「よしっ！　エリス、よく頑張った！」
「えへへ、貴方ぁ……」

　俺は無事に出産を終えた妻・エリスに声をかける。エリスは若干疲れの見える様子であったが、それでも嬉しそうな表情を見せた。

　ようやく、待望の子どもが生まれたのだ。と言っても、これが一人目という訳ではない。それでも、いつだって我が子の出産はドキドキハラハラな訳で、嬉しい出来事である事に変わりない。

「おとーさん、終わった？」
「赤ちゃん生まれたー？」

　そして、出産を終えた事を悟った娘たちが、次々と泳いでくる。彼女らはメロウである妻との間に出来た愛娘たちであり、上から順に七歳のララ、六歳のリリ、五歳のルル、四歳のレミ、三歳のロリー、二歳のメイ、一歳のミミ、の計七人が居る。いや、新しい子が生まれたから、計八人である。ちなみに、メイとミミは未だ上手く泳げないようで、長女のララに手を引いてもらっている。

「ほら、新しい妹だよ」

　俺は腕に抱いている子を、皆に見せる。娘たちは、その子を覗き込み、つついたりしている。

「うわあ、ほっぺがプニプニ〜」

　娘たちが、赤ちゃんで遊び、その赤ちゃんもキャッキャッと笑う。その和む様子を見ていると、妻がゆっくりと泳いでくる。

「おっと、今は無理しなくて良いぞ」
「大丈夫よ。八人目だから、もう慣れたわ」

　エリスはそう言いながら、キュッと俺にしがみついてくる。俺はこの愛妻を労わる意味も込めて、空いている方の手でその頭を撫でた。



　さて、出産という一仕事は終えたが、これで全てが終わった訳ではない。まだ、生まれた娘に贈る帽子に魔力を込めるという儀式が、まだ残っているのだ。

　これには母親の魔力が必要である。しかし結婚した時に帽子手放した彼女は、魔力を持っていない。ではどうやって魔力を得るのか。それは、俺の精が必要なのである。つまり、その儀式の最中は、俺とエリスが交わり続ける必要がある。

　しかし、すぐに始めるという訳にはいかない。その儀式を行うシー・ビショップの都合もあり、またエリスの体調が整わないといけない。儀式を行う時期をエリスに相談したところ、少なくとも一ヶ月は待って欲しいという答えが返ってきた。正直、長い気もしたが、彼女の体調は彼女にしか分からない。出産の大変さを直接知っている訳ではないので、俺は彼女の希望通りに儀式を行う事を決めた。


＊＊＊＊＊


「ちょっとエリス、また赤ちゃん作る気でしょ」
「だってあの人の子ども産みたいんだもんっ！」

　友人であるメリーに図星をさされたエリスは、えへへ、と笑みを零す。その言葉に、メリーは呆れたような様子を見せる。シー・ビショップであるメリーは、友人の頼みで毎年帽子の儀式を行っているのだが、さすがに八年連続ともなると、さすがに多すぎるだろうと思う。

　基本的に人間と魔物の間に子は生まれにくいとも言われる。では何故これほどポンポンとエリスに子どもが出来るのか。それは、彼女がわざわざ排卵期を選んで儀式を行うからである。

「だって、本当に可愛いんだよっ！　おっぱいちゅうちゅう飲んでる所とか、プニプニしたほっぺで寝てる時とか、それを慈愛に満ちた目で見ている夫の横顔とか……はぅぅ！」
「当て付けか！　それは未だ独身の私に対する当て付けなのかっ！」

　エリスの言葉に、メリーが叫ぶ。しかし、その程度ではエリスの妄想は止まりそうにない。彼女は頬に両手を当てていやんいやんをしながら言葉を続ける。

「夫が子どもの為に頑張るのって、良いよねっ！　そして、それを間近で見ながら私も気持ちよくなるのっ！　ナカにどくどくって出されて種付けされて、それで儀式が終わった後に私を労わって抱きしめたり、撫でたりしてくれるの！　しっかり愛も育んで、愛の結晶も作って、まさに一石二鳥よっ……ああん！　貴方ぁ、早く私を孕ませてぇっ！」
「ええいっ、やかましいっ！」

