3単位 『文武両道』
「毎度のことだけど先生ね〜? 授業するのすっごく面倒くさいんだよね〜? しかも今回は 初回だし〜、今日は自習はということで〜……」
「ゴホンッ!」
「……と思ったけど〜、何故かバフォ理事長が視察にいらしているので〜、早速『夜這科』の 講義を始めたいと思いま〜す♪」
「「「「「………」」」」」
開始早々職務を放棄しようとする夜這科担当の教授(サキュバス)。
『この大学に教授らしい教授は1人たりとておらぬ!』、と極めて深刻な問題を(無い)胸を張って宣言していた理事長の言葉も頷ける。
今回視察に来たのも、不真面目な教授達を監視するためのパトロールだとか。
教授達に悟られないように、どうやら不定期に行われているらしい。
大丈夫かこの学校……。
「ん〜っと、何時間もダラダラと話すのすっごく疲れるから〜、今から配るプリントを良〜く読んでおいてね〜♪」
そう言うと教授はパチンッと指を鳴らす。
すると……あ〜ら不思議、教卓に置かれていた無数の用紙が生徒達の座る席へと規則正しく並べられていく。
すごい……まるで魔法のようだ。
いや、実際魔力を使用した魔法なんだろう。
「全員に行き渡ったかな〜? それじゃ〜15分あげるから〜、そこに書かれてることをぜ〜んぶ暗記してね〜♪ その後〜……確認のために抜き打ちテストしま〜す♪」
「「「「「!?!?」」」」」
抜き打ち!?
マジか!?
やる気のやの字も感じない教授にしてはやることがエグ過ぎる!
あれか? 理事長が見てるからちょっと頑張っちゃおっかな♪みたいなそんなノリ!?
「ちなみに〜一定以上の点数を取れなかった生徒には〜、きっつ〜〜〜い『お仕置き』が待ってま〜す♪ うふふ♪ これ1度言ってみたかったのよね〜♪ 先生が学生だった頃を思い出すわ〜♪」
昔自分が体験した苦行を生徒に強いるタイプかあの野郎!
「はぁ、なんで初回に抜き打ちなんだよ……」
「馬鹿者。文句を垂れる暇があるなら、少しでも多くの内容を覚えたらどうだ?」
隣に座っていたドラゴンに叱られる。
「……ふ〜ん?」
「む、なんだ?」
「あぁいや、レイラって意外と真面目なんだな〜って」
「意外とは心外だな。お前は、私のことを一体どんな目で見ていたのだ?」
「ん〜、てっきり脳筋キャラかと……いった!?」
レイラに足を思いっきり踏まれた。
「今のは聞かなかった事にしよう。ほら、さっさと覚えろ」
「わかってるよ……いてて」
俺は渋々配布されたプリントと睨めっこする。
あぁそうだ、レイラに助けられた後のことを話しておかないと、だな。
………
……
…
「うっ……んん?」
「ふむ、気がついたようじゃな」
「こ、ここは……?」
目が覚めると、俺は理事長室に横たわっていた。
確か戦闘中に見知らぬドラゴンに助けられて…………その後は良く覚えていない。
「蘇生させるほど酷い有様ではなかったようじゃが、お主も運がないのう」
「強制入学させた理事長がそれを言いますか……?」
「ほほう! 回復してやった恩を忘れわしに歯向かうと?」
「くっ……あ、ありがとう…ございます」
「うむ! わかれば良いのじゃ!」
こんのロリババア……レベルが上がったら覚えておけよ?
