読切小説
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ダークヒーローってのは案外楽しいな
正義の味方も悪の幹部も仕事だから休日があるのはおかしい事じゃない

俺は正義のヒーロー『ジャスティスキング』こと黄丈 正義(きじょう まさよし)、俺の隣で手を繋いで一緒に歩いているサキュバスは悪の女幹部『ブラッククイーン』ことラキス・クインだ

まったく正反対の仕事をしている俺たちだけれども、話してみると案外気が合って現在は愛し合う仲である

もちろん、それぞれの組織の皆には俺たちの関係は知られていないが

話を戻すが、今日はたまたま二人とも非番の日なので二人が付き合うきっかけともなった遊園地へデートへ来ている

それに今日はラキスの組織が襲撃や決闘をする日ではないらしいので、急に呼び出されることも無いだろう


 「ここに来るのも久しぶりね、前に来たのが同棲を始める前だから2年以上前かしら」


 「そうだな、前はギスギスしていたのを何とかしようと仲直りの為に来たんだったっけか」


 「そうそう、あの時は貴方のことは好きだけど仕事の問題で貴方との関係どうにも辛かったのよねぇ……」


 「それでここに来て思いっきり楽しんで、その後思いっきり交わったらなんだか吹っ切れたんだよな」


 「えぇ、やっぱり私は心の底から貴方が好きなんだって思ってね、なんだか悩むのがアホらしくなったのよ」


いつものように仲良く会話しながら園内を散策する

端っこが少し錆びているコーヒーカップでぐるぐる回ったり、乗り物だけが立派なジェットコースターで思いっきり叫んだり、何故かクオリティの高いお化け屋敷でラキスに抱きつかれたり

余計な事など忘れて二人で楽しむ

半分ぐらいまわったところでお腹が空いてきたので昼食に少し値段の高いホットドックとチュロスを齧る


 「この形を見ていると……」


 「その先は言うなよ、こんなところでヤる気は無いからな」


えぇ〜と不満げな表情をするラキスをなだめていると、彼女のポケットにしまってある携帯電話が鳴り出した


<<おーともない世界に〜まーいおりたI was snow♪>>


……確かこの曲は仕事用の着うただったよな

彼女は俺に「ごめんね」と一言断って電話を取る


 「……デスロリちゃんどうしたの?私今日非番だったんだけど…え!?それ本当、じゃあ私も行かなきゃダメかしら」


何か面倒なことでもあったのだろうか、普段なら戦闘の時には基本的に呼び出されることは無いはずなのだが

ともかく、今日はこれ以上一緒に居られ無さそうなのが残念だ

彼女は電話を切ると、俺に軽く謝った後、仕事中のような真剣な表情になった


 「……細かい事はデスロリちゃんも焦っててよく分からなかったけど、なぜかブラッドディアボロス様が目覚めたらしいわ」


 「え!?いくらなんでも早すぎじゃないか、いつも4ヶ月ぐらい寝てなかったか!?」


奴が目覚めたのなら、色々と面倒だ、戦闘がかなりきつくなる

しかし、なぜ目覚めたのだろうか

とにかく、俺たち二人はさっさと昼食を食べきって、解散しよう、ということになったのだが………


<<ブレイク〜ブレイク〜あ〜なたの街の〜♪>>


……俺の携帯電話も仕事用の着うたが流れる

はやくも奴が目覚めた情報を掴んだのだろうか?

何か分かると良いかと思い電話を取ってみると……


 『正義先輩!ヤバイことになりました!!』


 「……とりあえずブラッドディアボロスが目覚めた事なら一応知ってるぞ」


 『え!?本当ですか!!??オルテの言ってた事って本当だったのかよ…それもヤバイですがその事とは違います』


それ以外に何かあるということは不幸は重なる、ということなのだろうか……


 『えーっとですね……研究中の一部のデータとジャスティスキングのデータがごっそり盗まれました』

 『一応盗まれたデータに関しては先輩が持っている変身用のユニットがあれば研究中だったものも含めて復元できるので、とりあえずこちらに来て欲しいです』


 「盗まれたのはマズイが、確かジャスティスキングには素質が無い奴じゃないと変身できないのじゃなかったか?」


情報が流出したのは非常にヤバイが、復元できるデータだし、それを活かせるやつが限りなく少ないのであればそれほど問題にはならないはずだ

とりあえず基地に行ってデータ復元した後盗んだ奴を捕まえてやるか


 『それが…言い難いのですが…データを盗んだのが先輩の弟さんなんですよ………』


 「何だと!?」


黄丈 平斗(きじょう へいと)

