連載小説
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これが恐怖だ!!人類未踏!ジパング最大の逆襲死闘!!
「もう朝か…」

もう太陽が頭上に姿を見せていた。
鳥の囀りや、草木が風に揺れる音が時折耳に入る。
気持の良い目覚め。

「頭いてぇ…」

…のハズだったが、まだ酔いが残っている。
それだけアカオニの酒は強烈だった。
辺りを見渡せば、死屍累々と言う表現が相応しい。
そこら中に、酔い潰れた仲間達が折り重なって倒れている。

「酷い有様だ」

こんな姿を誰かに見られたらどうなる事か。
流石にハメを外し過ぎた。
少しはしゃぐ程度なら笑って許してくだるだろうが…
こういう展開が一番嫌いなのは、勿論あの人だ。

「お〜い、起きろ」

足元に転がっている奴に声を掛けるが、反応が無い。
頬を叩いたり抓ったり、鼻を摘んだり口を塞いだりしたが、やはり反応が無い。

「いや、死ぬからそれ」

背後から声を掛けられた。
振り返ってみると、見知った顔がある。
どうやら起きたようだ。

「おはよう」

「何がおはようだお前…さっき蹴っただろ?」

そう言って脇腹を擦っている。

「ああすまんすまん」

さっき移動する時に足をぶつけてしまったようだ。
それで目を覚ましたんだろう。

「ところで、肝心の人が見当たらないんだが」

「そう言えばアカオニさん居ないな…」

この惨状の元凶たるアカオニが居なかった。
同じようにどこかで酔い潰れているのかと辺りを見渡したが、やはり居ない。
晩酌に付き合わされた奴は見つけたが、案の定酔い潰れている。

「まさか見捨てられた…?」

その可能性は大いにある。
あの自分たちに拒絶された時の寂しそうな顔ときたら。
思い出しただけで罪悪感に苛まれる。

「思い出してみれば、別に俺達に何か危害を加えたわけでもないよなぁ」

「先生と馬鹿やってたから、知らず知らず同じ扱いしてたんだな…」

はっきり言うが先生はどんな扱いでも良い。
本人がそれを気にしている素振りも無いし、元よりあの性格だ。
3歩進めばさっき覚えていた事を忘れてしまうような人だし。

だがアカオニは違う。
粗野な言動が目立つが、そういう人に限って実は寂しがり屋だったりする。
ああいうタイプはこっちが優しくすれば案外すぐデレたりするものだ。

「途中から脱線してるぞ」

「…ハッ!?ついいつもと同じような事を考えてしまった」

「だからモテないんだよお前」

しかし困った。アカオニが居なくなったとしたら、自分たちはこの場から動くことが出来ない。
それにバフォメットも、まだここに戻ってきてはいない。

「どうするよ?とりあえず全員起こすか?」

「その前に周りだけでも探そうぜ、もしかしたらまだその辺に居るかも知れない」

見つけたら、とりあえず謝ってでも戻ってきて貰う。
見つけられなかったら、その時はその時だ。
草の根を掻き分けながら、注意深く辺りを探す。
どこかに寝転がっている可能性もあるので、足元などを重点的に探している。
あまり遠くには行けない。
ので自分たちが居る場所を中心に、くるくる回るようにしてアカオニを探す。
しかし見つからない。やはりもう遠くへ行ってしまったのだろうか。

今度は二手に分かれて、お互い逆方向から回り込むようにして歩き出す。
何週かすれば、相手が見逃した場所でもカバー出来ると言うわけだ。

「アカオニさんや〜い」

「どこ行ったんですか〜」

今度は呼んでみる。
だがやはり返事が返ってくる事は無い。
そもそも、自分たちに嫌気がさしていなくなったのであれば、聞こえていても返答するハズもない。

「う〜ん…」


それからまたしばらく辺りを探してみるが、結局見つからなかった。
気がつくと、自分たちが居た場所から結構離れてしまった。
一旦戻ろう、そう思って反対方向にいるもう一人に声を掛けようとした所。

「うん?何やってんだあいつ」

こちらと目が合ったもう一人の生徒が、妙な行動を取る。
口元に、人差し指を押し付けるような仕草を取った。

「静かにしろって意味か?」

更に今度は、頭を低くしてこっちに来い。
といった動作を取る。
どうやら何か発見したみたいだ。

「何だ何だ…」

不可解な行動に頭を傾げつつも、言われた通りの行動を取る。
声を出さないと言う事は、こちらの存在に気付かれたら困る相手なのだろうか。
と言う事は、何か危険なものか。
まさか落ち武者や盗賊の類か?或いは獰猛な野生動物か。
はたまた魔物だろうか。
いや、むしろ魔物であればこのように姿を隠す必要は無いだろう。
居なくなったアカオニの行方を知っているかもしれない。
ジパングに居る魔物は、いきなり襲い掛かってくるような種類は少ない、と前に習った。
それこそ、危険なのはアカオニくらいなものだ。

そうこうしている内に、もう一人の元へと辿り着いた。
相手?に気付かれぬように小声で話す。

(なんだよ?)

(いいから黙って耳をすませろ)

そう言って、近くにある木を指差す。

(木?)

