セカンドヴァージン
頭を礼慈に預けながら、リリは呼吸を整える。
「おかしい、でしゅ。お兄さまにさわってもらうとうれしいのに、ビクンってなったあと、すごく、さびしいです。おかしいれす」
「それは……」
「お兄さまとずっとはなれたくないよ。もっとさわってほしい……」
懇願するような声に、礼慈はリリの体を自分の方に向けさせた。
「そんなふうに思うのは、リリの体が精を欲しがっているからだ」
「せい……」
やはり記憶が失われているのだろう。リリの反応はその言葉自体を理解していないものだった。
「おかしくなんかないってことだよ」
とろんとした目を見つめて言い聞かせると、彼女はほっとしたように笑み、
「あの、せいってお兄さまがもってましゅか?」
「なんでそう思う?」
「だって、もっと、もっとずっとお兄しゃまにしゃわってもらいたくて、ほしいから、お兄さまがせい、もっているのかなって」
「賢いな」
「正かいですか? やた。お兄さま、ほしい、ほしいです。おまたもあたまも、おかしくなりそう……」
そう訴えてくるリリの様子は酔いの影響と、経口の粘膜接触があったためだろう。昨日発情していた時と同じに見える。
「ああ、すぐに楽にしてあげるからな」
応じる礼慈自身も昨日陥っていたのと同じような状態になっていた。
すなわち、リリを犯したいという抗いがたい衝動が全身を焦がしている。
理性はここまでの間に交わされたやり取りによってグズグズに崩されてもう止まれない。礼慈は昨日と同じように、いや、昨日よりも更に積極的な気持ちでリリの頭をそっと押しのけて彼女のエプロンドレスをめくり上げた。
無抵抗に陰部を露わにされるリリの頬を撫で、次に自分のスボンに手をかける。
これから小等部の女の子にしようとしていることはいけないことだと、未だ社会通念上優勢である理屈では理解している。しかし、感情の面ではその行為に対する忌避感はほとんど消滅していた。
それは、リリの家族から認められたからという事情もあるが、それ以上にこれほど可憐なものが行為による助けを求めているのだ。それを為すことになんの否があるだろうか。という想いが強かった。
チャックから取り出した礼慈の陰茎は、既に昨日並にいきり勃っていた。
目の前にある濡れた幼い秘裂に本懐を果たす瞬間を今か今かと待ちかねて、陰茎はだらしなく期待の雫をこぼしている。
荒くなる呼吸を抑えることもできないまま、礼慈は片手を陰茎に宛てがい、もう片方の手でリリの秘裂をくつろげた。
礼慈に弄られて充血した陰部はヒクヒクと蠢いていて、その奥からは滾々と愛液がこぼれ出していた。
幼いながらも準備はできていると伝えてくるソコに、陰茎の先端を押し付ける。
クヂュ、という音が触れ合った場所からやけに大きく聞こえる。
小さな入口は肥大化した亀頭を飲み込みかねるのか周りの媚肉を突っ張らせていたが、亀頭の位置を整え直して強く腰を押し進めると、先端は割り開く、という感触でもってりりの膣内に埋まった。
リリの膣内は相変わらず狭く、その中を進んでいくのはやはり体の中を掘削していくというイメージだ。
柔肉を圧し拡いているという感覚は礼慈に性的な興奮の他に雄としての満足感を与えてくる。
「んぁ……っ」
「――っ」
リリの漏らす声がその感覚をより盛り上げ、礼慈は位置を定めた自分自身から手を離し、両手で彼女の腰を掴んで引き寄せた。
亀頭が埋まり、狭い膣肉を蹂躙していく。
と、ほんの僅か陰茎が進んだ先で違和感があった。
狭い膣内。その中が更に狭まって、陰茎の侵入を妨げているのだ。
子宮口まではまだ距離があるはずで、そして礼慈はリリの体のこの位置にあったものに思い当たるものがあった。
(……え?)
