6章 『贅沢な奴ら(後編)』
「ゼェ…ゼェ…」←俺
「はぁ…はぁ…」←エルザ
「ふぅ…ふぅ…」←アイリ
後編の始めがこんなセリフで申し訳ない。
「おい…アイリ…ゼェ…別荘…ゼェ…まだか…?」
「も、もうすぐじゃ…ふぅ…あと…30分…ほどかのう…」
「30分…だと…!? はぁ…かれこれ…1時間は…歩いて…いるぞ…はぁ…」
炎天下の下、俺達一行は別荘を目指してひたすらに歩いている。
ビーチ付近までは馬車で来られたけど、そこからさらに歩くとアイリに宣告された。
やっぱり貸し切りなだけに、そう簡単にはたどり着けないか…。
「まったく…なぜ私が…ティータを…運ばなければ…ならんのだ…!」
「ゼェ…エルザ…我慢…してくれ…ゼェ…こっちは…フィロと…メイも…ゼェ…担いで…ゼェ…んだから…」
「ワシに…3人分の…荷を持たすとは…ふぅ…ふぅ…」
「人より…まだマシ…だろ…? ゼェ…ゼェ…」
歩き始めて30分のあたりでメイ、フィロ、ティータが暑さに負けてダウン。
俺は倒れたフィロとメイを、エルザは2人分の荷物とティータを、アイリには3人分の荷物を分配させた。
「ワシも…倒れ…そうなの…じゃが…」
「勘弁…してくれ…案内役…お前しか…いない…」
「倒れても…いいぞ…? そのまま…置き去りに…してやるぞ…?」
「ぐ…! ふぅ…ふぅ…誰が…倒れる…ものか…!」
楽園前の地獄って、まさにコレのことだな………
「ここが貸し切りビーチ付きの別荘じゃ! 皆の者!ワシに感謝するが良い!!」
「だから貴様に感謝する言われはない! 感謝すべきはここの持ち主だろう!?」
「その持ち主とワシがコンタクトをとったのじゃ! 手柄はワシにあるのじゃ!!」
「まぁまぁ2人とも、その辺にしときなって」
「そうだよ〜? せっかくこんないい所に来られたのに〜」
「ティータは早く遊びたいです」
「………(コクコク!)」
「む…そうだな」
「ここは一時休戦とするかのう…」
「一時と言わずにずっと休戦してくれると助かるんだけどなぁ」
ちなみに今は外泊2日目。
昨日は到着直後に皆グロッキー状態に陥ってしまった。
貴重な1日目を寝て過ごしてしまった俺達を、どうか笑わないでほしい。
「え〜と…まぁ知っての通り、昨日は恐ろしく大変だった」
「「「「「………」」」」」
思い出したくない記憶を無理に掘り起こしたかのような空気になる。
「だからその……昨日の分まで楽しもう!」
「なのじゃ!」「は〜い!」「はい」「あぁ」「………(コクリ!)」
なんかプロローグと違う気がするけど…まぁ大人の事情ってやつかな。
深くは考えないようにしよう。
今は……とにかく楽しみたい!
「あぁ〜イイ天気だ」
「まったくじゃ! やはり、夏は海と相場が決まっておる!」
「今日この日のために新調した水着だ。 フレン、私に見惚れても良いぞ?」
「ごめん、布の面積が少なすぎて直視できない…」
「いいな〜エルザだけ新しい水着で〜」
「大丈夫ですよ、フィロさん。 水着の特性は着る人に依存しますから」
「へ? どゆこと?」
「要は元が良ければ何でも似合うということです」
「そうかな〜? ねぇねぇフレン、アタシの水着どう?」
「あ〜、イイんじゃない? フィロらしさが出てるよ」
「ホント!? わ〜〜い!」
「まったく、これだからお子様は困るのじゃ」
「ア、アタシお子様じゃないよ〜!?」
「称賛と世辞の違いもわからん者を、お子様と呼ばず何と呼ぶ?」
「それを言うなら貴様も同じだアイリ。 なんだその格好は?」
「むむ、この水着の何がおかしいと言うのじゃ!?」
「フンッ、私には大人の真似をしてみたが見事に失敗した哀れな幼女にしか見えないのだが?」
「なっ!?」
「ちょ、ちょっとだめだよエルザ、そんなこと言っちゃ!」
「フィロ、お主…」
「思ってても口に出しちゃいけないこともあるって、この前フレンが言ってたよ〜?」
「!?」
「あぁ、そうだったな。 すまないロリビッチ、私が浅はかだった」
「ぬ、ぬぐぐぐぐ…!!」
「あ〜ストップストップ!」
また始まった…。
「遊びに来たんだから喧嘩は禁止! しかもさっき休戦するって言ったばっかりだろ?」
「む…そうだったな」
「むむむ…釈然とせんのう……」
「ほら、ティータはもう遊んでるぞ?」
砂のお城を制作している彼女を指さす。
その建造物の高さおよそ20m。
え、20m!?