木に何か居るのか?
言われた通り耳をすませると、木陰の辺りから音が聞こえてきた。

(水滴…?)

それは、ピチャピチャと言う、水滴が落ちるような音に似ていた。
更に神経を集中させ、音を聞いてみる。

「……ンッ…あぁ…」

(人の声!?)

(この声、聞き覚え無いか?)

言われてみれば…どこかで聞いたような…

「…どうよ、段々慣れて来ただろ?」

(もう一人!?)

(この声って…アカオニさんじゃないか)

今度はハッキリわかる、この声の主が。
これは、まさに今探していたアカオニの声だった。
ようやく発見出来た。
となると、もう一人の声の主は…

「…そこは駄目じゃ…んッ!?」

(先生じゃねえか!)

(何だ…もう合流してたのか)

何と言う幸運、探していた人物が二人もいっぺんに発見出来た。

(ならさっさと…)

(だから待てって!何か様子が変だ)

(変?)

そう言われて気付く。
さっき聞こえた、おかしな水音を。

「最初はキツイけどよ…慣れれば気持ちいいもんだぜ?」

「ひゃあぁ!?…む、無理じゃって…あぁ…」

更にピチャピチャと言う音に加え、クチャクチャと何かを捏ね回すような音さえ聞こえてきた。

(…なぁこれって)

(まさか、そんな…ありえないって)

二人が想像したのは、まさにアレである。
だがおかしい、あの二人はいつの間にこんな仲になっていたのか。

(先生…男に相手にされないからって女に…)

(いや、聞いた感じアカオニさんが攻めてるぞ)

(詳しいなお前)

何とも微妙な、たとえるなら思春期に両親の明るい家族計画を覗いてしまったような。
そんな感じがする。

(いや…これは多分違うだろ)

(どういう事よ)

(そんな予想通りのオイシイ展開があると思うか?絶対違うって)

(じゃあ何だよ)

(俺の想像では、多分こうだ)

………
……


「…痛い痛い痛い!」

「我慢しろって!」

「痛い痛い痛い痛い!しみる!」

………
……


(つまり?)

(傷ついて帰ってきた先生をだな、アカオニさんが酒使って消毒してるとかそんな展開だよ)

(ああ〜〜…なるほどぉ〜)

素直に関心する。
何ともベタな展開だが、ありえる話だ。

(伊達に毎日妄想してるワケじゃない)

(胸張って威張る事か知らんが…さすがだ)

(なんせ俺と出会って頭の中で裸にひん剥かれた事の無い女は居ないってくらいだぜ?)

(ごめんそれはキモイ)

(老いも若きも平等にひん剥いてやってるわ!)

(お前…この授業終わったら病院行こうな?頭の)

(失礼な!ちゃんと毎日お薬飲んでるよ…虹色のやつ)

(量増やしたほうがいいな)

学友の健康状態にも注意を払わなければならない。
いずれ妄想の中では収まらず、実行に移すかもしれない。
何か仕出かした時の為に、インタビュー用のコメントでも考えておくか…

(と言うかさ、別に隠れる必要なくね?)

(近づいてこっそり見てやろうぜ、先生の情けない顔)

(結局それが目的かよ)

どうも当初の目的から完全に逸脱している。
結局こんな展開なのか…と言うか弱みを握ってどうするつもりなんだろう。

(これをネタに脅してあんな事やこんな事を!…って妄想するんだよ)

(ああ、うん、お前はもうそれでいいや)

自己完結している内はもう何も言うまい。
それに付き合わされる方は散々だが…
そうなると善は急げと言わんばかりに、行動を開始する。
こっそりと、しかし大胆に、向こうに見つからないよう地を這う。

(何でこんな事しなきゃならんのよ…)

(フフッ…何故かな)

(そのノリにはついていけんわ…)

カサカサと、ひたすら地を這う。
距離はそれほど無いが、見つからないように細心の注意を払いながら進む。
どうにかこうにか、向こうからは死角になるような場所を見つけ、そこに潜む。
ここからなら、こちらから向こうの様子がよく見える。
そうしてコッソリ頭を上げた二人が見たものは、予想外なものだった。









何故、今このような状況になっているのか、自分でもよくわからない。
と言うよりこれは需要があるのだろうか?
などと考えてしまう、それほど非常に厄介な状況に陥っている。

バフォメットが戦線を離脱した時には、既に戦闘は終了していた。
"平和的"な"話し合い"が功を奏したのか、彼女を追う者は居なかった。
ので悠々と森の中、指定された場所へと向かって行った。
そこまでは良かった、非常に良かったのだが…
目的地へ向かう途中、泥酔したアカオニを発見したのが運の尽きだった。

「またこれは…」

「うおぉほ〜い…やっとかえっへきたらぁ〜!」

こちらの姿を認めると、足元のおぼつかない様子でフラフラしながら近寄ってくる。
何故こんな場所に一人で居るかわからない。

「え〜…相手するの面倒なんじゃが」

「おまえんとこのよぉ〜せいとはよぉ〜…はくじょうらなぁ〜!!」

「クサッ!酒クサッ!!」

アカオニが酔っ払うとは珍しいものを見た。
さっきから生徒が生徒がと連呼しているが、何かされたのだろうか。
あの集団は、見た目の通り全くデリカシーが無い。
男所帯なので、色々溜まっているものもある。
酔った所を襲われでもしたのだろうか、と心配していたのだが…

