街外れの宿屋にて
自分ことウィル=ヘイデンは宿屋の一人息子である
幼い頃から親の仕事を手伝い、跡を継ぐ為に色々と学んできた
街の中心部から少し離れたところにある我が家は、アクセスは悪くないし質も悪くないということで繁盛はしていないが売上に困ることはない程度の人気である
店の規模も大きいとは言えないが小さいわけでもないので家族以外の従業員も3名雇っている程度
一通りの内容を覚え、他の従業員への指示も出来るようになった今日此の頃
経営者として独り立ち出来るようにと両親は仕事を自分に任せて一ヶ月程度の旅行にでかけた
自分としてもいい経験になると思うし、仕事熱心で働いてばかりな両親には羽根を伸ばしてもらいたいと思い了承した
従業員の皆も賛同してくれ、お互いにフォローをしながら特に問題なく一週間をこなした
このまま何事も無く2週間目も行くと思っていたのだが……
「いらっしゃいませ、1名様でしょうか」
「もちろん、見ての通り独り身さ」
「お部屋の希望はありますでしょうか」
「君の部屋で……できれば愛を囁いてくれるオプションをつけてほしいなぁ」
3日前から利用しにきているダンピールが目下悩みの種である
他の従業員は夕方以降は受付と消灯以外の業務がほとんど無くなるために自分一人で対応していたのだが、そこでふらりとやってきたのが彼女こと冒険者プリシラ=インハイルである
どうやら自分に一目惚れしたらしくこうして毎日アタックしてきているのだ
自分としては伴侶を持つのは1人前になってどっしりと構えられる準備ができてからと決めているので少し迷惑な話だ
「そういうのはやってないし俺の部屋は1人用で予約は俺で埋まってるのでだめです」
「残念、君の寝顔を見つめながら朝日を迎えたかったよ」
従業員に相談してもニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべられたり羨ましがられているだけなので助け舟もない状態である
とはいえ客は客なので適当にあしらいつつも仕事はキッチリこなさねば
「朝食はどうする?プリシラさん」
「呼び捨てでいいのに、朝は弱くてサービスの時間に起きれないから残念ながらパスだよ」
「そんな時間に起きるのであればそもそも俺の寝顔を見ながら朝日は迎えられないんじゃないか」
「しまった!」
幸い彼女が訪れる時間帯には他の客が来ることはあまりないので暇潰しにはちょうど良いにはちょうど良い
「ていうか長期で部屋をとっておいた方が安くなるのになんで毎日部屋を取りに来るんだ」
「もちろん君とこうして対話できるからさ、君は売上が伸びてボクは君と話すことが出来る、お互いWinWinでいいだろう」
「ありがたい話だな、今日も同じ部屋が空いてるからそこに入ってくれ」
「またまた君の部屋から一番遠いところかぁ、それじゃあ今日も君を想って一人寂しく慰めることにするよ」
……チェックアウトした後彼女の居る部屋を掃除するのは自分が担当なのでやめてほしいものだ
チラリと彼女の方を見る
短く切りそろえられた金髪に整った顔立ち、腰までの短めのマントや体を見せつけるような薄着の装備はよく似合っており、スラリとしたラインに対して出ているところは出ている体つきはまさに魔物娘といったところだろうか
「うんうん、ボクの体は良いでしょう好きなだけ見ていってちょうだいな、もちろん触り放題だからね」
「……冒険者なのにそんな軽装でやっていけるもんだと関心してるだけだ」
「心配してくれてるのは嬉しいねぇ、今日のオカズがまた一つ増えちゃいました」
「掃除するのが大変だから程々にしてくれ」
