後編
三矢が二、三歩後ろへ下がる。目の焦点は俺に合ったままで、俺はその体をこっそり愛でつつ、今から起きる何かを待っていた。
息を大きく吸い込む音が聞こえた。だが次の瞬間、その音はかき消される。
「かーッ飛ばせェー! シーンーゴ!」
その大声は俺の腹にドンと響いた。応援団の先頭に立つときの三矢の声とは何かが違う。音量は凄まじいが耳を劈くようなものでははなく、何か揺さぶられるような感覚があった。
「シーンーゴ! シーンーゴ!」
あさぎ色の翼を派手に振り回しながら、三矢は俺の名を叫ぶ。燃え上がるようなものがこみ上げてきた。試合中に感じるような闘志だけではない。心を焦がすようなじりじりした感覚だ。
ふと、三矢が言った『特別な応援』というフレーズを思い出す。同時にセイレーンの生態も。
「魔声……!」
セイレーンは歌声に魔力を宿す魔物。きちんとしたリズムで放たれる応援のかけ声に、歌と同じ力があっても不思議ではない。こいつの普段の応援に籠った力もそのせいかもしれない。そしてセイレーンは気に入った男のためだけに、特別な歌を捧げるという。
自分の股間に目をやってみると、そこはすでにズボンを押し上げるくらいに勃起してやがった。
「かーッ飛ばせェー!」
応援を続けながら、三矢は熱っぽい目で俺の股間を見ていた。まとわりつくような視線で。
俺の中に生まれた熱が股間へ集まっているような気がする。今すぐモノをしごきたいが、それでは収まらないことが勘で分かっていた。
「シーンーゴ!」
声は俺の心を激しく揺さぶり、焦がしてくる。焦燥感のたぎる俺を見て、三矢は叫び声の間に舌なめずりをした。八重歯の可愛い口でなんとも魔物らしい表情をしている。それを見た瞬間に、溜まったものが弾けとんだ。
「三矢ぁぁ!」
即堕ちというやつだろうか。俺は三矢を取り押さえるようにして抱きしめ、魔声を出す口を自分の唇で塞いだ。一瞬苦しそうに身をよじらせた三矢もすぐに俺を受け入れ、甘えるように抱きついてきた。ふわふわの羽が首の後ろに擦れる。
そして唇の感触。男勝りなのになんでこんなにぷるぷるなんだ。舌で舐めてみると三矢も舌を出す。舌同士が触れ合い、じゃれ合うように舐め合う。
彼女の肌も気持ちよかった。はだけた学ランの内側に手を潜り込ませてみると、汗ばんだ肌が掌に吸い付くようだった。おへそや脇腹、そしてさらしの巻かれた控えめな胸をなで回し、柔らかさに酔いしれる。
「んっ、ちゅ……ふふ……あはは……♥」
くぐもった息と笑い声を漏らしながら、三矢は俺の口に舌を差し込んできた。小さな舌だ。ねっとり絡め合うと、今度は三矢の口に舌を入れる。
甘い香りが口一杯に広がった。三矢の肌からも同じニオイがしている。柔らかい羽毛からもだ。香水をつけているとかガムを噛んでいるとか、そういうニオイとはまるで違う懐かしいニオイだった。
「ぷはっ……へへっ♥」
息継ぎのように唇が離れ、三矢は得意げに笑った。あたしの声は凄いだろ、とつり目がちな表情が言っている。可愛い。
「三矢の……」
三矢のニオイがする、と言いかけた瞬間、こつんと額をぶつけられた。
「三矢じゃないだろっ。あ、あたしはシンちゃんって呼んでるじゃないか……♥」
気恥ずかしそうに告げられた言葉の意味を、数秒間を置いて理解した。
「……さゆり」
「そ。名前で呼んで……♥」
ぽーっと赤くなった顔で微笑み、彼女は急にその場に屈んだ。俺の股間の前にさゆりの顔がくる。
「へへっ、膨らんでる上に汁も出てるぞ♥」
「うぐっ……」
さゆりの言う通り、いつのまにか先走りの液がズボンの上まで染みてきていた。にやけ顔の鬼セイレーンに見上げられ、恥ずかしいと同時に何か興奮してしまう。
「ちゃーんと気持ちよくしてやるからなっ♥」
