読切小説
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あくまのとっても弱いとこ
「なあ、圭」
 友人は机の向かいで菓子パンを頬張りつつ、小鼻をひくつかせた。
「やっぱり、すげぇの?」
 その質問は唐突な上、主語が抜けていた。
「なにが?」
 僕が首を捻ると、彼は辺りを憚るように声を潜めて言った。
「お前の彼女、魔物娘だろ」
「ああ、そーゆー」
 下世話なヤツめ、と切って捨てたいところだが、僕とて彼と同じ思春期男児ということもあり、ついつい甘くなってしまう。
「なあ、どうなんだよ」
「どうって……別に」
 言いつつ、僕の恋人――真琴のほうへ目をやる。すでに昼食を食べ終えたらしく友人たちと机の上に腰掛けて談笑している(行儀悪いが、まあ女子なんてそんなもんだ)。彼女は他の女の子と比べるとかなり小柄で、こうして見ると小学生くらいに見える。凹凸のないスタイルと二つ結びの髪、制服の着こなしはいわゆるギャルっぽい感じで、性格のほうもそれらとよく似合うハキハキとしたものだ。しかし、それら以上に彼女を特徴づけているのは青い肌と、真っ暗な目に浮かぶ赤い瞳である。それから学校では隠しているそうだがお尻には尻尾、背中には翼を持っていて、二人きりのとき――もっぱらセックスをするときにだけ見せてくれる。
 あーあー、スカート短くしてんだから机の上であぐらなんかかいてるとパンツ見えるぞー。なんて思いながら見ていると、彼女はさすがに勘がいい。僕の視線に気づいてこちらへ振り返ってきた。そして、ふふんと笑ったかと思うと、制服のスカートの裾を持ち上げた。へえ、今日は水玉模様なんだな――って、そうじゃないだろう! と自分にツッコミを入れて目をそらす。
「ん? どしたん?」
 机向かいの友人は、僕の挙動不審に訝しげな目を向けた。
「あ、いや……なんでも」
 真琴たちのグループからワッと笑いが沸き立ち、友人はそれを一瞥して(そのときにはすでに真琴はスカートから手を離していて安心した)、先の質問を繰り返した。
「で、どうなんだ」
「いや……人に話すようなことじゃないだろう」
「別に事細かに話せって言ってるわけじゃない。すごいか、すごくないか。それだけ訊きたいんだよ」
 僕はうーん、と唸った。真琴とのセックスは、それはもうすごい。
 僕と真琴は小学生からの知り合いで、高校へ入学して同じクラスになると互いに意識し始めて――と、まあ馴れ初め(と言うのも大げさか)はよくあるものだ。付き合ってから初めてセックスをしたのは高校二年の夏休み。小学校から一緒だっただけあって家は近く、「遊びにおいでよ」と誘われて、二十分もかからず真琴の家の戸を叩いた。昼食をごちそうになって、少しばかり宿題をやって、段々と会話の弾まなくなってくるのが変な陶酔感を起こし始める。二人でベッドの縁に腰を下ろして、どちらからか先にキスをした。抱き合って、もつれ合ったままベッドに倒れ込むまではよかった。真琴はあっという間に服を脱いだかと思うと、あっという間に僕の服も脱がしてしまった。
 僕はもちろん、真琴も初めてだったのだが、魔物娘はセックスに天性の才能があるらしい。真琴はすぐに僕の弱いところを把握したらしく、僕は骨抜きにされてしまった。真琴は手指をペニスに絡め、柔らかい唇に呑み込んで、半ば強引に射精させられた。それから真琴は僕の上へ馬乗りになって休む間もなく腰を振った。胸元に突いた手は抜け目なく僕の乳首を弄び、自らの痴態を魅せつけるように身体を弓なりに逸らした。こちらが反撃する隙もない、まさしく骨の髄まで搾り取られるようなセックスだった。
 強烈な初体験だったことは確かだ。そして、正直に言って最高に気持ちの良いものだった。だが、自然と、真琴がリードする側、僕がリードされる側という構図ができてしまった。
 それに不満はない。僕は真琴が大好きだし、真琴も僕を翻弄するようなセックスが気に入っているようだったから、なにも問題はない。不満も問題もないのだが――ただひとつの引っ掛かりがあった。
