さて、僕もしばらくこの国にいましたが、太陽の下でセックスしたくなったので、ちょっと地上に戻ろうと思いました。
そしてマトリカを駅弁しながら散歩している時に、それを告げたのです。

「ふむう、たしかに公開セックスはいいものがあるが……」

僕は一度露出癖を取り除かれていますが、マトリカが相当な露出狂で、僕にまた露出癖を植え付けているので、僕にもそういう欲求が出てきてしまいます。

「しかしなぁ」

マトリカはちらちらと僕の顔を見ました。

「外に出るには、お主が来た道を通るしかないのじゃが」

僕は、触手植物の群れを想像して鳥肌が立ちました。気持ち良さそうです。

「触手植物の森の中に、一本背が高いやつがいる。それを伝えば地上には帰れるが、触手たちを越えねば辿りつかんのじゃ。今まで出ようとしたものは全員道半ばで捕まって諦めてしもうた」

なるほど。つまり外には帰れないわけだ、と思ったところで気がついたのです。

彼女らは何故それを知っているのかと。

僕が尋ねると、マトリカは可愛らしく小首を傾げました。地面に降りたがったので下ろすと、ついてくるのだと歩き始めます。僕はそそくさと陰茎をズボンにしまいました。

「あそこに生えている触手は男を捕まえるように育てられておるから、すくなくとも見た目は隠し切らんとダメじゃのう」

それで服を着込んで全身を覆っても、服をひっぺがしてくるのですぐに男だとバレてしまい、捕まってしまうようです。

ううん、と僕は考え込みました。
このときにはもう既に、太陽の下で粘液に艶めく彼女らとセックスする光景が頭に浮かんでいたので、なんとしても叶えたかったのです。



困ったときのアーティです。というか、人体の改造に関して僕の知る中で一番詳しいのがアーティなのです。

僕と繋がったまま、触手での緊縛プレイに興じていたアーティは興奮したように言いました。

「いいの！？ 願ったり叶ったりだけど！」

どうやら願っていたようでした。
僕は、男のままで見た目だけを女に変えられないかとアーティに尋ねただけなのですが、帰ってきた反応に少し引いてしまいました。

なんでも、この国に落ちてきた男は改造されたがらないそうです。それはイカになれば極度の快楽を味わえるからで、僕もそれは感じていたのですが、なにぶん変身するとへそが無くなるのでトニアが悲しむのです。

そういうわけで、僕は早急に怪しげな建物に運び込まれました。
人類研究所という、落ちてきた男に何かあったときに病院のように使うこともある施設だそうです。そういう予定だったんだけど、使ったことはないのよねというアーティは少し悲しげでした。

僕はスピーディにベッドに拘束され、アーティの触手に脳を弄られて気持ちよく気絶しました。

そして数日後に目が覚めたときには、すでに少女のような、今の姿になっていたのです。

あまりにも大きな変化に驚いたのですが、アーティが言うには、男のパーツは研究材料として貴重すぎるからすごく助かるんだそうです。

「むしろリクエストがあったとはいえ改造しすぎちゃったかも……ごめん！」

いやいや、と僕は首を振りました。
僕は形から入るタイプなので、子供を孕めるのに男の姿のままでいるのは少し辛いものがありましたから。見た目の問題でした。
それに何よりも、僕は身体が好き勝手に改造されるのが好みなのです。
問題があるはずもありませんでした。



さて、こうして少女の姿になり、挿入状態で歩いて股間さえ隠し切れれば触手植物も騙せることが確認でき、つまり無事に外に出られることがわかったのです。
しかしその前に一悶着ありました。
レンカが僕の姿に物凄く反応したのです。

いつもならとりあえず騎乗位になってから話が始まるのですが、その日のレンカは恥ずかしげにベッドの端に腰かけました。

「そ、その。触手をだな。食べて欲しいというか」

僕は首を傾げました。普段から触手を食べているので、今更言うことではないと思いました。

意を決した様子のレンカがキリッと僕を見ました。そして言います。

「触手貫通させてくれないか！ 絶対に似合うから！」

正直僕は何を言われているかわかりませんでした。触手貫通はわかります。レンカは元々食道だの胃だのに強い興味を示していたので、そのうちアナルまで一本通したくなるだろうとは思っていました。
ですが、似合うというのは意味が本当にわからなかったのです。

レンカは少し俯いて言いました。

「似合う、というのはだな……今、仕事で書いているのがレズものなんだが、その中のヒロインのイメージそのままなんだ」

そして触手貫通を書いたときに、これ以上ないほどイメージがくっきりと浮かんだそうです。
流石に少し照れました。照れ隠しに「想像と違ってても怒らないでね」と言い、レンカの隣にぽすんと座りました。ずいぶん体重も軽くなったものです。
事実上のOKサインに、レンカの息が荒くなりました。

「じゃ、じゃあ咥えて」

僕は返事がわりにぱく、とその先端を咥えました。すると、ゆっくりと口の中を愛撫してきます。
最近はレンカも慣れてきて、半ばルーティン的に胃まで突っ込まれていたので新鮮な感じがしました。
これはこれでいいものだと思いました。