あしらいながらこちらが必要な書類にペンを滑らせて手続きが終わったことを伝え鍵を渡すと、彼女は嬉しそうにふんふんと鼻を鳴らし荷物を片手に指定した部屋へ向かって足を進めはじめた
明日もきっと今日みたいなやり取りをするのだろう
こちらが折れるか彼女の気が変わるか路銀が尽きるまでは続くのかもしれないと思うと頭が痛くなってくる
従業員に別れを告げ今日も残りの仕事をそつなくこなす
そろそろまたプリシラがやってくる時間になるだろうかと思っていると案の定入り口のドアが開かれた
なんだかんだで彼女とのやり取りが若干楽しみになってきているあたり自分も徐々に堕とされつつあるのかもしれない
しかし入ってきたのは彼女ではなかった
年季の入った武器を担ぎ、傷跡がいくつも付いた防具を身に纏った三人組の男
見たところ冒険者だろうか
「いらっしゃいませ、3名s「俺たちは強盗だ、金を出せ」」
いつものように手順通りのセリフを話している途中、男1人が腰にかけていた剣をこちらに突きつけた
1人は入り口を塞ぐように立ち、最後の1人は客室側から誰か来ないかを見張っている
「おい、誰かに見られる前にずらかるから死にたくなければ早くしろ」
剣を突きつけている男は他の二人に目配せをしながら急かすように首を振る
この状況では逃げることも助けを呼ぶこともできないし、武器と呼ばれるものを持ったことすらないので抵抗など無意味だ
強盗がやってきたときのマニュアルは親から学んでいるものの、いざ本番になると心臓が早鐘を打ち嫌な汗が浮かび手が震えてくる
多すぎない程度にお金を入れたカウンター下の予備金庫を開けて中を渡す
刺激しないように、焦らずゆっくりと行うこと
父親が真剣な顔をして教えてくれたことを実行するだけ
しかし現実は唐突に起こった非現実と剣を突きつけられている恐怖で手が震える
予備金庫の鍵を落とし、拾い上げるも震える手では中々鍵穴に刺さらない
「早くしろ!」
急かされて余計に焦ってしまう
父親は何度か強盗にあっていると苦笑いしていたが
こんな状況を落ち着いて対処できるぐらいには何度も切り抜けてきたのかとぐるぐると思考が回る
ワタワタとした自分の様子に苛立ちを隠さない強盗に更に焦っていると
ガラスが割れた音が響き客室側を見張っていた男からうめき声があがる
そちらに目を向けると胸元に見覚えのある剣が突き刺さっていた
「まったく、今日も今日とてお楽しみの時間だと思ってたのにギルドの手配書でよく見た顔がこんなところに居るなんて」
もはや聞き慣れた声とともにプリシラが窓から入ってきて男に刺さっていた魔界銀の剣を引き抜く
ビクビクと震えて崩れ落ちる強盗を見もせずにあっけにとられていた入り口側の一人に飛びかかり斬りつける
胴体に一閃を喰らった男はもうひとりと同じようにうめき声を上げながら倒れ込む
「そんなに怯えなくても大丈夫、ボクが助けてあげるから」
ニカッといつものように微笑んでくれるプリシラに思わずドキリと胸が鳴る
変わりない彼女の姿に安堵感が湧いたのか少しずつ落ち着きを取り戻してくるが、
逆に他の仲間を伸されてしまった目の前の強盗の表情に怒りがこもりつつあるのが見て取れた
「お前……よくもやってくれt「はいはいお疲れ様」」
が他の仲間と同様にプリシラの放った一撃によってあっさりと崩れ落ちた
以前に彼女は冒険者の中でもそれなりのクラスだという話を聞いていたが
三人の強盗相手をものともしなかったあたり本当なのかもしれない
「それじゃあボクはいったんギルドにこいつらを突き出して来るからちょっと待っててね、あぁ窓ガラス代はギルドの方から出してもらえるように交渉しておくから心配しないで」
彼女は獲物を鞘に収めると飄々とした様子で三人の強盗を担ぐと玄関の扉を開く
少し待ってくれと手で彼女を静止させ一呼吸を置く