 それは僕と真琴の体格差だった。真琴の身長は140センチに届かないくらいで、女子高校生の平均身長が157センチであることを考えればかなり小柄な部類だろう。並んで立つと、ちょうど胸元に真琴の頭がある。これだけの体格差がありながらセックスではまったく圧倒されて、僕のささやかなプライドがすすり泣いているのだった。まあ、このまま弄ばれるのも悪くないと思うのだが(デビルを恋人にした男独特の思考だろうか)、人様と恋人の話になったとき少しばかり恥ずかしいとも感じてしまう。
 さて、僕は改めて机の向かいの彼へと目を向けて、うまいこと話題を変えようと試みた。
「どうしたって、そんなにしつこく訊くんだよ?」
「いやぁ、うちのカミさんがね」彼は自分の恋人をカミさんと呼ぶのだった。
「サキュバスになりたいとかって言ってて」
「はあ」
「それで、まあ、魔物化するのは別に珍しくね〜し? で、俺も別に反対はしてないんだけど、そのあとが心配でな」
「ふーむ」
「そういや真琴ちゃんって人間から魔物化したクチだっけ?」
「あいつは昔っから魔物だよ」
「そっかそっか。じゃあ、お前に比較検討は無理ってもんか」
「あー、うん……真琴しか、女の子知らないし」
「妬けるねぇ」
 彼がにっと笑ったところで、昼休み終了のチャイムが鳴った。そして間延びした音に紛れるように、彼は僕に耳打ちした。
「これ、噂なんだけど」
「なんだよ?」
「デビルって……尻が弱いらしいぞ」
 ほう、とつい身を乗り出したのがいけなかった。
 彼は察して「どうやら、真琴ちゃんはすごいみたいだな」と言った。


「圭ちゃん、帰ろーっ♥」
 放課のチャイムが鳴ってすぐ、真琴は僕の腕に飛びついてきた。いつものことだった。一応、僕は恥ずかしがって見せるのだが、自分でもわかるくらい表情筋は緩んでいる。僕はとことん、真琴に弱いのだ。
「真琴、これから暇あるか?」
 靴を履き替え、校門を出たところで僕は口を開いた。
「これから? 帰って……あと、なにもないけど」
「僕の家に来ないか?」
「えっ、ホントに! いいの?」
 真琴はこの誘いに意外なくらい喜んだ。そういえば、真琴の家に遊びに行くことはたびたびあったが、僕の家に呼ぶことは小学生以来なかった。
「うん。……それに、今日は両親がいないんだ」
 都合のいいことに二人とも今日から旅行に出ている。真琴は少し頬を赤くして、しおらしい様子を見せた。
「じゃあ、あたし、一回家に帰って色々準備してくるね」
「ああ、その……待ってるから」
「ん、ありがとっ♥」
 真琴はチュッと軽いキスをすると、僕の腕から離れた。
 道で一旦別れてから僕はほとんど小走りで家へ帰り、まず両親がなにかの間違いで帰ってきていない、そして予定より早くに帰らないことを確認した。それから軽く部屋の掃除をしておいた。
 両親のいない家に恋人を呼ぶということは、まあそういうことだが、他にも楽しみなことはあった。真琴はああ見えて料理が上手で、僕が頼めば喜んで手料理を振る舞ってくれるだろう。それにやっぱり、家にひとりでいるのは寂しいものだ。
 ダイニングの椅子に落ち着かない気持ちを乗せ、真琴を待っていた。時計は五時を回ったところだった。待つ身と待たせる身と、どちらがつらいか――なんて、誰かが言っていたらしいが、真琴は待たせるつらさを感じているのだろうか。ついさっきまで腕を組んで道を歩いていたのに、もう会いたくて堪らなくなっていた。
 堪りかねて電話でもかけてみようかと椅子を立った――ちょうどそのときインターホンが鳴った。玄関へ向かってドアを開けると、待ち焦がれた真琴が居た。招き入れて、まずはきゅっと抱きしめた。真琴はちょっと困ったように笑ったが、決して嫌がっている風ではなかった。
「んふ……♥ 圭ちゃん、寂しかったの?」
「そうかも」
 真琴の髪に唇をつけたあと、僕は身体を離した。
「来てもらって早々で悪いんだけど、お願いがあるんだ」
「うん。台所借りるね?」
 どうやらお見通しだったようだ。真琴は部屋へ上がってパタパタと台所へ向かった。
「冷蔵庫にあるもの、使っていいんだよね?」
「ああ、大丈夫だよ」
 僕が答えると真琴は荷物を隅にやって、さっさと料理を始めた。僕は所在なく真琴の後ろ姿を覗いた。真琴の服装はラフなもので、黒い翼が邪魔にならない背中の大きく開いたキャミソールに、下はデニム生地のホットパンツを履いていて――これは穴でも空けたのか尻尾が飛び出していた。髪はいつもの二つ結びで、制服から私服に着替えるとより幼く見える。彼女の足元をよく見ると背伸びしていて、ますます幼く見えた。