思わず2度見してしまう。
この短時間で良く作れたなぁ。(時間にして3分。物理的に無理だが彼女なら…)
「むぅ…そうじゃのう」
「そうだよ〜遊ぼうよ〜」
「そうだな、喧嘩ならいつでもできる」
「いや、その発言は問題だろ?」
ってなわけで皆をパラソルの下から追い払うことに成功。
「あ、メイは行かないのか?」
「………(コクリ)」
「せっかくなんだから、お前も行ってこいって。 ずっと俺に付き添ってちゃ退屈だろ?」
「………(フルフル)」
「ん〜まぁ、お前がそう言うなら…」
「………(zzz)」
「なるほど、寝足りないわけね…」
あれ? プロローグだとメイは『ニコ』ってしてくれたはず。
しかも所々改変されてるし…。
作者は一体何やってるんだよ!?
「まぁでも…あぁ〜幸せだ」
日常の疲れなんて一瞬で吹き飛んでしまいそうだ。
一応食料の関係で滞在は5日間だけど、できれば休みの間はずっとここに居続けたいかも。
「ぷか〜〜〜♪」
「えい」
「ぷか〜…え? きゃーーーーー!?」
バシャーーーン!!
「ぷはーー! も〜〜浮き輪ひっくり返すなんて…ティーちゃんひどいよ〜!?」
「ほんの出来心です……えい」
「きゃっ!?」
「えい えい えい」
「ちょ…ティーちゃん止め…お水かけないで…きゃ!」
「これぞ本場の『ぶっかけ』です」
「きゃーーーーーーー!?」
ティータも珍しくはしゃいでるな。イイ事だ。
さて、あの2人は……
「今のはワシの方が早かったのじゃ!」
「いいや私だ! リーチの差で間違いなく私だ!!」
「小癪な雌トカゲめ…! 素直に負けを認めぬか!!」
「貴様ァ…! 自らを棚に上げ私を貶めるつもりか!?」
「お主が負けたのじゃから当然のことじゃろうが!!」
「だから私の勝ちだと言っているだろう!? この腐れビッチが!!」
「なんじゃと!?」
「やるのか!?」
バチバチと火花を散らす2人。(水泳の競争をしているらしい)
結局喧嘩してるじゃんか…。
てゆうか、仲悪いのにどうしていつも一緒にいるんだろ?
不思議で仕方ない。
「まったく…俺がジャッジしてやるかな」
眠っているメイに日除けのサングラスをかけてやり、俺は喧騒を繰り広げる2人の仲裁に向かった。
「ふぅ…」
午後。
昼食を軽く済ませ、娘5人は再び水遊びを再開する。
パラソルの下には俺1人。
メイはサハギンの本能からか、物凄いスピードで海中を泳ぎ回っている。
家の近くに湖とかあればなぁ…としみじみ思ってしまう。
「ん〜…」
しかし…なんだろう。
「それ〜♪」
「トスです」
「いったぞ雌トカゲ!」
「死ねロリビッチ!」
「ぎゃっ!?」
バシャーーーーーーーン!!
キャンディボールで玉遊びをする娘達。
死ねってゆう単語が気になるけど、それを除けば普通に楽しそうだ。
「エルザ〜! もっと優しくやらないと〜!」
フィロ。
普段は露出の高くない控えめな服を着てるから判りづらいけど、その実…胸はそれなりに大きい。
水着はフリフリの付いた赤いワイヤーホルダービキニ。
頑張って大人っぽさを出した感じが出ていてとてもあどけない。
まだ成長期だって言ってたから…その…将来が楽しみだ。(保護者としての意見)
「しかし今のスマッシュは見事でした。 世界に通用するかと」
ティータ。
スカイブルーのワンピース型水着を着用。
凹凸のない残念な容姿を隠すことなく。
そして無理をすることなく。
強いて言えばありのままの自分を見せ付けている。
自分に絶対の自信を持つティータらしい『子供向け』ファッションだ。
「お、お主! 本気でワシを狙ったじゃろ!?」
アイリ。
ティータとは対照的に、残念な容姿を限界まで引き立てようと工夫した純白三角ビキニ。
最大の特徴である胸がないから、その…なんとも言えないが。
好きな奴が見たら本気になりそうな格好ではある。
まぁ、普通に可愛いけど…。
「殺す勢いで打ったのだが…加減し過ぎたようだ」
そして…エルザ。
彼女には一言こう言いたい。
『紐って水着になるんだな?』と。
ボン・キュ・ボンの3拍子を兼ね備え、さらに程よく筋肉の付いた強烈なボディ。
胸の大きさはアイリとティータが100人いても辿り着けない。
そんな体に、わすがな幅の黒い紐がギリギリ秘部を隠している。
少し動けばズレてしまいそうなのに問答無用で走り回っている。
冗談ではなく直視できない。
……勃ってしまいそうだから。
ザパーーーン…
「………」
「ん、どしたメイ? 休憩か?」
「………(コクリ)」
「そっか。 膝貸してやるから、ちょっと横になれよ」
「………(コクリ)」
メイ。
言わずもがな、いつものスクール水着。
だけどそれに水気が加わると一気に破壊力が増す。
メイも成長期のため体の変化が著しく、ここ最近胸が…少しばかり大きくなってきている気がする。
胸元が苦しいと言って水着を何度か新調したのもきっとそのせいだろう。
「………(zzz)」
「………;」
ゴクリと生唾を飲み込む。
………。
あれ? 俺ってもしかして…凄い幸せな状況にいるんじゃ……?
