第1回「メルダース家の魔女」 - ゾフィーア編 -
魔界の夕暮れは早い。
空を覆う瘴気の層が太陽の光を遮る為、昼なお暗い世界。
故に。太陽が西に傾くにつれ、急激に藍色の闇が広がっていく。
その藍色の空を今、一筋の白金色の風が貫いた。
前方に展開した三角錐状の防風障壁を風が叩き、ごうごうと唸りを上げる。
彼女は箒(ほうき)の柄を握る小さな手に少しだけ力を込めた。
少女の体内に渦巻く魔力が柄を伝い、後方の穂先へと次々と送り出されていく。
次の瞬間、穂先の先端が弾けるように広がり、箒は急激に速度を増す。
穂先から溢れ出る魔力が空気にぶつかり、キラキラと瞬いた。
眼下に広がる黒々とした大地が飛ぶように後ろへと流れていく。
否。
飛んでいるのは少女の方だ。
彼女は愛用の箒―アルター・トゥームに乗り、空を駆けている。
のんびりとした遊覧飛行ではない。レース用の高速飛行だ。
少女は1週間後に迫ったサバト主催の飛行魔法レースに出場し、優勝するつもりだった。
だから、こうして連日、飛行訓練に励んでいた。
けれど、日没が近づいた為、今日の訓練はこの1回で終わり。
彼女は今日の成果の確認を込めて、全力で飛んでいる。
限界まで魔力を注ぎ込んだ箒は手の中で絶え間なく震え、ともすれば暴走しそうになる。
少女は制御と暴走の境界線、ギリギリのライン上でコントロールを保つ。
それは極めて集中力を必要とする行為。
その状態を維持すれば、じわじわと体力と魔力が削られていく。
彼女はともすれば、漏れそうになる喘ぎをぐっと歯を食いしばって耐える。
少女の幼い身体が軋む。それでも悲鳴は上げない。
苦しみを露わにする事、弱音を吐く事は彼女の矜持が許さない。
風を切り裂き、進んでいくとゴールにしている青い木が見えてきた。
その木の傍に1人の青年が立っているのが見える。
いや、実際には。今はまだ、それは黒い点としか見えない。
けれど、彼女の心ははっきりとその青年の存在を感じていた。
彼の前で不様な姿は見せられない。
少女に宿る闘志の炎が燃え上がった。
彼女は箒を握る白い手に一層、力を込めるとラストスパートをかけた。
##################
上空を一陣の風が吹き抜け、木の枝が大きく揺れた。
風が容赦なく青年の顔を叩く。
それでも彼はまばたきもせず、彼女の姿を見送った。
大切な彼女が頑張っている。ならば、それを全力で支援するのが自分の役目だ。
その想いを込めて、クロノグラフのボタンを押す。
そして、文字盤に示された針の位置に目をやり、彼は笑顔を浮かべた。
ややあって、少女がゆっくりと帰ってきた。
夕闇の中、彼女の白い姿が浮かび上がる。
腰まである艶やかな金色の髪。強い意志を感じさせる翠(みどり)色の瞳。
色素の薄い小さな身体を白いワンピース状の飛行服(フライトスーツ)で包んだ彼の天使。
彼女の操る箒の挙動はフラフラとして頼りないものだ。
無理もない。最後の飛行で全力を出し切ったのだ。
もう浮いているのが精一杯なのだろう。
それでも少女はいつものように微笑んでいた。
彼女も手ごたえを感じたのだろう。
「ゾフィーア、おめでとう。記録更新だよ」
祝福と労いを込めて、青年は開口一番にそう告げた。
「わたくしはメルダース家の魔女ですもの。これ位できて当然ですわ」
ゾフィーアと呼ばれた幼い少女は誇らしげに薄い胸を張って答える。
そう言いながら、箒から地面に立とうとして、彼女は足をもつれさせた。
青年は自然な動作で彼女を抱き止める。
「でも、もう無理な練習は今日でお終いにしよう。大会までの残り1週間は調整に当てる事。いいね?」
彼は腕の中の少女に優しい声でそう言う。
「…わかりましたわ。お兄様がそうおっしゃるのなら」
ゾフィーアは素直にそう返事をするとぐったりと青年の胸に顔を埋めた。