「真琴、踏み台いるか?」
「要らないよー」
 包丁を下ろすリズムに合わせて、真琴の小さなお尻がぷりぷりと揺れた。僕が傍に立つと、真琴は手を止めて「なに?」と顔を上げた。ゆっくり、背中の方から抱き寄せると真琴は照れくさそうに身を捩った。
「もう、する?」
「いや……ごはんが先だ」
「じゃあ、離してくれる?」
 僕は渋々、彼女を離した。そして時間まで待ち切れない子どもがするように、進んで料理の手伝いをした。だが、普段は料理なんかしない僕にできることと言えば、食材を取ったり、軽口を叩いたり、その程度だった。おおかた料理が出来上がったあとは、食器を用意して、大人しく待っていることにした。間もなく、真琴が料理を運んできた。
 贔屓目なしに、夕食はとてもおいしかった。真琴はどんどん料理の腕を上げているようだった。素直に褒めると「褒め言葉はあとに取っておいてねっ♥」といたずらっぽく笑った。料理を平らげると、食器をテーブルから片づけて、二人で洗った。
 それから、お互いに身だしなみを整える時間をとった。シャワーで軽く身体を洗ったり、歯を磨いたり。真琴の提案で、セックスをする前にこういう時間を作ることが約束になっていた。いかにも「するぞ!」っていう感じで少し気恥ずかしかったのだが、セックスの前にワンクッション置くことで心の準備も兼ねていることに気がついて、うまいことを考えたものだと今では思う。ただ、待つ身は長い。ようやく真琴が部屋へ戻ってくると、思わず駆け寄ってしまったくらいだ。
「お・ま・た・せ♥」
「待ちくたびれた」
 真琴を抱き寄せつつ言うと、彼女は少し呆れたようだった。
「ほんの十分だよ?」
「でも、ここのところ、二人になれなかったから」
「それはたしかにねー♥ だからあたし、誘ってもらえてすっごく嬉しかった♥」
 真琴が背伸びして僕に口づけしたのをスタートに、ちゅっちゅっとつつくような軽いキスを重ね、次第に唇は離れがたくなり、お互いの舌でもって強く結びつける。しばらくの間ぐつぐつと泡立った唾液を混ぜ合い、息継ぎのために一旦唇を離した。
「あはぁ……♥」
 真琴の口の周りは唾液でベトベトだ、僕も同じようになっているだろう。舌で自分の唇をなぞるとぬるりと滑る――微かに甘い味がした。僕のほうはキスひとつでいっぱいいっぱいだが、真琴はさすがに魔物娘だけあって蕩けきっている風ではない。挑発するようにニヤニヤ笑いを浮かべている。
「一回出しちゃう?」
 そう言ってペロッと出された舌は青く、扇情的だ。僕は返事もせず、ベッドへ腰を下ろした。真琴はあとについてきて、僕の膝の上に座った。そして、ねだるように唇を尖らせたので、僕はもう一度、真琴と唇を重ねた。
「ん……♥」
 必死こいて舌を動かしながら、真琴の胸元に手を回し、キャミソールの上から指でなぞる。相変わらずのぺったんこだ、揉めば大きくなるなんてガセに違いない。真琴はいわゆる幼児体型だが(それに欲情している自分がなんとも変態チックに思えてしまう)、肉付きが良いぷにぷにとした身体で、いつまで触っていても飽きない。つま先からほっぺに至るまで、僕が口をつけなかった場所はないだろう。
 唇を離すと、真琴はまた挑発的に笑った。そしてキャミソールの肩紐を二の腕に下ろして、その平坦な胸を露出した。
「ね、ほら……直接、触って……♥」
 僕はまず手のひらで包むように、真琴の胸に触れた。形容のしようがない柔らかさに指を沈め、僕なりに焦らすような手つきで愛撫する。指を微かにすべらせると、比較的固くなった蕾――乳首に触れた。
「んっ♥ 圭ちゃぁん……♥」
 敏感なそこを摘んで、くりくりと刺激する。真琴は低く喘ぎこそすれ、まだ余裕たっぷりという感じで挑発的な笑みを絶やさない。セックスに関して、僕はいつも真琴に引けをとっていた。いつもだったらサービスみたいな愛撫のあと、真琴が好き勝手に責めて、僕はなすがままという展開なのだが、今日は秘策がある。友人が出自の噂でしかないが――デビルはお尻が弱いと!