我ながらちょろいとは思うけれども母親の言を借りるのであればこうだ
「貸しは溜め込む方が良いが借りはできるだけすぐに返せ」
そう、あくまでも借りを返すだけなのだ
「あー……今日は……その……俺の……部屋が追加で一人分は開けられる……と……思う」
顔を赤くししどろもどろになりながらも要件を伝えると彼女の顔がぱあっと明るくなる
先程の彼女の笑顔に堕とされたわけじゃない
今日ぐらいはそうしても、彼女に助けてもらった借りを返すのであればそれが最適だと思ったのだ
「本当かい!それじゃあ直ぐにでも戻ってこなくちゃね!」
複雑な自分の心境とは対象的にプリシラは嬉しそうにドアから飛び出して行った
脅威が去った安堵感と、これから起こること、言ってしまったことへの気恥ずかしさとでその場でへたり込む
まだまだだなぁと思いつつも彼女が戻ってくるまでに腰を抜かしている状態は直るだろうかとため息を吐いた
一通りの業務を終わらせ、自室に戻るとプリシラが期待に満ちた目で鼻息荒く出迎えてくれた
先に従業員用のお風呂に入ってもらっていたせいなのか、普段意識していなかっただけなのか彼女から虜の果実のような甘い香りが漂っている
「ふふふ……ついにこの時が……ボクの事以外考えられないぐらいに気持ちよくしてあげるからね……」
紅い瞳で真っ直ぐに、熱を込めて向けられる
覚悟を決めて服を脱いでいくとご馳走を目の前にした子供のように彼女の口の端から涎が垂れていた
思わず笑ってしまいそうになったがこらえて指摘してやるとゴシゴシと拭い彼女も辛抱たまらんと言った様子で自分の上着にも手をかけた
プリシラの整った双乳がぷるんとこぼれ落ち、思わず目を奪われる
大きすぎない、けれども片手では収まらないサイズのハリのある柔らかな果実を目にして愚息が固くなっていくのを感じる
「ボクのおっぱい……気に入ってくれたようで嬉しいよ……」
上半身のみ裸の状態の彼女が優しく押し倒してくる
彼女は自分の股の間に陣取り、露出した胸で我慢汁のこぼれ出ている剛直を挟み込んだ
柔らかく温かい感触に包まれ、一人で手でする時とは真逆の感覚が妙に興奮を誘う
「ふふふ……君のあったかいこれを挟んでいるだけなのに……ボクもイってしまいそうだね……」
紅い瞳が意地悪そうに細められ、嫌な予感がする
彼女の豊胸に添えられていただけの両腕がゆっくりとその果実を持ち上げて元の位置に落とす
ゆっくりとだが敏感な部分を擦られビクリと震える
「気持ちいいみたいだね……良かった……じゃあそろそろしっかりと行こうか♪」
彼女の言葉を皮切りに動きが激しくなる
単純な上下運動が早くなっただけでなく、左右交互に上下させたり緩急をつけたり、時にはぎゅううっと締め付けて来たりもする
「ふふ……良い表情をしているね……とっても可愛いよ……」
男としては複雑になるセリフではあるが、そんなことを考えている余裕もないぐらいに攻め立てて来る
あっという間に限界を迎え、もう出そうだというタイミングになり
「それじゃいただきまぁす」
絶頂するタイミングで怒張の先が彼女の口内に迎え入れられる
双乳の間とはまた違った温かさとねっとりとした唾液に包まれ、裏筋をぺろりと舐められる感覚と同時に彼女の口内に吐精した
「んくっ……んくっ……ふふふ……ごちそうさま♥」
喉を鳴らして精を飲む彼女の姿はとても妖艶だが、それを上回る普段より続く射精感に支配され頭が真っ白になる
搾られていると言っても過言ではないほどの射精と精飲がしばらく続き、うっとりとした表情を浮かべた彼女の紅い双眸が捕らえた獲物を見るようにこちらに再び向けられた
「さて……まだまだ夜はこれからだよ……♥」
宿屋の朝というものはそれなりに早い
