ジャバウォックが現れた!話
「そこの者、止まれ!」
暗い森を抜け、お菓子の家が立ち並ぶ村が見え始めた頃、空からピンク色に近い紫の髪に褐色の肌、背中から生えた触手のようなモノをこちらに向けたドラゴンが現れた。
彼女はジャバウォック、不思議の国に住むドラゴンだ。
不思議の国に迷い込んだ者の前に立ちふさがる仕事をしている。
「あら?シラバスじゃない、ひさしぶりぃ〜。珍しく仕事熱心ね。でも残念、彼は『私の』お客さんだから襲わなくていいのよ。だからそこをどいてくれるかしら」
僕の背後からが空気読んでよと言わんばかりのオーラを放ち、張り付いた笑顔でジャバウォックさんの前に出た魔物娘が一人。
黒いハイヒールをカツカツと鳴らすのは、紫の髪に黒い髪が混ざったワーキャット。
彼女はチシャ猫のミーアさん、不思議の国に入った時からずっと一緒にいる。
チシャ猫は不思議の国の案内人、つまりはガイドさんだ。
しかしこのガイドさん、案内する先々でトラブルをお客に強制体験させるため常に周囲を警戒しなければならない。
「それはできない、女王の命によりそこの旅人を襲わせてもらう。それに、不審者を村へ入れることは私が許さん」
「いつもなら『っふ、今の私では勝てそうもないな』とか言って仕事サボる癖に。あと、彼のどこが不審者なのかしら?」
「見たまんま不審者じゃないか!」
シラバスさんが僕の股間を指差す。
先程から僕の股間を揉み続けているミーアさんの手?
いや違うな。
となると、僕のスッポンポンの下半身のことだろう。
今の僕はズボンとパンツを履いていない。
いつもならズボンやパンツを履いているのだが、ここに来るまでにズボンと パンツがズタズタに引き裂かれ、タダの布切れになってしまったのだ。
今は仕方なくミーアさんの手で隠している。
勘違いしてもらっては困るので一応言っておくが、僕は露出狂ではない、本当は下半身を猫の手一つでガードせずちゃんとした服を着たいのだ。
「こんな不審者はさすがに通せぬ!通りたくば……」
凄まじい闘気を出すシラバスさん。
突然体育座りをした、かと思ったが、
「私を倒してからにしろ!!」
M字開脚をしやがった!
「あ、今ビクッてした」
こ、こいつデキる!
「どんどん熱く、固くなってくわ!(ハァハァ」
こんな所でハイレベル(高位エロス)に出会えるとは運がいい。
今日まで魔道書(女性店員がレジにいたら買いにくい本)で勉強してきた成果を試す時がきたみたいだ。
「ミーアさん、ここは僕に任せてくれないか」
「ええ?!で、でもぉ〜(コスコスコスコス」
「大丈夫、僕は負けない。必ず『みんな』の所へ帰ってくるから」
僕はチラッと背中に背負っている眠ったままの幼女を見た。
栗色のサラサラした髪にねずみのような丸い耳と尻尾を持ったピンク色のパジャマを着たような姿のラージマウス。
この子はドーマウスのピアちゃん、お茶会に参加した時から一緒に行動している。
ドーマウスは常に眠り続けている魔物娘で、彼女の魔力はとても甘く、紅茶に混ぜると絶品のため、大抵は大きなティーポットの中に入れられている。
「それに、戦い終わったら疲れるだろからベットに直行するとおも……」
「必ず『私の』所へ帰ってきてね!約束よ!!」
涙目のミーヤさんが僕の第三の足を離し、僕からピアちゃんを受け取った。
「ふみゅ、あれ?お兄ちゃん、どこぉ〜?」
僕から離れてしまったためピアちゃんが目を覚ましてしまったようだ。
ごめんよピアちゃん、でも、男にはどうしてもヤらなければならない時があるんだ!
下半身は寒いが、今の僕の心は熱く燃え上がってる!
強敵を倒せと、叫んでいる!!
「っふ、臆せずに来たか、まずは褒めてやろう。しかし相手が悪かったようだな。さぁ、敗北を恐れぬならばかかってくるがよい!!」
こちらにお尻を向け、パチーンと叩くシラバスさん。
むちむちとした褐色のお尻を左右に揺らしている所を見るとカウンター狙いだろうか?