 と、ぼやぼやしているうち、いつの間にかベッドへ横倒しにのしかかられ、真琴は鼻歌交じりに僕のズボンのベルトとチャックを開けてところだった。すでに硬直状態のペニスがピンとそそり立ち、真琴はそれに愛おしそうに頬ずりをした。
「ちょ、ちょっと待って、真琴……」
「んー? どうしたの、圭ちゃんらしくない、口でされるの好きでしょ♥」
「いや……その、されてばっかりじゃ、と思って……」
 僕が言うと、真琴はふーんと面白そうに言った。
「あたしのことも気持ちよくしてくれるんだ♥」
「そ、そう……だから、こう……」
 言い終わる前に、真琴は身体をくるりと反転させて、お尻を僕のほうへ向けた。いわゆるシックスナインの体勢だ。ホットパンツの食い込みを間近にするのは、なかなかいい眺めだ。鼻息荒く手を伸ばしかけた途端、真琴はぐっと腰を落としてきた。口と鼻を圧迫する形で、真琴の股間が押しつけられる。
「んぅっ……!」
「あははっ♥ ほらっ、早く気持よくしてよ♥」
「んー! んー!」
「いやんっ♥ 圭ちゃん、とっても気持ちいいなぁ♥」
 いけない、このままではいつもと同じに、真琴のペースになってしまう。そうなったら最後、彼女の尻を責める時機さえ逸してしまうだろう。僕はホットパンツ越しに押しつけられる股間と格闘しつつ、手探りで真琴の胸を責めた。それと同時に、真琴は僕のペニスにちゅっと口づけをしたらしい、鈴口に柔らかいものが触れる感触があった。ほとんど間を置かず、温かくぬめぬめとした中にペニスが包まれる。思わず、手が止まる。
「んぅふふー♥ ふぇいてゃんにょあてぅい♥」
 真琴が咥えたまま喋るので、声帯の震えがペニスの芯に直に伝わってくる。これでは反撃するどころではない、射精を堪えるので精一杯だ。
 真琴はねっとりとしたフェラチオを続けながらも、ぐりぐりと股間を押し付けてくる。僕の手は自分でも知らない間に真琴の胸元を離れ、真琴のぷりぷりとしたお尻に回っていた。そして、自らを苦しめるように、顔いっぱいに真琴の股間を浴びてしまう。
「んぅう……! んー!」
 次第に下腹の辺りがぞくぞくし始めた。射精が近いのだった。真琴はそれを敏感に察知して、焦らすように一旦ペニスを空に放った。真琴の唾液で濡れたせいだ、ペニスは部屋の空気に触れてひやりとした。
「んぅ、ぷはっ……♥ あはっ、もう出そうなんでしょ? わかるわかる♥ ねっ、いっぱい出して♥ あたしの口ン中孕ませるつもりでさぁ♥」
 そう言うと、真琴は射精直前のまま放置されたペニスを一気に呑み込んだ。真琴はちゅぱちゅぱと下品な音を立てながらペニスに吸い付き、そして僕はゲロを吐くみたいに射精した。びゅっ、びゅっ、と断続的な射精――その最中にも真琴は容赦なく舌で鈴口を責め立て、僕の意識を混濁させた。
「あー……あー……」
 ようやく射精が収まったあと、僕はバカみたいに喘いで、真琴の後始末を視界の下半分に眺めていた。真琴は口の中の精液を飲み干したあとも、貪欲に尿道の飲み残しを啜り上げた。僕のペニスはまた、節操もなくいきり立った。
「さっすが圭ちゃん♥ そうだよねぇ♥ あたしもそう、こんなんじゃまだまだ足りないよ♥」
「う……真琴、ちょっと待って、休憩……」
 僕は全力疾走したあとみたいな身体を無理やり起こして言った。
「だーめっ♥ ふふんっ♥ さては圭ちゃん、なにかよからぬことを考えてるな?」
 その言葉に一瞬どきりとするが、真琴は計画の核心まで気が回っていないらしい。精々、たまには僕が優位にセックスしたい――その程度の考えだった。
「気にしなくていいんだよ? 圭ちゃんは寝っ転がってるだけでも、ね……♥ それにあたしだって、気持ちいいんだよ? んふふ、圭ちゃんいじめるのだーいすきっ♥」
 だが、今日の僕は違った。真琴の押し倒してくるのに耐えて、彼女の身体を抱え上げる。真琴もなんだかんだと強情なたちではない、僕の強引さが物珍しいのか大人しく腕の中に収まってくれた。