「まぁわしへの感謝も当然の事じゃが、お主にはもう1人礼を申すべき相手がおるぞい」
「……あ」
理事長が指差す先には、異様な存在感を放つドラゴンの姿が。
本棚に背中を預け腕組みしているその姿は、もうなんか怒っているようにしか見えない。
口を開けた瞬間に罵倒されそうな気さえする。
「あ、あの〜……」
「………(ギロリ)」
おおう、なんて迫力のある睨みなんだ……。
眼力だけなら理事長を超えてるぞこれは。
「あ、えっと、その……助けてくれて、ありがとう。君がここまで運んでくれたんだよね?」
「………」
ドラゴンのお嬢さんはクールだぜ……。
睨みは解消されたが話しかけんなオーラが目に見える。
「う〜ん……」
「これこれ、お主」
「あ、はい?」
理事長に小突かれ耳を貸す。
「ヒソヒソ(見てわからぬか? あやつは礼を言われ照れておるのじゃ)」
「ボソボソ(ぇえ? そんなふうには見えませんけど……)」
「ヒソヒソ(鈍いやつじゃのう……礼を言われ慣れておらんと、大抵の者はああいった不躾な態度をとってしまうもんなんじゃよ)」
「ボソボソ(はぁ、そんなもんですかねぇ?)」
顔を上げ不機嫌なドラゴンさんに向き直る。
「とにかくありがとう。俺、ロイ。ロイ=フランクス。良かったら、君の名前を教えてくれないかな?」
「………」
「あ、あの……」
「失せろ」
「……へ?」
「私の前から失せろと言っているのだ!!!」
「す、すいませんでしたーーーーー・ ゚・。* 。 ゚。・.。* ゚ (ノД`) 」
脱兎の如く理事長室から逃走する俺。
……あれ、なんで怒られたんだろ?
ロイが逃げ帰った後。
「レイラよ、何も怒鳴ることはなかろうに」
「……うるさい」
「礼を言われ気恥ずかしいのはわかるがのう」
「そ、そういうわけではない!」
「ほう、そうか? まぁそれはどうでも良いのじゃが」
「………」
理事長は豪華な椅子に腰を下ろす。
「1つ解せぬことと言えば、レイラよ。誰とも干渉しようせぬお主が、何故あそこまでしたのかということじゃ」
「別に……2人以上という決まりを守っただけだ」
「本当にそれだけかのう?」
「……何が言いたい?」
「パーティを組むだけなら、他の者でも事足りたであろう。ロイに執着する理由はなんじゃ?」
「私は執着など……」
「ならば、本当のことを申してみぃ?」
「……失礼する!」
理事長室の扉を乱暴に開閉する。
まったく理事長め……何故しつこく勘ぐってくるのだ?
あの男を助けた事に理由などない。
そう、あれはただの気まぐれだ。
「……ふぅ」
あの男と卒業まで行動を共にするかと思うと少々憂鬱ではあるが……まぁ、多少丈夫なサンドバックができたと思えば気も楽だ。
面倒事を押し付けることだってできるからな。
「……シャワーでも浴びるか」
まぁ、先のことはこれから考えていけばいい。
私は私のやり方を貫く……それだけだ。
「詮索し過ぎたかのう? まぁ良い、いずれわかることじゃな。さ〜て! 魔女達を呼んで美肌 マッサージでもさせるとするかのう♪」
ロイPT専用宿舎にて。
「あ〜シャワー付いてるとは思わなかったな〜! こりゃいいわ〜!」
魔物の住む住居だから一体どんなカオスな部屋かと思ったけど、予想外に快適そうで安心した。
生活に必要なものは大概揃っているし、50人くらい収容できる程のスペースはあると思う。
この部屋を多くて5人で使えるのか。
魔界での大学生活も捨てたもんじゃないな、うん!
「お、洗髪料もあるんだ! へ〜いろんな種類があるんだな〜」
良質な部屋と豪華な浴室にテンションが上がっていた俺は……この後、激しく後悔することになる。
「うむ、なかなか良い部屋だな。さて、奴が来る前に体を清めるとするか」
「ふ〜んふ〜んふふ〜ん♪」
「服は……面倒だ、その辺に放っておこう」
「は〜んは〜んはは〜ん♪」
「ここが浴室だな? 一体どんな構造になって……」
「る〜んる〜んる……」
ガチャッ
「い、る……」←全裸
「る〜ん……」←ふるちん
時が、止まった。
「「………」」
2人はお互いの姿を確認し合う。
そして1番初めに行動を起こしたのは……
ムクムクムク……♪
俺の……息子だったorz
「な、な、な……!?」
「い、いや違う! これは違うんだ! け、決して君の魅力的な体を見て興奮したわけではなく……」
ムクムクムク……ギンッ!