それは昨日礼慈が無残にも突き破った為に既に存在しないはずのもので、
「――――ッ!」
そして、それが存在していたのだとしても、興奮しきっている礼慈の挿入を止める要素になり得なかった。
メリッ、
確かにそんな音が陰茎の先から伝わってきて、達成感と共に、陰茎は更に先へと柔肉を掘削していく。
が、
「ぁ、あ"あ……ッ」
「――?!」
リリの悲鳴と共に、彼女の膣内が強烈に締まった。
肉壁全体が陰茎を潰そうとでもするかのようにギチギチに閉じ合わされてくる。
それでも奥へと突き進んでいく陰茎は、半ば程まで埋まったところで行き止まりにぶち当たった。
「――ひぐ……っ」
リリの鳴き声には体の中から襲う衝撃に対する戸惑いの他に、艶っぽいものも含まれているような気がしたが、その声音を改めて聴く余裕はなかった。礼慈が小突いた子宮口が鈴口に吸い付くようにキュッ、と窄まったのだ。
「ああ、あ、あ……ッ」
同時に膣壁の締め付けが陰茎を押し潰しながら吸い上げるように蠕動した。
「――ッ」
昨日、小さい口で思いっきり吸い上げられた時のような吸引に加えて全力で握り潰されるような肉壁の圧を受けた礼慈は、陰嚢に漲る精を無理やり搾り上げられた。
「――ッ!」
膣壁に狭められた尿道をドロッとしたものが駆け抜けていき、亀頭が子宮口をこじ開けようとするかのように膨張して一拍――
礼慈はリリの膣内に射精させられていた。
「――――ッ?」
口から快楽と焦りを混ぜ合わせたうめき声が出る。
「お、にいさ――ぁああああっ!」
リリが応えるように鳴いて、膣内の蠕動が激しくなる。
もっともっとと底無しにねだるような吸い上げと、侵入者を同化してしまおうとでもするかのような締付けは、搾り取る。という形で礼慈に精を吐き出させている。
あまりにも強い刺激に陰茎以外の感覚が希薄になっていき、相対的にリリの存在が大きなものに感じられた。
圧迫し、吸い上げる動きは、その大きな存在が陰茎から礼慈のことを取り込もうとしているような印象を寄越してきて、精を搾られる礼慈に昨日膣口と膣壁と子宮口の圧迫を受けて精液をせき止められた時以上の恐怖を感じさせた。
かといって逃げようという考えは起きず、体も刺激に翻弄されていて、膣内で怒張する性器以外には力が入らない。腰を掴む握力すらなくなり、己の体を支えることすら難しくなった礼慈は、テーブルの上に身を乗り上げてリリの上に覆いかぶさり、手近にある小さい体にしがみついた。
恐怖を煽り立てられている中での抱き付きは、縋り付くといってもいいものだった。
華奢な体に縋るように力の入らない両腕を回して首元に頭を押し付けて、自分の体があることを確認する。
自分自身が搾り取られていくのをやめてくれとも、最後までやってくれともいえる気持ちで甘受しながら唾液を垂らして喘ぐ礼慈は、不意に頭の上に来た感触に体を固くした。
その感触は髪をかき混ぜながらゆっくりと頭をリリの胸へと誘導していた。
これは彼女の手なのだと、胸に顔を押し付けた礼慈は気付く。小さな掌による頭への愛撫は休むことなく続き、そこにかかる微弱な力に従うように、礼慈は頭から力を抜いてリリの平坦な胸部に預け続けた。
押し付けた顔を通して彼女の鼓動が伝わってくる。
早鐘のように打つそれは、礼慈の身の内で暴れ回る心臓が刻む音と同じものだった。
同じ音を刻んでいるという意識と、礼慈の形を確かめ、また宥めるように動く掌に安心を思う。
感覚の集中する陰茎への刺激が増える中で礼慈の心はゆっくりとではあるが、落ち着きを取り戻しつつあった。
恐慌から自分を取り戻した礼慈は、頭を撫でてくれている掌が細かく震えていることに気づいて愕然とした。
(ああ……)
礼慈にとってはこの性交は二度目の交わりとなるが、アリスであるリリにとっては初めての記憶となる。
自分の中に別人の肥大化した一部が自分を割り開くように侵入してきて、その直後に体の内側が引き千切られる処女喪失の痛みがあり、その後にオーガズムに達するというところまで彼女の意識としては初めての経験となるはずで、未知の感覚を彼女もうまく処理できていないはずなのだ。
その刺激の洪水は、礼慈自身が味わっているので断言できるが脳の処理を越えており、恐ろしささえ感じるものだ。
事前に知識もあって、昨日の記憶もあるのである程度覚悟もできていたはずの礼慈ですらこのザマなのだ。
知識もなく、酔って発情している状態とはいえ半熟といっていい性器に挿入されて、体内を抉られている側のリリはきっと礼慈が感じているものよりも強い恐怖を感じているはずだった。
絶頂の痙攣にまぎれてわからなかったが礼慈を宥めようとする手から伝わる震えが何より、彼女もまた未知の感覚の奔流に翻弄されているのだと伝えてくる。