「今日の圭ちゃん、強引だね♥ ううん、全然嫌じゃないの。すごく嬉しいよ♥ あたしのこと、いっぱい求めてくれてるんだもんね♥」
「そうだね……なんてったって、僕は真琴のことが大好きだから」
「面と向かって言われると、恥ずかしいな……あ、あたし、ストレートなのに弱いんだ……♥」
 真琴を優しく押し倒して、深く深く大切にキスをした。僕が彼女の上になるのはあまりない、それも僕から責めていくのは特に。たいてい、真琴から僕に「させる」ように引き落として来るのだが――僕はホットパンツの上から真琴の秘所をなぞった。デニム生地ながら柔らかく作ってあるようで、指先に真琴の柔らかさが十二分に伝わる。
「んっ♥ 圭ちゃん……いい、いいよぉ……♥」
「脱がせるよ、いい?」
「うんっ、うん、いいよ♥」
 ホットパンツのボタンを外し、ちりちりとチャックを開け、真琴の短い足からするりと抜き取った。すぐに秘所があらわになった、ノーパンだったのだ。
「このスケベ悪魔め」
「ふふんっ♥ 圭ちゃんだってスケベだー♥ 人のお尻ジロジロ見てたくせに♥」
 バレてたのか――僕は照れ隠しをするように、真琴の秘所に唇をつけた。真琴はつまらない抵抗の素振りも見せず、股を開いて(それは犬にさせるように)僕の舌を歓迎した。唾液で湿らす必要もなく、そこはすでに愛液でびちゃびちゃだった。丹念に舌で敏感な部分を撫でてやる。真琴は幾分大きな喘ぎを上げた。だが、まだまだ楽しむ余裕を残している。憎らしい、と思い、僕はなおも懸命に彼女の中に舌を伸ばした。
 すぐに、アナルへと侵攻するわけにはいかない。真琴もお尻を責められるとは予想していないだろう、だからこそ、一番効果的なタイミングを見なければならない。つまり、ある程度は、頑張りつつも真琴に翻弄されているフリ(事実、翻弄されているのだが)をするのだ。
「んぅっ♥ あっ、うん……ねぇ、圭ちゃん……そろそろぉ……♥」
「……ああ、そうだな」
 ここだ、タイミングはここ――後押しするように幸運に出くわした。真琴はころんとうつ伏せになると、お尻を突き出してきた。
「ん……動物みたいにぃ……してほしいな……♥」
 僕はそのまま真琴の誘いに流されていきそうな気分を釘付けにした。ペニスの頭を真琴の濡れそぼった性器に擦り付け――唾液と愛液で潤滑は十分だ――そして狙いを少しばかりずらして、真琴のアナルへと一気に押し込んだ。
「んぎっ……ああぁっ!」
 真琴は豚のような悲鳴を上げた。だが僕は、冷めるどころかますます、不思議に燃え上がってしまった。腰を前後させると、真琴の腹の中がぐちゅぐちゅと音を立てた。
「んぐっ……圭ちゃっ……♥ んひぃっ♥ そっちはぁ……ち、がっ……♥」
 真琴はそれまでの余裕たっぷりの平静を失って、僕が支えていなければ腰さえもベッドに崩れ落ちていただろう。表情を見せまいと枕に押しつけられた顔を、半ば強引に振り向かせ、しかも首根っこを押さえてやった。ちょっとやり過ぎかな、と思ったが真琴の蕩けきった表情に、歯止めが効かなくなった。
「圭ちゃんっ♥ あっ、やめてぇ……お願いぃ……♥ お願いだから、お尻やめてぇ……♥」
「本当にやめてほしいのか? ずいぶんと気持ちよさそうじゃない」
「感じすぎてっ、ヤバいのっ♥ んっ、ぐっ♥ ねっ、ほらぁっ♥ 汚い声出ちゃうからぁっ♥」
「いいよ、どんなだって、真琴のこと大好きだから……もっと汚い喘ぎ聴かせてよ」
 僕はすっかり調子に乗って真琴のアナルを貫いていたが、間もなく射精感がこみ上げ――と思ったときには腸内に精液をぶちまけていた。
 いつもだったら、真琴によしよしと撫でてもらいながら、情けなく射精の余韻に浸っていた。今日は違う。真琴を征服し、蹂躙して、破壊的にまで愛してやろう。射精が済んでわずかに柔らかさを取り戻したペニスを、ずるりと引き抜いてやる。真琴は微かに身体を震わせた。