彼女の手ブラ姿がより一層俺の性的欲望を掻き立てる。
「っ…っ…っ……!!??」
やばいやばいやばい口の端から炎が漏れてらっしゃる!
こ、ここは気の利いた言葉で回避するしか……!
「む、胸の大きさは…………Gカップですか?」
レイラは灼熱の炎を吐き出した!
…
……
………
「は〜いテスト終了〜♪ 答案用紙はすぐに回収しますね〜♪」
先程とは逆に、散らばった用紙が一斉に教卓へと集まっていく。
これには何度見ても驚かされる。
ちなみに視察に来ていた理事長もいつの間にかいなくなっている。
「……全然ダメだった」
「吞気に回想などしているからだ、馬鹿者」
「ひ、必要なことだろ!?」
「どうだかな。少なくとも、私はあのときの事を想い出したくない」
「うん、それは俺も同感」
浴室内で炎なんか吐かれた時には骨も残らないかと思ったが、足を滑らせ浴槽に身を隠せたのは不幸中の幸いだった。
「まぁしかし色々な意味で、お前はなかなか『イイモノ』を持っているな」
「『イイモノ』?」
「わからないならそれでいい」
「?」
あの後レイラをなだめるのにとてつもない苦労を強いられた。
が、雨降って地固まるとはこのことだ。
今やこんなにもフレンドリー?な関係を築うことができた。
まぁ俺の場合ただの雨ではなく『血の雨』だったけど。
「ロイく〜ん? いたら返事してくださ〜い♪」
「あ、はーい」
「ちょ〜っと前に出てきてもらえるかな〜?」
「え?」
俺は教授に手招きされ若干困惑する。
「ふむ、どうやら『お仕置き』が執行されるようだな」
「はあ!? 俺だけかよ!?」
他の奴ら優秀過ぎんだろ!
いや…………俺がバカなだけか?
「残念だったわね〜ロイ君♪」
「教授は全然残念そうに見えないんですけど」
「それはそうよ〜♪ だって〜、わたしに男の子の性玩具ができるんですもの〜♪」
「……は?」
「というわけで〜……お仕置きは『一生わたしの性奴隷』に決定しま〜す♪」
「謹んでお断り申し上げます!」
「あら〜、そうなの〜?」
そうなの〜?じゃねーよ。
嫌に決まってるだろそんなもん。
「う〜ん、それなら仕方ないわよね〜」
「お、別のお仕置きにしてくれるんですか?」
「ううん? わたしが言ったのは〜、実力行使しても仕方ないよね〜ってことよ〜?」
「じ、実力、行使?」
「だって〜言うこと聞かない学生には〜一応体罰が許されてるのよね〜♪」
体罰ってなに!?
ここ大学だよな!?
「そういうことだから〜、覚悟してちょうだいね〜♪」
「ま、まじかよ!?」
今日は戦闘ないと思ってたのに、まさかこんなところでボス戦かよ!
サキュバスが現れた!
「あれ、レイラも戦ってくれるの?」
「馬鹿者! お前と私はPTで、お前の戦闘は私の戦闘でもあるのだ!」
「あ、そうなんだ……なんかゴメン」
「ええい! この埋め合わせはキッチリとしてもらうからな!」
・・・・・・・・・・・・
サキュバスはプロテを唱えた!
サキュバスの防御力が上がった!
ロイの攻撃!
サキュバスは7のダメージ!
レイラの攻撃!
サキュバスは8のダメージ!
・・・・・・・・・・・・
サキュバスは激しい稲妻を呼び寄せた!