……はずなのだが太陽は既に頭の真上に来るような時間だ
幸い今日は宿泊客が居ないので特に問題が無いと言えなくは無い
「おはよう……今日も旦那様の可愛い寝顔が見られてボクは幸せ者だね」
寝坊の原因である妻は特に反省してないどころか幸せそうな顔を浮かべている始末である
惚れた弱みというべきであろうか、プリシラのそんな表情を見ていると怒る気も湧かなくなってくる
「おはよう、今日は依頼を受けない日なんだろ、店の手伝いをしてもらうぞ」
「えぇ……今日はウィルを可愛がったりのんびりしようかと思ったのに」
「のんびりこんな時間までしてたからな、客足次第では時間は自由に使えるから頑張るぞ」
不満そうな表情をしながらも手早く着替えを済ませた彼女は上着を着ている途中の自分に近づき、親指で顎を持ち上げ真っ直ぐに紅い瞳をこちらに向けてきた
見慣れているとはいえ整った顔立ちが少し前へ突き出せばキスできそうな距離まで近づき、思わずドキリとしてしてしまう
「それじゃあ今夜は……いや今夜も寝かせてあげないよ、大好きな旦那様♥」
いつかの夜のように獲物を狙う目がスっと細められ、舌を舐めずる音がする
しかしいつまでも彼女のペースでやられてばかりいるのも癪なので片手でただでさえ近い彼女との顔の距離を更に近づけると言うよりも合わせ彼女の口内に舌をねじ込み深いキスを行った
「んじゅるっ!?……んん♥……」
スイッチが入らないうちに顔を離し着替えを再開する
少しの間呆然としたように彼女は突っ立っていたが、何事もなかったかのように部屋のドアをこちらに振り返りウィンクをした
「そこまで楽しみにしてもらってるとは光栄だね、早くお仕事があがれるようにボクもしっかり手伝ってあげようじゃないか、それじゃあ買い出しに行ってくるよ」
彼女のペースを崩すにはまだまだかかるかもしれない
幼い頃から親の仕事を手伝い、跡を継ぐ為に色々と学んできた
街の中心部から少し離れたところにある我が家は、アクセスは悪くないし質も悪くないということで繁盛はしていないが売上に困ることはない程度の人気である
店の規模も大きいとは言えないが小さいわけでもないので家族以外の従業員も3名雇っている程度
一通りの内容を覚え、他の従業員への指示も出来るようになった今日此の頃
経営者として独り立ち出来るようにと両親は仕事を自分に任せて一ヶ月程度の旅行にでかけた
自分としてもいい経験になると思うし、仕事熱心で働いてばかりな両親には羽根を伸ばしてもらいたいと思い了承した
従業員の皆も賛同してくれ、お互いにフォローをしながら特に問題なく一週間をこなした
このまま何事も無く2週間目も行くと思っていたのだが……
「いらっしゃいませ、1名様でしょうか」
「もちろん、見ての通り独り身さ」
「お部屋の希望はありますでしょうか」
「君の部屋で……できれば愛を囁いてくれるオプションをつけてほしいなぁ」
3日前から利用しにきているダンピールが目下悩みの種である
他の従業員は夕方以降は受付と消灯以外の業務がほとんど無くなるために自分一人で対応していたのだが、そこでふらりとやってきたのが彼女こと冒険者プリシラ=インハイルである
どうやら自分に一目惚れしたらしくこうして毎日アタックしてきているのだ
自分としては伴侶を持つのは1人前になってどっしりと構えられる準備ができてからと決めているので少し迷惑な話だ
「そういうのはやってないし俺の部屋は1人用で予約は俺で埋まってるのでだめです」
「残念、君の寝顔を見つめながら朝日を迎えたかったよ」
従業員に相談してもニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべられたり羨ましがられているだけなので助け舟もない状態である