バッチコーイとか言ってるし。
「偉く自信満々なようだが、こちらもこの不思議の国に来て『何度も』修羅場をくぐり抜けてきたんだ。僕をなめない方がいい」
カウンターをしてくる相手にわざわざ向かっていく必要は無いので、まずは相手を良く見ることにする。
情報を制する物が勝利を掴むのだ。
だから、さぁ、もっとよく尻を見せろ!!
「えっ?舐めてもいいのですか?!」 「ペロペロ許可?!」 「人参(意味深)食舐め放題?!」
後ろの方から聞いたことがある声が複数聞こえる。
「っく、もう見つかった?!早く逃げてぇ!!」
さらにミーアさんが慌てて「逃げろ」と言い出し、さらにはドドドドドッ!と地鳴りのような音が聞こえてきた。
何事かと思い振り返ると、地平線の向こうからピンク色の物体がこちらへ走ってくるではないか?!
よく見るとチシャ猫さんに進められて参加したお茶会で、お菓子を配っていたマーチヘアさん達だ。
マーチヘアはバニー姿にピンク色のワーラビットの足を持つ頭がピンク色の魔物娘だ。
お菓子を作ってくれたりするマーチヘアさんだが、頭の中に自動言語変換器があるらしく、あらゆる言葉もエロい方に捉えてしまう。
なので「ヘルプ・ミー」などと言ってしまったら「レ○プ・ミー」に変換され、もれなく劇的救助されてしまうのだ。
そんな彼女達がお茶会の会場から僕を追ってきている。
理由はわからない。
僕はちゃんと彼女達と会話を『成立させながら』おしゃべりしてたので誤解など起きるはずもないのだが。
彼女達との会話を振り返っても、
「砂糖はいりますか?」
「あ、はい欲しいです」
「わ、私が欲しいんですか?!」
「できればテイクアウトで」
とか
「はいこれ、私が作ったお菓子なんですよぉ」
「ありがとう、ではいただきます」
「わ、私をいただいちゃうんですか?!」
「できればじっくりと味わいたいですね」
とか
「なかなか美味しそうじゃないですか」
「え?私の体が美味しそうですか?」
「ええ、とても綺麗ですよ。ずっと見ていたいくらいだ」
「そ、そんなぁ〜///」
などといった小粋なジョークを含んだただの会話をしていただけなんだが、どうしてこうなった!
最後の「なぁ……すけべぇしようや……」がまずかったのか?!
「ここはボクにまかせろぉ〜〜!!」
僕たちがあたふたしていると、大きな緑のシクルクハットを被り緑のタキシードを着た男装をした女性がどこからともなく現れた。
彼女はお茶会の主催者、マッドハッターのコロルさん。
マッドハッターは「静かな狂人」とも呼ばれる頭がとてもいいマダンゴで、二足歩行が出来る。
些細なことでお茶会を開く紳士的な彼女だが、騙されてはいけない。
彼女の口から出てくる言葉は優雅な下ネタで、ボディタッチは気品あるセクハラだ。
余りにも自然な動作だからわかりにくかもしれないが、注意してみると彼女が「狂人」と呼ばれる理由がわかるだろう。
しかし、マーチヘアさんの様子が変だといち早く気づき、僕たちを逃がしてくれた恩人でもある。
たしか気絶してたのでお茶会に置いてきたはずなのだが。
「何をぼーっとしているんだい!後ろはボクに任せて、キミは目の前の相手に集中したまえ!!……そして、これが終わったらお茶会をしよう」
「コロルさん」
コロルさん、あなたはまた僕達を助けてくれるのですか?
でも、あなたのせいでパンツとズボンが紅茶でぐしょぐしょになり、細切れにされてしまったのは忘れませんよ?