ロイは15のダメージ!(HP32)
レイラは18のダメージ!(HP54)
ロイの攻撃!
サキュバスは8のダメージ!
レイラは燃え盛る炎を吐き出した!
サキュバスは21のダメージ!
・・・・・・・・・・・・
サキュバスはロイを誘惑した!
ロイはサキュバスにメロメロだ!
ロイは誘惑されている!
ロイはレイラに回し蹴りを放った!
レイラは11のダメージ!(HP43)
レイラの攻撃!
サキュバスは9のダメージ!
「……後で覚えておけ」
「すいませんでした!orz」
ロイは正気に戻った!
・・・・・・・・・・・・
サキュバスはアギルを唱えた!
ロイは19のダメージ!(HP13)
しかしレイラはダメージを受けない!(HP43)
ロイの攻撃!
サキュバスは8のダメージ!
レイラは尾を鞭のようにしならせた!
サキュバスは16のダメージ!
・・・・・・・・・・・・
ロイは身を守っている
サキュバスはミニコメットを唱えた!
ロイは11のダメージ!(HP2)
レイラは23のダメージ!(HP20)
レイラはローションを使った!
ロイのキズが回復した!(HP37)
サキュバスの防御力が元に戻った
・・・・・・・・・・・・
サキュバスはブフールを唱えた!
ロイは22のダメージ!(HP15)
レイラは28のダメージ!(HP0)
レイラは歯を食いしばり再び立ち上がった!(HP36)
ロイはサキュバスに回し蹴りを放った!
サキュバスは17のダメージ!
レイラの渾身の一撃!
サキュバスは39のダメージ!
・・・・・・・・・・・・
サキュバスはナイトメアを唱えた!
しかしロイには効かなかった!
しかしレイラには効かなかった!
ロイとレイラは互いの呼吸を合わせた!
コンビネーションアタック『ドラゴンダイブ』!
サキュバスは74のダメージ!
サキュバスを倒した!
ロイはLvが5に上がった!
ロイは『正拳突き』を覚えた!
レイラはLvが7に上がった!
「うぅ〜〜まさか先生が負けちゃうなんて〜……」
「いや、相当強かったですけど」
「も〜そんなに先生の性玩具になりたくないの〜?」
「なりたくないから戦ったんでしょうが!」
今回もギリギリの戦いだったなぁ……。
レイラがいてくれなければ一瞬で死んでたな。
「はぁ〜、もういいわ。あなた達の強さに免じて〜、お仕置きはなかったことにしま〜す」
「よっしゃ! レイラ、ありがとう!」
「……礼などいらん。私は、巻き込まれただけだ」
口ではこう言いつつ、なんだかんだでいつも助けてくれるレイラ。
俺は……いい仲間を持った。
「あらあら〜、もうこんな時間〜? それじゃ〜今日の講義はここまでとしま〜す♪ 今回の講義で学んだ夜這術を〜、ちゃ〜んと復習しておくようにね〜♪」
「「「「「は〜い」」」」」
さすが教授。
あれだけ痛め付けられておきながらピンピンしてる。
まさか……本気を出していなかった?