レンカの触手から、濃すぎてゼリーみたいになっている媚薬粘液が分泌されているのがわかりました。

「しょっ、食道入れるぞ？ 苦しかったら言うんだぞ？」

そうして恐る恐る、ゆっくりと喉に侵略してきます。
触手がじわじわと媚薬粘液を刷り込むようにゆっくりと抉ってくるのは、焦らされているようで身体が震えました。

驚いたのは、男の身体だった時よりも、体内での快感が大きいのです。僕はアーティの気遣いに感謝しました。

いよいよ胃まで達すると、安心したようにレンカが触手を詰め込んできます。僕はごきゅりごきゅりと喉を鳴らすたびにイキながら、どんどん重たくなっていく内臓の感覚を楽しみました。

「なんて顔、してるんだ……」

レンカの大人びた顔が目の前にありました。

「気持ちいい、のか？」

僕は返事をするように喉を鳴らし、目の前で絶頂して見せました。触手から一斉に粘液がどろりと湧き出し、口から食道、胃までを埋め尽くします。快感が増えました。

ふふ、とレンカが嗜虐的に笑いました。

「じゃあ、腸にも入れていくからな」

そして、胃からずるずると触手が這い出て行きます。腸に入ってくると、最初は重気持ちいいだけだったのですが、だんだんと奇妙な気持ち良さが混じり始めました。
僕の鋭い感覚は、その原因を突き止めていました。

僕はレンカの手を取って、そっとへそに当てました。
触手の操作に集中していたレンカがきょとんとしました。

「なんだ？…………入れろってことか？」

僕が頷くと、レンカが腕をへそに沈めて行きます。
快感の原因はへそでした。触手が詰まり広がった小腸が、へそを外から圧迫して刺激していたのです。

僕はまともに声も上げられずにうんうんと絶頂しました。唯一男であることを示す肉棒から溢れる精液がびしゃびしゃとレンカを汚しますが、レンカは熱に浮かんだように腕を動かし続けました。

「これは、凄い……」

そして感触を確かめたり、へそ壁越しに小腸を握ったりしていました。
僕はもうイキ続けていました。レンカはへそを弄りながらも腸を突き進むのをやめませんし、元々開発されていた大腸が圧迫されての絶頂もありました。

僕をそっと抱き上げたレンカがベッドに倒れ、精液を溢れさせる陰茎を肉の割れ目に収めました。
僕は脚に力も入れずに、レンカの腰と腕に全体重を乗せていました。

「つ、次は大腸だ」

レンカの触手が大腸の入り口をつつくだけで僕は失神しかける有様でしたから、その後のことはよく覚えていません。

ですが、一度目が覚めたときに、姿見で見せてもらった自分の姿だけはよく覚えています。

口から入った触手が、白い陶磁器のような肌をーー自分で言うのもなんですがーーぼこぼこと歪に膨らませて、今や入り口と化したへそを縦にいやらしく引き伸ばしていました。
アナルから出た触手が両脚と両手を背中で縛り、首にマフラーのように巻きついていました。
垂れた肉棒からたらたらと垂れる精液は止めどなく、まるでそういうオブジェのようでした。
少女の姿はとても卑猥でありながら美しく、なるほどレンカが似合うというわけだと納得しました。
そしてすぐに、アナルを始め体内からくる悦楽に絶頂し気を失ってしまいました。



そして、僕は無事に地上へと戻って来たわけです。
当然四人の嫁も一緒です。
しばらくは住処を手に入れるために一人で動いたのですが、なにぶん服を着た人ばかりで奇妙に新鮮な心地がしました。それに街並みに触手はないし、交差点に像はないしで酷く殺風景です。帰りたいと思わなくもありませんでしたが、ちゃんと道を整備すればいつでも帰られるようになるので我慢はできました。

その後僕は無事にこの家の主人を地下に追いーーいえ、平穏な手段で入手しました。
(この時僕は慌てて周囲を見渡しました。部屋の外へと繋がる扉が塞がれていないか確認するためです)

そういうわけで、この家には僕の他にも四人の嫁が住んでいまして、そしてたまに友人が訪れるのですよ。
つい昨日も太陽の下で、ベルティアと清楚っぽい服の良さについて語り合いました。そういえばベルティアがレンカに感化されて、というよりも触手に纏わり付かれる僕に何かを感じたらしく、服は服でも触手服を好むようになっていました。
たしか貰った絵が壁にーー。(彼は壁を指さそうとして、残念そうな顔でそっと指を下ろした)
応接室に飾るにはあまりに卑猥すぎたのでしまいこんだのでした。
そういえば、ベルティアが影響を受けたレンカの小説があるんですよ。
僕はもう何度も読みましたから、差し上げますのでどうぞ。

(彼は謎の液体で一部が濡れた、簡単な装丁の本を私に差し出した)

濡れているのは、確かマトリカが興奮して飛ばした愛液でしたので安心してください。
乾いても柑橘系の良い香りがしますよ。

そうそう、そのベルティアですが。制服派のキアネラと一緒に、奥にいるんですよ。
キアネラは地上に拠点が出来たことをたいそう喜んでいましてね。

なんせマインドフレイアたちも、地上を見ているとはいえそれは上流層に限りますから。
こだわりのない一般市民も人間と生活を共にすれば、きっと着エロの素晴らしさに気がつくだろうと息巻いていましたよ。
まあ、集団で来るのは社会的な影響を考えるとしばらくは無理でしょうけど。
もっとも、貴方のようなジャーナリストが彼女らに好意的な記事を書けば、多少は早まるかもしれませんがね。
ちょうど彼女らも我慢の限界のようですし。

■作者メッセージ
触手といえば貫通みたいなところありますよね
ないだろって人は覚えておいてください
触手といえば貫通みたいなところあります