合流成功!さてなにすんべ。 一人目確保、さてあと二人か…。
宿屋の戸をあけ、俺は目の前にいる人物をみて驚愕した
「じ、ジロー…?」
俺の幼なじみ、コウジロウがそこにはいた
「ん、おお…よう」
言いながら微笑んだジローはなんだかいつもの表情と変わらなかった
少しほっとした。
宿屋の記帳が終わったらしく振り向きながらジローがいう
「ほれ、ボーッとしてないで書いちまえよ」
合流出来た安心感からボーッとしてしまった
ハッとした俺は宿屋の主に会釈し記帳する
「お…っそうだな、ほい……っと、書けた」
サインをし金は先払いらしい、銀貨を一枚渡し数枚銅貨を受けとる
<ガディ、あの人誰?知り合い?
<ああ、俺の友達だ
<あなたは誰?
<アタシ?ヴェルエ、ダークエルフよ
こっちの人々はコミュ力たけぇなー
<ダークエルフ!?には、見えないけど…?
不思議な子だなぁ、エルフ的にはダークエルフに見えないのか…がっつり褐色だが。
「ほら、部屋借りたぞ〜」
取り敢えず各自移動することにしたのだが。
部屋入り荷物を各自置いて、俺はベッドにジローはソファーに、金髪の子はジローの隣に、ヴェルエは窓辺に座った
部屋はソファーが2つ机を挟むように設置され、窓は大通り側に1つ。ベッドは2つ。
うん。…うん???
「ベッドが…2つ…?!」
人数分無いじゃん!?そもそも何故相部屋になった!?
「なんかおかしいとこでもあった?」
涼しい顔でヴェルエ
「まー無いもんは仕方ないな、一つを二人でだな」
諦めたようにジロー
「いっしょに寝ようかガディ」
嬉しそうな金髪の子
「なぁ、ところでジロその子は?」
気になったので、エルフの子みたいだけど
「エルフのラナリア。エルフの村から連れてきた」
<ついてきたー
拉致!?
「親から任されたがな」
結婚!?
「二人で旅にでたのー」
駆け落ち!?
「あーっと、なんか…大変だな…うん」
もうなんか諦めてしまった、俺のなかでツッコミぢからが枯れた
ラナリアがジローのとなりに座る
「そういうお前はそっちのヴェルエさん?」
<ヴェルエでいいよー
「ヴェルエはどうしたんだよ、まさかの彼女か」
不思議そうに聞いてくる。まぁこいつは昔から俺を知ってるからな
女の子連れて歩いてるなんて異常も異常よな
「仕事仲間だよ、ギルドって何でも屋の依頼任務中さ」
端折って説明するが我ながらいい説明だったとおもうの。
「へぇギルドかぁ…んー」
考えるジロー、こいつが考え事するときゃ…
「楽しいか?」
「楽しいとも」
「金稼げるか?」
「依頼次第だな」
「職場は?」
「男女和気あいあいのアットホームな職場です」
「っしゃ、決めた!!俺も何でも屋やる!」
うん、こういうやつだよ。流石俺の幼なじみで親友。
「危険なこともある、武器はあるのか?」
俺も武器買わなきゃならないが、取り敢えず今後の武器の算段
するとジローは斜めがけのリュックから何かを取り出した。
「これがある」
ゴンッと置かれたそれは鈍い銀の輝きを放つ鉄の塊にして文化の結晶の一つ
「これ、デザートイーグルじゃねぇか。ガスガンでなんとかなるもんかよ、ていうか持ってきてたのか」
少し小バカにした口調でいってやった
「いや、俺が持ってきたのは電動のP90だけだ」
ジローが少し困ったようにいう
「これ、エルフに貰ったんだ」
へ?エルフに、貰った?デザートを?
「ちょい待て、ちょぉっと無茶じゃないか?この世界で拾ったり貰ったりできる価値のものか?これって」
流石におかしい、ツッコミが追い付かない
いやまぁ確かに造っててもよさそうだがこんなにモロにデザートイーグルってあるか?
「これさ、魔力を打ち出す武器らしいんだ」
デザートを手に取り天井にむけて構えたりして弄くりながら言う
「んでもって俺MP消費攻撃出来るようになったから!!」
誇らしげにいうジロー
「マジかよ、おま、スタイナーじゃん」
「だっろー?」
もはやこれが何処産なのかに興味は無くなっていた
現代っ子特有の会話、この世界の住人であるヴェルエとラナリアは置いてきぼりだ
現に???って顔して聞いてる
ネタとしては某FFのナインだがこの世界の住人にはさっぱりだろう
やはりこの異常事態もジローは、いやジローも楽しんでいるらしかった
「で、見せてもらってもいいか?魔力を打ち出すデザートイーグルってのをさ」
かなり気になる。弾数無限の魔力銃なんてロマンの塊だ。
<ほいよ
渡されたそれはやはりずっしり重くそれでいて苦にならない安定したフォルム
ガシャンと銃の遊底をスライドさせ中を見てみたりした
「薬莢は出ないタイプっぽいな」
薬室にマガジンと薬莢が見えない、これは恐らくマジでマジカルな魔力銃だ
そう言うとジローが徐に頷く
「そうなんだよ、ダンテごっこ出来ないんだよ…」
またゲーム会話だ。仕方ない、だってマジカルだもの。そういう話をしたくなっちゃうよ。
「それやりたきゃ黒いデザートイーグルも手に入れなきゃな」
乗っかっていく、楽しいからね。
すると満足そうにジローが頷く。
「ああもう一個、作れないかな、これ」
<ねぇヴェルエ、なんの話だろーね
<さぁ?まぁ多分くっだらない話じゃないの?