「………」
うん、気のせいだな。
どんなに幸せでも、それもあと3日まで。
これが終わればまたいつもの日常に戻る。
はぁ…ちょっと切ない。
キャーキャー!
いや〜〜〜〜ん!
死ねーーーーーーーーーーー!
………。
でも…楽しそうな皆を見れただけで、やっぱり俺は幸せかな。
少し飛んで3日目の夜。
「いや〜よう遊んだのじゃ〜!」
「ホントだね〜♪」
「私は少し疲れたぞ…」
「ティータもです…明日はペースを落とそうかと」
「………(zzz)」
ぶっ続けで2日間遊び続けると皆の顔にはさすがに疲れが見え始めてきた。
俺は待機時間が長かったからそこまで疲れてはいないけど。
「ティータの言う通りあと2日あるんだし、個人で上手く調整すればイイんじゃないか?」
「そうだな」
「アタシはまだいけるよ〜?」
「ワシもじゃ!」
「馬鹿元気な奴らめ…」
「ティータものんびりしたいです。 これ以上のレイプはさすがに堪えます」
「だからレイプとか言うなよ…」
夕食は俺特製の具沢山シチュー。
暑くて食欲がないときでも大丈夫なように工夫した。
「ふむ…このシチューはなかなかじゃのう」
「そうか? 良かった良かった」
「フレンってお料理上手だよね〜♪」
「1人の時間が長かったしなぁ。 嫌でもできるようになるさ」
「それでも賞賛に値すると私は思うぞ? これでも食にはうるさいからな」
「肉食のエルザにそう言われると自信がつくよ。 ありがと」
褒められるって…悪くないな。
「………(zzz)」
「あ〜エルザ? メイ起こしてくれ」
「まったく…」
食事風景はいつもと変わらなかったけどね。
4日目。
今日も快晴。
ティータとエルザはパラソルの下で読書や日光浴を楽しんでいる。
「ビーチバレーじゃと?」
「あぁ。 ちょうど4人だし、2チームに分けてやらないか?」
「さんせ〜!!」
「………(コクリ)」
「まぁワシのチームが勝つに決まっておるがな!」
「言ったなアイリ? じゃぁ俺とお前は別チーム決定な」
「望むところじゃ!!」
「あと負けた方が相手の言うことを何でも聞くってのはどう?」
「ふむ! それは名案じゃ!」
「アタシ達抜きで話が進んでくよ〜メイちゃん…」
「………」
チーム分けの結果。
俺 V アイリ
メイ S フィロ
メイの陸上能力は未知。
果たして吉と出るか凶と出るか…。
「イイ勝負ができそうだ」
「わっはっは〜! こちらにはスカイハンターフィロがおる! 負ける気がせんわい!」
「ア、アイちゃん…あんまり期待しないでね?」
確かにフィロのアタックは脅威的だ。
連打されたら勝ち目はない。
「メイ、頼んだぞ!」
「………(コクリ)」
ルールの変更は特になし、普通のビーチバレーだ。
11ポイントを1セットとして、さきに2セットを先取した方が勝ち。
「じゃ…始めよう!」
こうして試合開始。
はてさて…どうなるかな?
「はぁ…はぁ…」
「………(汗)」
呆気なく1セットを先取されてしまった。
「ん〜? まったく手ごたえがないの〜?」
「ぐ…アタックの打てないメイばっかり狙うなんて…!」
「ご、ごめんねフレン…」
「フィロ、謝る必要などない! 戦略と言ってほしいものじゃ!」
「き、きたねぇ…」
アイリとフィロは非常にチームバランスが良く、どちらがセーブどちらがアタックに回ってもそつなく対応できる。
特にフィロのスカイアタックは強烈で、真上から急降下してくるボールに対処しきれない。
「………(ムス〜)」
かたや俺チームは穴が多い。
メイのセーブ力は4人の中でもトップクラスだが、ジャンプ力が皆無なためアタックが打てない。
そしてアイリ達はメイばかりにボールを打つため、トス回数の制限上、結果的にメイがアタックを打つことになってしまう。
非常に卑劣だが…作戦と言われればそれまでだ。
「どうするのじゃ? 降参かのう?」
「冗談! メイ、まだいけるな?」
「………(コクコク!)」
「ふん! ならばコテンパンに痛めつけてやるのじゃ!!」
相手がそうくるなら、こっちも何か作戦を…。
作戦、作戦………て、あれしかないか。
「ぜぇ…ぜぇ…」←俺
「………(汗汗)」
「ふぅ…ふぅ…」←アイリ
「へろへろ〜…」←フィロ
現在の戦況。
両チーム1セット奪取、ポイント10−9で俺チームがリード。
あと1ポイントで勝利できる。
「お、お主も十分汚いではないか!?」
「条件はこっちも同じなんだ…! 文句言うな!」
俺たちはとにかくラリーを続けることに専念した。
狙いは相手の、特にフィロのスタミナ切れ。
アイリチームはフィロによる得点が大多数を占めているので、彼女さえ潰してしまえば勝機はあると判断した。
ただしそれはこちらも同じ。
メイの持久力に賭けてはみたが……あいつは予想以上にタフだった。
サハギンが意外にも高性能であると判明した瞬間でもある。
「へろへろ〜ん…@」
「おいフィロ! しっかりせぬか!!」
「いまだメイ! フィロを狙え!」
「………(コクリ!)」
「なっ!?」
メイの不規則変化サーブがフィロを襲う。
がしかし、
「ならば…そのまま返してやるのじゃーーー!!!」
「お、お前…それ汚いぞ!?」
「サーブを1撃で返してはダメというルールはないはずじゃ!」
「くっ…メイ! これさえ拾えば勝ちだ! 絶対に返すぞ!!」
「………(コクリ!)」
「くらうのじゃーーーーーーーーー!!!」
バシーーーーーーーーーーーン!!!!!