八重歯を見せながらのウィンクがあざと可愛い。さゆりは唇を小さくすぼめたかと思うと、俺の股間部……ズボンのチャックに口をつけた。舌と唇で上手くそれを咥え、口でゆっくりと降ろしていく。開いたところに口を埋めて、パンツも同じようにずり降ろされる。
最大限に勃起していた竿はバネ仕掛けのように飛び出した。先端がさゆりの鼻先を掠める。
「あははっ、ビンビンじゃん♥ あたしの応援で気合い入っちゃったんだ♥」
さゆりは笑いながら翼の手をペニスに添えてくる。ふわっとした羽毛で敏感なところが包まれ、途端に快感がこみ上げてきた。まだ出してしまうほどではないがかなり気持ちいい。
「す、すげぇ、ふわふわだ……!」
「なんか先っちょのヌルヌルが凄いんだけど。あたしの羽、そんなに気持ちいい?」
「あ、ああ……でも羽、汚れちまうぞ?」
「汚してほしいんだよ♥」
不敵な笑みを浮かべたかと思うと、わしゃわしゃと激しく羽を擦り付けてきた。温かくふんわりした羽毛が先走り液で次第に湿り、まとわりつくような感触になっていく。亀頭は優しくくすぐられ、竿部分は強くしごかれ、時々玉の方までくすぐられる。
さゆりの『応援』は俺を欲情させるだけではなく、敏感にしていたのかもしれない。さっきのキスだけでペニスは射精の準備を始めていた。さゆりの熱い視線を受けながら、俺はこのまま精を漏らしてしまうのだろう。というより射精させてほしい。そうすればどれだけ気持ちいいだろうか。
「シンちゃんてば、イきたくてたまらないって顔してるな♥」
「気持ちよすぎるんだよ……! だ、出していいんだよな?」
「その前にさ、ケータイ持ってるよな?」
さゆりの意図を察した俺は素早くポケットから携帯を取り出し、カメラを起動した。この黒見坂南高校には、魔物と恋人同士になった男子は彼女のエロい写メを撮る習慣がある。誰が始めたのかは分からないが、魔物達にとっては『自分の痴態を彼氏のポケットに納められる』というのがたまらないらしい。
形態の小さな画面に映し出されるさゆりの顔。張りつめた肉棒をあさぎ色の翼で刺激する姿を、ボタン一つ押せば記録に残せる。だがその直前。
「かっとっばせー♥ シーンーゴ♥」
音量を下げた甘ったるい声で、さゆりは応援してきた。蕩けるような声が体を内側から犯してくるようだ。俺のバットはそれに応え、一気にこみ上げた。
「で、出るーっ!」
叫ぶのと、携帯のボタンを押すのと、イくのは同時だった。勢い良く迸ったそれがさゆりの顔面に直撃する。だがべちゃっと音を立ててその顔を白濁まみれにしても、まだ脈打ちが続いていた。
さゆりはあむっとペニスを咥え、後から溢れてくる精液を吸い出し始めた。温かい口の中が心地よく、まるで精液専用のおむつを穿かされたような気分だ。
「んんっ♥ 濃い……美味し……ちゅるっ、じゅるる……♥」
舌先で鈴口をチロチロとくすぐり、尿道に残った精液まで吸っていく。俺はいつの間にかさゆりの頭を手で押さえ、股間に押し付けていた。だが彼女は最後に一際強く吸うと、ちゅぽんと音を立ててペニスを離した。唾液まみれのペニスが夜風に晒され、寂しさを感じる。
さゆりはこんがり日焼けした顔一杯に白い液体を浴びていたが、全て羽で拭いて舐めとってしまった。俺の出したものがさゆりの舌に捉えられ、口へ運ばれていく様子がたまらなくエロい。
「ふぅ〜。シンちゃんの、美味しい……♥ 写真、撮れた?」
「と、撮れ、た……」
息を整えながら、携帯をさゆりに見せる。ほとんど偶然のタイミングだったが、ぶっかけた瞬間の写真がしっかり撮られていた。さゆりは少し恥ずかしそうだったが、満足げに頷いてくれた。これは帰ったらバックアップを取らないと。
と、丁度そのとき携帯が鳴った。メールが届いたようだ。
差出人は黒田。あいつは日下先生に生徒指導室で搾られていたはずだが、もう終わったのだろうか。そう思いながらメールを見て、「ああ、こっぴどく搾られたんだな」と納得した。