………。
この大学の職員達、侮れん。
〜ステータス〜
ロイ:L5(人間)
戦闘スタイル:モンク
固有特性:主人公(可能性に満ち溢れた存在)
人の子(状態異常にかかりやすい)
追記:攻撃力と防御力の伸びが非常に早くHPもそれなりに多い。経験を積むことによって特性が変化・増加していくことも特徴の1つ。主人公らしくバランスの良いキャラ。
HP 59
MP 32
レイラ:Lv7(ドラゴン)
戦闘スタイル:バーサーカー
固有特製:竜王の威厳(戦闘不能になっても1度だけ最大HPの半分の状態で復活)
火に愛されし者(敵から受ける火属性ダメージ全てを無効化)
追記:高い防御力に加え、全種族中トップクラスのHP量を誇る。攻撃力も高いが後半はやや伸び悩む。MPと素早さの低さが目立つ。
HP 80
MP 20
「ゴホンッ!」
「……と思ったけど〜、何故かバフォ理事長が視察にいらしているので〜、早速『夜這科』の 講義を始めたいと思いま〜す♪」
「「「「「………」」」」」
開始早々職務を放棄しようとする夜這科担当の教授(サキュバス)。
『この大学に教授らしい教授は1人たりとておらぬ!』、と極めて深刻な問題を(無い)胸を張って宣言していた理事長の言葉も頷ける。
今回視察に来たのも、不真面目な教授達を監視するためのパトロールだとか。
教授達に悟られないように、どうやら不定期に行われているらしい。
大丈夫かこの学校……。
「ん〜っと、何時間もダラダラと話すのすっごく疲れるから〜、今から配るプリントを良〜く読んでおいてね〜♪」
そう言うと教授はパチンッと指を鳴らす。
すると……あ〜ら不思議、教卓に置かれていた無数の用紙が生徒達の座る席へと規則正しく並べられていく。
すごい……まるで魔法のようだ。
いや、実際魔力を使用した魔法なんだろう。
「全員に行き渡ったかな〜? それじゃ〜15分あげるから〜、そこに書かれてることをぜ〜んぶ暗記してね〜♪ その後〜……確認のために抜き打ちテストしま〜す♪」
「「「「「!?!?」」」」」
抜き打ち!?
マジか!?
やる気のやの字も感じない教授にしてはやることがエグ過ぎる!
あれか? 理事長が見てるからちょっと頑張っちゃおっかな♪みたいなそんなノリ!?
「ちなみに〜一定以上の点数を取れなかった生徒には〜、きっつ〜〜〜い『お仕置き』が待ってま〜す♪ うふふ♪ これ1度言ってみたかったのよね〜♪ 先生が学生だった頃を思い出すわ〜♪」
昔自分が体験した苦行を生徒に強いるタイプかあの野郎!
「はぁ、なんで初回に抜き打ちなんだよ……」
「馬鹿者。文句を垂れる暇があるなら、少しでも多くの内容を覚えたらどうだ?」
隣に座っていたドラゴンに叱られる。
「……ふ〜ん?」
「む、なんだ?」
「あぁいや、レイラって意外と真面目なんだな〜って」
「意外とは心外だな。お前は、私のことを一体どんな目で見ていたのだ?」
「ん〜、てっきり脳筋キャラかと……いった!?」
レイラに足を思いっきり踏まれた。
「今のは聞かなかった事にしよう。ほら、さっさと覚えろ」
「わかってるよ……いてて」
俺は渋々配布されたプリントと睨めっこする。
あぁそうだ、レイラに助けられた後のことを話しておかないと、だな。
………
……
…
「うっ……んん?」
「ふむ、気がついたようじゃな」
「こ、ここは……?」
目が覚めると、俺は理事長室に横たわっていた。
確か戦闘中に見知らぬドラゴンに助けられて…………その後は良く覚えていない。
「蘇生させるほど酷い有様ではなかったようじゃが、お主も運がないのう」
「強制入学させた理事長がそれを言いますか……?」
「ほほう! 回復してやった恩を忘れわしに歯向かうと?」
「くっ……あ、ありがとう…ございます」
「うむ! わかれば良いのじゃ!」
こんのロリババア……レベルが上がったら覚えておけよ?
