堕落ルート ―守護者の敗北―
眩しい日差しに目を細め、青い空を私は見上げていた。 はて、こんな風に空を眺めることはいつ以来だろう。かなり久しいような気がするが、だがどうして私は空を見上げているのだろう。 「…?」 背中に感じる固い感触。匂ってくるのは草と土の香り。 どうやら私は見上げているのではなく地面に横たわっているらしい。 だが、なぜ? 「…決着だな」 凛とした綺麗な声が響き渡る。一度聞けば誰もが背筋を伸ばし、その鋭い凛々しさに緊張してしまうほど威厳に溢れた声だ。 その声に顔をあげると太陽を背にして私の傍に立っていた。 「大丈夫だった?」 低くも柔らかな声色は男性のもの。続いて差し出されたのは彼の手。逆光で影ってよく見えないが、それでもはっきりとこちらを見つめる闇色の二つの瞳が目についた。 ああ、そうか。 その瞳に、私の状態に今まで何をしていたのか理解する。それと同時に疑問が浮かぶ。 私が横たわっていた理由は分かった。だが、どうやって地面に倒されたのだろうか。 そして目の前の彼は私にいったい何をしたのか。 「頭、怪我してない?」 「あ、はい!大丈夫です!」 その手を握り起き上がる。 それはすがすがしさも悔しさも何も感じない、理解すらできない敗北だった。 |
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