巨乳を(おそらく黒田の)精液でべとべとにした日下先生の写真がついていたからだ。
その下には「先生の指導サイコー」の一文。一回射精したせいか少し頭がすっきりした俺は、こっちからも今のさゆりの写真を送ってやろうと思った。
しかし。
「シンちゃん、あたし、その……もっとイチャつきたいな♥」
こんな風にお願いされれば、そっちを優先するしかない。そもそも頭はすっきりしても股間は勃ったままだし、心もさゆりを求めていた。
「ほら、攻守交代してやるから……♥」
さゆりは翼の爪で学ランのベルトを外し、ゆっくりとズボンを降ろした。その瞬間、中から湿った空気と一緒にいやらしいニオイがむわっと広がる。すらりとした奇麗なふとももが露わになるが、俺はそれより上……股間を包む、ピンク色のレース生地ショーツに目を奪われた。
「に、似合わないかな……?」
さゆりが恥ずかしそうに俺の反応を伺っている。
「あ、あたしだって女なんだぞ。シンちゃんの前でくらい、可愛いのを……!?」
俺は言葉が終わるのを待たず、そのパンツに手を触れた。今度は俺がさゆりの足下に屈んでいる。掌に感じたのはあったのはさらさらした布の感触ではなく、じっとり濡れたそれだった。ぬるついた液がさゆりのニオイをぷんぷんさせながら、ふとももまで垂れている。薄い生地はその液のせいで透け、液の源である割れ目の形を表していた。
その割れ目に、布の上から指を這わせる。
「ひぅぅっ♥」
そっとなぞっただけで、さゆりはぴくんと体を震わせた。さらにねちっこくそこを責めてみると、果汁がとろとろと流れ出てきた。
「んぁぁっ♥ だめっ♥ ちょ、やぁ♥」
普段あの大声を出している口から、蕩けるような声が垂れ流されている。駄目などといいながら頬は緩み、俺にされるがままだ。
空いている手をさゆりの後ろに回し、触りまくる。奇麗な尾羽、ぷにぷにのお尻を堪能するうちに、股間が熱くなっていった。さらにパンツの中に手を突っ込み、直接触る。
「はぅっ♥ し、シンちゃんの指……入ってる……♥」
頭にぽたりと水滴が落ちるのを感じた。雨かと思ったが、見上げるとさゆりの緩みきった口元から唾液がこぼれただけだった。
さゆりのソコはとても柔らかく、指を入り口辺りに入れると愛液のとろとろ感がとてもいやらしい。指をパンツから出すとねっとり糸を引いた。
「下着、ぐちょぐちょだぜ」
「だ、だって発情期だし……シンちゃんがぁ……♥」
自分からズボンを脱いだくせに恥ずかしがるさゆり。それを楽しみながら、俺はその勝負下着をゆっくりと降ろしていった。大量の愛液がまた糸を引く。
魔物の股間には毛が生えない。つるつるの割れ目が露わになり、そのニオイが鼻をつく。俺は欲望の赴くまま、その大事なところを指で開いてやった。
「ひゃん……♥」
「おおおぉ……!」
俺は思わず感嘆の声を上げてしまった。ぬめりを帯びたピンク色の中身は想像していたよりずっと淫らで貪欲そうで、甘いニオイがした。それが決め手となり、いよいよペニスの疼きが我慢できなくなる。
「あっ……」
さゆりのお尻を支えて体を抱き上げると、彼女も翼で俺に抱きついてきた。
「ハーピー族って、本当に軽いんだな……」
「ん……♥ そう、だよ。骨がハニカム構造になってたり、軽くて頑丈な体なんだよ」
潤んだ目で俺を見つめ、続いて下を見下ろすさゆり。そこには極限まで怒張した俺のペニスと、愛液と甘いニオイを垂れ流すさゆりのソコがあった。
「シンちゃんがトロトロにしてくれたから、挿れたらきっと気持ちいいぞ……♥」
「俺のはお前を気持ちよくしてやれるかな……?」
「指でも気持ちよかったぜ♥ だから、ほら……♥」