「まぁわしへの感謝も当然の事じゃが、お主にはもう1人礼を申すべき相手がおるぞい」
「……あ」
理事長が指差す先には、異様な存在感を放つドラゴンの姿が。
本棚に背中を預け腕組みしているその姿は、もうなんか怒っているようにしか見えない。
口を開けた瞬間に罵倒されそうな気さえする。
「あ、あの〜……」
「………(ギロリ)」
おおう、なんて迫力のある睨みなんだ……。
眼力だけなら理事長を超えてるぞこれは。
「あ、えっと、その……助けてくれて、ありがとう。君がここまで運んでくれたんだよね?」
「………」
ドラゴンのお嬢さんはクールだぜ……。
睨みは解消されたが話しかけんなオーラが目に見える。
「う〜ん……」
「これこれ、お主」
「あ、はい?」
理事長に小突かれ耳を貸す。
「ヒソヒソ(見てわからぬか? あやつは礼を言われ照れておるのじゃ)」
「ボソボソ(ぇえ? そんなふうには見えませんけど……)」
「ヒソヒソ(鈍いやつじゃのう……礼を言われ慣れておらんと、大抵の者はああいった不躾な態度をとってしまうもんなんじゃよ)」
「ボソボソ(はぁ、そんなもんですかねぇ?)」
顔を上げ不機嫌なドラゴンさんに向き直る。
「とにかくありがとう。俺、ロイ。ロイ=フランクス。良かったら、君の名前を教えてくれないかな?」
「………」
「あ、あの……」
「失せろ」
「……へ?」
「私の前から失せろと言っているのだ!!!」
「す、すいませんでしたーーーーー・ ゚・。* 。 ゚。・.。* ゚ (ノД`) 」
脱兎の如く理事長室から逃走する俺。
……あれ、なんで怒られたんだろ?
ロイが逃げ帰った後。
「レイラよ、何も怒鳴ることはなかろうに」
「……うるさい」
「礼を言われ気恥ずかしいのはわかるがのう」
「そ、そういうわけではない!」
「ほう、そうか? まぁそれはどうでも良いのじゃが」
「………」
理事長は豪華な椅子に腰を下ろす。
「1つ解せぬことと言えば、レイラよ。誰とも干渉しようせぬお主が、何故あそこまでしたのかということじゃ」
「別に……2人以上という決まりを守っただけだ」
「本当にそれだけかのう?」
「……何が言いたい?」
「パーティを組むだけなら、他の者でも事足りたであろう。ロイに執着する理由はなんじゃ?」
「私は執着など……」
「ならば、本当のことを申してみぃ?」
「……失礼する!」
理事長室の扉を乱暴に開閉する。
まったく理事長め……何故しつこく勘ぐってくるのだ?
あの男を助けた事に理由などない。
そう、あれはただの気まぐれだ。
「……ふぅ」
あの男と卒業まで行動を共にするかと思うと少々憂鬱ではあるが……まぁ、多少丈夫なサンドバックができたと思えば気も楽だ。
面倒事を押し付けることだってできるからな。
「……シャワーでも浴びるか」
まぁ、先のことはこれから考えていけばいい。
私は私のやり方を貫く……それだけだ。
「詮索し過ぎたかのう? まぁ良い、いずれわかることじゃな。さ〜て! 魔女達を呼んで美肌 マッサージでもさせるとするかのう♪」
ロイPT専用宿舎にて。
「あ〜シャワー付いてるとは思わなかったな〜! こりゃいいわ〜!」
魔物の住む住居だから一体どんなカオスな部屋かと思ったけど、予想外に快適そうで安心した。
生活に必要なものは大概揃っているし、50人くらい収容できる程のスペースはあると思う。
この部屋を多くて5人で使えるのか。
魔界での大学生活も捨てたもんじゃないな、うん!
「お、洗髪料もあるんだ! へ〜いろんな種類があるんだな〜」
良質な部屋と豪華な浴室にテンションが上がっていた俺は……この後、激しく後悔することになる。
「うむ、なかなか良い部屋だな。さて、奴が来る前に体を清めるとするか」
「ふ〜んふ〜んふふ〜ん♪」
「服は……面倒だ、その辺に放っておこう」
「は〜んは〜んはは〜ん♪」
「ここが浴室だな? 一体どんな構造になって……」
「る〜んる〜んる……」
ガチャッ
「い、る……」←全裸
「る〜ん……」←ふるちん
時が、止まった。
「「………」」
2人はお互いの姿を確認し合う。
そして1番初めに行動を起こしたのは……
ムクムクムク……♪
俺の……息子だったorz
「な、な、な……!?」
「い、いや違う! これは違うんだ! け、決して君の魅力的な体を見て興奮したわけではなく……」
ムクムクムク……ギンッ!