あの時、いつの間にかミーアさんがいなくなったのでマーチヘアさん達と楽しいおしゃべりしていた僕は、股間の部分がもぞもぞヌルヌルしているので尿意かと思いトイレを借りようとコロンさんに場所を聞くことにしたんだ。
「コロンさん、この近くにトイレはありますか?ちょっと飲みすぎたみたいで」
「なんだオ○ニーかい?済まないがこの近くにオ○ニー用のトイレなどありましないよ。なんならそこの兎達にでも頼んでみるといい。男が一人で欲望を処理するよりかはよっぽど有意義に過ごせると思うがね」
「……オ○ニーの悪口はやめてもらおうか」
そこからはお互い全く引かずの口論だった。
オ○ニーはいかに虚しいか、無駄な行為かを言われ、こちらも負けじとオ○ニーの必要性、道具の手入れの重要性を話し、ギリギリの所で僕が勝利した。
机の下から聞こえるハァハァとした息遣いや、今だ収まらないもぞもぞジュルジュルが気になったが、どうにかトイレの場所は聞き出せたので問題はない。
スッキリした後お茶会へ戻り、紅茶で喉を潤そうと思ったのだが、ティーカップは空になっていた。
紅茶のおかわりをもらおうとマーチヘアさんに頼もうとしたのだが、口論で負けたのが悔しかったのか、コロルさんが嫌がらせをしてきた。
「紅茶は股間を濡らしながら飲むものだ」
と言いつつポットを傾けて紅茶をズボンにドボドボとかけ、
「おやおやズボンがお漏らししたみたいにずぶ濡れじゃないか。濡れたズボンやパンツを履いていると股間を冷やして風邪を引くよ。よし、ボクが脱がしてあげよう(ハァハァ」
とか言いながら無理やりズボンを脱がそうとし、いつの間にか現れたミーアさんもズボンを脱がすのを手伝い始め、予想以上に僕が抵抗したためか、ズボンとパンスをミーアさんがビリビリに切り裂いてしまった。
破けた布切れは
「おや、こんな所に新しい茶葉が。もったいないもったいない」
とか言いながらコロルさんに全て回収していた。
確かその直後にソワソワしていたマーチヘアさん達が突然襲いかかってきたんだよな?
アレ?追われる原因を作ったの、コロルさんじゃないか?
ちょっと文句言ってやろう。
「前がお留守だぞ」
「えっ?」
前に振り返るとシラバスさんがいなくなっていた!
い、いったいどこに?!
「必殺、ピンクブレス・イヤー。ふぅ〜」
「はぅん(ビクンッビクンッ!」
僕の後ろに回り込んだシラバスさんは僕の耳に吐息(ピンクブレス)を吹きかけてきた!
力が抜け、片膝を地面につけてしまう。
くそっ、油断した!!
「っふ、弱いな。この程度の感度で私に勝負を挑むとは。さぁ、貴様は私に敗北し、ここから2キロ離れた我が家に招待してやろう!」
ふふふ、と不気味な笑を浮かべるシラバスさん。
あれ、なんか呼吸が荒くないですか?あんまり動いてませんよね?
「っく、早くしたまえ!こっちはもう限界だ!!」
「人参を舐めてもいいんですね?」 「ぶら下がった人参を舐めていいんですよね?」 「人参ペロペロ」 「むしろズボズボ?」 「やだ、こうふんする〜!」
いつの間にか近くまで来ていたマーチヘアさん達を、舞台でよく見る薄い壁にドアだけが付いた舞台道具で必死でドアを押さえるコロルさん。
てか早いよ、カッコイイこと言って十秒も経ってないよ?!
「こっちも限界っ。は、早くしてぇ〜!」
「うぅ〜、おにいちゃんおにいちゃんおにいちゃんおにいちゃ〜ん!!」
ミーアさんの腕の中でピアちゃんが暴れてる!
や、やばい、コロルさんを気絶させたあの技「お兄ちゃんをいじめるな!」に巻き込まれる!
前後の道は絶たれた、時間もない、僕の体も先ほどの攻撃で(性的に)限界を迎えようとしてる。
こうなったら覚悟を決め一気に勝負に出るしかない!!