色々言われているなぁ、まーいいけどさ。
しかし魔力銃、不思議な存在。その威力見てみたいな。
「なぁジロー、ためしうちしてみたくないか?」
「一回撃ったよ、今日」
「マジか!?威力のほどは?!」
興奮ぎみに聞く
答えはラナリアがくれた
「凄いんだよ、敵が粉砕されるんだよ!!!」
ラナリアも興奮ぎみだ
<え、粉砕…?
<おいラナ、ちょっと違うぞ破壊したんだ
あ!?敵を破壊したの!?
「ゴーレムか何かか?破壊したのは」
だとしたら相当な威力であると言うことになるが
ジローは残念そうにいった
「人間だよ、詰まらんものを撃った」
なにぃ!?こいつ人間を!?
混乱する俺を尻目にヴェルエがジローに話しかける
「アタシこれ、知ってたような…」
ジローは驚いてヴェルエの方をみた
「マジか!?どこでみた!?」
<うーん、何処だったのかしら…
ヴェルエはうーん、と考え込む。その間にジローに聞きたいことを…
「な、なぁジロー。人間を撃つって、どんな感情なんだ…?」
恐る恐る聞く、聞きたかないが聞かなきゃいけない気がした。
「人間相手に撃ったけど人間は撃ってないよ。マスケットを撃ち抜いただけ」
マス…ケット?
「な、なんだ…マスケットか…良かった…」
安心した、ちゃんと俺の知ってるジローだ。
「どうしてもの理由じゃなきゃ人は撃たないよ、そんな覚悟、まだ無い」
撃って良いのはってやつか、俺たちの間では合言葉みたいなもんだったもんな。
ともあれジローが人殺し出ないことは分かった、その事実は俺にとって大きい。
夜も深まり満月が真上に来た頃。
ヴェルエはまだウーンと唸っている
ラナリアはうとうと船をこぎ始めた。
そういや幽霊船の依頼、全く終わってないな
「なぁジロー、幽霊船がこの町の沖に出るらしいんだ。見てみないか」
そう言うと怪訝な顔をしてジローが聞き返す
「幽霊船?」
<んーむにゃーガディ〜…ンガー
「ああ、幽霊船だ。もしかしたら俺の初戦闘になるかも」
少しの恐怖と高揚感
「うーん、まぁ見てみてもいいかもしれないけどさ」
ジローはあまり乗り気じゃない、更に言葉を続けた
「船自体が幽霊だったらどうしようもないぞ」
ジローが言うことも尤(もっと)もだ、だがこちらは依頼、引き下がるわけには行かない。
「まぁ仕事だし俺はいくけど、どうする?って話だ」
<あら、こんな時間に船が出てる…何かしら
「おい、何かしらじゃねぇだろッ」
こいつ依頼を忘れてんな?