俺と同時期にライトベースに入社し、ジャスティスキングの変身時の同調率及び戦闘力の高さから、現在はジャスティスキングの新規兵装のデバッガーと実験使用及び第4自衛部隊部隊長を務めている

それが俺の弟だ

真面目に仕事をこなしていた奴なのに、何かあったのだろうか………


 「そっちでも何か問題があったの?」


 「平斗のやつがデータを盗んで逃げたらしい」


 「えっ?平斗君って貴方の弟よね、真面目な子だって聞いていたけど何かあったのかしら………」


 「俺もよく分からんが、とりあえずこっちも基地に行くハメになった」


俺とラキスは残っていたチュロスを頬張ると、遊園地を後にした









後日、いつものようにダーククラウンズが街で悪さをしているとの報告があったので、現場に向かう

現場に到着すると人の居なくなった広場でブラッククイーン、デスロリータ、そして結局何故目覚めたのか分からなかったブラッドディアボロスが仁王立ちして俺を待ち構えていた


 「やはり来たか正しき道を行く者よ」


 「テメェらが悪さしてるって聞いたら行かざるを得ないからな」

 「変身」


余裕そうな表情を浮かべているブラッドディアボロスを尻目に俺は両腕をクロスして変身ユニットを起動させる


<<王道の道を突き進み!己が正義を貫き通せ!!ジャスティスキング!!!>>


起動音声と共にギュイィィンとユニットに接続された各関節部分のパーツが高速回転し、右手の甲に「正」、左手の甲に「義」の文字が浮かび上がる

そしてそこから激しい炎が燃え上がり全身を包む

両手の炎が収まると、俺は赤色と黒色が入り混じったメタリックな姿に変身し終える

 「やっぱりいつ見ても正義の変身シーンはかっこいいわねぇ………

変身し終えたというのに、にやけているラキスはともかく、奴等は余裕そうな表情を崩さず、いつものように戦闘員をけしかけてすらこない

………凄く嫌な予感がする


 「正しき道を行く者よ、我が早々に目が覚めた理由知りたくないか?」


気にならない、といえば嘘になるが、そのまま聞いていればアイツのペースに乗せられてしまうかもしれない


 「俺はお前の話を聞きに来たわけじゃない」


 「そうか、それほど聞きたいか」


奴は俺の言葉を無視して続ける


 「我は本来なら冬眠などしなくても良いのだ、我が冬眠していたのは貴様等ライトベースの連中を油断させるためだからな」

 「冬場ならば我が居ない、ということで貴様等の気が緩むのを待っていたのだ」

 「少々時間がかかってしまったが、それをする理由の目的を果たしたから我は目覚めることにした……」