「それじゃ、帰ろうか」
彼は少女の華奢な身体を横抱きに抱き上げるとゆっくりと歩き出す。
彼女からの返事はない。
腕の中の小さな魔女は安心しきった表情(かお)で眠りに落ちていた。
※<クロノグラフ>ストップウォッチ機能の付いた時計。ドワーフ製の特注品。
##################
魔界の夜は明るい。
魔界は夜の方が明るいと言われる。
それは紅い月光を浴びた瘴気の層が輝く為だ。
魔物ともなれば、闇の中で行動する事も何ら苦にならない。
夜は魔物の蠢く時間なのだ。
けれど、一部の魔物は夜に出歩かない事の方が多い。
なぜなら、彼女たちにとって、夜は愛と快楽の為の時間だからだ。
淡いランプの光が色とりどりのガラスの嵌め込まれたランプシェードを通り、壁を斑に染めている。
パジャマ姿のゾフィーアはそわそわとした様子でベッドの上に座っていた。
彼女は落ち着きなく周囲へ視線を彷徨わせる。
時折、入り口の扉をじっと見つめ、慌てて視線を逸らす。そんな事の繰り返し。
不意に扉がノックされる。
「ひゃ、ひゃい!」
ビクリと身を震わせ、上げた声は完全に裏返っていた。
「…ゾフィーア、入るよ」
扉の越しに青年の静かな声が聞こえ、ゆっくりと扉が開く。
戸口に現れた青年の姿を見て、少女の鼓動が速くなる。
シャツにズボンというラフな格好。いつも通りの姿なのに妙にドキドキする。
彼はゆっくりとベッドに近づいてくると、ごく自然に彼女の隣へ腰を下ろした。
心臓の鼓動が周囲に聞こえそうな程、高鳴っている。
頬が真っ赤に染まっているのが自分でも分かる。
恥ずかしくて顔も上げられない。
勿論、ゾフィーアと彼女のお兄様が夜を共にする事は今日が初めてではない。
でもいつまで経っても、始まりはいつも緊張する。
特に今日のように、ある決意を胸に秘めているともなれば…。
「今日は沢山頑張っていたからね。一杯ご褒美をあげるよ」
彼は少女の幼い肢体を抱き寄せ、優しい声色で囁く。
「…あ…あの…お兄様!」
ゾフィーアは意を決し、勢い良く青年を見上げた。
「…何だい?」
虚をつかれた青年は彼女の身体に手を回したまま動きを止める。
「きょ、今日はわたくしが…お兄様をき、気持ちよくしますからっ!」
赤い顔をさらに耳まで真っ赤に染めながら、彼女はそう叫んだ。
「…それは嬉しいな」
彼女の言わんとしている事の意味を理解し、彼は柔らかく笑った。
昨夜までエッチの主導権は基本的には青年が握っていた。
彼がゾフィーアの幼い身体を快楽に導く。そんな夜を2人で重ねてきた。
「使い魔(おにいちゃん)の世話をするのも魔女の務めですものっ」
「分かった。僕はどうすればいいのかな?」
青年は微笑みながら少女の指示を仰ぐ。
「え…と…、仰向けに…なってくださいませ」
ゾフィーアはわずかに考え込んだ後、そう言った。
彼女の言葉に従い、彼はベッドの上に身を横たえる。
「そ、それでは始めますわ…」
少女は青年のズボンに手を伸ばし、中から逸物を取り出した。
「た、確か…こうして…」
彼女の細い指が恐る恐ると逸物へと這わされる。
それは扱(しご)くというよりは触れるとでもいうべき、ぎこちない手つき。
さすがに、こんな具合では青年の逸物は力を失ったままだ。
「おかしいですわね…指南書にはこうすると殿方が喜ぶと書いて…」
しばらく触れても何の反応もない事を訝んだのかゾフィーアはブツブツとそう呟く。
彼の方はと言えば、少女の手コキが微笑ましいやら、もどかしいやらで黙ったまま彼女を見る。
「…な、何でもありませんわ」
視線に気づいたゾフィーアは慌てて、そう誤魔化すと手の動きに集中した。
とはいえ、それで急激に上達する筈もなかった。
##################
「うーん、ゾフィーア。ちょっといいかな?」