「ヴェルエ!幽霊船だ!行くぞ」
「はいはい、了解よ後輩」
荷物(といっても食い物と上着だけだが)を持ちその他をおいて行く
ヴェルエは窓から飛び降りたようだ。
「ジロー、なんかあったら頼む!」
急いで部屋を出ようとしたその時、ジローはあろうことか俺を止めた
「待て」
腕を捕まれた
「これ持ってけ」
手首にブレスレットを付けられた
「貸してやる、使い方は自分の思うエネルギーを体からそのブレスに注ぐ感じだ」
手を離した
「いってら、死ぬなよ」
ジローはやはり俺の親友のようだった
「ああ!行ってくる!!」
俺はダッシュでヴェルエを追った。
取り残されたジローとラナリア。
ジローはラナリアをベッドへ運び、デザートイーグルに魔力を籠めた
「あのブレスはあくまできっかけか、運がいいのか悪いのか…な」
デザートを片手に窓に手をつき、海をみた。
ダッダッダッダッ
地面を抉るように力を込めて駆ける
昔からダッシュには自信があった、持久力は無いが。
「ヴェルエ!!」
前方に見えたヴェルエに声をかけた。彼女もまた海へ向かい走っている。
「ああ!後輩クンおっそいねぇ」
ケラケラ笑いながら先を走るヴェルエ、これじゃあ何を追っかけてるのか何のために走ってるのか分からない
海に向かってるはずなのにヴェルエとおいかけっこしてる気分だ。
「うっせ!運動音痴なりにがんばってんだよ!!」
というかこれが種族差か、ヴェルエ早すぎる。
海に着いた、依然として沖には幽霊船が浮かんでいる。
「はぁ、はぁ、ぶはー…」
肩で息をする俺にたいして涼しい顔のヴェルエ、うらやましい。
「あれね、うーんどうしようかね…」
二人して周りを見回す。が、何もない…が、ヴェルエの視線は固定され一ヶ所を見つめていた
その視線の先には…
…で
「こんなんで行くのか…」
見つけたのはおんぼろな小舟、ボートとも言う小ささ
「仕方ないでしょ、泳いでいくよりましだし海の魔物に頼もうにももう寝てるし」
「まぁ仕方ないな…」
素直に同意する。仕方ないな、沈まないよう祈るのみだ。
「あんたもちゃんと漕ぎなさい後輩クン」
祈りながら漕ぐのみだ。
ギィ…ギィ…ザバー…ザバー…
海の音、近づく幽霊船。
「どうやら船体自体は幽霊じゃないみたいだ、実体がある」
「そうみたいね」
しかも都合よく梯子が降りてる、ラッキーだ。
「アタシ先いくから着いてこい後輩クン」
「あーいよ先輩」
梯子を上がり船に乗っかる。因みに下着はピンクでした。
船の上は意外にも綺麗な感じでそれでいて朽ちてるっぽい謎な感じの船だった
「で、この船が何だってのかしらん?」
ヴェルエがおどけて言う
「船室に入ってみるか…」
バンッ 船室の扉を蹴破り中を確認する、異状はこれといって見られない。
「ヴェルエ、大丈夫そうだ」
「りょーかい」
二人で蹴破った部屋の先、もうひとつの部屋も見る。
恐らくは位置的に下に続く階段、若しくは一つの個室か…
ギッギィイイイイイイ 今度は普通に開ける
するとそこには個室らしい部屋が
「個人室だったか、船長のものか?」
「みたいね、でも…なんだ?変な感じね」
「…そうだな、俺も思ってたとこ」
そう、俺達が感じた妙な違和感
幽霊船と言うからには朽ちていそう、うん朽ちてた
蜘蛛の巣とか張ってたり立て付け悪くなってたり、うんそんな感じだった
だが、この船…
「「まるで埃っぽくないし、幽霊の気配なんて感じない(っての)な」」
二人の声、感想がハモる。その時後ろから声がした。
「おお、06A型。よく来たな…」
ビクンとヴェルエと俺の肩が震える。
「もっとも呼び寄せたのは私だがな…」
勢いよく振り返るヴェルエと俺
ヴェルエが第一声怪訝そうに聞く
「あんた、誰よ…!」
「おお、私を忘れたか06A型、お前の産みの親だと言うのに…」
研究者のような風貌のジジイは大袈裟に身振りをし言う
どう言うことなのか、ヴェルエはなんのことだか分からないといった感じに眉をひそめた。
「あんたなんか知らないし、だいたい06A型っなにさ。アタシはヴェルエ、ダークエルフのヴェルエだ!」
「おお嘆かわしい、私の最高傑作よ…」
ジリジリと近づくジジイ、こいつはいったい何者なのか。
「やい、ジジイ。お前なにもんだ」
シリアスな場面なんだろうが我慢できない、しゃしゃり出るのは俺のスタイルだ
「んん?なんだお前は、お前をおびき寄せたつもりは無いのだが…まぁいい」
やはり大袈裟な身振りでやれやれといった動きをしたあとジジイは名乗った
「私はジェライン、最高の科学者であり魔物の研究者だ!」
科学者か、似合わねーデカイメガネに白髪混じりのボサ髪を後ろでまとめた感じ
白衣に、顔にはソコソコのシワとクマ
「ジェライン…?やっぱあんたなんか知らない。で、あんたがこの幽霊船事件の黒幕みたいだね」
ジェラインと名乗ったジジイを睨むヴェルエ
「そう睨むな、幽霊船もなにもお前をおびき寄せるための罠よ」
罠、ジジイはそう言ったのか。なれば俺はイレギュラーと言うことか。
「わざわざエトリアギルドに依頼を送ったのもお前がエトリアギルドに所属していたからぞ?唯一の成功例であるお前が逃げてからと言うもの、私の研究人生は色を失った!!故に探していたが…」
ギラリと光ったのはメガネかジジイの瞳か
「今は違う。お前に見せてやろう、お前の妹。09C型!!」
ジジイが吼える、すると天井をぶち破って入ってきたナニカ
それは黒い鎧を、いや服か?それとも生き物?とにかく黒いナニカを身に纏う…エルフだろうか?