とはいえ客は客なので適当にあしらいつつも仕事はキッチリこなさねば
「朝食はどうする?プリシラさん」
「呼び捨てでいいのに、朝は弱くてサービスの時間に起きれないから残念ながらパスだよ」
「そんな時間に起きるのであればそもそも俺の寝顔を見ながら朝日は迎えられないんじゃないか」
「しまった!」
幸い彼女が訪れる時間帯には他の客が来ることはあまりないので暇潰しにはちょうど良いにはちょうど良い
「ていうか長期で部屋をとっておいた方が安くなるのになんで毎日部屋を取りに来るんだ」
「もちろん君とこうして対話できるからさ、君は売上が伸びてボクは君と話すことが出来る、お互いWinWinでいいだろう」
「ありがたい話だな、今日も同じ部屋が空いてるからそこに入ってくれ」
「またまた君の部屋から一番遠いところかぁ、それじゃあ今日も君を想って一人寂しく慰めることにするよ」
……チェックアウトした後彼女の居る部屋を掃除するのは自分が担当なのでやめてほしいものだ
チラリと彼女の方を見る
短く切りそろえられた金髪に整った顔立ち、腰までの短めのマントや体を見せつけるような薄着の装備はよく似合っており、スラリとしたラインに対して出ているところは出ている体つきはまさに魔物娘といったところだろうか
「うんうん、ボクの体は良いでしょう好きなだけ見ていってちょうだいな、もちろん触り放題だからね」
「……冒険者なのにそんな軽装でやっていけるもんだと関心してるだけだ」
「心配してくれてるのは嬉しいねぇ、今日のオカズがまた一つ増えちゃいました」
「掃除するのが大変だから程々にしてくれ」
あしらいながらこちらが必要な書類にペンを滑らせて手続きが終わったことを伝え鍵を渡すと、彼女は嬉しそうにふんふんと鼻を鳴らし荷物を片手に指定した部屋へ向かって足を進めはじめた
明日もきっと今日みたいなやり取りをするのだろう
こちらが折れるか彼女の気が変わるか路銀が尽きるまでは続くのかもしれないと思うと頭が痛くなってくる
従業員に別れを告げ今日も残りの仕事をそつなくこなす
そろそろまたプリシラがやってくる時間になるだろうかと思っていると案の定入り口のドアが開かれた
なんだかんだで彼女とのやり取りが若干楽しみになってきているあたり自分も徐々に堕とされつつあるのかもしれない
しかし入ってきたのは彼女ではなかった
年季の入った武器を担ぎ、傷跡がいくつも付いた防具を身に纏った三人組の男
見たところ冒険者だろうか
「いらっしゃいませ、3名s「俺たちは強盗だ、金を出せ」」
いつものように手順通りのセリフを話している途中、男1人が腰にかけていた剣をこちらに突きつけた
1人は入り口を塞ぐように立ち、最後の1人は客室側から誰か来ないかを見張っている
「おい、誰かに見られる前にずらかるから死にたくなければ早くしろ」
剣を突きつけている男は他の二人に目配せをしながら急かすように首を振る
この状況では逃げることも助けを呼ぶこともできないし、武器と呼ばれるものを持ったことすらないので抵抗など無意味だ
強盗がやってきたときのマニュアルは親から学んでいるものの、いざ本番になると心臓が早鐘を打ち嫌な汗が浮かび手が震えてくる
多すぎない程度にお金を入れたカウンター下の予備金庫を開けて中を渡す
刺激しないように、焦らずゆっくりと行うこと
父親が真剣な顔をして教えてくれたことを実行するだけ
しかし現実は唐突に起こった非現実と剣を突きつけられている恐怖で手が震える
予備金庫の鍵を落とし、拾い上げるも震える手では中々鍵穴に刺さらない
「早くしろ!」
急かされて余計に焦ってしまう