その夜。
「エ、エルザ…機嫌直してくれよ…な?」
「ふんっ!」
「……はぁ」
あの後どうなったかというと………
「くらうのじゃーーーーーーーーー!!!」
バシーーーーーーーーーーーン!!!!!
強烈なアタックボールの行く先は俺でもメイでもなく…パラソルの下のエルザだった。
ドガッ!!
「がっ!?」
これまた不運にも顔面へのクリーンヒット。
「お、おいアイリ!?」
「わ、わざとではない! 力を入れすぎて手元が狂ったのじゃ!!」
「………(汗汗汗)」
「へろへろへろ〜〜〜@」
ビーチチェアから落ちたエルザがゆっくりと起き上がる。
「………」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
ゴゴゴって…;
「貴様らァァァァァァァァァァァァァ!!!」
「「「ひっ!?」」」「へろろ〜ん@」
エルザの目が赤く光る。
「ちょ…ちょっと待てエルザ! やったのはアイリだ!俺とメイは関係ない!!」
「なっ…お、お主!? ワシに全てを擦り付けるつもりか!?」
「打ったのはお前だろ!?」
「ビ、ビーチバレーをやろうと言ったのはお主ではないか!!」
「そ、それは言い掛かりだ!」
「………(汗汗汗汗汗)」
エルザがゆっくりとこちらに歩み寄ってくる。
「ビッチ…殺す…殺す殺す殺す殺す殺す!!!」
「ぎゃーーーーーーーーーーー!?」
「逃がすかァァァァァァァァァァァ!!!」
結局、俺が命がけでエルザを止めに入ることになった。
1度強烈なタックルを受けて100m近く飛ばされはしたけど…。
「す、すまぬと申しておるじゃろ…」
「なぁエルザ、アイリもこう言ってるんだし…」
「………」
「エルザ…」
「……ふぅ。 本当に反省しているのか?」
「じゃからこうして土下座までしておるじゃろう!?」
「…わかった。 今回の件は水に流そう。 ビッチの土下座姿も見れたことだしな」
「ぐぬ…」
「はぁ…ありがと、エルザ」
「私は大人だからな。 宇宙のように寛大な心でビッチを許してやっただけだ」
良かった。
今回はかなりキレてたからどうなることかと思ったけど。
「ところでフレン。 さっきお前を弾き飛ばした気がするのだが、大丈夫だったのか?」
「奇跡的に無傷だったよ。 自分でも驚いてる」
「ティータ達と過ごしている間に随分と頑丈になっていますよね」
「最初の方は怪我ばっかりだったからなぁ」
「ワシらのおかげじゃな!」
「嬉しくはないけどな…」
メイとフィロは疲れたのか、夕食を食べずに眠ってしまった。
明日で最後だし、夜更かしするよりはマシかな。
「帰る時間もあるし、明日は正午前にはここを出よう」
「そうじゃな」
「あぁ」
「妥当な時間かと」
「ふぁ〜…じゃぁ俺はもう寝るよ」
「そうですか。 では、ティータ達は怖い話で盛り上がることにします」
「「えっ;」」
エルザとアイリの『えっ』という言葉が気になるけど、今は眠いからスルー。
「それじゃ…おやすみ〜」
「あ、あぁ…おやすみ」
「おやすみ、なのじゃ…」
「おやすみなさい。 良い夢を」
その後。
エルザとアイリが時間差でトイレの同行を懇願しに来たことを、俺は一生忘れない。
5日目の正午過ぎ。
皆で帰路につく。
「………(zzz)」
「あっという間だったなぁ」
「だね〜」
「もう少し多く食材を持ってるくべきじゃったな…」
「だが、良い休日だった」
「ティータは来年も来たいです」
「また地獄ロードを歩くハメになるぞ?」
「そこはご心配なく。 ティータの発明で改善してみせます」
「期待しておるぞ?」
「そういうことなら私も手伝おう」
「ありがとうございます」
「発明はイイけど、無理して爆発させるなよ…?」
楽しかった。
ほんとに楽しかった。
来年も…また皆で来られたらイイなぁ―――――
〜おまけ〜
「私の紐水着はどうだった?」
「ワシの三角水着はどうじゃった?」
「ティータの水着はどうでした?」
「はいはい…目の抱擁になったよ」
「誰が1番良かった?/のじゃ?/ですか?」
「ん〜…フィロ?」
「2番目は誰だ!?/なのじゃ!?/ですか?」
「ん〜…メイ?」
「「orz」」「ティータの予想通りです」
皆似合ってたけどね。
「はぁ…はぁ…」←エルザ
「ふぅ…ふぅ…」←アイリ