奴はそう言い終えると、口元と肩眉を吊り上げ、右腕を高く上げて指をパチンと鳴らす


 「紹介しよう、彼は我がダーククラウンズの新たな幹部だ」


両手をポケットに突っ込み、ゆっくりと物陰から一人の男が歩いてくる

俺はその男の顔を見て、驚愕した


 「やぁ兄貴、そんなに驚いた顔をしてどうしたんだい?もしかして僕の顔に何か付いているのかい?」


そう、その男は先日居なくなった俺の弟だったのだ

しかもよく見ると、色こそ俺の物と違うが、ジャスティスキングの変身ユニットを装着している

平斗はブラッドディアボロスの側まで歩いていき、奴に軽く敬礼をした


 「僕は昔からどうにもライトベースの連中が嫌いでね、去年の春辺りにブラッドディアボロス様にスカウトされたから喜んでこっちに就くことにしたんだよ」

 「それから随分と時間がかかってしまったけど、こうしてジャスティスキングのデータを手土産に寝返ったというわけなんだ」


 「平斗には貴様等正義の味方よりも我等のような悪の道を進む者の方が似合っている、さぁ新たな同胞よその力を我に見せ付けてくれ」


平斗は了解、と呟くと先ほど俺がしたように両腕をクロスする

<<この世の全てを憎め!憎んで全てをぶち壊せ!!ヘイトダークネス!!!>>

完全に俺の物とは違う起動音声、さらに手に浮かび上がる文字も右が憎、左が悪となっている

そして全身を覆う炎も猛々しい赤色ではなく、毒々しい紫色となっている

炎が収まって再び平斗の姿を見たとき、俺はユニットと変身方法以外は完全にジャスティスキングでは無いことを確信した

ドロドロ滴り落ちている液体金属のようなものが骨を思わせる形で全身を覆い、手足はドラゴンやリザードマンを連想する鱗に覆われたゴツゴツとした形をしているが、毒々しい紫色をしている

顔は真っ黒に覆われており、頭部にはサキュバスに生えているような禍々しい形の角が何本も生えている

そしてエイリアンのように大きな口から鋭い牙が剥き出しになっており、とても不気味な印象である


 「どうだい兄貴、僕なりにダークヒーローっぽくジャスティスキングのデータを弄ってみたんだ」


 「………弄りすぎてもはや原型は留めていないがな」


ダークヒーローを通り過ぎてミュータントみたいだな

しかし、今までそれなりに仲が良かった弟がこんな姿になるとは思っていなかったので、まだ動揺が拭いきれない

相手の幹部達もこのような姿になるとは思っていなかったらしく、先ほどとは違い表情に恐怖の色が見え、視界の端で待機していた戦闘員の魔女達にいたってはお互い抱き合ってガタガタと震えている