彼女の手ブラ姿がより一層俺の性的欲望を掻き立てる。
「っ…っ…っ……!!??」
やばいやばいやばい口の端から炎が漏れてらっしゃる!
こ、ここは気の利いた言葉で回避するしか……!
「む、胸の大きさは…………Gカップですか?」
レイラは灼熱の炎を吐き出した!
…
……
………
「は〜いテスト終了〜♪ 答案用紙はすぐに回収しますね〜♪」
先程とは逆に、散らばった用紙が一斉に教卓へと集まっていく。
これには何度見ても驚かされる。
ちなみに視察に来ていた理事長もいつの間にかいなくなっている。
「……全然ダメだった」
「吞気に回想などしているからだ、馬鹿者」
「ひ、必要なことだろ!?」
「どうだかな。少なくとも、私はあのときの事を想い出したくない」
「うん、それは俺も同感」
浴室内で炎なんか吐かれた時には骨も残らないかと思ったが、足を滑らせ浴槽に身を隠せたのは不幸中の幸いだった。
「まぁしかし色々な意味で、お前はなかなか『イイモノ』を持っているな」
「『イイモノ』?」
「わからないならそれでいい」
「?」
あの後レイラをなだめるのにとてつもない苦労を強いられた。
が、雨降って地固まるとはこのことだ。
今やこんなにもフレンドリー?な関係を築うことができた。
まぁ俺の場合ただの雨ではなく『血の雨』だったけど。
「ロイく〜ん? いたら返事してくださ〜い♪」
「あ、はーい」
「ちょ〜っと前に出てきてもらえるかな〜?」
「え?」
俺は教授に手招きされ若干困惑する。
「ふむ、どうやら『お仕置き』が執行されるようだな」
「はあ!? 俺だけかよ!?」
他の奴ら優秀過ぎんだろ!
いや…………俺がバカなだけか?
「残念だったわね〜ロイ君♪」
「教授は全然残念そうに見えないんですけど」
「それはそうよ〜♪ だって〜、わたしに男の子の性玩具ができるんですもの〜♪」
「……は?」
「というわけで〜……お仕置きは『一生わたしの性奴隷』に決定しま〜す♪」
「謹んでお断り申し上げます!」
「あら〜、そうなの〜?」
そうなの〜?じゃねーよ。
嫌に決まってるだろそんなもん。
「う〜ん、それなら仕方ないわよね〜」
「お、別のお仕置きにしてくれるんですか?」
「ううん? わたしが言ったのは〜、実力行使しても仕方ないよね〜ってことよ〜?」
「じ、実力、行使?」
「だって〜言うこと聞かない学生には〜一応体罰が許されてるのよね〜♪」
体罰ってなに!?
ここ大学だよな!?
「そういうことだから〜、覚悟してちょうだいね〜♪」
「ま、まじかよ!?」
今日は戦闘ないと思ってたのに、まさかこんなところでボス戦かよ!
サキュバスが現れた!
「あれ、レイラも戦ってくれるの?」
「馬鹿者! お前と私はPTで、お前の戦闘は私の戦闘でもあるのだ!」
「あ、そうなんだ……なんかゴメン」
「ええい! この埋め合わせはキッチリとしてもらうからな!」
・・・・・・・・・・・・
サキュバスはプロテを唱えた!
サキュバスの防御力が上がった!
ロイの攻撃!
サキュバスは7のダメージ!
レイラの攻撃!
サキュバスは8のダメージ!
・・・・・・・・・・・・
サキュバスは激しい稲妻を呼び寄せた!
ロイは15のダメージ!(HP32)
レイラは18のダメージ!(HP54)
ロイの攻撃!