　ついにキレたメリーが、エリスの頭をぺしぃぃんっと叩いた。


＊＊＊＊＊


　そして儀式の日がやってくる。

「貴方ぁ……早く来てぇ」
「おいおい、まだ始まってないだろ」

　早くも発情ムードのエリスを、俺は若干呆れた目で見る。

「全く、この年中発情女が……」

　そして、メリーがエリスに毒を吐くのもいつもの事である。今年もメリーに儀式の進行役を頼んだのだが、彼女は若干疲れたような表情で儀式の準備を行っている。

　それはともかく、今はこの発情中の妻をどうにか抑える事が先決である。まだ儀式が始まっていないのに、さっそく俺の服を脱がそうとする。

「だから、少し待てい！」

　それを、俺はどうにか押しとどめる。まだ祝詞が終わっておらず、新たな帽子も用意されていない。せめて、祝詞が終わるまで待って欲しい。

　俺の言葉に、しぶしぶエリスが大人しくなる。その間も、メリーは極めてゆっくりと祝詞を唱えている。おそらく、態と時間を延ばしているのであろう。

「だめぇ、もう我慢できないよぉ……」

　あまりに祝詞の時間が長く、エリスは消え入りそうな声を発する。しかし、そのエリスの声を聞いた瞬間、さらにメリーの祝詞が遅くなる。

　そして、ようやく祝詞が終わる。そうすれば、魔力を込める帽子をエリスに被せて儀式開始である。

「ああん、貴方ぁ……」

　祝詞が終わった瞬間、エリスはすかさず俺に飛びつき、さっそく俺の服を全て脱がせる。そして一糸纏わぬ姿になった俺に、エリスは耳元で囁く。

「ねえ、私のも、脱がせて？」

　その要求どおりに、貝殻状のブラを外す俺。お互いに一糸纏わぬ姿になると、エリスは俺に抱きついてきた。

「えへへぇ……大好きっ！」

　強い力で密着してくるエリス。直に触れ合っている為、その柔肌の感触に俺の逸物がすぐに大きくなっていく。エリスもそれを分かっているようで、豊満なおっぱいをぎゅうぎゅう押し付けてくる。

「ねえ、もうずっとアソコがぐちょぐちょになってるの。早く来て？」

　隙間も無い程に強く密着し、秘所を押し付けてくるエリス。確かに、そこには温かみのあるぬめりが存在しており、ぐちょぐちょという言葉が当てはまる程であった。

彼女が準備オッケーなら、遠慮は要らない。俺はエリスの秘所に逸物をあてがうと、一気に最奥まで突きこんだ。

「はうぅぅぅっ！」

　一番弱い所をこちゅんっと小突かれ、エリスは艶のある声を出す。彼女は蕩けたような表情を見せながら、俺の首筋にぎゅっとしがみつき、感極まったかのごとく尾をバタバタさせる。その動きによって膣の中も縦横無尽に蠢き、あっという間に俺はエリスの中に射精してしまった。

「あはぁぁっ、出てるぅ！　貴方のが、いっぱい……あああぁぁぁーーーっ！」

　お腹の中に温かいものを感じて、エリスも絶頂に達する。しかし、当然これで終わりではない。帽子に注ぐにはまだまだ魔力が足りないというのもあるが、それ以上にエリスが貪欲なので、完全に搾り取られるまでは終わらないのが常である。

「お前ら、どっか岩に掴まってろ！」

　俺は、キラキラした瞳でセックスを見物している娘たちに声をかける。

　正直に言えば、娘の前でセックスするのは気が引ける。今はいつもの事なので何も言わないが、当初は娘の前で交わるのをかなり抵抗したものである。しかし、エリスによれば性教育の一環でもあり、自分もこうやって性知識を身につけたとの事。そう言われてしまえば、俺はもう何も言えない。