「だれもいっしょにおさけのんれくれないんらよぉ〜…」

「あーさいですか…」

そう言うと膝から崩れ落ち、とうとう泣き出してしまった。
嗚咽を漏らしながらも、必死に言葉を紡ぎだして行く。

「つまり、一緒に酒飲もうぜと言ったら拒否られたと?」

「…うん」

「うんって…お前なぁ…」

流石にまともに相手をするのが面倒になってくる。
そりゃアカオニと酒盛りしようなんて酔狂な奴が居るかね。
大体生徒達は一応まだ子供、過剰な飲酒は体に悪影響を及ぼす。
アカオニの酒はキツイとも言うし、彼らの反応は至極最もだと言える。

「しかし…」

「ふぁ?」

「よく、見ていてくれたな…子供たちを」

そう言うとバフォメットは優しく、アカオニの頭を撫でた。
考えても見れば、あの状況でも生徒達を見捨てず、ちゃんと纏め上げている。
それだけでも、バフォメットにとっては嬉しい事だ。
よしよしと、まるで子供をあやすように、褒める。
アカオニが膝をついているので、バフォメットの身長でも頭に腕が届く。
しばらくぽかんとした表情でそれを見ていたアカオニだが。
次第に目を細めながら体をバフォメットの方へ傾ける。

「これ、あまり甘えるな」

「ん〜…もうちょっとだけ…」

「ふん…仕方のないやつじゃ…」

するとバフォメットは優しくアカオニの顔を抱きしめると、それをおもむろに…

「仕方ない、仕方ない、仕方ない…と思った所をドーン!」

「グヘェッ!!」

思い切り地面に叩き付けた。
アカオニの顔面が深く地面にメリ込む。

「アホか!どういう路線を狙っとるか知らんがな!何で女同士イチャつかにゃならんのじゃ!」

バフォメットはキレた。
気の長いノリ突っ込みなのか、ただの照れ隠しなのかよくわからないが、とにかくご立腹の様子。

「ほら、さっさと顔上げんか!皆の所まで行くぞ!」

アカオニの首元を掴み、強引に持ち上げる。
すると顔に付いた土がパラパラと落ちるのが見て取れた。

「…おまえ…」

「ん?何じゃ、聞こえんぞ!?」

「お前…」

「あん?」

「…ぶっ殺すぞこのクソババァ!!」

今度はアカオニが烈火のごとく怒り出した。
その顔は真っ赤に染まっている。

「元々赤いじゃろ」

「うっせぇ!今回ばっかりは絶対許さねえからなお前!」

「おー酔いがさめたか」

「そこで冷静になるなよ!」

アカオニが勢いよく飛び掛る、がそれをバフォメットは軽くいなす。
だがアカオニは諦めない、何とかバフォメットを捕まえようと何回も飛び掛ってくる。

「図体だけの木偶の坊に捕まるワケないじゃろー」

「ちっこいもんな」

「ちっこい言うな!」

「ほれ」

「しまった!?」

一瞬のスキを突いて、アカオニが背後からバフォメットに飛びつく。
羽交い絞めのような格好になったまま地面に倒れてしまった。
どうやら小さいと言う言葉は禁句のようだ。

「クッ…ぬかったわ」

「ほれどうした?動いてみろよ」

上から凄まじい力で押さえつけられている。
何とか身を捩ってこの体勢から抜け出そうとするバフォメットではあったが…
やはり単純な力の差は如何ともし難く、徒労に終わってしまう。

「さっきの事は謝るから、許してくれんかな…」

「そう言えば、こっちの方はどうなんだよ?」

「ひゃぁ!?」

バフォメットの言葉を無視し、アカオニの手が胸元を撫で始める。
突然の刺激にバフォメットが素っ頓狂な声を上げてしまう。

「やっぱりこっちもちっこいなぁ…?」

「やめろ!本当にやめてくれ!」

懇願虚しく、アカオニの指が先端に触れる。

「くぅッ!?」

その刺激だけでも、声が出てしまう。

「いい反応じゃねえか…ええ!?」

今度はいきなり先端を摘み、乱暴に捻る。

「きゃふぅッ!?」

ただ痛いだけなのに、なのに何故か声が出てしまう。
必死に抵抗を試みるが、更に胸に指を食い込ませる。
揉み、摘み、弾き、こね回す。
一定では無く、変化を加えながらバフォメットの小さな胸を蹂躙する。

「もう…やめてくれ…」

「本当に止めてほしいのか?」

そうだ、止めて欲しい。
だが何故か、喉まで出掛かっている言葉を言う事が出来ない。
まさか自分自身が、このような状況を受け入れつつあるのか。
ここまで欲求不満だったのか、確かに最近一人遊びもご無沙汰である。
だからと言ってここまでいい様にされていて、それを快感だと認識するのは…

「…返事がねぇな」

「……」

「なら、好きにさせて貰うか」

今度は下の方に、アカオニの手が伸びる。
胸から脇腹、臍などを指先でなぞりながら、徐々に下りて来る。
一応は、普段の薄い服装の上に探検用の服を羽織っている。
だが、そんな薄い装甲では防ぎようのない攻撃に晒されている。
ついに、ズボンの隙間を縫うように、アカオニの手が侵入して来る。