サキュバスは8のダメージ!
レイラは燃え盛る炎を吐き出した!
サキュバスは21のダメージ!
・・・・・・・・・・・・
サキュバスはロイを誘惑した!
ロイはサキュバスにメロメロだ!
ロイは誘惑されている!
ロイはレイラに回し蹴りを放った!
レイラは11のダメージ!(HP43)
レイラの攻撃!
サキュバスは9のダメージ!
「……後で覚えておけ」
「すいませんでした!orz」
ロイは正気に戻った!
・・・・・・・・・・・・
サキュバスはアギルを唱えた!
ロイは19のダメージ!(HP13)
しかしレイラはダメージを受けない!(HP43)
ロイの攻撃!
サキュバスは8のダメージ!
レイラは尾を鞭のようにしならせた!
サキュバスは16のダメージ!
・・・・・・・・・・・・
ロイは身を守っている
サキュバスはミニコメットを唱えた!
ロイは11のダメージ!(HP2)
レイラは23のダメージ!(HP20)
レイラはローションを使った!
ロイのキズが回復した!(HP37)
サキュバスの防御力が元に戻った
・・・・・・・・・・・・
サキュバスはブフールを唱えた!
ロイは22のダメージ!(HP15)
レイラは28のダメージ!(HP0)
レイラは歯を食いしばり再び立ち上がった!(HP36)
ロイはサキュバスに回し蹴りを放った!
サキュバスは17のダメージ!
レイラの渾身の一撃!
サキュバスは39のダメージ!
・・・・・・・・・・・・
サキュバスはナイトメアを唱えた!
しかしロイには効かなかった!
しかしレイラには効かなかった!
ロイとレイラは互いの呼吸を合わせた!
コンビネーションアタック『ドラゴンダイブ』!
サキュバスは74のダメージ!
サキュバスを倒した!
ロイはLvが5に上がった!
ロイは『正拳突き』を覚えた!
レイラはLvが7に上がった!
「うぅ〜〜まさか先生が負けちゃうなんて〜……」
「いや、相当強かったですけど」
「も〜そんなに先生の性玩具になりたくないの〜?」
「なりたくないから戦ったんでしょうが!」
今回もギリギリの戦いだったなぁ……。
レイラがいてくれなければ一瞬で死んでたな。
「はぁ〜、もういいわ。あなた達の強さに免じて〜、お仕置きはなかったことにしま〜す」
「よっしゃ! レイラ、ありがとう!」
「……礼などいらん。私は、巻き込まれただけだ」
口ではこう言いつつ、なんだかんだでいつも助けてくれるレイラ。
俺は……いい仲間を持った。
「あらあら〜、もうこんな時間〜? それじゃ〜今日の講義はここまでとしま〜す♪ 今回の講義で学んだ夜這術を〜、ちゃ〜んと復習しておくようにね〜♪」
「「「「「は〜い」」」」」
さすが教授。
あれだけ痛め付けられておきながらピンピンしてる。
まさか……本気を出していなかった?
………。
この大学の職員達、侮れん。
〜ステータス〜
ロイ:L5(人間)
戦闘スタイル:モンク
固有特性:主人公(可能性に満ち溢れた存在)
人の子(状態異常にかかりやすい)
追記:攻撃力と防御力の伸びが非常に早くHPもそれなりに多い。経験を積むことによって特性が変化・増加していくことも特徴の1つ。主人公らしくバランスの良いキャラ。
HP 59
MP 32
レイラ:Lv7(ドラゴン)
戦闘スタイル:バーサーカー
固有特製:竜王の威厳(戦闘不能になっても1度だけ最大HPの半分の状態で復活)
火に愛されし者(敵から受ける火属性ダメージ全てを無効化)
追記:高い防御力に加え、全種族中トップクラスのHP量を誇る。攻撃力も高いが後半はやや伸び悩む。MPと素早さの低さが目立つ。
HP 80
MP 20
12/02/05 03:43更新 / HERO
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