　それはともかく、娘の安全にも気を配らねば大変なことになる。以前、あまりに激しく交わった為に海流の渦が生じ、娘たちが流されていくという事態が起こっている。あの時は流された娘たちを探すのが大変だった。そして今回も、それに劣らぬ程激しくなりそうな予感がしている。

「ああんっ、ああんっ！　ああっ……あうぅっ！　あっ、あはぁんっ！」

　エリスはもはや、快感に意識を奪われているらしい。水中で宙返りやきりもみ旋廻のような動きで暴れ周り、我を忘れたかのようにあえぎ声を出し続ける。一体、どこにそんな体力があるのだろうか。

「ひゃぁぁっ！」

　さすがに娘たちも発生した海流の流れに耐えられなくなったのか、普段生活している穴倉に慌てて避難する。それでも、穴の中からしっかりと俺たちの痴態をガン見しているのだが……。

　しかし、俺はもうその事を考えている余裕は無かった。急旋回を繰り返すエリスの動きに、俺は気分が悪くなり、頭がクラクラしてきたのだ。振り落とされないように必死にしがみつくのに精一杯で（エリスも俺を振り落とさないようにしっかりと抱えていたが）、他の事に気を回す余裕など、もはや無い。

　しかし、エリスのナカに入ったままの逸物は、未だに固くそそり立ったままであり、彼女のナカに再び射精しようと一層大きくなっていく。

「やあんっ！　あはぁっ……子宮にコツコツって、ひいぃぃぃっ！」

　最奥を抉られる感触に、エリスは鳴き狂う。程なくして、彼女はまたもや絶頂に上り詰める。

「……ぅぅっ！」

　そして俺も、同時に絶頂に達し、意識が薄れていくような感覚を感じる。もはや、動けそうに無かった。その一方で、逸物はまだ彼女のナカにささったままである。

「はぁんっ！　もっと、もっとぉ！」

　溢れそうな程注がれながらも、なお彼女は快感を貪ろうとする。その底無しの体力に、正直ついていけず、俺は意識を手放した。

「あひぃぃぃーーーっ！　気持ちイイっ！　妊娠気持ちイイよぉぉぉっ！」

　俺が気絶してからも、最低一時間以上はエリスのあえぎ声が海中に響いていたという。


＊＊＊＊＊


「もうダメ、全く動けん……」
「えへへ、ごめんね♪」

　儀式を終え、憔悴しきって寝込んだ俺を看病するエリス。しかし、その顔には悪びれた様子が無い。

「でもでも、すっごく気持ち良かったよぉ？　ちゃんとムウちゃんに帽子もあげられたし……」

　彼女は、腕に抱えている赤ちゃんを愛しげに見つめる。その末娘・ムウの頭には、可愛らしい帽子がちょこんと乗っかっているが、少々大きくて頭を完全に覆いそうになっている。まあ、大人になっても被るのだから、これくらいがちょうど良いのだろう。

「はあ、ようやく終わったな……」

　俺は儀式を終えたことに、ようやく安堵する。こんなに毎年毎年暴れられては、こっちの身が持ちそうにない。

　しかし、ホッと一息ついた俺に、エリスがとんでもない一言を言い放つ。

「……それでね、またデキちゃったみたいなの」
「はいぃぃっ？！」

　その爆弾発言に、俺は口が半開きになる。

「おかーさん、また妹が産まれるのぉ？」
「そうよぉ。また可愛い女の子ができるのよぉ」

　俺らの会話を聞いていた娘の言葉に、エリスは幸せそうな様子で答える。どうやら、また来年も大仕事が待ち受けているようである。

（無理っ、絶対死ぬっ！）

　疲労感がドッと押し寄せてきて、俺は再び意識を手放した。



「ふふっ、いっぱい子ども作って幸せな家庭作ろうね？　愛してるわ、ア・ナ・タっ……チュッ♪」


【完】