「イクぞぉ〜〜〜!!」
「こい不審者!お前の全てを受け止めてやる!!」
V字開脚をしているシラバスさんに、最初の攻撃を仕掛ける。
僕の戦いは始まったばかり……
「お母さん、アレなにぃ〜?」
「シッ!見ないといけません!」
の様に思えた。
気づけば騒ぎに駆けつけた村の住人が僕達を囲んでいる。
……そうだよ、争いはいけないことなんだ、反省だなぁ〜。
反省ついでに穴掘ってやろ。
今日はここで恥ずかしい思い出を消去する作業に没頭するんだ。
暗い森を抜け、お菓子の家が立ち並ぶ村が見え始めた頃、空からピンク色に近い紫の髪に褐色の肌、背中から生えた触手のようなモノをこちらに向けたドラゴンが現れた。
彼女はジャバウォック、不思議の国に住むドラゴンだ。
不思議の国に迷い込んだ者の前に立ちふさがる仕事をしている。
「あら?シラバスじゃない、ひさしぶりぃ〜。珍しく仕事熱心ね。でも残念、彼は『私の』お客さんだから襲わなくていいのよ。だからそこをどいてくれるかしら」
僕の背後からが空気読んでよと言わんばかりのオーラを放ち、張り付いた笑顔でジャバウォックさんの前に出た魔物娘が一人。
黒いハイヒールをカツカツと鳴らすのは、紫の髪に黒い髪が混ざったワーキャット。
彼女はチシャ猫のミーアさん、不思議の国に入った時からずっと一緒にいる。
チシャ猫は不思議の国の案内人、つまりはガイドさんだ。
しかしこのガイドさん、案内する先々でトラブルをお客に強制体験させるため常に周囲を警戒しなければならない。
「それはできない、女王の命によりそこの旅人を襲わせてもらう。それに、不審者を村へ入れることは私が許さん」
「いつもなら『っふ、今の私では勝てそうもないな』とか言って仕事サボる癖に。あと、彼のどこが不審者なのかしら?」
「見たまんま不審者じゃないか!」
シラバスさんが僕の股間を指差す。
先程から僕の股間を揉み続けているミーアさんの手?
いや違うな。
となると、僕のスッポンポンの下半身のことだろう。
今の僕はズボンとパンツを履いていない。
いつもならズボンやパンツを履いているのだが、ここに来るまでにズボンと パンツがズタズタに引き裂かれ、タダの布切れになってしまったのだ。
今は仕方なくミーアさんの手で隠している。
勘違いしてもらっては困るので一応言っておくが、僕は露出狂ではない、本当は下半身を猫の手一つでガードせずちゃんとした服を着たいのだ。
「こんな不審者はさすがに通せぬ!通りたくば……」
凄まじい闘気を出すシラバスさん。
突然体育座りをした、かと思ったが、
「私を倒してからにしろ!!」
M字開脚をしやがった!
「あ、今ビクッてした」
こ、こいつデキる!
「どんどん熱く、固くなってくわ!(ハァハァ」
こんな所でハイレベル(高位エロス)に出会えるとは運がいい。
今日まで魔道書(女性店員がレジにいたら買いにくい本)で勉強してきた成果を試す時がきたみたいだ。
「ミーアさん、ここは僕に任せてくれないか」
「ええ?!で、でもぉ〜(コスコスコスコス」
「大丈夫、僕は負けない。必ず『みんな』の所へ帰ってくるから」
僕はチラッと背中に背負っている眠ったままの幼女を見た。
栗色のサラサラした髪にねずみのような丸い耳と尻尾を持ったピンク色のパジャマを着たような姿のラージマウス。
この子はドーマウスのピアちゃん、お茶会に参加した時から一緒に行動している。
ドーマウスは常に眠り続けている魔物娘で、彼女の魔力はとても甘く、紅茶に混ぜると絶品のため、大抵は大きなティーポットの中に入れられている。
「それに、戦い終わったら疲れるだろからベットに直行するとおも……」
「必ず『私の』所へ帰ってきてね!約束よ!!」
涙目のミーヤさんが僕の第三の足を離し、僕からピアちゃんを受け取った。
「ふみゅ、あれ?お兄ちゃん、どこぉ〜?」
僕から離れてしまったためピアちゃんが目を覚ましてしまったようだ。
ごめんよピアちゃん、でも、男にはどうしてもヤらなければならない時があるんだ!
下半身は寒いが、今の僕の心は熱く燃え上がってる!
強敵を倒せと、叫んでいる!!
「っふ、臆せずに来たか、まずは褒めてやろう。しかし相手が悪かったようだな。さぁ、敗北を恐れぬならばかかってくるがよい!!」
こちらにお尻を向け、パチーンと叩くシラバスさん。
むちむちとした褐色のお尻を左右に揺らしている所を見るとカウンター狙いだろうか?