「あっ♥ う……圭ちゃぁん……♥ ひどいよぉ……♥」
「……お尻、弱いんだな」
 真琴はうつ伏せのまま、荒く息をついていた。ぷりぷりとしたお尻の中心部にべっとりとこびりついた精液に、再びペニスの内側がジリジリ燃え上がるのを感じた。僕は真琴の二の腕を引っ掴んで、乱暴に(見えるように)彼女の身体を仰向けにひっくり返し、再びアナルへペニスを突っ込んだ。
「あああっ! 圭ちゃん待ってぇ♥ 待ってよぉ♥」
「いいや、待てない。せっかく、真琴をとろとろにできるチャンスなのに……」
 僕はがむしゃらに腰を打ちつけた。そのたびに真琴のお尻はパン、パンと派手に鳴った。ベッドのスプリングがギシギシと軋む――ああ、僕は今、真琴を犯している。その事実が脳神経を焼き切るように作用する。僕はもう、真琴のお尻を責めることに夢中になって、二度、三度と射精しても腰を振り続けるのを中断しなかった。
「あへぇ♥ 圭ちゃっ……もうやめれぇ……らめぇ、らめなのぉ♥」
 真琴の表情は今までに見たこともないものだった。ああ、ずるいな――真琴は、僕のこんな表情をずっと独り占めにしていたんだ。今度は僕が真琴の蕩けた表情を独り占めにしてやる。自分の両手と真琴の両手とを絡め、涙と涎でぐちゃぐちゃになった真琴の顔いっぱいにキスをした。真琴の尻は精液と愛液とですっかり緩んでしまって、ペニスを出し入れするたびにぐちゃぐちゃと下品な水音を発した。


 ついに真琴が快楽で失神するまで、僕はピストン運動をやめなかった。それほど、真琴の表情に掻き立てられたのだった。今まで責められっぱなしだった悔しさもあるが、僕の腕の中で痙攣する真琴を見て、さすがにやり過ぎたかと反省した。だが、目を覚ました真琴は僕にしがみつくと、照れくさそうに「すっごくよかったよ♥」と言ったのだった。
 時計を見ると、もう二時間ぶっ続けでセックスしていたらしいことがわかった。さすがにお互い疲れてしまって、休憩がてらベッドの中で抱き合いながらイチャイチャとするに留まった。
「あたしがお尻弱いって、よくわかったねぇ」
「ああ、いや……噂を聞いただけなんだ」
「噂?」と、真琴は不安そうに首を傾げた。
「あたしがお尻弱いって噂が出回ってたの?」
「そういうことじゃないよ」と思わず苦笑してしまう。
「デビル族は、お尻が弱いらしいってさ……」
「なーんだ、そんなことなのね」
 真琴が呆れたように笑うので、いじわるのつもりで「でも、事実弱かったろう」と言ってやると、彼女は微かに頬を赤くした。
「も、もう……次からはちゃんと予告してからにしてね」
「さあて、どうなるかな」
「ふーん? そういう態度に出るんだ♥」
 嫌な予感がした――と、真琴はベッドの中に潜り込んで、すっかり柔らかくなったペニスを口に含んだらしい。にゅるにゅると舌の上で亀頭を転がされるうち、血が集まってきて、僕のペニスはピンと背を伸ばしてしまった。鈴口の辺りをぺたぺた舐められると、ついついため息が漏れる。掛け布団を持ち上げて見ると、真琴は得意そうな表情を浮かべていた。お尻を責めたときの蕩けた表情も新鮮でよかった、けれど、やはり真琴はこういう悪魔じみた表情のほうが似合う気がする。
「ふふんっ♥ さっきのこと、後悔させてあげるからっ♥」
 どうやら長い夜になりそうだ、と真琴の舌に精を放ってなお鎮まらないペニスに、苦笑いしてしまう。
15/11/06 00:06更新 / ニノウデ

■作者メッセージ
お久しぶりです。デビルちゃんホントかわいい。プリプリのおケツ撫で回したい。デビちゃんって絶対お尻弱いと思うんですよ。サバト参加の条件に悪魔の尻にキスをするっていうのもありましたし。デビルちゃんかわいい、ホントかわいい。セックスに前向きなデビちゃんかわいい最高。

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