ペニスの先端に狙いを定め、さゆりは腰を降ろしてきた。ぬるっとした感触を亀頭に感じたかと思えば、そのままするすると奥へ入っていく。
「ふあぁぁ♥ 入って、きてる……シンちゃんのが……♥」
「うおっ……気持ちいい……!」
さゆりは目を閉じて夢心地の表情だが、俺も脚から力が抜けそうなほど気持ちよかった。それはもう蕩けるような快楽だ。さゆりの中はとても熱く、つゆだくの蜜壷がねっとりと絡み付いてくる。締め付けながらも奥へと導くように。
「あ、あ、ァん……き、きた、奥まで……♥」
一番奥に亀頭が当たったかと思うと、中全体がきゅっと締まった。同時にさゆりの脚が俺の胴体を強く挟み込み、抱き合ったまま腰を上下させ始める。
「んっ♥ はっ♥ ひゃん♥ へへっ♥ 気持ち、いぃ♥」
喘ぐさゆりと目を合わせながら、俺も下から突き上げる。つゆだくの蜜壷が肉棒を締め付け、気持ちよく包み込む。さゆりが腰を降るのに合わせ、中がゆっくりとうねっていた。人間とは違う生き物に挿入しているのだという実感が湧いてきた。
「くっ、これは……♥」
「あんんっ……イくなら、はぁ♥ 一緒、に……♥」
魔物の体は人間に最高の快楽をもたらすという。確かにその通りだ。
だが俺がここまで気持ちいいのは別の理由だ。
気になっていたのに、意地を張り合って喧嘩別れした幼馴染みのセイレーン。
離ればなれになっても俺のことを思ってくれていたセイレーン。
後ろから力強く応援してくれるセイレーン。
三矢さゆりと一つになれたことが、俺に取って最高の快感だった。
「はぁっ、だ、出すぞ、さゆり!」
「うんっ♥ きて、あたしももう……あはぁ♥」
強く抱き合いながら、この出会いを心から喜び……俺は射精した。
「さゆり、さゆりッ……!」
「シンちゃんっ……♥」
互いの名前を呼んで、涙を流す。さゆりの声を最後まで楽しみながら、膣内へ迸らせていく。彼女の体も震えて中が強く締まり、それが射精を長引かせた。
頭が真っ白になる。気持ちいい。さゆりが気持ちいい。さゆりの体が気持ちいい。さゆりの声が気持ちいい。さゆりとの思い出が、愛情が気持ちいい。
「はぁ……はぁ……はぁ……♥」
抱きかかえられたまま、さゆりは荒く息を吐いていた。激しい快感で脚がふらつき始めた俺は体育館の壁によりかかり、何とか体を支える。
俺をじーっと見て、さゆりは微笑んだ。まだまだヤリたいという顔だ。ペニスもさゆりの中でまた大きくなり始めている。
「……女子寮行こ? 今日シンちゃんを連れ込むって寮母さんに言ってあるから♥」
「……そうするか」
さゆりの『特別な応援』はまだ続きそうだった。
………
……
…
魔物と本格的な交流が始まったのは俺が子供の頃。最初は染み込むように人間の社会へ入り込んできた彼女たちは、今や世界になくてはならない存在になった。
「かーッ飛ばせェー! シーンーゴ!」
今日もさゆりの応援が会場に響いている。ここが勝負の分かれ目だ。今日はチーム全員がベストを出していたと思う。黒田は生徒指導室で一晩中ヤっていたらしいが、日下先生の手料理を食べて元気百倍だと言っていた。実際にあいつは今日かなり調子が良かった。日下先生との恋の成就とか、野球以外のことが野球の力になることがある。
そして俺も、同じものを手に入れた。
バットを構える俺の目線の先で、ピッチャーが大きく振りかぶる。
「かーッ飛ばせェー!」
熱の籠ったさゆりの声が、他の余計なものをかき消してくれる。体が燃えるような感覚が生まれ、投げ放たれたボールだけが白い点として、俺の視界に入った。
「シーンーゴ!」
爆発。そのイメージで振ったバット。
確かな手応え、甲高い金属音。
空へ消えていく白い点。
「シンちゃーん! 愛してるぞー!」
バットを置いて走り出した俺の背に、小っ恥ずかしくも嬉しい声援が投げかけられた。
――fin