バッチコーイとか言ってるし。
「偉く自信満々なようだが、こちらもこの不思議の国に来て『何度も』修羅場をくぐり抜けてきたんだ。僕をなめない方がいい」
カウンターをしてくる相手にわざわざ向かっていく必要は無いので、まずは相手を良く見ることにする。
情報を制する物が勝利を掴むのだ。
だから、さぁ、もっとよく尻を見せろ!!
「えっ?舐めてもいいのですか?!」 「ペロペロ許可?!」 「人参(意味深)食舐め放題?!」
後ろの方から聞いたことがある声が複数聞こえる。
「っく、もう見つかった?!早く逃げてぇ!!」
さらにミーアさんが慌てて「逃げろ」と言い出し、さらにはドドドドドッ!と地鳴りのような音が聞こえてきた。
何事かと思い振り返ると、地平線の向こうからピンク色の物体がこちらへ走ってくるではないか?!
よく見るとチシャ猫さんに進められて参加したお茶会で、お菓子を配っていたマーチヘアさん達だ。
マーチヘアはバニー姿にピンク色のワーラビットの足を持つ頭がピンク色の魔物娘だ。
お菓子を作ってくれたりするマーチヘアさんだが、頭の中に自動言語変換器があるらしく、あらゆる言葉もエロい方に捉えてしまう。
なので「ヘルプ・ミー」などと言ってしまったら「レ○プ・ミー」に変換され、もれなく劇的救助されてしまうのだ。
そんな彼女達がお茶会の会場から僕を追ってきている。
理由はわからない。
僕はちゃんと彼女達と会話を『成立させながら』おしゃべりしてたので誤解など起きるはずもないのだが。
彼女達との会話を振り返っても、
「砂糖はいりますか?」
「あ、はい欲しいです」
「わ、私が欲しいんですか?!」
「できればテイクアウトで」
とか
「はいこれ、私が作ったお菓子なんですよぉ」
「ありがとう、ではいただきます」
「わ、私をいただいちゃうんですか?!」
「できればじっくりと味わいたいですね」
とか
「なかなか美味しそうじゃないですか」
「え?私の体が美味しそうですか?」
「ええ、とても綺麗ですよ。ずっと見ていたいくらいだ」
「そ、そんなぁ〜///」
などといった小粋なジョークを含んだただの会話をしていただけなんだが、どうしてこうなった!
最後の「なぁ……すけべぇしようや……」がまずかったのか?!
「ここはボクにまかせろぉ〜〜!!」
僕たちがあたふたしていると、大きな緑のシクルクハットを被り緑のタキシードを着た男装をした女性がどこからともなく現れた。
彼女はお茶会の主催者、マッドハッターのコロルさん。
マッドハッターは「静かな狂人」とも呼ばれる頭がとてもいいマダンゴで、二足歩行が出来る。
些細なことでお茶会を開く紳士的な彼女だが、騙されてはいけない。
彼女の口から出てくる言葉は優雅な下ネタで、ボディタッチは気品あるセクハラだ。
余りにも自然な動作だからわかりにくかもしれないが、注意してみると彼女が「狂人」と呼ばれる理由がわかるだろう。
しかし、マーチヘアさんの様子が変だといち早く気づき、僕たちを逃がしてくれた恩人でもある。
たしか気絶してたのでお茶会に置いてきたはずなのだが。
「何をぼーっとしているんだい!後ろはボクに任せて、キミは目の前の相手に集中したまえ!!……そして、これが終わったらお茶会をしよう」
「コロルさん」
コロルさん、あなたはまた僕達を助けてくれるのですか?
でも、あなたのせいでパンツとズボンが紅茶でぐしょぐしょになり、細切れにされてしまったのは忘れませんよ?