父親は何度か強盗にあっていると苦笑いしていたが
こんな状況を落ち着いて対処できるぐらいには何度も切り抜けてきたのかとぐるぐると思考が回る
ワタワタとした自分の様子に苛立ちを隠さない強盗に更に焦っていると
ガラスが割れた音が響き客室側を見張っていた男からうめき声があがる
そちらに目を向けると胸元に見覚えのある剣が突き刺さっていた
「まったく、今日も今日とてお楽しみの時間だと思ってたのにギルドの手配書でよく見た顔がこんなところに居るなんて」
もはや聞き慣れた声とともにプリシラが窓から入ってきて男に刺さっていた魔界銀の剣を引き抜く
ビクビクと震えて崩れ落ちる強盗を見もせずにあっけにとられていた入り口側の一人に飛びかかり斬りつける
胴体に一閃を喰らった男はもうひとりと同じようにうめき声を上げながら倒れ込む
「そんなに怯えなくても大丈夫、ボクが助けてあげるから」
ニカッといつものように微笑んでくれるプリシラに思わずドキリと胸が鳴る
変わりない彼女の姿に安堵感が湧いたのか少しずつ落ち着きを取り戻してくるが、
逆に他の仲間を伸されてしまった目の前の強盗の表情に怒りがこもりつつあるのが見て取れた
「お前……よくもやってくれt「はいはいお疲れ様」」
が他の仲間と同様にプリシラの放った一撃によってあっさりと崩れ落ちた
以前に彼女は冒険者の中でもそれなりのクラスだという話を聞いていたが
三人の強盗相手をものともしなかったあたり本当なのかもしれない
「それじゃあボクはいったんギルドにこいつらを突き出して来るからちょっと待っててね、あぁ窓ガラス代はギルドの方から出してもらえるように交渉しておくから心配しないで」
彼女は獲物を鞘に収めると飄々とした様子で三人の強盗を担ぐと玄関の扉を開く
少し待ってくれと手で彼女を静止させ一呼吸を置く
我ながらちょろいとは思うけれども母親の言を借りるのであればこうだ
「貸しは溜め込む方が良いが借りはできるだけすぐに返せ」
そう、あくまでも借りを返すだけなのだ
「あー……今日は……その……俺の……部屋が追加で一人分は開けられる……と……思う」
顔を赤くししどろもどろになりながらも要件を伝えると彼女の顔がぱあっと明るくなる
先程の彼女の笑顔に堕とされたわけじゃない
今日ぐらいはそうしても、彼女に助けてもらった借りを返すのであればそれが最適だと思ったのだ
「本当かい!それじゃあ直ぐにでも戻ってこなくちゃね!」
複雑な自分の心境とは対象的にプリシラは嬉しそうにドアから飛び出して行った
脅威が去った安堵感と、これから起こること、言ってしまったことへの気恥ずかしさとでその場でへたり込む
まだまだだなぁと思いつつも彼女が戻ってくるまでに腰を抜かしている状態は直るだろうかとため息を吐いた
一通りの業務を終わらせ、自室に戻るとプリシラが期待に満ちた目で鼻息荒く出迎えてくれた
先に従業員用のお風呂に入ってもらっていたせいなのか、普段意識していなかっただけなのか彼女から虜の果実のような甘い香りが漂っている
「ふふふ……ついにこの時が……ボクの事以外考えられないぐらいに気持ちよくしてあげるからね……」
紅い瞳で真っ直ぐに、熱を込めて向けられる
覚悟を決めて服を脱いでいくとご馳走を目の前にした子供のように彼女の口の端から涎が垂れていた
思わず笑ってしまいそうになったがこらえて指摘してやるとゴシゴシと拭い彼女も辛抱たまらんと言った様子で自分の上着にも手をかけた
プリシラの整った双乳がぷるんとこぼれ落ち、思わず目を奪われる
大きすぎない、けれども片手では収まらないサイズのハリのある柔らかな果実を目にして愚息が固くなっていくのを感じる
「ボクのおっぱい……気に入ってくれたようで嬉しいよ……」