息を大きく吸い込む音が聞こえた。だが次の瞬間、その音はかき消される。
「かーッ飛ばせェー! シーンーゴ!」
その大声は俺の腹にドンと響いた。応援団の先頭に立つときの三矢の声とは何かが違う。音量は凄まじいが耳を劈くようなものでははなく、何か揺さぶられるような感覚があった。
「シーンーゴ! シーンーゴ!」
あさぎ色の翼を派手に振り回しながら、三矢は俺の名を叫ぶ。燃え上がるようなものがこみ上げてきた。試合中に感じるような闘志だけではない。心を焦がすようなじりじりした感覚だ。
ふと、三矢が言った『特別な応援』というフレーズを思い出す。同時にセイレーンの生態も。
「魔声……!」
セイレーンは歌声に魔力を宿す魔物。きちんとしたリズムで放たれる応援のかけ声に、歌と同じ力があっても不思議ではない。こいつの普段の応援に籠った力もそのせいかもしれない。そしてセイレーンは気に入った男のためだけに、特別な歌を捧げるという。
自分の股間に目をやってみると、そこはすでにズボンを押し上げるくらいに勃起してやがった。
「かーッ飛ばせェー!」
応援を続けながら、三矢は熱っぽい目で俺の股間を見ていた。まとわりつくような視線で。
俺の中に生まれた熱が股間へ集まっているような気がする。今すぐモノをしごきたいが、それでは収まらないことが勘で分かっていた。
「シーンーゴ!」
声は俺の心を激しく揺さぶり、焦がしてくる。焦燥感のたぎる俺を見て、三矢は叫び声の間に舌なめずりをした。八重歯の可愛い口でなんとも魔物らしい表情をしている。それを見た瞬間に、溜まったものが弾けとんだ。
「三矢ぁぁ!」
即堕ちというやつだろうか。俺は三矢を取り押さえるようにして抱きしめ、魔声を出す口を自分の唇で塞いだ。一瞬苦しそうに身をよじらせた三矢もすぐに俺を受け入れ、甘えるように抱きついてきた。ふわふわの羽が首の後ろに擦れる。
そして唇の感触。男勝りなのになんでこんなにぷるぷるなんだ。舌で舐めてみると三矢も舌を出す。舌同士が触れ合い、じゃれ合うように舐め合う。
彼女の肌も気持ちよかった。はだけた学ランの内側に手を潜り込ませてみると、汗ばんだ肌が掌に吸い付くようだった。おへそや脇腹、そしてさらしの巻かれた控えめな胸をなで回し、柔らかさに酔いしれる。
「んっ、ちゅ……ふふ……あはは……♥」
くぐもった息と笑い声を漏らしながら、三矢は俺の口に舌を差し込んできた。小さな舌だ。ねっとり絡め合うと、今度は三矢の口に舌を入れる。
甘い香りが口一杯に広がった。三矢の肌からも同じニオイがしている。柔らかい羽毛からもだ。香水をつけているとかガムを噛んでいるとか、そういうニオイとはまるで違う懐かしいニオイだった。
「ぷはっ……へへっ♥」
息継ぎのように唇が離れ、三矢は得意げに笑った。あたしの声は凄いだろ、とつり目がちな表情が言っている。可愛い。
「三矢の……」
三矢のニオイがする、と言いかけた瞬間、こつんと額をぶつけられた。
「三矢じゃないだろっ。あ、あたしはシンちゃんって呼んでるじゃないか……♥」
気恥ずかしそうに告げられた言葉の意味を、数秒間を置いて理解した。
「……さゆり」
「そ。名前で呼んで……♥」
ぽーっと赤くなった顔で微笑み、彼女は急にその場に屈んだ。俺の股間の前にさゆりの顔がくる。
「へへっ、膨らんでる上に汁も出てるぞ♥」
「うぐっ……」
さゆりの言う通り、いつのまにか先走りの液がズボンの上まで染みてきていた。にやけ顔の鬼セイレーンに見上げられ、恥ずかしいと同時に何か興奮してしまう。
「ちゃーんと気持ちよくしてやるからなっ♥」
八重歯を見せながらのウィンクがあざと可愛い。さゆりは唇を小さくすぼめたかと思うと、俺の股間部……ズボンのチャックに口をつけた。舌と唇で上手くそれを咥え、口でゆっくりと降ろしていく。開いたところに口を埋めて、パンツも同じようにずり降ろされる。