「お前の妹だよ06、新たな成功例だ…!私はお前たち成功例が戦いあい優劣を競うのが楽しみでしょうがない!!さぁ見せておくれ私に!!いけ09!!」
黒いナニカはヴェルエに襲いかかった。
「くっ、なんだっての…!」
黒いナニカの剣を避けつつナニカの脇腹に蹴りを入れた
纏う何かは意外にも硬いらしく、体の芯を捉えた筈だが効いている様子はない。
「!!!」
反撃と言わんばかりに09と呼ばれた塊は反った片刃の大剣を横に薙いだ
「かったいなーもう!!ならっ」
ヴェルエが飛び上がり剣を避け首根っこに鋭い蹴りを入れた。
ゴッ!! 鈍い音、しかし塊は怯まない
「あんたも戦ってよカヤ!!」
「すまないっ!」
解ってはいるがあまりに無敵すぎてどうしようもない
あるのは拳と…ジローに借りたブレスだけ。
あの黒い鎧みたいな塊は多少の衝撃や斬撃は跳ね返せるらしい
「くっ、これなら!!」
ギンッ カランカランッ
現にいまヴェルエが放ったナイフは弾かれてしまった
硬い鎧を拳だけで…
「ん…いや待てよ、硬い鎧?」
魔力と言う可能性もここにはある、なれば。
「ヴェルエ!!ソイツを転ばせてくれ!!」
そこには勝機がある!!
「はぁ!?チッ、簡単に言ってくれちゃって…!」
文句がこぼれるしかし
「アンタにかけるんだから!上手くやってよね!!」
肯定してくれた、あとは!!
「カッカッカ、無駄無駄ァ09はただの斬撃や打撃じゃ死なんぞォ!!それこそ勇者や魔王クラスの魔術や剣撃でもないかぎりな!!」
通路の奥、09が守る先でジジイが喚く
「そりゃあどうかな!?」
負けじとこっちも叫び返す、するとヴェルエを追って放った剣撃に体軸のぶれた09。
そこを見逃さずすかさず足に蹴りを入れるヴェルエ。見事09は転けた、仰向けに。
「さあ行きな、カヤ!!!」
起き上がろうと地に手を突く09に俺は馬乗りで飛び乗った
「いっくぜぇ!!」
その昔、刀が意味を成さない間合いでは柔術や空手と現代で呼ばれるものを使い
武者たちは合戦を戦い抜いたのだという
硬い鎧、拳の間合い。加えて相手は鈍重と来ている、ならば!
俺は09の胸元に左手を添える
「くっらえぇぇぇぇぇええ!!」
09は俺に剣を振ろうと、それとも振り払おうとしたのか、じたばた暴れる。
ガゴォン!!!!俺は魔力を込めて胸元の左手に右手を打ち付けた、戦場(いくさば)の術、鎧抜きである。
ビクンっと体全体が数回震え、どさりと四肢は地面に落ち09は動きを止めた。
「ハァハァハァ…あー怖かった…」
正直汗びっしょりだ、死の恐怖ってのか
ヴェルエと俺がジェラインに向き直る
まず俺が口を開く
「さぁジジイ、次はお前だ…」
次にヴェルエが続いた
「洗いざらい吐きなさい…」
これではどちらが悪か分からないな
狼狽えた様子もなくジェラインはこちらを見つめ、言葉を放つ
「まさか09が06でもなくただの人間に殺られようとはな…」
殺してしまったのか…?僅かな後悔と不安が過(よぎ)った
「さぁジジイ、逃げ場はないぜ…大人しくしな」
しかしそうもしてられない、このジジイにはまだ聞きたいことがある
「カッカッカ、退路を確保していないと思ってか!この船を用意したのは私ぞ?」
そういって取り出したるは鈍く光る赤茶色い石
「じゃあな人間に、06。また迎えに来るぞ!」
言って石を軽く放ると石が急に光出した!
ピカッ!!一瞬目を反らした隙、ジェラインは居なくなっていた。
「チッ、転移系の魔術か…」
とヴェルエが呟く、そうだった。相手も魔力を使うんだった。
とにかく、幽霊船事件は解決したのだ。帰ることとする。
出口に向かい歩き出したときガッと足を捕まれた
「カヤ後ろ!!!」
ヴェルエが叫び声をあげる
「…!!…!!」
09はまだ生きていたのだ!それも敵意剥き出しで
「くっそ!!このやろ!!」
基本的搦(から)め手の俺に咄嗟の正面戦闘は難しい。
焦り足を掴む手をほどこうとしたその時
バァン!!! 炸裂音が響き09が崩れ落ちる。
驚き炸裂音のした方を見る
「お前…」
そこには銃を構えたジローが立っていた
「戸惑っちゃダメだ、死ぬぞカヤ」
冷酷に告げるジロー。
天井に空く穴から差し込む光は薄紫色の朝日だった……
づづぐ
「じ、ジロー…?」
俺の幼なじみ、コウジロウがそこにはいた
「ん、おお…よう」
言いながら微笑んだジローはなんだかいつもの表情と変わらなかった
少しほっとした。
宿屋の記帳が終わったらしく振り向きながらジローがいう
「ほれ、ボーッとしてないで書いちまえよ」
合流出来た安心感からボーッとしてしまった
ハッとした俺は宿屋の主に会釈し記帳する
「お…っそうだな、ほい……っと、書けた」
サインをし金は先払いらしい、銀貨を一枚渡し数枚銅貨を受けとる
<ガディ、あの人誰?知り合い?
