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第5回「《最速の魔女》の娘」 - リーリャ編 -
 空中に浮かんだ浮球(バルーン)の輪をトップで駆け抜けてゴール。
 その瞬間、地上から轟きのような歓声が上がった。
その歓声に安堵を覚えながら、彼女はチームクルーの待つ控え場所(テント)へと降下していく。

 今回も自分は名誉を守る事ができた。
勝利の喜びよりも、重圧が少しだけ和らいだ解放感の方が勝(まさ)っている。

 地上に降りたのは紫がかった黒髪を靡かせた幼い少女。
全身を包む飛行魔法の力場の中で、束ねた黒髪がふわりと揺れた。
「おめでとうございます、リーリャさん! 予選1位通過ですよ!」
 駆け寄ってきたクルーが興奮した面持ちでタオルを手渡してくれた。
「…ええ、ありがとう」
 リーリャと呼ばれた少女はタオルを受け取ると無表情にそう返す。
「これなら本選も楽勝ですよ!」
 そのクルーはリーリャの態度を気にした風もなく、嬉しそうにそう続けた。

 その間にも2位以下の選手たちが次々とゴールしていた。
 箒やスカイボードに絨毯。椅子や凧に羽衣。
様々な魔具(まぐ)に乗った魔女や魔物たち。

 それに対し、リーリャの装備は肢体(からだ)にフィットした紺色の飛行服(フライトスーツ)のみだ。
 凹凸の無い未成熟な胴部を覆う布こそが彼女専用の魔具だった。
羽衣などの着用型の魔具をベースに。極限まで空気抵抗を減らす為、肢体にフィットしたデザイン。
サハギン種の外皮をモデルにした全く新しいコンセプトの魔具。
それは着用者に空を泳ぐように飛翔させる事を可能とした。

「何と言ってもリーリャさんは《最速の魔女》の娘なんですから!」
「っ…」
 何気ないクルーの言葉に彼女は微かに表情を歪めた。

 《最速の魔女》の娘。
 それが周囲のリーリャに対する評価。
 《最速の魔女》の娘だから、飛行魔法が上手いのは当たり前。
大会で優勝する事も。
誰もが少女に《最速の魔女》の娘である事を望む。

そう、あの人だって……。

「いやあ、本選が楽しみ……」
「リーリャ、お疲れ様…!」
 クルーの言葉を遮り、大きな声が響いた。
そして、ローブ姿の青年が近づいてくる。
「兄さん…」
 彼の姿を目にした途端。心の底で渦巻いた重い感情が溶けていった。

 それでも、わたしには兄さんがいる…。
兄さんがいてくれれば、わたしはわたしでいられる…。

「まだ、そんな格好をしていたのか? 身体を冷やすなと言っただろう?」
 彼はそう言いながら彼女の肩に上着を羽織らせる。
「さっ、部屋に戻るぞ。風邪を引いては大変だからな」
 青年はリーリャの背を軽く押して促した。

「彼女は私が部屋まで誘導する。君も自分の仕事に戻ってくれ」
 青年は目の前にいたクルーを一瞥し、素っ気無くそう告げた。
「わ、分かりました、主任」
 その言葉で我に返ったクルーは慌てて立ち去っていった。

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「行こう」
「ん…兄さん」
 リーリャは青年の腕を取りながら頷く。
そうして、2人並んで歩き出す。

「予選通過、おめでとう」
 彼はリーリャの歩幅に合わせて、ゆっくりと歩きながら小さな声でそう祝福した。
「…兄さんの作ってくれた飛行服のお蔭」

 青年は彼女のチームの技術主任だった。
少女が纏う飛行服状の魔具の設計も彼によるものだ。

「魔具は、それ単体では飛ぶ事はできない。レースで勝てたのは君の実力さ。
誰でもない君自身の。リーリャ=バランニコフのね」

「そう…だよね…」
 彼の優しい言葉は彼女の心を不思議と満たしてくれる。
リーリャは自然と青年の腕へと身体をすり寄せた。

 少女の鼻腔を青年の微かな汗の匂いがくすぐる。
その所為か、思わず大胆な言葉が口から漏れてしまう。
「兄さん…魔力を補給して欲しい…かも」
 自分の言葉に鼓動が速くなり、身体が熱を帯びていくのが分かる。

「…そ、そうだな」
 一瞬の沈黙の後、彼は小さな声でOKしてくれた。
「レース後には…色々補給が必要だな…」
 青年はまるで自分に言い訳するようにそう独り言を呟いた。

 そんな彼を見上げて、リーリャは心の中でクスリと笑う。
彼女の使い魔(おにいちゃん)はえっちな事には奥手な面がある。そんなトコが可愛い。

「レースで頑張ったから…一杯補給してくれてもいいよ…?」
 もっと、わたしでドキドキして欲しい。
そんな風に考えながら、悪戯っぽく彼を見上げる。

「…ぜ、善処する」
 視線を上空に逸らしながら青年はたどたどしく答えた。

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「あー…リーリャ、飛行服は…そのままで」
 リーリャが上着を脱ぎ、次いで飛行服の肩紐に手をかけた時、青年がそれを制止した。
「ん…」
 少女は手を止めるとちょこんと寝室のベッドの上に座った。
その隣に青年も腰を下ろす。