しばらくされるがままになっていた青年は穏やかな声でそう切り出した。
「な、なんですか、お兄様…? ひょっとして…気持ち良くありませんか?」
その問いに少女は手を止め、弱弱しい眼差しで彼に見る。
「そうだね、後一歩足りないね」
やんわりとダメ出しするとゾフィーアはしょんぼりと項垂れた。
「…そういうのはお互いの身体を密着させると高い効果が得られるよ」
青年は甘く囁くようにレクチャーした。
「密着…どうすればいいんですの?」
しょんぼりしていたゾフィーアはわずかに顔を上げ、縋るような目線を向けてくる。
「そうだね。パジャマを脱いで僕の上にうつ伏せになって…。
ああ…、胴体同士が密着するといいから、お尻をこっちに向けて…」
青年は自らの身体の上に少女を横たわらせる―いわゆるシックスナインの体位へと誘導した。
「この体勢ですると気持ちいいんですの…?」
さすがに疑問を感じたのか、彼女はそんな風に問いかけてくる。
「うん、きっと気持ちいいと思うよ」
いい眺めだし。心の中でそう付け加える。
見上げれば、少女の未成熟な股間を隠す白いショーツが見える。
「あと、これは僕の弱点を教える事になるからあんまり言いたくないんだけど。
手だけじゃなくて、舌を使うといいと思うよ」
これは本当に純粋なアドヴァイスだ。
「し、舌ですか?」
「普段、僕とキスするようにオチンチンに舌を絡めてごらん」
毎晩飽きる事無くキスをしてきた御蔭でゾフィーアの舌の技はだいぶレベルアップしている。
「わ、分かりましたわ…」
少女の同意の声が聞こえ、青年の敏感なモノにぬるりと温かい感触が走った。
ぴちゃぴちゃと繰り返し水音が聴こえ、逸物全体がとろりとした唾液に包まれていく。
「うん、上手いよ。ゾフィーア」
「ほ、ホントですか…お兄様…?」
心の底からの褒め言葉を送ると少女の声に喜色が混じった。
「ああ…ほら、僕が喜んでいるだろう?」
刺激を感受し、逸物がムクムクと勃ち上がっていく。
「ええ、オチンチンが勃ってますわ!」
ゾフィーアは嬉しそうな嬌声を上げると口淫を再開した。
彼女は夢中になって、逸物を舐めしゃぶる。
「そろそろ、ゾフィーアも気持ち良くしてあげるよ」
青年は首を伸ばし、舌先を少女の股布へと這わす。
布越しに彼女の湿った味がした。
「ひゃぅん!? お…お兄様…な…何を…?」
突然与えられた快楽に身を震わせ、ゾフィーアは驚きの声を上げた。
「ほら、舌が止まってるよ」
「で…でも…そんな事されたら…できませんわ…」
抗議の声と裏腹に彼女の身体の奥からゆっくりと蜜が溢れ、ショーツの染みを広げていく。
「今日は僕を気持ちよくしてくれるくれるんだよね?」
言葉を少女の頭に刻み付けるようにゆっくりと、そして力を込めて囁く。
「ゾフィーアは僕の為に頑張ってくれるよね?」
「…はい、お兄様の為でしたら。わたくし…が、頑張りますわ!」
ゾフィーアははっきりとした声で答え、彼の逸物にキスをした。
「可愛いゾフィーア。一杯愛してあげるよ」
青年は満足気な笑みを浮かべて頷く。
彼が濡れたショーツをずらすと愛液が糸を引いた。
青年は露わになったすじという形容がピッタリな幼い割れ目に舌を宛がう。
そして、舌先で陰肉をゆっくりと割っていく。
「んうあぅっ…!? お兄様の…し…舌がぁっ…! あぁうう…舌が…オ…オマンコに…ぃ…!」
少女の尻肉を揉みしだくように指を食い込ませながら、快楽に身を捩る彼女を逃がさまいと押さえつける。
魔女の幼体マンコがひくひくと蠢き、青年の舌へと吸い付いてくる。
それは行く手を阻む為に締め付けるようであり、逆に歓迎の熱い抱擁をしてくるようでもあった。
「んっ…」
彼は舌を器用に動かし、少しずつ奥へと侵入していく。
「はぁあっ…舌が…! ふぁんぅ…ナカで暴れ…てぇ…っ!