<ああ、俺の友達だ
<あなたは誰?
<アタシ?ヴェルエ、ダークエルフよ
こっちの人々はコミュ力たけぇなー
<ダークエルフ!?には、見えないけど…?
不思議な子だなぁ、エルフ的にはダークエルフに見えないのか…がっつり褐色だが。
「ほら、部屋借りたぞ〜」
取り敢えず各自移動することにしたのだが。
部屋入り荷物を各自置いて、俺はベッドにジローはソファーに、金髪の子はジローの隣に、ヴェルエは窓辺に座った
部屋はソファーが2つ机を挟むように設置され、窓は大通り側に1つ。ベッドは2つ。
うん。…うん???
「ベッドが…2つ…?!」
人数分無いじゃん!?そもそも何故相部屋になった!?
「なんかおかしいとこでもあった?」
涼しい顔でヴェルエ
「まー無いもんは仕方ないな、一つを二人でだな」
諦めたようにジロー
「いっしょに寝ようかガディ」
嬉しそうな金髪の子
「なぁ、ところでジロその子は?」
気になったので、エルフの子みたいだけど
「エルフのラナリア。エルフの村から連れてきた」
<ついてきたー
拉致!?
「親から任されたがな」
結婚!?
「二人で旅にでたのー」
駆け落ち!?
「あーっと、なんか…大変だな…うん」
もうなんか諦めてしまった、俺のなかでツッコミぢからが枯れた
ラナリアがジローのとなりに座る
「そういうお前はそっちのヴェルエさん?」
<ヴェルエでいいよー
「ヴェルエはどうしたんだよ、まさかの彼女か」
不思議そうに聞いてくる。まぁこいつは昔から俺を知ってるからな
女の子連れて歩いてるなんて異常も異常よな
「仕事仲間だよ、ギルドって何でも屋の依頼任務中さ」
端折って説明するが我ながらいい説明だったとおもうの。
「へぇギルドかぁ…んー」
考えるジロー、こいつが考え事するときゃ…
「楽しいか?」
「楽しいとも」
「金稼げるか?」
「依頼次第だな」
「職場は?」
「男女和気あいあいのアットホームな職場です」
「っしゃ、決めた!!俺も何でも屋やる!」
うん、こういうやつだよ。流石俺の幼なじみで親友。
「危険なこともある、武器はあるのか?」
俺も武器買わなきゃならないが、取り敢えず今後の武器の算段
するとジローは斜めがけのリュックから何かを取り出した。
「これがある」
ゴンッと置かれたそれは鈍い銀の輝きを放つ鉄の塊にして文化の結晶の一つ
「これ、デザートイーグルじゃねぇか。ガスガンでなんとかなるもんかよ、ていうか持ってきてたのか」
少し小バカにした口調でいってやった
「いや、俺が持ってきたのは電動のP90だけだ」
ジローが少し困ったようにいう
「これ、エルフに貰ったんだ」
へ?エルフに、貰った?デザートを?
「ちょい待て、ちょぉっと無茶じゃないか?この世界で拾ったり貰ったりできる価値のものか?これって」
流石におかしい、ツッコミが追い付かない
いやまぁ確かに造っててもよさそうだがこんなにモロにデザートイーグルってあるか?
「これさ、魔力を打ち出す武器らしいんだ」
デザートを手に取り天井にむけて構えたりして弄くりながら言う
「んでもって俺MP消費攻撃出来るようになったから!!」
誇らしげにいうジロー
「マジかよ、おま、スタイナーじゃん」
「だっろー?」
もはやこれが何処産なのかに興味は無くなっていた
現代っ子特有の会話、この世界の住人であるヴェルエとラナリアは置いてきぼりだ
現に???って顔して聞いてる
ネタとしては某FFのナインだがこの世界の住人にはさっぱりだろう
やはりこの異常事態もジローは、いやジローも楽しんでいるらしかった
「で、見せてもらってもいいか?魔力を打ち出すデザートイーグルってのをさ」
かなり気になる。弾数無限の魔力銃なんてロマンの塊だ。
<ほいよ
渡されたそれはやはりずっしり重くそれでいて苦にならない安定したフォルム
ガシャンと銃の遊底をスライドさせ中を見てみたりした
「薬莢は出ないタイプっぽいな」
薬室にマガジンと薬莢が見えない、これは恐らくマジでマジカルな魔力銃だ
そう言うとジローが徐に頷く
「そうなんだよ、ダンテごっこ出来ないんだよ…」
またゲーム会話だ。仕方ない、だってマジカルだもの。そういう話をしたくなっちゃうよ。
「それやりたきゃ黒いデザートイーグルも手に入れなきゃな」
乗っかっていく、楽しいからね。
すると満足そうにジローが頷く。
「ああもう一個、作れないかな、これ」
<ねぇヴェルエ、なんの話だろーね
<さぁ?まぁ多分くっだらない話じゃないの?