後編の始めがこんなセリフで申し訳ない。
「おい…アイリ…ゼェ…別荘…ゼェ…まだか…?」
「も、もうすぐじゃ…ふぅ…あと…30分…ほどかのう…」
「30分…だと…!? はぁ…かれこれ…1時間は…歩いて…いるぞ…はぁ…」
炎天下の下、俺達一行は別荘を目指してひたすらに歩いている。
ビーチ付近までは馬車で来られたけど、そこからさらに歩くとアイリに宣告された。
やっぱり貸し切りなだけに、そう簡単にはたどり着けないか…。
「まったく…なぜ私が…ティータを…運ばなければ…ならんのだ…!」
「ゼェ…エルザ…我慢…してくれ…ゼェ…こっちは…フィロと…メイも…ゼェ…担いで…ゼェ…んだから…」
「ワシに…3人分の…荷を持たすとは…ふぅ…ふぅ…」
「人より…まだマシ…だろ…? ゼェ…ゼェ…」
歩き始めて30分のあたりでメイ、フィロ、ティータが暑さに負けてダウン。
俺は倒れたフィロとメイを、エルザは2人分の荷物とティータを、アイリには3人分の荷物を分配させた。
「ワシも…倒れ…そうなの…じゃが…」
「勘弁…してくれ…案内役…お前しか…いない…」
「倒れても…いいぞ…? そのまま…置き去りに…してやるぞ…?」
「ぐ…! ふぅ…ふぅ…誰が…倒れる…ものか…!」
楽園前の地獄って、まさにコレのことだな………
「ここが貸し切りビーチ付きの別荘じゃ! 皆の者!ワシに感謝するが良い!!」
「だから貴様に感謝する言われはない! 感謝すべきはここの持ち主だろう!?」
「その持ち主とワシがコンタクトをとったのじゃ! 手柄はワシにあるのじゃ!!」
「まぁまぁ2人とも、その辺にしときなって」
「そうだよ〜? せっかくこんないい所に来られたのに〜」
「ティータは早く遊びたいです」
「………(コクコク!)」
「む…そうだな」
「ここは一時休戦とするかのう…」
「一時と言わずにずっと休戦してくれると助かるんだけどなぁ」
ちなみに今は外泊2日目。
昨日は到着直後に皆グロッキー状態に陥ってしまった。
貴重な1日目を寝て過ごしてしまった俺達を、どうか笑わないでほしい。
「え〜と…まぁ知っての通り、昨日は恐ろしく大変だった」
「「「「「………」」」」」
思い出したくない記憶を無理に掘り起こしたかのような空気になる。
「だからその……昨日の分まで楽しもう!」
「なのじゃ!」「は〜い!」「はい」「あぁ」「………(コクリ!)」
なんかプロローグと違う気がするけど…まぁ大人の事情ってやつかな。
深くは考えないようにしよう。
今は……とにかく楽しみたい!
「あぁ〜イイ天気だ」
「まったくじゃ! やはり、夏は海と相場が決まっておる!」
「今日この日のために新調した水着だ。 フレン、私に見惚れても良いぞ?」
「ごめん、布の面積が少なすぎて直視できない…」
「いいな〜エルザだけ新しい水着で〜」
「大丈夫ですよ、フィロさん。 水着の特性は着る人に依存しますから」
「へ? どゆこと?」
「要は元が良ければ何でも似合うということです」
「そうかな〜? ねぇねぇフレン、アタシの水着どう?」
「あ〜、イイんじゃない? フィロらしさが出てるよ」
「ホント!? わ〜〜い!」
「まったく、これだからお子様は困るのじゃ」
「ア、アタシお子様じゃないよ〜!?」
「称賛と世辞の違いもわからん者を、お子様と呼ばず何と呼ぶ?」
「それを言うなら貴様も同じだアイリ。 なんだその格好は?」
「むむ、この水着の何がおかしいと言うのじゃ!?」
「フンッ、私には大人の真似をしてみたが見事に失敗した哀れな幼女にしか見えないのだが?」
「なっ!?」
「ちょ、ちょっとだめだよエルザ、そんなこと言っちゃ!」
「フィロ、お主…」
「思ってても口に出しちゃいけないこともあるって、この前フレンが言ってたよ〜?」
「!?」
「あぁ、そうだったな。 すまないロリビッチ、私が浅はかだった」
「ぬ、ぬぐぐぐぐ…!!」
「あ〜ストップストップ!」
また始まった…。
「遊びに来たんだから喧嘩は禁止! しかもさっき休戦するって言ったばっかりだろ?」
「む…そうだったな」
「むむむ…釈然とせんのう……」
「ほら、ティータはもう遊んでるぞ?」
砂のお城を制作している彼女を指さす。
その建造物の高さおよそ20m。
え、20m!?