わ…わたくしも負けませんから…! んむ…んむうぅぅ…!」
何かに火がついたかのか。ゾフィーアも負けじと逸物への責めを激しくする。
少女は身体を犯す甘い痺れを振り払うように青年の逸物にむしゃぶりついた。
唾液と先走り。唾液と愛液。
お互いの体液を混ぜあわせる音が絶え間なく響く。
少女も青年も今はただ我を忘れて、愛するひとを頂に導かんと蠢く。
舌を絡め。突き出し。
舐(ねぶ)り。這わせ。
逸物を。膣穴を。
互いの淫肉を貪る。
水音が頭の中で木霊し、溢れ出る体液の匂いが頭の芯を溶かしていく。
2人の腹の奥底から焼け付くように熱いモノがゆっくりと這い出してくる。
それは全身を止めようのない熱で満たしていく…。
焦げる様な熱が限界まで達した時、それぞれの淫肉が震えて弾けた。
「ひゃああああううううああああぁぁぁぁっっ!!」
互いの暴れる身体を離すまいと抱き締め合いながら、2人揃って快楽の頂に達する。
精を。愛液を放ち、互いの顔を犯し合う。
存分にお互いの顔を染め上げた後、ようやく体液の放出が収まった。
「…ぁあぅ…甘くて…熱い…ふぁっ…精液がかかって…
…んんぅ…わたくし…溶けてしまいますわ…っ…」
「…こっちもゾフィーアの味でお腹一杯だよ」
2人とも息も絶え絶えになりながらも、しばらく絶頂の余韻に身を浸していた。
「んふふ…べとべと…ですわ…」
ゾフィーアは白く染め上げられた顔に恍惚の笑みを浮かべながら、上体を起こした。
彼女は青年の腰の上に向かい合わせに跨ると蕩けた視線で彼を見下ろす。
「今度はこちらにくださいますわよね、お兄様…?」
くぱぁっ…と自分の陰門を指で広げて見せながら、魔女が可愛くおねだりする。
「もちろん…今日は一杯ご褒美をあげるよ」
夜はまだまだ長い。
魔女と使い魔(おにいちゃん)の愛の迸りは止まる所を知らぬようだった。
空を覆う瘴気の層が太陽の光を遮る為、昼なお暗い世界。
故に。太陽が西に傾くにつれ、急激に藍色の闇が広がっていく。
その藍色の空を今、一筋の白金色の風が貫いた。
前方に展開した三角錐状の防風障壁を風が叩き、ごうごうと唸りを上げる。
彼女は箒(ほうき)の柄を握る小さな手に少しだけ力を込めた。
少女の体内に渦巻く魔力が柄を伝い、後方の穂先へと次々と送り出されていく。
次の瞬間、穂先の先端が弾けるように広がり、箒は急激に速度を増す。
穂先から溢れ出る魔力が空気にぶつかり、キラキラと瞬いた。
眼下に広がる黒々とした大地が飛ぶように後ろへと流れていく。
否。
飛んでいるのは少女の方だ。
彼女は愛用の箒―アルター・トゥームに乗り、空を駆けている。
のんびりとした遊覧飛行ではない。レース用の高速飛行だ。
少女は1週間後に迫ったサバト主催の飛行魔法レースに出場し、優勝するつもりだった。
だから、こうして連日、飛行訓練に励んでいた。
けれど、日没が近づいた為、今日の訓練はこの1回で終わり。
彼女は今日の成果の確認を込めて、全力で飛んでいる。
限界まで魔力を注ぎ込んだ箒は手の中で絶え間なく震え、ともすれば暴走しそうになる。
少女は制御と暴走の境界線、ギリギリのライン上でコントロールを保つ。
それは極めて集中力を必要とする行為。
その状態を維持すれば、じわじわと体力と魔力が削られていく。
彼女はともすれば、漏れそうになる喘ぎをぐっと歯を食いしばって耐える。
少女の幼い身体が軋む。それでも悲鳴は上げない。
苦しみを露わにする事、弱音を吐く事は彼女の矜持が許さない。
風を切り裂き、進んでいくとゴールにしている青い木が見えてきた。
その木の傍に1人の青年が立っているのが見える。
いや、実際には。今はまだ、それは黒い点としか見えない。
けれど、彼女の心ははっきりとその青年の存在を感じていた。
彼の前で不様な姿は見せられない。
少女に宿る闘志の炎が燃え上がった。