色々言われているなぁ、まーいいけどさ。
しかし魔力銃、不思議な存在。その威力見てみたいな。
「なぁジロー、ためしうちしてみたくないか?」
「一回撃ったよ、今日」
「マジか!?威力のほどは?!」
興奮ぎみに聞く
答えはラナリアがくれた
「凄いんだよ、敵が粉砕されるんだよ!!!」
ラナリアも興奮ぎみだ
<え、粉砕…?
<おいラナ、ちょっと違うぞ破壊したんだ
あ!?敵を破壊したの!?
「ゴーレムか何かか?破壊したのは」
だとしたら相当な威力であると言うことになるが
ジローは残念そうにいった
「人間だよ、詰まらんものを撃った」
なにぃ!?こいつ人間を!?
混乱する俺を尻目にヴェルエがジローに話しかける
「アタシこれ、知ってたような…」
ジローは驚いてヴェルエの方をみた
「マジか!?どこでみた!?」
<うーん、何処だったのかしら…
ヴェルエはうーん、と考え込む。その間にジローに聞きたいことを…
「な、なぁジロー。人間を撃つって、どんな感情なんだ…?」
恐る恐る聞く、聞きたかないが聞かなきゃいけない気がした。
「人間相手に撃ったけど人間は撃ってないよ。マスケットを撃ち抜いただけ」
マス…ケット?
「な、なんだ…マスケットか…良かった…」
安心した、ちゃんと俺の知ってるジローだ。
「どうしてもの理由じゃなきゃ人は撃たないよ、そんな覚悟、まだ無い」
撃って良いのはってやつか、俺たちの間では合言葉みたいなもんだったもんな。
ともあれジローが人殺し出ないことは分かった、その事実は俺にとって大きい。
夜も深まり満月が真上に来た頃。
ヴェルエはまだウーンと唸っている
ラナリアはうとうと船をこぎ始めた。
そういや幽霊船の依頼、全く終わってないな
「なぁジロー、幽霊船がこの町の沖に出るらしいんだ。見てみないか」
そう言うと怪訝な顔をしてジローが聞き返す
「幽霊船?」
<んーむにゃーガディ〜…ンガー
「ああ、幽霊船だ。もしかしたら俺の初戦闘になるかも」
少しの恐怖と高揚感
「うーん、まぁ見てみてもいいかもしれないけどさ」
ジローはあまり乗り気じゃない、更に言葉を続けた
「船自体が幽霊だったらどうしようもないぞ」
ジローが言うことも尤(もっと)もだ、だがこちらは依頼、引き下がるわけには行かない。
「まぁ仕事だし俺はいくけど、どうする?って話だ」
<あら、こんな時間に船が出てる…何かしら
「おい、何かしらじゃねぇだろッ」
こいつ依頼を忘れてんな?