最大限に勃起していた竿はバネ仕掛けのように飛び出した。先端がさゆりの鼻先を掠める。
「あははっ、ビンビンじゃん♥ あたしの応援で気合い入っちゃったんだ♥」
さゆりは笑いながら翼の手をペニスに添えてくる。ふわっとした羽毛で敏感なところが包まれ、途端に快感がこみ上げてきた。まだ出してしまうほどではないがかなり気持ちいい。
「す、すげぇ、ふわふわだ……!」
「なんか先っちょのヌルヌルが凄いんだけど。あたしの羽、そんなに気持ちいい?」
「あ、ああ……でも羽、汚れちまうぞ?」
「汚してほしいんだよ♥」
不敵な笑みを浮かべたかと思うと、わしゃわしゃと激しく羽を擦り付けてきた。温かくふんわりした羽毛が先走り液で次第に湿り、まとわりつくような感触になっていく。亀頭は優しくくすぐられ、竿部分は強くしごかれ、時々玉の方までくすぐられる。
さゆりの『応援』は俺を欲情させるだけではなく、敏感にしていたのかもしれない。さっきのキスだけでペニスは射精の準備を始めていた。さゆりの熱い視線を受けながら、俺はこのまま精を漏らしてしまうのだろう。というより射精させてほしい。そうすればどれだけ気持ちいいだろうか。
「シンちゃんてば、イきたくてたまらないって顔してるな♥」
「気持ちよすぎるんだよ……! だ、出していいんだよな?」
「その前にさ、ケータイ持ってるよな?」
さゆりの意図を察した俺は素早くポケットから携帯を取り出し、カメラを起動した。この黒見坂南高校には、魔物と恋人同士になった男子は彼女のエロい写メを撮る習慣がある。誰が始めたのかは分からないが、魔物達にとっては『自分の痴態を彼氏のポケットに納められる』というのがたまらないらしい。
形態の小さな画面に映し出されるさゆりの顔。張りつめた肉棒をあさぎ色の翼で刺激する姿を、ボタン一つ押せば記録に残せる。だがその直前。
「かっとっばせー♥ シーンーゴ♥」
音量を下げた甘ったるい声で、さゆりは応援してきた。蕩けるような声が体を内側から犯してくるようだ。俺のバットはそれに応え、一気にこみ上げた。
「で、出るーっ!」
叫ぶのと、携帯のボタンを押すのと、イくのは同時だった。勢い良く迸ったそれがさゆりの顔面に直撃する。だがべちゃっと音を立ててその顔を白濁まみれにしても、まだ脈打ちが続いていた。
さゆりはあむっとペニスを咥え、後から溢れてくる精液を吸い出し始めた。温かい口の中が心地よく、まるで精液専用のおむつを穿かされたような気分だ。
「んんっ♥ 濃い……美味し……ちゅるっ、じゅるる……♥」
舌先で鈴口をチロチロとくすぐり、尿道に残った精液まで吸っていく。俺はいつの間にかさゆりの頭を手で押さえ、股間に押し付けていた。だが彼女は最後に一際強く吸うと、ちゅぽんと音を立ててペニスを離した。唾液まみれのペニスが夜風に晒され、寂しさを感じる。
さゆりはこんがり日焼けした顔一杯に白い液体を浴びていたが、全て羽で拭いて舐めとってしまった。俺の出したものがさゆりの舌に捉えられ、口へ運ばれていく様子がたまらなくエロい。
「ふぅ〜。シンちゃんの、美味しい……♥ 写真、撮れた?」
「と、撮れ、た……」
息を整えながら、携帯をさゆりに見せる。ほとんど偶然のタイミングだったが、ぶっかけた瞬間の写真がしっかり撮られていた。さゆりは少し恥ずかしそうだったが、満足げに頷いてくれた。これは帰ったらバックアップを取らないと。
と、丁度そのとき携帯が鳴った。メールが届いたようだ。
差出人は黒田。あいつは日下先生に生徒指導室で搾られていたはずだが、もう終わったのだろうか。そう思いながらメールを見て、「ああ、こっぴどく搾られたんだな」と納得した。
巨乳を(おそらく黒田の)精液でべとべとにした日下先生の写真がついていたからだ。
