連載小説
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7章 『普通な奴ら』
「はぁ……」
「む、なんじゃ溜息などつきおって」
「幸せが逃げちゃうよ〜?」
「あぁいや…なんか嫌な夢見ちゃって……」
「ほう? 興味があるな。 話してみろ」
「い、いや…ホント嫌な夢だったんだ…それこそ皆に話せないくらいに……」
「なおさら気になります。 ティータ達は大丈夫ですので、どうぞ気楽にお話ください」
「ん〜…じゃぁ、話すぞ?」
「………(ワクワク♪)」

飾らず正直に話した方がイイな、これは…。

「その…レイプされた……」
「ビッチがか?」
「何故そこでワシが出てくるのじゃ!?」
「それはぁ…悲しい夢だね〜」
「いや、アイリじゃない」
「では誰がレイプされたのですか?」
「………(ワクワク♪)」

………。

「俺が…『ふたなり』のお前らに……」
「「「「「………」」」」」

暑さ残る夏の終わり。
今年1番の沈黙が流れた。












「おっす! フレン久しぶり!」
「あぁ。 お前は相変わらずだな」
「おうよ! 楽しい楽しいソロ・オブ・ザ・サマーを満喫したぜい!!」
「寂しすぎるぞお前…」

長期休暇明けの大学にて。
初日は後期に向けてのガイダンスと履修登録確認だけなので非常に楽だ。

「おいザック。 お前この夏、彼女つくって盛り上がるとか言ってなかったか?」
「い、言ってねえよ! お、俺様がいつそんな話した!?」
「言ってないなら口ごもるなよ…」

久しく再開した悪友と盛り上がる。
こういったやりとりが妙に懐かしい。

「そ〜こ〜の〜童貞コンビ♪ 何してんの?」
「てめぇこら! 童貞とか言うんじゃねえ!!」
「シオ、久しぶり」
「やノ 今年の夏はどうだった?」
「俺はまぁ、充実してたかな」
「あ、そなんだ? もしかして…彼女でもできた?」
「なに!? おいフレン!! お前に彼女なんて聞いてねえぞ!?」
「彼女なんていないよ。 ただ身内と海に行ったくらいかな」
「な、なんだよ脅かすなよー!?」
「誰も彼女できたなんて言ってないだろ…」
「…そか…まだいなんだ…良かった……」
「ん、どしたシオ?」
「あ、ん〜ん! なんでもないよ!」
「?」

ザックとシオは俺と同期。
取っている科目がほとんど同じなので、だいたいいつも一緒にいる。

「ま、そんなうちも暇だったんだけどね〜」
「なんだよ結局お前も1人じゃねーか!」
「なによ!? アンタと一緒にしないでよね!」
「おいこらどういう意味だ!?」
「童貞ザックにとやかく言われる筋合いはないって言ってんのよ! べ〜〜だ!!」
「て、てめぇ…!」

なんか似たような光景をいつも見ている気がする。

「2人とも止めなって…」
「フレン! お前も何とか言ってやれよ!!」
「ん〜…シオ、ちょっと言い過ぎじゃないか? ザックはこう見えて繊細なんだから」
「こいつが繊細かどうかは知らないけど、フレンがそう言うなら自重してあげるわ」
「ちょ、こら!? なんで俺様のときと扱いがこんなに違うんだよ!?」
「もううっさいわねぇ! 童貞は黙っててよ!?」
「フレンも童貞だろうが!?」
「フレンの童貞とアンタの童貞を一緒にしないでよね!!」
「なにが!? 俺様とフレンのなにがこんなに違うんだ!?」
「はぁ…もっと少し静かに喧嘩してくれ……」

喧嘩ばっかりだけどシオとザックは仲がイイ。
お互いがお互いを好いているのかもしれない。

「ん? シオ、髪型変えた?」
「え、うそ? わかる?」
「うん、なんとなくだけど…軽くなった感じ?」
「き、気づいてくれるとは…思わなかった……」
「ずっと一緒にいるんだし、そりゃ気づくって」
「そっか…でも凄く嬉しい…かも……///」
「はぁ〜? 髪型変えたって気づかれなきゃお終いじゃね〜か〜?」
「ア、アンタねぇ…!」
「やっぱり2人とも似てるなぁ」
「え? 誰と?」
「あぁいや、こっちの話…」