「ヴェルエ!幽霊船だ!行くぞ」
「はいはい、了解よ後輩」
荷物(といっても食い物と上着だけだが)を持ちその他をおいて行く
ヴェルエは窓から飛び降りたようだ。
「ジロー、なんかあったら頼む!」
急いで部屋を出ようとしたその時、ジローはあろうことか俺を止めた
「待て」
腕を捕まれた
「これ持ってけ」
手首にブレスレットを付けられた
「貸してやる、使い方は自分の思うエネルギーを体からそのブレスに注ぐ感じだ」
手を離した
「いってら、死ぬなよ」
ジローはやはり俺の親友のようだった
「ああ!行ってくる!!」
俺はダッシュでヴェルエを追った。
取り残されたジローとラナリア。
ジローはラナリアをベッドへ運び、デザートイーグルに魔力を籠めた
「あのブレスはあくまできっかけか、運がいいのか悪いのか…な」
デザートを片手に窓に手をつき、海をみた。
ダッダッダッダッ
地面を抉るように力を込めて駆ける
昔からダッシュには自信があった、持久力は無いが。
「ヴェルエ!!」
前方に見えたヴェルエに声をかけた。彼女もまた海へ向かい走っている。
「ああ!後輩クンおっそいねぇ」
ケラケラ笑いながら先を走るヴェルエ、これじゃあ何を追っかけてるのか何のために走ってるのか分からない
海に向かってるはずなのにヴェルエとおいかけっこしてる気分だ。
「うっせ!運動音痴なりにがんばってんだよ!!」
というかこれが種族差か、ヴェルエ早すぎる。
海に着いた、依然として沖には幽霊船が浮かんでいる。
「はぁ、はぁ、ぶはー…」
肩で息をする俺にたいして涼しい顔のヴェルエ、うらやましい。
「あれね、うーんどうしようかね…」
二人して周りを見回す。が、何もない…が、ヴェルエの視線は固定され一ヶ所を見つめていた
その視線の先には…
…で
「こんなんで行くのか…」
見つけたのはおんぼろな小舟、ボートとも言う小ささ
「仕方ないでしょ、泳いでいくよりましだし海の魔物に頼もうにももう寝てるし」
「まぁ仕方ないな…」
素直に同意する。仕方ないな、沈まないよう祈るのみだ。
「あんたもちゃんと漕ぎなさい後輩クン」
祈りながら漕ぐのみだ。
ギィ…ギィ…ザバー…ザバー…
海の音、近づく幽霊船。
「どうやら船体自体は幽霊じゃないみたいだ、実体がある」
「そうみたいね」
しかも都合よく梯子が降りてる、ラッキーだ。
「アタシ先いくから着いてこい後輩クン」
「あーいよ先輩」
梯子を上がり船に乗っかる。因みに下着はピンクでした。
船の上は意外にも綺麗な感じでそれでいて朽ちてるっぽい謎な感じの船だった
「で、この船が何だってのかしらん?」
ヴェルエがおどけて言う
「船室に入ってみるか…」
バンッ 船室の扉を蹴破り中を確認する、異状はこれといって見られない。
「ヴェルエ、大丈夫そうだ」
「りょーかい」
二人で蹴破った部屋の先、もうひとつの部屋も見る。
恐らくは位置的に下に続く階段、若しくは一つの個室か…
ギッギィイイイイイイ 今度は普通に開ける
するとそこには個室らしい部屋が
「個人室だったか、船長のものか?」
「みたいね、でも…なんだ?変な感じね」
「…そうだな、俺も思ってたとこ」
そう、俺達が感じた妙な違和感
幽霊船と言うからには朽ちていそう、うん朽ちてた
蜘蛛の巣とか張ってたり立て付け悪くなってたり、うんそんな感じだった
だが、この船…
「「まるで埃っぽくないし、幽霊の気配なんて感じない(っての)な」」
二人の声、感想がハモる。その時後ろから声がした。
「おお、06A型。よく来たな…」
ビクンとヴェルエと俺の肩が震える。
「もっとも呼び寄せたのは私だがな…」
勢いよく振り返るヴェルエと俺
ヴェルエが第一声怪訝そうに聞く
「あんた、誰よ…!」
「おお、私を忘れたか06A型、お前の産みの親だと言うのに…」
研究者のような風貌のジジイは大袈裟に身振りをし言う
どう言うことなのか、ヴェルエはなんのことだか分からないといった感じに眉をひそめた。
「あんたなんか知らないし、だいたい06A型っなにさ。アタシはヴェルエ、ダークエルフのヴェルエだ!」
「おお嘆かわしい、私の最高傑作よ…」
ジリジリと近づくジジイ、こいつはいったい何者なのか。
「やい、ジジイ。お前なにもんだ」
シリアスな場面なんだろうが我慢できない、しゃしゃり出るのは俺のスタイルだ
「んん?なんだお前は、お前をおびき寄せたつもりは無いのだが…まぁいい」
やはり大袈裟な身振りでやれやれといった動きをしたあとジジイは名乗った
「私はジェライン、最高の科学者であり魔物の研究者だ!」
科学者か、似合わねーデカイメガネに白髪混じりのボサ髪を後ろでまとめた感じ
白衣に、顔にはソコソコのシワとクマ
「ジェライン…?やっぱあんたなんか知らない。で、あんたがこの幽霊船事件の黒幕みたいだね」
ジェラインと名乗ったジジイを睨むヴェルエ
「そう睨むな、幽霊船もなにもお前をおびき寄せるための罠よ」
罠、ジジイはそう言ったのか。なれば俺はイレギュラーと言うことか。
「わざわざエトリアギルドに依頼を送ったのもお前がエトリアギルドに所属していたからぞ?唯一の成功例であるお前が逃げてからと言うもの、私の研究人生は色を失った!!故に探していたが…」
ギラリと光ったのはメガネかジジイの瞳か
「今は違う。お前に見せてやろう、お前の妹。09C型!!」
ジジイが吼える、すると天井をぶち破って入ってきたナニカ
それは黒い鎧を、いや服か?それとも生き物?とにかく黒いナニカを身に纏う…エルフだろうか?