そのような中で、リリは縋り付いてくる礼慈に手を伸ばしてくれたのだ。
もとより、リリは自分に問題が発生してもそれを内に溜め込んでしまう娘だ。だからこそ、出会いの時に彼女は泣いていて、その顔を見るに忍びないから、
(俺の前でくらいは我慢しなくていいようにしたいと考えたんだけど……)
それがどうだろう。自分のことで手一杯になって、リリには我慢をさせてしまっている上に逆にリリに大丈夫かと宥められている始末だ。
なんというか、生き物としてリリに敗北している気分になる。
だが、今はリリが自分と同じかそれ以上に不安を感じているだろうことに気づくことができた。
ならば、
礼慈はしがみついていた手を解いた。
頭を撫でていたリリの手が戸惑ったように止まる。
これ以上の不安を与える前にと、礼慈はリリの背に腕を回し直した。
今度は、しっかりと力を込めて、それでいて優しく、包むようにリリの背に掌を滑らせる。
それは精を放出する動きによって時折細かく痙攣しはするが、撫でるという形になっていた。
自分はもう大丈夫だと、そして今度はリリの中で爆発しているであろう今の彼女にとっての未知の感覚が咀嚼できるまでを支えたいと、そう伝えるつもりの労りだった。
それをした途端、礼慈の体が僅かに沈み込んだ。
薄いなりに力が入っていたリリの体から力が抜けて、強張りが解けた分彼女の体に沈み込んだのだ。そして――
にゅるん。
そんな感触をもって、陰茎がより奥へと這入り込んだ。
激しさは収束しつつあるとはいえ、吐精を続ける陰茎が小さくなったわけではない。
膣内に放たれ膣内で分泌された淫液が潤滑液となったのか、それとも子宮口が陰茎の圧力に屈してしまったのか。理由は判らないままに、礼慈は子宮内に到達し、一息の間にリリの最奥――子宮底を押し上げていた。
「――――ッ?!」
突然これまで先を阻んでいたものがなくなり挿入が果たされたことに礼慈は驚いた。
驚くべきことは他にもある。
礼慈の陰嚢はリリの尻臀に密着して、その薄いながらも張りのある肉に精の生産を応援されている。それはつまり下腹部同士が密着し合っているということで、
(……全部……入ってる?)
昨日はリリの体を開拓するように突き刺すまでは八割ほどしか入らなかった陰茎が全て埋まっている。
昨日のアレでリリの体はこんなにも変わってしまったのだろうかと、罪悪感と征服感をまぜこぜにしたような思いを得て、それに対して何かを思いかけた時、礼慈は胎の中で包まれている自分を感じた。
この感覚には朧げだが記憶がある。
昨日、射精を塞き止めていたリリの体が絶頂で緩んで礼慈の精を胎に受け容れた時だ。あの時はあまりの気持ち良さと開放感に礼慈の意識も吹き飛んでしまったが、
(そう、あの時もこうやってリリの中が密着してきて……)
あの時の通り――いや、それ以上の奉仕がリリの体の中で行われていた。
子宮底が、突き立てられている亀頭を柔肉で包んでいる。膣内の強烈な締め付けは礼慈がリリを抱き、撫で始めた辺りから緩んでおり、それでも内側から圧し拡げている状態であることには違いがなかった。しかし、彼女の奥底はそうされなくてはならない程狭いという未熟さを一切感じさせない舐め回すような愛撫をもって陰茎の子宮到達を歓迎した。
あれ程固く閉じていた子宮口も、今では礼慈の形を確かめるようにきゅっきゅっ、と閉じては開いてという動きを繰り返している。
膣口から子宮底まで吸い上げの動きは緩くなったものの続いており、一番奥まで礼慈を受け容れての一連の動きの変化は、より深い密着を望んでいるかのようだった。
その頑なで、だが慈しみを感じさせる吸着は、小さくなった自分の全身がリリに抱擁されているかのような錯覚を礼慈に与えた。
強すぎる刺激もなくなり、相手を気遣う献身的な愛撫が二人の間で交わされる。
求めながらも不慣れな体故にうまくいかなかった交わりは、今ここにあるべき形になる。
通じ合った。
そう思えた瞬間。礼慈の奥から射精欲が湧いてきた。
淫魔の体に強制的に汲み上げられるものではない。礼慈の中の劣情が純粋に煮詰められ溜まっていく欲求。それが放出される準備が礼慈の中で整いつつあることを解っているかのようにリリの中は愛撫のペースを早めた。
「お、おにいさま……もう、もうわたし……っ」
「……っ、出るから、もう少し……っ」
絶頂が近いことを訴えてくるリリに耐えてくれと言いながら、礼慈は彼女の体を抱き直した。
体の位置を上げ、赤い顔に涙を浮かべて絶頂の瀬戸際に踏みとどまっているリリの顔を見る。
その顔に口を付けると、リリが待ちかねたように舌を礼慈の口へ潜らせてきた。