「…んッ!」

一瞬ピクリと反応を見せた。

「おっ…いいねぇ」

更に手が奥へと差し込まれてくる。
薄い下着越しに秘部を優しく撫でる。

「…んふぅ!」

バフォメットも必死である。
声を漏らさないように手で口を押さえている。
それでも、時おり声が漏れてしまう。
覆いかぶさるような体勢なので、アカオニからバフォメットの顔は見えない。
だが、体の反応などで向こうは既に様子は手に取るように理解出来ているだろう。
だからこそ、せめて声を出さないでおこうというささやかな抵抗である。

「…!?」

不意に、背中に柔らかいものが押し付けられた。
アカオニのその豊満な乳房である。
小さい子供のような体型の自分とは対照的だ。
出る所はちゃんと出ているが、筋肉質でもある。
そんなアカオニの体型を意識すると、どうしようもない屈辱感を覚える。
自分には決して無い、その大きな胸を意識させるように押し付けてくる。
まるで自分の方が立場が上であると意思表示をしているような、そんな気さえして来る。
秘部に侵入した手は、優しく撫で上げるかと思えば、時おり突起を摘む。
それを抓り、扱き、かと思えば優しく上から押し潰す。

「くぁッ!…はぁ…あぁ…」

こちらの反応を悟られまいと必死に声を抑えているのだが…
体は触れられる度に正直に反応を見せる。
ビクンと体を震わせる度に、アカオニの嗜虐心を煽る。
逆効果なのだが、バフォメットからアカオニの表情を窺い知る事は出来ない。
ますますアカオニの愛撫は激しさを増す。
このいつ終わるともしれない陵辱に、バフォメットは必死に耐えるしかなかった。












どれくらい時間が経っただろうか、未だにアカオニの責めは続いていた。
既にバフォメットも抵抗を諦めている。
ただされるがまま、アカオニの責めを受け続けている。

「………」

「だいぶ素直になったじゃねえか…」

もう声さえ出ていない。
このままでは駄目だ、何とかしないと。
でも体が動かない。
すると不意に、アカオニの体が離れた。

「…終わっ…たか?」

横目でアカオニの方を見やる。
ようやっとこの拷問から開放されるのか。
だが、バフォメットの淡い期待はすぐに裏切られる事になる。

「何言ってんだ?これからが本番だろッ!」

そう言うと、うつ伏せ状態だったバフォメットを強引に仰向けにする。

「…ひゃあっ!?」

咄嗟に、自分の顔を手で隠そうとしたが、アカオニの手がそれを許さない。
バフォメットを組み敷くような体勢になる。

「ひっでぇ顔だよなぁ…?バフォメット様ともあろうお方がよぉ」

頬は朱に染まり、目は虚ろで涙を浮かべ、口は半開きでだらしなく涎を垂らしてしまっている。
そんな顔を見られてしまってはたまらない。
相手の嗜虐心を更に煽るだけではないか。
手首を捕まれ顔を隠せない状況でも必死に首を左右に振る。

「ひぃっ…み、見るな…見ないでくれ…」

「そろそろ本番…いってみるか」

アカオニの言葉に背筋が凍る。
両脚を足の方から両手で持ち上げ、そのまま頭の方へ持っていく。
秘部が持ち上げられた状態になる。
その状態で、アカオニの手が女性器に触れる。
既にズボンは強引に脱がされ、下着も横にずらされている。
まだ毛も生えていないような幼い秘部が、露になった。

「こっちの方もまだまだガキだなぁ…」

「ほ、本当にもう…やめてくれ…これ以上は…もう」

「本当に止めて欲しいのかぁ?下の口はそうは言ってないようだぜ?」

そう言って、秘部からとめどなく溢れ出る液体を指ですくう。
目の前で指を広げてみると、ニチャァと糸を引いて見せる。

「じゃあこれは何なんだ?えぇ?」

「こ、これは…ただの防衛反応じゃ…」

危機を感じると、女性器は濡れる。
なので決して感じているわけではない。と言う事を説明したかったのだが…

「俺は馬鹿だからさ、さっぱりわかんねえよ」

「お前…ッ!」

バッサリ斬り捨てられてしまった。

「さーて、ご開帳といきますか」

「…あぁっ!?」

指先を使って、閉じていた秘部を無理やり横に広げる。
誰にも見られた事の無かった場所を、とうとう覗かれてしまった。
更に奥からは液体が溢れ出てくる。
必死に大事な場所を守ろうとしているのだろうが。
こうなってしまってはただアカオニを喜ばせるだけだ。
しばらくは、入り口周辺を弄っていた指が、ついに中へと侵入を試みる。

「そ、それだけは…!それだけは!頼む!本当に駄目じゃ!」

ここに来てバフォメットの抵抗が一層激しさを増す。
一体どこにそんな力が残っていたのかと言うくらい必死だった。
アカオニも一瞬それに怯んだが、ここまで来て終わるのも中途半端だ。
そう思い、更に力を加えバフォメットを押さえつける。
こうなると、元々の体格差に加えこの体勢である。
最早バフォメットに逃れる術は無かった。