「お前の妹だよ06、新たな成功例だ…!私はお前たち成功例が戦いあい優劣を競うのが楽しみでしょうがない!!さぁ見せておくれ私に!!いけ09!!」
黒いナニカはヴェルエに襲いかかった。
「くっ、なんだっての…!」
黒いナニカの剣を避けつつナニカの脇腹に蹴りを入れた
纏う何かは意外にも硬いらしく、体の芯を捉えた筈だが効いている様子はない。
「!!!」
反撃と言わんばかりに09と呼ばれた塊は反った片刃の大剣を横に薙いだ
「かったいなーもう!!ならっ」
ヴェルエが飛び上がり剣を避け首根っこに鋭い蹴りを入れた。
ゴッ!! 鈍い音、しかし塊は怯まない
「あんたも戦ってよカヤ!!」
「すまないっ!」
解ってはいるがあまりに無敵すぎてどうしようもない
あるのは拳と…ジローに借りたブレスだけ。
あの黒い鎧みたいな塊は多少の衝撃や斬撃は跳ね返せるらしい
「くっ、これなら!!」
ギンッ カランカランッ
現にいまヴェルエが放ったナイフは弾かれてしまった
硬い鎧を拳だけで…
「ん…いや待てよ、硬い鎧?」
魔力と言う可能性もここにはある、なれば。
「ヴェルエ!!ソイツを転ばせてくれ!!」
そこには勝機がある!!
「はぁ!?チッ、簡単に言ってくれちゃって…!」
文句がこぼれるしかし
「アンタにかけるんだから!上手くやってよね!!」
肯定してくれた、あとは!!
「カッカッカ、無駄無駄ァ09はただの斬撃や打撃じゃ死なんぞォ!!それこそ勇者や魔王クラスの魔術や剣撃でもないかぎりな!!」
通路の奥、09が守る先でジジイが喚く
「そりゃあどうかな!?」
負けじとこっちも叫び返す、するとヴェルエを追って放った剣撃に体軸のぶれた09。
そこを見逃さずすかさず足に蹴りを入れるヴェルエ。見事09は転けた、仰向けに。
「さあ行きな、カヤ!!!」
起き上がろうと地に手を突く09に俺は馬乗りで飛び乗った
「いっくぜぇ!!」
その昔、刀が意味を成さない間合いでは柔術や空手と現代で呼ばれるものを使い
武者たちは合戦を戦い抜いたのだという
硬い鎧、拳の間合い。加えて相手は鈍重と来ている、ならば!
俺は09の胸元に左手を添える
「くっらえぇぇぇぇぇええ!!」
09は俺に剣を振ろうと、それとも振り払おうとしたのか、じたばた暴れる。
ガゴォン!!!!俺は魔力を込めて胸元の左手に右手を打ち付けた、戦場(いくさば)の術、鎧抜きである。
ビクンっと体全体が数回震え、どさりと四肢は地面に落ち09は動きを止めた。
「ハァハァハァ…あー怖かった…」
正直汗びっしょりだ、死の恐怖ってのか
ヴェルエと俺がジェラインに向き直る
まず俺が口を開く
「さぁジジイ、次はお前だ…」
次にヴェルエが続いた
「洗いざらい吐きなさい…」
これではどちらが悪か分からないな
狼狽えた様子もなくジェラインはこちらを見つめ、言葉を放つ
「まさか09が06でもなくただの人間に殺られようとはな…」
殺してしまったのか…?僅かな後悔と不安が過(よぎ)った
「さぁジジイ、逃げ場はないぜ…大人しくしな」
しかしそうもしてられない、このジジイにはまだ聞きたいことがある
「カッカッカ、退路を確保していないと思ってか!この船を用意したのは私ぞ?」
そういって取り出したるは鈍く光る赤茶色い石
「じゃあな人間に、06。また迎えに来るぞ!」
言って石を軽く放ると石が急に光出した!
ピカッ!!一瞬目を反らした隙、ジェラインは居なくなっていた。
「チッ、転移系の魔術か…」
とヴェルエが呟く、そうだった。相手も魔力を使うんだった。
とにかく、幽霊船事件は解決したのだ。帰ることとする。
出口に向かい歩き出したときガッと足を捕まれた
「カヤ後ろ!!!」
ヴェルエが叫び声をあげる
「…!!…!!」
09はまだ生きていたのだ!それも敵意剥き出しで
「くっそ!!このやろ!!」
基本的搦(から)め手の俺に咄嗟の正面戦闘は難しい。
焦り足を掴む手をほどこうとしたその時
バァン!!! 炸裂音が響き09が崩れ落ちる。
驚き炸裂音のした方を見る
「お前…」
そこには銃を構えたジローが立っていた
「戸惑っちゃダメだ、死ぬぞカヤ」
冷酷に告げるジロー。
天井に空く穴から差し込む光は薄紫色の朝日だった……
づづぐ
14/01/23 04:05更新 / キムカヤ
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