思わず2度見してしまう。
この短時間で良く作れたなぁ。(時間にして3分。物理的に無理だが彼女なら…)
「むぅ…そうじゃのう」
「そうだよ〜遊ぼうよ〜」
「そうだな、喧嘩ならいつでもできる」
「いや、その発言は問題だろ?」
ってなわけで皆をパラソルの下から追い払うことに成功。
「あ、メイは行かないのか?」
「………(コクリ)」
「せっかくなんだから、お前も行ってこいって。 ずっと俺に付き添ってちゃ退屈だろ?」
「………(フルフル)」
「ん〜まぁ、お前がそう言うなら…」
「………(zzz)」
「なるほど、寝足りないわけね…」
あれ? プロローグだとメイは『ニコ』ってしてくれたはず。
しかも所々改変されてるし…。
作者は一体何やってるんだよ!?
「まぁでも…あぁ〜幸せだ」
日常の疲れなんて一瞬で吹き飛んでしまいそうだ。
一応食料の関係で滞在は5日間だけど、できれば休みの間はずっとここに居続けたいかも。
「ぷか〜〜〜♪」
「えい」
「ぷか〜…え? きゃーーーーー!?」
バシャーーーン!!
「ぷはーー! も〜〜浮き輪ひっくり返すなんて…ティーちゃんひどいよ〜!?」
「ほんの出来心です……えい」
「きゃっ!?」
「えい えい えい」
「ちょ…ティーちゃん止め…お水かけないで…きゃ!」
「これぞ本場の『ぶっかけ』です」
「きゃーーーーーーー!?」
ティータも珍しくはしゃいでるな。イイ事だ。
さて、あの2人は……
「今のはワシの方が早かったのじゃ!」
「いいや私だ! リーチの差で間違いなく私だ!!」
「小癪な雌トカゲめ…! 素直に負けを認めぬか!!」
「貴様ァ…! 自らを棚に上げ私を貶めるつもりか!?」
「お主が負けたのじゃから当然のことじゃろうが!!」
「だから私の勝ちだと言っているだろう!? この腐れビッチが!!」
「なんじゃと!?」
「やるのか!?」
バチバチと火花を散らす2人。(水泳の競争をしているらしい)
結局喧嘩してるじゃんか…。
てゆうか、仲悪いのにどうしていつも一緒にいるんだろ?
不思議で仕方ない。
「まったく…俺がジャッジしてやるかな」
眠っているメイに日除けのサングラスをかけてやり、俺は喧騒を繰り広げる2人の仲裁に向かった。
「ふぅ…」
午後。
昼食を軽く済ませ、娘5人は再び水遊びを再開する。
パラソルの下には俺1人。
メイはサハギンの本能からか、物凄いスピードで海中を泳ぎ回っている。
家の近くに湖とかあればなぁ…としみじみ思ってしまう。
「ん〜…」
しかし…なんだろう。
「それ〜♪」
「トスです」
「いったぞ雌トカゲ!」
「死ねロリビッチ!」
「ぎゃっ!?」
バシャーーーーーーーン!!
キャンディボールで玉遊びをする娘達。
死ねってゆう単語が気になるけど、それを除けば普通に楽しそうだ。
「エルザ〜! もっと優しくやらないと〜!」
フィロ。
普段は露出の高くない控えめな服を着てるから判りづらいけど、その実…胸はそれなりに大きい。
水着はフリフリの付いた赤いワイヤーホルダービキニ。
頑張って大人っぽさを出した感じが出ていてとてもあどけない。
まだ成長期だって言ってたから…その…将来が楽しみだ。(保護者としての意見)
「しかし今のスマッシュは見事でした。 世界に通用するかと」
ティータ。
スカイブルーのワンピース型水着を着用。
凹凸のない残念な容姿を隠すことなく。
そして無理をすることなく。
強いて言えばありのままの自分を見せ付けている。
自分に絶対の自信を持つティータらしい『子供向け』ファッションだ。
「お、お主! 本気でワシを狙ったじゃろ!?」
アイリ。
ティータとは対照的に、残念な容姿を限界まで引き立てようと工夫した純白三角ビキニ。
最大の特徴である胸がないから、その…なんとも言えないが。
好きな奴が見たら本気になりそうな格好ではある。
まぁ、普通に可愛いけど…。
「殺す勢いで打ったのだが…加減し過ぎたようだ」
そして…エルザ。
彼女には一言こう言いたい。
『紐って水着になるんだな?』と。
ボン・キュ・ボンの3拍子を兼ね備え、さらに程よく筋肉の付いた強烈なボディ。
胸の大きさはアイリとティータが100人いても辿り着けない。
そんな体に、わすがな幅の黒い紐がギリギリ秘部を隠している。
少し動けばズレてしまいそうなのに問答無用で走り回っている。
冗談ではなく直視できない。
……勃ってしまいそうだから。
ザパーーーン…
「………」
「ん、どしたメイ? 休憩か?」
「………(コクリ)」
「そっか。 膝貸してやるから、ちょっと横になれよ」
「………(コクリ)」
メイ。
言わずもがな、いつものスクール水着。
だけどそれに水気が加わると一気に破壊力が増す。
メイも成長期のため体の変化が著しく、ここ最近胸が…少しばかり大きくなってきている気がする。
胸元が苦しいと言って水着を何度か新調したのもきっとそのせいだろう。
「………(zzz)」
「………;」
ゴクリと生唾を飲み込む。
………。
あれ? 俺ってもしかして…凄い幸せな状況にいるんじゃ……?