彼女は箒を握る白い手に一層、力を込めるとラストスパートをかけた。
##################
上空を一陣の風が吹き抜け、木の枝が大きく揺れた。
風が容赦なく青年の顔を叩く。
それでも彼はまばたきもせず、彼女の姿を見送った。
大切な彼女が頑張っている。ならば、それを全力で支援するのが自分の役目だ。
その想いを込めて、クロノグラフのボタンを押す。
そして、文字盤に示された針の位置に目をやり、彼は笑顔を浮かべた。
ややあって、少女がゆっくりと帰ってきた。
夕闇の中、彼女の白い姿が浮かび上がる。
腰まである艶やかな金色の髪。強い意志を感じさせる翠(みどり)色の瞳。
色素の薄い小さな身体を白いワンピース状の飛行服(フライトスーツ)で包んだ彼の天使。
彼女の操る箒の挙動はフラフラとして頼りないものだ。
無理もない。最後の飛行で全力を出し切ったのだ。
もう浮いているのが精一杯なのだろう。
それでも少女はいつものように微笑んでいた。
彼女も手ごたえを感じたのだろう。
「ゾフィーア、おめでとう。記録更新だよ」
祝福と労いを込めて、青年は開口一番にそう告げた。
「わたくしはメルダース家の魔女ですもの。これ位できて当然ですわ」
ゾフィーアと呼ばれた幼い少女は誇らしげに薄い胸を張って答える。
そう言いながら、箒から地面に立とうとして、彼女は足をもつれさせた。
青年は自然な動作で彼女を抱き止める。
「でも、もう無理な練習は今日でお終いにしよう。大会までの残り1週間は調整に当てる事。いいね?」
彼は腕の中の少女に優しい声でそう言う。
「…わかりましたわ。お兄様がそうおっしゃるのなら」
ゾフィーアは素直にそう返事をするとぐったりと青年の胸に顔を埋めた。
「それじゃ、帰ろうか」
彼は少女の華奢な身体を横抱きに抱き上げるとゆっくりと歩き出す。
彼女からの返事はない。
腕の中の小さな魔女は安心しきった表情(かお)で眠りに落ちていた。
※<クロノグラフ>ストップウォッチ機能の付いた時計。ドワーフ製の特注品。
##################
魔界の夜は明るい。
魔界は夜の方が明るいと言われる。
それは紅い月光を浴びた瘴気の層が輝く為だ。
魔物ともなれば、闇の中で行動する事も何ら苦にならない。
夜は魔物の蠢く時間なのだ。
けれど、一部の魔物は夜に出歩かない事の方が多い。
なぜなら、彼女たちにとって、夜は愛と快楽の為の時間だからだ。
淡いランプの光が色とりどりのガラスの嵌め込まれたランプシェードを通り、壁を斑に染めている。
パジャマ姿のゾフィーアはそわそわとした様子でベッドの上に座っていた。
彼女は落ち着きなく周囲へ視線を彷徨わせる。
時折、入り口の扉をじっと見つめ、慌てて視線を逸らす。そんな事の繰り返し。
不意に扉がノックされる。
「ひゃ、ひゃい!」
ビクリと身を震わせ、上げた声は完全に裏返っていた。
「…ゾフィーア、入るよ」
扉の越しに青年の静かな声が聞こえ、ゆっくりと扉が開く。
戸口に現れた青年の姿を見て、少女の鼓動が速くなる。
シャツにズボンというラフな格好。いつも通りの姿なのに妙にドキドキする。
彼はゆっくりとベッドに近づいてくると、ごく自然に彼女の隣へ腰を下ろした。
心臓の鼓動が周囲に聞こえそうな程、高鳴っている。
頬が真っ赤に染まっているのが自分でも分かる。
恥ずかしくて顔も上げられない。
勿論、ゾフィーアと彼女のお兄様が夜を共にする事は今日が初めてではない。
でもいつまで経っても、始まりはいつも緊張する。
特に今日のように、ある決意を胸に秘めているともなれば…。
「今日は沢山頑張っていたからね。一杯ご褒美をあげるよ」
彼は少女の幼い肢体を抱き寄せ、優しい声色で囁く。
「…あ…あの…お兄様!」
ゾフィーアは意を決し、勢い良く青年を見上げた。