その下には「先生の指導サイコー」の一文。一回射精したせいか少し頭がすっきりした俺は、こっちからも今のさゆりの写真を送ってやろうと思った。
しかし。
「シンちゃん、あたし、その……もっとイチャつきたいな♥」
こんな風にお願いされれば、そっちを優先するしかない。そもそも頭はすっきりしても股間は勃ったままだし、心もさゆりを求めていた。
「ほら、攻守交代してやるから……♥」
さゆりは翼の爪で学ランのベルトを外し、ゆっくりとズボンを降ろした。その瞬間、中から湿った空気と一緒にいやらしいニオイがむわっと広がる。すらりとした奇麗なふとももが露わになるが、俺はそれより上……股間を包む、ピンク色のレース生地ショーツに目を奪われた。
「に、似合わないかな……?」
さゆりが恥ずかしそうに俺の反応を伺っている。
「あ、あたしだって女なんだぞ。シンちゃんの前でくらい、可愛いのを……!?」
俺は言葉が終わるのを待たず、そのパンツに手を触れた。今度は俺がさゆりの足下に屈んでいる。掌に感じたのはあったのはさらさらした布の感触ではなく、じっとり濡れたそれだった。ぬるついた液がさゆりのニオイをぷんぷんさせながら、ふとももまで垂れている。薄い生地はその液のせいで透け、液の源である割れ目の形を表していた。
その割れ目に、布の上から指を這わせる。
「ひぅぅっ♥」
そっとなぞっただけで、さゆりはぴくんと体を震わせた。さらにねちっこくそこを責めてみると、果汁がとろとろと流れ出てきた。
「んぁぁっ♥ だめっ♥ ちょ、やぁ♥」
普段あの大声を出している口から、蕩けるような声が垂れ流されている。駄目などといいながら頬は緩み、俺にされるがままだ。
空いている手をさゆりの後ろに回し、触りまくる。奇麗な尾羽、ぷにぷにのお尻を堪能するうちに、股間が熱くなっていった。さらにパンツの中に手を突っ込み、直接触る。
「はぅっ♥ し、シンちゃんの指……入ってる……♥」
頭にぽたりと水滴が落ちるのを感じた。雨かと思ったが、見上げるとさゆりの緩みきった口元から唾液がこぼれただけだった。
さゆりのソコはとても柔らかく、指を入り口辺りに入れると愛液のとろとろ感がとてもいやらしい。指をパンツから出すとねっとり糸を引いた。
「下着、ぐちょぐちょだぜ」
「だ、だって発情期だし……シンちゃんがぁ……♥」
自分からズボンを脱いだくせに恥ずかしがるさゆり。それを楽しみながら、俺はその勝負下着をゆっくりと降ろしていった。大量の愛液がまた糸を引く。
魔物の股間には毛が生えない。つるつるの割れ目が露わになり、そのニオイが鼻をつく。俺は欲望の赴くまま、その大事なところを指で開いてやった。
「ひゃん……♥」
「おおおぉ……!」
俺は思わず感嘆の声を上げてしまった。ぬめりを帯びたピンク色の中身は想像していたよりずっと淫らで貪欲そうで、甘いニオイがした。それが決め手となり、いよいよペニスの疼きが我慢できなくなる。
「あっ……」
さゆりのお尻を支えて体を抱き上げると、彼女も翼で俺に抱きついてきた。
「ハーピー族って、本当に軽いんだな……」
「ん……♥ そう、だよ。骨がハニカム構造になってたり、軽くて頑丈な体なんだよ」
潤んだ目で俺を見つめ、続いて下を見下ろすさゆり。そこには極限まで怒張した俺のペニスと、愛液と甘いニオイを垂れ流すさゆりのソコがあった。
「シンちゃんがトロトロにしてくれたから、挿れたらきっと気持ちいいぞ……♥」
「俺のはお前を気持ちよくしてやれるかな……?」
「指でも気持ちよかったぜ♥ だから、ほら……♥」
ペニスの先端に狙いを定め、さゆりは腰を降ろしてきた。ぬるっとした感触を亀頭に感じたかと思えば、そのままするすると奥へ入っていく。
「ふあぁぁ♥ 入って、きてる……シンちゃんのが……♥」