「………」
うん、気のせいだな。
どんなに幸せでも、それもあと3日まで。
これが終わればまたいつもの日常に戻る。
はぁ…ちょっと切ない。
キャーキャー!
いや〜〜〜〜ん!
死ねーーーーーーーーーーー!
………。
でも…楽しそうな皆を見れただけで、やっぱり俺は幸せかな。
少し飛んで3日目の夜。
「いや〜よう遊んだのじゃ〜!」
「ホントだね〜♪」
「私は少し疲れたぞ…」
「ティータもです…明日はペースを落とそうかと」
「………(zzz)」
ぶっ続けで2日間遊び続けると皆の顔にはさすがに疲れが見え始めてきた。
俺は待機時間が長かったからそこまで疲れてはいないけど。
「ティータの言う通りあと2日あるんだし、個人で上手く調整すればイイんじゃないか?」
「そうだな」
「アタシはまだいけるよ〜?」
「ワシもじゃ!」
「馬鹿元気な奴らめ…」
「ティータものんびりしたいです。 これ以上のレイプはさすがに堪えます」
「だからレイプとか言うなよ…」
夕食は俺特製の具沢山シチュー。
暑くて食欲がないときでも大丈夫なように工夫した。
「ふむ…このシチューはなかなかじゃのう」
「そうか? 良かった良かった」
「フレンってお料理上手だよね〜♪」
「1人の時間が長かったしなぁ。 嫌でもできるようになるさ」
「それでも賞賛に値すると私は思うぞ? これでも食にはうるさいからな」
「肉食のエルザにそう言われると自信がつくよ。 ありがと」
褒められるって…悪くないな。
「………(zzz)」
「あ〜エルザ? メイ起こしてくれ」
「まったく…」
食事風景はいつもと変わらなかったけどね。
4日目。
今日も快晴。
ティータとエルザはパラソルの下で読書や日光浴を楽しんでいる。
「ビーチバレーじゃと?」
「あぁ。 ちょうど4人だし、2チームに分けてやらないか?」
「さんせ〜!!」
「………(コクリ)」
「まぁワシのチームが勝つに決まっておるがな!」
「言ったなアイリ? じゃぁ俺とお前は別チーム決定な」
「望むところじゃ!!」
「あと負けた方が相手の言うことを何でも聞くってのはどう?」
「ふむ! それは名案じゃ!」
「アタシ達抜きで話が進んでくよ〜メイちゃん…」
「………」
チーム分けの結果。
俺 V アイリ
メイ S フィロ
メイの陸上能力は未知。
果たして吉と出るか凶と出るか…。
「イイ勝負ができそうだ」
「わっはっは〜! こちらにはスカイハンターフィロがおる! 負ける気がせんわい!」
「ア、アイちゃん…あんまり期待しないでね?」
確かにフィロのアタックは脅威的だ。
連打されたら勝ち目はない。
「メイ、頼んだぞ!」
「………(コクリ)」
ルールの変更は特になし、普通のビーチバレーだ。
11ポイントを1セットとして、さきに2セットを先取した方が勝ち。
「じゃ…始めよう!」
こうして試合開始。
はてさて…どうなるかな?
「はぁ…はぁ…」
「………(汗)」
呆気なく1セットを先取されてしまった。
「ん〜? まったく手ごたえがないの〜?」
「ぐ…アタックの打てないメイばっかり狙うなんて…!」
「ご、ごめんねフレン…」
「フィロ、謝る必要などない! 戦略と言ってほしいものじゃ!」
「き、きたねぇ…」
アイリとフィロは非常にチームバランスが良く、どちらがセーブどちらがアタックに回ってもそつなく対応できる。
特にフィロのスカイアタックは強烈で、真上から急降下してくるボールに対処しきれない。
「………(ムス〜)」
かたや俺チームは穴が多い。
メイのセーブ力は4人の中でもトップクラスだが、ジャンプ力が皆無なためアタックが打てない。
そしてアイリ達はメイばかりにボールを打つため、トス回数の制限上、結果的にメイがアタックを打つことになってしまう。
非常に卑劣だが…作戦と言われればそれまでだ。
「どうするのじゃ? 降参かのう?」
「冗談! メイ、まだいけるな?」
「………(コクコク!)」
「ふん! ならばコテンパンに痛めつけてやるのじゃ!!」
相手がそうくるなら、こっちも何か作戦を…。
作戦、作戦………て、あれしかないか。
「ぜぇ…ぜぇ…」←俺
「………(汗汗)」
「ふぅ…ふぅ…」←アイリ
「へろへろ〜…」←フィロ
現在の戦況。
両チーム1セット奪取、ポイント10−9で俺チームがリード。
あと1ポイントで勝利できる。
「お、お主も十分汚いではないか!?」
「条件はこっちも同じなんだ…! 文句言うな!」
俺たちはとにかくラリーを続けることに専念した。
狙いは相手の、特にフィロのスタミナ切れ。
アイリチームはフィロによる得点が大多数を占めているので、彼女さえ潰してしまえば勝機はあると判断した。
ただしそれはこちらも同じ。
メイの持久力に賭けてはみたが……あいつは予想以上にタフだった。
サハギンが意外にも高性能であると判明した瞬間でもある。
「へろへろ〜ん…@」
「おいフィロ! しっかりせぬか!!」
「いまだメイ! フィロを狙え!」
「………(コクリ!)」
「なっ!?」
メイの不規則変化サーブがフィロを襲う。
がしかし、
「ならば…そのまま返してやるのじゃーーー!!!」
「お、お前…それ汚いぞ!?」
「サーブを1撃で返してはダメというルールはないはずじゃ!」
「くっ…メイ! これさえ拾えば勝ちだ! 絶対に返すぞ!!」
「………(コクリ!)」
「くらうのじゃーーーーーーーーー!!!」
バシーーーーーーーーーーーン!!!!!