だけど、そんな中で一人、ブラッドディアボロスだけは違う視線で平斗を見つめていた

まるで愛しい者を見るような、普通の魔物が己の夫に向けるようにうっとりとした表情を浮かべていた

そして我が子を褒めるかのように優しく顔を撫でた


 「流石我が見初めた男だ……これほどまでに禍々しくも逞しい姿になるとは…な…」


 「ありがとうございます、我が主」


 「さぁ、我と共に奴を打ち倒し、世界征服への第一歩を踏み入れようぞ」


そう言い終わるや否や、ブラッドディアボロスは竜の姿に変身する

弟と戦うのは心苦しいが仕方が無いだろう

……今までで最も強い敵+戦闘力が俺と同等かそれ以上の敵

この状況は非常に辛い、もしかしたら負けてしまうかもしれない

そう思った時


 「正義先輩!こいつを使ってください!!」


どこからともなく俺の後輩である赤城 雄(あかぎ ゆう)がバイクに跨って俺の側まで走ってきた

そしてジャスティスキングのフォームチェンジユニットを渡してくれた

これで少しはマシになるだろう

いつもの通りなら雄は俺にユニットを渡した後、安全の為にそのまま走り去るのだが、今日はバイクから降りて剣のようなものを取り出した


 「正義先輩、ようやっとジャスティスキング以外の新しい変身スーツが完成したので俺も手伝います!」

 「変身!」


そう言って俺や平斗とは違い、手に持った剣のようなものを地面に突き刺した

<<護るべき想いや支えたい人が居る!大切なものは護ってみせろ!!ジャスティスナイト!!!>>

すると、起動音声と共に剣に『守護』という文字が浮き上がり、突き刺した部分と刃の部分から青い煙のようなものが吹き出て雄を包む

煙が消えていくと、近代的なパワードスーツと中世の時代の甲冑を混ぜたような姿をした雄がそこに立っていた

 「……ようやっと雄の変身できるようになったか、流石はわしの雄、最高にかっこいいのぉ」

そして変身した雄は剣を持ち直し、ブラッドディアボロスを睨みつける


 「俺はこいつをやりますから、正義先輩は平斗の奴をお願いします」


そう言ってブラッドディアボロスに向かって剣を振りかざす

今まで足手まといだって悔しがっていた雄も頑張ってくれるんだ、俺も答えてやらないとな

フォームチェンジユニットを左手に装着し、平斗と向き合う


 「……お前が自分の意思でそっちに就くというのであれば俺は止めない、だが、もし俺が原因ならば先に謝っておこう、すまないな」


 「……確かに兄貴が原因の一つだけど、僕はそれ以上に誰かに……いや…ブラッドディアボロス様に認めてもらえたから僕はその人の下に就くって決めたんだ、別に謝らなくてもいいよ」


 「ふっ、ならこれ以上気負わなくてもいいな、今日から俺とお前は敵同士だ」


 「言われなくても……分かっているよっ!!」


俺は飛び掛ってきた平斗の攻撃を防ぎ、フォームチェンジユニットを起動させる

 「………ねぇ、デスロリちゃん、なんか私達空気じゃない?」

 「……それはわしも思っていたところじゃ、わしはこのまま見ておくが、ブラッククイーン殿と魔女達はどうする?」

 「私は最近できたケーキ屋さんにいこうかなぁって思ってます、もちろん皆の分も買ってくるよ」

 「あっ、私おにいちゃんに豆板醤買ってくるように頼まれてたから、スーパーに行きたいです」

 「せっかくなので私は基地に戻って明日のヘイトダークネス様の歓迎会の準備しておきますね」

 「あら?じゃあ私もそれを手伝おうかしら」


フォームチェンジが終了し、俺は平斗へ銃撃を放った










ふぅ……予想していた通り、『ヘイトダークネス』への変身後の負担は大きいなぁ

兄貴にも負けちゃったし……

でも、新しい人生が始まったんだ、くよくよしてられないぞ!

と言うわけで僕はダーククラウンズの基地の一番奥にある部屋の前に来た

ドアには『ブラッドディアボロスの部屋』と書いてある

僕は躊躇うことなくそのドアを開き、中に入った


 「遅かったではないか、待ちくたびれたぞ」


 「………僕がトイレに行ってから1分も経ってないよ」


その中では沢山の可愛らしいぬいぐるみに囲まれ、その中心でかなり大きめのぬいぐるみを抱きしめてブラッドディアボロス様が僕を持ち構えていた

といっても彼女も僕も仕事用の戦闘服ではない、仕事は終わったため上司と部下ではなく、恋人同士の対等な関係だ


 「言い訳など良い、さぁ早くこっちに来るのだ、冬は寒くてかなわん、また冬眠してしまいそうだ」


 「まったく……昼間に『我は本来なら冬眠などしなくても良いのだ(キリッ)』とか言ってたくせに、しかも今の時季に目が覚めたのは僕に眠姦されて体が暖まったおかげだろ、来年からライトベースの奴等にどう言い訳するつもりなんだよ」