「…何だい?」
虚をつかれた青年は彼女の身体に手を回したまま動きを止める。
「きょ、今日はわたくしが…お兄様をき、気持ちよくしますからっ!」
赤い顔をさらに耳まで真っ赤に染めながら、彼女はそう叫んだ。
「…それは嬉しいな」
彼女の言わんとしている事の意味を理解し、彼は柔らかく笑った。
昨夜までエッチの主導権は基本的には青年が握っていた。
彼がゾフィーアの幼い身体を快楽に導く。そんな夜を2人で重ねてきた。
「使い魔(おにいちゃん)の世話をするのも魔女の務めですものっ」
「分かった。僕はどうすればいいのかな?」
青年は微笑みながら少女の指示を仰ぐ。
「え…と…、仰向けに…なってくださいませ」
ゾフィーアはわずかに考え込んだ後、そう言った。
彼女の言葉に従い、彼はベッドの上に身を横たえる。
「そ、それでは始めますわ…」
少女は青年のズボンに手を伸ばし、中から逸物を取り出した。
「た、確か…こうして…」
彼女の細い指が恐る恐ると逸物へと這わされる。
それは扱(しご)くというよりは触れるとでもいうべき、ぎこちない手つき。
さすがに、こんな具合では青年の逸物は力を失ったままだ。
「おかしいですわね…指南書にはこうすると殿方が喜ぶと書いて…」
しばらく触れても何の反応もない事を訝んだのかゾフィーアはブツブツとそう呟く。
彼の方はと言えば、少女の手コキが微笑ましいやら、もどかしいやらで黙ったまま彼女を見る。
「…な、何でもありませんわ」
視線に気づいたゾフィーアは慌てて、そう誤魔化すと手の動きに集中した。
とはいえ、それで急激に上達する筈もなかった。
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「うーん、ゾフィーア。ちょっといいかな?」
しばらくされるがままになっていた青年は穏やかな声でそう切り出した。
「な、なんですか、お兄様…? ひょっとして…気持ち良くありませんか?」
その問いに少女は手を止め、弱弱しい眼差しで彼に見る。
「そうだね、後一歩足りないね」
やんわりとダメ出しするとゾフィーアはしょんぼりと項垂れた。
「…そういうのはお互いの身体を密着させると高い効果が得られるよ」
青年は甘く囁くようにレクチャーした。
「密着…どうすればいいんですの?」
しょんぼりしていたゾフィーアはわずかに顔を上げ、縋るような目線を向けてくる。
「そうだね。パジャマを脱いで僕の上にうつ伏せになって…。
ああ…、胴体同士が密着するといいから、お尻をこっちに向けて…」
青年は自らの身体の上に少女を横たわらせる―いわゆるシックスナインの体位へと誘導した。
「この体勢ですると気持ちいいんですの…?」
さすがに疑問を感じたのか、彼女はそんな風に問いかけてくる。
「うん、きっと気持ちいいと思うよ」
いい眺めだし。心の中でそう付け加える。
見上げれば、少女の未成熟な股間を隠す白いショーツが見える。
「あと、これは僕の弱点を教える事になるからあんまり言いたくないんだけど。
手だけじゃなくて、舌を使うといいと思うよ」
これは本当に純粋なアドヴァイスだ。
「し、舌ですか?」
「普段、僕とキスするようにオチンチンに舌を絡めてごらん」
毎晩飽きる事無くキスをしてきた御蔭でゾフィーアの舌の技はだいぶレベルアップしている。
「わ、分かりましたわ…」
少女の同意の声が聞こえ、青年の敏感なモノにぬるりと温かい感触が走った。
ぴちゃぴちゃと繰り返し水音が聴こえ、逸物全体がとろりとした唾液に包まれていく。
「うん、上手いよ。ゾフィーア」
「ほ、ホントですか…お兄様…?」
心の底からの褒め言葉を送ると少女の声に喜色が混じった。
「ああ…ほら、僕が喜んでいるだろう?」
刺激を感受し、逸物がムクムクと勃ち上がっていく。
「ええ、オチンチンが勃ってますわ!」