その夜。
「エ、エルザ…機嫌直してくれよ…な?」
「ふんっ!」
「……はぁ」
あの後どうなったかというと………
「くらうのじゃーーーーーーーーー!!!」
バシーーーーーーーーーーーン!!!!!
強烈なアタックボールの行く先は俺でもメイでもなく…パラソルの下のエルザだった。
ドガッ!!
「がっ!?」
これまた不運にも顔面へのクリーンヒット。
「お、おいアイリ!?」
「わ、わざとではない! 力を入れすぎて手元が狂ったのじゃ!!」
「………(汗汗汗)」
「へろへろへろ〜〜〜@」
ビーチチェアから落ちたエルザがゆっくりと起き上がる。
「………」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
ゴゴゴって…;
「貴様らァァァァァァァァァァァァァ!!!」
「「「ひっ!?」」」「へろろ〜ん@」
エルザの目が赤く光る。
「ちょ…ちょっと待てエルザ! やったのはアイリだ!俺とメイは関係ない!!」
「なっ…お、お主!? ワシに全てを擦り付けるつもりか!?」
「打ったのはお前だろ!?」
「ビ、ビーチバレーをやろうと言ったのはお主ではないか!!」
「そ、それは言い掛かりだ!」
「………(汗汗汗汗汗)」
エルザがゆっくりとこちらに歩み寄ってくる。
「ビッチ…殺す…殺す殺す殺す殺す殺す!!!」
「ぎゃーーーーーーーーーーー!?」
「逃がすかァァァァァァァァァァァ!!!」
結局、俺が命がけでエルザを止めに入ることになった。
1度強烈なタックルを受けて100m近く飛ばされはしたけど…。
「す、すまぬと申しておるじゃろ…」
「なぁエルザ、アイリもこう言ってるんだし…」
「………」
「エルザ…」
「……ふぅ。 本当に反省しているのか?」
「じゃからこうして土下座までしておるじゃろう!?」
「…わかった。 今回の件は水に流そう。 ビッチの土下座姿も見れたことだしな」
「ぐぬ…」
「はぁ…ありがと、エルザ」
「私は大人だからな。 宇宙のように寛大な心でビッチを許してやっただけだ」
良かった。
今回はかなりキレてたからどうなることかと思ったけど。
「ところでフレン。 さっきお前を弾き飛ばした気がするのだが、大丈夫だったのか?」
「奇跡的に無傷だったよ。 自分でも驚いてる」
「ティータ達と過ごしている間に随分と頑丈になっていますよね」
「最初の方は怪我ばっかりだったからなぁ」
「ワシらのおかげじゃな!」
「嬉しくはないけどな…」
メイとフィロは疲れたのか、夕食を食べずに眠ってしまった。
明日で最後だし、夜更かしするよりはマシかな。
「帰る時間もあるし、明日は正午前にはここを出よう」
「そうじゃな」
「あぁ」
「妥当な時間かと」
「ふぁ〜…じゃぁ俺はもう寝るよ」
「そうですか。 では、ティータ達は怖い話で盛り上がることにします」
「「えっ;」」
エルザとアイリの『えっ』という言葉が気になるけど、今は眠いからスルー。
「それじゃ…おやすみ〜」
「あ、あぁ…おやすみ」
「おやすみ、なのじゃ…」
「おやすみなさい。 良い夢を」
その後。
エルザとアイリが時間差でトイレの同行を懇願しに来たことを、俺は一生忘れない。
5日目の正午過ぎ。
皆で帰路につく。
「………(zzz)」
「あっという間だったなぁ」
「だね〜」
「もう少し多く食材を持ってるくべきじゃったな…」
「だが、良い休日だった」
「ティータは来年も来たいです」
「また地獄ロードを歩くハメになるぞ?」
「そこはご心配なく。 ティータの発明で改善してみせます」
「期待しておるぞ?」
「そういうことなら私も手伝おう」
「ありがとうございます」
「発明はイイけど、無理して爆発させるなよ…?」
楽しかった。
ほんとに楽しかった。
来年も…また皆で来られたらイイなぁ―――――
〜おまけ〜
「私の紐水着はどうだった?」
「ワシの三角水着はどうじゃった?」
「ティータの水着はどうでした?」
「はいはい…目の抱擁になったよ」
「誰が1番良かった?/のじゃ?/ですか?」
「ん〜…フィロ?」
「2番目は誰だ!?/なのじゃ!?/ですか?」
「ん〜…メイ?」
「「orz」」「ティータの予想通りです」
皆似合ってたけどね。
10/11/28 12:25更新 / HERO
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