 「知らん、来年の話をするとオニが笑うぞ」


僕は口では文句を言いつつも、彼女の側に行って抱きしめる

そうすると、彼女はいつものように顔をマーキングするかのように僕の顔にこすりつける


 「………やはり貴様の体は温かいな」


彼女の本名はティア=ラブド、本人曰く『そこいらの同属とは格が違う』らしい

それはダーククラウンズの頂点に立っていることから分かるけれども、プライベートだけを見ると可愛いもの好きのわがままドラゴンだ

僕はそんな彼女が好きになったんだけどね

いわゆるギャップ萌えという奴かもしれない


 「……今日は貴様が我が組織へ無事に入れたし、一人前の戦士になれたのだ、褒めてやろう」


 「兄貴には負けたけどね」


 「細かいことなどどうでもよい、だから今度は我が貴様を温めてやるのだ」


そう言って彼女は僕の服に手をかける

するすると慣れた手つきで脱がせていき、自分の胸と股間だけを露出させてから僕を押し倒す

そしてその大きな胸で僕の顔をうずめさせ、ぎゅっと抱きしめてきた

少々息苦しいが、鼻孔いっぱいに彼女のほんのり甘い香りが広がり、ふわふわとした幸せな気持ちが広がる


 「今は我と貴様だけだ……強がる必要は無い……存分に甘えて…我を感じるのだ……」


思考もぼんやりとしていき、まるで魅了の魔法をかけられているかのように彼女がたまらなく愛しく感じてくる

彼女の胸元から顔を離し、少しの間僕の顔が埋まっていたその大きな胸にむしゃぶりついた


 「ふふっ……そうだ…本能に身を任せて…思うがままに我に甘えていればよい……んっ……」


彼女が短く嬌声を漏らすと同時に口の中に彼女の香り以上に甘い液体が入ってきた

それをもっと飲みたい、という本能のままに彼女の胸を吸い上げる


 「いいぞっ……その調子だっ……アッ…んっ、くぅぅぅぅぅ」


彼女が体をビクビクと震わせ、僕の体を力いっぱい抱きしめると同時に、口内いっぱいに彼女の母乳で満たされ、彼女の股間から愛液が滴り落ちる

僕が彼女の母乳を飲み干したのを見計らって、僕の下着ごとズボンをずり降ろし、自分の秘所にあてがう


 「貴様はただ我を感じて……母乳を味わっておればよい……我が貴様をたっぷりと愛してやるからな……」


そして昼の戦闘前にしてくれたように優しく僕の顔を撫でてから腰を下ろした

僕はもはや僕専用となっている彼女の膣から与えられる快楽に腰を震わせ、まるで赤子のように彼女の乳房を夢中になって吸う

彼女も快楽に喘ぎ声を漏らし、蕩けた表情を浮かべてゆっくりと僕の欲望を味わっている

結合部からはじゅっぷじゅっぷと卑猥な音と共に彼女の愛液が漏れ出ている


 「あぁ……平斗よ…我の最愛の男よ……貴様は最高だ……ただ快楽に震え、赤子のように乳を吸っているだけなのに…これほどまでに我を感じさせ、幸せな気持ちにさせてくれる……」


僕は彼女がそう言い終わったと同時に彼女の最奥で果てた

彼女も体を震わせて達し、僕の子種がもっと欲しいと言わんとばかりにキュウキュウと締め付ける

お互いの体をギュッと抱きしめて絶頂の快楽を享受し、快楽の波が去った後もそのまま余韻を楽しんだ


 「愛しておるぞ……貴様さえ居ればライトベースの奴等も、ダーククラウンズの部下達もどうでも良いとも思えるほどにな………」


ぼんやりとした思考で、彼女の想いはなんとなくしか伝わらないが、逆に僕にだけ見せてくれる柔らかい微笑みにたまらないほどの愛情と、燃え上がるほどの欲情が心に宿った

今度は逆に僕が盛りのついた童貞のように押し倒し、彼女の口に僕の舌をねじ込みながら膣に挿入したままの欲棒を突き入れる

彼女は再び快楽に蕩けた表情を浮かべ、まるで離したくないと言わんばかりに手足でがっちりと僕の体にしがみ付き、ラミア種の胴体のように長い尻尾を二人を固定するように巻きつけ、大きな翼で僕の全身を優しく包み込む