 彼は少女に優しく口づけした後、飛行服の感触を確かめるように指を這わせ始めた。
「…ぅっ…兄さん…ぅぅ…この服装…好き…?」
 青年の指使いに身を委ねながら、彼女が尋ねる。
「…どうして、そう思う?」
 彼は顔を赤らめ、そう問い返してきた。
「…ぁぁ…いつも…着たまま…っっ…するから…」
 紺色の布越しに指先がリーリャの胸の突起を探り当て、愛しそうに蠢く。
輪郭をなぞられる度、柔肉をこね回される度に彼女の身体に甘い痺れが走った。
「…ゃあぁ……そ…それに…ぁっ…えっちな穴も…空いてるし…」
 少女は喘ぎながら、飛行服の下腹部と股布の境目に設けられた小さな穴を広げて見せる。
「それは…何と言うか………そう! いざという時…魔力を補給し易くする為にだな…」
 チラリと見えた彼女の素肌に動揺したのか。青年は大きな声でそう言い訳した。

「…んっ…や…やっぱり…っぁ…え…えっちな穴…なんだ…」
「…そういう結論になるな」
 青年は開き直ったようにそう呟いた。
そして、何かが吹っ切れたのか、彼の指使いが大胆になっていく。
「…ふぁぁっ…! …に…兄さん…? …ぁぁっ…!」
 リーリャが広げたえっちな穴に青年の手が滑り込んだ。
「紺色の飛行服を着た可愛いリーリャが好きだ」
 そんなカミングアウトとともに彼の指が少女の秘所を犯す。
「…あぁぁんっ…! …ひゃっ…! …うあぁぅんんっ!!」
 リズミカルに踊る青年の指に合わせて、彼女の嬌声が大きく昂ぶっていく。
「…んぅぅっ…! …そ…そんなに…されたらぁ…ぁぅ…気持ち…よ…良すぎるからぁ…!」

「…に…兄さん…! …っぁあ…きもちいぃ……あああぁぁぁんんっっ!!」

 彼女は一際高い叫び声を上げ、幼い肢体をビクビクと震わせた。
小さな魔女の膣内から溢れ出た愛液が股布の染みを見る見る広げていく。

 リーリャは荒い呼吸のまま、ぐったりと青年へ寄りかかった。
少女の呼吸が落ち着くまで、青年は彼女の背中を優しく撫でてくれた。

「今度は…その…」
 そう言い澱む青年にリーリャはにこりと微笑んだ。
「ん…わかってる…」
 少女はベッドの上に仰向けに寝転がり、飛行服のえっちな穴を開く。

 彼はズボンから逸物を取り出すと迷わず、その穴へと差し込んだ。
飛行服のさらさらした感触とリーリャの汗に濡れた柔肌が青年の敏感な場所を包み込む。

「…っっ…兄さんの…ぅぁ…とっても…ん…あつぃ…」
 彼はゆっくりと腰を動かし、穴の中で逸物を往復させ始める。
動かす度に先端の粘膜が擦れ、背筋を快楽の波が昇っていく。

「…ゃっ…あついぃ…! …それに…あぁっ…ぬるぬる…してる…!」
 我知らず先走りの汁が溢れ、穴の中がヌチュヌチュと卑猥な水音を立てる。
「…あ…穴の中で…兄さんのが…ゃあっ…! …びくびく…あばれてるぅ…!」

 ひと突きする毎に青年の腰が震える。
そして、その底からマグマのように熱い何かがせり上がってくる。
高まる射精感に青年の腰使いが激しくなり、彼は貪るように布と肉の感触を味わう。

「…んんっ…兄さん…ああっ…! …せーえき…ほしぃ…!!」
 縋るような眼差しと目が合った時、彼の理性と言う名の堤防が決壊した。

「くぅっ…! …リーリャぁ…!!」

 愛しい少女の名を呼びながら青年が欲望を解き放つ。

「…あぁぁっ…! …あつぃの…でてるぅ…!!」

 ずるりと穴から抜けた逸物が何度も跳ね。
精液が白い軌跡を描き、紺色のキャンバスを塗りつぶしていった。

「…兄さんの…いっぱいで…おぼれそう…」

 全身を汚す白い精液。そこから立ち上る、くらくらするような匂い。
使い魔(おにいちゃん)の愛に包まれて、リーリャはうっとりとした表情を浮かべた。


 けれど、まだまだ足りない。

 もっと、もっと、もっと。

 愛し合いたい。


 少女は濡れた眼差しで青年を見上げた。
どうやらお互いに想いは一緒らしい。彼の瞳にリーリャの顔が映った。

「…兄さん…来て…」

 2つの影がそっと重なる。
そこに《最速の魔女》の娘はいない。
ただ1人、愛する者を得た魔物娘の姿があるだけだった。
11/07/08 01:24更新 / 蔭ル。
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■作者メッセージ
リーリャ=バランニコフ
使用魔具:ヴォジャノーイ(スク水型飛行服)
スピード:4 コントロール:4 スタミナ:1
 サハギン種の外皮にヒントを得た着用型の機体。
選手の絶壁体形と相まって、極限まで空気抵抗を減らしている。
宙を華麗に舞う姿は、さながら天空のマーメイド。
弱点はスタミナ不足。空気を切り裂く魔具は
逆に空気中の魔力の利用を阻害する為、
レース中は自前の魔力で何とかするしかない。

※その穴は、そういう風に使う為の穴じゃ、ありません!
サハギン種じゃないのにスク水って…(笑)
サハギンの時にネタをどうするつもりだ俺。

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