「生娘みたいな反応するんじゃねえよ…って、まさかお前…」

「……」

その沈黙が、質問に対する答えだと受け止めた。
アカオニが嗤う。
その顔は、何か良からぬ事を考えているような表情だった。
感の良いバフォメットは、それを見て瞬時に気付く。

「後生じゃ…それだけは見逃してくれぇ…」

「俺も色々やったけどよぉ…魔物の生娘とやるのは初めてだぜ」

アカオニの指が無理やり入り口をこじ開けようとする。
穴は狭いので、指一本だけでもキツイ。
それでも、無理やり指を二本、捻りながら挿入してきた。

「…痛い!…これ以上は入らないッ…」

「いいからじっとしてろ!俺が立派な大人の女にしてやるから!」

ミチミチと…肉の壁を強引に広げながら、指が奥まで入ってくる。
異物が挿入される違和感にバフォメットは戸惑う。

「くはッ…もう無理、無理じゃっ…」

「我慢してろ、そうすりゃ次第に気持ちよくなって…」

ついに貫通されそうかというその時である
背後から、気配を感じた。

「…誰だ!?」

「…へぁ?」

アカオニが振り返る。
すると、そこに居たのはこれまた予想外なものだった。

「あ…」

「見つかった…」

背後には生徒が二人、こちらの様子を窺っていた。




















長い沈黙が辺りを支配する。
双方余りにも予想外な場面に出くわしてしまった。
ので、次にどのような行動を取ればいいのかわからない。

「…」

「…」

生徒達は中腰のまま、その場に呆然と佇んでいる。
一方のアカオニも、先程の体勢のまま動けないでいた。

「…チャンスじゃ」

真っ先に動いたのはバフォメットだった。
アカオニの注意が生徒達に向いている隙をついて、咄嗟にその支配から逃れた。

「あっ!てめぇ…」

アカオニがそれに気付いた時には、既にバフォメットは離れている。
素早く衣服の乱れを直している。

「おいって…お…」

バフォメットの目を見た瞬間、何も言えなくなってしまう。
涙を浮かべながら、こちらを睨むその顔を見ると、罪悪感が襲ってくる。
最初は冗談のつもりだった。少々懲らしめてやればすぐに終わる。
なのに、何故か途中から押さえが効かなくなってしまった。
自分でもよくわからない。
まさかバフォメットの魔力に当てられたとでも言うのか…
その幼い体を蹂躙する快感が、今でも頭の中に残っている。

「…まさか」

そう呟き、先程まであの幼い秘部を蹂躙していた己の指を見る。
まだ指先には、その時ついたであろう液体が残っている。
それを、恐る恐る自らの口元へと運ぶ。
なぜこんな事をしようとしているのかわからないが、止まらない。
アカオニに目には、それがまるで甘露のように見えた。
先の方から、丹念に舐め取っていく。
これは確かに甘露と言えなくも無い。
思わず口元が綻んでしまう程だ。
もっと欲しい、もっと舐めたいと言う欲望が心の底から湧き上がって来るような…

「今回だけじゃからな…」

「えっ!?」

急に声をかけられたので思わず我に返る。

「次は無いぞ」

小さくとだが、はっきりと聞き取れた。
その怒気を含んだ声を聞いた瞬間、背筋が凍るような気がした。

「お前達は一体どうしたんじゃ?」

それっきり、バフォメットはアカオニの事を無視して、生徒達に話しかける。
この話はこれで終わりだと言わんばかりだ。
嬉しいような恥ずかしいようなよくわからない感じだが、彼らのお陰と言える。
ので、出来るだけ自然に話しかけようと試みる。

「先生…」

「ん?どうした」

話しかけて来たのは、向かって左側に居る生徒だった。
しかし、その様子がどうもおかしい。
俯き、肩を震わせながら声を発している。
怒っているのかどうかはよくわからないが、必死さは伝わってくる。
ひょっとすると、今の行為を見て不快感を示したりしたのだろうか。
そうなれば、こちらに非がある。

「…俺も」

「うん?」

「俺も混ぜて下さいッ!!」

これ以上無いくらいの眩しい笑顔を見せる。
彼がここまでハッキリと気持ちを口にしたのを見るのは初めてだが…

「その反応は駄目だろ…」

よりにもよって最悪な選択肢を選んでしまった。





















「俺は何も見てません」

「よろしい」

「なぁ、コイツ…生きてるか?」

「心臓が動いておれば生きとるじゃろうよ」

「おいおい…」

ああいう場合、先に動くのは正解じゃない。
先に動いた相手の行動を見て、己は正しい行動を取ればいい。
なので、先に動いた者は何れにせよ失敗する事が多い。
今回もまさにその通りの結果となった。
あんな事を言ってしまったのだ。
顔がメリ込む程の拳を受けて、地面に崩れ落ちた学友を見れば、何が正解か一目瞭然だ。