「うおっ……気持ちいい……!」
さゆりは目を閉じて夢心地の表情だが、俺も脚から力が抜けそうなほど気持ちよかった。それはもう蕩けるような快楽だ。さゆりの中はとても熱く、つゆだくの蜜壷がねっとりと絡み付いてくる。締め付けながらも奥へと導くように。
「あ、あ、ァん……き、きた、奥まで……♥」
一番奥に亀頭が当たったかと思うと、中全体がきゅっと締まった。同時にさゆりの脚が俺の胴体を強く挟み込み、抱き合ったまま腰を上下させ始める。
「んっ♥ はっ♥ ひゃん♥ へへっ♥ 気持ち、いぃ♥」
喘ぐさゆりと目を合わせながら、俺も下から突き上げる。つゆだくの蜜壷が肉棒を締め付け、気持ちよく包み込む。さゆりが腰を降るのに合わせ、中がゆっくりとうねっていた。人間とは違う生き物に挿入しているのだという実感が湧いてきた。
「くっ、これは……♥」
「あんんっ……イくなら、はぁ♥ 一緒、に……♥」
魔物の体は人間に最高の快楽をもたらすという。確かにその通りだ。
だが俺がここまで気持ちいいのは別の理由だ。
気になっていたのに、意地を張り合って喧嘩別れした幼馴染みのセイレーン。
離ればなれになっても俺のことを思ってくれていたセイレーン。
後ろから力強く応援してくれるセイレーン。
三矢さゆりと一つになれたことが、俺に取って最高の快感だった。
「はぁっ、だ、出すぞ、さゆり!」
「うんっ♥ きて、あたしももう……あはぁ♥」
強く抱き合いながら、この出会いを心から喜び……俺は射精した。
「さゆり、さゆりッ……!」
「シンちゃんっ……♥」
互いの名前を呼んで、涙を流す。さゆりの声を最後まで楽しみながら、膣内へ迸らせていく。彼女の体も震えて中が強く締まり、それが射精を長引かせた。
頭が真っ白になる。気持ちいい。さゆりが気持ちいい。さゆりの体が気持ちいい。さゆりの声が気持ちいい。さゆりとの思い出が、愛情が気持ちいい。
「はぁ……はぁ……はぁ……♥」
抱きかかえられたまま、さゆりは荒く息を吐いていた。激しい快感で脚がふらつき始めた俺は体育館の壁によりかかり、何とか体を支える。
俺をじーっと見て、さゆりは微笑んだ。まだまだヤリたいという顔だ。ペニスもさゆりの中でまた大きくなり始めている。
「……女子寮行こ? 今日シンちゃんを連れ込むって寮母さんに言ってあるから♥」
「……そうするか」
さゆりの『特別な応援』はまだ続きそうだった。
………
……
…
魔物と本格的な交流が始まったのは俺が子供の頃。最初は染み込むように人間の社会へ入り込んできた彼女たちは、今や世界になくてはならない存在になった。
「かーッ飛ばせェー! シーンーゴ!」
今日もさゆりの応援が会場に響いている。ここが勝負の分かれ目だ。今日はチーム全員がベストを出していたと思う。黒田は生徒指導室で一晩中ヤっていたらしいが、日下先生の手料理を食べて元気百倍だと言っていた。実際にあいつは今日かなり調子が良かった。日下先生との恋の成就とか、野球以外のことが野球の力になることがある。
そして俺も、同じものを手に入れた。
バットを構える俺の目線の先で、ピッチャーが大きく振りかぶる。
「かーッ飛ばせェー!」
熱の籠ったさゆりの声が、他の余計なものをかき消してくれる。体が燃えるような感覚が生まれ、投げ放たれたボールだけが白い点として、俺の視界に入った。
「シーンーゴ!」
爆発。そのイメージで振ったバット。
確かな手応え、甲高い金属音。
空へ消えていく白い点。
「シンちゃーん! 愛してるぞー!」
バットを置いて走り出した俺の背に、小っ恥ずかしくも嬉しい声援が投げかけられた。
――fin
13/08/31 23:51更新 / 空き缶号
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