上半身のみ裸の状態の彼女が優しく押し倒してくる
彼女は自分の股の間に陣取り、露出した胸で我慢汁のこぼれ出ている剛直を挟み込んだ
柔らかく温かい感触に包まれ、一人で手でする時とは真逆の感覚が妙に興奮を誘う
「ふふふ……君のあったかいこれを挟んでいるだけなのに……ボクもイってしまいそうだね……」
紅い瞳が意地悪そうに細められ、嫌な予感がする
彼女の豊胸に添えられていただけの両腕がゆっくりとその果実を持ち上げて元の位置に落とす
ゆっくりとだが敏感な部分を擦られビクリと震える
「気持ちいいみたいだね……良かった……じゃあそろそろしっかりと行こうか♪」
彼女の言葉を皮切りに動きが激しくなる
単純な上下運動が早くなっただけでなく、左右交互に上下させたり緩急をつけたり、時にはぎゅううっと締め付けて来たりもする
「ふふ……良い表情をしているね……とっても可愛いよ……」
男としては複雑になるセリフではあるが、そんなことを考えている余裕もないぐらいに攻め立てて来る
あっという間に限界を迎え、もう出そうだというタイミングになり
「それじゃいただきまぁす」
絶頂するタイミングで怒張の先が彼女の口内に迎え入れられる
双乳の間とはまた違った温かさとねっとりとした唾液に包まれ、裏筋をぺろりと舐められる感覚と同時に彼女の口内に吐精した
「んくっ……んくっ……ふふふ……ごちそうさま♥」
喉を鳴らして精を飲む彼女の姿はとても妖艶だが、それを上回る普段より続く射精感に支配され頭が真っ白になる
搾られていると言っても過言ではないほどの射精と精飲がしばらく続き、うっとりとした表情を浮かべた彼女の紅い双眸が捕らえた獲物を見るようにこちらに再び向けられた
「さて……まだまだ夜はこれからだよ……♥」
宿屋の朝というものはそれなりに早い
……はずなのだが太陽は既に頭の真上に来るような時間だ
幸い今日は宿泊客が居ないので特に問題が無いと言えなくは無い
「おはよう……今日も旦那様の可愛い寝顔が見られてボクは幸せ者だね」
寝坊の原因である妻は特に反省してないどころか幸せそうな顔を浮かべている始末である
惚れた弱みというべきであろうか、プリシラのそんな表情を見ていると怒る気も湧かなくなってくる
「おはよう、今日は依頼を受けない日なんだろ、店の手伝いをしてもらうぞ」
「えぇ……今日はウィルを可愛がったりのんびりしようかと思ったのに」
「のんびりこんな時間までしてたからな、客足次第では時間は自由に使えるから頑張るぞ」
不満そうな表情をしながらも手早く着替えを済ませた彼女は上着を着ている途中の自分に近づき、親指で顎を持ち上げ真っ直ぐに紅い瞳をこちらに向けてきた
見慣れているとはいえ整った顔立ちが少し前へ突き出せばキスできそうな距離まで近づき、思わずドキリとしてしてしまう
「それじゃあ今夜は……いや今夜も寝かせてあげないよ、大好きな旦那様♥」
いつかの夜のように獲物を狙う目がスっと細められ、舌を舐めずる音がする
しかしいつまでも彼女のペースでやられてばかりいるのも癪なので片手でただでさえ近い彼女との顔の距離を更に近づけると言うよりも合わせ彼女の口内に舌をねじ込み深いキスを行った
「んじゅるっ!?……んん♥……」
スイッチが入らないうちに顔を離し着替えを再開する
少しの間呆然としたように彼女は突っ立っていたが、何事もなかったかのように部屋のドアをこちらに振り返りウィンクをした
「そこまで楽しみにしてもらってるとは光栄だね、早くお仕事があがれるようにボクもしっかり手伝ってあげようじゃないか、それじゃあ買い出しに行ってくるよ」
彼女のペースを崩すにはまだまだかかるかもしれない
19/12/29 12:30更新 / 錆鐚鎌足