「お前は何も見ていない、見ていたらすぐに忘れる事をお勧めするがの」

「イエス、マム。俺は何も見ていません」

「うむ、非常によろしい」

何事も無かったかのように、生徒達の居る場所へと戻る。
さっき先生懇親の右ストレートを顔面に受けたアイツは、アカオニさんが担いで運んでいる。
妄想で済まなかったのが運の尽きと言った所か。
アカオニさんと先生は、普通に会話をしている。
許されたのか、それとも自分達の手前表向きは仲良くしようと言う事なのか…
真意はわからない。
そうこうしているうちに、目的地に到着した。
既に他の生徒達も目覚めており、こちらの姿を認めると喜んで走り寄って来た。

「先生!無事だったんですか!」

「すまんな、心配をかけた」

「アカオニさんも、居なくなって心配しましたよ」

「わりぃわりぃ、ちょっと酔いすぎたみたいでよ…」

二人が戻ってきたので安心した様子だ。
バフォメットはそれを見て笑顔を取り戻した。






とりあえず、全員集まった所で朝食を取る。
食べ物は、バフォメットが予め用意しているものを食す。
もう非常食携帯食の類は皆食べ尽くしていたので、これは有難い。

「食いながらでいいから、人数確認するぞ」

「まずコイツで一人っと」

物言わぬ学友をアカオニが無造作に地面へ投げ捨てる。

「コイツどうしたんですか先生?」

「ん?どうしたんじゃろうな、知りたいか?」

「…いえ、いいです」

誰も聞くことが出来なかったでの放置する事にした。
死にはしない、まだ脈があるから。
それから、人数確認を再開する。
夜中に一人減ったので、生徒の数は28人のハズだ。

「26」

「27」

「28」

「よし、全員…」

「29」

「三十」

「うん…?」

おかしい、今何人か余分に聞こえたような気が…

「なんか増えてるー!?」

「うわ!これ怖い!すっげぇ怖い!」

何故か30人居た。
これは異常事態である。
もう一度、バフォメットが自ら数を確認するが、やはり30人居る。

「確かに30人居るんじゃが…」

どうにも不自然だ、この授業に参加している顔はよく覚えている。
そして、全員が男子である事も。

「お前…誰じゃ」

一番後ろの、端に居る者を指差しながらバフォメットが言う。
生徒たちが振り返ると、そこには女の子が居た。

「女の子…?」

「しかも…リザードマン?」

何故かそこにはリザードマンが居た。
もう一人は、夜移動する際にはぐれた生徒だ。
自然と、その生徒に質問が集中する。

「お前…いつの間に!?」

「いや〜ついさっき来たばかりだよ」

「隣の子誰よ?」

「ああ、彼女は…」

「ふぁふぁへふ」

「何だって?」

今度はそのリザードマンが口を挟む。
だが、口の中に食べ物を詰め込んでいるので、何を言っているのか聞き取れない。

「ちょっと、詰め込み過ぎだって」

「ふぉへほほふぁふぁふぇふ?」

「うん、みんな誰だって聞いてるから…」

「ふふへほふぁふぁほふ!」

「え?だからまだ妻じゃないって言ってるじゃん…」

「おい、会話すんな」

「何この展開、俺に対する当て付けなの!?」

これも愛のなせる業である。
とりあえず口の中のものを飲み込んで貰い、改めて話しを聞く事にする。

「…んっ、失礼した…久しぶりにまともな食事をとったほへふい」

「また食うなよ」

「どんだけ飢えてんのさ」

「不憫な…」

とにかく食べる。
飲み込む前に口に食べ物を詰め込んでいる。
その姿には誰もが圧倒されてしまう。

「ふぅ…食った食った」

「殆ど一人で食いやがった!」

大量にあったの食料をほぼ総て自分の腹に詰め込んでしまった。
それでようやく人心地がついたのか、ゆっくりと彼女が語りだした。

「お茶…無いか?」

「無いわ!」

「む、そうか…」

改めて彼女がゆっくりと語りだした。

「私は、彼の妻だ」

「だから色々素っ飛ばし過ぎだって!」

「ふふ…そう照れる事もないだろう?事実なのだから」

どうも今ひとつ意志の疎通が出来ていない。
ちゃんと順序を踏んで説明してくれ、と念を押す。

「私は、今回この戦に参加した者だ」

「どちらの陣営じゃ?」

「攻め手です」

「ほう、なら昨夜の戦闘に参加を?」

「いえ、私は食料を探しにこの森の中に居ましたので…」

「そうか」

「そこで彼と出会い、こうして結ばれたわけです」

「聞いてない聞いてない」

昨夜の戦闘では、最終的に城方が負けた。
最初は押していたのだが、援軍が来ると戦況は一変した。
左右や後方から攻められ、包囲された。
何とか血路を開いて逃げ出したが、半数以上を失うと言う大敗を喫した。
バフォメットは、その様子を最後まで見届けている。
ので、皆と合流するのが遅くなってしまった。
その後の出来事を差し引いても、遅くなった事は事実だ。

「まあ、この森に入ろうと思う奴なんざ魔物くらいだわな」

「どういう事なんですか」

アカオニが妙な事を言う。
初日から拠点となっているこの森だが。
言われてみれば、自分達以外の人を見た事が無い。
どうも不自然だった。
戦と来れば、見物人や商人などが溢れかえるものだ。
とはバフォメットから教わった事。
しかしそれらと出会う事が今まで一度も無かった。
流石に生徒達の中にもその事に気付く物も居たのだが。
結局今の今まで誰もそれを聞く事は無かった。