リリの香りが口に広がる心地よさに思わず腰が引き攣る。
ぴったり合わさった性器が更に奥を求めるように下腹部が捩られた。
思えば、これがこの最奥まで達した挿入後の初めての礼慈からの刺激を与える動きであり、亀頭を押し付けた底を押し込むよう突かれたリリは加えられた一押しに絶えられず――爆ぜた。
「ん――っむぅぅぅう!」
子宮底が亀頭を包み込むように内部をうねらせて先端を擦る。同時に柔肉の愛撫がその動きを一瞬止めて、締付けと、次いで吸い上げを行ってきた。
ぎゅうぎゅうという締め付けに恐怖を感じることはもはやない。礼慈にただ気持ち良い放出を促そうとするためのリリの動きに、礼慈は溜まった射精欲を逆らうことなく吐き出した。
「――ッ」
「ひああ……ッ!」
勢いよく中で跳ねた陰茎に驚いたのか、リリが口を離してもう一度絶頂の鳴き声を上げる。
「――――ぁ、あったかい……せい……おにいさまの……もっと……」
そんなうわ言を言いながら体をビクッと震わせる彼女の髪に溺れて、礼慈は安心感と多幸感に包まれた射精を続けた。
●
リリに全体重をかけるようなことが無いように注意しつつ、礼慈はリリの体を抱きしめ続けていた。
迎えた絶頂は相当の高みにまで彼女を連れて行ったのか、高い悲鳴を上げた後も、小さい体は断続的にヒクついて、礼慈を抱き返す腕や尻尾にも震えが走った。
その間も長々と吐精し続けた礼慈は、流石に出すものを出し尽くしたのか、リリの中で時折慄いてはいるものの、空撃ちの状態だ。
リリの方でも礼慈の状態を正しく認識しているのか、包み込んでいる中は射精を促すものではなく、精の放出を労るような優しい、ただ触れるという形で寄り添ってくれていた。
抱きしめているつもりだが、自分自身が抱きしめられているような全身に及ぶ安心感もあり、放出の後の気だるさが最高に心地良かった。
もっと年上然として頼りがいのあるような振る舞いをしていたいのだが、なれないことはやはり上手くはいかない。
こんな現状だが、力尽きてリリを下敷きにしてしまっていた昨日よりはマシなのは間違いない。そこに少しの救いを見出して、礼慈は最後に強めにリリを抱きしめてから、ゆっくりと身を起こした。
陰茎が胎の中を擦り、膣内を下ってくる。
膣口の締りが精の残滓をリリに捧げさせ、出し切ったのにまだ威容を保っている陰茎を引き抜いた。
礼慈の形に広がった性器から、とろりと愛液と僅かな精。そして破瓜の血が混ざり合った液体が伝い落ちた。
処女を二度散らしたという間違いのない証。それを目の当たりにして、礼慈ネハシュが言っていた「正真正銘。君が初めてのお相手」という言葉を思い出す。
アリスの体は性交を行っても処女膜を再生するということを遠回りに伝えていたのだろう。
呼吸と共に膣口をヒクつかせて中の体液をこぼしたまま絶頂の中で気も失ったのか、穏やかに眠っているリリを眺めていると、幼い子と何やかやと理由をつけて交わったという罪悪感と、自分の中に確かに存在して否定しようのない満足感とが重なった、快とも不快とも言い難い重さが胸にくる。
これからリリとそういうことをする時には毎回膜を破ることになるのかと思い、いやいや、と自分の思考に突っ込む。
(毎回って……)
ただの相談相手兼友達であるはずだった自分が思い浮かべた考えに自嘲の笑みが浮かぶ。
精を求めているリリを楽にさせてやりたいとカッコつけておきながらあのザマだった自分にリリの処女を散らし続けるなんてことが許されるのだろうか。
(こんなんでお兄さま、なんて呼ばれていいのか……)
ネガティブな方向に流れていこうとする考えを良くないと思いつつ、どうにも歯止めが利きそうになかった。
無意識の内に酒を求めて手を伸ばした水筒にはもう酒は残っていない。
「落ち着け落ち着け」
口に出して自制しようとしていると、「クシュン!」とくしゃみが聞こえてそれまでの考えがまとめて吹き飛んだ。
くしゃみの主はリリだ。
服を着たままコトに及んでいたとはいえ、エプロンドレスはめくりあげている。秘密基地は日が差し込まない場であるため、この季節、夕方ともなれば多少は冷え込む。今日は掃除で汗もかいたし、ほとんど動きのない交わりだったとはいえ、体の中や感情としてはかなり揺さぶられて当然汗もかき、それ以外の体液が下肢を濡らしてもいる。体が冷え込むのも当然だろう。
(……とりあえず、家に連れて行かないと)
昨日もこんな感じだったなどと思いながら、礼慈はリリの体を拭いてやって彼女を背負い、荷物を持って秘密基地を出た。
18/12/21 23:47更新 / コン
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