 「じゅるる…ちゅぱ……ん……ふふふ、まるで貴様が初めて我を抱いたときのようだな……その必死そうな顔が堪らんぞ……」


彼女は僕のキスを受け入れつつ優しく、まるで淫魔が男を欲情させる時のように囁く

僕はそんな彼女の姿に更に欲情し、激しく突き入れる


 「ティア!…ティア!……好きだっ!……愛してるっ!……」


 「平斗っ!……良いぞっ!……我も貴様を愛しておる……先ほどのようにもう一度っ!……我を孕ませるために子種を沢山注いでくれっ!」


お互いに名前を呼びながら求め合う

そして再び同時絶頂し、強く抱きしめあう


 「……ふふふ、また沢山出たな」


 「……ティアの方こそ、僕に押し付けている胸から母乳がいっぱい出てるよ」


僕は体を起こし、今度は対面座位になる形で交わり始めた









数日後、ダーククラウンズの会議室に幹部達が集まっていた

平斗から他の幹部と我に聞いてもらいたい事があるらしい

まだまだ新顔だが、我の見込んだとおり才能があるようでダーククラウンズへの貢献度も高く、他の幹部達も新参者だからと邪険に扱わず同じ幹部として接している

しかし、恋仲でもある我ですら今日は何を聞かせるつもりなのか教えてもらえなかった

わざわざ会議室に幹部達を集める程なのだからおそらく重要なことなのだろう


 「皆さん忙しい中で集まってもらってすいません、あつかましいかもしれませんが皆さんにして欲しいことがあるのです」


 「平斗殿には経費削減から怪人作成まで色々手伝ってもらっておるから別に構わんよ」


 「戦闘面や指揮力も高くて私も最近楽にさせてもらってるし、できる事なら協力するわよ」


平斗は「ありがとうございます」と頭を下げ、ふぅっと軽く深呼吸をして部屋を見渡す

そして我を見つめて何かを決意したような表情をして幹部達に視線を戻した


 「では、僕達を祝福してください」


と言い、頭に?を浮かべた幹部達を尻目に我の方に向き直り、懐から小箱のようなものを取り出し、肩膝を着いてそれを我に差し出すように開ける


 「ブラッドディアボロス様……いや……ティア=ラブド……僕と結婚してください!!」


箱の中身は無駄な装飾が無く、シンプルに大きめの宝石だけが光り輝いているドラゴン用の指輪だった

………へ?

これはつまり平斗が我にプロポーズをしてくれたということなのだろうか?

し、しかし我はわがままばかり言ってやつを困らせることも多いし、組織の頂点ゆえ寂しい思いをさせてしまうかもしれないし………

偉そうにしているけど結局は平斗のことばかり考えているメストカゲだし……

嬉しさと困惑で上手く言葉が出せていない様子の我を見て幹部達がニヤニヤし始めた


 「ほほぅ、たまにブラッドディアボロス様がヘイト殿を見ている目が妖しいと思っていたら……そういう関係じゃったとはのぅ」


 「あらあら、そんなに慌てて……ブラッドディアボロス様も結構かわいいところがあるのね」


他の幹部達を気にせず平斗はそのままの姿勢で我の返事を待っている

微動だにせず、ただ真っ直ぐと我を見つめる男に問いかけた


 「………本当に我でいいのか?」


 「貴女が良いんです、貴女じゃなきゃ駄目です、そのために僕は今まで頑張ってきたんですから」


奴の瞳の中に硬い意志があるのを確認し、我はいつものように平斗の頭を優しく撫でる


 「良かろう、その求婚、受けるぞ」

 「まったく、初めて出会ったときは生意気な若者だと思っていたが……まさかここまで成長するとはな」


よし、そうと決まればまずは式の準備からだな

ライトベースの奴等でも呼んで祝福させるか

流石に祝いの席では我等の邪魔はしないだろう

ドレスはもちろん我に似合う悪っぽいもので、平斗に着せるタキシードもそれっぽいものだな

そして初夜では………ふふふ……

色々楽しみだな
11/12/15 22:48更新 / 錆鐚鎌足

■作者メッセージ
今回は結構長くなってしまいました

3000文字程度で終わるかなとか思っていたのですが、その約3倍ほどになってしまいました

バフォ「肝心な戦闘シーンとか入ってないしの」

変身のポーズとか考えていたらすっかり忘れてました、ていうか更に長くなりそうだったので入りませんでした

サキュ「ヒーローの変身ポーズは重要ですからね」

そのヒーローのかっこよさを表す要因のひとつですからね

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