あの時、いつの間にかミーアさんがいなくなったのでマーチヘアさん達と楽しいおしゃべりしていた僕は、股間の部分がもぞもぞヌルヌルしているので尿意かと思いトイレを借りようとコロンさんに場所を聞くことにしたんだ。
「コロンさん、この近くにトイレはありますか?ちょっと飲みすぎたみたいで」
「なんだオ○ニーかい?済まないがこの近くにオ○ニー用のトイレなどありましないよ。なんならそこの兎達にでも頼んでみるといい。男が一人で欲望を処理するよりかはよっぽど有意義に過ごせると思うがね」
「……オ○ニーの悪口はやめてもらおうか」
そこからはお互い全く引かずの口論だった。
オ○ニーはいかに虚しいか、無駄な行為かを言われ、こちらも負けじとオ○ニーの必要性、道具の手入れの重要性を話し、ギリギリの所で僕が勝利した。
机の下から聞こえるハァハァとした息遣いや、今だ収まらないもぞもぞジュルジュルが気になったが、どうにかトイレの場所は聞き出せたので問題はない。
スッキリした後お茶会へ戻り、紅茶で喉を潤そうと思ったのだが、ティーカップは空になっていた。
紅茶のおかわりをもらおうとマーチヘアさんに頼もうとしたのだが、口論で負けたのが悔しかったのか、コロルさんが嫌がらせをしてきた。
「紅茶は股間を濡らしながら飲むものだ」
と言いつつポットを傾けて紅茶をズボンにドボドボとかけ、
「おやおやズボンがお漏らししたみたいにずぶ濡れじゃないか。濡れたズボンやパンツを履いていると股間を冷やして風邪を引くよ。よし、ボクが脱がしてあげよう(ハァハァ」
とか言いながら無理やりズボンを脱がそうとし、いつの間にか現れたミーアさんもズボンを脱がすのを手伝い始め、予想以上に僕が抵抗したためか、ズボンとパンスをミーアさんがビリビリに切り裂いてしまった。
破けた布切れは
「おや、こんな所に新しい茶葉が。もったいないもったいない」
とか言いながらコロルさんに全て回収していた。
確かその直後にソワソワしていたマーチヘアさん達が突然襲いかかってきたんだよな?
アレ?追われる原因を作ったの、コロルさんじゃないか?
ちょっと文句言ってやろう。
「前がお留守だぞ」
「えっ?」
前に振り返るとシラバスさんがいなくなっていた!
い、いったいどこに?!
「必殺、ピンクブレス・イヤー。ふぅ〜」
「はぅん(ビクンッビクンッ!」
僕の後ろに回り込んだシラバスさんは僕の耳に吐息(ピンクブレス)を吹きかけてきた!
力が抜け、片膝を地面につけてしまう。
くそっ、油断した!!
「っふ、弱いな。この程度の感度で私に勝負を挑むとは。さぁ、貴様は私に敗北し、ここから2キロ離れた我が家に招待してやろう!」
ふふふ、と不気味な笑を浮かべるシラバスさん。
あれ、なんか呼吸が荒くないですか?あんまり動いてませんよね?
「っく、早くしたまえ!こっちはもう限界だ!!」
「人参を舐めてもいいんですね?」 「ぶら下がった人参を舐めていいんですよね?」 「人参ペロペロ」 「むしろズボズボ?」 「やだ、こうふんする〜!」
いつの間にか近くまで来ていたマーチヘアさん達を、舞台でよく見る薄い壁にドアだけが付いた舞台道具で必死でドアを押さえるコロルさん。
てか早いよ、カッコイイこと言って十秒も経ってないよ?!
「こっちも限界っ。は、早くしてぇ〜!」
「うぅ〜、おにいちゃんおにいちゃんおにいちゃんおにいちゃ〜ん!!」
ミーアさんの腕の中でピアちゃんが暴れてる!
や、やばい、コロルさんを気絶させたあの技「お兄ちゃんをいじめるな!」に巻き込まれる!
前後の道は絶たれた、時間もない、僕の体も先ほどの攻撃で(性的に)限界を迎えようとしてる。
こうなったら覚悟を決め一気に勝負に出るしかない!!
「イクぞぉ〜〜〜!!」
「こい不審者!お前の全てを受け止めてやる!!」
V字開脚をしているシラバスさんに、最初の攻撃を仕掛ける。
僕の戦いは始まったばかり……
「お母さん、アレなにぃ〜?」
「シッ!見ないといけません!」
の様に思えた。
気づけば騒ぎに駆けつけた村の住人が僕達を囲んでいる。
……そうだよ、争いはいけないことなんだ、反省だなぁ〜。
反省ついでに穴掘ってやろ。
今日はここで恥ずかしい思い出を消去する作業に没頭するんだ。
14/01/25 01:50更新 / バスタイム