ゾフィーアは嬉しそうな嬌声を上げると口淫を再開した。
彼女は夢中になって、逸物を舐めしゃぶる。
「そろそろ、ゾフィーアも気持ち良くしてあげるよ」
青年は首を伸ばし、舌先を少女の股布へと這わす。
布越しに彼女の湿った味がした。
「ひゃぅん!? お…お兄様…な…何を…?」
突然与えられた快楽に身を震わせ、ゾフィーアは驚きの声を上げた。
「ほら、舌が止まってるよ」
「で…でも…そんな事されたら…できませんわ…」
抗議の声と裏腹に彼女の身体の奥からゆっくりと蜜が溢れ、ショーツの染みを広げていく。
「今日は僕を気持ちよくしてくれるくれるんだよね?」
言葉を少女の頭に刻み付けるようにゆっくりと、そして力を込めて囁く。
「ゾフィーアは僕の為に頑張ってくれるよね?」
「…はい、お兄様の為でしたら。わたくし…が、頑張りますわ!」
ゾフィーアははっきりとした声で答え、彼の逸物にキスをした。
「可愛いゾフィーア。一杯愛してあげるよ」
青年は満足気な笑みを浮かべて頷く。
彼が濡れたショーツをずらすと愛液が糸を引いた。
青年は露わになったすじという形容がピッタリな幼い割れ目に舌を宛がう。
そして、舌先で陰肉をゆっくりと割っていく。
「んうあぅっ…!? お兄様の…し…舌がぁっ…! あぁうう…舌が…オ…オマンコに…ぃ…!」
少女の尻肉を揉みしだくように指を食い込ませながら、快楽に身を捩る彼女を逃がさまいと押さえつける。
魔女の幼体マンコがひくひくと蠢き、青年の舌へと吸い付いてくる。
それは行く手を阻む為に締め付けるようであり、逆に歓迎の熱い抱擁をしてくるようでもあった。
「んっ…」
彼は舌を器用に動かし、少しずつ奥へと侵入していく。
「はぁあっ…舌が…! ふぁんぅ…ナカで暴れ…てぇ…っ!
わ…わたくしも負けませんから…! んむ…んむうぅぅ…!」
何かに火がついたかのか。ゾフィーアも負けじと逸物への責めを激しくする。
少女は身体を犯す甘い痺れを振り払うように青年の逸物にむしゃぶりついた。
唾液と先走り。唾液と愛液。
お互いの体液を混ぜあわせる音が絶え間なく響く。
少女も青年も今はただ我を忘れて、愛するひとを頂に導かんと蠢く。
舌を絡め。突き出し。
舐(ねぶ)り。這わせ。
逸物を。膣穴を。
互いの淫肉を貪る。
水音が頭の中で木霊し、溢れ出る体液の匂いが頭の芯を溶かしていく。
2人の腹の奥底から焼け付くように熱いモノがゆっくりと這い出してくる。
それは全身を止めようのない熱で満たしていく…。
焦げる様な熱が限界まで達した時、それぞれの淫肉が震えて弾けた。
「ひゃああああううううああああぁぁぁぁっっ!!」
互いの暴れる身体を離すまいと抱き締め合いながら、2人揃って快楽の頂に達する。
精を。愛液を放ち、互いの顔を犯し合う。
存分にお互いの顔を染め上げた後、ようやく体液の放出が収まった。
「…ぁあぅ…甘くて…熱い…ふぁっ…精液がかかって…
…んんぅ…わたくし…溶けてしまいますわ…っ…」
「…こっちもゾフィーアの味でお腹一杯だよ」
2人とも息も絶え絶えになりながらも、しばらく絶頂の余韻に身を浸していた。
「んふふ…べとべと…ですわ…」
ゾフィーアは白く染め上げられた顔に恍惚の笑みを浮かべながら、上体を起こした。
彼女は青年の腰の上に向かい合わせに跨ると蕩けた視線で彼を見下ろす。
「今度はこちらにくださいますわよね、お兄様…?」
くぱぁっ…と自分の陰門を指で広げて見せながら、魔女が可愛くおねだりする。
「もちろん…今日は一杯ご褒美をあげるよ」
夜はまだまだ長い。
魔女と使い魔(おにいちゃん)の愛の迸りは止まる所を知らぬようだった。
11/06/23 15:57更新 / 蔭ル。
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