「言ってねえのかよお前…」

「そう言えば説明し損ねておったかな?」

「何か雲行きが怪しくなってきたぞ…」

「ちっ、しゃーねーな…いいかジャリ共よく聞けよ、ここはな」

「ここは…?」

「魔物が多く住んでる所だよ」

アカオニの説明はよくわかる。
それはそうだ、魔物の森なら人が入り込まない理由になる。
これはあくまで仮定の話だが。

「いや、本当なんじゃよ」

「結構重要な情報ですよねそれ、何で今更言うんですか!」

「しおりに書いておったはずじゃぞ?」

「え…何ページッスか?」

「表紙の絵」

「わかるかそんなもん!」

それ以前に、絵が雑すぎて何を描いたのかさえよくわからない。
幼児が描くような、ぐちゃぐちゃの線の絵らしきものが点在している。
それをバフォメットが一つ一つ指で説明する。

「これが恐怖におびえる人間でな、こっちが魑魅魍魎が跋扈する森の中を…」

「ここに居る魔物は…どんな種類ですか?」

「あーん無視か、やっぱり無視するのかお前達」

やはりここは原住民に話を聞くのが一番だ。
アカオニに尋ねてみる。

「一通り居るぞ、狐や狼や猫や烏に河童…」

ここまでは大方予想通りである。

「俺みたいな鬼や雪女や熊や蜘蛛に…」

「まだ居んの?」

「最近は他所の国から結構流れて来てるからなぁ…」

意外と国際的な森である。
未確認情報だがドラゴンを見たと言う話さえある。
そりゃ人間は近寄るワケがない。

「じゃあ僕らって珍しいんすかね」

「狙われてるのは間違いねえだろうな…」

「じゃからわしから離れるなと言うとるのに」

「そういう意味だったんですか…」

自分の目の届く範囲に居れば、他の魔物が手を出してくる事は無い。
つまりはそう言う事だ。
人に襲われるか、魔物に襲われるかの差しかない。

「どっちにしろ襲われるんじゃねえか!」

「引く手数多じゃよ」

「嬉しくねぇ…」

「気の早い輩は来た時から監視しとるようじゃしな」

「見張られてるのかよ」

はぐれた2名(1名帰還)のように、森の中でなら確実に魔物の仕業と言える。
比較的、森の外ではぐれるよりは安全と言えなくも無い。
死にはしないのだから。

「先生、コイツもう死んでるんじゃないですか」

「わしが生きとると思う限り生きとるよ」

「ついに他人の生殺与奪の権利まで…」

先程の顔面がめり込んでいる生徒である。
既に微動だにしないのだが、バフォメットは生きていると言う。
のでこれ以上どうしようもない。
やっぱり放置しておこう。

「とにかく、これでしばらく余裕が出来たワケじゃが…」

「あれ、城攻めの方はどうすんです?」

「1〜2日の間は城攻めも無いじゃろうよ」

「何でですか?夜の戦いで勝ったんでしょう?」

常識的に考えれば、勢いに乗ってそのまま攻め込むのが普通だろう。
だがそれは違うとバフォメットは言う。

「当然、このまま攻めればすぐ勝てるじゃろう、じゃがな…」

負けたとは言え、城方の勢いもまた凄まじいものがある。
仮に今攻めたとしたら、文字通り最後の一人になるまで戦い抜くだろう。
そうなれば、攻める方の損害も無視出来ないものになる。
誰でも、極力自軍の損失は少ない方がいい。
つまり、今この状況で取られる手段とは…

「降伏勧めるか、内応する奴を見つける事じゃねえかな」

アカオニが説明する。
素直に降伏するとは思えないが、交渉するだけはするのだ。
内応者の説得なども積極的に行うだろう。
だが、最早このような状況で裏切るものが今更出るだろうか。

「可能性は薄い、じゃが無いとは言い切れん」

「最後まで着いて来る人間なんて、少ねぇもんだぜ?」

以上の理由から、しばらくは戦闘は起こらないと判断する。
と言うわけで、自由な時間が出来たのだ。

「本来なら休みの時間にしたかったんじゃがな…」

「何かやるんですか?」

「うむ、実はな…食料が底をついた」

「……!?」

「ので、皆にも食料調達を手伝って貰いたいんじゃよ」

生徒達に緊張が走った。
ついさっきこの森の状況を説明されたばかりだ。
なのに、食料を調達して来いとバフォメットは言う。
食料は、優に10日分はあると事前に説明されていたのだが。
それが既に底をついたと、衝撃の事実を知らされた。

