」
「あ――っ♥、ゃ、あぁぁーっ♥ だめっ♥ あぅっ、これだめぇっ♥」
ピストンする度に絶頂しているような断続的にキュウキュウと締め付ける感触と、体重をかけてるこちらに押し付けるように反発する尻尾からもたらされる悦楽が脳内をピンク色に染め上げて、ラナのことだけで思考が塗りつぶされる。
「や、っぁあ――♥ やらっ、この体勢やらぁっ♥ おにーさんの顔見たいっ♥ 見たいよぅっ♥」
「――っ、君ねっ……今そういう事言うのは反則だろっ……!」
愛らしい恋人のいじらしいおねだりを聞いて更に高まってしまい、それを叶えてやりたくてももう腰は止められそうになかった。
何より征服感が凄まじかった。ラナの全てを支配しているかのような悦楽が全身を駆け巡りスパークする。
その衝動を止めることなどできるはずもなく、反発してくる尻尾ごとラナを押しつぶすように密着しながらその欲望を彼女の奥に叩きつけた。
「――――――〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっっっ♥♥♥♥」
一際大きな嬌声が部屋の中に響く。
何もかもを放出したかのようなすさまじい絶頂感と、何もかもを吸い出されるかのような絶頂による快楽とが交わり合い、息もできないほどの多幸感に身を焦がす。
くたっと力尽きたように尻尾に込められた力も抜け、覆いかぶさる俺の射精をいたわるように優しく包み込んでくる。
しばらくの間こうしていたかったが、ラナを窒息させてしまいかねないのを思い出して名残惜しさを噛み締めながら彼女の膣から未だ張り詰めた怒張を引き抜く。
ゴポリ、という音とともに我ながらすごい量を出したなと感心するほどの精液が彼女の膣口から溢れ出る。
深く激しい絶頂を迎えてビクビクと痙攣するのに合わせて精液が吹き出るさまは収まらない性欲を湧き立てるのには十分すぎた。
「ぅ……ぅぅー……!♥ やだって言ったのに!♥ おにーさんの意地悪っ!♥」
批難するように息も絶え絶えな身体をなんとかこちらに向けて涙目で抗議してくるものの、絶頂が深すぎたのか言葉の端々が色で染まっている。
荒い息と紅潮した頬が扇情を煽り、アレ程出したばかりだというのに彼女とまた繋がりたくて仕方がない。
「っ……♥ ……おにーさんのケダモノっ♥」
「……君が魅力的すぎるのがいけない。……それに君も……ってうわっ!?」
飛びかかられ、反応できずに押し倒される。
流石魔物娘。毎度のことながら体力が凄まじいと言うかなんというか。
完全にスイッチが入り、『まだ足りない』と言わんばかりにあっという間に挿入し有無を言わさずピストンする。
「ちょ、ラナっ……! まっ……く、ぁあ……っ!?」
「おにーさんは待ってくれなかったもんっ♥ だからボクも待たないからぁっ♥ ボクにしてくれたみたいにおにーさんも気持ちよくなってくれなきゃやだっ♥」
「だからってこん……っあ、ぁああっ!」
無理やり犯すような一方的な腰使い。自分が受けた快楽を相手にも与えようと懸命な腰使い。
愛らしく、いじらしく、愛おしい彼女の愛情が、快楽となって思考を濁流で呑み込んでいく。
パチュッパチュッという水混じりの肉がぶつかりあう音をリズムに、二人の嬌声(うたごえ)が奏でられる。
激しく、激しく、激しく。もっと、もっと、もっと。激しく、激しく、激しく。
高め合い、求め合い、共に快楽を貪り食らう。
会話はなく、それでも通じ合う心と心が、二人の心を満たしていく。
「おにーさん、すきっ♥ すきすきすきぃっ♥ だいすきっだいすきぃっ♥」
「ラナっ、ラナぁっ! 俺も、俺も好きだっ! 大好きだっ……愛してるっ!」