イイ友達を持った。
素直にそう思う。












「そういえばフレン。 休暇の前に変な噂流れなかった?」
「ん、噂?」
「あぁあれか。 フレンが女の子達と同棲してるってやつだろ?」
「そうそうそれ! それで実際はどうなの?」
「えっと…まぁ、間違ってはいないかな」
「「えっ!?」」
「同棲じゃなくて、親戚の女の子を何人か預かってるってだけの話だよ」
「な、な〜んだ…そうだったの」
「つーか、それでも十分羨ましいけどな…」
「みんな好き放題やってるから大変だよ」
「でもフレンってご両親いないし、それに1人っ子でしょ? 寂しくなくていいんじゃない?」
「うん、それはいえてる。 手のかかる妹ができたみたいだよ」
「チクショ〜羨ましい〜〜!!」
「アンタにも姉妹いるでしょ?」
「超怖い姉貴と超生意気な妹がな!!」
「いるだけマシでしょ? はぁ…うちもフレンみたいに可愛い妹か弟が欲しいなぁ〜」
「絶対にダメ姉になるな」
「…なんか言った?」
「いえなにも!」

帰り道で盛り上がる俺達。
そろそろ分岐点だ。

「んじゃ俺様はこっちだからよ。 ご両人とも、後はよろしくやれよ?」
「何をよろしくやれって言うのよ?」

ザックは俺の耳元で、

「フレン…日頃の鬱憤をシオで発散してやれ」
「え?」
「だからよ…お前の立派なイチモツでシオをアヘらせてやれって言ってんだよ!」
「ぇえ!?」
「大丈夫大丈夫! できちまったら責任取りゃいいだけの話…」
「聞こえてるわよバカ!!」

バシン!!

「いってー!?」
「何がアヘらせろよ!? バ、バッカじゃないの!?」
「照れんな照れんな! フレンに処女破ってもらえんだ、満更でもないんだろ?」
「なっ…そ、そんなわけないでしょ!? だ、誰がフレンなんかに…」
「………」
「フレン…気を落とすな。 女なんて世界中にいくらでもいるさ」
「うん…ありがとうザック……」
「あ、フ、フレン? ち、違うの今のは…!」
「あーあーフレン! こんな性格の悪いやつは放っておいて、俺ら1人者は夜の街に繰り出すとしようぜ!!」
「ごめんザック。 帰って夕食作らないといけないから」
「えええええええ!?」
「シオ、早く帰ろう」
「え…あ、うん!」
「ザック! また学校で!!」

俺はシオの手を引いて分岐を右へ曲がる。

「フレンの裏切り者ーーー!! 普通ここは『そうだな!』とか気の利いたこと言うもんだろーーー!? チキショーーーーーーーーーーーーー!!!」

次に会ったら謝っておこう。












「はぁ…ほんと騒がしい奴だなぁ」
「………///」
「悪い奴じゃないんだけど、たまにあの元気に疲れるよ」
「そ、そうだね……///」
「……ん?」

ザックと別れてから、俺とシオは手を繋いだままだった。

「あ…ご、ごめん!」
「ん、ん〜ん…気にしないで……」

慌てて手を離す。
シオが少し残念そうな顔をしたことに俺は気づかない。

「あいつといると、なかなか喋らせてもらえないんだよなぁ」
「基本自己中だしね〜」
「でも、俺は嫌いじゃないよ。 ザックのこと」
「うちも嫌いじゃないけど、好きでもないかな」
「そうかなぁ? 喧嘩するほどなんとかって言うじゃんか」
「うちはアイツのこと男として見てないから!」
「ふ〜ん?」

大学の帰りはいつも3人一緒。
たまに時間の合わないときがあるけど。
ザックが途中で離脱して、残ったシオと俺の組み合わせが通例になっている。

「ねぇ…フレン?」
「ん、なに?」
「フレンはさ…ううん。 フレンにとって、うちはどんな存在なのかな?」
「シオの、存在?」
「うん……」

シオの唐突な質問。
シオの存在…?
俺はシオをどう思ってる?

「……親友、かな」
「……そっか。 そうだよね……」
「でも、シオが他な男と一緒にいるのは…ちょっと嫌かな」
「え…?」
「上手く言えないんだけど…やっぱりそんな感じ」
「………」

俺の中の正直な気持ち。
シオに嘘はつきたくない。

「あ…うち、用事思い出しちゃった! ごめん、先に帰るね!」
「え? あぁ、うん」

そう告げると、シオは凄い勢いで走り去っていった。

「ん〜…シオのやつ、どうしたんだ?」







「はぁ…はぁ……」

ビックリしちゃった…。

「あれって…まだうちにもチャンスがあるってことだよね?」

フレン鈍ちんだから、やっぱりちゃんと言わないとダメか。

「他の男となんて…ありえないよ……」

うちが好きなのは…フレン、アンタだけ―――――









〜おまけ〜

「ふたなりになってフレンさんを犯す…良く考えたら悪くないです」
「ティーちゃん……;」
「早速ペニスを生やす薬を開発しようと思います」
「ティーちゃん!?」




10/11/30 23:07更新 / HERO
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■作者メッセージ
………。
どうでしょうか?

ぜひぜひ感想をば。

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