「何で急に…」

「そこの奴がな」

そう言ってバフォメットが指差す先に居たのは、先程のリザードマン。

「そいつが、全部食ったんじゃよ…」

「うむ、とても美味かったぞ!」

グッ!っと親指を立てたシズカがそう応えた。
余程腹を空かせていたのだろう。
30人分近くの食料をペロリと平らげている。

「アホ!一人で全部食うな!」

「食える時に食わんでどうする」

「人の分まで食うなと言うとるんじゃ!」

「何だそんな事か…なら私の食料を分けてやろうじゃないか」

「持っとるのか?」

生徒たちも期待する。

「松の甘皮とか…よくわからん獣の肉とか…その辺に生えてた茸とか…」

「野生過ぎるわ!もうちょっと人間が食えるもんを出せ!」

「失礼な!これだって立派な食料だぞ!?」

「じゃあそれ食えば良かったじゃろうに」

「あんな美味いものを食べてしまえばそれは無理な話だ」

「はぁ…と言う訳じゃよ」

今ので説明出来たのか疑問だが、こういう事である。
当然生徒たちも納得出来るハズもなく、ギャーギャー文句を言う。
だが、それで腹が膨れるわけがない、むしろ余計腹が減る。
バフォメットの言うように、皆で手分けして食料を探す。
それしか道が無さそう。

「2〜3人で組を作れば、ちょっとはマシじゃろうよ」

単独行動は危険だが、ある程度纏まって動けば大丈夫だろう。
本当に大丈夫かはさて置いてだが。

「置くなよ」

「人間、死ぬ時はどんだけ足掻いても死ぬもんじゃ」

「無責任だなぁ…」

「とにかく、持ち帰った食料を集めろ、食えるかどうかはわしが判断する」

こうして、急ではあるがサバイバル訓練のようなものが始まった。
それぞれ2人3人の組を作り、森の中へと入っていく。
何かあれば無理はせず、逃げろと念を押されている。
食べ物を探して自分が食べられてしまっては元も子もない。
だがそれ狙いの者も何人か居るのも確かだ。

「そう自分の予想通りに事が運ぶわけ無いじゃろうがな…」

無事に全員戻ってくる事を祈るばかりだ。

「この虫は食べられるぞ!」

「逃がしてあげなさい」

「不安じゃ…凄く不安じゃ…」

「手っ取り早く手近な陣地を襲って来ようか?あそこなら食料は…」

「もういいから、お前らはここに居なさい…」

さっき戻ってきた生徒とリザートマンのペアは留め置く事にする。
考え方にどうも致命的な違いが見受けられる。
これは後々厄介だ。

「お前も覚悟せんといかんぞ」

「覚悟ですか?」

「全く文化も風習も違う魔物を妻にするならな…」

連れて帰るのであれば尚更だ。
向こうの暮らしに慣れさせるのは大変な事である。

「先生も気が早いですね」

「皆同じ事を言うもんじゃ…まあ今のうちに、色々教えてやればいい」

「そうですね…出来るだけ苦労はさせたくないですから」

当の本人はと言えば、なにやら地面を一心不乱に見つめている。

「…何してんの?」

「いや、蟻でも食べようかなと」

「不憫な…不憫な子じゃ」

その姿が、バフォメットの涙を誘う。

「僕が…僕がちゃんと養います!彼女をお腹一杯食べさせてやりますよ!」

「うん、本当に…そうなって欲しいもんじゃよ」

「シズカ!蟻を食べるくらいな僕を食べなよ!」

「何だと!?全く君は急に何を言い出すかと思えば…
 こんな日の明るい内からそんな破廉恥な事を頂きます!」

「だから違う…はぁ…もう好きにしろ」

目の前で盛り始めた2人を眺めながら、バフォメットがため息をつく。

「お前は行かんのか…?」

右手で頬杖をつきながら、隣に居るアカオニへと視線を移す。

「…ああ、うん…俺はいいや…」

どうにも歯切れが悪い。
やはり先程の一件を気にしているようだ。

「もう済んだ事じゃ、あまり気に病む必要は無いぞ」

「切り替えはええなぁお前…」

当のバフォメットはと言うと、気にしているようには見えない。
それに引き換え自分はどうか。いつまでもウジウジしていていいのか。

「…よし、じゃあ俺も行って来るわ」

そう言ってバフォメットの肩を軽く叩く。

「気安く触るんじゃない」

「やっぱり怒ってんじゃねえか…」

「このネタで一生強請って欲しいのか?」

「クソッ…!地雷女…」

そう吐き捨てると、アカオニも森の中へと消えた。
中々思い通りにはいかないものだ。
とにかく、まずは食料集めが最優先である。
ひとまず人数は当初の数に戻ったので、ここから再スタートだ。















「俺…忘れられてる」

「どうしたんですか?」

「いえ…何か存在自体無かった事にされそうな気がしたもんで」

「まあそれは大変ですね…」

「だから皆の所に帰っていいですか?」

「駄目です」

「ですよね〜」


最初にはぐれた生徒は、まだ狐に捕まったままである。
とりあえず今すぐどうにかなる危険は避けられたようだが…

「決して、離しませんよ?」

「誰か…マジで助けて欲しいんだけど…」

軟禁状態にされていた。
果たして彼はこの状況から開放されるのだろうか!?
ここからが、冒険の醍醐味とも言える脱出劇の出番なのだが。
正直どうでもいい。

「どうでもよくねーよ!?」

どうでもいい。

「よくねえって!」

いいの。

「ちくしょう!絶対逃げ出してやるからな!その様子が書かれなくても!」

10/12/20 01:53更新 / 白出汁
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■作者メッセージ
仲間同士衝突したりするもんです。
些細な事で亀裂が入ったりしますよね。
そこからどうやって更に絆を深めるかが問題です。

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