「〜〜〜〜〜〜っ♥♥♥ ボクもっ♥ ボクも愛してるよっ♥ おにー……さぁっんっ……!♥」
倒れ込むように身体を密着させて首に手を回され、強く抱きしめられる。
押し付けられる彼女の柔らかさと、汗のまじった濃厚なニオイ、そして抱きしめながらも止まることのないピストンの快楽が僅かに残った我慢の堤防をたやすく打ち砕いていく。
「だきしめてっ♥ 痛くしてもいいからっ♥ ぎゅってしてぇっ♥」
言われたとおり、彼女を尻尾ごと強く抱きしめる。
胸板に鼻を押し付けてニオイを堪能していたラナの口から声にならない嬌声があがり、ギュゥッと締め付ける膣肉の感触に愛おしさで胸が満たされていく。
気がつけばただ犯されていただけの俺も下から腰を突き上げて、ラナの子宮をコツンコツンとノックしていた。
激しい肉の衝突音と水音と、喘ぎ声と嬌声が入り混じった淫靡な空間は、二人の熱気を更に高める。
もうお互いに軽く絶頂し続けているような快楽の中、互いの好意をぶつけるように、ただただ腰を振り立てた。
「――っ♥ これっ♥これ好きっ♥ 全部おにーさんに抱きしめられるの大好きっ♥ あっ、や、ぅう♥ イクっ♥ すごいのキちゃうっ♥ やっ♥ 怖いっ♥ 怖いよぅっ♥」
「ラナっ、大丈夫っ……俺が、俺が一緒だからっ……!」
「おにーさんっ、おにーさぁんっ♥ 抱きしめて♥ もっと、もっともっと♥ 強く抱きしめて♥」
「っ……! ダメだ、もう……っ!」
「うんっ♥ ボクもっ♥ ボクもイクっ♥ イッちゃう♥ イこっ♥ 一緒にっ♥ 一緒じゃなきゃやぁっ♥」
しかし、いつまでも続けたいとも思えるこの瞬間も限界を迎える。
高まり昂ぶり高めあい、理性も思考も溶け落ちて、ただ恭悦に身を焦がす。
示し合わせたわけでもなく、ただ深まった二人の情愛が、互いの絶頂を互いに引き起こした。
「イっ――――――――♥ あ、ぁぁあああああっっっっっ♥♥♥♥♥」
「ッ――――――――!! っあ、か、はぁ――……っぁ……」
先ほどとは比べほどにならないほどの快楽。
先ほどとは比べほどにならないほどの絶頂。
先ほどとは比べほどにならないほどの情愛。
精も根も尽き果てたように力が抜け、それでも抱きしめることは止めず、愛おしそうに胸板に頬ずりするラナの頭を撫でる。
嬉しそうに頭を掌に擦り付けながら、だらしなく破顔する彼女はまさに小動物のようであった。
しばらく、互いに息が落ち着くまで繋がったまま抱きしめ合う。
あまりにも幸福すぎる満ち足りた時間の中、愛おしい彼女の存在を確かめるように強く抱きしめた。
「……ねっ、おにーさん」
「……ん?」
「だいぶ落ち着いてきたけどさ……もうちょっとこうしてていいかな。ボク、まだおにーさんとつながってたいな」
「……奇遇だな。俺も、ラナとこうしてたい」
「えへへ……ありがと♪」
抱きしめる力が強くなる。それに習って抱きしめる力を強くする。
少し息苦しそうにしていたけれど、幸せそうにラナも力を強くした。
「……ね、おにーさん」
「……ん?」
「ちゅーしよ? ボク、ちゅーしたいなぁ」
「はいはい、仰せのとおりに」
つながったまま、抱きしめたまま、互いの唇を塞ぎ合う。
互いをいたわるように、互いを愛し合うように、深く、深く、優しく、優しく。
数秒だろうか、数分だろうか。
時間の感覚も曖昧な中で、どちらともなく唇を離す。
「……ね、おにーさん」
「……ん?」
「……えへへ……だいすきっ♥」
「……ふふっ。……俺も、ラナが大好きだよ」
笑い合う男女が二人、朝の光に包まれる。
それはまるで尻尾の生えた恋人との物語を祝福するようで。
抱き合う二人を優しく照らしていた。
18/11/20 08:32更新 / キール